特許第6296688号(P6296688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296688センサ、センサを製造する方法およびセンサを取り付ける方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296688
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】センサ、センサを製造する方法およびセンサを取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/04 20060101AFI20180312BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G01R33/04
   G01R33/02 L
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-63885(P2013-63885)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-205417(P2013-205417A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】10 2012 204 835.9
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト ベンツェル
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シェリング
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−222650(JP,A)
【文献】 特開2009−020092(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0197438(US,A1)
【文献】 特開平06−044533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00−33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンサ(100)と少なくとも1つの第2のセンサ(100)とを製造する方法(200)において、
該方法(200)は、以下のステップ、すなわち、
結晶質支持体材料からなるウェハ(400)を準備するステップ(202)を有しており、当該ウェハ(400)のセンサ面(102)には第1のセンサ素子(106)と、少なくとも1つの第2のセンサ素子(106)とが配置されており、
前記方法はさらに、前記ウェハ(400)の前記センサ面(102)に加工面(404)を決定するステップ(204)を有しており、当該加工面(404)は、前記第1のセンサ素子(106a,c)と、前記第2のセンサ素子(106b,d)との間に配置されており、かつ、作製すべき前記センサ素子(106a−d)を互いに分離しており、
前記方法はさらに、
第1の傾斜面(104)と、対向する第2の傾斜面(104)とを作製するために前記加工面(404)の領域において前記ウェハ(400)の一部を除去するステップ(206)を有しており、非等方性エッチングを使用して前記の除去を行い、ただし前記センサ面(102)とは異なる方向に配向される前記第1および第2の傾斜面(104)を作製するため、前記センサ面(102)に対して所定の角度で前記支持体材料(400)を除去し、
前記方法はさらに、
前記第1のセンサ素子(106)に電気導体路(110)を介して電気的に接続するための導電性の構造体である少なくとも1つの第1のコンタクト面(108)を前記第1の傾斜面(104)に取り付けると共に、前記第1の傾斜面(104)における前記第1のコンタクト面(108)よりもサイズが小さい導電性の構造体である少なくとも1つの別の第1のコンタクト面を、前記第1のセンサ素子(106)が配置されている前記センサ面(102)に取り付けるステップ(208)と、
前記第1および第2のセンサ(100)を切り離すため、前記第1の傾斜面(104)と前記第2の傾斜面(104)との間で前記第1および第2のセンサ(100)を分離するステップ(210)とを有している、
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項2】
請求項に記載の方法(200)において、前記第1のセンサ素子(106)に電気導体路(110)を介して電気的に接続するための前記少なくとも1つの第1のコンタクト面(108)を前記第1の傾斜面(104)に取り付ける(208)のに加えて、前記第2のセンサ素子(106)に電気導体路(110)を介して電気的に接続するための導電性の構造体である少なくとも1つの第2のコンタクト面(108)を前記第2の傾斜面(104)に取り付ける、
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項3】
請求項に記載の方法(200)において、前記少なくとも1つの第2のコンタクト面(108)を前記第2の傾斜面(104)に取り付けるのに加えて、前記第2の傾斜面(104)における前記第2のコンタクト面(108)よりもサイズが小さい導電性の構造体である少なくとも1つの別の第2のコンタクト面を、前記第2のセンサ素子(106)が配置されている前記センサ面(102)に取り付ける、
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法(200)において、
前記決定のステップ(204)では、所望の加工深さと、あらかじめ設定した角度との間の関係を使用して前記加工面(404)を決定する、
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項5】
請求項からまでのいずれか1項に記載の方法(200)において、
前記決定のステップ(204)では、前記加工面(404)を介さずに隣接する前記第2のセンサ素子(106b)と前記第1のセンサ素子(106c)との間の、前記センサ面(102)とは反対側の前記ウェハ(400)の下側面に第2の加工面(404)を決定し、
