(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記他方のファンの回転数を、前記第2所定回転数変更しても、前記振動レベルが、前記第2所定値以下に低下しないときには、前記一方のファン及び前記他方のファンの少なくともいずれか一方のファンの回転数を、更に変更する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の浴室暖房乾燥機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体とを、シール材を用いてシールしても、浴室暖房乾燥機本体のファンの回転による振動数と、シール材を含む浴室天井面等の構造物の固有振動数とが一致する場合には、共振して大きな振動が生じてしまうことになる。
【0006】
また、一般的に、浴室暖房乾燥機は、ユニットバスに設置されることが多い。ユニットバスには多種多様のものがあり、これらのユニットバスに浴室暖房乾燥機が設置されて、浴室暖房乾燥機のファンが回転したときに、ファンに生じる振動が、浴室暖房乾燥機が設置されたユニットバスに伝播する特性及びユニットバスに伝播した上記振動がユニットバスにおいて増幅または減衰される、ユニットバスの振動特性は、浴室暖房乾燥機が設置されるユニットバスの種類やユニットバスの設置状況によって異なる。
【0007】
したがって、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体とを、シール材を用いてシールする特許文献1では、ユニットバスのように振動特性が様々に異なる浴室に浴室暖房乾燥機を設置するような場合に、共振による大きな振動を効果的に抑制するのは困難である。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、浴室暖房乾燥機のファンの回転によって浴室の共振が生じた場合に、その共振を持続させることなく、速やかに共振状態を解消して共振による大きな振動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の浴室暖房乾燥機は、浴室内の空気を換気する換気ファン、浴室内の空気を循環する循環ファン、及び、循環する空気を加熱する加熱手段を備え、
前記換気ファン及び前記循環ファンを作動させると共に、前記加熱手段によって空気を加熱する温風乾燥運転と、前記換気ファン及び前記循環ファンを作動させると共に、前記加熱手段による空気の加熱を行わない送風乾燥運転と、前記換気ファンを作動させることなく、前記循環ファンを作動させると共に、前記加熱手段によって空気を加熱する暖房運転と、を実行する
ユニットバスに設置される浴室暖房乾燥機において、
振動を検知する振動検知手段と、前記振動検知手段の検知出力に基づいて、前記換気ファン及び前記循環ファンの回転数を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記温風乾燥運転または前記送風乾燥運転の実行中に、前記振動検知手段によって検知される振動レベルが、第1所定値を越える場合には、前記換気ファン及び前記循環ファンの内の一方のファンの回転数を、第1所定回転数変更し、前記一方のファンの回転数を、前記第1所定回転数変更しても前記振動レベルが、前記第1所定値未満の第2所定値以下に低下しないときには、前記換気ファン及び前記循環ファンの内の他方のファンの回転数を、第2所定回転数変更することを特徴とする。
【0010】
前記第1所定回転数と前記第2所定回転数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0011】
本発明によると、換気ファン及び循環ファンを共に作動させる温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行中に、ファンの回転に起因して共振が生じて振動検知手段によって検知される振動レベルが第1所定値を超えると、換気ファン及び循環ファンの内の一方のファンの回転数を、第1所定回転数変更し、これによって、前記一方のファンの回転に起因する共振である場合には、その共振状態を速やかに解消するようにする。また、前記一方のファンの回転数を第1所定回転数変更しても、振動レベルが、前記第1所定値未満の第2所定値以下に低下せず、共振状態が解消しないときには、前記一方のファンの回転に起因する共振ではなく、他方のファンの回転に起因する共振であるとして、前記他方のファンの回転数を、第2所定回転数変更して共振状態を速やかに解消するようしている。
