【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年10月15日から18日に東京ビックサイトにて開催されたJAPAN PACK 2013(2013 日本国際包装機械展)にて発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
押出ノズル部から押し出される第一食品生地の内部に第二食品生地を複合する複合食品生地を切断し切断面に前記第二食品生地による線状の模様を有する食品生地片の成形方法であって、
(a)外筒の内側に心部材を備えた押出ノズル部の内部にて前記外筒と前記心部材との間で形成する流路に第一食品生地を供給し、前記第一食品生地の内部に第二食品生地を供給して複合食品生地を形成する工程、
(b)該複合食品生地を前記流路内の上流側から下流側に向かって流下させ、前記流路の一部を形成する前記外筒の内周面または/及び前記心部材の外周面を相対的に周方向に回転することにより前記複合食品生地に周方向の回転を付与して前記第一食品生地の内部に前記第二食品生地を螺旋状に形成する工程、
(c)前記複合食品生地を前記押出ノズル部の押出口より押し出す工程、
(d)押し出された前記複合食品生地をその押出方向に対して交差する方向から切断する工程を含むことを特徴とする前記複合食品生地片の成形方法。
請求項1に記載の成形方法であって、前記工程(c)において、前記押出口の外形が凹凸状に形成されることにより、前記切断面における前記第二食品生地の線状の模様が前記外形に対応することを特徴とする前記複合食品生地片の成形方法。
請求項1乃至4のいずれかに記載の成形方法であって、前記工程(d)において、有底状の複合食品生地から上面が切断面である複合食品生地片を切断するとともに、前記切断面の上方に位置する前記複合食品生地の下端部を中央に集めて新たな底部を形成することを特徴とする前記複合食品生地片の成形方法。
第一食品生地を押出ノズル部に供給する供給部と、第二食品生地を押出ノズル部に供給する供給部と、前記第一食品生地の内部に前記第二食品生地を複合する複合食品生地を押し出す押出ノズル部と、前記複合食品生地から複合食品生地片を切断する切断装置を備えた線状の模様を有する食品生地片の成形装置であって、
前記押出ノズル部は、外筒の内側に心部材を備え、
前記外筒の内周面と前記心部材の外周面との間に第一食品生地の供給部に連通する流路を形成し、
前記外筒は、上側より上部外筒、回転部材及び外ノズルを備え、
前記心部材は、その下端部に前記外ノズルとの間で押出口を形成する下側心部材を備え、
前記流路の内部に前記第二食品生地を供給する供給管を備え、
前記流路を流下する前記複合食品生地を前記心部材の周りで周方向に回転し、前記第一食品生地の内部に前記第二食品生地を螺旋状に形成するために前記回転部材を回転する駆動部を備え、
前記切断装置は、前記押出ノズル部の押出口から押し出される前記複合食品生地をその押出方向に対して交差する方向から切断する装置であることを特徴とする前記複合食品生地片の成形装置。
請求項6に記載の成形装置であって、前記供給管は、前記心部材の内側に形成され前記第二食品用供給部に連通する流路との間に備えられたことを特徴とする前記複合食品生地片の成形装置。
請求項6に記載された成形装置であって、前記下側心部材は、中空状に備られ、第三食品生地用供給部と連通するように備えられたことを特徴とする前記複合食品生地片の成形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1においては、外筒から押し出される第一食品生地及び内筒から押し出される第二食品生地を各押出口の形状に略相似した形状にて連続的に押出す成形装置について開示するものであり、横切断面における第二食品生地の形状(文字や図形)を変化させることはできない。
【0007】
前記特許文献2においては、外筒の内側に内筒を同心状に備えた押出ノズル部に第一食品生地と第二食品生地を供給して押出ノズル部内の接合口において第一食品生地と第二食品生地を同心状に接合し、この接合口の下流側において径方向に設けた誘導板によって第一食品生地と第二食品生地の一部を円周方向に区分けするとともに、円周方向に回転する誘導部材の押圧面で第一食品生地を第二食品生地側に向かって径方向に入り込むように誘導し、第二食品生地の内部に第一食品生地による渦巻き模様を形成するものであり、押出ノズル部から押出された棒状食品生地の横切断面の中央部に第二食品生地が残存した状態で渦巻き模様が形成されているものであるので、第一食品生地の内部に第二食品生地が線状に内在する模様を形成することはできなかった。
【0008】
