特許第6296707号(P6296707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296707
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】オフセット作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   A01B35/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-122683(P2013-122683)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-239658(P2014-239658A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】頭司 宏明
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸治
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−010649(JP,A)
【文献】 特開平09−238504(JP,A)
【文献】 特開平09−309465(JP,A)
【文献】 特開2006−180758(JP,A)
【文献】 特開2010−227117(JP,A)
【文献】 特開2007−274952(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第2000−0021132(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00−31/00
A01B 35/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に装着される装着部と、
前記走行機体の車幅方向へオフセットした位置で作業を実行可能な作業部と、
前記装着部と前記作業部とを連結し、前記作業部を移動可能な連結部と、
前記連結部を駆動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する処理部と、
前記作業部を作業者に応じたオフセット位置へ自動的に移動させるための作業者オフセット位置を記憶できる記憶部と、
前記作業者の操作に基づいて前記処理部へ前記駆動機構の制御を指示する操作部と、
を有するオフセット作業機であって、
前記処理部は、
前記操作部からの、前記作業部のオフセット位置の調整指示に基づいて前記駆動機構を制御し、前記作業部のオフセット位置を調整し、
前記操作部からの、前記オフセット位置の調整指示とは別の更新指示に基づいて、前記記憶部に記憶する前記作業者オフセット位置を更新し、
前記作業部が畦の終了直前から終了までの角塗り作業を実行した後、前記操作部から前記作業部を前記作業者オフセット位置へ移動させる旨の指示を受けると、前記作業部を前記角塗り作業の終了位置から前記走行機体の後方の略中央位置へ移動させて当該移動を中断させ、前記操作部から前記作業部の移動を再開させる旨の指示を受けると、前記作業部の前記作業者オフセット位置までの移動を再開させる、
オフセット作業機。
【請求項2】
前記作業部の移動を再開させる旨の指示は、前記角塗り作業を実行した畦とは異なる畦に対して前記走行機体の位置決めが完了した旨の指示である、請求項に記載のオフセット作業機。
【請求項3】
前記走行機体の位置決めが完了した旨の指示を行うための前記操作部の操作は、前記作業部を前記作業者オフセット位置へ移動させる旨の指示を行うための前記操作部の操作とは別の操作である、請求項に記載のオフセット作業機。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに前記走行機体の車幅に対応して予め設定された前記作業部のオフセット位置を記憶し、
前記処理部は、前記記憶部に前記作業者オフセット位置が記憶されている場合、前記予め設定されたオフセット位置および前記作業者オフセット位置の中の、前記作業者オフセット位置に基づいて前記作業部を移動させる、請求項1からのいずれか一項に記載のオフセット作業機。
【請求項5】
前記オフセット位置の更新指示を行うための前記操作部の操作は、前記オフセット位置の調整指示を行うための前記操作部の操作とは別の操作である、請求項1からのいずれか一項に記載のオフセット作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦塗り機などのオフセット作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は、走行機体に装着して使用される畦塗り機を開示する。
畦塗り機は、トラクタなどの走行機体に装着し、農作業に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−275188号公報
【特許文献2】特開2012−200163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような畦塗り機などのオフセット作業機は、使用する場合、作業者が走行機体に装着し、オフセット作業機のオフセット位置を調整する必要がある。作業者は、オフセット作業機を使用する度に、これらの設定作業を実施する必要がある。
【0005】
そこで、オフセット作業機に、走行機体の車幅に対応した作業機のオフセット位置を予め記憶させ、作業者がこの予め記憶されている車幅対応のオフセット位置を利用することが考えられる。これにより、調整作業が不要にできる可能性がある。
しかしながら、このようにオフセット作業機に、走行機体の車幅に対応した作業機のオフセット位置を予め記憶させたとしても、設定作業の作業性を改善する結果とならない可能性がある。
たとえば、特許文献2のように、オフセット位置を調整したら、記憶するオフセット位置を自動的に更新する場合、たとえば作業者が一時的にまたは不要にオフセット位置を調整した場合においても、記憶するオフセット位置が自動的に更新されてしまう。この場合、その次の作業では、一時的なまたは不要なオフセット位置に自動的に調整されてしまうことになる。作業者は、一時的なまたは不要なオフセット調整をする度に、作業者に最適なオフセット位置への再調整を余儀なくされる。
【0006】
このように、オフセット作業機では、オフセット作業機の作業性を改善することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオフセット作業機は、走行機体に装着される装着部と、走行機体の車幅方向へオフセットした位置で作業を実行可能な作業部と、装着部と作業部とを連結し、作業部を移動可能な連結部と、連結部を揺動移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部と、作業部の格納位置、および作業部を作業者に応じたオフセット位置へ自動的に移動させるための作業者オフセット位置、を記憶できる記憶部と、を有するオフセット作業機であって、作業者の操作に基づいて制御部へ駆動機構の制御を指示する操作部を有し、制御部は、操作部からの、作業部のオフセット位置の調整指示に基づいて駆動機構を制御し、作業部のオフセット位置を調整し、操作部からの、オフセット位置の調整指示とは別の更新指示に基づいて、記憶部に記憶する作業者オフセット位置を更新し、作業者にとって最適な任意のオフセット位置への自動制御を実現する。
【0008】
