特許第6296643号(P6296643)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296643
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】家庭用薄葉紙製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20180312BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   B65D83/08 ABRP
   B65D83/08BSE
   B65D83/08BSL
   B65D83/08BSQ
   A47K10/20 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-263048(P2013-263048)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-117052(P2015-117052A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】藁科 真一
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052759(JP,A)
【文献】 特開平05−032252(JP,A)
【文献】 特開2005−313909(JP,A)
【文献】 実開昭60−190679(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0112948(US,A1)
【文献】 特開2008−273532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と底面とこれらに連接する一対の長側面及び短側面とを有する直六面体形状の収納箱に、家庭用薄葉紙が収納された家庭用薄葉紙製品であって、
前記収納箱は、短側面が、長側面の端縁から延出する内フラップが内側に折られ、その内フラップの外側に重ねて、底面の端縁から延在する底側外フラップと上面の端縁から延出する上側外フラップとが順次内側に折られ、それらの各フラップが接着により一体にされた構造であるとともに、その底面と底側外フラップとの間の底側稜線の中央部から底面の長手方向中央に向かって膨出する押し込み部形成ミシン目線と、前記底側稜線に沿って延在する底側稜線ミシン目線と、前記内フラップと長側面との間の側部稜線に沿って延在する側部稜線ミシン目線とを有し、
底側稜線の両端側に底側稜線ミシン目線の非形成部を有し、底側外フラップに、前記底側稜線ミシン目線の端から側部稜線の上面側方向に向かって底側稜線ミシン目線と非平行に延在する底側外フラップ隅部ミシン目線を有し、
側部稜線の底側に側部稜線ミシン目線の非形成部を有し、内フラップに、前記側部稜線ミシン目線の端から底側稜線の中央部側方向に向かって側部稜線ミシン目線と非平行に延在する内フラップ隅部ミシン目線を有し、
底側外フラップに、底側稜線の両端から底側外フラップ隅部ミシン目線に向かって、底側外フラップ隅部ミシン目線にまで至らない底側外フラップ隅部切り込み線が形成され、
内フラップに、側部稜線の底側端から内フラップ隅部ミシン目線に向かって、内フラップ隅部ミシン目線にまで至らない内フラップ隅部切り込み線が形成されている、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙製品。
【請求項2】
底側稜線ミシン目線及び側部稜線ミシン目線の少なくとも一方が、延在方向同一の単位ミシン目線が並列する二重ミシン目線であるとともに、その二重ミシン目線を構成する各単位ミシン目線が稜線を挟んで並列するように配されている、請求項1記載の家庭用薄葉紙製品。
【請求項3】
上面と底面とこれらに連接する一対の長側面及び短側面とを有する直六面体形状の収納箱に、家庭用薄葉紙が収納された家庭用薄葉紙製品であって、
前記収納箱は、短側面が、長側面の端縁から延出する内フラップが内側に折られ、その内フラップの外側に重ねて、底面の端縁から延在する底側外フラップと上面の端縁から延出する上側外フラップとが順次内側に折られ、それらの各フラップが接着により一体にされた構造であるとともに、その底面に底面の長手方向中央に向かって膨出する押し込み部形成ミシン目線と、この押し込み部形成ミシン目線の両端部から底面と長側面との間の底側長手稜線に至る、前記底面と底側外フラップとの間の底側稜線に平行な底面ミシン目線とを有し、かつ、底面ミシン目線の端部から前記底側長手稜線に沿って近位の短側面に向かって延在して底側長手稜線の端に至る、前記底面ミシン目線と垂直な底側長手稜線ミシン目線と、前記内フラップと長側面との間の側部稜線に沿って形成される側部稜線ミシン目線と、を有することを特徴とする家庭用薄葉紙製品。
【請求項4】
底側長手稜線ミシン目線及び前記側部稜線ミシン目線の少なくとも一方が、延在方向同一の単位ミシン目線が並列する二重ミシン目線であるとともに、その二重ミシン目線を構成する各単位ミシン目線が稜線を挟んで並列するように配されている、請求項記載の家庭用薄葉紙製品。
【請求項5】
底面ミシン目線が在方向同一の単位ミシン目線が並列する二重ミシン目線である、請求項又は記載の家庭用薄葉紙製品。
【請求項6】
