(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296708
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】摺動型スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 21/02 20060101AFI20180312BHJP
H01H 21/36 20060101ALI20180312BHJP
H01H 1/06 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
H01H21/02 C
H01H21/36 S
H01H1/06 J
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-122733(P2013-122733)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-241205(P2014-241205A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年5月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】平野 公一朗
(72)【発明者】
【氏名】岡本 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】南澤 駿介
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−135625(JP,U)
【文献】
特開2000−353452(JP,A)
【文献】
特開平05−325731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/06
H01H 19/58
H01H 21/02
H01H 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台に延設された複数の端子板と、
操作手段と連動して前記端子台に対して移動可能な可動部材と、
該可動部材に形成されるとともに、当該可動部材の移動に伴って前記端子板上を摺動し得る接触子と、
前記接触子に形成され、一対の端子板に対してそれぞれ接触しつつ摺動可能な接触部と、
を具備し、前記接触子の接触部が一対の前記端子板に対して接触することにより電気的導通が図られ、前記可動部材の端子台に対する相対位置に応じた電気信号を生成することで前記操作手段の位置を検出可能とされた摺動型スイッチにおいて、
前記接触子の接触部は、当該接触子の厚み方向及び幅方向の双方に折り曲がった形状とされることにより前記端子板に対してそれぞれ点接触しつつ摺動可能とされ、且つ、前記可動部材には、前記接触子を収容し得る収容凹部が形成されるとともに、当該可動部材が移動する際、当該接触子が当該収容凹部内において傾斜可能とされたことを特徴とする摺動型スイッチ。
【請求項2】
前記接触部は、球面形状とされて成ることにより前記端子板に対して点接触しつつ摺動可能とされたことを特徴とする請求項1記載の摺動型スイッチ。
【請求項3】
前記接触子における前記接触部の間には凸部が形成されるとともに、当該接触子が端子板上を摺動する過程で当該凸部が前記端子台の所定位置に形成された乗上げ部に乗上げることにより、前記接触部が端子板から離間し得るよう構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の摺動型スイッチ。
【請求項4】
前記凸部は、前記乗上げ部に対して線接触又は面接触しつつ乗上げ可能とされたことを特徴とする請求項3記載の摺動型スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触子の接触部が端子板に対して接触することにより電気的導通が図られ、可動部材の端子台に対する相対位置に応じた電気信号を生成することでシフトレバー等の操作手段の位置を検出可能とされた摺動型スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動変速機を搭載した自動車には、シフトレバー等の操作手段の位置を検出するための所謂シフトスイッチと称される摺動型スイッチが配設されている。かかる摺動型スイッチは、例えば特許文献1及び特許文献2にて開示されているように、端子台に延設された複数の端子板と、シフトレバー等の操作手段と連動して端子台に対して移動可能な可動部材と、可動部材に形成されるとともに当該可動部材の移動に伴って端子板上を摺動し得る接触子とを有して構成されていた。
【0003】