【0012】
このように、温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行中に、振動検知手段によって検知される振動レベルが第1所定値を超えるときには、共振が生じたとして、換気ファン及び循環ファンの内の少なくとも一方のファンの回転数を所定回転数変更して共振が生じる回転数領域からずらすことができるので、共振が生じても持続することがなく、速やかに共振状態を解消することができる。
【0013】
特に、浴室暖房乾燥機は、ユニットバスのように振動特性の異なる多様な浴室に設置されるので、浴室の種類や設置の状況によって共振周波数も異なり、共振を生じ易いが、本発明によれば、共振が生じたときには、速やかにその共振状態を解消することができる。
【0014】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記制御手段は、記憶部を有し、
前記制御手段は、前記一方のファンの回転数を、前記第1所定回転数変更することによって、前記振動レベルが、前記第2所定値以下に低下したときには、変更後の前記一方のファンの回転数を、該一方のファン用の変更後回転数として前記記憶部に記憶し、
前記他方のファンの回転数を、前記第2所定回転数変更することによって、前記振動レベルが、前記第2所定値以下に低下したときには、変更後の前記他方のファンの回転数を、該他方のファン用の変更後回転数として前記記憶部に記憶し、
前記制御手段は、前記変更後回転数が前記記憶部に記憶されている場合には、次回以降の前記温風乾燥運転または前記送風乾燥運転の実行時に、ファンの回転数を、前記記憶部に記憶されている対応するファン用の変更後回転数に制御する。
【0015】
この実施態様によると、一方のファンの回転数を、第1所定回転数変更することによって、振動レベルが低下して共振状態が解消されたときには、変更後の回転数を一方のファン用の変更後回転数として記憶部に記憶し、また、他方のファンの回転数を、第2所定回転数変更することによって、振動レベルが低下して共振状態が解消したときには、変更後の回転数を他方のファン用の変更後回転数として記憶部に記憶し、次回以降の温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行時に、ファンの回転数を、記憶部に記憶されている変更後回転数に制御するので、次回以降の運転時には、初回運転の実行時のような共振が生じるのを防止することができる。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記一方のファンの前記第1所定回転数の変更、及び、前記他方のファンの前記第2所定回転数の変更が、いずれも回転数を増加させる変更である。
【0017】
この実施態様によると、換気ファンや循環ファンの回転数を増加させるので、換気風量や循環風量が増加することになるが、共振が生じる回転数からずらすように回転数を増加させればよいので、風量の増加量は比較的少なく、しかも、温風乾燥運転は、一般的に入浴後の浴室の乾燥や衣類の乾燥などに使用されるために、風量を多少増加させても不都合は生じにくく、送風乾燥運転も、涼風モードとして主に夏場の入浴時に涼風感を得るために使用されるために、風量を多少増加させても不都合は生じにくく、更に、換気を行っている場合にも、風量を多少増加させても問題は生じにくい。
【0018】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記暖房運転における前記循環ファンの回転数が複数段階で設定可能な設定手段を備え、
前記制御手段は、前記設定手段の設定に基づいて、前記循環ファンの回転数を制御するものであり、
前記制御手段は、前記循環ファンの回転数が前記複数段階の内の回転数が最も低い段階の回転数に設定された状態の前記暖房運転の実行中に、前記振動検知手段によって検知される振動レベルが、第3所定値を越えるときには、前記循環ファンの回転数を、第3所定回転数減少させ、前記最も低い段階以外の回転数に設定された状態の前記暖房運転の実行中に、前記振動検知手段によって検知される振動レベルが、前記第3所定値を越えるときには、前記循環ファンの回転数を、第4所定回転数増加させる。
【0019】
前記第3所定値は、上記第1所定値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