前記収納箱が、上面の収納箱内側にスリット付きの樹脂製のシート材が貼付されたものであり、前記底面ミシン目線が、そのシート材の短側面側の縁位置よりも、収納箱の長手方向中央側に位置している、請求項3〜5の何れか1項に記載の家庭用薄葉紙製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の家庭用薄葉紙を収納箱に収めた家庭用薄葉紙製品。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーやキッチンペーパーやペーパータオルといった家庭用薄葉紙を複数枚、ロール状或いは折畳み重ねて束にし、カートン箱とも称される上面に取出口を有する直六面体形状の収納箱に収めた衛生薄葉紙製品はよく知られるところである。
【0003】
この家庭用薄葉紙製品においては、内部の家庭用薄葉紙を使いきった後に残る収納箱を廃棄する際に、その形状が箱形で嵩張るため、押し潰したり折り畳んだりして解体することが行なわれる。
【0004】
そして、この家庭用薄葉紙製品では、従来、下記特許文献1、2に示すように、係る収納箱の解体作業を容易にすべく、複数のフラップが重ね合わされ封止されてなる短側面を解放できるように箱解体用のミシン目線を形成することが行なわれている。このようなミシン目線を形成するなどして収納箱を解体しやすくする箱解体機構は、イージークラッシュ機構、イージーホールド機構等とも称されている。
【0005】
しかし、従来の家庭用薄葉紙製品は、その収納箱の箱解体機構が、短側面を解放するために複数回に渡ってフラップを開く作業が必要になるなど手間のかかるものであった。また、ミシン目線に沿ってスムーズに裂開せずに意図しない部位が裂けてしまい、ミシン目線を裂開しなおす手間がかかるということもあった。
【0006】
ところで、家庭用薄葉紙製品の収納箱に係るこれらのミシン目線は、カートンブランクの段階で既に形成されるため、衛生薄葉紙収納製品の製造は、ミシン目線が形成された状態で収納箱の組立て、家庭用薄葉紙の束等の挿入が行なわれるようにされる。また、収納箱は、製品の搬送中に潰れることのないように、比較的堅固である必要があり、意図しない限り容易にミシン目線が裂開しないことが求められる。
【0007】
したがって、家庭用薄葉紙製品においては、このような製造時や輸送時等に意図せずミシン目線が裂開せず、その一方で、家庭用薄葉紙を使い終わった際には、容易に箱解体ができることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−253275号公報
【特許文献2】特開2008−273532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本願発明は、上記の課題に鑑みて、製造時、製品時においては意図せずミシン目線が裂開し難く、使用後に残る収納箱は、簡易かつ容易に解体することができる家庭用薄葉紙製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は以下のとおりである。
【0011】
〔請求項1記載の発明〕
上面と底面とこれらに連接する一対の長側面及び短側面とを有する直六面体形状の収納箱に、家庭用薄葉紙が収納された家庭用薄葉紙製品であって、
前記収納箱は、短側面が、長側面の端縁から延出する内フラップが内側に折られ、その内フラップの外側に重ねて、底面の端縁から延在する底側外フラップと上面の端縁から延出する上側外フラップとが順次内側に折られ、それらの各フラップが接着により一体にされた構造であるとともに、その底面と底側外フラップとの間の底側稜線の中央部から底面の長手方向中央に向かって膨出する押し込み部形成ミシン目線と、前記底側稜線に沿って延在する底側稜線ミシン目線と、前記内フラップと長側面との間の側部稜線に沿って延在する側部稜線ミシン目線とを有し、
底側稜線の両端側に底側稜線ミシン目線の非形成部を有し、底側外フラップに、前記底側稜線ミシン目線の端から側部稜線の上面側方向に向かって底側稜線ミシン目線と非平行に延在する底側外フラップ隅部ミシン目線を有し、
側部稜線の底側に側部稜線ミシン目線の非形成部を有し、内フラップに、前記側部稜線ミシン目線の端から底側稜線の中央部側方向に向かって側部稜線ミシン目線と非平行に延在する内フラップ隅部ミシン目線を有し、
底側外フラップに、底側稜線の両端から底側外フラップ隅部ミシン目線に向かって、底側外フラップ隅部ミシン目線にまで至らない底側外フラップ隅部切り込み線が形成され、
内フラップに、側部稜線の底側端から内フラップ隅部ミシン目線に向かって、内フラップ隅部ミシン目線にまで至らない内フラップ隅部切り込み線が形成されている、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙製品。
【0012】
〔請求項2記載の発明〕
底側稜線ミシン目線及び側部稜線ミシン目線の少なくとも一方が、延在方向同一の単位ミシン目線が並列する二重ミシン目線であるとともに、その二重ミシン目線を構成する各単位ミシン目線が稜線を挟んで並列するように配されている、請求項1記載の家庭用薄葉紙製品。
【0013】
【0014】
【0015】
〔請求項記載の発明〕
上面と底面とこれらに連接する一対の長側面及び短側面とを有する直六面体形状の収納箱に、家庭用薄葉紙が収納された家庭用薄葉紙製品であって、
前記収納箱は、短側面が、長側面の端縁から延出する内フラップが内側に折られ、その内フラップの外側に重ねて、底面の端縁から延在する底側外フラップと上面の端縁から延出する上側外フラップとが順次内側に折られ、それらの各フラップが接着により一体にされた構造であるとともに、その底面に底面の長手方向中央に向かって膨出する押し込み部形成ミシン目線と、この押し込み部形成ミシン目線の両端部から底面と長側面との間の底側長手稜線に至る、前記底面と底側外フラップとの間の底側稜線に平行な底面ミシン目線とを有し、かつ、底面ミシン目線の端部から前記底側長手稜線に沿って近位の短側面に向かって延在して底側長手稜線の端に至る、前記底面ミシン目線と垂直な底側長手稜線ミシン目線と、前記内フラップと長側面との間の側部稜線に沿って形成される側部稜線ミシン目線と、を有することを特徴とする家庭用薄葉紙製品。
