特許第6296658号(P6296658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6296658-硬貨処理機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296658
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】硬貨処理機
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180312BHJP
   G07D 3/00 20060101ALI20180312BHJP
   G07D 1/02 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G07D9/00 418Z
   G07D9/00 328
   G07D3/00 Z
   G07D1/02
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-166548(P2014-166548)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-42333(P2016-42333A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2017年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】石井 亨紀
(72)【発明者】
【氏名】今泉 浩
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−102744(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/118852(WO,A1)
【文献】 特開2007−279909(JP,A)
【文献】 特開2011−221741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07D 1/02
G07D 3/00−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を繰り出す硬貨繰出部と、
該硬貨繰出部から延出し該硬貨繰出部側に識別部が前記硬貨繰出部とは反対側に金種別の硬貨選別部が設けられた硬貨選別搬送路と、
該硬貨選別搬送路に設けられ前記識別部の識別結果に基づいてリジェクト硬貨を前記硬貨選別搬送路からリジェクトするリジェクト部と、
前記硬貨選別搬送路上の硬貨を正逆搬送可能な搬送ベルトと、
該搬送ベルトの正逆搬送を制御する制御部と、
を有する硬貨処理機であって、
硬貨搬送方向における前記硬貨繰出部と前記識別部との間に前記リジェクト部を設け、
前記リジェクト部は、
硬貨搬送方向の前記硬貨繰出部側の支軸を中心に前記硬貨選別搬送路よりも上側に鋭角に揺動して開くリジェクトゲートと、
該リジェクトゲートを上向き方向に開放付勢する付勢部材と、を有してなり、
前記制御部は、前記搬送ベルトの前記硬貨繰出部から前記金種別の硬貨選別部に向けた正転搬送中に前記識別部でリジェクト硬貨と識別された硬貨を、前記搬送ベルトで逆転搬送して前記リジェクト部によりリジェクトすることを特徴とする硬貨処理機。
【請求項2】
硬貨を繰り出す硬貨繰出部と、
該硬貨繰出部から延出し該硬貨繰出部側に識別部が前記硬貨繰出部とは反対側に金種別の硬貨選別部が設けられた硬貨選別搬送路と、
該硬貨選別搬送路に設けられ前記識別部の識別結果に基づいてリジェクト硬貨を前記硬貨選別搬送路からリジェクトするリジェクト部と、
前記硬貨選別搬送路上の硬貨を正逆搬送可能な搬送ベルトと、
該搬送ベルトの正逆搬送を制御する制御部と、
前記硬貨選別搬送路上の硬貨のジャム発生を検出するジャム検出手段と、
を有する硬貨処理機であって、
硬貨搬送方向における前記硬貨繰出部と前記識別部との間に前記リジェクト部を設け、
前記制御部は、
前記搬送ベルトの前記硬貨繰出部から前記金種別の硬貨選別部に向けた正転搬送中に前記識別部でリジェクト硬貨と識別された硬貨を、前記搬送ベルトで逆転搬送して前記リジェクト部によりリジェクトし、
前記ジャム検出手段が硬貨のジャム発生を検出すると、それまでの前記識別部の識別結果に基づいて前記硬貨選別搬送路上の硬貨の確定/未確定状態を判定するとともに、前記搬送ベルトの正転搬送により、未確定状態と判定された硬貨をすべて前記リジェクト部よりも前記金種別の硬貨選別部側に一旦移動させた後、前記搬送ベルトの逆転搬送により、前記未確定状態と判定された硬貨を前記リジェクト部によりリジェクトすることを特徴とする硬貨処理機。
【請求項3】
前記硬貨選別搬送路上の硬貨のジャム発生を検出するジャム検出手段を有し、
前記制御部は、
前記ジャム検出手段が硬貨のジャム発生を検出すると、それまでの前記識別部の識別結果に基づいて前記硬貨選別搬送路上の硬貨の確定/未確定状態を判定するとともに、前記搬送ベルトの正転搬送により、未確定状態と判定された硬貨をすべて前記リジェクト部よりも前記金種別の硬貨選別部側に一旦移動させた後、前記搬送ベルトの逆転搬送により、前記未確定状態と判定された硬貨を前記リジェクト部によりリジェクトすることを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
【請求項4】
前記搬送ベルトは、硬貨を搬送方向上流側から下流側に向けて押圧する桟部を複数有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の硬貨処理機。
【請求項5】
前記硬貨繰出部の硬貨繰出方向に対して前記搬送ベルトおよび前記硬貨選別搬送路の硬貨搬送方向が交差していることを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
【請求項6】
前記硬貨繰出部から前記硬貨選別搬送路へ繰り出す硬貨を検知する繰出硬貨検知センサと、
前記桟部の位置を検出する桟部位置検出センサと、を有し、
前記制御部は、前記桟部位置検出センサの検出結果と前記繰出硬貨検知センサの検知結果とに基づいて、隣り合う前記桟部同士の間に一枚ずつ硬貨を前記硬貨繰出部から繰り出すことを特徴とする請求項または記載の硬貨処理機。
【請求項7】
前記リジェクト部でリジェクトされた硬貨の落下を案内するリジェクトシュートと、
該リジェクトシュートで案内された硬貨を機外に取り出し可能とするリジェクト口と、を有し、
前記硬貨繰出部および前記リジェクト口が、機体前面側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の硬貨処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を識別する硬貨処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトな貨幣入出金機として、紙幣入出金装置と硬貨入出金装置とを一体的に並設したものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−102744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の硬貨入出金装置においては、硬貨入金口に投入された硬貨を硬貨繰出部から繰り出して、識別部で識別し、その結果に基づいてリジェクト硬貨をリジェクト部でリジェクトし、リジェクト硬貨以外の硬貨を金種別の硬貨選別部で選別するようになっている。このため、硬貨搬送方向に沿って硬貨繰出部、識別部、リジェクト部、金種別の硬貨選別部の順に並べられている。そして、これらのレイアウトに縛られて、他のレイアウトが決まってしまっている。これに対して、上記のレイアウトとは異なるレイアウトとすることで、機内レイアウトが改善され、硬貨処理機のコンパクト化や簡素化の可能性がある。