前記除去のステップ(206)では、第3の傾斜面(104)と、対向する第4の傾斜面(104)とを作製するため、非等方性エッチングプロセスを使用して前記第2の加工面(404)の領域において支持体材料(400)を除去し、ただし前記ウェハ(400)の前記下側面とは異なる方向に配向される前記第3および第4の傾斜面(104)を作製するため、前記ウェハ(400)の前記下側面に対して所定の角度で前記支持体材料(400)を除去する、
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項6】
請求項に記載の方法(200)において、
前記決定のステップ(204)では、前記センサ面(102)の前記加工面(404)に対してあらかじめ設定した横方向のシフトで、下側面に前記第2の加工面(404)を決定する、
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項7】
センサ(100)を支持構造体(500)に取り付ける方法(300)において、
前記センサ(100)は、方向性のある測定量の方向成分をピックアップするために構成されたセンサ素子(106)が配置されたセンサ面(102)を有しており、
前記センサ(100)は、前記センサ素子(106)に電気導体路(110)を介して電気的に接続するための導電性の構造体である少なくとも1つのコンタクト面(108)が配置された傾斜面(104)を有しており、
該傾斜面(104)は、前記センサ面(102)に対して所定の角度を有しており、
前記傾斜面(104)は、前記センサ面(102)とは異なる方向に配向されており、
前記方法(300)は以下のステップ、すなわち、
前記センサ(100)を前記支持構造体(500)上に配置するステップ(302)を有しており、前記センサ(100)の前記傾斜面(104)と、前記支持構造体(500)の表面とは取り付け面(502)において鋭角をなしており、前記傾斜面(104)および前記取り付け面(502)の少なくとも1つの部分領域は取り付け材料によって覆われており、
前記方法(300)はさらに、
液状化した前記取り付け材料の界面張力を使用し、前記センサ面(102)と前記傾斜面(104)との間の共通のエッジで前記センサ(100)を傾けることによって前記取り付け面(502)に前記傾斜面(104)を配置するため、前記取り付け面(502)に配置される取り付け材料を液状化するステップ(304)と、
前記センサ(100)と前記支持構造体(500)とを接続するために前記取り付け材料を硬化するステップ(306)とを有する、
ことを特徴とする方法(300)。
【請求項8】
請求項に記載の方法(300)において、
前記支持体材料(400)は、前記取り付け材料をはじき、
前記液状化のステップ(304)において前記液状化した取り付け材料は、前記支持体材料(400)によってはじかれて、前記取り付け材料が前記コンタクト面(108)に付着する、
ことを特徴とする方法(300)。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法(300)において、
前記配置のステップ(302)では前記センサ(100)を前記取り付け面(502)に対してずらして配置し、
前記取り付け面(502)は、前記センサ(100)の電気的な接触接続のための前記支持構造体(500)のコンタクト面として構成されており、
前記硬化のステップ(306)において前記傾斜面(104)に配置される前記センサ(100)のコンタクト面(108)を、前記支持構造体(500)の前記コンタクト面に導電的に接続する、
ことを特徴とする方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサと、第1のセンサおよび少なくとも1つの第2のセンサを製造する方法と、センサを支持構造体に取り付ける方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
磁場センサは、今日、加速度センサおよび回転速度センサと共に1つのケーシング内で組み合わされてナビゲージョン用途に使用される。ここではx軸およびy軸における磁場成分は、フラックスゲートセンサによって測定されるのに対し、z成分はホールICによって求められる。
【0003】
DE 10 2009 028 815 A1には、基板およびマグネットコアを有する磁力計が記載されている。この基板は、上記のマグネットコアに磁束を形成する励磁コイルを有しており、また励磁コイルは、上記の基板の主延在面に対して実質的に垂直に配向されているコイル断面を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 10 2009 028 815 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、磁場のxz成分ないしはyz成分をホール素子なしに2つのフラックスゲートだけで測定することができるセンサを提供することと、このセンサを製造する方法と、このセンサを取り付ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のセンサについての課題は、本発明の請求項1により、センサにおいて、このセンサは、方向性を有する測定量をピックアップするように構成されたセンサ素子が配置されたセンサ面と、センサ素子に接触接続するための少なくとも1つのコンタクト面が配置された傾斜面とを有しており、この傾斜面は、センサの支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有しており、この傾斜面が、センサ面とは異なる方向に配向されている、ことを特徴とするセンサを構成することによって解決される。
【0007】