前記第3所定回転数は、前記第4所定回転数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、これら回転数は、上記第1所定回転数または上記第2所定回転数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
設定手段では、暖房運転の温風の風量、すなわち、循環ファンの回転数を複数段階、例えば、「強」、「弱」の2段階で設定可能であり、一般に、「強」は、主に入浴前の浴室を暖める予備暖房に使用され、「弱」は、主に入浴中の暖房に使用される。
【0022】
この実施態様によると、循環ファンのみを作動させて循環空気を加熱する暖房運転の実行中に、振動検知手段によって検知される振動レベルが第3所定値を超えると、循環ファンの回転に起因する共振であるとして、循環ファンの回転数を、設定手段による暖房運転の設定状態に応じて、第3所定回数減少、あるいは、第4所定回転数増加させるので、循環ファンに起因する共振状態を速やかに解消することができる。
【0023】
しかも、循環ファンの回転数が、設定手段で設定可能な複数段階の内の回転数が最も低い段階、例えば、「弱」に設定された状態の暖房運転、主に入浴中の暖房に使用される暖房運転の実行中は、循環ファンの回転数を減少させるので、回転数を増加させて風量を増やす場合のように、浴室内の使用者の濡れた肌に当たる風量が増えて、使用者が肌寒さを感じるといったことがない。また、循環ファンの回転数が、前記最も低い段階以外の段階、例えば、「強」に設定された状態の暖房運転、主に入浴前に浴室を暖める予備暖房に使用される暖房運転の実行中は、循環ファンの回転数を増加させるので、浴室を暖める予備暖房に支障が生じることもない。
【0024】
(5)本発明の別の実施態様では、前記制御手段は、前記他方のファンの回転数を、前記第2所定回転数変更しても、前記振動レベルが、前記第2所定値以下に低下しないときには、前記一方のファン及び前記他方のファンの少なくともいずれか一方のファンの回転数を、更に変更する。
【0025】
ファンの回転数の更なる変更は、上記(1)と同様に行ってもよい、すなわち、前記一方のファンの回転数を、更に所定回転数変更し、振動レベルが低下しないときには、前記他方のファンの回転数を、更に所定回転数変更するといったように繰り返してもよく、この場合、変更する回転数を初回の変更時と異ならせてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行中に、共振が生じたときには、換気ファン及び循環ファンの内の少なくとも一方のファンの回転数を所定回転数変更して、共振が生じる回転数領域からずらすので、共振が生じても速やかに共振状態を解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室暖房乾燥機の設置状態を示す斜視図である。
【0030】
浴室暖房乾燥機1は、ユニットバ
スの浴室2の浴槽3の上方位置の天井4に設置される。この実施形態の浴室暖房乾燥機1は、ミスト機能付の浴室暖房乾燥機であり、浴室2内の暖房、浴室2内の換気、浴室2内の乾燥、浴室2内に干した洗濯物の乾燥、浴室2内への涼風の送風、浴室2内に温水のミストを噴霧するミスト浴、浴室2内に温水のミストを噴霧すると共に温風を吹き出すミストサウナ浴、を実行する機能を有する。
【0031】
この浴室暖房乾燥機1の本体5は、天井裏に配置され、吊り金具6にて天井スラブ等に吊り支持され、本体5の下面が、浴室2の天井4の開口部7に臨む。天井4の下面には、開口部7を覆うグリル板20(
図3参照)を配置してあり、グリル板20を本体5の下面側に取り付けてあり、グリル板20の外周縁が天井4に当接した状態となっている。
【0032】
浴室暖房乾燥機1の本体5には、給湯暖房機等の屋外の熱源機8から温水が供給される。
【0033】
また浴室暖房乾燥機1は、浴室2外の脱衣室に設けた脱衣室用操作器9や浴室2内に設けた浴室用操作器10によってリモコン操作される。
【0034】
図2は、
図1の浴室暖房乾燥機1の内部の配管を説明するための管路図であり、
図3は、
図1の浴室暖房乾燥機1の断面図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0035】
