(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施されることができる。
【0028】
[非接触集積回路(IC)記録媒体]
非接触IC記録媒体は、非接触型ICを含む記録媒体である。
【0029】
非接触型ICとは、端末機のリーダ/ライタ部と接触させなくても通信を行うことができる集積回路をいう。
また、記録媒体は、情報を記録できる媒体であり、カード、シート、ディスク等の形態でよい。
【0030】
一般に、非接触IC記録媒体内にはアンテナとして機能する部分があるので、端末機のリーダ/ライタ部から発生している磁界又は電界に非接触IC記録媒体を曝すと、無線通信によって、端末機と非接触IC記録媒体の間で情報を送受信することができる。
【0031】
非接触IC記録媒体は、保護層、可逆性感熱記録層、表基材、印刷層、コアシート及び裏基材を含む積層体から形成されている。
【0032】
積層体は、積層体の表側から裏側に向かって順に、保護層、可逆性感熱記録層、表基材、印刷層、コアシート及び裏基材を含むことが好ましい。
また、
図1に示されるように、保護層(1)と可逆性感熱記録層(3)の間に、中間層(2)を配置してもよい。
【0033】
一般に流通しているリライトシートとして非接触IC記録媒体を使用するために、非接触IC記録媒体の厚さが、680μm〜840μmであることが好ましい。
【0034】
また、保護層、所望により中間層、可逆性感熱記録層及び表基材を含む部分は、可逆性感熱記録層が、可逆的に感熱記録を達成することができるので、リライトシートと呼ばれる。したがって、リライトシートは、非接触IC記録媒体にリライト性を付与する。
【0035】
[非接触IC記録媒体の構成要素]
以下、非接触IC記録媒体の構成要素である「基材」、「可逆性感熱記録層」、「中間層」、「保護層」、「コアシート」及び「印刷層」について、それぞれ説明する。
【0036】
[基材]
非接触IC記録媒体には、少なくとも3種類の基材が含まれる。
第一の基材は、可逆性感熱記録層が積層される表基材であり、
そして第二の基材は、コアシートが形成されるコア基材であり、
そして第三の基材は、コアシートが積層される裏基材である。
以下に、表基材及び裏基材について、それぞれ説明する。
【0037】
[表基材]
表基材は、リライトシートのカールの防止と、印刷層の視認性と、ICチップの隠蔽性とのバランスを取るために、4.5%以下のヘイズ値及び75μm〜125μmの厚さを有する。
【0038】
表基材の形態は、非接触IC記録媒体の形態に応じて決定されることができるが、フィルムであることが好ましい。
【0039】
また、表基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂で形成されることができる。
【0040】
しかしながら、4.5%以下のヘイズ値、又は樹脂を基材上に塗工して乾燥させる際に基材を溶かさない性質、基材をカード型に打ち抜く際にエッジ部にバリを発生させない性質等のカード加工性を考慮すると、表基材は、透明PETで形成されることが好ましい。
【0041】
[裏基材]
裏基材は、PETで形成されることができる。
裏基材は、透明、半透明、不透明又は白色でよいが、基材をカード化した際にカードのねじれを防ぐために、配向方向及び厚みが表基材と揃うことが好ましい。上述の通り、表基材が概ね透明PETで形成されるため、裏基材も透明PETで形成されることがより好ましい。
なお、コアシートについては後述する。
【0042】
[可逆性感熱記録層]
可逆性感熱記録層は、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状況を形成し得る可逆性感熱組成物を含み、熱によって可逆的に発色/消色を繰り返す層である。
【0043】
可逆性感熱組成物は、ロイコ染料、顕減色剤、及び所望により、その他の添加剤を含む。したがって、可逆性感熱記録層は、可逆性感熱組成物とバインダー樹脂を混合して成形することにより、形成されることができる。
以下に、バインダー樹脂、ロイコ染料、顕減色剤、及びその他の添加剤について、それぞれ説明する。
【0044】
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂としては、熱硬化性アクリル樹脂の他に、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、紫外線硬化型樹脂等が、使用されることができる。
【0045】
[ロイコ染料]