また上記のセンサを製造する方法についての課題は、本発明の請求項4により、第1のセンサと少なくとも1つの第2のセンサとを製造する方法において、この方法には、以下のステップ、すなわち、結晶質支持体材料からなるウェハを準備するステップを有しており、このウェハのセンサ面には第1のセンサ素子と、少なくとも1つの第2のセンサ素子とが配置されており、上記のウェハのセンサ面に加工面を決定するステップを有しており、この加工面は、第1のセンサ素子と、第2のセンサ素子との間に配置されており、かつ、作製すべきセンサ素子を互いに分離しており、上記の方法はさらに、第1の傾斜面と、対向する第2の傾斜面とを作製するために上記の加工面の領域においてウェハの一部を除去するステップを有しており、非等方性エッチングを使用して前記の除去を行うステップを有しており、ただし上記の傾斜面を作製するため、支持体材料の格子構造に対して所定の角度で支持体材料を除去し、上記の方法はさらに、第1のセンサ素子に接触接続するために少なくとも1つの第1のコンタクト面を第1傾斜面に取り付けるステップと、上記のセンサを切り離すため、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間でセンサを分離するステップとを有している、ことを特徴とする方法によって解決される。
【0008】
さらに上記のセンサを取り付ける方法についての課題は、本発明の請求項9により、センサを支持構造体に取り付ける方法において、上記のセンサは、方向性のある測定量の方向成分をピックアップするために構成されたセンサ素子が配置されたセンサ面を有しており、上記のセンサは、センサ素子に接触接続するための少なくとも1つのコンタクト面が配置された傾斜面を有しており、この傾斜面は、センサの支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有しており、この傾斜面は、センサ面とは異なる方向に配向されており、上記の方法には以下のステップ、すなわち、上記のセンサを支持構造体上に配置するステップを有しており、センサの傾斜面と、支持構造体の表面とは取り付け面において鋭角をなしており、上記の傾斜面および/または取り付け面の少なくとも1つの部分領域は取り付け材料によって覆われており、上記の方法はさらに、液状化した取り付け材料の界面張力を使用し、エッジでセンサを傾けることによって取り付け面に傾斜面を配置するため、取り付け面に配置される取り付け材料を液状化するステップと、センサと支持構造体とを接続するために取り付け材料を硬化するステップとを有する、ことを特徴とする方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例によるセンサの1部分を示す図である。
図2】本発明の実施例にしたがい、センサを製造する方法を示す流れ図である。
図3】本発明の実施例にしたがい、センサを取り付ける方法を示す流れ図である。
図4a】センサを製造するプロセスステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図4b】センサを製造する別のプロセスステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図4c】センサを製造するさらに別のプロセスステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図4d】センサを製造するさらに別のプロセスステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図5a】センサの取り付けステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図5b】センサの取り付けの別のステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図5c】センサの取り付けのさらに別のステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図6a】センサの択一的な取り付けステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
図6b】センサの択一的な別の取り付けステップを実行した後の種々のコンポーネントの配置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
フラックスゲート/フリップコア原理に基づく磁場センサ、例えばフラックスゲートセンサでは、軟磁性コアが交番に周期的に飽和状態にされる。このコアは、逆巻きの2つのコイルによって巻回される。例えばノコギリ波状の交流電流が(励磁)コイルに流れる場合、この交流電流は、上記の共通の軟磁性コイルコアを介し、上記の磁化の切換時に他方の(受信)コイルにも電流を誘導する。上記の励起電圧および受信電圧は、外部磁場がない場合、大きさが同じであり、また逆巻きのコイルによって互いに打ち消し合う。外部磁場がある場合、上記のコアの方向のベクトル成分により、加えられた磁場に比例する信号が、結果的に上記の受信コイルに形成される。この原理により、極めて小さな磁場を測定することができる。
【0011】
液体と気体との境界面では、界面張力が発生し、この界面張力は、上記の液体が可能な限りに最小の表面積を有するようにする。例えば一滴の水は、可能な限りに球形の形状をとる。それは、この場合にこの水の体積体の表面積が最小になるからである。
【0012】
上記の液体が表面に到達する場合、この液体は、表面における液滴境界において特徴的な接触角を有する。この接触角は、上記の液体と表面との材料組み合わせに依存する。この表面が、上記の液体に対して良好な濡れ性を有する場合、接触角は90°よりも小さい。上記の表面が、上記の液体に対して良好でない濡れ性を有する場合、接触角は90°よりも大きい。
【0013】
本発明は、液体、例えば溶融した液状の半田の界面張力が、この液体が上記の面に対して高い濡れ性および/または小さな接触角を有する場合、この液体の液滴が配置されている2つ面を寄せ合わせることができるという知識に基づいている。この際に発生する力は、構成部分を回転させるのに十分な大きさになり得る。上記の液体は、支持体材料に構成部分を取り付けるための取り付け材料とすることができる。例えば構成部分がまっすぐな面に下ろされたとしても、この構成部分は、上記の液体により、斜めになった側に回転させられ得るのである。
【0014】