図2に示すように、本体5内には、空気を加熱する加熱手段としての温風用熱交換器11や循環ファン12を内装してある。この温風用熱交換器11は、内部に温水を通すことで外部を流れる空気、つまり浴室2内に送り込まれる空気と温水とを熱交換して、空気を加熱するもので、この温風用熱交換器11は、本体5に配管した暖房用温水管路13の途中に配置してあり、暖房用温水管路13には、給湯暖房機等の熱源機8から温水が供給される。暖房用温水管路13には、温風用熱交換器11への温水の供給を開閉する熱動弁14を設けてあり、暖房用温水管路13には、この管路を流れる温水の温度を検出する暖房温水サーミスタ15を配設してある。
【0036】
図3に示すように、浴室暖房乾燥機1の本体5には、浴室内空気を循環させる上記循環ファン12と、浴室内空気を外部へ排出する換気ファン16とが設けられている。
図3では、換気ファン16の逆風止め17が示されている。
【0037】
また本体5の下面側には、循環ファン12で送風される空気を浴室内に吹き出す吹き出し口18を設けてあり、この吹き出し口18には、可動ルーバー19を回動自在に装着してあり、可動ルーバー19を回動することにより吹き出し口18の開閉、および、吹き出し口18から吹き出す風向の変更が可能にしてある。グリル板20には、浴室2内に空気を吸い込む吸い込み口21を設けてあり、この吸い込み口21の近傍に浴室温度サーミスタ22を配設してある。
【0038】
また浴室暖房乾燥機1には、ミスト浴の機能を具備するためにミスト発生部23を組み込んである。ミスト発生部23のミストノズル24は、グリル板20の一部に配置してあり、ミスト用給水管路25がミストノズル24に連通する。
図2に示すように、このミストノズル24として、2個のミストノズル24a,24bがあり、各ミストノズル24a,24bは、0.5リットル/min程度の流量で温水のミストを噴霧する。ミストノズル24a,24bの手前には、電磁弁等で構成されるミスト開閉弁26a,26bを設けてあり、ミスト開閉弁26a,26bの開閉にてミストノズル24aやミストノズル24bから選択的に温水のミストが噴霧される。2つのミストノズル24a,24bから温水のミストを噴霧すると、「強」のミスト量でミストを噴霧し、一方のミストノズル24a又はミストノズル24bから温水のミストを噴霧すると、「弱」のミスト量で噴霧するように構成される。本例の場合、ミスト発生部23は本体5の上に搭載してある。
【0039】
ミスト用給水管路25には、水道水、いわゆる上水が供給され、入口側から順にストレーナ27、給水電磁弁28を設けてある。上記暖房用温水管路13には、温風用熱交換器11と並列になるようにミスト加熱用管路29を設けてあり、このミスト加熱用管路29には、ミスト加熱用管路29を流れる温水の流れを制御する比例弁30を設けてある。またミスト加熱用管路29とミスト用給水管路25との間には、液―液熱交換器で構成されるミスト用熱交換器31を配設してあり、ミスト加熱用管路29を流れる温水でミスト用給水管路25を流れるミスト用の水を加熱するようになっている。ミスト用給水管路25におけるミスト用熱交換器31とミスト開閉弁26a,26bとの間には、ミスト用給水管路25を流れる温水の温度を検出するミスト温度サーミスタ32を配設してある。
【0040】
図4に示すように、脱衣室用操作器9には、タイマー表示部33、タイマー設定スイッチ34、風向スイッチ35、ミストサウナスイッチ36、乾燥スイッチ37、暖房スイッチ38、涼風スイッチ39、換気スイッチ40、停止スイッチ41を設けてある。
【0041】
図5に示すように、浴室用操作器10には、状態表示部42、ミストサウナスイッチ43、ミストスイッチ44、温度設定スイッチ45、暖房スイッチ46、涼風スイッチ47、風向スイッチ48、ミスト入浴時間計測用のストップウォッチのスタート/ストップスイッチ49、リセットスイッチ50、停止スイッチ51を設けてある。各操作器9,10は、各運転や風量等の設定を行う設定手段としての機能を有する。
【0042】
図6は、浴室暖房乾燥機1の制御系統の構成例を示すブロック図である。
【0043】
浴室暖房乾燥機1は、メモリ52及び演算回路53等を内蔵した制御手段としての制御部54を備えている。
【0044】
上記操作器9や操作器10をリモコン操作することで制御部54は、以下のように制御する。
【0045】
制御部54は、操作器9や操作器10からの指令に基づいて、循環用モータによって回転駆動される循環ファン12および換気用モータによって回転駆動される換気ファン16の通風作動を制御するなどして、浴室2内を乾燥する乾燥運転(温風乾燥運転)、浴室2内の空気を循環させるとともに換気する涼風運転(送風乾燥運転)、浴室2内を暖房する暖房運転、浴室2内を通常設定換気量にて換気する通常換気運転、浴室2内を24時間設定換気量にて換気する24時間換気運転などの各種の運転を実行するように構成されている。