【0016】
〔請求項記載の発明〕
底側長手稜線ミシン目線及び前記側部稜線ミシン目線の少なくとも一方が、延在方向同一の単位ミシン目線が並列する二重ミシン目線であるとともに、その二重ミシン目線を構成する各単位ミシン目線が稜線を挟んで並列するように配されている、請求項記載の家庭用薄葉紙製品。
【0017】
〔請求項記載の発明〕
底面ミシン目線が在方向同一の単位ミシン目線が並列する二重ミシン目線である、請求項又は記載の家庭用薄葉紙製品。
【0018】
〔請求項記載の発明〕
前記収納箱が、上面の収納箱内側にスリット付きの樹脂製のシート材が貼付されたものであり、前記底面ミシン目線が、そのシート材の短側面側の縁位置よりも、収納箱の長手方向中央側に位置している、請求項3〜5の何れか1項に記載の家庭用薄葉紙製品。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、製造時、製品時においては意図せずミシン目線が裂開し難く、使用後に残る収納箱は、簡易かつ容易に解体することができる家庭用薄葉紙製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る家庭用薄葉紙製品の斜視図である。
図2】本発明に係る家庭用薄葉紙製品の構造及び使用態様を説明するための斜視図である。
図3】本発明に係る第1形態の家庭用薄葉紙収納箱のカートンブランクの平面図である。
図4】本発明に係る第1形態の家庭用薄葉紙収納箱の底面側からの斜視図である。
図5】本発明に係る家庭用薄葉紙収納箱の各フラップの接着態様を説明するための側面図である。
図6】本発明に係る第1形態の家庭用薄葉紙収納箱の解体工程を説明するための斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱のカートンブランクの平面図及びその一部拡大図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱のカートンブランクの製造工程を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱の底面側からの斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱の解体工程を説明するための斜視図及びその一部拡大図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱のカートンブランクの平面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱の底面側からの斜視図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る家庭用薄葉紙収納箱の解体工程を説明するための斜視図及びその一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次いで、本発明の実施の形態を図1図13を参照しながら以下に詳述する。なお、図
【0022】
3、7、8、11は、本発明に係る製品の収納箱の前駆体であるカートンブランクの図であるが、説明の理解をしやすくするため符号、文言等については組立て後に相当する部分のものを用いる。
【0023】
第1形態
本発明に係る第1形態図1図6に示す。なお、この第1形態を説明するなかで、本発明の形態(第2実施形態及び第3実施形態)にも共通する部分の構造等についても説明をする。
【0024】
本発明に係る家庭用薄葉紙製品100は、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の家庭用薄葉紙1が、複数枚、ロール状或いは折畳み重ねた束が、取出し口形成用ミシン目線が形成された収納箱10に収納され、使用時にその取出し口2から家庭用薄葉紙1を取り出して使用するものである。図示の形態では、複数枚のティシュペーパーが複数枚、折り畳まれ束にされたものを収めた製品の例を示している。
【0025】
本発明に係る収納箱10は、カートン箱とも称されるもので、上面20と底面30とこれらに連接する一対の長側面40及び短側面50とを有する直六面体形状の箱体であり、製品外観をなすものである。本実施形態に係る収納箱10は、上面20に取出し口2を形成するための環状の取出し口形成用ミシン目線12が形成され、特にそのミシン目線12により囲まれる範囲12aを紙箱内側からスリット付きシート材13で被覆されたものとなっている。但し、本発明では、シート材13は、必須ではなく、また、取出し口2の形成位置は、長側面40にあってもよい。
【0026】
収納箱10の大きさは、収納する家庭用薄葉紙1の種類や規格によって変更することができる。家庭用薄葉紙1をティシュペーパーとするティシュペーパー製品であれば、概ね長手長さL1が110〜320mm、短手長さL2が70〜200mm、高さL3が40〜150mm程度であり、本発明に係る収納箱10もこの大きさとすることができる。
【0027】
また、収納箱10の基材は、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とするこの種の収納箱に用いられている既知の紙素材が採用できる。具体例として、坪量250〜500g/m2のコートボール紙が例示できる。
【0028】