本発明によってセンサが提供され、このセンサはつぎのような特徴を有する。すなわち、このセンサは、方向性のある測定量の方向成分をピックアップするよう構成されたセンサ素子が配置されたセンサ面と、このセンサ素子に接触接続する少なくとも1つの接触接続面が配置された傾斜面とを有しており、ここでこの傾斜面は、上記のセンサの支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有しており、この傾斜面は、上記のセンサ面とは異なる方向に配向されている。
【0015】
さらに本発明により、第1のセンサと少なくとも1つの第2のセンサとを作製する方法が得られ、ここでこの方法にはつぎのステップが含まれている。すなわち、本発明の方法には、結晶質の支持体材料からなるウェハを準備するステップを有しており、ここでこのウェハのセンサ面には第1のセンサ素子と、少なくとも1つの第2のセンサ素子とが配置されている。さらに上記の方法は、上記のウェハのセンサ面に加工面を決めるステップを有しており、ここでは第1のセンサ素子と第2のセンサ素子との間にこの加工面を配置して、作製すべきセンサ素子を互いに切り離し、上記の方法はさらに、第1の傾斜面と、向き合っている第2の傾斜面とを作製するために加工面の領域において上記のウェハの一部を除去するステップを有しており、ここでは非等方性エッチングを使用してこの除去を行い、ただし上記の傾斜面を作製するため、上記の支持体材料の格子構造に対し、あらかじめ設定した角度でこの支持体材料を除去する。上記の方法はさらに、上記の第1のセンサ素子に接触接続するために少なくとも1つのコンタクト面を上記の第1傾斜面に取り付け、上記の第2のセンサ素子に接触接続するために少なくとも1つの第2のコンタクト面を上記の第2傾斜面に取り付けるステップと、上記のセンサを切り分けるため、上記の第1の傾斜面と第2の傾斜面との間でこれらのセンサを分離するステップとを有している。
【0016】
さらに本発明により、支持構造体上にセンサを取り付ける方法が提供され、このセンサは、センサ素子が配置されるセンサ面を有しており、このセンサ素子は、方向性を有する測定量の方向成分をピックアップするように構成されており、このセンサは、上記のセンサ素子に接触接続するための少なくとも1つのコンタクト面が配置された傾斜面を有しており、この傾斜面は、センサの支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有しており、ただしこの傾斜面は、上記のセンサ面とは異なる方向に配向されており、この方法には以下のステップ、すなわち、上記の支持構造体上にセンサを配置するステップを有しており、ここではセンサの上記の傾斜面は、取り付け面上において支持構造体の表面と鋭角をなし、上記の傾斜面および/または取り付け面の少なくとも1つの部分領域は、取り付け材料によって覆われており、上記の方法はさらに、液状化した取り付け材料の界面張力を使用し、エッジでセンサを傾けることにより、上記の取り付け面に傾斜面を配置するため、取り付け面に配置される取り付け材料を液状化するステップと、上記のセンサと支持構造体とを接続するために上記の取り付け材料を硬化するステップとを有する。
【0017】
センサとは、半導体構成素子および/またはマイクロエレクトロメカニカル構造体のことと理解することができる。このセンサは、測定可能な物理量を電気信号にマッピングするように構成することが可能である。この測定可能な量は、3次元的な方向を有することができる。このセンサは、3次元方向にこの量のベクトル成分をピックアップするように構成することができる。例えば、このセンサは、磁場の成分をピックアップするように構成可能である。このためにこのセンサは、センサ素子、例えば磁化可能なコアを有することができ、このコアは、逆方向を向いた2つのコイルの影響を受ける領域に配置される。これらのコイルの作用方向により、上記のベクトル成分の方向を求めることができる。このセンサ素子は、マイクロシステム技術によって支持体材料からなるプレートに、すなわち、ウェハに形成することが可能である。ウェハは、例えば、半導体材料から構成することができる。例えばこのウェハは、単結晶シリコンから構成可能である。所要の作業ステップは、このウェハの上側面および/または下側面から行うことができる。センサ面とは、上および/または中に上記のセンサ素子が配置されるウェハの表面と理解することが可能である。傾斜面は、上記の支持体材料の結晶構造に対して、あらかじめ設定した角度を有することができる。上記の傾斜面の経過または配向は、上記の支持体材料の結晶面に配置するかまたはこれと同じにすることが可能である。この傾斜面は、上記のセンサ面に対し、あらかじめ設定した角度を有することができ、この傾斜面は、有利には上記のセンサ面に対して傾けて配向される。コンタクト面は、導電性の構造体とすることが可能である。例えば、このコンタクト面は、上記の支持体材料上の金属面とすることができ、この金属面上において上記のセンサ素子に接触接続させることができる。例えば、この接触接続は、ボンディングワイヤを介して行うことができ、または支持構造体上の半田パッドを介して行うこともできる。加工面は、例えば、マスクを用いて決定することができ、このマスクは、例えば、窒化シリコン製である。上記の除去は、上記の支持体材料を非等方性に浸食する溶媒またはエッチング剤によって行うことができる。例えば上記のエッチング剤は、水酸化カリウムKOHとすることが可能である。この溶媒またはエッチング剤は、上のウェハの結晶構造に対して所定の角度を有する所定の結晶面まで上記の支持体材料を除去することができる。コンタクト面を上記の傾斜面に取り付けるため、この傾斜面を新たにマスキングすることができる。この傾斜面は、上記のコンタクト面の下に絶縁層を有することが可能である。この絶縁層は、上記のマスキングの前に被着することができる。センサを切り分けるためには上記のウェハをノコ引きすることができる。このウェハは、レーザビーム切断によって切り分けることも可能である。取り付け箇所(取り付け面とも称する)は、上記のセンサ用に設けられた箇所ないしはセンサ用に設けられた上記の支持構造体上の面とすることができる。この支持構造体は、例えば、ケーシングの壁部またはプリント基板とすることが可能である。上記の取り付け箇所は、例えば、半田パッドまたは接着パッドすることができる。例えばこの半田は半田ペーストとして被着することができ、熱作用によって溶融して液状化させることが可能である。上記の絶縁層は、半田をはじくようにすることできる。上記のコンタクト面は、半田によって良好に濡らすことが可能である。界面張力とは、混ざらない2つの媒体の間に生じ得る表面張力であり、可能な限りにわずかな共通の表面を形成しようとする媒体の力のことである。液状化した取り付け材料は、上記のコンタクト面に引っ張り力を及ぼしてセンサを回転させることができる。この取り付け材料が冷却すると、上記のセンサは、回転した位置において上記の支持構造体と接続することができる。