ロイコ染料としては、可逆性感熱組成物に用いられている既知の材料が使用されることができる。
【0046】
ロイコ染料としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−クロルフェニルアミン)−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオ)ラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチルペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【0047】
[顕減色剤]
顕減色剤としては、可逆性感熱組成物に用いられている既知の材料が使用されることができる。
【0048】
顕減色剤としては、例えば、(N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシルチオ尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシル尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシルチオアミド、4’−オクタデカンアニリド、2−オクタデシルテレフタル酸、N−オクタデシル(p−ヒドロキシフェニル)アミド、N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N’−オクタデカノヒドテジド、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−n−オクタデシルアミド、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−n−オクタデシル尿素、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−N’−n−オクタデシルオキサミド)等が挙げられる。
【0049】
[その他の添加剤]
可逆性感熱組成物は、所望により、硬化剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含むことができる。
【0050】
硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。
【0051】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等が挙げられる。
【0052】
[中間層(アンカー層)]
中間層は、保護層と可逆性感熱記録層の間、又は可逆性感熱記録層と表基材の間に位置する層である。本明細書では、中間層は、アンカー層とも呼ばれる。
保護層と可逆性感熱記録層の接着性、又は表基材と可逆性感熱記録層の接着性を向上させるために、アンカー層を形成することが好ましい。
【0053】
アンカー層は、樹脂で形成されることが好ましい。
例えば、アンカー層を形成するための樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とがウレタン結合を介して縮合したポリマーが挙げられる。
【0054】
イソシアネート基を有する化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、かつ水酸基と反応してウレタン結合を形成可能な化合物である。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0055】
水酸基を有する化合物は、分子内に2個以上の水酸基を有し、かつイソシアネート基と反応してウレタン結合を形成可能は化合物である。
水酸基を有する化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロンラクトンポリオール等が挙げられる。
【0056】
また、アンカー層は、所望により、紫外線吸収剤を含むこともできる。したがって、アンカー層を形成するための樹脂に紫外線吸収剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤としては、上記可逆性感熱組成物の含有物として記載したものを使用することができる。
【0057】
[保護層]
保護層は、非接触IC記録媒体の表側に配置されて可逆性感熱記録層を保護するための層である。
可逆性感熱記録層よりも表側に保護層を配置することにより、非接触IC記録媒体の耐熱性及び印字耐久性を向上させることができる。
【0058】
