特許第6296644号(P6296644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296644穿孔装置用の自動バックアップチップ供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296644
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】穿孔装置用の自動バックアップチップ供給装置
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/16 20060101AFI20180312BHJP
   B23B 35/00 20060101ALI20180312BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   B26F1/16
   B23B35/00
   B23B41/00 D
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-270738(P2013-270738)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-123559(P2015-123559A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】500545193
【氏名又は名称】松本 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087974
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 清
(72)【発明者】
【氏名】小林 知雄
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−170797(JP,A)
【文献】 特開平3−3712(JP,A)
【文献】 特開2001−315011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/16
B23B 35/00
B23B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工基板の平面に対して相対的に二次元に移動する移動台に構成された穿孔手段を有する加工手段にバックアップチップを供給する装置において、
複数のバックアップチップを積層状態で収容するバックアップチップホルダーと、前記バックアップチップホルダーの最上層のバックアップチップを穿孔作業領域に押し出し、また穿孔作業後のバックアップチップを穿孔作業領域から排出するチップ送りレバーと、前記チップ送りレバーにより押し出されたバックアップチップを保持して被加工基板の裏面に当接させるバックアップチップグリッパーとを備えた穿孔装置用の自動バックアップチップ供給装置。
【請求項2】
前記バックアップチップが、非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂にガラス粉末を混練して構成されている請求項1に記載の穿孔装置用の自動バックアップチップ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等のワークへの穴明け作業の補助装置に係り、特に被加工板の底面のバリ発生を防止する当て板を自動的に供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を実装するプリント基板は、製作の段階で、露光機による露光作業を行う際のアライメント用の穴、内層材用の穴、ガイドピン打ち込み用のガイド穴、ピンラミネーション用の基準穴等の穿孔作業を行う。このような基準穴にはプリント基板の底面にバリのないことが要求される。
【0003】
このため、穿孔用スピンドルとこれと一体のコレットチャックに連結されたドリル刃と、穴明け時にドリル刃をプリント基板上で固定するプレッシャーフットと、プリント基板を水平に保持固定する基板保持機構とから構成される加工装置において、特許文献1に見られるように穴明け作業時にバリ発生を防止する目的で被加工プリント基板の底面に当て板を密着、固定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011ー23643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、穿孔作業毎に新たな当て板を被加工プリント基板の底面に当接させて密着させる手作業が必要となり、連続して自動的に穴明け作業を行うことができないという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであってその目的とするところは、被加工板の基準穴明け作業において、バリを生じさせることなく高速で連続して穴明け作業が可能な装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本発明は、被加工基板の平面に対して相対的に二次元に移動する移動台に構成された穿孔手段を有する加工手段にバックアップチップを供給する装置において、複数のバックアップチップを積層状態で収容するバックアップチップホルダーと、前記バックアップチップホルダーの最上層のバックアップチップを穿孔作業領域に押し出し、また穿孔作業後のバックアップチップを穿孔作業領域から排出するチップ送りレバーと、前記チップ送りレバーにより押し出されたバックアップチップを保持して被加工基板の裏面に当接させるバックアップチップグリッパーとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動バックアップチップ供給装置により穴明け部分のみを局部的に密着させるバックアップチップによる穴明けが可能になり、又基板毎の手動によるバックアップチップの装着作業が不要なため高速な自動運転を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の自動バックアップチップ供給装置が適用された穴明け装置の一実施例を示す正面図である。
図2】図(I)〜(III)は自動バックアップチップ供給装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、穴明け装置に適用されたバックアップチップ(以下バックアップチップという)を自動的に供給する装置の一実施例を示すものであって、プリント基板Wの平面に対してX,Y軸方向に移動する移動ユニット1と、この移動ユニット1の上に構成された穴明け用スピンドル2と、穴明け用スピンドル2に連結されたドリル刃3、及びプレッシャーフット4と、これを昇降させるサーボモータ5などにより構成される穴明け機構、及び被加工材、例えばプリント基板Wの底面にバックアップチップ6を密着固定させるバックアップチップグリッパー7と、バックアップチップグリッパー7を昇降させるチップ昇降機構8、バックアップチップ6を複数個収納するバックアップチップホルダー9、及びバックアップチップ6をバックアップチップグリッパー7へ装填するチップ送りレバー10、穴明け作業後のバックアップチップ6を収納する排出チップホルダー11等を備えている。
【0010】
基準穴明け開始時に1枚のバックアップチップ6がチップ送りレバー10によりパックアップグリッパー7に装填される(図2(I))。パックアップグリッパー7に保持されたバックアップチップ6は、チップ昇降機構8により基板サポート12上のプリント基板Wの裏面の所要の箇所に密着させられ(図2(II))、引き続く穿孔作業によるプリント基板Wの底面のバリ発生を防止する。
【0011】
このバックアップチップ6を使用した一連の穴明け作業が終了すると、バックアップチップグリッパー7は、グリッパーシリンダー13により降下させられチップ送りレバー10により排出チップホルダー11に送り出され、ここに収納される(図2(III))。
【0012】
そして、チップ送りレバー10がバックアップチップホルダー9の側端まで後退すると新たなバックアップチップ6が蓄勢手段14によりレバー10の作動高さにまで押し上げられる。そして再度、送りレバー10によりバックアップグリッパー7へ装填され(図2(I))、次の領域での穴明け作業に備える。
【0013】
なお、図中符号15,16は、それぞれガントリー17を支持する移動ユニット1の駆動手段をなすボールネジを示す。
【0014】
上述の実施例においては、加工装置と自動バックアップチップ供給装置を単数使用しているが、自動バックアップチップ供給装置又は/及び穴明け機構を複数使用しても同様の作用を奏することは明らかである。
【0015】
ところで従来のバックアップチップにはペークライト板、ガラスエポキシ板、ABS樹脂板、ポリプロピレン樹脂板等が用いられていた。
これに対して本発明においては、耐熱性や広範な温度帯域での機械的性質の安定性を備えたPEI(非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド)樹脂にガラス粉末を混練したものを板状に射出成形した材により構成されている。このため、樹脂自身の耐熱性とガラス粉末による切りくずの剥離性の高さにより穿孔時のプリント基板への密着性を確保でき、バリの発生を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0016】
1 移動ユニット 2 穴明け用スピンドル 3 ドリル刃 4 プレッシャーフット W プリント基板 6 バックアップチップ 7 バックアップチップグリッパー 8 チップ昇降機構 9 バックアップチップホルダー 10 チップ送りレバー 11 排出チップホルダー 12 基板サポート 13 グリッパーシリンダー
図1
図2