【0018】
上記のセンサは、第1の空間方向においてこのセンサを上記の支持構造体に固定するための第1の固定面と、第2の空間方向においてこのセンサを上記の支持構造体に固定するための少なくとも1つの第2の固定面とを備えた基体を有することも可能であり、第1の固定面は、第2の固定面に対して所定の角度で配向されており、第1の固定面と第2の固定面とは共通のエッジを有する。上記のセンサは、第1の固定面に配置されるかまたはこの第1の固定面に対向するこのセンサの表面に配置されるセンサ素子を有することでき、このセンサは、方向性を有する測定量の方向成分をピックアップするように構成されている。このセンサは、上記の表面または第1の固定面に配置されておりかつセンサ素子に接続される少なくとも1つのコンタクト面を有することができる。上記のセンサは、少なくとも1つの第2のコンタクト面を有することができ、この第2のコンタクト面は、上記の第2の固定面に、またはこの第2の固定面に対向して配置されたこのセンサの傾斜面に配置されかつ導電的に第1のコンタクト面に接続されている。第2のコンタクト面は、第1のコンタクト面よりも大きくすることができる。
【0019】
上記のセンサ面と傾斜面とは、共通のエッジを有することができる。このセンサは、取り付けの際に上記の共通のエッジで傾けることができる。この共通のエッジは、上記の取り付けプレート内に配置することができる。
【0020】
上記のセンサ面には、少なくとも1つの別のコンタクト面を配置することができ、ここでこの別のコンタクト面は、上記の傾斜面側のコンタクト面よりもサイズが小さい。上記の液状化した取り付け材料は、上記の比較的大きな面に比較的に大きな力を及ぼすことができるため、取り付け材料が液状化した際には上記のセンサを傾けることができる。
【0021】
上記の加工面は、所望の加工深さと、あらかじめ設定した角度との間の関係を使用して決定することができる。例えば上記の加工深さは、加工面の幅の約半分とすることできる。したがって上記のウェハは、ほぼ完全に切り込みを入れることができ、これにより上記の切り離しのステップでは、比較的わずかな層厚を切断すればよいのである。
【0022】
上記の決定のステップでは、上記のセンサ面とは反対側のウェハの下側面に第2の加工面を決定する。上記の除去のステップでは、別の傾斜面を作製するため、非等方性エッチングプロセスを使用して第2の加工面の領域において支持体材料を除去することができる。別の傾斜面は、後ろ側から上記のウェハに取り付けることができる。これらの別の傾斜面により、上記のセンサを対称に作製することができる。
【0023】
上記の下側面の第2の加工面は、上記のセンサ面上の加工面に対するあらかじめ設定した横方向のシフトで決定することができる。したがってこのセンサは、平行四辺形に類似した断面を有することができる。この場合にこのセンサの重心を傾けエッジの近くにすることが可能である。
【0024】
上記の支持体材料は、取り付け材料をはじくようにすることが可能である。上記の液状化のステップにおいて上記の取り付け材料は、支持体材料によってはじかれ得る。上記の取り付け材料は、コンタクト面に付着することができる。上記のコンタクト面に付着して上記の支持体材料に付着しないことにより、個々のコンタクト面を互いに分離させることができる。これにより、短絡を阻止することができる。
【0025】
上記のセンサは、少なくとも2つの取り付け面にずらして配置することができ、ここでこれらの取り付け面は、センサの電気的な接触接続のために上記の支持構造体のコンタクト面として構成されており、上記の硬化のステップにおいて、上記の傾斜面に配置されるセンサのコンタクト面を、上記の支持構造体のコンタクト面に導電的に接続することができる。これにより、上記のセンサへの複数の電気接続を作製することができる。1つの磁場センサに対し、例えば、少なくとも4つの電気コンタクトを作製することができる。
【実施例】
【0026】
本発明の有利な実施例の以下の説明では、異なる図に示されかつ類似の作用を有するエレメントには同じまたは類似の参照符号を使用し、これらのエレメントを繰り返して説明することは省略する。
【0027】
図1には、本発明の実施例によるセンサ100の1部分が示されている。センサ100は、センサ面102および傾斜面104を有する。傾斜面104は、センサ100の支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有する。例えば、この角度は、「111面」と「001面」との間の結晶角度に等しい。センサ面102には、方向性を有する測定量の方向成分をピックアップするセンサ素子106が配置されている。例えば、センサ素子106は、磁場センサであり、この磁場センサは、その測定方向に相応する、周囲の磁場の磁場成分をピックアップする。傾斜面104には、センサ素子106に接触接続する少なくとも1つのコンタクト面108が配置されている。コンタクト面108は、電気導体路110を介してセンサ素子106に接続されている。傾斜面104に複数のコンタクト面108が設けられる場合、センサ素子106は、複数の導体路110を介してコンタクト面108に接続される。
【0028】
言い換えると図1には、すべてのコンタクト面108が、第1の表面102に対して斜めに配置されている同じ1つのサイドエッジ104に設けられているという特徴を有する構成素子100が示されているのである。第1表面102には電気回路またはMEMS素子106が組み込まれている。MEMS素子106は、磁力計とすることができる。コンタクト面108は、最大の面積を有するエッジに配置されている。コンタクト面108は、第1表面102において、これに対して斜めに配置された面104におけるよりも小さい面積を有する。この構成素子は、コンタクト面108により、ケーシング底部(例えばプリント基板)に傾けて配置することができ、ここでは殊に傾けるためにツームストーン現象を利用する。