保護層は、紫外線硬化性樹脂で形成されることがより好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等が挙げられる。
【0059】
保護層には、シリカ、シリコーンオイル、ワックス等の滑剤、グリオキザール等の耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等の添加剤が含まれていてもよい。
【0060】
[コアシート]
コアシートは、表基材と裏基材の間に位置しており、かつインレット部分を含む構成要素である。
図1に示されるように、コアシート(6)は、ICチップ(8)を含むインレット部分の表裏にコア基材(7)を積層させることにより形成されることができる。
【0061】
以下に、インレット部分、インレット部分に含まれるフィルム基板、インレット部分に含まれるICチップ、及びコア基材について、それぞれ説明する。
【0062】
[インレット部分]
インレット部分とは、コアシート内に位置する部分をいう。
インレット部分は、フィルム基板を含み、そしてフィルム基板には非接触型通信記録を達成するための部品が搭載されている。
【0063】
非接触型通信記録を達成するための部品としては、ICチップ、アンテナパターン等が挙げられる。
【0064】
[フィルム基板]
フィルム基板は、その上に非接触型通信記録を達成するための部品を保持するために使用される。
フィルム基板は、樹脂フィルムで形成されることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、PETフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、PET−Gフィルム等が挙げられる。なお、PET−Gは、エチレングリコールとテレフタル酸の重合過程において第二のグリコールを追加して共重合することにより得られるコポリエステルである。
【0065】
一般に、フィルム基板上には、その周縁に沿ってアンテナパターンが形成されている。アンテナパターンは、例えば、アルミ箔又は銅箔をフィルム基板に貼り付けて、エッチングでループ形状を形成する方法、スクリーン印刷により銀ペーストを印刷してループ形状を形成する方法、ワイヤーを引き回してループ状にする方法、アンテナパターン用転写箔を転写させてループ状にする方法等を用いて、形成されることができる。
【0066】
[ICチップ]
ICチップは、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、イー・イー・ピー・ロム(EEPROM)等の半導体集積回路を搭載したチップ部品であり、フィルム基板とともにインレット部分を構成する。
ICチップは、フィルム基板の表面に実装された状態で、アンテナパターンに接続されている。
【0067】
[コア基材]
コア基材は、インレット部分とともにコアシートを形成するための材料であり、本明細書ではコア材料とも呼ばれる。
コア材料は、インレット部分に搭載されたICチップをコア基材に良好に埋めるために、耐熱性の低い樹脂であることが好ましい。耐熱性の低い樹脂としては、例えば、PET−G、PVC等が挙げられる。
【0068】
[コアシートの作製方法]
コアシートは、例えば、インレット部分の表裏にコア基材を積層させるか、インレット部分をコア材料で囲むか、又はコア材料にインレット部分を埋め込むことにより、形成されることができる。
【0069】
[印刷層]
印刷層は、印刷により形成される層である。
印刷層は、目視確認可能な情報を伝達するための任意のパターンを有する。パターンとしては、例えば、絵柄、文字、記号、図形、キャラクター、背景色、濃淡等が挙げられる。
【0070】
印刷層は、既知の材料を用いて既知の印刷方法により形成されることができる。また、印刷層は、コアシートの表基材側に、又は表基材のコアシート側に形成されることができる。より詳細には、パターンが、リライトシートのコアシート側に、又はコアシートの表面に印刷されることができる。
【0071】
印刷層の厚さは、リライトシートとコアシートを貼り合わせるときに段差等の歪みを防ぐために、10μm以下であり、さらに3μm以下であることが好ましい。
【0072】
[非接触IC記録媒体の製造方法]
非接触IC記録媒体は、例えば、以下の工程(1)〜(6)を含む方法により製造されることができる:
(1)可逆性感熱組成物とバインダー樹脂を混合し、表基材上に塗工して、可逆性感熱記録層を形成する工程;
(2)所望により、アンカー層を形成するための塗料を可逆性感熱記録層上に塗工して、アンカー層を形成する工程;