本発明は、簡単な構造で第一食品生地の内部に線状の第二食品生地を形成した複合食品生地を押出すことができ、さらに、第二食品生地の線状模様の長さや太さなどが調整可能な複合食品生地の成形方法およびその装置を提供する。また、複合食品生地の横切断面において第一食品生地の内部に第二食品生地の線状の模様を有する複合食品生地片を成形する方法及び装置を提供する。また、中空状の複合食品生地を押出す押出方法および装置、並びに、中空状の複合食品生地片を成形する方法及び装置を提供する。さらには、複合食品生地の内側に第三食品生地を備えた複合食品生地を押出す押出方法および装置、並びに、複合食品生地片を成形する方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、押出ノズル部から押し出される第一食品生地の内部に第二食品生地を複合する複合食品生地を切断し切断面に前記第二食品生地による線状の模様を有する食品生地片の成形方法であって、(a)外筒の内側に心部材を備えた押出ノズル部の内部にて前記外筒と前記心部材との間で形成する流路に第一食品生地を供給し、前記第一食品生地の内部に第二食品生地を供給して複合食品生地を形成する工程、(b)該複合食品生地を前記流路内の上流側から下流側に向かって流下させ、前記流路の一部を形成する
前記外筒の内周面または/及び前記
心部材の外周面を相対的に周方向に回転することにより前記複合食品生地に周方向の回転を付与して前記第一食品生地の内部に前記第二食品生地を螺旋状に形成する工程、(c)前記複合食品生地を前記押出ノズル部の押出口より押し出す工程、(d)押し出された前記複合食品生地をその押出方向に対して交差する方向から切断する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記工程(c)において、前記押出口の外形が凹凸状に形成されることにより、前記切断面における前記第二食品生地の線状の模様が前記外形に対応することを特徴とする。また、前記工程(c)において、前記複合食品生地の内側を中空状に押し出すことを特徴とする。また、前記工程(c)において、前記複合食品生地を押し出すとともに、前記複合食品生地の内側に第三食品生地を前記心部材から押し出し、前記工程(d)において、前記複合食品生地の内側に第三食品生地を備えた複合食品生地片を切断することを特徴とする。また、前記工程(d)において、有底状の複合食品生地から上面が切断面である複合食品生地片を切断するとともに、前記切断面の上方に位置する前記複合食品生地の下端部を中央に集めて新たな底部を形成することを特徴とする。
【0011】
また、第一食品生地を押出ノズル部に供給する供給部と、第二食品生地を押出ノズル部に供給する供給部と、前記第一食品生地の内部に前記第二食品生地を複合する複合食品生地を押し出す押出ノズル部と、前記複合食品生地から複合食品生地片を切断する切断装置を備えた線状の模様を有する食品生地片の成形装置であって、前記押出ノズル部は、外筒の内側に心部材を備え、前記外筒の内周面と前記心部材の外周面との間に第一食品生地の供給部に連通する流路を形成し、前記外筒は、上側より
上部外筒、回転部材及び
外ノズルを備え、前記心部材は、その下端部に
前記外ノズルとの間で押出口を形成する下側心部材を備え、前記流路の内部に
前記第二食品生地を供給する供給管を備え、前記流路を流下する前記複合食品生地を前記心部材の周りで周方向に回転し、前記第一食品生地の内部に前記第二食品生地を螺旋状に形成するために前記回転部材を回転する駆動部を備え、前記切断装置は、前記
押出ノズル部の押出口から押し出される前記複合食品生地をその押出方向に対して交差する方向から切断する装置であることを特徴とする。
【0012】
また、前記外ノズルの押出口の形状は、凹凸状の屈曲及び/又は湾曲部を備えたことを特徴とする。また、前記供給管は、前記心部材の内側に形成され前記第二食品用供給部に連通する流路との間に備えられたことを特徴とする。また、前記供給管は、前記
上部外筒の外壁に取り付けられ、前記第二食品用供給部に連通するように備えられたことを特徴とする。また、前記下側心部材は、中空状に備られ、第三食品生地用供給部と連通するように備えられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、押出ノズル部の内部にて外筒と心部材が形成する流路に第一食品生地を供給し、第一食品生地の内部に第二食品生地を供給して複合食品生地となし、該複合食品生地を上流側から下流側に向かって流下させるとともに、前記流路の一部を形成する外筒の内周面または/及び内筒の外周面を相対的に周方向に回転することにより複合食品生地に周方向の回転を付与し第一食品生地の内部に第二食品生地を螺旋状に内在させることができ、押出ノズル部のノズル口から押し出される複合食品生地の横切断面に第二食品生地による線状の模様を形成することができる。
【0014】
また、前記ノズル口において外筒の内側に心部材を同心状に設け、外筒と心部材とで形成する中空のノズル口から複合食品生地を押出すことにより中空状の複合食品生地を押出すことが可能であり、中空状の複合食品生地の横切断面に第二食品生地による線状の模様を形成することができる。
【0015】
また、前記ノズル口において外筒の内側に心部材を同心状に設け、外筒と心部材とで形成するノズル口から複合食品生地を押し出すとともに前記心部材から第三食品生地を押し出すことにより中実の複合食品生地を押出すことが可能であり、前記複合食品生地の横切断面に第二食品生地による線状の模様を形成することができる。
【0016】