好適には、作業部は、車幅方向にオフセットした位置で畦塗り作業を実行し、複数の畦に対して連続的な畦塗り作業をする際に、記憶部に記憶する作業者オフセット位置を用いて、複数の畦の各々について自動的に移動する、とよい。
【0009】
好適には、作業部は、複数の畦の中の第1畦への角塗り作業を実行した後、該第1畦の角塗り作業の終了位置から、複数の畦の中の第2畦における作業者オフセット位置まで、移動する、とよい。
【0010】
好適には、作業部は、第1畦の角塗り作業の終了位置から第2畦の作業者オフセット位置までの移動を、途中で中断し、第2畦に対して走行機体が位置決めされた状態で、該中断位置から作業者オフセット位置までの移動を再開する、とよい。
【0011】
好適には、作業部は、操作部からの、移動再開指示があった場合、移動を再開し、中断位置から作業者オフセット位置まで移動する、とよい。
【0012】
好適には、記憶部は、走行機体の車幅に対応して予め設定された作業部のオフセット位置を記憶し、作業部は、記憶部に作業者オフセット位置が記憶されている場合、予め設定されたオフセット位置および作業者オフセット位置の中の、作業者オフセット位置に基づいて移動する、とよい。
【0013】
好適には、記憶部は、作業部についての、操作部の操作に基づいて調整されたオフセット位置を、調整のための操作部の操作とは別の操作に基づいて作業者オフセット位置として記憶する、とよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、作業者が設定した、作業者にとって最適な作業者オフセット位置を記憶し、作業部は、その作業者オフセット位置へ自動的に移動する。よって、作業者は、オフセット作業機を使用する度に、作業部の位置を、作業者にとって最適なオフセット位置へ調整する必要がない。
しかも、作業者オフセット位置の更新は、作業部のオフセット位置の調整指示とは別の更新指示に基づいてなされる。よって、たとえば作業者が一時的にまたは不要にオフセット位置を調整した場合には、作業者オフセット位置は更新されない。そのような調整があった後でも、作業部は、作業者にとって最適なオフセット位置に移動する。
オフセット作業機の作業性を総合的に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る畦塗り機の、退避状態での上面図である。
図2図2は、図1の畦塗り機の、オフセット状態での上面図である。
図3図3は、図1の畦塗り機の、制御部の構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1の畦塗り機による角塗り作業の説明図である。
図5図5は、第1実施形態での連続的な畦塗り処理における制御フローチャートである。
図6図6は、第2実施形態での連続的な畦塗り処理における制御フローチャートである。
図7図7は、第3実施形態に係る畦塗り機の、前進オフセット位置での上面図である。
図8図8は、図7の畦塗り機の、退避位置での上面図である。
図9図9は、図7の畦塗り機の、後進オフセット位置での上面図である。
図10図10は、図7の畦塗り機による後進角塗り作業の説明図である。
図11図11は、第3実施形態での連続的な畦塗り処理における制御フローチャートである。
図12図12は、第4実施形態での連続的な畦塗り処理における制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係るオフセット作業機としての、畦塗り機1を示す上面図である。図1は、退避状態である。図2は、オフセットした作業状態である。畦塗り機1は、農作業機の一例である。
畦塗り機1は、トラクタなどの走行機体100の後部に装着して使用される。畦塗り機1を装着した走行機体100が、たとえば圃場の外周に沿って形成されている旧畦に沿って移動することにより、畦塗り機1は、旧畦に対して畦塗り作業を実施する。これにより、補修された新たな畦が成形される。
図1の畦塗り機1は、作業機本体として、装着部2、連結部3、作業部4、動力伝達機構5、駆動機構6、制御部7(図3を参照)を有する。
以下、図1を基準として、上下左右前後を使用する。また、図1の紙面を水平方向とし、図1の紙面の上下方向を垂直方向という。また、図1の左右方向が、走行機体100の車幅方向に相当する。
【0018】
作業部4は、畦塗り機1に対する畦塗り作業を実行する。作業部4は、旧畦に対して位置決めされ、旧畦に対する畦塗り作業を実行する。
作業部4は、たとえば、天場処理部11、前処理部12、整畦部13、作業フレーム14を有する。
天場処理部11は、回転駆動される天場ロータ15を有する。天場ロータ15は、略台形断面の旧畦の天場に対して位置決めされる。この状態で回転駆動されることにより、天場ロータ15は、天場を掘り返す。
前処理部12は、回転駆動される耕耘ロータ16を有する。耕耘ロータ16は、ロータリ爪を有する。耕耘ロータ16は、略台形断面の旧畦の側面に対して位置決めされる。この状態で回転駆動されることにより、耕耘ロータ16は、旧畦の側表面部分を切り崩す。また、耕耘ロータ16は、切り崩した土を旧畦に盛る。
整畦部13は、回転駆動される円錐傘状ドラム17と、円錐傘状ドラム17と同軸に円錐傘状ドラム17の中心に一体に取り付けられた円筒ドラム18と、を有する。整畦部13は、円錐傘状ドラム17が旧畦の側表面部分と接触し、円筒ドラム18が旧畦の天場と接触する状態に位置決めされる。この状態で回転駆動されることにより、整畦部13は、旧畦の側面および天場に盛られた土を、旧畦に塗り付ける。この畦塗り作業により、畦が、断面略台形の形状に整形される。
作業フレーム14は、天場ロータ15、耕耘ロータ16、円錐傘状ドラム17を回転可能に軸支する。なお、作業フレーム14が、第1作業フレームと、第1作業フレームに対して揺動可能な第2作業フレームとで構成され、第1作業フレームが、円錐傘状ドラム17を軸支し、第2作業フレームが天場ロータ15および耕耘ロータ16を軸支する、ようにしてもよい。
【0019】
装着部2は、畦塗り機1を、走行機体100の後部に装着する。
装着部2は、たとえば、装着フレーム21、上連結部22、下連結部23を有する。上連結部22および下連結部23は、垂直方向に立てた装着フレーム21の上下に設けられる。上連結部22および下連結部23は、走行機体100の後部の三点リンク機構に対して、着脱可能に装着される。これにより、装着フレーム21は、走行機体100の後部に連結される。装着フレーム21は、作業中に脱落しないように強固に固定される。この状態で、走行機体100のPTO軸と、畦塗り機1の動力伝達機構5とが、図示しないユニバーサルジョイント等を介して連結される。
【0020】
連結部3は、作業部4と装着部2とを連結する。作業部4は、装着部2を、装着部2を中心として水平面内で回転可能に連結する。
連結部3は、長尺のオフセットフレーム31、オフセットフレーム31と略同尺のリンクロッド32、支持フレーム33、を有する。
長尺のオフセットフレーム31の一端は、装着部2の装着フレーム21に回動可能に取り付けられる。他端は、支持フレーム33に回動可能に取り付けられる。
長尺のリンクロッド32の一端は、装着部2の装着フレーム21に回動可能に取り付けられる。他端は、支持フレーム33に回動可能に取り付けられる。
装着部2の装着フレーム21、連結部3のオフセットフレーム31、支持フレーム33、およびリンクロッド32は、矩形枠を構成する。
矩形枠は、水平面内で矩形と平行四辺形との間で変形可能である。変形可能な矩形枠は、装着フレーム21を中心として水平面内で回動可能な平行リンクを構成する。支持フレーム33は、装着フレーム21に対して一定の姿勢を維持したまま、装着フレーム21の周囲で回動する。