本発明に係る収納箱10の組立て構造は、図からも理解されるように、底面30と一方の長側面40の糊代部40Aとを糊付けして筒状とした後、長側面40の端縁から延出する内フラップ41,41が内側に折られ、その内フラップ41,41の外側に重ねて、底面30の端縁から延在する底側外フラップ31と上面20の端縁から延出する上側外フラップ21とが順次内側に折られ、それらの各フラップ21,31,41,41が接着により一体にされて、短側面50を構成する構造となっている。
【0029】
各フラップ21,31,41,41の接着は、ホットメルト接着剤等の公知の接着剤を用いることができる。その接着形態としては、内フラップ41,41と底側外フラップ31と上側外フラップ21の各フラップ21,31,41,41が直接的に接着剤により接着されて一体化されている形態の他、内フラップ41,41と底面側外フラップ31と上側外フラップ21とが間接的に接着されて一体化されている形態であってもよい。図5は、内フラップ41,41と底側外フラップ31とがその重なり部分において接着剤により接着され、底側外フラップ31と上側外フラップ21とがその重なり部分において接着剤により接着されることで、上側外フラップ21と底側外フラップ31とが内フラップ41,41を介して一体化されている形態を示している。本発明に係る短側面50の構造は、このように各フラップ21,31,41,41が一体化されていればよい。
【0030】
他方、取出し口形成用のミシン目線12は、限定されはしないが、図示の形態のように環状に形成し、その環状部分を切り剥がすことにより取出し口2が形成されるものであるのがよい。この形態の収納箱10は、ティシュペーパー製品において汎用されるが、この形態の収納箱では、解体作業が特に求められるため本発明の効果が特に顕著に発揮される。
【0031】
この取出し口形成用のミシン目線12は、適宜のカットタイ比で構成され、通常のシングルミシン目線のほか、二重ミシン目線、ジッパーミシン目線等で構成することができる。一部分のみ二重ミシン目線としてもよい。
【0032】
他方、本形態に係るスリット付きシート材13は、前記取出し口形成用ミシン目線12により囲まれる範囲12aより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、収納箱10の内面側において、取出し口形成用ミシン目線12の切り剥がしに影響がないように、取出し口形成用ミシン目線12の外方で接着剤等によって接着される。スリット付きシート材13は、樹脂製フィルムのほか紙製とすることができる。本実施形態に係る衛生薄葉紙製品100では、係る収納箱10における取出し口形成用ミシン目線12を切り剥がすことにより、シート材13に形成されたスリット13sが露出し、そのスリット13sを介して内部に収めた家庭用薄葉紙の束から家庭用薄葉紙1を順次一枚ずつ取り出すものとなっている。このようにスリット13sから一枚ずつ家庭用薄葉紙1を引き出していく製品は、ポップアップ式の製品とも称されるもので、家庭用薄葉紙製品においてよく採用される形態である。本発明に係る家庭用薄葉紙製品100は、このようなポップアップ式の製品に特に好適に適用される。但し、本発明は、必ずしもポップアップ式の製品に限定されるわけではない。
【0033】
そして本実施形態に係る家庭用薄葉紙製品100では、上述の各フラップ21,31,41,41が一体にされて形成された短側面50の構造を採るとともに、特に、収納箱10に、特徴的な、押し込み部形成ミシン目線15と、底側稜線ミシン目線16と、側部稜線ミシン目線17とが形成されている。
【0034】
押し込み部形成ミシン目線15は、底面30と底側外フラップ31との間の底側稜線25の中央部から底面30の長手方向中央に向かって膨出する形状とされる。図示の形態では、底面の長手方向中央に向かって膨出するアーチ状に形成された例を示している。その他に例えば、コ字型、くさび形等に配してもよい。押し込み部形成ミシン目線15で囲まれる範囲の大きさは、指による押し込みによって押し込み部形成ミシン目線15が裂開されて押し込み部が形成できる適宜の大きさとすればよい。この押し込み部形成ミシン目線15は、通常のシングルミシン目線のほか、在方向同一の単位ミシン目線を並列させた二重ミシン目線で構成することができる。一部分のみ二重ミシン目線としてもよい。押し込み部形成ミシン目線のカットタイ比等は、シングルミシン目線の場合、1:1〜10:1(カット:タイ)で、カット部の長さを1〜10mmとするのがよい。また、二重ミシン目線の場合、1:1〜5:1(カット:タイ)で、カット部の長さを3〜10mmとするのがよい。押し込み部形成ミシン目線15は、その大きさが広範ではなく、また、指による直接的な押し込みによって比較的強い力を加えて裂開する性格であること、さらにその位置も通常の輸送等によって意図せず裂開がされがたい位置にあることから、強度を保持しつつ裂開を容易にすることができるという二重ミシン目線によるメリットよりも、製造容易というシングルミシン目線のメリットが上回る場合もある。しがって、その点考慮して、いずれの種のミシン目線とするかを選択すればよい。
【0035】
