【実施例】
【0026】
本発明の有利な実施例の以下の説明では、異なる図に示されかつ類似の作用を有するエレメントには同じまたは類似の参照符号を使用し、これらのエレメントを繰り返して説明することは省略する。
【0027】
図1には、本発明の実施例によるセンサ100の1部分が示されている。センサ100は、センサ面102および傾斜面104を有する。傾斜面104は、センサ100の支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有する。例えば、この角度は、「111面」と「001面」との間の結晶角度に等しい。センサ面102には、方向性を有する測定量の方向成分をピックアップするセンサ素子106が配置されている。例えば、センサ素子106は、磁場センサであり、この磁場センサは、その測定方向に相応する、周囲の磁場の磁場成分をピックアップする。傾斜面104には、センサ素子106に接触接続する少なくとも1つのコンタクト面108が配置されている。コンタクト面108は、電気導体路110を介してセンサ素子106に接続されている。傾斜面104に複数のコンタクト面108が設けられる場合、センサ素子106は、複数の導体路110を介してコンタクト面108に接続される。
【0028】
言い換えると
図1には、すべてのコンタクト面108が、第1の表面102に対して斜めに配置されている同じ1つのサイドエッジ104に設けられているという特徴を有する構成素子100が示されているのである。第1表面102には電気回路またはMEMS素子106が組み込まれている。MEMS素子106は、磁力計とすることができる。コンタクト面108は、最大の面積を有するエッジに配置されている。コンタクト面108は、第1表面102において、これに対して斜めに配置された面104におけるよりも小さい面積を有する。この構成素子は、コンタクト面108により、ケーシング底部(例えばプリント基板)に傾けて配置することができ、ここでは殊に傾けるためにツームストーン現象を利用する。
【0029】
図2には本発明の実施例にしたがい、センサを製造する方法200の流れ図が示されている。方法200では、
図1に示したような少なくとも1つの第1センサと、少なくとも1つの第2センサとが作製される。方法200は、準備のステップ202と、決定のステップ204と、除去のステップ206と、取り付けステップ208と、切り離しのステップ210とを有する。準備のステップ202では、結晶質の支持体材料からなるウェハが準備される。このウェハのセンサ面には第1センサ素子と、少なくとも1つの第2センサ素子とが配置される。これらのセンサ素子は、先行する加工ステップにおいてウェハのセンサ面に取り付けられる。決定のステップ204では加工面が上記のウェハのセンサ面上に決定される。この加工面は、第1のセンサ素子と第2のセンサ素子との間に配置される。この加工面は、作製すべきセンサ素子を互いに分離する。加工面では上記のウェハの支持体材料が露出している。加工面の外側ではウェハは、センサ素子も含めてエッチングマスクによって覆われ、ひいては保護される。除去のステップ206では、上記の加工面の領域においてウェハの一部が取り除かれ、これによって第1傾斜面と、これに対向する第2傾斜面とが作製される。第1傾斜面および第2傾斜面は、上記の支持体材料の表面に対し、相異なる角度を形成することが可能である。第1傾斜面は、第1のセンサの領域に配置されており、第2傾斜面は、第2のセンサの領域に配置されている。上記の除去は、非等方性エッチングプロセスを使用して行われる。この非等方性エッチングプロセスでは、支持体材料の格子構造に対して所定の角度でこの支持体材料が除去され、これによって上記の傾斜面が作製される。取り付けステップ208では、第1のセンサ素子に接触接続するため、少なくとも1つの第1のコンタクト面が第1の傾斜面に取り付けられる。第2のセンサ素子に接触接続するための第2のコンタクト面は有利には同時に第2の傾斜面に取り付けることができる。この取り付けは、トレンチ作製、蒸着、電気メッキ、パッシベーションなどの公知の製造プロセスを使用して行うことができる。上記のコンタクト面はそれぞれ上記のセンサ素子のうちの1つの電気的に接続される。切り離しのステップ210では、上記のセンサが、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間で切り離されてこれらのセンサが切り分けられる。この切り離しは、ノコ引き、エッチング、レーザ切断などの公知のプロセスを使用して行うことができる。
【0030】
図3には、本発明の実施例にしたがい、センサを取り付ける方法300の流れ図が示されている。このセンサは、
図1に示したセンサであり、