【0046】
脱衣室用操作器9や浴室用操作器10には、上記
図4、
図5に示すように、乾燥運転(温風乾燥運転)を指令する乾燥運転スイッチ37、涼風運転(送風乾燥運転)を指令する涼風運転スイッチ39,47、暖房運転を指令する暖房運転スイッチ38,46、通常換気運転を指令する換気運転スイッチ40、タイマー表示部33などが設けられている。なお、通常換気運転スイッチ40を押し操作する毎に、「換気強」、「換気弱」の運転に切り替わる。
【0047】
また、換気運転スイッチ40を3秒以上押し操作することで、24時間換気運転を行う「24時間換気」の運転に切り替わる。
【0048】
停止スイッチ41を押し操作することで、上記各運転は停止するが、停止スイッチ41を押し操作しても、24時間換気運転は停止しない。24時間換気運転中に、換気運転スイッチ40を3秒以上押し操作することで、24時間換気運転を停止する。
【0049】
乾燥運転(温風乾燥運転)は、循環ファン12を作動させ、かつ、浴室2内の温度が乾燥用の設定温度範囲に維持されるように、熱動弁14の開閉を制御して温風用熱交換器11に温水を循環供給するとともに、設定風量となるように換気ファン16を作動させて、浴室2内から吸引した空気の一部を、排気ダクトを通して屋外に排出させながら、温風用熱交換器11により加熱された循環空気を吹き出し口18から浴室2内に吹出すようにしている。
【0050】
涼風運転(送風乾燥運転)は、循環ファン12を作動させるとともに、設定風量となるように換気ファン16を作動させて、浴室2内から吸引した空気の一部を、屋外に排出させながら、吸い込み口21から吸引された循環空気を吹き出し口18から浴室2内に吹出すようにしている。
【0051】
暖房運転は、換気ファン16を停止させた状態で、循環ファン12を作動させ、かつ、浴室2内の温度が暖房用の設定温度範囲に維持されるように、熱動弁14の開閉を制御して温風用熱交換器11に温水を循環供給させるとともに、浴室2内から吸引した空気の全量を温風用熱交換器11により加熱し、その加熱された循環空気を吹き出し口18から浴室2内に吹出すようにしている。
【0052】
通常換気運転は、通常設定換気量となるように換気ファン16を作動させて、浴室2内から吸引した空気を換気するようにしている。
【0053】
24時間換気運転は、24時間設定換気量となるように換気ファン16を作動させて、浴室2内から吸引した空気を換気するようにして、24時間継続して換気するようにしている。
【0054】
浴室暖房乾燥機1は、ユニットバスのように振動特性の異なる多様な浴室に設置されるので、浴室の種類や設置状況によっては、浴室暖房乾燥機1の循環ファン12や換気ファン16の回転によって生じる振動数が、浴室天井4等の構造物の固有振動数に近接、あるいは、一致して共振し、大きな振動が生じることが考えられる。
【0055】
この実施形態の浴室暖房乾燥機1では、循環ファン12や換気ファン16の回転に起因して共振が生じる場合には、その共振状態を速や解消できるように、次のように構成している。
【0056】
すなわち、上記制御部54を構成する図示しない回路基板上には、振動を検知する振動検知手段として加速度センサ55を設けている。この加速度センサ55は、
図6に示すように、振動の加速度を検出して振動レベルを加速度信号として、制御部54に出力する。なお、加速度センサ55の設置個所は、上記回路基板上に限らず、共振による振動を検知できる箇所であればよく、例えば、本体5のケースやグリル板20等に設置してもよい。
【0057】
この実施形態では、循環ファン12及び換気ファン16を共に作動させる温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行中に、加速度センサ54によって検出される加速度が、第1所定値SC1、例えば、0.00255G≒2.5Gal以上になったときには、共振であるとして、制御部54は、ファンの回転数変更制御を実行する。なお、Gは重力加速度である。
【0058】
この回転数変更制御では、制御部54は、循環ファン12及び換気ファン16の内の一方のファンである循環ファン12の回転数を、第1所定回転数HK1だけ増加させる。この第1所定回転数HK1は、例えば、回転数変更制御実行前の循環ファン12の設定回転数の数%、例えば2%の回転数である。回転数変更制御実行前の循環ファン12の設定回転数が、例えば、1500rpmの場合は、30rpm増加させて1530rpmに変更する。なお、第1所定回転数HK1は、前記数%に限らず、それ以上であってもよい。