また、接触子の所定部位には、一対の端子板に対してそれぞれ接触しつつ摺動可能な接触部が形成されており、シフトレバー等の操作手段と連動して可動部材が端子台に対して移動すると、接触子の接触部が端子板に接触しつつその上面を摺動することで電気的導通が図られるとともに、当該一対の接触部の間には凸部が形成されており、接触子が端子板上を摺動する過程で当該凸部が端子台の所定位置に形成された乗上げ部に乗上げることにより、接触部が端子板から離間し得るよう構成されていた。これにより、可動部材の端子板に対する相対位置に応じた電気信号を生成することでシフトレバー等の操作手段の位置を検出することが可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−325731号公報
【特許文献2】特開2003−59372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の摺動型スイッチにおいては、接触子の接触部が端子板に対して線接触しつつ摺動するものであったので、可動部材が移動して接触子の接触部が端子板上を摺動する際、接触面圧が不足してしまったり、或いは、摺動時に接触子が傾いてしまい、一対の接触部のうち何れか一方が端子板から離間してしまう虞があった。このように、接触面圧の不足や傾斜による接触部の端子板に対する離間等が生じてしまうと、当該接触子と端子板との間の電気的導通が不良となり、操作手段の位置の検出精度が悪化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、接触子の端子板に対する接触を良好に維持することができるとともに、その接触面圧を向上させることができ、操作手段の位置の検出精度を向上させることができる摺動型スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、端子台に延設された複数の端子板と、操作手段と連動して前記端子台に対して移動可能な可動部材と、該可動部材に形成されるとともに、当該可動部材の移動に伴って前記端子板上を摺動し得る接触子と、前記接触子に形成され、一対の端子板に対してそれぞれ接触しつつ摺動可能な接触部とを具備し、前記接触子の接触部が一対の前記端子板に対して接触することにより電気的導通が図られ、前記可動部材の端子台に対する相対位置に応じた電気信号を生成することで前記操作手段の位置を検出可能とされた摺動型スイッチにおいて、前記接触子
の接触部は、
当該接触子の厚み方向及び幅方向の双方に折り曲がった形状とされることにより前記端子板に対して
それぞれ点接触しつつ摺動可能とされ、且つ、前記可動部材には、前記接触子を収容し得る収容凹部が形成されるとともに、当該可動部材が移動する際、当該接触子が当該収容凹部内において傾斜可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の摺動型スイッチにおいて、記接触部は、球面形状とされて成ることにより前記端子板に対して点接触しつつ摺動可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は請求項2記載の摺動型スイッチにおいて、前記接触子における前記接触部の間には凸部が形成されるとともに、当該接触子が端子板上を摺動する過程で当該凸部が前記端子台の所定位置に形成された乗上げ部に乗上げることにより、前記接触部が端子板から離間し得るよう構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項
4記載の発明は、請求項
3記載の摺動型スイッチにおいて、前記凸部は、前記乗上げ部に対して線接触又は面接触しつつ乗上げ可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、接触
子の接触部は、端子板に対して点接触しつつ摺動可能とされたので、接触子の端子板に対する接触を良好に維持することができるとともに、その接触面圧を向上させることができ、操作手段の位置の検出精度を向上させることができる。
また、可動部材には、接触子を収容し得る収容凹部が形成されるとともに、当該可動部材が移動する際、当該接触子が当該収容凹部内において傾斜可能とされたので、可動部材の移動時に接触子が収容凹部内で傾斜することで、当該可動部材の移動時において過度な負荷が接触子に付与されてしまうのを回避して当該可動部材に接触子を円滑に追従させることができるとともに、接触子の接触部が端子板に対して点接触しつつ摺動することで、接触子が傾斜しても端子板に対する接触を確実に行わせることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、接触部は、球面形状とされて成ることにより端子板に対して点接触しつつ摺動可能とされたので、球状形状の曲率(R)を任意に設定することができ、接触子の端子板に対する接触面圧を適度に保持させることができるとともに、接触子の端子板に対する摺動を円滑に行わせることができる。