【0005】
したがって、本発明は、従来とは異なるレイアウトが可能となる硬貨処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1,2に係る発明は、硬貨を繰り出す硬貨繰出部と、該硬貨繰出部から延出し該硬貨繰出部側に識別部が前記硬貨繰出部とは反対側に金種別の硬貨選別部が設けられた硬貨選別搬送路と、該硬貨選別搬送路に設けられ前記識別部の識別結果に基づいてリジェクト硬貨を前記硬貨選別搬送路からリジェクトするリジェクト部と、前記硬貨選別搬送路上の硬貨を正逆搬送可能な搬送ベルトと、該搬送ベルトの正逆搬送を制御する制御部と、を有する硬貨処理機であって、硬貨搬送方向における前記硬貨繰出部と前記識別部との間に前記リジェクト部を設け、前記制御部は、前記搬送ベルトの前記硬貨繰出部から前記金種別の硬貨選別部に向けた正転搬送中に前記識別部でリジェクト硬貨と識別された硬貨を、前記搬送ベルトで逆転搬送して前記リジェクト部によりリジェクトすることを特徴とする。
請求項1に係る発明は、前記リジェクト部は、硬貨搬送方向の前記硬貨繰出部側の支軸を中心に前記硬貨選別搬送路よりも上側に鋭角に揺動して開くリジェクトゲートと、該リジェクトゲートを上向き方向に開放付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記硬貨選別搬送路上の硬貨のジャム発生を検出するジャム検出手段を有し、前記制御部は、前記ジャム検出手段が硬貨のジャム発生を検出すると、それまでの前記識別部の識別結果に基づいて前記硬貨選別搬送路上の硬貨の確定/未確定状態を判定するとともに、前記搬送ベルトの正転搬送により、未確定状態と判定された硬貨をすべて前記リジェクト部よりも前記金種別の硬貨選別部側に一旦移動させた後、前記搬送ベルトの逆転搬送により、前記未確定状態と判定された硬貨を前記リジェクト部によりリジェクトすることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記硬貨選別搬送路上の硬貨のジャム発生を検出するジャム検出手段を有し、前記制御部は、前記ジャム検出手段が硬貨のジャム発生を検出すると、それまでの前記識別部の識別結果に基づいて前記硬貨選別搬送路上の硬貨の確定/未確定状態を判定するとともに、前記搬送ベルトの正転搬送により、未確定状態と判定された硬貨をすべて前記リジェクト部よりも前記金種別の硬貨選別部側に一旦移動させた後、前記搬送ベルトの逆転搬送により、前記未確定状態と判定された硬貨を前記リジェクト部によりリジェクトすることを特徴とする。
【0007】
請求項に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記搬送ベルトは、硬貨を搬送方向上流側から下流側に向けて押圧する桟部を複数有することを特徴とする。
【0008】
請求項に係る発明は、請求項に係る発明において、前記硬貨繰出部の硬貨繰出方向に対して前記搬送ベルトおよび前記硬貨選別搬送路の硬貨搬送方向が交差していることを特徴とする。
【0009】
請求項に係る発明は、請求項またはに係る発明において、前記硬貨繰出部から前記硬貨選別搬送路へ繰り出す硬貨を検知する繰出硬貨検知センサと、前記桟部の位置を検出する桟部位置検出センサと、を有し、前記制御部は、前記桟部位置検出センサの検出結果と前記繰出硬貨検知センサの検知結果とに基づいて、隣り合う前記桟部同士の間に一枚ずつ硬貨を前記硬貨繰出部から繰り出すことを特徴とする。
【0011】
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれか一項に係る発明において、前記リジェクト部でリジェクトされた硬貨の落下を案内するリジェクトシュートと、該リジェクトシュートで案内された硬貨を機外に取り出し可能とするリジェクト口と、を有し、前記硬貨繰出部および前記リジェクト口が、機体前面側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,2に係る発明によれば、硬貨搬送方向における硬貨繰出部と識別部との間にリジェクト部を設けており、制御部が、搬送ベルトの硬貨繰出部から金種別の硬貨選別部に向けた正転搬送中に識別部でリジェクト硬貨と識別された硬貨を、搬送ベルトで逆転搬送してリジェクト部により硬貨選別搬送路からリジェクトする。これにより、硬貨繰出部と識別部との間にリジェクト部を設けることができる。よって、硬貨搬送方向に沿って硬貨繰出部、リジェクト部、識別部、金種別の硬貨選別部の順に並ぶことになり、硬貨搬送方向に沿って硬貨繰出部、識別部、リジェクト部、金種別の硬貨選別部の順に並べられる従来とは異なるレイアウトが可能となる。
請求項1に係る発明によれば、硬貨は、搬送ベルトの正転搬送時に、硬貨繰出部側の支軸を中心に硬貨選別搬送路よりも上側に鋭角に揺動して開いているリジェクトゲートを付勢部材の付勢力に抗して閉じながら識別部側に移動することになり、搬送ベルトの逆転搬送時に、付勢部材の付勢力によって硬貨選別搬送路よりも上側に鋭角に揺動して開いているリジェクトゲートで硬貨選別搬送路からリジェクトされる。これにより、搬送ベルトの正逆搬送を利用して機械的にリジェクトゲートを開閉でき、リジェクトゲートを電力で開閉する駆動部品を必要としないため、低コスト化および機体内の省スペース化を図ることができる。
請求項2,3に係る発明によれば、制御部が、ジャム検出手段が硬貨のジャム発生を検出すると、それまでの識別部の識別結果に基づいて硬貨の確定/未確定状態を判定するとともに、搬送ベルトの正転搬送により、未確定状態と判定された硬貨をすべてリジェクト部よりも金種別の硬貨選別部側に一旦移動させた後、搬送ベルトの逆転搬送により、未確定状態と判定された硬貨をリジェクト部によりリジェクトすることになる。これにより、硬貨のジャム発生時に、人手を介さず自動的に、未確定状態と判定された硬貨をリジェクト部で硬貨選別搬送路からリジェクトし、硬貨選別搬送路上に残る確定状態の硬貨と分離することができる。よって、ジャム復旧処理が容易となる。
【0014】
請求項に係る発明によれば、搬送ベルトが桟部により硬貨を搬送方向上流側から下流側に向けて押圧して搬送するため、搬送ベルトに対して硬貨が滑って位置が安定しなくなることを抑制することができる。よって、硬貨を精度良く搬送することができる。したがって、硬貨の位置が不安定になる場合と比べて各部間の距離を縮めることができ、小型化が図れる。
【0015】
請求項に係る発明によれば、硬貨繰出部の硬貨繰出方向に対して搬送ベルトおよび硬貨選別搬送路の硬貨搬送方向が交差しているため、硬貨繰出部から、搬送ベルトの隣り合う桟部同士の間に良好に硬貨を繰り出すことができる。
