【実施例】
【0009】
<1>全体の構成。
本発明のプレストレスコンクリート部材Aは、プレテンションブロックとポストテンションブロックで構成する。
その場合に、中央部プレテンションブロック1と、その両側に位置する端部ポストテンションブロック2とより構成することができる。(
図1)
あるいは一つのプレテンションブロックと、一つのポストテンションブロックとによって構成することもできる。(
図10)
以下ではまず
図1の桁の実施例の製造工程について説明し、その後に
図10に示す実施例の製造工程について説明する。
なお以下の実施例では「桁」に関して説明するが、この発明思想は「梁」あるいは「スラブ」にも同様に採用することができるから、本発明の「プレストレスコンクリート部材」とは桁だけに限るものではない。
【0010】
<2>中央部プレテンションブロック。(
図2)。
プレストレスコンクリート部材Aを、中央部プレテンションブロック1と、その両側に位置する端部ポストテンションブロック2とより構成する実施例について説明する。
中央部プレテンションブロック1は、一般の公知のプレテンションブロックと同様に製作する。
すなわち、先行してPC鋼線3を緊張して張力を与えておき、その状態で桁の型枠内にコンクリートを打設する。
コンクリートが硬化したら、型枠を解体してコンクリート桁を得るが、その桁の内部には張力を備えたPC鋼線3が固定されて位置している。
すると緊張したPC鋼線3は元に戻ろうとして、コンクリート桁に圧縮力を与え続けることになり、この状態のブロックがプレテンションブロックである。
ここで配置したPC鋼線3は十分な長さを与えておき、中央部プレテンションブロック1の両端で切断せず、両端から十分な長さの余長部31を残して切断する。
なお「中央部」とは後述する「端部」に対する用語であって、正確に中央である必要はない。
【0011】
<3>端部ポストテンションブロック。(
図3)
中央部プレテンションブロック1の製造が完了したら、その両側に端部ポストテンションブロック2を製造する。
一般にブロックを製造するには少なくとも桁の両側、両端、および下面に型枠を設置してコンクリートを打設する必要があるが、先行して製作した中央部プレテンションブロック1の端面を型枠がわりとするマッチキャスト工法を採用して端部ポストテンションブロック2を製造することができる。
このような工法を採用すると、ひとつの端面の型枠が不要で経済的であり、工期短縮と品質向上を図ることができる。
端部ポストテンションブロック2の製造は公知の方法であるが、型枠内へは事前にシース管32を配置して型枠内へコンクリートを打設する。
PC鋼線3を挿入するシース管32は、その端部が、端部ポストテンションブロック2の表面に開口する状態でコンクリート内に埋め込まれる。
【0012】
<4>PC鋼線の挿入。
一般にポストテンションブロックではコンクリート硬化後にシース管32にPC鋼線3を挿入、貫通し、桁の一端にPC鋼線3を固定し、他端から緊張を与えてプレストレスを導入する。
しかし本発明の場合には、シース管32には前記の中央部プレテンションブロック1の端部から露出したPC鋼線3の余長部31を挿入するだけでコンクリートを硬化させる。
この段階では端部ポストテンションブロック2においてはPC鋼線3の緊張は行わない。
【0013】
<5>桁の切り離し。(
図4)
コンクリートの硬化後、両側の端部ポストテンションブロック2を、中央部プレテンションブロック1から離れる方向へ移動する。
中央プレテンションブロックと端部ポストテンションブロック2は、前記したようにPC鋼線3を緊張して一体化していないので、端部ポストテンションブロック2を移動して切り離すことは容易であり、PC鋼線3の余長部31は端部ポストテンションブロック2に配置したシース管32から抜け出す。
こうして中央部プレテンションブロック1と、その両側に位置する端部ポストテンションブロック2をいったん切り離す。
すると、3個の独立した部材を製造することができる。
その際に、中央部プレテンションブロック1のPC鋼線3は、その余長部31が端部ポストテンションブロック2のシース管32から引き出され、中央部プレテンションブロック1の両端から露出した状態を呈する。
【0014】
<6>現場への運搬。(
図5)
以上の製造工程は、工場などの品質管理のゆき届いた場所でおこなう。
そして分離した3つの部材、すなわち中央部プレテンションブロック1と両側の端部ポストテンションブロック2を、トラックで現場に運搬する。