【0016】
請求項
3の発明によれば、接触子における接触部の間には凸部が形成されるとともに、当該接触子が端子板上を摺動する過程で当該凸部が端子台の所定位置に形成された乗上げ部に乗上げることにより、接触部が端子板から離間し得るよう構成されたので、接触子の端子板に対する電気的導通及び電気的導通の遮断を確実に行わせることができ、操作手段の位置の検出をより精度よく行わせることができる。
【0017】
請求項
4の発明によれば、凸部は、乗上げ部に対して線接触又は面接触しつつ乗上げ可能とされたので、凸部の乗上げ部に対する乗上げをより安定かつ確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る摺動型スイッチにおける端子台を示す平面図
【
図2】同摺動型スイッチにおけるボディ部材及び可動部材を示す平面図
【
図3】同摺動型スイッチにおける端子台及び接触子を示す斜視図
【
図4】同摺動型スイッチにおける端子板に対する接触子の接触状態を示す断面図
【
図5】同摺動型スイッチにおける端子板に対する接触子の離間状態を示す断面図
【
図6】同摺動型スイッチにおける接触子を示す正面図及び側面図
【
図7】同摺動型スイッチにおける接触子を示す斜視
図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る摺動型スイッチは、自動車に組み付けられて自動変速機のシフトレバーの位置を検出し得る自動変速機用コントロールスイッチに適用されたものであり、
図1、2に示すように、複数の端子板2が形成された端子台1に可動部材4が取り付けられたボディ部材3を組み付けて筐体を構成するとともに、当該可動部材4に接触子5が形成されて成るものである。
【0021】
端子台1は、所定の樹脂材を所定形状に成形して成るもので、その所定位置には、金属製板材等の導電性部材から成る複数の端子板2がインサート成形されている。これら端子板2は、可動部材4の回動方向に沿って弧状に延設されており、互いに所定間隔離間しつつ表面を外部に臨ませつつ樹脂材に埋め込まれて固定されている。なお、端子台1には、可動部材4の回動中心部4aを嵌め込み可能な嵌合孔1aが形成されており、当該嵌合孔1aを中心としてそれぞれの端子板2が弧状に形成されている。
【0022】
また、端子台1の所定部位には、コネクタ部1bが一体成形されており、このコネクタ部1bに端子板2と電気的に接続されたコネクタ端子(不図示)が形成されている。かかるコネクタ端子を介して例えば車両のECU(エンジン・コントロール・ユニット)等が電気的に接続されることとなり、接触子5が一対の端子板2に接触して導通することで生成された電気信号が車両側に送信可能とされている。
【0023】
ボディ部材3は、所定の樹脂材を所定形状に成形して成るもので、その端子台1と対向する面には、凹部3aが形成されている。この凹部3aには、可動部材4が回動中心部4aを中心に回動自在に収容可能とされている。可動部材4は、自動車のシフトレバー(操作手段)とワイヤ等を介して連結されており、当該シフトレバーの動作と連動して凹部3a内で回動し得るようになっている。
【0024】
なお、
図2中符号Pは、凹部3aの縁部に沿って形成されたパッキン等のシール部材を示しており、ボディ部材3を端子台1に組み付けた状態において凹部3aをシール可能とされている。これにより、凹部3a内に水や異物等が浸入するのを防止することができ、凹部3a内に位置する端子板2及び可動部材4が水や異物等に曝されてしまうのを回避することができる。
【0025】
接触子5は、可動部材4の所定位置に形成された収容凹部4b内に組み付けられるとともに、当該可動部材4の移動(すなわち、回動中心部4aを中心とした回動動作)に伴って端子板2上を摺動し得る金属製部材から成るものである。かかる接触子5は、
図4〜7に示すように、金属製板材を折り曲げ成形して得られる部品から成り、隣接する一対の端子板2に対してそれぞれ接触しつつ摺動可能な左右一対の接触部5aと、これら接触部5aの間に形成された凸部5bと、座部5cと、テーパ部5dとを有して構成されている。
【0026】
座部5cは、
図4、5に示すように、接触子5を端子板2側に付勢するスプリング7を受ける部位から成る。すなわち、同図に示すように、可動部材4の収容凹部4bには、接触子5、スプリング7及びボール部材8が収容されるとともに、スプリング7の一端が接触子5の座部5cに、他端がボール部材8に当接した状態にて組み付けられており、スプリング7の付勢力にて接触子5が端子板2側に常時押圧されるようになっている。
【0027】