【0016】
請求項に係る発明によれば、制御部が、桟部の位置を検出する桟部位置検出センサの検出結果と、硬貨繰出部から硬貨選別搬送路へ繰り出す硬貨を検知する繰出硬貨検知センサの検知結果とに基づいて、隣り合う桟部同士の間に一枚ずつ硬貨を硬貨繰出部から繰り出すため、硬貨繰出部から隣り合う桟部同士の間に良好に一枚ずつ硬貨を繰り出すことができる。
【0018】
請求項に係る発明によれば、硬貨繰出部およびリジェクト口が機体前面側に設けられているため、硬貨繰出部と識別部との間にリジェクト部が配置されることにより、リジェクト部とリジェクト口との水平方向の距離を短くすることができる。これにより、リジェクト部で硬貨選別搬送路からリジェクトされた硬貨の落下を案内するリジェクトシュートの水平に対する角度を大きく確保でき、リジェクト口にリジェクト硬貨を自重落下で良好に案内することができる。よって、機体の高さを低く抑えるために必要であった、電力で硬貨をリジェクト口に搬送する機構を不要とした上で、機体の高さを低く抑えることができる。したがって、機体のコンパクト化、簡素化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を示す要部の平面図である。
図2】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を示す要部の制御系ブロック図である。
図3】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機のリジェクト部等を示す側断面図であって、(a)はリジェクト部の閉状態を、(b)はリジェクト部の開状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を図面を参照して以下に説明する。
【0022】
本実施形態の硬貨処理機は、投入された混合金種のバラ硬貨を金種別に計数しつつ金種別に分類して収納する収納処理や、金種別に収納している硬貨を出金する出金処理を行う硬貨入出金機であり、例えばレジスタシステムを構成する硬貨釣銭機として用いられるものである。なお、以下の説明において、「前」は操作者側、「後」は操作者とは反対側、「左」および「右」は操作者側から見た左および右である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の硬貨処理機11は、機体前面側に設けられ、投入された硬貨Cを一枚ずつに分離して一の側方(具体的には左方)に向けて繰り出す硬貨繰出部12と、この硬貨繰出部12の硬貨繰出方向側に接続され、この硬貨繰出部12から繰り出される硬貨Cを受け取って後方に向け搬送する硬貨選別搬送部13とを有している。硬貨繰出部12は機体前面側に配置され機体前面に沿って左右方向に延在しており、硬貨選別搬送部13は機体の一の側面側(具体的には左側面側)に配置されてこの側面に沿って前後方向に延在している。よって、硬貨繰出部12および硬貨選別搬送部13は、互いに交差しており、より具体的には直交して全体としてL字状をなしている。
【0024】
硬貨繰出部12は、硬貨選別搬送部13とは反対側にあってバラ硬貨Cが機外から投入されるとともに投入された硬貨Cを一枚ずつに分離して一の側方(具体的には左方)に向けて繰り出す硬貨入金口15と、硬貨選別搬送部13側にあって、硬貨入金口15から繰り出された硬貨Cを、一の側方(具体的には左方)に向けて搬送して繰り出す繰出本体部16とを有している。
【0025】
硬貨入金口15は、機体前面側に設けられ鉛直上方に開口してバラ硬貨Cが機外から投入されるとともに投入された硬貨Cを鉛直下方に案内する筒状のホッパ20と、このホッパ20の鉛直下方に設けられて硬貨入金口15の底部を形成するとともに機体前面に沿って硬貨選別搬送部13側に硬貨Cを搬送可能な無端の入金ベルトコンベア21と、入金ベルトコンベア21の硬貨選別搬送部13側の端部の上側に配置され、入金ベルトコンベア21とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ22と、図2に示す制御部30に制御されて入金ベルトコンベア21および分離ローラ22を駆動する入金口駆動モータ23とを有している。
【0026】
無端の入金ベルトコンベア21は、硬貨選別搬送部13側ほど上側に位置するように傾斜しており、ホッパ20に投入された硬貨Cを受け取るとともに、受け取った硬貨Cを入金口駆動モータ23の駆動力で硬貨選別搬送部13に向け搬送することになり、その際に、分離ローラ22が硬貨Cを一枚ずつに分離して硬貨選別搬送部13側に繰り出す。
【0027】
繰出本体部16は、入金ベルトコンベア21の硬貨選別搬送部13側の端部から機体前面に沿って硬貨選別搬送部13まで水平に延出する繰出搬送路31と、繰出搬送路31の上側に繰出搬送路31と平行に設けられた繰出ベルト32と、図2に示す制御部30に制御されて繰出ベルト32を駆動する図2に示す繰出駆動モータ33とを有している。繰出駆動モータ33は例えばステッピングモータからなっている。
【0028】
図1に示す繰出搬送路31は、入金ベルトコンベア21および分離ローラ22で一枚ずつに分離されて繰り出された硬貨Cを延在方向に一列状に並べて移動させる幅を有している。繰出ベルト32は、繰出駆動モータ33で駆動されて回転することにより、繰出搬送路31とで硬貨Cを挟持しつつ接触している硬貨Cを摩擦力により一体に移動させる。これにより、繰出本体部16は、硬貨入金口15に投入された硬貨Cを一枚ずつに分離した状態のまま繰出搬送路31および繰出ベルト32の延在方向に沿って硬貨選別搬送部13に向け搬送して硬貨選別搬送部13に繰り出す。
【0029】
硬貨繰出部12は、繰出搬送路31の硬貨選別搬送部13側の端部位置に、繰出本体部16から硬貨選別搬送部13へ繰り出す先頭の硬貨Cを検知する繰出硬貨検知センサ24を有している。また、硬貨繰出部12は、硬貨入金口15の入金ベルトコンベア21上の残留硬貨を検出する図2に示す入金残留検知センサ25を有している。これら繰出硬貨検知センサ24および入金残留検知センサ25は、例えば発光素子と受光素子とからなる光学式センサであり、発光素子の発光を受光素子が受光すると硬貨Cがないことを検知し、発光素子の発光を受光素子が受光しないと硬貨Cがあることを検知する。
【0030】
硬貨選別搬送部13は、繰出本体部16の繰出搬送路31の硬貨選別搬送部13側の端部位置から機体側面(左側面)に沿って水平後方に延出する硬貨選別搬送路41と、硬貨選別搬送路41の上側に前後方向に延在するように設けられた搬送ベルト42と、図2に示す制御部30に制御されて搬送ベルト42を駆動する図2に示す搬送駆動モータ43と、搬送駆動モータ43の回転位置を検出するロータリエンコーダ44とを有している。
【0031】
図1に示す硬貨選別搬送路41は、硬貨繰出部12から一枚ずつ繰り出される硬貨Cを延在方向に一列状に並べて移動させる幅を有している。搬送ベルト42は、図3に示すように、硬貨選別搬送路41の延在方向両端の上方に配置される一対(図3では一方のみ図示)のプーリ45と、これらプーリ45に掛けられて硬貨選別搬送路41に平行に配置されるベルト本体46とを有している。ベルト本体46は、無端状のベース部47と、ベース部47の外周部から外方に突出し周方向に等間隔をあけて形成される複数の桟部48,48,…とを有している。