支持フレーム33には、作業部4の作業フレーム14が取り付けられる。平行リンクが水平面内で搖動可能であるため、作業部4の作業フレーム14は、装着部2の装着フレーム21を中心として水平面内で回動する。作業部4の作業フレーム14は、走行機体100の左右方向に対して一定の方向の姿勢を維持したまま、装着部2の装着フレーム21を中心として回動する。作業部4は、平行リンクの回動により、走行機体100の左右幅方向の中央位置と、左右の車幅方向へオフセットした位置との間で、一定の方向の姿勢を維持したまま平行に移動する。作業部4は、オフセット位置にかかわらず、円筒ドラム18および円錐傘状ドラム17の回転軸の方向が左右幅方向に維持されるように、平行に移動する。
【0021】
動力伝達機構5は、走行機体100のPTO軸の駆動力を、作業部4へ伝える。
動力伝達機構5は、入力軸41、第一環状チェーン42、中継軸43、出力軸44、図示外の第二環状チェーンを有する。
入力軸41は、軸方向を縦にして装着フレーム21に設けられる。入力軸41は、上下方向の軸を中心として回転可能に取り付けられる。入力軸41は、ユニバーサルジョイント等の伝動継手部材を介して、走行機体100のPTO軸と連結される。
中継軸43は、軸方向を縦にして支持フレーム33に設けられる。中継軸43は、上下方向の軸を中心として回転可能に取り付けられる。
第一環状チェーン42は、入力軸41と中継軸43との間に架け渡される。これにより、中継軸43は、作業部4のオフセット位置にかかわらず、入力軸41の回転に従って回転できる。
出力軸44は、軸方向を横(水平方向)にして作業フレーム14に設けられる。出力軸44は、水平方向の軸を中心として回転可能に取り付けられる。出力軸44は、左右幅方向に沿って延在する。出力軸44の一端は、たとえばギアにより中継軸43と連結される。出力軸44の先端には、円錐傘状ドラム17および円筒ドラム18が同軸に取り付けられる。円錐傘状ドラム17および円筒ドラム18は、出力軸44とともに中継軸43の回転に従って回転する。
第二環状チェーンは、出力軸44と天場ロータ15の回転軸および耕耘ロータ16の回転軸との間に架け渡される。天場ロータ15および耕耘ロータ16は、中継軸43の回転に従って回転する。
作業部4の円錐傘状ドラム17、円筒ドラム18、天場ロータ15および耕耘ロータ16は、走行機体100の駆動力により回転駆動される。
【0022】
駆動機構6は、作業部4を、所望のオフセット位置および作業方向に位置決めする。
駆動機構6は、たとえば、オフセットシリンダ51、方向シリンダ52、を有する。オフセットシリンダ51および方向シリンダ52は、たとえば電動油圧シリンダでよい。
オフセットシリンダ51は、一端が装着フレーム21に取り付けられ、他端が支持フレーム33に取り付けられる。オフセットシリンダ51の長さが変化すると、走行機体100の左右方向中央に対する作業部4のオフセット量が変化する。これにより、作業部4のオフセット位置を調整できる。
方向シリンダ52は、一端が支持フレーム33に取り付けられ、他端が作業フレーム14に取り付けられる。また、作業フレーム14は、支持フレーム33から回転可能に吊り下げられる。方向シリンダ52の長さが変化すると、支持フレーム33に対する作業フレーム14の角度が変化する。これにより、作業部4の作業方向を調整できる。
駆動機構6は、オフセットシリンダ51および方向シリンダ52を所定の長さに調整して保持する。これにより、作業部4のオフセット位置および作業方向は、所定の状態に固定される。
なお、支持フレーム33に対して作業フレーム14を回転可能とする場合、作業フレーム14を支持フレーム33に固定する、図示外のロック機構を設けるとよい。ロック機構は、出力軸44が左右幅方向に沿った状態となる姿勢で作業フレーム14を支持フレーム33に固定する。ロック機構が閉じている場合、連結部3と作業部4とが一体化する。オフセットシリンダ51の長さのみを調整することにより、作業部4の円錐傘状ドラム17および円筒ドラム18の回転軸を左右幅方向に沿った状態に維持したまま、作業部4のオフセット位置を調整できる。作業部4を平行移動できる。
【0023】
ところで、畦塗り機1は、シーズン以外では、トラクタなどの走行機体100から取り外される。そして、作業に使用する際に、走行機体100の後部に取り付けられる。このため、作業者は、畦塗り機1を使用する度に、走行機体100に畦塗り機1を取り付け、作業部4のオフセット位置を調整する必要がある。
そこで、畦塗り機1に、大きさが異なる複数の走行機体100の機種毎に、各々の車幅に対応したオフセット位置を予め記憶させ、作業者に、その内からオフセット位置を選択させることが考えられる。
【0024】
しかしながら、このように走行機体100の機種毎のオフセット位置を畦塗り機1に記憶させたとしても、必ずしも作業性を向上させることにはならない。
たとえば、走行機体100の機種毎に予め設定された複数の位置からオフセット位置を選択できるとしても、その選択した位置が、作業者の感覚に合った最適なオフセット位置とは限らない。たとえば身長などの身体的特徴が異なる作業者の間では、走行機体100の乗車状態が異なる。この複数の作業者が同型の走行機体100を使用する場合、それぞれの乗車感覚に応じて最適なオフセット位置が異なる。この微妙なオフセット位置のずれが、畦の仕上がりに影響を与える。したがって、畦塗り機1に、走行機体100の機種毎のオフセット位置を記憶させたとしても、必ずしも現実の作業性を向上させることにならない。
【0025】
また、オフセット位置を調整したら、記憶するオフセット位置が自動的に更新されてしまう場合、たとえば作業者が一時的にまたは不要にオフセット位置を調整した場合においても、記憶するオフセット位置が自動的に更新されてしまう。この場合、その次の作業では一時的なまたは不要なオフセット位置に自動的に調整されてしまうことになる。
【0026】
そこで、本実施形態では、畦塗り機1に、作業者が設定した、作業者毎に最適なオフセット位置を記憶させ、その作業者にとって最適なオフセット位置を、次回以降の作業において再利用する。
【0027】
また、たとえば一日の畦塗り作業の全体について考えると、一日の作業開始前に前回使用した最適なオフセット位置へ再設定できるだけでなく、各畦に対する角塗り作業をした後においても最適なオフセット位置に再設定できるようにすることが望まれる。たとえば、畦枠を構成する複数の畦に対して順番に畦塗り作業をする場合、各畦を塗る度に角塗り作業が発生する。そして、1つの角塗り作業の後に、次の畦に対してオフセット位置を再設定する必要がある。
角塗り作業には、後述するように例えば前進式のものがある。前進式の角塗り作業では、作業部4が畦枠の角へ向けて移動する際に、作業者は、作業部4の移動に同期させて走行機体100を畦から離れるように旋回させる。また、角塗り作業が終了した後には、作業した畦を傷めないように畦から作業部4を離し、更に走行機体100を移動させ、次の畦に対して走行機体100を位置決めする。このような一連の複雑な角塗り作業に続けて、更に次の畦におけるオフセット位置の調整作業を要求することは、作業者に多大な負担をかける。このように、畦塗り機1では、角塗り作業の開始から次の畦塗り作業を開始するまでの連続的な畦塗り期間における作業者の作業をできるだけ減らすことが望まれる。連続的な畦塗り作業での作業者の作業をできるだけ減らすことが望まれる。
そこで、本実施形態では、畦塗り機1に、作業者が設定した作業部4の作業者オフセット位置72を記憶させ、作業部4を、この作業者に最適なオフセット位置に移動させる。