(3)紫外線硬化性樹脂を含む組成物を可逆性感熱記録層又はアンカー層上に塗工し、保護層を形成して、リライトシートを得る工程;
(4)表基材の可逆性感熱記録層と反対側にパターンを印刷するか、又はコア基材を提供してコア基材上にパターンを印刷することにより、印刷層を形成する工程;
(5)ICチップ及びアンテナパターンを有するインレット部分を、コア基材に積層して、コアシートを形成する工程;及び
(6)裏基材、コアシート及びリライトシートを、可逆性感熱記録層が表側になるように積層するか、又は貼り合せて、非接触IC記録媒体を得る工程。
【0073】
工程(1)〜(3)は、ワイヤーバー等の塗工機及び乾燥機を用いて行なわれることができる。工程(4)は、印刷機及び紫外線照射機を用いて行なわれることができる。工程(5)及び(6)は、熱プレス機を用いて行なわれることができる。
【0074】
[非接触IC記録媒体のカード化]
非接触IC記録媒体は、所定のリライト性ICカードの寸法に応じて、カードの形態にされることができる。その場合、非接触IC記録媒体で形成されたカードは、680μm〜840μmの厚さを有することが好ましい。
また、カードの歪み又は曲がりを防ぐために、非接触IC記録媒体において、表基材と裏基材は、同じ樹脂で形成されており、かつ同じ厚さを有するように調整されることが好ましい。
【0075】
非接触IC記録媒体のカード化は、打ち抜きダイ、打ち抜きプレス等の打ち抜き機を用いて、非接触IC記録媒体をカードの形状に打ち抜くことにより行なわれることができる。
【実施例】
【0076】
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0077】
[透明基材]
実施例では、以下の基材を使用した:
東洋紡製PET コスモシャインA4300 (厚さ:75μm、100μm、又は125μm);又は
東洋紡製PET エステルフィルムE5201 (厚さ:75μm、又は100μm)
【0078】
比較例では、以下の基材を使用した:
東洋紡製PET コスモシャインA4300 (厚さ:50μm、又は188μm);
東洋紡製PET エステルフィルムE5200 (厚さ:50μm、75μm、100μm、又は125μm);又は
東洋紡製PET エステルフィルムE5201 (厚さ:50μm、又は188μm)
【0079】
[塗料の調製]
可逆性感熱記録層塗料、アンカー層塗料、及び保護層塗料を以下の通りに調製した。なお、以下の重量部は、材料の重量を基準として算出した比である。
【0080】
[可逆性感熱記録層塗料]
以下の材料を混合し、ペイントシェーカーで18時間に亘って分散して、可逆性感熱記録層塗料を得た:
バインダー
・DIC製 WBU−1218(熱硬化性アクリル樹脂) 20重量部
ロイコ染料
・山本化成製 Blue63(ロイコ染料)10重量部
顕減色剤
・N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N’−n−ドコサノヒドラジド(顕減色剤) 40重量部
硬化剤
・三井化学製 タケネート500 (XDI系硬化剤) 20重量部
紫外線吸収剤
・シプロ化成社製 シーソーブ703 (ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤) 10重量部
【0081】
[アンカー層塗料]
以下の材料を配合してアンカー層塗料を得た:
・DIC製 アクリディック44―198 72重量部
・三井化学製 D−110N(XDI系硬化剤) 18重量部
・シプロ化成社製 シーソーブ703 10重量部
【0082】
[保護層塗料]
以下の材料を配合してアンカー層塗料を得た:
・DIC製 ユニディックC7−164 (光硬化性ウレタン−アクリレート樹脂(固形分50%)) 88重量部
・富士シリシア製 サイリシア436(シリカ) 6重量部
・喜多村製 KTL−4N(ポリ四フッ化エチレン) 5重量部
・藤倉化成製 AD−8719D(シリコーンオイル) 1重量部
・希釈剤 トルエン(保護層塗料の固形分が20%になる量で、トルエンを使用した)
【0083】
[リライトシートの作製]
以下のように、可逆性感熱記録層、アンカー層及び保護層を順に形成して、リライトシートを作製した。
【0084】
[可逆性感熱記録層]
下記表1に示されるように第一の透明基材を準備した。ワイヤーバーで可逆性感熱記録層塗料を透明基材に塗工し、100℃で2分間に亘って乾燥させて、乾燥膜厚として11μmの厚さを有する可逆性感熱記録層を形成した。
【0085】
[アンカー層]