【0029】
図2には本発明の実施例にしたがい、センサを製造する方法200の流れ図が示されている。方法200では、図1に示したような少なくとも1つの第1センサと、少なくとも1つの第2センサとが作製される。方法200は、準備のステップ202と、決定のステップ204と、除去のステップ206と、取り付けステップ208と、切り離しのステップ210とを有する。準備のステップ202では、結晶質の支持体材料からなるウェハが準備される。このウェハのセンサ面には第1センサ素子と、少なくとも1つの第2センサ素子とが配置される。これらのセンサ素子は、先行する加工ステップにおいてウェハのセンサ面に取り付けられる。決定のステップ204では加工面が上記のウェハのセンサ面上に決定される。この加工面は、第1のセンサ素子と第2のセンサ素子との間に配置される。この加工面は、作製すべきセンサ素子を互いに分離する。加工面では上記のウェハの支持体材料が露出している。加工面の外側ではウェハは、センサ素子も含めてエッチングマスクによって覆われ、ひいては保護される。除去のステップ206では、上記の加工面の領域においてウェハの一部が取り除かれ、これによって第1傾斜面と、これに対向する第2傾斜面とが作製される。第1傾斜面および第2傾斜面は、上記の支持体材料の表面に対し、相異なる角度を形成することが可能である。第1傾斜面は、第1のセンサの領域に配置されており、第2傾斜面は、第2のセンサの領域に配置されている。上記の除去は、非等方性エッチングプロセスを使用して行われる。この非等方性エッチングプロセスでは、支持体材料の格子構造に対して所定の角度でこの支持体材料が除去され、これによって上記の傾斜面が作製される。取り付けステップ208では、第1のセンサ素子に接触接続するため、少なくとも1つの第1のコンタクト面が第1の傾斜面に取り付けられる。第2のセンサ素子に接触接続するための第2のコンタクト面は有利には同時に第2の傾斜面に取り付けることができる。この取り付けは、トレンチ作製、蒸着、電気メッキ、パッシベーションなどの公知の製造プロセスを使用して行うことができる。上記のコンタクト面はそれぞれ上記のセンサ素子のうちの1つの電気的に接続される。切り離しのステップ210では、上記のセンサが、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間で切り離されてこれらのセンサが切り分けられる。この切り離しは、ノコ引き、エッチング、レーザ切断などの公知のプロセスを使用して行うことができる。
【0030】
図3には、本発明の実施例にしたがい、センサを取り付ける方法300の流れ図が示されている。このセンサは、図1に示したセンサであり、図2に示した製造方法にしたがって製造することができる。このセンサは、センサ素子が配置されるセンサ面を有しており、このセンサ素子は、方向性を有する測定量の方向成分をピックアップするように構成されている。このセンサはさらに、センサ素子に接触接続するための少なくとも1つのコンタクト面が配置されている傾斜面を有する。この傾斜面は、センサの支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有しており、ただしこの傾斜面は、上記のセンサ面とは異なる方向に配置されている。このセンサは、例えば、1つのテープ上で切り分けられた複数の構成素子として自動取り付け機械に供給することができる。方法300は、配置のステップ302と、液状化のステップ304と、硬化のステップ306とを有する。配置のステップ302では、上記のセンサが支持構造体上に配置され、センサの上記の傾斜面は、取り付け面における支持構造体の表面と鋭角をなし、上記の傾斜面および/または取り付け面の少なくとも1つの部分領域は、取り付け材料によって覆われる。したがってセンサの上記のセンサ面は、上記の配置の後、上記の支持構造体の表面に対してほぼ平行に配向されるのである。液状化のステップ304では、取り付け材料が液状化され、この取り付け材料が上記の取り付け面に配置される。例えばこの取り付け材料は、これが溶融するまで加熱される。この傾斜面は、液状化した取り付け材料の界面張力を使用して上記の取り付け面に引き寄せられる。この際には上記のセンサがエッジを介して傾けられる。硬化のステップ306では上記の取り付け材料が硬化されて、センサと支持構造体とが接続される。例えば、上記の取り付け材料が冷却される。
【0031】
言い換えると、図3には構成素子を所定の角度だけ所期のように傾けるため、ないしは、傾斜したチップエッジにセンサチップを接触接続するための方法300が示されているのである。このセンサ素子は、約55°だけ回転されるため、感度を有する層が横方向に傾けられるのである。したがって磁場のxz成分ないしはyz成分を、ホール素子なしに2つのフラックスゲートだけで測定することができるのである。
【0032】
図4aないし4dには、本発明の実施例にしたがい、センサ100を製造するプロセスステップを実行した後のコンポーネントの配置構成が示されている。1つずつのセンサ素子106を有する4つのセンサ100aないし100dの生成ステップが示されている。
【0033】
図4aにはウェハ400が示されており、このウェハの片側の表面には、ウェハ400上に平らに分散させることも可能な多数のセンサ素子106の代表して4つのセンサ素子106a,106b,106cおよび106dが一列に配置されている。センサ素子106は、センサ素子106aとセンサ素子106bとの間の間隔が大きい。センサ素子106bとセンサ素子106cとの間の間隔は小さい。センサ素子106cとセンサ素子106dとの間の間隔はここでも、センサ素子106aとセンサ素子106bとの間のように大きい。ウェハ400の下側にはセンサ素子は配置されていない。ウェハ400は結晶質の支持体材料からなり、これは例えば単結晶シリコンである。上記の大きな間隔は、例えば、ウェハ400の厚さに等しい。
【0034】