以下、詳しく説明する。
【0028】
図3は、図1の畦塗り機1の制御部7の構成を示すブロック図である。
図3の制御部7は、畦塗り機1の全体の動作を制御する。たとえば、作業部4の動作、停止、オフセット位置、作業方向を制御する。
制御部7は、記憶部61、処理部62、操作部63、オフセット角センサ64、回動角センサ65、を有する。
制御部7は、たとえばメモリ、I/Oポート、プロセッサを有するマイクロコンピュータにより実現できる。プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータに、記憶部61、処理部62、操作部63が実現される。制御部7は、たとえば装着フレーム21に設けられる。
【0029】
記憶部61は、作業部4についての車幅方向でのオフセット位置として、複数のプリセット位置71と、作業者オフセット位置72と、を記憶する。記憶部61は、電源遮断状態でオフセット位置を保持できるものであればよく、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリでよい。
【0030】
プリセット位置71は、畦塗り機1の出荷前に予め設定された作業部4のオフセット位置である。プリセット位置71は、走行機体100の種類毎に、各々の車幅に応じて予め設定された作業部4のオフセット位置である。畦塗り機1を装着可能な走行機体100の機体幅毎に設定されればよい。プリセット位置71は、たとえば作業部4の円錐傘状ドラム17が、畦塗り機1を装着する走行機体100の側面より外へ突出する位置であればよい。
【0031】
作業者オフセット位置72は、畦塗り機1の出荷後に作業者により設定された作業部4のオフセット位置である。作業者オフセット位置72は、作業者が操作部63を操作して設定した、作業者にとって最適なオフセット位置である。作業者は、操作部63を操作して、作業部4をたとえばプリセット位置71へ移動させ、さらに微調整する。または、作業者は、操作部63を操作して、作業部4を所望のオフセット位置まで移動させる。記憶部61は、この調整後のオフセット位置を、作業者オフセット位置として記憶する。この調整後の作業者オフセット位置72は、通常は、プリセット位置71と異なる位置である。記憶部61は、作業者オフセット位置72として、作業部4の任意のオフセット位置を略無段階で記憶できる。また、記憶部61は、作業部4のオフセット位置が再調整された場合、その再調整後のオフセット位置により、作業者オフセット位置72を更新してよい。
【0032】
この他にもたとえば、記憶部61は、作業部4を切り替えて設定する位置として、たとえば走行機体100の左右方向略中央で且つ後方の格納位置75を記憶してよい。
【0033】
操作部63は、たとえば複数のボタン73を有する。複数のボタン73は、たとえば電源ボタン、オフセット位置調整ボタン、保存ボタンなどである。各ボタンは、畦塗り機1の各機能に対応して設けられてよい。複数のボタン73は、たとえば畦塗り機1の機器本体とは別体に形成されたリモートコントローラ74に設けられてよい。リモートコントローラ74は、たとえば走行機体100の操縦部に取り付けることができる。作業者は、走行機体100に乗車したまま作業機を操作できる。
操作部63は、作業者に操作されたボタン73に対応する操作信号を処理部62へ出力する。操作部63は、作業者の操作に基づいて、たとえば、作業部4の位置を切り替えるための操作信号を、処理部62へ出力する。また、操作部63は、作業者の操作に基づいて、作業部4の駆動を起動または停止するための操作信号を、処理部62へ出力する。
【0034】
オフセット角センサ64は、作業部4についての左右幅方向のオフセット位置を検出して処理部62へ出力する。オフセット角センサ64は、たとえばポテンショメータである。オフセット角センサ64は、たとえばオフセットフレーム31に設けられ、装着部2に対する連結部3の延在方向(角度)を、オフセット位置に対応する値として検出する。
【0035】
回動角センサ65は、作業部4の作業方向を検出して処理部62へ出力する。回動角センサ65は、たとえばポテンショメータである。回動角センサ65は、たとえば作業フレーム14に設けられ、支持フレーム33に対する作業部4の開度(角度)を、作業部4の作業方向として検出する。
【0036】
処理部62は、畦塗り機1を制御する。処理部62は、オフセット角センサ64、回動角センサ65、記憶部61、操作部63、オフセットシリンダ51、方向シリンダ52、に接続される。処理部62は、たとえば操作部63から入力される指示に基づいて、畦塗り機1の動作を制御する。
【0037】
処理部62は、駆動機構6のオフセットシリンダ51および方向シリンダ52を制御する。これにより作業部4のオフセット位置および作業方向が調整される。
作業者は、走行機体100を旧畦に沿った位置に位置決めした後、リモートコントローラ74のボタン73を操作する。走行機体100を旧畦の横に停車させた状態で、リモートコントローラ74のボタン73を操作する。処理部62は、操作部63からの入力信号に基づいて、作業部4を移動させる。作業部4は、走行機体100の左右方向略中央で且つ後方の格納位置75から、旧畦に接触するオフセット位置へ移動する。
記憶部61に作業者オフセット位置72が記憶されている場合、処理部62は、プリセット位置71および作業者オフセット位置72の中から作業者オフセット位置72を選択する。処理部62は、オフセットシリンダ51の長さを制御する。連結部3は、平行リンクに従ってスイングする。作業部4は、作業者オフセット位置72へ移動して位置決めされる。
記憶部61に作業者オフセット位置72が記憶されていない場合、処理部62は、作業者のボタン73操作に基づいて、たとえばプリセット位置71を選択する。処理部62は、作業部4を、プリセット位置71に位置決めする。さらに、作業者がボタン73を操作すると、作業部4がプリセット位置71から移動する。この状態で、作業者が、作業部4を移動させるために操作するボタン73とは別のボタン73を操作すると、操作部63は、オフセット位置の調整指示とは別の更新指示を処理部62へ出力し、記憶部61は、その別の更新指示に基づいて、その微調整後のオフセット位置を、作業者にとって最適なオフセット位置として記憶する。これにより、記憶部61に、作業者オフセット位置72が格納される。これにより、作業部4は、作業者にとって最適なオフセット位置に位置決めされる。
なお、上述した別のボタン73は、たとえばオフセット位置の調整ボタンとは異なる保存ボタンでもよい。
また、作業者オフセット位置72は、更新により書き換えられる。新たな作業者オフセット位置72を記憶部61に記憶させると、それまでの作業者オフセット位置72は、記憶部から消去される。
【0038】
なお、作業者は、たとえば走行機体100のクラッチ操作により、作業部4の動作および停止を制御する。これにより、旧畦に対する畦塗りが可能になる。
作業者は、作業部4を所望のオフセット位置に位置決めした後、操作部63のボタン73を操作する。処理部62は、操作部63からの入力信号に基づいて、作業部4を起動する。作業部4の天場ロータ15、耕耘ロータ16、円錐傘状ドラム17は、回転駆動される。天場処理部11は、天場を掘り返す。耕耘ロータ16は、切り崩した土を旧畦に盛る。整畦部13は、旧畦の側面および天場に盛られた土を、旧畦に塗り付ける。
【0039】