他方、前記底側稜線ミシン目線16は、底面30と底側外フラップ31との間の底側稜線25に沿って延在するように配される。底側稜線ミシン目線16は、底側稜線25の全長に沿って設けられていてもよいし、押し込み部形成ミシン目線15の両端より底側稜線25の幅方向中央側に一部はみ出るように配されていてもよい。底側稜線ミシン目線16は、押し込み部形成ミシン目線15を指で押し込んで裂開させた後に短側面50全体を開くようにした際に、押し込み部形成ミシン目線15の裂開に続いて連続的に裂開されるように配されていればよい。したがって、押し込み部形成ミシン目線15から連続的な裂開が確保される範囲であれば、押し込み部形成ミシン目線15の両端からやや離間して配されていてもよい。但し、図示例のように押し込み部形成ミシン目線15の両端を基端として延在するように配されているのが望ましい。この形態であれば、押し込み部形成ミシン目線15から連続的に裂開が容易になされるとともに、意図しない部位が裂開するおそれがなく、ミシン目線形成による収納箱の強度低下も少ない。
【0036】
底側稜線ミシン目線16は、通常のシングルミシン目線のほか、在方向同一の単位ミシン目線を並列させた二重ミシン目線で構成することができる。但し、底側稜線ミシン目線16が配される底側稜線25は、収納箱のなかでも輸送時や組立て時に力が加わりやすいことから、強度を保持しつつ裂開を容易にすることができる二重ミシン目線であるのが望ましい。構成する単位ミシン目線のカットタイ比は、必ずしも同一である必要はないが、カット部に端が、実質的に一致又は重なるように配されて、並列する単位ミシン目線のタイ部が交互の裂開していくようになっているものが好適である。
【0037】
底側稜線ミシン目線16のカットタイ比等は、シングルミシン目線の場合、1:1〜10:1(カット:タイ)で、カット部の長さを1〜10mmとするのがよい。また、二重ミシン目線の場合、1:1〜3:1(カット:タイ)で、カット部の長さを1〜5mmとするのがよい。
【0038】
底側稜線ミシン目線16と底側稜線25との離間距離は少なくとも10mm以内とする。好ましくは7mm以内である。底側稜線ミシン目線16と底側稜線25とが過度に離れていると、底側稜線25にそって裂開しがたくなり、短側面を解放し難くなる。また、底側稜線ミシン目線16と底側稜線25との離間距離の下限値については、過度に近すぎると輸送時や製造時に収納箱が意図せず破損するおそれが高まるため、1mm以上の離間しているのが望ましい。特に3mm以上離間していると製造が容易となる。
【0039】
また、底側稜線ミシン目線16は、底側稜線25に沿って底側外フラップ側に設けられていてもよいし、底面側に設けられていてもよい。特に好ましくは、図示例の如く、底側稜線ミシン目線16を二重ミシン目線として、各単位ミシン目線が底側稜線25を挟んで底側外フラップ側と底面側との双方に形成されている形態である。この形態であれば、収納箱の強度を確保しつつ容易に裂開できるようになる。このように構成する場合であれば、各単位ミシン目線におけるカットタイ比は、双方ともに1:1〜3:1(カット:タイ)の範囲内とし、カット部の長さを1〜5mmとするのが望ましい。
【0040】
他方、側部稜線ミシン目線17は、長側面40,40と内フラップ41,41との間の側部稜線26に沿って延在するように配される。側部稜線ミシン目線17は、側部稜線26の全部に渡って設けられているのが望ましい。側部稜線ミシン目線17は、押し込み部形成ミシン目線15を指で押し込んで裂開させた後に短側面50を開くようにした際に、押し込み部形成ミシン目線15、底側稜線ミシン目線16の裂開に続いて或いは同時に連続的に裂開されるように配されていればよい。特に、短側面50が完全に解放されるように、少なくとも側部稜線26の上側端に至るまで配されているのが望ましい。
【0041】
ここで、底側稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17とは、上述のとおり底側稜線ミシン目線16から側部稜線ミシン目線17に至るように連続的に裂開されるようにすることから、これらの端部は、その連続的な裂開が確保される程度に近接している必要がある。連続的な裂開の確実性が向上することから、特に、図示例の如くそれらミシン目線の両端は連続しているのが望ましい。
【0042】
また、側部稜線ミシン目線17は、底側稜線ミシン目線16と同様に、通常のシングルミシン目線のほか、在方向同一の単位ミシン目線を並列させた二重ミシン目線で構成することができる。側部稜線ミシン目線17が配される側部稜線26も、底側稜線25と同様に収納箱のなかでも輸送時や組立て時に力が加わりやすいことから、強度を保持しつつ裂開を容易にすることができる二重ミシン目線であるのが望ましい。構成する単位ミシン目線のカットタイ比は、必ずしも同一である必要はないが、カット部に端が、実質的に一致又は重なるように配されて、並列する単位ミシン目線のタイ部が交互の裂開していくようになっているものが好適である。
【0043】
側部稜線ミシン目線17のカットタイ比等は、シングルミシン目線の場合、1:1〜10:1(カット:タイ)で、カット部の長さを1〜10mmとするのがよい。また、二重ミシン目線の場合、1:1〜3:1(カット:タイ)で、カット部の長さを1〜5mmとするのがよい。
【0044】
側部稜線ミシン目線17と側部稜線26との離間距離は少なくとも10mm以内とする。好ましくは7mm以内である。側部稜線ミシン目線17と側部稜線26とが過度に離れていると、側部稜線26に沿って裂開しがたくなる。また、側部稜線ミシン目線17と側部稜線26との離間距離の下限値については、底側稜線ミシン目線と同様に過度に近すぎると輸送時や製造時に収納箱が意図せず破損するおそれが高まるため、1mm以上の離間しているのが望ましい。特に3mm以上離間していると製造が容易となる。
【0045】