図2に示した製造方法にしたがって製造することができる。このセンサは、センサ素子が配置されるセンサ面を有しており、このセンサ素子は、方向性を有する測定量の方向成分をピックアップするように構成されている。このセンサはさらに、センサ素子に接触接続するための少なくとも1つのコンタクト面が配置されている傾斜面を有する。この傾斜面は、センサの支持体材料の格子構造に対して所定の角度を有しており、ただしこの傾斜面は、上記のセンサ面とは異なる方向に配置されている。このセンサは、例えば、1つのテープ上で切り分けられた複数の構成素子として自動取り付け機械に供給することができる。方法300は、配置のステップ302と、液状化のステップ304と、硬化のステップ306とを有する。配置のステップ302では、上記のセンサが支持構造体上に配置され、センサの上記の傾斜面は、取り付け面における支持構造体の表面と鋭角をなし、上記の傾斜面および/または取り付け面の少なくとも1つの部分領域は、取り付け材料によって覆われる。したがってセンサの上記のセンサ面は、上記の配置の後、上記の支持構造体の表面に対してほぼ平行に配向されるのである。液状化のステップ304では、取り付け材料が液状化され、この取り付け材料が上記の取り付け面に配置される。例えばこの取り付け材料は、これが溶融するまで加熱される。この傾斜面は、液状化した取り付け材料の界面張力を使用して上記の取り付け面に引き寄せられる。この際には上記のセンサがエッジを介して傾けられる。硬化のステップ306では上記の取り付け材料が硬化されて、センサと支持構造体とが接続される。例えば、上記の取り付け材料が冷却される。
【0031】
言い換えると、
図3には構成素子を所定の角度だけ所期のように傾けるため、ないしは、傾斜したチップエッジにセンサチップを接触接続するための方法300が示されているのである。このセンサ素子は、約55°だけ回転されるため、感度を有する層が横方向に傾けられるのである。したがって磁場のxz成分ないしはyz成分を、ホール素子なしに2つのフラックスゲートだけで測定することができるのである。
【0032】
図4aないし4dには、本発明の実施例にしたがい、センサ100を製造するプロセスステップを実行した後のコンポーネントの配置構成が示されている。1つずつのセンサ素子106を有する4つのセンサ100aないし100dの生成ステップが示されている。
【0033】
図4aにはウェハ400が示されており、このウェハの片側の表面には、ウェハ400上に平らに分散させることも可能な多数のセンサ素子106の代表して4つのセンサ素子106a,106b,106cおよび106dが一列に配置されている。センサ素子106は、センサ素子106aとセンサ素子106bとの間の間隔が大きい。センサ素子106bとセンサ素子106cとの間の間隔は小さい。センサ素子106cとセンサ素子106dとの間の間隔はここでも、センサ素子106aとセンサ素子106bとの間のように大きい。ウェハ400の下側にはセンサ素子は配置されていない。ウェハ400は結晶質の支持体材料からなり、これは例えば単結晶シリコンである。上記の大きな間隔は、例えば、ウェハ400の厚さに等しい。
【0034】
図4bには、
図2に示した先行する除去のステップの後のウェハ400が示されている。この除去の前にウェハ400はマスキングされている。例えば窒化シリコン402からなるエッチングマスクにより、センサ素子106が覆われる。この際にエッチングマスク402は、センサ素子106aとセンサ素子106bとの間で、加工面404aを露出させる。センサ素子106bおよび106cは、中間の加工面なしに共通のエッチングマスク402によって覆われている。センサ素子106cとセンサ素子106dとの間には再び加工面404bが配置されている。これらの加工面404は大きさが同じである。ウェハ400の下側面にもエッチングマスクが被着されている。下側のエッチングマスク402では、センサ素子106bとセンサ素子106cとの間の真ん中に配置される別の加工面404cが空いている。下側面のエッチングマスク402の面積は、上側面の面積と等しくすることができる。センサ素子106aおよび106bの下側にも1つずつの加工面が配置されている。加工面404の領域では、支持体材料がエッチングによってウェハ400から除去されている。非等方性エッチングプロセスを使用したため、加工面404の領域において側方エッジは、支持体材料の結晶構造に対し、あらかじめ設定した角度を有する。上記のエッチングにより、傾斜面が得られる。エッチングは、これらの傾斜面が互いに直接接触するまでウェハ400に入り込む。これにより、ウェハ400は、エッジ状の波形状のプロフィールを有するのである。
【0035】
図4cでは上記のエッチングマスクが除去されている。
図2に示した取り付けのステップでは、コンタクト面108が、ウェハ400のセンサ面内および/またはセンサ面上に、また上記の傾斜面内および/または傾斜面上に取り付けられる。コンタクト面108は、上記のセンサ面において1つずつのセンサ106から、傾斜面とのエッジにまで延び、さらに傾斜面にまで延びる。
【0036】