また、収容凹部4bの天面(底部)には、ボール部材8を嵌入させつつその一部を外部に臨ませ得る嵌入孔4cが形成されている。しかして、シフトレバーと連動して可動部材4が回動する際、接触子5は、スプリング7の付勢力にて端子板2に対して押圧されて接触圧が確保されるとともに、ボール部材8は、当該スプリング7の付勢力にてボディ部材3の凹部3aの底面に向かって押圧されつつ当該底面を摺動するようになっている。
【0028】
このように、スプリング7により、接触子5の端子板2に対する接触圧を確保し得るとともに、ボール部材8による摺動を行わせることができ、可動部材4の回動をより円滑に行わせることができる。また、スプリング7は、接触子5を端子板2側に付勢させる機能と、ボール部材8を付勢してボディ部材3の面(凹部3aの底面)上を摺動させる機能とを兼ね備えており、それぞれの付勢部材を具備させるものに比べ、部品点数を削減することができる。なお、当該スプリング7に代えて、他の汎用的な付勢手段としてもよく、ボール部材8に代えて先端が弧状(R形状)とされたピン状部材としてもよい。
【0029】
さらに、接触子5の左右側面には、テーパ部5dが形成されており、収容凹部4b内において接触子5が
図4、5中左右方向に傾斜するのを許容し得るようになっている。なお、接触子5は、収容凹部4b内において、
図4、5の紙面手前及び奥行き方向に傾斜するのも許容されている。これにより、可動部材4が凹部3a内で回動(移動)する際、接触子5が収容凹部4b内において傾斜することで、端子板2上の摺動時の摩擦や乗上げ部6に対する乗上げ等により付与される負荷を逃がすことができる。したがって、可動部材4が凹部3a内で回動(移動)する際、過度な負荷が接触子5に付与されてしまうのを回避でき、当該可動部材4に接触子5を円滑に追従させることができる。
【0030】
しかして、シフトレバーの操作に伴って可動部材3が凹部3a内で回動すると、接触子5は、端子板2の弧状に沿って移動することとなり、その移動時においては、
図4に示すように、隣接する端子板2に対して左右の接触部5aをそれぞれ接触させつつ摺動(すなわち、弧状に摺動)し得るようになっている。また、隣接する端子板2の間における所定位置には、
図1、3で示すように、乗上げ部6が形成されている。
【0031】
かかる乗上げ部6は、端子台1に一体形成された凸状部位から成り、
図5に示すように、接触子5が端子板2上を摺動する過程で接触子5の凸部5bが乗上げ部6に乗上げることにより、接触部5aが端子板2から離間し得るよう構成されている。すなわち、接触子5が端子板2上を摺動する過程で乗上げ部6に至ると、凸部5bが当該乗上げ部6と干渉し、接触子2全体をスプリング7の付勢力に抗して
図5中上方に移動させるので、接触部5aが端子板2から離間するのである。なお、乗上げ部6の端部は、テーパ状に形成されており、凸部5bの乗上げを円滑に行わせ得るようになっている。
【0032】
かかる構成により、接触子5の接触部5aが一対の端子板2に対して接触することにより電気的導通が図られるとともに、接触子5が乗上げ部6に乗上げて接触部5aが一対の端子板2に対して離間することにより電気的導通の遮断が図られることとなり、可動部材4の端子台1に対する相対位置に応じた電気信号(すなわち、接触子5の接触部5aが端子板2に接触又は離間することで生じる電気信号)を生成することでシフトレバー(操作手段)の位置を検出可能とされている。
【0033】
なお、本実施形態においては、凸部5bが乗上げ部6に乗り上げることで、接触部5aを端子板2から離間させているが、例えば可動部材3の回動方向に沿って間欠的に端子板2を形成させるものとし、接触子5の接触部5aが一対の端子板2に対して接触することにより電気的導通が図られるとともに、間欠部にて当該電気的導通を遮断するようにしてもよい。この場合であっても、可動部材4の端子台1に対する相対位置に応じた電気信号(すなわち、接触子5の接触部5aが端子板2に接触又は間欠部にて離間することで生じる電気信号)を生成することでシフトレバー(操作手段)の位置を検出することができる。
【0034】
ここで、本実施形態に係る接触子5は、その接触部5aが端子板2に対して点接触しつつ摺動可能とされている。具体的には、本実施形態に係る接触子5の接触部5aは、
図7に示すように、a方向(接触子5の厚み方向)及びb方向(接触子5の幅方向)の双方に折り曲げられて所定の曲率Rを有した球面形状とされており、端子板2の上面に対して点状に接触しつつ摺動可能とされている。
【0035】
例えば、接触子5の材料である金属製板材に対し、接触部5aに相当する部位と凸部5bに相当する部位との間をトリミングにて切除して切欠きを形成するとともに、接触部5aに相当する部位をb方向にプレス加工して折り曲げ成形した後、a方向にプレス加工して折り曲げ成形することで、a方向及びb方向の双方に屈曲した球面形状の接触部5aと、a方向のみに屈曲した凸部5bとを有した接触子5を得ることができる。ここで、接触子5の凸部5bは、a方向のみ屈曲して成ることから、乗上げ部6に対して線接触又は面接触しつつ乗上げ可能とされている。