このように大型の桁においても、完成状態を3分割した小型のコンクリートブロックを運搬すればよいので、運搬が効率的であり、道路幅が狭い場所への運搬も容易となる。
【0015】
<7>現場での桁の接合。(
図6)
現場では、中央部プレテンションブロック1を配置し、その両側に同軸上に端部ポストテンションブロック2を配置する。
その際に中央部プレテンションブロック1の端から露出しているPC鋼線3の余長部31を端部ポストテンションのシース管32に挿入する。
そして、端部ポストテンションブロック2を中央部プレテンションブロック1に向けて接近させる。
最後には端部ポストテンションブロック2内のシース管32を貫通したPC鋼線3の余長部31の端部は、端部ポストテンションブロッ2クの外側の端面から露出する。
【0016】
<8>現場での緊張。(
図7)
ポストテンションブロックの外側の両端面から露出したPC鋼線3の余長部31をジャッキ4で把持して緊張を与える。
すると中央部プレテンションブロック1と、その両側の端部ポストテンションブロック2の3部材が強固に一体化する。
その後、PC鋼線3の端部を保護コンクリートで被覆し、シース管32の内部にグラウトを充填する。
こうして3部材を接合した強固な一体の桁や梁、スラブなどのプレキャストコンクリート部材Aの製造、あるいは桁などの架設工事が完成する。
【0017】
<9>PC鋼線の減少。(
図8)
以上の説明は中央部プレテンションブロック1と、端部ポストテンションブロック2とに同数本のPC鋼線3を配置する構造であった。
しかし本発明の構造は中央部と端部とが絶縁していることから、中央部プレテンションブロック1に配置するPC鋼線3の本数より、端部ポストテンションブロック2に配置するPC鋼線3の本数を減らすような配置が可能となる。
そのような構造を採用する理由は、中央部プレテンションブロック1でPC鋼線3の配置が最大量となるが、その両端では過剰な本数が配置されることになるからである。
そのために中央部プレテンションブロック1の端部から露出させたPC鋼線3の余長部31の一部を中央部プレテンションブロック1の端部で切断する。
そして現場では、切断しなかった残りのPC鋼線3の余長部31を、端部ポストテンションブロック2のシース管32に挿入して緊張するのである。
このように中央部と端部とでブロックを絶縁すれば、中央部プレテンションブロック1の配置本数に比較して、端部ポストテンションブロック2ではPC鋼線3の配置本数を減少することができ、きわめて経済的である。
【0018】
<10>定着具の配置。
上記のように、端部ポストテンションブロック2におけるPC鋼線3の本数を減少すると、その端部でPC鋼線3を把持、固定する定着具5の個数を減らすことができる。
そのような経済効果だけではなく、限られた端部の表面に過剰に密着して無理に定着具5を配置する必要がなくなった。
その例を説明すると、例えば桁高1.1m、全長35.9mの桁において、22mの中央部プレテンションブロック1では66本のPC鋼線3を配置する場合に、6.95mの端部ポストテンションブロック2では32本のPC鋼線3の配置で機能を達成することができた。
端部ポストテンションブロック2の端面の面積は1.1×0.7mであり、それほど広いものではないから66個の定着具は到底配置できなかった。
しかし32個の定着具であれば余裕をもって配置することができることが明らかになった。
【0019】
<11>2分割の例。(
図10)
以上はコンクリート部材を、中央の中央部プレテンションブロック1と、その両側の端部ポストテンションブロック2に分割する実施例であった。
しかし本件の発明思想は
図10に示すように、一つのプレテンションブロックと、一つのポストテンションブロックによって構成することもできる。
その場合にも、プレテンションブロックを製造する工程(
図2)、そのプレテンションブロックの端面を利用してポストテンションブロックを製造する工程(
図3)、プレテンションブロックとポストテンションブロックを切り離す工程(
図4)、分割状態の両ブロックを運搬する工程(
図5)、両ブロックを現場で並べてプレテンションブロックの端部から露出したPC鋼線3の余長部31をポストテンションブロックのシース管32に挿入する工程(
図6)、ポストテンションブロックの解放端面から露出したPC鋼線3の余長部31を緊張する工程(
図7)などはすべて同様に行う。