ワイヤーバーでアンカー層塗料を可逆性感熱記録層上に塗工し、100℃で1分間に亘って乾燥させて、乾燥膜厚として0.5μmの厚さを有するアンカー層を形成した。
【0086】
[保護層]
ワイヤーバーで保護層塗料をアンカー層上に塗工し、100℃で1分間に亘って乾燥させ、以下の条件下で紫外線を照射して硬化させて、乾燥膜厚として5μmの厚さを有する保護層を形成した:
<紫外線照射条件>
UVランプ装置:フュージョンUVシステムズジャパン製F600S
ランプ出力(保護層のUV照射強度):120W/cm、又は240W/cm
コンベア(ベルト)速度:30m/分
パス回数:1パス
【0087】
[コアシートの準備]
図2に示されるような構成を有するコアシートを準備した。
なお、コア基材としてPET−Gシートが使用されており、かつ非接触型ICチップを含むアンテナシートが2つのPET−Gシートに挟まれている。
また、コアシートの厚さは、
図2及び下記表1に示される透明基材の厚さ及びカード全体の厚さに応じて、530μm〜690μmの範囲で調整された。
【0088】
[絵柄の印刷]
オフセット印刷機を用いて、着色剤含有塗料をコアシート基材上に2μmの膜厚で塗工し、以下の条件下で紫外線を照射して硬化させて、絵柄印刷層を形成した:
<紫外線照射条件>
UVランプ装置:フュージョンUVシステムズジャパン製F600S
ランプ出力(UV照射強度):240W/cm
コンベア(ベルト)速度:30m/分
パス回数:1パス
【0089】
[非接触IC記録媒体の作製及びカード化]
第一の透明基材と同じ材料で形成されており、かつ同じ厚さを有する第二の透明基材を準備した。
図2に示されるように、上記で作製したリライトシートが最上層となるように、リライトシート、コアシート及び第二の透明基材を積層し、熱プレスにより貼り合せて、非接触IC記録媒体を作製した。
また、非接触IC記録媒体をカードの形態に型抜きして、カードを作製した。
【0090】
[評価手順]
上記で作製したカード又はリライトシートを使用して、以下の評価方法及び評価基準に従って、カードを評価した。
【0091】
[評価方法及び評価基準]
[ヘイズ値]
ヘイズメーターHR−100(村上色彩技術研究所製)を使用し、JISK−7105に基づいて、ヘイズ値を測定した。
【0092】
[基材の変形性(カール性)]
非接触IC記録媒体を作製する前に、リライトシートを10cm四方にカットし、透明基材(表基材)の端部の高さを測定した。以下の基準に従って、基材の変形性(カール性)を決定した:
○:高さが5cm以下である。
×:高さが5cmを超えるか、又は透明基材が筒状にカールする。
【0093】
[視認性]
下記表1中の記号「※」により表される比較例4の視認性を基準として、以下のように視認性を決定した:
○:絵柄が、比較例4と同等か、又は比較例4よりも鮮明に見える。
×:絵柄が、比較例4と比べて、鮮明に見えない。
【0094】
[印字耐久性]
印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)を使用し、印字と消去を100回に亘って繰り返して、以下の基準に従って、印字耐久性を決定した:
○:印字部の保護層が剥れない。
×:印字部の保護層が剥れる。
【0095】
[耐エタノール性]
印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)を使用して、カードに1回の印字を行なってから、カードを100%エタノールに24時間に亘って浸漬した。その後、以下の基準に従って、耐エタノール性を決定した:
○:印字が消えない。
×:印字が消える。
【0096】
[ICチップの隠蔽性]
カードの外観を目視で観察して、以下の基準に従って、ICチップの隠蔽性を決定した:
○:目視でICチップの位置を確認できない。
×:目視でICチップの位置を確認できる。
【0097】
[耐熱性]
JISX6305−1に基づいて、カードの耐熱性評価を行なって、以下のようにカードの耐熱性を決定した:
○:JISX6305−1の規格値の範囲内である。
×:JISX6305−1の規格値の範囲外であり、カードが変形する。
【0098】
[評価結果]
実施例1〜5及び比較例1〜10について、使用された透明基材の品名、厚さ及びヘイズ値、保護層のUV照射強度、カード全体の厚さ、並びにカードの評価結果を下記表1に示す。
なお、比較例1及び5については、リライトシートにおいて第一の透明基材が顕著にカールして、カードを作製することができなかったので、カードの評価を行わなかった。
【0099】
【表1】