【0032】
搬送ベルト42は、図2に示す搬送駆動モータ43で一方の図3に示すプーリ45が駆動されて回転することにより、ベルト本体46が回転し、その桟部48が硬貨選別搬送路41上の硬貨Cを搬送方向上流側から下流側に向けて押圧して、硬貨選別搬送路41上で移動させる。図2に示す搬送駆動モータ43は、正逆回転可能であり、よって、図3に示す搬送ベルト42は、硬貨選別搬送路41上の硬貨Cを正逆搬送可能となっている。図2に示す制御部30は、搬送駆動モータ43の正逆回転を制御することにより、搬送ベルト42の正逆搬送を制御する。
【0033】
図1に示すように、搬送ベルト42および硬貨選別搬送路41の硬貨搬送方向は、硬貨繰出部12の硬貨繰出方向に対して交差している。硬貨選別搬送部13には、搬送ベルト42の桟部48の回転位置を検出する桟部位置検出センサ49が設けられている。桟部位置検出センサ49は、発光素子と受光素子とからなる光学式センサであり、発光素子の発光を受光素子が受光すると桟部48がないことを検知し、発光素子の発光を受光素子が受光しないと桟部48があることを検知する。図2に示す制御部30は、桟部位置検出センサ49の検知結果から搬送ベルト42の桟部48,48,…の回転位置を検出し、ロータリエンコーダ44により検出される搬送駆動モータ43の回転位置との対応をとる。これにより、制御部30は、搬送駆動モータ43の回転位置から各桟部48,48,…の回転位置を把握する。
【0034】
図1に示すように、硬貨選別搬送路41には、その硬貨搬送方向の硬貨繰出部12側に、通過する硬貨Cの磁気的性質や画像あるいは外径等を検出する識別部51が設けられている。図2に示す制御部30は、この識別部51の識別結果から、検出対象の硬貨Cの真偽および金種の識別および金種別の計数を行う。図1に示すように、硬貨選別搬送路41には、その硬貨搬送方向の硬貨繰出部12とは反対側に、硬貨Cを硬貨選別搬送路41から落下可能な金種別の硬貨選別部52a〜52fが設けられている。
【0035】
金種別の硬貨選別部52a〜52fは、硬貨選別搬送路41に形成された、それぞれが全金種の硬貨Cを落下可能な選別孔53a〜53fと、これらを開閉する選別ゲート54a〜54fと、図2に示す制御部30により制御されて選別ゲート54a〜54fを開閉駆動する図2に示す選別ソレノイド55a〜55fと、硬貨選別搬送路41上の硬貨Cを検知して選別ゲート54a〜54fの開閉のタイミングを計るとともに各選別孔53a〜53fで落下した硬貨Cの数を計数するための図1に示す入金計数センサ56a〜56fとを有している。
【0036】
選別ゲート54a〜54fは、それぞれが硬貨繰出部12とは反対側つまり機体後側の図示略の支軸を中心に揺動可能となっている。選別ゲート54a〜54fは、硬貨選別搬送路41よりも上側に鋭角に揺動して選別孔53a〜53fの対応するものを開く開状態と、硬貨選別搬送路41と同一平面に配置されて選別孔53a〜53fの対応するものを閉じる閉状態との間で揺動する。選別ゲート54a〜54fは、図示略の支軸とは反対方向に抜ける凹形状となっており、これにより、開状態にあるときに搬送ベルト42との干渉を回避する。
【0037】
選別孔53a、選別ゲート54a、選別ソレノイド55aおよび入金計数センサ56aを有する硬貨選別部52aは、第1金種(例えば1円硬貨)の硬貨Cを選別するものである。つまり、入金計数センサ56aで第1金種の硬貨Cが検知されたタイミングに基づいて選別ソレノイド55aが駆動されて選別ゲート54aが開かれ、この硬貨Cを選別ゲート54aの下側に潜り込ませて選別孔53aに落下させる。第1金種以外の硬貨Cについては、選別ゲート54aを閉状態として硬貨選別搬送路41上を入金計数センサ56b側に移動させる。
【0038】
同様に、選別孔53b、選別ゲート54b、選別ソレノイド55bおよび入金計数センサ56bを有する硬貨選別部52bは、第2金種(例えば5円硬貨)の硬貨Cを選別し、選別孔53c、選別ゲート54c、選別ソレノイド55cおよび入金計数センサ56cを有する硬貨選別部52cは、第3金種(例えば10円硬貨)の硬貨Cを選別し、選別孔53d、選別ゲート54d、選別ソレノイド55dおよび入金計数センサ56dを有する硬貨選別部52dは、第4金種(例えば50円硬貨)の硬貨Cを選別し、選別孔53e、選別ゲート54e、選別ソレノイド55eおよび入金計数センサ56eを有する硬貨選別部52eは、第5金種(例えば100円硬貨)の硬貨Cを選別し、選別孔53f、選別ゲート54f、選別ソレノイド55fおよび入金計数センサ56fを有する硬貨選別部52fは、第6金種(例えば500円硬貨)の硬貨Cを選別する。なお、硬貨選別部52fは、選別ゲート54fおよび選別ソレノイド55fがなくても良い。また、硬貨選別部52a〜52fで選別する硬貨の金種は、任意に設定可能である。
【0039】
図1に示すように、金種別の硬貨選別部52a〜52fの直下には、それぞれが左右方向に沿う状態で前後方向に並べられた複数具体的には6カ所の硬貨出金収納部61a〜61fが互いに仕切られて設けられている。そして、最も前側の硬貨選別部52aの選別孔53aから落下する第1金種の硬貨Cは、最も前側の硬貨出金収納部61aに収納され、前から2番目の選別孔53bから落下する第2金種の硬貨Cは、前から2番目の硬貨出金収納部61bに収納され、前から3番目の選別孔53cから落下する第3金種の硬貨Cは前から3番目の硬貨出金収納部61cに収納される。また、前から4番目の選別孔53dから落下する第4金種の硬貨Cは、前から4番目の硬貨出金収納部61dに収納され、前から5番目の選別孔53eから落下する第5金種の硬貨Cは、前から5番目の硬貨出金収納部61eに収納され、最も後側の選別孔53fから落下する第6金種の硬貨Cは最も後側の硬貨出金収納部61fに収納される。
【0040】
各硬貨出金収納部61a〜61fは、それぞれの底部を形成するように左右方向に延在する状態で配置されて硬貨選別搬送部13とは反対側に硬貨Cを搬送する無端のベルトコンベア62a〜62fと、ベルトコンベア62a〜62fの搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ63と、図2に示す制御部30により制御されてベルトコンベア62a〜62fおよび分離ローラ63を駆動する共通の駆動源である図2に示す収納部駆動モータ64とを有している。
【0041】
ここで、図1に示すベルトコンベア62a〜62fは、硬貨選別搬送路41とは反対側が硬貨選別搬送路41側よりも上側に位置するように傾斜しており、その上部側所定位置に上記した分離ローラ63が配置されている。
【0042】
そして、硬貨出金収納部61a〜61fは、収納部駆動モータ64の駆動力によりすべてのベルトコンベア62a〜62fを一度に回転させることで硬貨Cを硬貨選別搬送路41とは反対側に設けられた後述する硬貨出金搬送部71に向けて搬送することになり、このとき収納部駆動モータ64の駆動力で共通の分離ローラ63を回転させることで、硬貨出金搬送部71側に搬送される硬貨Cを一枚ずつに分離する。
【0043】