図4dには切り離し後のセンサ100aないし100dが示されている。このためにウェハ400は、下側面がテープ406に接着されている。この実施例においてセンサ100aないし100dには、切り離しのためにノコ引きが行われている。さらにノコ引きの切り目は、均一の間隔を有しており、かつ、テープ406まで達している。このノコ引きの切れ目は、ウェハ400の両側において傾斜面の間にあり、かつ、
図4bの加工面の延在方向に沿って見て、発生したエッチング刻み目の方向の中央に延在している。この段階でセンサは、エッジの欠けた平行四辺形の基本形状を有する。これらの欠けたエッジは、上記の切り離しの際に生じたノコ引きエッジである。センサ100bおよび100dは、センサ100aおよび100cに対して鏡映対称に配向されている。
【0037】
言い換えると
図4aから4dには、基板にV字形のトレンチを入れる製造方法のステップを実行した後のコンポーネントの配置構成が示されているのである。続いて絶縁層が上記のトレンチに入れられる。その後、電気線路が取り付けられ、これらの電気線路は、第1の表面およびセンサ面上にも、トレンチ壁およびノコ引き面の領域にも共に部分的に延在している。
【0038】
上記の製造プロセスは、磁場センサ106(フラックスゲート、FG)の取り付けによって開始することができる。この際にはまずこのフラックスゲート用の絶縁層(例えば酸化物)を被着することができる。引き続いてこのフラックスゲートの下側の金属面を被着することができる。これに続いて上記のフラックスゲート用に別の絶縁層(例えば酸化物)を被着することができる。この上にはフラックスゲートのマグネットコアを載置することができる。オプションではこの上に、フラックスゲート用の付加的な絶縁層(例えば酸化物)を載置することができる。
【0039】
上記のエッチングの前にはKOHエッチング(例えばSiN)用のマスク402を被着して構造化する。引き続き、
図4bに示したようにKOHエッチングを前面に行うことができる。オプションでは同時に背面をエッチングすることができる。この際にはエッチングの深さをウェハの厚さよりも小さく選択する。
【0040】
エッチングの後、KOHエッチングマスク402を取り除くことができる。引き続き、支持体材料400の上に(例えばPECVDによって)絶縁酸化物をデポジットする。第2の金属面(フラックスゲート+コンタクトパッド)用のコンタクトホールを開けてコンタクトを可能にする。この上には第2の金属面を被着して、例えばスプレーコーティングプロセスによって構造化する。オプションではパッシベーション層、例えば窒化物層を被着する。コンタクトパッド108は、別のスプレーコーティングプロセスと、上記のパッシベーションのさらなるエッチングとによって開けられる(
図4cを参照されたい)。
【0041】
センサ100は、ノコ引きまたはレーザビーム切断によって切り離され、これは、テープ406に向かうアクティブな構造体によって行うことも可能である(
図4dを参照されたい)。
【0042】
図5aから5cには、本発明の実施例にしたがってセンサ100の取り付けステップを実行した後のコンポーネントの配置構成の図が示されている。センサ100は、平行四辺形の断面を有する基体を有する。この平行四辺形の互いに向き合う2つの頂点は、カット面を有する。センサ100は、センサ面102にセンサ素子106を有する。センサ素子106は、この実施例においてフリップコア素子である。センサ100は、傾斜面104上にコンタクト面108を有する。コンタクト面108は、センサ素子106と接続されており、またセンサ面102上に続いている。この基体は、対称でありかつ中央に位置する重心Sを有する。重心Sは、上記の平行四辺形の短い方の対角線と、長い方の対角線との交点上にある。センサ面102と傾斜面104とは、共通の折れ曲がり線を有している。センサ面102は、この実施例において下側を向いており、傾斜面104は、上記の折れ曲がり線において、センサ面102に対して約55°の角度を有する。
【0043】
図5aでは、テープ406からセンサ100を取り上げた直後のセンサ100が示されている。センサ100は、センサ面102によってテープ406に配置されていたのである。センサ面102は、テープ406に平行に配向されている。
【0044】
図5bでは、センサ100が、支持構造体としてのプリント基板500上にどのように配置されるかが示されている。センサ100は、センサ面102がプリント基板500に配向されている。傾斜面104は、取り付け面としての半田パッド502を介してプリント基板500に配置される。半田パッド502には取り付け剤としての半田ペーストが被着されている。この半田ペーストは、わずかにセンサ面102まで達しており、これによって配置した後には粘着によって保持されるため、センサ100がずれることがない。このために上記の折れ曲がり線は上記の半田ペーストに押しつけられる。
【0045】