また、側部稜線ミシン目線17は、側部稜線26に沿って内フラップ側に設けられていてもよいし、長側面側に設けられていてもよい。特に好ましくは、図示例の如く、側部稜線ミシン目線17を二重ミシン目線として、各単位ミシン目線が側部稜線26を挟んで内フラップ側と長手側面側との双方に形成されている形態である。この形態であれば、収納箱の強度を確保しつつ容易に裂開できるようになる。このように構成する場合であれば、各単位ミシン目線におけるカットタイ比は、双方ともに1:1〜3:1(カット:タイ)の範囲内とし、カット部の長さを1〜5mmとするのが望ましい。
【0046】
次に、以上説明の第1形態に係る家庭用薄葉紙製品100の箱解体作業例を説明すると、特に図6が参照されるように、押し込み部形成ミシン目線15を例えば親指などで押し込んで裂開し、そのまま指を短側面内方に引っ掛けて、短側面50を外方に開くようにして力を加える。この際に、本発明に係る家庭用薄葉紙製品100では、収納箱10の短側面50を構成する上側外フラップ21と底側外フラップ31と両内フラップ41,41とが一体に接着されているため、底側稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17が連続的又は同時に裂開して、一気にワンタッチで短側面50が解放状態になる。そして、両短側面50,50をこのようにして解放状態とした後には、収納箱は、底面30或いは上面20を長側面方向(図中符号Yで示す)に向かって力を加えることにより、容易に剪断変形して、平板状の一枚板形状に折り畳まれる。このように、本実施形態では、極めて簡易な操作で箱解体を行なうことができる。
【0047】
「第2実施形態」
次いで、本発明の第2実施形態を図7図10を参照して説明する。この第2実施形態は、上述の第1形態を基本として、底側稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17との近接位置の構造に特徴がある。ここでは、特に第1形態と同様の部分については説明を省略し、特に特徴的な構成を中心に説明する。
【0048】
第2実施形態は、底側稜線ミシン目線16を側部稜線26にまで至らないように配して、底側稜線25の両端側に底側稜線ミシン目線16の非形成部16nを形成し、さらに、側部稜線ミシン目線17についても底側稜線25にまで至らないように配して、側部稜線26の底側に側部稜線ミシン目線17の非形成部17nを形成している。そして、底側外フラップ31に前記底側稜線ミシン目線16の端から側部稜線26の上面20側方向に向かって底側稜線ミシン目線16と非平行に延在する底側外フラップ隅部ミシン目線18と、内フラップ41に前記側部稜線ミシン目線17の端から底側稜線25の中央部側方向に向かって側部稜線ミシン目線17と非平行に延在する内フラップ隅部ミシン目線19を形成している。
【0049】
底側稜線ミシン目線16及び側部稜線ミシン目線17は第1形態同様にシングルミシン目線、二重ミシン目線とすることができる。また、これらのカットタイ比や長さの構成、稜線との離間距離、好適配置形態が各稜線を挟んで単位ミシン目線を配した二重ミシン目線であることは、第1形態と同様である。
【0050】
この第2実施形態は、収納箱10の状態では、底側稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17が連接していないように配されている。この形態では、例えば、底面30と長側面40,40との底側長手稜線27が押されるように力が加わったさいに、底側稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17との接触部分を起点としてミシン目線の裂開が意図せず生じてしまうということがなく、意図しないミシン目線の裂開防止性に優れる。
【0051】
その一方で、底側外フラップ31に底側外フラップ隅部ミシン目線18を形成し、内フラップ41に内フラップ隅部ミシン目線19を形成したことで、これらの隅部ミシン目線18,19の存在によって、底側稜線ミシン目線16から側部稜線ミシン目線17との擬似的な連続性が確保され、第1形態と同様にワンタッチでの短側面50の解放がなされる。
【0052】
さらに、第2実施形態では、特に製造時における特徴的な利点をも有する。すなわち、この種の家庭用薄葉紙製品100を製造する際には、図7に示すような、これを構成する収納箱10の前駆体となるカートンブランク10Aを製造する。このカートンブランク10Aは、カートン原紙をダイスによって打ち抜いて形成していくのが一般的であり、その際、カートンブランク10Aの打抜きと同時にその周囲の余剰部分を完全に除去していく方法のほか、図8に示すように、カートンブランク10Aとなる部分とその周囲の余剰部分Xとを一部アンカット部分10cで繋がったままとしたカートンブランク前駆体10Xともいえるものを多数枚、製造したのち、そのカートンブランク前駆体10Aの複数枚をまとめて、手作業でその余剰部分Xをむしり取るようにして除去していくという方法も多々とられている(これをカートンむしりなどとも称している)。第1形態に係るカートンブランクを示す図3に示すように底側稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17とが連続するようにミシン目線を形成した場合には、底側外フラップ31となる部分や一方の内フラップ41となる部分に形成された各稜線ミシン目線16,17が一直線にカートンブランク10A周囲の余剰部分Xに向かうように配されることになる。この場合、カートンむしり作業を行なう際に、特にそれらのフラップ31,41の近傍の余剰部分Xをむしり取る際に、それらのフラップ31,41における各稜線ミシン目線16,17が意図せずに裂開してしまうおそれが高まるため作業に気をつかうことになる。本第2実施形態のように底面稜線ミシン目線16と側部稜線ミシン目線17とを連続しないようにして、これらの各稜線ミシン目線16,17と非平行な各隅部ミシン目線18,19を形成したことにより、ワンタッチでの短側面50の解放を確保しつつも、係る製造時にカートンブランク10Aの周囲の余剰部分Xを手作業で除去する際に、各稜線ミシン目線16、17が完全に裂開してフラップ31,41となるべき部分が離脱してしまうという事故を格段に低減でき、その作業性を向上させることができる。