各硬貨出金収納部61a〜61fは、それぞれ、分離ローラ63よりも下流側でベルトコンベア62a〜62fに向けて上からピン65a〜65fを進退させることで硬貨Cの繰り出しを規制および許容する出金ソレノイド66a〜66fと、出金ソレノイド66a〜66fの駆動でベルトコンベア62a〜62fから硬貨出金搬送部71に繰り出される硬貨Cを計数する出金計数センサ67a〜67fと、硬貨出金収納部61a〜61f内に収納されている硬貨Cの有無を検出する図2に示す収納硬貨検知センサ68a〜68fとを有している。
【0044】
図1に示すように、硬貨出金搬送部71は、硬貨出金収納部61a〜61fの硬貨選別搬送路41とは反対側に設けられて機体側面(右側面)に沿って前後方向に水平延在する無端の出金ベルトコンベア72と、出金ベルトコンベア72の前部の上側に配置され、出金ベルトコンベア72とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ73と、図2に示す制御部30により制御されて出金ベルトコンベア72および分離ローラ73を駆動する図2に示す出金駆動モータ74とを有している。また、図1に示すように、硬貨出金搬送部71は、出金ベルトコンベア72から前方に延出して硬貨入金口15に繋がる端末搬送路75と、端末搬送路75の上側に端末搬送路75と平行に設けられた端末ベルト76と、図2に示す制御部30により制御されて端末ベルト76を駆動する図2に示す端末駆動モータ77とを有している。
【0045】
図1に示すように、端末搬送路75には、分岐部80が設けられている。分岐部80は、端末搬送路75に形成されて硬貨Cを落下可能な分岐孔81と、分岐孔81を開閉する分岐ゲート82と、分岐ゲート82を開閉する図2に示す分岐ソレノイド84とを有している。
【0046】
分岐ゲート82は、硬貨搬送方向の硬貨入金口15側つまり機体前側の図示略の支軸を中心に揺動する。分岐ゲート82は、端末搬送路75よりも上側に鋭角に揺動して分岐孔81を開く開状態と、端末搬送路75と同一平面に配置されて分岐孔81を閉じる閉状態との間で揺動する。分岐ゲート82は、図示略の支軸とは反対方向に抜ける凹形状となっており、これにより、開状態にあるときに端末ベルト76との干渉を回避する。分岐部80は、開状態にあるときに硬貨Cを分岐孔81に落下させ、閉状態にあるときに硬貨Cをそのまま端末搬送路75で下流側つまり硬貨入金口15の入金ベルトコンベア21上に搬送する。
【0047】
また、硬貨出金搬送部71は、端末搬送路75の分岐孔81から落下する硬貨Cを受け取って、機体前面の下部に設けられた出金口85(リジェクト口)に自重で落下させる出金シュート86を有している。
【0048】
出金ベルトコンベア72は、硬貨出金収納部61a〜61fから繰り出された硬貨Cを受け取るとともに、受け取った硬貨Cを出金駆動モータ74の駆動力で機体前面に向け搬送することになり、その際に、分離ローラ73が硬貨Cを一枚ずつに分離する。そして、このように分離ローラ73で一枚ずつ分離された硬貨Cが、分岐ソレノイド84の駆動で開状態とされた分岐ゲート82に潜り込んで分岐孔81から落下し、出金シュート86を介して出金口85に放出される。出金口85に放出された硬貨Cは機外に取り出し可能となる。ここで、出金シュート86は、少なくとも硬貨Cを主体的に案内する底面が前下がりに傾斜しており、入金ベルトコンベア21の下側を通って出金口85まで延びている。
【0049】
そして、本実施形態においては、硬貨選別搬送路41に設けられて識別部51の識別結果に基づいて偽硬貨等の受け入れ不可なリジェクト硬貨を硬貨選別搬送路41からリジェクトするリジェクト部91が、硬貨搬送方向における硬貨繰出部12と識別部51との間に設けられている。このリジェクト部91は、硬貨選別搬送路41に形成されて硬貨Cを落下可能なリジェクト孔92と、リジェクト孔92を開閉するリジェクトゲート93とを有している。
【0050】
図3に示すように、リジェクトゲート93は、機体前側(硬貨搬送方向の硬貨繰出部12側)の支軸94を中心に揺動する。リジェクトゲート93は、図3(a)に示すように、硬貨選別搬送路41と同一平面に配置されてリジェクト孔92を閉じる閉状態と、図3(b)に示すように、硬貨選別搬送路41よりも上側に鋭角に揺動してリジェクト孔92を開く開状態との間で揺動する。
【0051】
リジェクトゲート93は、図示略の閉ストッパにより図3(a)に示す閉状態よりも下側への揺動が規制されるとともに、図示略の開ストッパにより図3(b)に示す開状態よりも上側への揺動が規制されている。リジェクトゲート93は、支軸94に設けられた図示略のネジリバネ(付勢部材)によって上向き方向に開放付勢されており、常時開となっている。リジェクトゲート93は、図3(b)に示す開状態にあるとき、硬貨選別搬送路41を移動する硬貨Cを一枚だけその下側に潜り込ませてリジェクト孔92に落下させることができる隙間を硬貨選別搬送路41との間に形成する。
【0052】
図3(a)に示すように、リジェクトゲート93の上を硬貨Cが通過する際に、硬貨Cは、搬送ベルト42のベルト本体46のベース部47により上から押圧されて、リジェクトゲート93を図示略のネジリバネの付勢力に抗して揺動させて、閉状態とする。これにより、硬貨Cはリジェクト孔92から落下せずに移動する。リジェクトゲート93は、支軸94とは反対方向に抜ける凹形状をなしており、これにより、開状態にあっても搬送ベルト42の少なくともベルト本体46との干渉を回避する。
【0053】
図3に示すように、リジェクト部91のリジェクト孔92と出金口85とを繋ぐように、リジェクトシュート97が設けられている。リジェクトシュート97は、リジェクト部91でリジェクト孔92にリジェクトされた硬貨Cの出金口85への落下を案内する。よって、出金口85は、リジェクトシュート97で案内されたリジェクト硬貨を機外に取り出し可能に排出するリジェクト口を兼用している。リジェクトシュート97は、少なくとも硬貨Cを主体的に案内する底面98が、リジェクト孔92から、これよりも前方かつ下方にある出金口85に向けて前下がりに傾斜している。
【0054】
図2に示すように、制御部30は、入金口駆動モータ23、繰出硬貨検知センサ24、入金残留検知センサ25、繰出駆動モータ33、搬送駆動モータ43、ロータリエンコーダ44、桟部位置検出センサ49、識別部51、選別ソレノイド55a〜55f、入金計数センサ56a〜56f、収納部駆動モータ64、出金ソレノイド66a〜66f、出金計数センサ67a〜67f、収納硬貨検知センサ68a〜68f、出金駆動モータ74、端末駆動モータ77および分岐ソレノイド84に通信可能に接続されている。また、制御部30には、操作者による操作入力を受け付ける操作部101と、操作者に向けて表示を行う表示部102とが接続されている。
【0055】
「入金処理」
機外から硬貨入金口15に投入されることで硬貨Cが、硬貨入金口15の入金ベルトコンベア21上にあることを入金残留検知センサ25が検知すると、制御部30は、操作部101への入金指示操作を受け付け可能な状態となり、その旨を表示部102に表示させる。そして、操作部101に入金指示操作が入力されると、制御部30は、硬貨処理機11の入金処理を開始する。つまり、入金口駆動モータ23、繰出駆動モータ33および搬送駆動モータ43をすべて正回転させる。
【0056】