作業者は、作業部4の天場ロータ15、耕耘ロータ16、円錐傘状ドラム17が回転駆動している状態で、走行機体100を旧畦に沿って走行させる。これにより、旧畦に対する畦塗り作業が実施される。畦塗り機1は、成形された畦を形成できる。たとえば矩形の畦において畦の一辺に沿って走行機体100を直進させると、直線状に延びる畦を成形できる。
なお、一般的な畦塗り作業では、この通常の直進的な畦塗り作業の後に、後述する角塗り作業を実施する。角塗り作業を実施しないで作業を終了する場合、作業者は、リモートコントローラ74のボタン73を操作する。処理部62は、オフセットシリンダ51を制御する。連結部3は、平行リンクに従ってスイングする。作業部4は、走行機体100の左右方向略中央の格納位置75へ移動して位置決めされる。
【0040】
次に、畦塗り機1による角塗り作業について説明する。
図4は、図1の畦塗り機1による角塗り作業の説明図である。
図4(A)に示すように、たとえば矩形の畦の一辺(ここでは第1畦R1)に沿って走行機体100を直進させて畦塗りを実行すると、走行機体100は、矩形の畦の角C1に到達する。走行機体100はそれ以上前進できない。作業者は、図4(A)中に点線で示すようにハンドルを切って前輪を傾け、矩形の畦の角C1において走行機体100の進行方向を転換する必要がある。
しかしながら、走行機体100の進行方向を転換すると、直線状の畦に沿って移動している作業部4は、畦から外れる。作業部4は、畦の端(角C1)まで、畦塗り作業を実施できない。
そこで、畦塗り機1は、畦の端(角C1)まで畦塗り作業を実施するために、自動角塗りモード(自動動作モード)を有する。
【0041】
作業者は、たとえば図4(A)の位置で、走行機体100を停車させる。作業者は、リモートコントローラ74のボタン73を操作する。処理部62は、操作部63からの操作信号に基づいて、通常の直進畦塗りモードから、自動角塗りモードに切り替わる。
自動角塗りモードにおいて、処理部62は、駆動機構6を制御する。図4(B)から図4(D)に示すように、走行機体100の旋回中に作業部4が矩形の畦の角C1へ向かって直進するように、処理部62は、オフセットシリンダ51の長さおよび方向シリンダ52の長さを制御する。オフセットシリンダ51の伸縮により、作業部4のオフセット量が変化する。方向シリンダ52の伸縮により、作業部4の作業方向が変化する。
この自動制御により、作業部4は、走行機体100の旋回中に、畦の端(角C1)までの連続的な畦塗りを実施できる。畦塗り機1は、矩形の畦の各辺に沿った一回の走行により、該畦の一端から他端までに畦塗り処理を実施できる。
【0042】
たとえば、作業者は、操作部63のボタン73を操作して自動角塗りモードに切り替えた後、走行機体100をたとえば左回りに旋回させる。
この場合、処理部62は、走行機体100の左回りの旋回中に作業部4が畦に沿って直線的に移動するように、作業部4のオフセット量を増減させる。走行機体100の旋回が始まると、図4(B)に示すように、作業部4のオフセット位置は、左側へ切り替わる。その後、図4(D)に示すように走行機体100が旋回し切った状態においては、作業部4は、走行機体100の略後方に位置する。
また、処理部62は、走行機体100の左回りの旋回中に、天場処理部11、前処理部12および整畦部13が畦に接触した状態に維持されるように、連結部3に対する作業部4の作業方向の角度を増減させる。走行機体100の旋回が始まると、図4(B)に示すように、連結部3に対する作業部4の作業方向の角度は、一端小さくなる。その後、図4(C)に示すように走行機体100の旋回が進むと、連結部3に対する作業部4の作業方向の角度は、大きくなる。図4(D)に示すように走行機体100が旋回し切った状態においては、連結部3に対する作業部4の作業方向の角度は、最大の角度に開く。
これにより、自動角塗りモードにおいて、作業部4は、作業中の畦の端(角C1)まで直進できる。畦の端(角C1)まで畦塗り作業を実施できる。
【0043】
第1畦R1に対する角塗り作業が畦の端(角C1)まで完了すると、作業者は、次の第2畦R2に対する畦塗りを開始する。処理部62は、第2畦R2に対する連続的な畦塗り処理を開始する。
連続的な畦塗り処理において、作業者は走行機体100を第2畦R2の長手方向に付け直す。処理部62は、作業部4を、第1畦R1に対する角塗り作業の完了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置72まで、移動させる。図4(D)の位置から、第2畦R2における図4(A)に相当する位置まで、移動させる。なお、第1畦R1における角塗り作業の完了位置は、作業の度に変動するものである。
処理部62は、図4(D)の状態で、たとえば走行機体100の旋回停止を検出し、または操作部63からの入力信号の入力に基づいて、自動角塗りモードの終了を判断する。その後、作業者は走行機体100を第2畦R2の長手方向に付け直す。その後、処理部62は、通常の直進畦塗りモードでの動作を開始する。処理部62は、操作部63からの入力信号に基づいて、通常の直進畦塗りモードでの動作を開始してもよい。
【0044】
図5は、第1実施形態の連続的な畦塗り処理における、処理部62による作業部4の制御フローチャートである。なお、以下では、第1畦R1において通常の直進畦塗りモードから自動角塗りモードへ切り替わり、その後、再び第2畦R2において通常の直進畦塗りモードで作業を再開するという連続的な畦塗り処理における、一連の作業中での作業者の操作を含めて説明する。
【0045】
第1畦R1の角塗り作業の終了位置から、第2畦R2に対する作業者オフセット位置まで走行機体100を移動させるために、作業者は、走行機体100を操作する。走行機体100の後部の三点リンク機構が上昇する。作業部4の全体が持ち上がり、第1畦R1から作業部4が離間する。
作業部4が上方に退避した状態のままで、処理部62は、操作部63から入力される指示により、オフセット角センサ64および回動角センサ65に基づいて作業部4のオフセット位置および作業方向を検出しながらオフセットシリンダ51および方向シリンダ52を制御し、作業部4を、作業者オフセット位置72へ移動させる(ステップST1)。
作業部4は、上方に退避した状態のままで、作業者オフセット位置72において前進方向へ作業できる位置および姿勢に位置決めされる。作業部4は、作業者オフセット位置72の上方に退避した状態に位置決めされる。
この状態で、処理部62は、作業部4の上方への移動処理が完了する(ステップST2)。
【0046】
作業部4についての作業者オフセット位置72までの移動が完了した状態で、作業者は、走行機体100を走行させ、走行機体100を第2畦R2に沿った位置に位置決めする。第2畦R2に対する走行機体100の位置決めが完了すると、作業者は、作業部4を、作業者オフセット位置72の上方に退避した位置から降下させる。作業者は、走行機体100を操作し、走行機体100の後部の三点リンク機構が降下する。作業部4の全体が降下する。
【0047】
これにより、作業部4は、第2畦R2における作業者オフセット位置72にて位置決めされる。
作業部4は、第1畦R1の角塗り作業の終了時の任意の位置から、作業者オフセット位置まで移動する。作業部4は、一連の制御により速やかに作業者オフセット位置まで移動できる。
【0048】
その後、作業者は、作業部4が駆動された状態で走行機体100を旧畦に沿って走行させる。
これにより、作業部4は、第2畦R2に対する畦塗り作業を実施する。
作業部4は、第1畦R1と第2畦R2とに対して、連続的な畦塗り作業を効率よく実施できる。
【0049】
以上のように、本実施形態の畦塗り機1では、作業者が設定した、作業者に最適なオフセット位置を記憶し、作業部4を作業者オフセット位置72に設定する。