図4bには、図2に示した先行する除去のステップの後のウェハ400が示されている。この除去の前にウェハ400はマスキングされている。例えば窒化シリコン402からなるエッチングマスクにより、センサ素子106が覆われる。この際にエッチングマスク402は、センサ素子106aとセンサ素子106bとの間で、加工面404aを露出させる。センサ素子106bおよび106cは、中間の加工面なしに共通のエッチングマスク402によって覆われている。センサ素子106cとセンサ素子106dとの間には再び加工面404bが配置されている。これらの加工面404は大きさが同じである。ウェハ400の下側面にもエッチングマスクが被着されている。下側のエッチングマスク402では、センサ素子106bとセンサ素子106cとの間の真ん中に配置される別の加工面404cが空いている。下側面のエッチングマスク402の面積は、上側面の面積と等しくすることができる。センサ素子106aおよび106bの下側にも1つずつの加工面が配置されている。加工面404の領域では、支持体材料がエッチングによってウェハ400から除去されている。非等方性エッチングプロセスを使用したため、加工面404の領域において側方エッジは、支持体材料の結晶構造に対し、あらかじめ設定した角度を有する。上記のエッチングにより、傾斜面が得られる。エッチングは、これらの傾斜面が互いに直接接触するまでウェハ400に入り込む。これにより、ウェハ400は、エッジ状の波形状のプロフィールを有するのである。
【0035】
図4cでは上記のエッチングマスクが除去されている。図2に示した取り付けのステップでは、コンタクト面108が、ウェハ400のセンサ面内および/またはセンサ面上に、また上記の傾斜面内および/または傾斜面上に取り付けられる。コンタクト面108は、上記のセンサ面において1つずつのセンサ106から、傾斜面とのエッジにまで延び、さらに傾斜面にまで延びる。
【0036】
図4dには切り離し後のセンサ100aないし100dが示されている。このためにウェハ400は、下側面がテープ406に接着されている。この実施例においてセンサ100aないし100dには、切り離しのためにノコ引きが行われている。さらにノコ引きの切り目は、均一の間隔を有しており、かつ、テープ406まで達している。このノコ引きの切れ目は、ウェハ400の両側において傾斜面の間にあり、かつ、図4bの加工面の延在方向に沿って見て、発生したエッチング刻み目の方向の中央に延在している。この段階でセンサは、エッジの欠けた平行四辺形の基本形状を有する。これらの欠けたエッジは、上記の切り離しの際に生じたノコ引きエッジである。センサ100bおよび100dは、センサ100aおよび100cに対して鏡映対称に配向されている。
【0037】
言い換えると図4aから4dには、基板にV字形のトレンチを入れる製造方法のステップを実行した後のコンポーネントの配置構成が示されているのである。続いて絶縁層が上記のトレンチに入れられる。その後、電気線路が取り付けられ、これらの電気線路は、第1の表面およびセンサ面上にも、トレンチ壁およびノコ引き面の領域にも共に部分的に延在している。
【0038】
上記の製造プロセスは、磁場センサ106(フラックスゲート、FG)の取り付けによって開始することができる。この際にはまずこのフラックスゲート用の絶縁層(例えば酸化物)を被着することができる。引き続いてこのフラックスゲートの下側の金属面を被着することができる。これに続いて上記のフラックスゲート用に別の絶縁層(例えば酸化物)を被着することができる。この上にはフラックスゲートのマグネットコアを載置することができる。オプションではこの上に、フラックスゲート用の付加的な絶縁層(例えば酸化物)を載置することができる。
【0039】
上記のエッチングの前にはKOHエッチング(例えばSiN)用のマスク402を被着して構造化する。引き続き、図4bに示したようにKOHエッチングを前面に行うことができる。オプションでは同時に背面をエッチングすることができる。この際にはエッチングの深さをウェハの厚さよりも小さく選択する。
【0040】
エッチングの後、KOHエッチングマスク402を取り除くことができる。引き続き、支持体材料400の上に(例えばPECVDによって)絶縁酸化物をデポジットする。第2の金属面(フラックスゲート+コンタクトパッド)用のコンタクトホールを開けてコンタクトを可能にする。この上には第2の金属面を被着して、例えばスプレーコーティングプロセスによって構造化する。オプションではパッシベーション層、例えば窒化物層を被着する。コンタクトパッド108は、別のスプレーコーティングプロセスと、上記のパッシベーションのさらなるエッチングとによって開けられる(図4cを参照されたい)。
【0041】
センサ100は、ノコ引きまたはレーザビーム切断によって切り離され、これは、テープ406に向かうアクティブな構造体によって行うことも可能である(図4dを参照されたい)。
【0042】
図5aから5cには、本発明の実施例にしたがってセンサ100の取り付けステップを実行した後のコンポーネントの配置構成の図が示されている。センサ100は、平行四辺形の断面を有する基体を有する。この平行四辺形の互いに向き合う2つの頂点は、カット面を有する。センサ100は、センサ面102にセンサ素子106を有する。センサ素子106は、この実施例においてフリップコア素子である。センサ100は、傾斜面104上にコンタクト面108を有する。コンタクト面108は、センサ素子106と接続されており、またセンサ面102上に続いている。この基体は、対称でありかつ中央に位置する重心Sを有する。重心Sは、上記の平行四辺形の短い方の対角線と、長い方の対角線との交点上にある。センサ面102と傾斜面104とは、共通の折れ曲がり線を有している。センサ面102は、この実施例において下側を向いており、傾斜面104は、上記の折れ曲がり線において、センサ面102に対して約55°の角度を有する。
【0043】
図5aでは、テープ406からセンサ100を取り上げた直後のセンサ100が示されている。センサ100は、センサ面102によってテープ406に配置されていたのである。センサ面102は、テープ406に平行に配向されている。
【0044】