【0059】
循環ファン12の回転数を第1所定回転数HK1だけ増加させることによって、加速度センサ55によって検出される加速度が、上記第1所定値SC1より小さい第2所定値SC2、例えば、0.00128G≒1.25Gal以下に低下した場合には、共振状態が解消したとして、第1所定回転数HK1だけ増加させた後の循環ファン12の変更後回転数である上記1530rpmを、設定回転数として制御部54に内蔵されているメモリ52に記憶し、次回以降の温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行時に、循環ファン12の回転数を、メモリ52に記憶した変更後回転数である1530rpmに制御して運転する。これによって、次回以降の運転では、循環ファン12の回転に起因する共振を防止することができる。
【0060】
これに対し、循環ファン12の回転数を、第1所定回転数HK1だけ増加させた変更後の回転数でも加速度センサ55によって検出される加速度が、上記第2所定値SC2以下に低下しない場合は、共振状態は解消されておらず、循環ファン12に起因する共振ではないとして、他方のファンである換気ファン16の回転数を、第2所定回転数HK2だけ増加させる。この第2所定回転数HK2は、例えば、回転数変更制御実行前の換気ファン16の設定回転数の数%、例えば2%の回転数である。回転数変更制御実行前の換気ファン16の設定回転数が、例えば、1800rpmの場合は、36rpm増加させて1836rpmに変更する。なお、第2所定回転数HK2は、前記数%に限らず、それ以上であってもよい。
【0061】
そして、換気ファン16の回転数を、第2所定回転数HK2だけ増加させて、加速度センサ55によって検出される加速度が、上記第2所定値SC2以下に低下した場合には、共振状態が解消したとして、第2所定回転数HK2だけ増加させた後の換気ファン16の変更後回転数である上記1836rpmを、設定回転数として制御部54に内蔵されているメモリ52に記憶し、次回以降の温風乾燥運転または送風乾燥運転の実行時に、換気ファン16の回転数を、メモリ52に記憶した変更後回転数である1836rpmに制御して運転する。これによって、次回以降の運転では、換気ファン16の回転に起因する共振を防止することができる。
【0062】
このようにして、換気ファン16または循環ファン12のいずれかの回転に起因する振動によって浴室暖房乾燥機1が設置されたユニットバ
スの浴室2が共振しても、上記の回転数変更制御を実行することによって、換気ファン16または循環ファン12の回転数が、共振を生じる回転数からずれるので、共振が持続することなく、共振によって生じる振動が抑制される。
【0063】
なお、制御部54が上記の回転数変更制御を実行して、循環ファン12の回転数を、第1所定回転数HK1だけ増加させた後に、更に、換気ファン16の回転数を、第2所定回転数HK2だけ増加させても、加速度センサ55によって検出される加速度が、上記第2所定値SC2以下に低下しない場合、すなわち、共振状態が解消しない場合は、換気ファン16または循環ファン12の回転に異常が生じている旨を、脱衣室用操作器9や浴室用操作器10によって報知する。
【0064】
あるいは、報知を行うことなく、上記の回転数変更制御を繰り返す、すなわち、循環ファン12の回転数を、更に所定回転数変更し、加速度が低下しないときには、換気ファン16の回転数を、更に所定回転数変更するといったように繰り返してもよく、この場合、変更する所定回転数を初回の変更時と異ならせてもよい。
【0065】
なお、本実施形態においては、温風乾燥運転または送風乾燥運転中に回転数変更制御を実行するときの第1所定回転数HK1及び第2所定回転数HK2は、共に正の値に設定され、回転数変更制御の実行によって循環ファン12及び換気ファン16の回転数を増加させるので、回転数を減少させるのに比べて、以下のような利点を有する。
【0066】
(1)温風乾燥運転は一般的に、入浴後の浴室2の乾燥や衣類の乾燥などに使用されるため、換気風量及び循環風量が、数%程度微増しても不都合は生じにくい。
【0067】
(2)送風乾燥運転は、涼風モードとして主に夏場の入浴時に涼風感を得るために使用されるため、換気風量及び循環風量が微増しても不都合は生じにくい。
【0068】
(3)24時間換気を行っている場合も、換気風量及び循環風量が微増しても問題は生じにくい。これに対し、24時間換気を行っている場合、換気風量が減少すると所望の風量にて換気が行われないという不都合が生じる。