よって、作業者は、作業をする度に、作業部4の位置を作業者に最適なオフセット位置に調整するための煩わしい調整作業を行う必要がなくなる。
また、畦塗り機1は、複数の畦に対する連続的な畦塗り処理において、第1畦R1に対する角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置72まで、作業部4を自動的に移動させる。
よって、作業者は、一日の作業において連続して作業する複数の畦に対して、作業部4の位置を作業者に最適なオフセット位置に調整するための煩わしい調整作業を行う必要がなくなる。連続的な畦塗り作業での作業者の負担を減らすことができる。作業者は、走行機体100の走行に集中できる。
【0050】
ところで、本実施形態と異なり、記憶部61に、仮にたとえば大きさの異なる走行機体100の各々の車体幅に対応したオフセット位置のみを記憶させることが考えられる。
さらに他にも仮にたとえば、単なるオフセット位置を予め記憶部61に記憶させることが考えられる。
しかしながら、これらの場合、記憶させたオフセット位置へ作業部4を移動させた後に、さらにオフセット位置を微調整する操作が、畦塗りの度に毎回必要となる。
本実施形態では、そのような作業者オフセット位置72への微調整が不要である。
作業性は格段に向上する。
【0051】
また、本実施形態では、連続的な畦塗り処理において、作業部4は、角塗り作業完了時の任意の位置および姿勢から、作業者オフセット位置72へ移動する。
そのため、作業終了時点での作業部4の状態が一定しない角塗り作業に続けて連続的な畦塗り処理を実施できる。
しかも、角塗り作業終了時の作業部4の位置および姿勢を制限することもない。
角塗り作業の作業性を損なうことなく、角塗り作業に続けて連続畦的な畦塗り処理を実施できる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るオフセット作業機について説明する。
第2実施形態のオフセット作業機の構成および基本的な動作は、第1実施形態の畦塗り機1と同様であり、同一の符号を使用して説明を省略する。
以下には、相違点である、連続的な畦塗り処理を主に説明する。
【0053】
図6は、第2実施形態の連続的な畦塗り処理における、処理部62による作業部4の制御フローチャートである。なお、以下では、連続的な畦塗り処理における中での作業者の操作を含めて説明する。
【0054】
連続的な畦塗り処理での、第1畦R1の角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置まで走行機体100を移動させるために、作業者は、走行機体100を操作する。走行機体100の後部の三点リンク機構が上昇する。作業部4の全体が持ち上がり、第1畦R1から作業部4が離間する。
作業部4が上方に退避した状態のままで、処理部62は、操作部63から入力される指示により、オフセット角センサ64および回動角センサ65に基づいて作業部4のオフセット位置および作業方向を検出しながらオフセットシリンダ51および方向シリンダ52を制御し、作業部4を、走行機体100の後方の略中央位置へ移動させる。
作業部4は、走行機体100の後方略中央の上方退避位置に位置決めされる(ステップST11)。
この状態で、処理部62は、作業部4の移動を中断する(ステップST12)。
畦塗り機1を含む走行機体100の全体の左右バランスは、略平衡している。
【0055】
作業部4の移動を中断した状態で、作業者は、走行機体100を走行させ、走行機体100を第2畦R2に沿った位置に位置決めする。
走行機体100の全体の左右バランスが略平衡しているため、作業者は、走行機体100を第2畦R2に対して好適に位置決めできる。
【0056】
第2畦R2に対する走行機体100の位置決めが完了すると、作業者は、たとえば操作部63を操作する。処理部62は、操作部63からの入力信号に基づいて、作業部4の移動を再開する(ステップST13)。
処理部62は、作業部4を、第2畦R2における作業者オフセット位置72まで移動させる(ステップST14)。
作業者は、作業部4を、上方退避位置から降下させる。作業者は、走行機体100を操作し、走行機体100の後部の三点リンク機構が降下する。作業部4の全体が降下する。
なお、この連続的な畦塗り処理において、作業部4の中断した移動を再開させるために操作される操作部63のボタン73は、たとえば、走行機体100の位置決め完了ボタンのように専用のボタン73であってもよいが、他のボタン73と兼用でもよい。
【0057】
作業者は、作業部4が駆動された状態で走行機体100を旧畦に沿って走行させる。
これにより、作業部4は、第2畦R2に対する畦塗り作業を実施する。
作業部4は、第1畦R1と第2畦R2とに対して、連続的な畦塗り作業を効率よく実施できる。
【0058】
以上のように、本実施形態の畦塗り機1では、連続的な畦塗り処理において作業部4の移動を中断する位置が、走行機体100の後方略中央の上方退避位置となる。
よって、走行機体100の全体の左右バランスが略平衡し、作業者は、走行機体100を第2畦R2に対して好適に位置決めできる。作業者は、左右バランスが確保された走行機体100を、第2畦R2に対して好適に位置決めできる。
左右重量がアンバランスである場合、第2畦R2に対して走行機体100を正確に位置決めできない可能性がある。走行機体100を第2畦R2に対して位置決めする場合の左右バランスと、走行中の左右バランスとが変化するため、作業者が第2畦R2に対して好適に走行しているつもりでも、走行機体100が第2畦R2に対して寄りすぎてしまう可能性がある。
【0059】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るオフセット作業機について説明する。
第3実施形態に係るオフセット作業機は、角塗り処理を、走行機体100を後進させながら実施する畦塗り機1である。
【0060】
図7から図9は、第3実施形態に係る畦塗り機1を示す上面図である。図7は、前進オフセット位置を示す。図8は、走行機体100の車幅方向略中央の退避位置を示す。図9は、後進オフセット位置である。
第3実施形態の畦塗り機1は、駆動機構6として、オフセットシリンダ51のみを有する。また、駆動機構6は、ジョイントピン56と、ガイド溝が形成される位置決めフレーム57と、を有する。
【0061】
位置決めフレーム57は、たとえばオフセットフレーム31に重ねて固定される。
ジョイントピン56は、たとえば中継軸43とともに回転するアームの先端に固定されてよい。
ジョイントピン56は、位置決めフレーム57のガイド溝と係合する。
これにより、作業部4が、図8の走行機体100の左右方向略中央且つ後方の格納位置75から、図9の左側へ移動した場合に、作業部4を後向きの姿勢に維持できる。
オフセット作業機は、一本シリンダで、作業部4を左右のオフセット位置に位置決めできる。
これ以外の畦塗り機1の構成は、第1実施形態のものと同様であり、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
次に、第3実施形態に係るオフセット作業機の動作について説明する。
まず、畦塗り機1による後進角塗り作業について説明する。
図10は、図7の畦塗り機1による後進角塗り作業の説明図である。
たとえば、図10(A)のように、矩形の一辺の第1畦R1に沿って走行機体100を直進させて畦塗りを実行すると、走行機体100は、第1畦R1の端(矩形の畦の角C1)に到達する。
作業者は、走行機体100を停車させ、操作部63のボタン73を操作する。