図5cには、半田パッド502において上記の取り付け剤が液状化した後のセンサ100が示されている。液状化した半田は、コンタクト面108を良好に濡らすため、この半田は、斜めのコンタクト面108における毛細管現象により、傾斜面104に移動する。この際に半田は、その界面張力を介して傾斜面104に引っ張り力を及ぼす。この引っ張り力が十分に大きければ、センサ100は、折れ曲がり線で傾き、これによって上記の傾斜面上に載置されることになる。センサ面102はこの段階でプリント基板500に対して斜めに配向されるのである。
【0046】
言い換えると、
図5a〜5cには取り付け方法を実行した後のコンポーネントの配置が示されているのであり、ここでは構成素子100は、斜めになった表面104により、半田表面502に対して非対象に基板500に載置されるため、第1表面102上のコンタクト面と、半田パッド502との間には比較的わずかな重なり合いしかないのである。ここでは上記の製造および取り付け方法は自己調整的である。それは、傾斜角は、非等方性のKOHエッチングプロセスによって自動で調整されるか、ないしは傾斜面104への上記の傾斜は、ツームストーン現象によって行われるからである。
【0047】
前面が下側を向いているセンサ素子100は、テープ406からピックアップされ(
図5aを参照されたい)、ケーシング底部500にすでに施された半田ペースト上に配置される(
図5bを参照されたい)。構成素子100の重心Sは、有利には折れ曲がり線495を介して極めて近くにあり、これによってツームストーン現象を容易にし、ひいては折れ曲がり線495での傾けが容易になる。リフロ半田の際には半田ペーストが溶融して、半田の表面張力が構成素子100に回転モーメントを及ぼす。それはこの構成素子が片側のエッジ495だけで固定されているからである。したがってセンサ素子100は、斜めになっている面104(
図5cを参照されたい)に傾くのである。したがっていまや上記の磁場のxz成分ないしはyz成分を測定することができるのである。ここで示した取り付け方法の大きな利点は、このプロセスが自動調整で行われることである。
【0048】
ショートの危険性は、支持体基板500上の半田が被着されている短い導体路502と、この導体路よりも長いボンディングパッド領域108とによって回避することができる。これによってセンサ素子100は、センタリングされ、発生したメニスカスは、半田をチップ表面から引き離す。KOHエッジ104は、酸化層または窒化層により、下にあるメタライゼーションと絶縁されるため、半田がSi表面に付着することはない。これによって上記のノコギリ面に半田が到達することはないのである。
【0049】
図6aおよび6bには、本発明の1つの実施例による、センサ100の択一的な取り付けステップが示されている。センサ100は、
図5に関連して説明した取り付け方法によって作製可能なセンサに相応する。
【0050】
図6aでは、
図5aと同様にセンサ100がどのようにテープ406から持ち上げられるかが示されている。
図5とは異なり、センサ素子106を有するセンサ表面102は、テープ106から離れた側を向いている。コンタクト面108を有する傾斜面104もテープ406から離れた側を向いている。
【0051】
図6bではセンサ100は、
図5cと同様に基板500上に固定されて示されている。
図5cにおける固定とは異なり、センサ100は、上記の載置の前、空中で約55°回転されるため、傾斜面104とは反対側にある平行面が基板500に向かって配向される。これによってセンサ面102は、斜めに配向されるのである。引き続き、センサ100は、接着パッド600上に下ろされる。コンタクト面108を有する傾斜面104は、いまや上を向く。複数のコンタクト面108のうちの1つには、説明のためにボンディングワイヤ602がボンディングされて図示されている。
【0052】
言い換えると
図6aおよび6bではセンサ素子100がテープ406からピックアップされ、引き続いて約55°傾けられて、ケーシング底部500にすでに施された接着剤の上に配置されるのである。センサ素子100はいまや斜めになり、これによって磁場のxzないしはyz成分を測定することができる。しかしながらボンディングパッド108は、ケーシング底部に平行に延在する、チップ100の上側に載置される(KOHエッジ104)。大きな利点は、パッド108が接着面600の中心のほぼ上になるため、ワイヤボンディングが殊に良好に機能する(接着剤に引っ張り力が加わらない)ことである。
【0053】
説明しかつ図面に示した実施例は、単に例示的に選択したものである。種々異なる実施例を全体的または個々の特徴について互いに組み合わせることが可能である。1つの実施例を、別の実施例の特徴によって補足することも可能である。
【0054】
さらに本発明による方法ステップを繰り返し、ならびに、上記とは異なる順序で実行することが可能である。
【0055】
1つの実施例に、第1の特徴と第2の特徴とを「および/または」で結び付けたものが含まれている場合、このことは、この実施例が、1つの実施形態では、第1の特徴も第2の特徴も共に有し、また別の実施形態では第1の特徴または第2の特徴のいずれかだけを有することを意味する。