図5bでは、センサ100が、支持構造体としてのプリント基板500上にどのように配置されるかが示されている。センサ100は、センサ面102がプリント基板500に配向されている。傾斜面104は、取り付け面としての半田パッド502を介してプリント基板500に配置される。半田パッド502には取り付け剤としての半田ペーストが被着されている。この半田ペーストは、わずかにセンサ面102まで達しており、これによって配置した後には粘着によって保持されるため、センサ100がずれることがない。このために上記の折れ曲がり線は上記の半田ペーストに押しつけられる。
【0045】
図5cには、半田パッド502において上記の取り付け剤が液状化した後のセンサ100が示されている。液状化した半田は、コンタクト面108を良好に濡らすため、この半田は、斜めのコンタクト面108における毛細管現象により、傾斜面104に移動する。この際に半田は、その界面張力を介して傾斜面104に引っ張り力を及ぼす。この引っ張り力が十分に大きければ、センサ100は、折れ曲がり線で傾き、これによって上記の傾斜面上に載置されることになる。センサ面102はこの段階でプリント基板500に対して斜めに配向されるのである。
【0046】
言い換えると、図5a〜5cには取り付け方法を実行した後のコンポーネントの配置が示されているのであり、ここでは構成素子100は、斜めになった表面104により、半田表面502に対して非対象に基板500に載置されるため、第1表面102上のコンタクト面と、半田パッド502との間には比較的わずかな重なり合いしかないのである。ここでは上記の製造および取り付け方法は自己調整的である。それは、傾斜角は、非等方性のKOHエッチングプロセスによって自動で調整されるか、ないしは傾斜面104への上記の傾斜は、ツームストーン現象によって行われるからである。
【0047】
前面が下側を向いているセンサ素子100は、テープ406からピックアップされ(図5aを参照されたい)、ケーシング底部500にすでに施された半田ペースト上に配置される(図5bを参照されたい)。構成素子100の重心Sは、有利には折れ曲がり線495を介して極めて近くにあり、これによってツームストーン現象を容易にし、ひいては折れ曲がり線495での傾けが容易になる。リフロ半田の際には半田ペーストが溶融して、半田の表面張力が構成素子100に回転モーメントを及ぼす。それはこの構成素子が片側のエッジ495だけで固定されているからである。したがってセンサ素子100は、斜めになっている面104(図5cを参照されたい)に傾くのである。したがっていまや上記の磁場のxz成分ないしはyz成分を測定することができるのである。ここで示した取り付け方法の大きな利点は、このプロセスが自動調整で行われることである。
【0048】
ショートの危険性は、支持体基板500上の半田が被着されている短い導体路502と、この導体路よりも長いボンディングパッド領域108とによって回避することができる。これによってセンサ素子100は、センタリングされ、発生したメニスカスは、半田をチップ表面から引き離す。KOHエッジ104は、酸化層または窒化層により、下にあるメタライゼーションと絶縁されるため、半田がSi表面に付着することはない。これによって上記のノコギリ面に半田が到達することはないのである。
【0049】
図6aおよび6bには、本発明の1つの実施例による、センサ100の択一的な取り付けステップが示されている。センサ100は、図5に関連して説明した取り付け方法によって作製可能なセンサに相応する。
【0050】
図6aでは、図5aと同様にセンサ100がどのようにテープ406から持ち上げられるかが示されている。図5とは異なり、センサ素子106を有するセンサ表面102は、テープ106から離れた側を向いている。コンタクト面108を有する傾斜面104もテープ406から離れた側を向いている。
【0051】
図6bではセンサ100は、図5cと同様に基板500上に固定されて示されている。図5cにおける固定とは異なり、センサ100は、上記の載置の前、空中で約55°回転されるため、傾斜面104とは反対側にある平行面が基板500に向かって配向される。これによってセンサ面102は、斜めに配向されるのである。引き続き、センサ100は、接着パッド600上に下ろされる。コンタクト面108を有する傾斜面104は、いまや上を向く。複数のコンタクト面108のうちの1つには、説明のためにボンディングワイヤ602がボンディングされて図示されている。
【0052】
言い換えると図6aおよび6bではセンサ素子100がテープ406からピックアップされ、引き続いて約55°傾けられて、ケーシング底部500にすでに施された接着剤の上に配置されるのである。センサ素子100はいまや斜めになり、これによって磁場のxzないしはyz成分を測定することができる。しかしながらボンディングパッド108は、ケーシング底部に平行に延在する、チップ100の上側に載置される(KOHエッジ104)。大きな利点は、パッド108が接着面600の中心のほぼ上になるため、ワイヤボンディングが殊に良好に機能する(接着剤に引っ張り力が加わらない)ことである。
【0053】
説明しかつ図面に示した実施例は、単に例示的に選択したものである。種々異なる実施例を全体的または個々の特徴について互いに組み合わせることが可能である。1つの実施例を、別の実施例の特徴によって補足することも可能である。
【0054】
さらに本発明による方法ステップを繰り返し、ならびに、上記とは異なる順序で実行することが可能である。
【0055】
1つの実施例に、第1の特徴と第2の特徴とを「および/または」で結び付けたものが含まれている場合、このことは、この実施例が、1つの実施形態では、第1の特徴も第2の特徴も共に有し、また別の実施形態では第1の特徴または第2の特徴のいずれかだけを有することを意味する。
【符号の説明】
【0056】
100,100a−100d センサ、 102 センサ面、 104 傾斜面、 106,106a−106d センサ素子、 108 コンタクト面、 110 電気導体路、 400 ウェハ、 402 エッチングマスク、 404,404a−404c 加工面、 406 テープ、 500 支持構造体、 502 半田パッド、 600 接着パッド、 602 ボンディングワイヤ、 S 重心
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b