処理部62は、操作部63からの操作信号に基づいて、通常の直進畦塗りモードから、後進角塗りモードに切り替わる。後進角塗りモードにおいて、処理部62は、駆動機構6を制御する。
作業部4は、図10(A)の走行機体100の右側の作業者オフセット位置72から、図10(B)のように、走行機体100の後方中央の格納位置75に移動する。
さらに、作業部4は、図10(C)のように、左側へ移動する。
これにより、作業部4の向きが、前進作業方向から後進作業方向へ切り替わる。前向きから後向きへ切り替わる。
【0063】
操作部63を操作して後進角塗りモードに切り替えた後、作業者は、走行機体100を180度回動させる。
図10(D)のように、走行機体100の後方に第1畦R1の端(角C1)が位置するように、作業中の第1畦R1の傍に走行機体100を後ろ向きで位置決めする。
作業中の第1畦R1に対して走行機体100を位置決めした状態で、作業者は、操作部63のボタン73を操作する。処理部62は、操作部63からの操作信号に基づいて、オフセットシリンダを制御する。作業部4は、向きを後進作業方向に切り替えながら、左側の後進オフセット位置へ移動する。
作業部4は、前処理部12が整畦部13の後方に位置する姿勢で、作業途中の第1畦R1に対して位置決めされる。
【0064】
その後、作業者は、第1畦R1に沿って走行機体100を後進させる。
これにより、作業部4は、作業途中の第1畦R1に対して、その端(角C1)まで畦塗り作業を実施できる。
【0065】
後進角塗りモードにより第1畦R1の畦塗り作業が角C1まで完了し、作業者による操作部63の操作が行われると、処理部62は、次の第2畦R2に対する連続的な畦塗り処理を開始する。
図11は、第3実施形態の連続的な畦塗り処理における、処理部62による作業部4の制御フローチャートである。なお、以下では、連続的な畦塗り処理における中での作業者の操作を含めて説明する。
連続的な畦塗り処理において、処理部62は、たとえば操作部63からの入力信号の入力に基づいて、後進角塗りモードの終了を判断する。
作業者による操作部63の操作が行われると、処理部62は、連続的な畦塗り処理における動作を開始する。
作業部4は、第1畦R1の後進角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置まで移動する。図10(D)に示すように、後進角塗り作業の終了時点で、作業部4は、左側のオフセット位置にある。
【0066】
第1畦R1の後進角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置まで走行機体100を移動させるために、作業者は、走行機体100を操作する。走行機体100の後部の三点リンク機構が上昇する。作業部4の全体が持ち上がり、第1畦R1から作業部4が離間する。
作業部4が上方に退避した状態のままで、処理部62は、オフセット角センサ64に基づいて作業部4のオフセット位置を検出しながらオフセットシリンダ51を制御し、作業部4を、右側の作業者オフセット位置へ移動させる(ステップST21)。
作業部4は、作業者オフセット位置72において前進方向へ作業できる位置および姿勢に位置決めされる。
これにより、作業部4は、作業者オフセット位置72の上方に退避した状態に位置決めされる。
【0067】
作業部4についての作業者オフセット位置72までの移動が完了した状態で、作業者は、走行機体100を走行させ、走行機体100を第2畦R2に沿った位置に位置決めする。第2畦R2に対する走行機体100の位置決めが完了すると、作業者は、作業部4を、作業者オフセット位置72の上方に退避した位置から降下させる。作業者は、走行機体100を操作し、走行機体100の後部の三点リンク機構が降下する。作業部4の全体が降下する。
【0068】
これにより、作業部4は、第2畦R2に対して作業者オフセット位置72にて位置決めされる。
作業部4は、第1畦R1の後進角塗り作業の終了時の任意の位置から、作業者オフセット位置まで移動する。作業部4は、一連の制御により速やかに作業者オフセット位置まで移動できる。
【0069】
作業者は、作業部4が駆動された状態で走行機体100を第2畦R2に沿って走行させる。
これにより、作業部4は、第2畦R2に対する畦塗り作業を実施する。
作業部4は、第1畦R1と第2畦R2とに対して、連続的な畦塗り作業を効率よく実施できる。
【0070】
以上のように、本実施形態の畦塗り機1では、作業者が設定した、作業者に最適なオフセット位置を記憶し、作業部4を作業者オフセット位置72に設定する。
よって、作業者は、作業をする度に、作業部4の位置を作業者に最適なオフセット位置に調整するための煩わしい調整作業を行う必要がなくなる。
また、畦塗り機1は、連続的な畦塗り処理において、第1畦R1における後進角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置72まで、作業部4を自動的に移動させる。
よって、作業者は、一日の作業において連続して作業する複数の畦に対して、畦毎に作業部4の位置を作業者に最適なオフセット位置に調整するための煩わしい調整作業を行う必要がなくなる。連続的な畦塗り作業での作業者の負担を減らすことができる。作業者は、走行機体100の走行に集中できる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るオフセット作業機について説明する。
第4実施形態のオフセット作業機の構成および基本的な動作は、第3実施形態の畦塗り機1と同様であり、同一の符号を使用して説明を省略する。
以下には、相違点である、連続的な畦塗り処理を主に説明する。
【0072】
図12は、第4実施形態の連続的な畦塗り処理における、処理部62による作業部4の制御フローチャートである。なお、以下では、連続的な畦塗り処理における中での作業者の操作を含めて説明する。
【0073】
連続的な畦塗り処理での、第1畦R1の後進角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置まで走行機体100を移動させるために、作業者は、走行機体100を操作する。走行機体100の後部の三点リンク機構が上昇する。作業部4の全体が持ち上がり、第1畦R1から作業部4が離間する。
作業部4が上方に退避した状態のままで、処理部62は、操作部63から入力される指示により、オフセット角センサ64に基づいて作業部4のオフセット位置を検出しながらオフセットシリンダ51を制御し、作業部4を、走行機体100の後方中央の位置へ移動させる。
作業部4は、走行機体100の後方略中央での上方退避位置に位置決めされる(ステップST31)。
この状態で、処理部62は、作業部4の移動処理を中断する(ステップST32)。
畦塗り機1を含む走行機体100の全体の左右バランスが略平衡する。
作業部4の移動を中断した状態で、作業者は、走行機体100を走行させ、走行機体100を第2畦R2に沿った位置に位置決めする。
走行機体100の全体の左右バランスが略平衡しているため、作業者は、走行機体100を第2畦R2に対して好適に位置決めできる。
【0074】
第2畦R2に対する走行機体100の位置決めが完了すると、作業者は、たとえば操作部63を操作する。処理部62は、操作部63からの入力信号に基づいて、作業部4の移動を再開する(ステップST33)。
処理部62は、降下させた作業部4を、第2畦R2における作業者オフセット位置72まで移動させる(ステップST34)。