すると、硬貨入金口15の入金ベルトコンベア21および分離ローラ22が入金ベルトコンベア21上の硬貨Cを一枚ずつに分離して繰出本体部16の繰出搬送路31に繰り出し、繰出本体部16の繰出ベルト32が繰出搬送路31上で硬貨Cを一列状に搬送して硬貨選別搬送部13の硬貨選別搬送路41に向け一枚ずつ繰り出す。また、硬貨選別搬送部13は、その搬送ベルト42が硬貨選別搬送路41上で、硬貨Cを、硬貨選別部52a〜52fに向けて一列状に搬送する正転搬送を行うことになる。
【0057】
ここで、制御部30は、上述したように、ロータリエンコーダ44および桟部位置検出センサ49の検出結果から搬送駆動モータ43の回転位置と搬送ベルト42の桟部48,48,…の回転位置との対応関係を把握している。よって、制御部30は、搬送駆動モータ43を一定の回転速度で回転させた状態で、繰出硬貨検知センサ24で硬貨選別搬送路41側の端部が検出された状態にある繰出搬送路31上の硬貨Cを、必要により繰出駆動モータ33を停止させて、硬貨Cが存在しない隣り合う桟部48,48同士の間に繰り出し可能なタイミングを計って繰出駆動モータ33を駆動して繰出ベルト32でこれら桟部48,48間に硬貨Cを繰り出す。
【0058】
その際に、制御部30は、隣り合う桟部48,48間の一区間に対して一枚の硬貨Cのみを繰り出すように繰り出しのタイミングを制御し、しかも、一区間に一枚のみ硬貨Cを繰り出し、その次の一区間に一枚のみ硬貨Cを繰り出し、その次の一区間に一枚のみ硬貨Cを繰り出し、というように、各区間に連続的に硬貨Cを繰り出すように繰り出しのタイミングを制御する。このように、制御部30は、桟部位置検出センサ49の検出結果と繰出硬貨検知センサ24の検知結果とに基づいて、隣り合う桟部48,48同士の間に一枚ずつ硬貨Cを硬貨繰出部12から繰り出す。
【0059】
搬送ベルト42が正転すると、硬貨選別搬送路41上の硬貨Cは、図3(a)に示すように上流側にある桟部48で押圧されて、図1に示す硬貨選別部52a〜52f側に搬送される。このような搬送ベルト42の硬貨繰出部12から硬貨選別部52a〜52fに向けた正転搬送中に、硬貨Cは、図3(a)に示すようにベルト本体46のベース部47により上から押圧されて、リジェクトゲート93を閉状態に揺動させながら、リジェクトゲート93を通過して、識別部51上を移動する。その際に、識別部51が硬貨Cを識別する。
【0060】
そして、識別部51の識別結果から、真硬貨かつ汚損のない正硬貨とされた受け入れ可能な硬貨Cは、搬送ベルト42で硬貨選別搬送路41上を図1に示す硬貨選別部52a〜52fに向けて搬送されることになり、制御部30は、受け入れ可能な硬貨Cが入金計数センサ56a〜56fのうちの対応する金種のもので検知されたタイミングに基づいて選別ソレノイド55a〜55fのうちの対応する金種のものを駆動し、選別ゲート54a〜54fのうちの対応する金種のものを開作動させて、受け入れ可能な硬貨Cを選別孔53a〜53fのうちの対応する金種のものから落下させて、硬貨出金収納部61a〜61fのうちの対応する金種のものに収納させる。
【0061】
他方で、搬送ベルト42の硬貨繰出部12から硬貨選別部52a〜52fに向けた正転搬送中に、識別部51の識別結果から、偽硬貨、汚損硬貨および判別不能とされたリジェクト硬貨があった場合に、制御部30は、このリジェクト硬貨を識別したリジェクト識別時点で、入金口駆動モータ23を即座に停止させるとともに、このリジェクト識別時点で繰出硬貨検知センサ24が硬貨Cを検知していなければ、繰出駆動モータ33も即座に停止させる。また、リジェクト識別時点で繰出硬貨検知センサ24が硬貨Cを検知していれば、繰出硬貨検知センサ24が最初に硬貨Cを検知しなくなるまで、つまり硬貨選別搬送路41へ繰り出し途中の硬貨が繰り出されるまで待機して、繰出駆動モータ33を停止させる。このようにして、入金処理を中断する。
【0062】
また、制御部30は、リジェクト識別時点から、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cよりも硬貨選別部52a〜52f側にある硬貨Cをすべて、選別孔53a〜53fのうちの対応する金種のもので落下させることが可能な位置まで、搬送駆動モータ43を正回転させる。これにより、リジェクト硬貨よりも硬貨選別部52a〜52f側にある確定硬貨を硬貨出金収納部61a〜61fの対応する金種のものに収納する。
【0063】
ここで、桟部48,48,…の配置ピッチ等の設定によっては、この時点において、硬貨選別搬送路41上に、リジェクト硬貨およびリジェクト硬貨の硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cのみが存在し、この隣り合う硬貨Cがリジェクトゲート93の識別部51側の端部にかかる場合がある。以下では、このような場合を例にとり説明する。
【0064】
制御部30は、ジャム発生防止等の観点から、リジェクト部91の識別部51側の端部にかかっている硬貨Cが、リジェクト部91を完全に越える位置まで、搬送駆動モータ43を正回転させてから、搬送駆動モータ43を停止させて搬送ベルト42を停止させる。なお、このように搬送駆動モータ43を正回転させた時に、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cが硬貨選別部52aまで移動できないように、識別部51と硬貨選別部52aとの間の距離が設定されている。
【0065】
制御部30は、上記の停止後に、搬送駆動モータ43を逆回転させ、搬送ベルト42を逆回転させる、いわゆるスイッチバック制御を行う。すると、このスイッチバック時点でリジェクト部91よりも硬貨選別部52a〜52f側にあった、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cおよびその硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cを、それぞれの上流側にある桟部48で押圧して硬貨繰出部12側に搬送する。このような搬送ベルト42による逆転搬送で、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cの硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cと、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cとをリジェクト部91の位置まで移動させる。
【0066】
すると、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cの硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cと、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cとは、図3(b)に示すように、リジェクトゲート93の下に潜り込んでリジェクト孔92から落下しリジェクトシュート97を介して出金口85に放出される。これにより、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cおよびその硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cが機外に取り出し可能にリジェクトされる。つまり、スイッチバック時点で硬貨選別搬送路41上にあったすべての硬貨Cが出金口85にリジェクトされる。