【0036】
上記実施形態によれば、接触子5の接触部5aは、端子板2に対して点接触しつつ摺動可能とされたので、その点接触部に対してスプリング7の付勢力を集中させて接触面圧を向上させることができる。したがって、接触子5の端子板2に対する接触を良好に維持することができるとともに、その接触面圧を向上させることができ、シフトレバー等の操作手段の位置の検出精度を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る接触部5aは、球面形状とされて成ることにより端子板2に対して点接触しつつ摺動可能とされたので、球状形状の曲率(R形状)を任意に設定することができ、接触子5の端子板2に対する接触面圧を適度に保持させることができるとともに、接触子5の端子板2に対する摺動を円滑に行わせることができる。さらに、接触部5aの球面形状は、互いに直交する2方向(
図7中a方向及びb方向)にプレス加工にて屈曲成形することにより得られるので、所望の曲率(R形状)の球面形状を容易に形成することができる。
【0038】
またさらに、本実施形態においては、接触子5における接触部5aの間には凸部5bが形成されるとともに、当該接触子5が端子板2上を摺動する過程で当該凸部5bが端子台1の所定位置に形成された乗上げ部6に乗上げることにより、接触部5aが端子板2から離間し得るよう構成されたので、接触子5の端子板2に対する電気的導通及び電気的導通の遮断を確実に行わせることができ、シフトレバー等の操作手段の位置の検出をより精度よく行わせることができる。特に、本実施形態によれば、接触子5の凸部5bは、乗上げ部6に対して線接触又は面接触しつつ乗上げ可能とされたので、凸部5bの乗上げ部6に対する乗上げをより安定かつ確実に行わせることができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る可動部材4には、接触子5を収容し得る収容凹部4bが形成されるとともに、当該可動部材4が移動(回動)する際、当該接触子5が当該収容凹部4b内において傾斜可能とされたので、可動部材4の移動時に接触子5が収容凹部4b内で傾斜することで、当該可動部材4の移動時において過度な負荷が接触子5に付与されてしまうのを回避して当該可動部材4に接触子5を円滑に追従させることができるとともに、接触子5の接触部5aが端子板2に対して点接触しつつ摺動することで、接触子5が傾斜しても端子板2に対する接触を確実に行わせることができる。
【0040】
すなわち、接触子5が端子板2に対して線状に接触(線接触)する場合、接触子5が収容凹部4b内で傾斜してしまうと、接触部5aの一方の端部が上方に浮いてしまい、その浮いた部位が端子板2から離間してしまう虞があるのに対し、本実施形態においては、接触子5の接触部5aが端子板2に対して点接触するので、接触子5が何れの方向に傾斜しても、端子板2に対する接触状態を一定に保持することができるのである。なお、本実施形態においては、接触子5の両側面にテーパ部5dが形成されることで、収容凹部4b内における接触子5の傾斜(接触子5の幅方向の傾斜)を許容させているので、当該テーパ部5dにより、接触子5の収容凹部4b内への挿入作業をより容易かつスムーズに行わせることができる。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0043】
また、接触子5におけるスプリング7の座部5cに代えて、当該スプリング7の一端を受け得る別個の座部(この場合、スプリング7とは異なる形態の付勢手段を受ける座部であってもよい)を形成するようにしてもよい。なお、本実施形態においては、操作手段と連動して可動部材4が回動することで、接触子5が弧状に摺動し得る構成とされているが、可動部材が操作手段と連動して略直線状に移動することで、接触子5が直線状に摺動(すなわち、略直線状に延設された端子板上を摺動)し得る構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
接触子
の接触部が、
当該接触子の厚み方向及び幅方向の双方に折り曲がった形状とされることにより端子板に対して
それぞれ点接触しつつ摺動可能とされ、且つ、可動部材には、接触子を収容し得る収容凹部が形成されるとともに、当該可動部材が移動する際、当該接触子が当該収容凹部内において傾斜可能とされた摺動型スイッチであれば、外観形状が異なるもの或いは他の摺動型スイッチに適用されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 端子台
2 端子板
3 ボディ部材
4 可動部材
5 接触子
5a 接触部
5b 凸部
6 乗上げ部
7 スプリング
8 ボール部材
9 接触子
10 接触子