【0069】
なお、第1所定回転数HK1及び第2所定回転数HK2を負の値とし、回転数変更制御の実行によって循環ファン12及び換気ファン16の回転数を減少させるようにしてもよい。
【0070】
本実施形態においては、温風乾燥運転または送風乾燥運転中に回転数変更制御を実行するときに、先ず循環ファン12の回転数を第1所定回転数HK1だけ増加させた後に、加速度センサ55によって検出される加速度が第2所定値SC2以下に低下しない場合には、更に、換気ファン16の回転数を第2所定回転数HK2だけ増加させるようにしているが、温風乾燥運転または送風乾燥運転中に回転数変更制御を実行するときに、先ず換気ファン16の回転数を第2所定回転数HK2だけ増加させた後に、加速度センサ55によって検出される加速度が第2所定値SC2以下に低下しない場合には、更に、循環ファン12の回転数を第1所定回転数HK1だけ増加させるように、換気ファン16の回転数を変更した後に循環ファン12の回転数を変更するようにしてもよい。
【0071】
次に、換気ファン16を作動させることなく、循環ファン12を作動させる暖房運転において共振が生じた場合について説明する。
【0072】
本実施形態では、暖房運転の実行中に、加速度センサ55によって検出される加速度が第3所定値SC3、例えば、0.00255G≒2.5Gal)以上になったときには、共振であるとして、制御部54は、暖房用回転数変更制御を実行する。
【0073】
本実施形態では、暖房運転において、循環ファン12の回転数が複数段階の回転数に設定可能であり、「暖房強」運転では、循環ファン12の回転数が暖房用高回転数、例えば、1800rpmに設定され、「暖房弱」運転では、循環ファン12の回転数が暖房用低回転数、例えば、1200rpmに設定される。
【0074】
循環ファン12の回転数が暖房用低回転数に設定された状態での「暖房弱」運転の実行中に、加速度センサ55によって検出される加速度が、第3所定値SC3以上になったときには、共振であるとして、制御部54が、循環ファン12の設定回転数を、第3所定回転数HK3だけ減少させる。この第3所定回転数は、例えば、暖房用回転数変更制御実行前の循環ファン12の設定回転数の数%、例えば2%の回転数である。暖房用回転数変更制御実行前の循環ファン12の設定回転数が、1200rpmであるので、24rpm減少させて1176rpmに変更する。なお、第3所定回転数HK3は、前記数%に限らず、それ以上であってもよい。
【0075】
また、循環ファン12の回転数が暖房用低回転数に設定された状態での「暖房弱」運転の実行中ではなく、「暖房強」運転の実行中に、加速度センサ55によって検出される加速度が、第3所定値SC3以上になったときには、共振であるとして、制御部54が、循環ファン12の設定回転数を、第4所定回転数HK4だけ増加させる。この第4所定回転数は、例えば、暖房用回転数変更制御実行前の循環ファン12の設定回転数の数%、例えば2%の回転数である。暖房用回転数変更制御実行前の循環ファン12の設定回転数が、1800rpmであるので、36rpm増加させて1836rpmに変更する。なお、第4所定回転数HK3は、前記数%に限らず、それ以上であってもよい。
【0076】
このように暖房運転の実行中に、循環ファン12の回転で生じる振動によって浴室暖房乾燥機1が設置されたユニットバ
スの浴室2が共振した場合であっても、暖房用回転数変更制御の実行によって循環ファン12の回転数が共振回転数からずれることになるから、共振が持続することなく、共振によって生じる振動が抑制される。
【0077】
上記温風乾燥運転や送風乾燥運転と同様に、変更後の循環ファン12の回転数が、次回以降の暖房運転実行時の設定回転数として記憶される。
【0078】
本実施形態によれば、更に次のような利点がある。
【0079】
(1)「暖房強」運転は、主に入浴前の浴室を暖める予備暖房に使用されるため、循環風量が微増しても不都合は生じにくい。
【0080】
(2)「暖房弱」運転は、主に入浴中の暖房に使用され、循環風量が増加すると、浴室内の使用者の濡れた肌に当たる風量が増えて、使用者が肌寒さを感じるが、循環風量が微減しても不都合は生じにくい。
【0081】
上記の第1所定回転数HK1、第2所定回転数HK2、第3所定回転数HK3、第4所定回転数HK4は、適宜変更してもよい。
【0082】
上記実施形態では、第1所定値SC1、第2所定値SC2、第3所定値SC3として、同じ値を用いているが、夫々異なる値を用いてもよい。