【0067】
ここで、上記したように、制御部30は、桟部位置検出センサ49の検出結果から正転する搬送ベルト42の桟部48,48,…の位置を検出しているため、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cの硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cをリジェクト部91を越える位置まで正転搬送したり、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cをリジェクト部91まで逆転搬送することが正確にできる。
【0068】
制御部30は、上記のように、搬送駆動モータ43を逆回転させて、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cの硬貨繰出部12側に隣り合う一枚の硬貨Cと、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cとをリジェクト孔92から落下するまで逆転搬送すると、搬送駆動モータ43を停止させてから、入金処理の開始時と同様に、入金口駆動モータ23、繰出駆動モータ33および搬送駆動モータ43をすべて正回転させて、入金処理を再開させて、上記と同様に動作する。
【0069】
入金処理時に、最終的に、硬貨入金口15の硬貨Cがなくなったことを入金残留検知センサ25が検知し、繰出硬貨検知センサ24、識別部51および入金計数センサ56a〜56fがすべて硬貨Cを検知しない状態となってから、硬貨入金口15の硬貨Cがすべて、出金口85および硬貨出金収納部61a〜61fのいずれかに搬送されたと判定できる所定時間が経過すると、制御部30は、入金口駆動モータ23、繰出駆動モータ33および搬送駆動モータ43をすべて停止させる。それとともに、識別部51および入金計数センサ56a〜56fの識別結果から、今回受け入れて硬貨出金収納部61a〜61fに収納した硬貨Cの金種別の計数値を算出し、入金処理を終了する。
【0070】
なお、リジェクト識別時点から、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cよりも硬貨選別部52a〜52f側にある硬貨Cをすべて選別孔53a〜53fのうちの対応する金種のもので落下させることが可能な位置まで搬送駆動モータ43を正回転させた後、即座に搬送駆動モータ43を停止させて逆回転させ、搬送ベルト42を逆回転させても良い。このようにすれば、リジェクト硬貨と識別された硬貨Cのみをリジェクト部91から出金口85に放出させることも可能になる。
【0071】
ここで、上記の入金処理中に、制御部30は、識別部51および入金計数センサ56a〜56fの検知結果から、それぞれが硬貨Cを検知するべきタイミングで硬貨Cを検知できない場合に、硬貨選別搬送路41上の硬貨Cのジャム発生を検出する。つまり、制御部30、識別部51および入金計数センサ56a〜56fが、硬貨選別搬送路41上の硬貨Cのジャム発生を検出するジャム検出手段を構成している。
【0072】
制御部30は、識別部51および入金計数センサ56a〜56fの検知結果から硬貨Cのジャム発生を検出すると、ジャム発生を検出したジャム発生時点で、入金口駆動モータ23および搬送駆動モータ43を即座に停止させるとともに選別ソレノイド55a〜55fの駆動を規制し、ジャム発生時点で繰出硬貨検知センサ24が硬貨Cを検知していなければ、繰出駆動モータ33も即座に停止させる。また、ジャム発生時点で繰出硬貨検知センサ24が硬貨Cを検知していれば、繰出硬貨検知センサ24が最初に硬貨Cを検知しなくなるまで、つまり硬貨選別搬送路41へ繰り出し途中の硬貨Cが繰り出されるまで待機して、繰出駆動モータ33を停止させる。
【0073】
そして、制御部30は、ジャム発生時点までの、識別部51の識別結果と桟部位置検出センサ49の検出結果とに基づいて硬貨選別搬送路41上にあって各桟部48,48間にある硬貨Cの確定/未確定状態を判定する。つまり、制御部30は、ジャム発生時点までに識別部51を通過し、識別部51から硬貨選別部52a〜52f側に位置している硬貨Cがすべて受け入れ可能な硬貨Cと識別されている場合については、これらの硬貨Cについては確定状態と判定し、識別部51で識別されていない識別部51よりも硬貨繰出部12側にある硬貨Cを未確定状態と判定する。また、ジャム発生時点において識別部51で最後に識別した硬貨Cがリジェクト硬貨と識別されている場合には、このリジェクト硬貨と識別された硬貨Cよりも硬貨選別部52a〜52f側に位置している硬貨Cを確定状態と判定し、このリジェクト硬貨と識別された硬貨Cを含んで硬貨繰出部12側にある硬貨Cを未確定状態と判定する。
【0074】
搬送駆動モータ43の回転位置と搬送ベルト42の桟部48,48,…の回転位置との対応関係を把握していることから、制御部30は、上記した確定/未確定状態の判定結果から、確定状態の硬貨Cを挟んでいる可能性がある桟部48の位置と、未確定状態の硬貨Cを挟んでいる可能性がある桟部48の位置とを把握している。
【0075】
そして、制御部30は、ジャム発生時点で、未確定状態の硬貨Cを挟んでいる可能性がある最も硬貨繰出部12側(機体前面側)にある桟部48が、押圧する未確定状態の硬貨Cを、リジェクト部91を越える位置に移動させるまで、搬送駆動モータ43を正回転させて搬送ベルト42を正転搬送させる。この搬送ベルト42の正転搬送により、硬貨選別搬送路41上で最も硬貨繰出部12側にあった未確定状態の硬貨Cをリジェクト部91よりも硬貨選別部52a〜52f側に一旦搬送する。つまり、未確定状態と判定された硬貨Cをすべてリジェクト部91よりも硬貨選別部52a〜52f側に一旦移動させる。
【0076】
未確定状態の硬貨Cを挟んでいる可能性がある最も硬貨繰出部12側にある桟部48が、リジェクト部91を越えると、制御部30は、搬送駆動モータ43を停止させることになり、ジャム発生時点で、未確定状態の硬貨Cを挟んでいる可能性がある最も硬貨選別部52a〜52f側にある桟部48が、押圧する未確定状態の硬貨Cを、リジェクト部91のリジェクト孔92に落下する位置に移動させるまで、搬送駆動モータ43を逆回転させて搬送ベルト42を逆転搬送させる。そして、搬送駆動モータ43を停止させる。これにより、未確定状態と判定された硬貨Cをすべてリジェクト部91によりリジェクトシュート97を介して出金口85にリジェクトする。
【0077】
その結果、その後、硬貨選別搬送路41に残存している硬貨Cは、すべて確定状態の硬貨Cとなり、出金口85に放出された硬貨Cは、すべて未確定状態の硬貨Cとなって、これらを容易に区別することができる。
【0078】
「出金処理」
出金処理時に、制御部30は、収納部駆動モータ64、出金駆動モータ74および端末駆動モータ77を正回転させる。すると、硬貨出金収納部61a〜61fのベルトコンベア62a〜62fおよび分離ローラ63が、硬貨Cを硬貨出金搬送部71側に一枚ずつ分離して移動させることになる。また、制御部30は、分岐ソレノイド84を駆動して分岐ゲート82を開状態とする。