【0053】
他方で、第2実施形態では、図10から理解されるように、短側面50を解放した際に底側外フラップ31及び内フラップ41の底面と長側面とに接する隅が一部残る。このように隅部60が残るため第2実施形態では、第1形態よりも、両短側面50,50を解放させた状態とした後、底面30或いは上面20を長側面40方向に向かって力を加えて剪断変形させる力がやや強く必要となるが、底側外フラップ31は、長側面40に対して自由であり、また、内フラップ41は、底面30に対して自由な構造であるため、十分に剪断変形させることができる。但し、短側面50のワンタッチの解放と、この剪断変形を容易に行える効果とを十分に得るために、底側稜線ミシン目線16の非形成部分16n及び側部稜線ミシン目線17の非形成部分17nの長さは、2〜10mm程度とするのが望ましい。この範囲であれば、一般的な家庭用薄葉紙製品100として必要な強度を有する収納箱10において剪断変形させて平板状に容易にすることができる。
【0054】
また、底側外フラップ隅部ミシン目線18は、底側稜線25に対して45°±10°に形成するのが望ましい(図7中この部分の角度を符号∠Aで示す)。この範囲であれば、上述の余剰部分をむしりとる作業における事故が効果的に防止できるとともに、箱解体の作業性も十分なものとなる。同様の理由で内フラップ隅部ミシン目線19は、側部稜線26に対して45°±10°に形成するのが望ましい(図7中この部分の角度を符号∠Bで示す)。また、底側外フラップ隅部ミシン目線18及び内フラップ隅部ミシン目線19は、隅部60の狭小部分に形成されることから、シングルミシン目線であるのが製造が容易で望ましい。
【0055】
特に、底側外フラップ隅部ミシン目線18と内フラップ隅部ミシン目線19は、底側外フラップ31と内フラップ41とが重なっていることから、その位置が一致しているようにするのが望ましい。短側面50を解放した際に残る隅部60の大きさを小さくすることができ、箱解体性の低下を最小にすることができる。
【0056】
他方、第2実施形態では、底側外フラップ31に、底側稜線25の端から底側外フラップ隅部ミシン目線18に向かって、底側外フラップ隅部ミシン目線18にまで至らない底側外フラップ隅部切り込み線61を形成し、内フラップ41に、側部稜線26の底側の端から内フラップ隅部ミシン目線19に向かって、内フラップ隅部ミシン目線19にまで至らない内フラップ隅部切り込み線62を形成するのが望ましい。このように切り込み線61,62を配することで、短側面50を解放した際に底側外フラップ31及び内フラップ41の底面30と長側面40とに接する隅部60が一部残っても、その後に収納箱を剪断方向に押し潰す際の力を弱くすることができ、箱解体作業をより容易に行えるようになる。なお、底側フラップ隅部切り込み線61及び内フラップ隅部切り込み線62は、ミシン目線であってもスリットであってもよい。好ましくはスリットである。底側フラップ隅部切り込み線61は、底側稜線25に対して45°±10°(図7中この部分の角度を符号∠Cで示す)、内フラップ隅部切り込み線62は、側部稜線26に対して45°±10°(図7中この部分の角度を符号∠Dで示す)とするのが望ましい。この範囲であれば収納箱解体性の向上効果が十分に得られる。
【0057】
特に、底側外フラップ隅部切り込み線61と内フラップ隅部切り込み線62とは、底側外フラップ31と内フラップ41とが重なっていることから、その位置が一致しているようにするのが望ましい。短側面50を解放した後に、収納箱を剪断方向に押し潰す際の力を弱くすることができ、箱解体作業をより容易に行えるようになる。但し、上記例示の底側稜線ミシン目線16の非形成部分16nの長さ及び底部稜線ミシン目線17の非形成部分17nの長さ程度であれば、短側面50を解放した後に残る隅部60は極小さいものとなるため、完全に一致していなくとも箱解体を十分に行なうことはできる。
【0058】
「第3実施形態」
次いで、本発明の第3実施形態を図11図13を参照して説明する。この第3実施形態は、上述の第1形態を基本として、底面30の底面稜線25から離間した位置に長手方向中央に向かって膨出する押し込み部形成ミシン目線15を形成し、さらに、底側稜線ミシン目線16に代えて底面ミシン目線35と底側長手稜線ミシン目線36を配した形態である。ここでは、特に第1形態と同様の部分については説明を省略し、特に異なる構成を中心に説明する。
【0059】
第3実施形態に係る押し込み部形成ミシン目線15は位置以外の形状、ミシン目線のカットタイ比や長さ等の構成は、第1形態と同様である。第3実施形態における押し込み部形成ミシン目線15は、その両端が底側稜線25からやや離れた位置にある。その離間距離は、収納箱の大きさと強度との関係で適宜さだめることができるが、押し込み部形成ミシン目線25の端が、概ね底側稜線25から収納箱10の長手長さL1の1/3以内の範囲に位置するようにするのがよい。過度に離れていると後述の底面ミシン目線35及び底側長手稜線ミシン目線36との関係で各ミシン目線により形成される解放部分の大きさが大きくなりすぎて、ワンタッチでの短側面50の解放に支障が生ずる可能性が高まる。
【0060】