作業者は、作業部4を、上方退避位置から降下させる。作業者は、走行機体100を操作し、走行機体100の後部の三点リンク機構が降下する。作業部4の全体が降下する。
なお、作業部4の移動を再開させるために操作される操作部63のボタン73は、たとえば、走行機体100の位置決め完了ボタンのように専用のボタン73であってもよいが、他のボタンと兼用でもよい。
【0075】
作業者は、作業部4が駆動された状態で走行機体100を第2畦R2に沿って走行させる。
これにより、作業部4は、第2畦R2に対する畦塗り作業を実施する。
作業部4は、第1畦R1と第2畦R2とに対して、連続的な畦塗り作業を効率よく実施できる。
【0076】
以上のように、本実施形態の畦塗り機1では、連続的な畦塗り処理での作業部4の中断位置が、走行機体100の後方略中央での上方退避位置となる。
よって、走行中の走行機体100の全体の左右バランスが略平衡し、作業者は、走行機体100を第2畦R2に対して好適に位置決めできる。
作業者は、走行機体100の左右バランスをとりながら、走行機体100を第2畦R2に位置決めできる。
【0077】
[実施形態の効果]
以上のように、各実施形態では、処理部62は、操作部63からの、作業部4のオフセット位置の調整指示に基づいて駆動機構6を制御して作業部4のオフセット位置を調整する。また、処理部62は、操作部63からの、オフセット位置の調整指示とは別の更新指示に基づいて、記憶部61に記憶する作業者オフセット位置72を更新し、作業者にとって最適な任意のオフセット位置への自動制御を実現する。これにより、作業部4は、作業者が設定した、作業者にとって最適なオフセット位置へ移動する。
よって、作業者は、畦塗り機1を使用する度に、作業部4の位置を、作業者にとって最適なオフセット位置へ調整するための煩わしい調整作業を行う必要がない。作業者は、畦塗り機1を使用する度に、作業部4の位置を、オフセット位置へ調整するための煩わしい調整作業を行う必要がない。
しかも、作業者オフセット位置72の更新は、作業部4のオフセット位置の調整指示とは別の更新指示に基づいてなされる。よって、たとえば作業者が一時的にまたは不要にオフセット位置を調整した場合には、作業者オフセット位置72は更新されない。そのような調整があった後でも、作業部4は、作業者にとって最適なオフセット位置に移動する。
作業部4を作業者に適したオフセット位置へ移動させることについての操作性が改善される。
【0078】
また、各実施形態では、作業部4は、畦塗り作業を実行し、作業部4は、連続的な畦塗り作業の際に、作業者オフセット位置72へ移動する。
これにより、連続的な畦塗り作業の際に、作業部4は、作業者が設定した最適なオフセット位置へ移動する。
作業者は、連続的な畦塗り作業をする度に、作業部4のオフセット位置を調整するための煩わしい調整作業を行う必要がない。
【0079】
また、各実施形態では、作業部4は、第1畦R1への角塗り作業を実行した後、該第1畦R1の角塗り作業の終了位置から、第2畦R2における作業者オフセット位置まで、移動する。
これにより、角塗り作業を含む連続的な畦塗り作業の際に、作業部4は、作業者が設定した最適なオフセット位置へ移動する。
作業者は、連続した畦塗り作業をする度に、オフセット位置を調整するための煩わしい調整作業を行う必要がない。
角塗り作業を含む連続的な畦塗り作業において、作業者の負担は大幅に軽減する。
作業者は、走行機体100の操作に集中できる。
【0080】
また、第2および第4の各実施形態では、作業部4は、第1畦R1の角塗り作業の終了位置から第2畦R2の作業者オフセット位置までの移動を途中で中断し、第2畦R2に対して走行機体100が位置決めされた後、該中断位置から作業者オフセット位置までの移動を再開する。
これにより、作業者は、作業部4が中断位置にある状態で走行機体100を移動させて、走行機体100を第2畦R2に対して位置決めできる。
また、作業部4は、走行機体100が第2畦R2に対して最適に位置決めされた状態で、作業者オフセット位置72まで移動する。
連続的な畦塗り作業において、作業部4の移動を自動化しつつも、走行機体100および作業部4をともに第2畦R2に対して最適に位置決めできる。
また、第2畦R2に対する走行機体100および作業部4の位置決めが最適化されることにより、走行機体100を第2畦R2に沿って走行させた場合に、作業部4は、第2畦R2に対して良好な畦塗り作業を実施できる。
【0081】
また、第2および第4の各実施形態では、第2畦R2に対して走行機体100を位置決めした状態で操作される操作部63を有し、作業部4は、操作部63からの移動再開指示があった場合、中断位置から作業者オフセット位置までの移動を再開する。
これにより、作業者は、作業部4か中断位置にある状態で走行機体100を第2畦R2に対して好適に位置決めした後、操作部63を操作して、作業部4を第2畦R2に対して最適なオフセット位置まで移動させることができる。
作業者は、自らの走行機体100の操作のペースに合わせて、作業部4の移動タイミングを調整できる。
【0082】
また、各実施形態では、走行機体100の種類毎に各々の車幅に応じて予め設定された作業部4のプリセット位置71を記憶する記憶部61を有し、作業部4は、記憶部61に作業者オフセット位置72が共に記憶されている場合、記憶部61の作業者オフセット位置72へ優先的に移動する。
これにより、作業部4は、記憶部61に記憶されている、走行機体100(の種類毎に各々)の車幅に応じて予め設定されたプリセット位置71へ移動することもできる。
作業者にとって最適なオフセット位置への操作が容易になる。
しかも、作業者にとって最適なオフセット位置への調整をした後では、作業部4は、その作業者にとって最適なオフセット位置へ移動する。
作業部4を作業者にとって最適なオフセット位置へ調整する作業は、その設定操作を含めて容易になる。
【0083】
また、各実施形態では、記憶部61は、作業部4がプリセット位置71へ移動した後に調整されたオフセット位置を、作業者オフセット位置72として記憶する。
これにより、作業者は、記憶部61に予め記憶されるプリセット位置71を利用して作業部4を大まかに移動させた後、さらに作業部4の位置を調整することができる。
作業者にとって最適なオフセット位置への調整が容易になる。
しかも、調整後には、作業部4は、調整後のその作業者にとって最適なオフセット位置に移動する。
【0084】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0085】
たとえば上記実施形態は、本発明を畦塗り機1に適用した例である。
この他にもたとえば、本発明は、溝形成機、草刈り機などの農作業機に適用できる。これらの農作業機も、トラクタの後部に装着され、作業部をオフセット位置に設定する場合がある。
また、本発明は、土木現場や工事現場で使用されるオフセット作業機に適用できる。
これらのオフセット作業機でも、作業者は、作業部の位置を、自らにとって最適なオフセット位置へ調整する操作が必要とされる。
【符号の説明】
【0086】
1 畦塗り機(オフセット作業機)、2 装着部、3 連結部、4 作業部、5 動力伝達機構、6 駆動機構、7 制御部、12 前処理部、13 整畦部、61 記憶部、62 処理部(制御部)、63 操作部、64 オフセット角センサ、65 回動角センサ、71 プリセット位置、72 作業者オフセット位置、73 ボタン、74 リモートコントローラ、75 格納位置、100 走行機体、R1 第1畦、R2 第2畦、C1 角
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