【0079】
そして、出金計数センサ67a〜67fで計数しながら出金ソレノイド66a〜66fを駆動して、金種別の出金枚数データ分の硬貨Cを硬貨出金収納部61a〜61fから硬貨出金搬送部71の出金ベルトコンベア72上に繰り出す。出金ベルトコンベア72上に繰り出された硬貨Cは、出金ベルトコンベア72で分離ローラ73側に搬送され、分離ローラ73で一枚ずつに分離されて端末搬送路75に繰り出される。端末搬送路75に繰り出された硬貨Cは、端末ベルト76で搬送され、分岐ゲート82が開状態とされた分岐部80の分岐孔81から落下して、出金シュート86で案内されて出金口85に放出される。これにより、金種別の出金枚数データ分の硬貨Cが出金口85から機外に取り出し可能となる。出金計数センサ67a〜67fで計数された硬貨がすべて分岐孔81から落下するのに十分な時間が経過すると、制御部30は、収納部駆動モータ64、出金駆動モータ74および端末駆動モータ77を停止させる。
【0080】
「精査処理」
精査処理時に、制御部30は、収納部駆動モータ64、出金駆動モータ74および端末駆動モータ77を正回転させる。すると、硬貨出金収納部61a〜61fのベルトコンベア62a〜62fおよび分離ローラ63が、硬貨Cを硬貨出金搬送部71側に一枚ずつ分離して移動させることになる。また、制御部30は、分岐ソレノイド84を駆動せず分岐ゲート82を閉状態とする。
【0081】
そして、例えば、出金ソレノイド66aを駆動して、硬貨出金収納部61aの硬貨Cを硬貨出金搬送部71の出金ベルトコンベア72上に繰り出す。出金ベルトコンベア72上に繰り出された硬貨Cは、出金ベルトコンベア72で分離ローラ73側に搬送され、分離ローラ73で一枚ずつに分離されて端末搬送路75に繰り出される。端末搬送路75に繰り出された硬貨Cは、端末ベルト76で搬送され、分岐ゲート82が閉状態とされた分岐部80を越えて、硬貨入金口15に放出される。このようにして、硬貨出金収納部61aの硬貨Cをすべて硬貨入金口15に一旦移動させる。
【0082】
次に、入金処理と同様にして、硬貨入金口15内の硬貨Cを硬貨出金収納部61aに戻す。その際の識別部51の識別結果から、硬貨出金収納部61aに戻された硬貨Cの数が硬貨出金収納部61aの精査結果となる。このような処理を、硬貨出金収納部61a〜61fのすべてについて行う。
【0083】
以上に述べた本実施形態によれば、硬貨搬送方向における硬貨繰出部12と識別部51との間にリジェクト部91を設けており、制御部30が、搬送ベルト42の硬貨繰出部12から金種別の硬貨選別部52a〜52fに向けた正転搬送中に識別部51でリジェクト硬貨と識別された硬貨Cを、搬送ベルト42で逆転搬送してリジェクト部91により硬貨選別搬送路41からリジェクトする。これにより、硬貨繰出部12と識別部51との間にリジェクト部91を設けることができる。よって、硬貨搬送方向に沿って硬貨繰出部12、リジェクト部91、識別部51、金種別の硬貨選別部52a〜52fの順に並ぶことになり、硬貨搬送方向に沿って硬貨繰出部、識別部、リジェクト部、金種別の硬貨選別部の順に並べられる従来とは異なるレイアウトが可能となる。
【0084】
また、搬送ベルト42が桟部48,48,…により硬貨Cを搬送方向上流側から下流側に向けて押圧して搬送するため、搬送ベルト42に対して硬貨Cが滑って位置が安定しなくなることを抑制することができる。よって、硬貨Cを精度良く搬送することができる。したがって、硬貨Cの位置が不安定になる場合と比べて各部間の距離を縮めることができ、小型化が図れる。
【0085】
また、硬貨繰出部12の硬貨繰出方向に対して搬送ベルト42および硬貨選別搬送路41の硬貨搬送方向が交差しているため、硬貨繰出部12から、搬送ベルト42の隣り合う桟部48,48同士の間に良好に硬貨Cを繰り出すことができる。
【0086】
また、制御部30が、桟部48,48,…の位置を検出する桟部位置検出センサ49の検出結果と、硬貨繰出部12から硬貨選別搬送路41へ繰り出す硬貨Cを検知する繰出硬貨検知センサ24の検知結果とに基づいて、隣り合う桟部48,48同士の間に一枚ずつ硬貨Cを硬貨繰出部12から繰り出すため、硬貨繰出部12から隣り合う桟部48,48同士の間に良好に一枚ずつ硬貨Cを繰り出すことができる。
【0087】
また、制御部30、識別部51および入金計数センサ56a〜56fが硬貨Cのジャム発生を検出すると、制御部30は、それまでの識別部51の識別結果に基づいて硬貨Cの確定/未確定状態を判定するとともに、搬送ベルト42の正転搬送により、未確定状態と判定された硬貨Cをすべてリジェクト部91よりも金種別の硬貨選別部52a〜52f側に一旦移動させた後、搬送ベルト42の逆転搬送により、未確定状態と判定された硬貨Cをすべてリジェクト部91によりリジェクトすることになる。これにより、硬貨Cのジャム発生時に、人手を介さず自動的に、未確定状態と判定された硬貨Cをリジェクト部91で硬貨選別搬送路41からリジェクトし、確定状態の硬貨Cと分離することができる。よって、ジャム復旧処理が容易となる。
【0088】
また、硬貨繰出部12および硬貨Cのリジェクト先の出金口85が機体前面側に設けられているため、硬貨繰出部12と識別部51との間にリジェクト部91が配置されることにより、リジェクト部91とリジェクト先の出金口85との水平方向の距離を短くすることができる。これにより、リジェクト部91で硬貨選別搬送路41からリジェクトされた硬貨Cの落下を案内するリジェクトシュート97の水平に対する角度を大きく確保でき、リジェクト先の出金口85にリジェクト硬貨と識別された硬貨Cを自重落下で良好に案内することができる。よって、機体の高さを低く抑えるために必要であった、電力で硬貨Cをリジェクト口に搬送する機構を不要とした上で、機体の高さを低く抑えることができる。したがって、機体のコンパクト化、簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0089】
また、硬貨Cは、搬送ベルト42の正転搬送時に、硬貨繰出部12側の支軸94を中心に硬貨選別搬送路41よりも上側に鋭角に揺動して開いているリジェクトゲート93を図示略のネジリバネの付勢力に抗して閉じながら識別部51側に移動することになり、搬送ベルト42の逆転搬送時に、ネジリバネの付勢力によって硬貨選別搬送路41よりも上側に鋭角に揺動して開いているリジェクトゲート93で硬貨選別搬送路41からリジェクトされる。これにより、搬送ベルト42の正逆搬送を利用して機械的にリジェクトゲート93を開閉でき、リジェクトゲート93を電力で開閉する駆動部品を必要としないため、低コスト化および機体内の省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0090】
11 硬貨処理機
12 硬貨繰出部
24 繰出硬貨検知センサ
30 制御部(ジャム検出手段)
41 硬貨選別搬送路
42 搬送ベルト
48 桟部
49 桟部位置検出センサ
51 識別部(ジャム検出手段)
52a〜52f 硬貨選別部
56a〜56f 入金計数センサ(ジャム検出手段)
85 出金口(リジェクト口)
91 リジェクト部
93 リジェクトゲート
97 リジェクトシュート
C 硬貨
図1
図2
図3