他方、底面ミシン目線35は、押し込み部形成ミシン目線15の両端部から底面30と長側面40との間の底側長手稜線27に至るように配される。押し込み部形成ミシン目線15と底面ミシン目線35は、完全に連接されているのが望ましいが、押し込み部形成ミシン目線15から底面ミシン目線35への連続的な裂開が確保される範囲であれば離間していてもよい。また、図示の形態では、底面ミシン目線35は、押し込み部形成ミシン目線15の両端を基端として各底側長手稜線27に向かって二本で形成されているが、底側長手稜線27同士を結ぶように一本で形成してもよい。但し、図示例のように押し込み部形成ミシン目線15の両端を基端として延在するように配されていると、押し込み部形成ミシン目線15から連続的に裂開が容易になされるとともに、意図しない部位が裂開することがなく、ミシン目線形成による強度低下も最低限となるため望ましい。さらに、底面ミシン目線35は、図示の本形態では、底側稜線25に平行に配している。ただし、押し込み部形成ミシン目線15の各端から近位の短側面50に近づくように、底面稜線25と非平行に設けることもできる。
【0061】
この底面ミシン目線35は、シングルミシン目線であってもよいし二重ミシン目線であってもよい。底面ミシン目線35における位置及び稜線との関係以外の構成については、第1形態における底面稜線ミシン目線15と同様である。
【0062】
他方、底側長手稜線ミシン目線36は、底面ミシン目線35の端部から前記底側長手稜線27に沿って近位の短側面50に向かって延在するように配される。底側長手稜線ミシン目線36と底面ミシン目線35とは、図示例の如く完全に連接されているのが望ましいが、底面ミシン目線35から底側長手稜線ミシン目線36への連続的な裂開が確保される範囲であればやや離間していてもよい。
【0063】
底側長手稜線ミシン目線36は、シングルミシン目線であってもよいし二重ミシン目線であってもよい。底側長手稜線ミシン目線36における位置以外の構成については、第1形態における底面稜線ミシン目線16と同様である。
【0064】
他方、第3実施形態においては、第1形態と同様に側部稜線ミシン目線17が配される。側部稜線ミシン目線17の構成については第1形態と同様である。第3実施形態における底側長手稜線ミシン目線36と側部稜線ミシン目線17とは、図示例の如く完全に連接されている。ただし、連続的な裂開が確保できる範囲であればそれらの端は離間させることもできる。
【0065】
他方、第3実施形態に係る家庭用薄葉紙製品100では、特に図13が参照されるように、押し込み部形成ミシン目線15を例えば親指などで押し込んで裂開し、そのまま指を引っ掛けて、底面30を引っ張り上げるようにして力を加えるとまず、底面ミシン目線35及び底側長手稜線ミシン目線36が連続的に又は同時に裂開して底面30の一部が開かれる。そして、第3実施形態においても、本発明に係る家庭用薄葉紙製品100では、収納箱10の短側面50を構成する上側外フラップ21と底側外フラップ31と両内フラップ41,41とが一体に接着されているため、そのまま短側面50を開くように力を加えると、側部稜線ミシン目線17が裂開して、一気に短側面50が解放状態になる。このように第3実施形態においても第1形態や第2実施形態と同様に、ワンタッチで短側面50が解放される。そして、両短側面を解放させた状態とした後には、底面30或いは上面20を長側面方向に向かって力を加えることにより、容易に剪断変形して、平板状の一枚板形状に折り畳まれる。
【0066】
ここで、第1形態でも説明したとおり、家庭用薄葉紙製品100の中には、取出し口形成用ミシン目線12の範囲を被覆するように樹脂製のスリット付きシート材13を設けた態様のものがある。国や自治体によっては、この樹脂製のシート材13と収納箱10の本体部分に当たる紙箱とを分離して分別廃棄することが求められる場合がある。特に第3実施形態では、底面30の一部も開放されるため、解放部分が広く確保でき、このような分別廃棄がし易いという効果がある。また、この効果をより顕著にすべく、第3実施形態では、底面ミシン目線35の位置を、シート材13の短側面側の縁位置と同一又はそれよりも、収納箱の長手方向中央側に位置するようにするのがよい。図11では、長さP分だけ底面ミシン目線35の位置を、シート材13の短側面側の縁位置よりも、収納箱の長手方向中央側に位置するようにしている。このようにするとシート材13の端部が摘みやすくなり、シート材13の分離がより行ないやすくなる。
【符号の説明】
【0067】
100…家庭用薄葉紙製品、1…家庭用薄葉紙、2…取出し口、10…収納箱、10A…カートンブランク、X…カートンブランク周囲の余剰部分、10X…カートンブランク前駆体、10c…アンカット部分、12…取出し口形成用ミシン目線、12a…取出し口形成用ミシン目線で囲まれる範囲、13…スリット付きシート材、13s…スリット、15…押し込み部形成ミシン目線、16…底側稜線ミシン目線、16n…底側稜線ミシン目線の非形成部分、17…側部稜線ミシン目線、17n…側部稜線ミシン目線の非形成部分、18…底側外フラップ隅部ミシン目線、19…内フラップ隅部ミシン目線、25…底側稜線、26…側部稜線、27…底側長手稜線、20…上面、21…上側外フラップ、30…底面、31…底側外フラップ、40…長側面、41…内フラップ、40A…糊代部、L1…収納箱の長手縁、L2…収納箱の短手縁、L3…収納箱の高さ、50…短側面、60…隅部、61…底側外フラップ隅部切り込み線、62…内フラップ隅部切り込み線、35…底面ミシン目線、36…底側長手稜線ミシン目線、70…接着剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13