また、外筒と心部材とで形成する中空のノズル口を凹凸状に屈曲及び/又は湾曲した隙間で形成することにより、第一食品生地を凹凸状の屈曲及び又は湾曲した外郭に形成できるとともに、第一食品生地に内在する線状の第ニ食品生地を前記外郭に応じた形状に成形することが可能であり、該横切断面には第二食品生地による線状の模様を有する複合食品生地片を成形することができる。
【0017】
また、前記ノズル口を意匠的に形成することによりデザイン性に優れた食品生地片が形成可能となり、視覚的に楽しむことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第一の実施形態に係る成形装置1について
図1乃至
図4にて説明する。成形装置1は、第一供給部2、第二供給部3、押出ノズル部4、切断装置5、生地搬送部6及び制御部7を備えている。
図2(a)は押出ノズル部4の断面を示し、
図2(b)は
図2(a)のA−A矢視による押出ノズル部4の断面を示す。また、
図4(a)は押出ノズル部4を一部断面を用いて示し、
図4(b)は
図4(a)のB−B矢視による押出ノズル部4の断面を示す。
【0020】
前記第一供給部2は第一食品生地DAを収容するホッパー8を備え、前記第二供給部3は第二食品生地DBを収容するホッパー9を備えている。各ホッパー8、9の内側に各生地を搬送する図示されないスクリューコンベアが備えられ、さらに、該スクリューコンベアの搬送下流側に図示されないベーンポンプ機構を有する計量送り部11,12が備えられている。第一供給部2および第二供給部3は、歯車列などの回転動力伝達機構を介して制御モータM1,M2に連動連結されており、後述する制御部7からの制御指令により各生地DA,DBの供給量を調節可能に設けられている。なお、第一供給部2および第二供給部3は公知の供給機構でもよく、押出ノズル部4に生地を安定して供給できる装置であれば上記機構に限定されない。
【0021】
押出ノズル部4は、前記第一供給部2に接続された接続口13と第二供給部3に接続された接続口14をそれぞれ上方斜め側部に設けた上部外筒15備えている。この上部外筒15の内側には、内筒17がナット部材18により一体的に固定されている。内筒17の外側部分には、接続口13の下側にガイドブロック17GAを設け、接続口14側にガイドブロック17GBを設けている。これらガイドブロックGA及びGBにより、上部外筒15と内筒17との間には接続口13から供給される第一食品生地DAが内筒17の手前側及び奥側(
図4(A)参照)に分かれて流れる流路19Aが設けられている。また、内筒17の内側には、前記接続口14に連通して第二食品生地DBが流れる通路17Bが設けられている。そして、ガイドブロックGA,GBの下側の環状部17Cの外周面17Sと上部外筒15の内周面15Sの間に環状の流路19Bが形成され、流路17Aと連通して流路19の一部を形成している。
【0022】
さらに、内筒17の下流端には下側心部材21が結合されており、この下側心部材21は、内筒17の内部を流下する第二食品生地DBを堰き止める栓としての役割を担っている。そして、上側心部材としての内筒17と下側心部材21の結合により心部材23を構成している。また、内筒17の側面には内筒17の内側の流路17Bと前記流路19とを連通し第二食品生地DBを流路19内に供給する管状の供給管25を
図3において左右対象にニ箇所備えている。この供給管25の出口25Aは、流路19を形成する内筒17の外周面17Sより外側に位置すると共に、上部外筒15の内周面15Sより内側に位置するよう備えられている。そして、内筒17の内部を流下する第ニ食品生地DBは供給管25を通過して出口25Aから流路19内を流下する第一食品生地DAの内部に線状に供給され、2つの食品生地が複合された複合食品生地DDが流路19内を流下する。
【0023】
また、上部外筒15の下端部は、上部軸受27を装嵌し固定している。さらに、この上部軸受27の下側には、回転部材29が回転自在に軸支して設けられている。そして、回転部材29の下側は、下部ケーシング31に固定された下部軸受33に軸支されている。さらに、外ノズル35は、下部ケーシング31の下側から着脱交換可能に嵌入され、下部ケーシング31に螺合するセットリング37で固定されている。
【0024】
前記回転部材29は、歯車列などの動力伝達機構30を介して図示されない制御モータM3と連動連結されており、制御部7により回転方向R2、回転速度及び連続的あるいは間欠的に駆動可能に制御されている。本実施例では、回転部材29の内周面29Sは平面視において円形であり、内筒17の外周面17Sとの間において環状の流路19Cを形成している。そして、下側心部材21と外ノズル35との間に流路19Dが形成されている。上記のように構成された押出ノズル部4において、上部外筒15、回転部材29及び外ノズル35が外筒39を構成し、外筒39と心部材23との間において食品生地が流下する流路19が形成されている。
【0025】
また、下側心部材21と外ノズル35が形成する流路19Dの下流端部分の形状について説明する。
図2(b)を参照するに、下側心部材21の柱部22の外周面22Sの横断面は五稜星形状であり、外ノズル35の下側ストレート部36の内周面36Sの横断面形状はその五稜星に相似する。流路19の出口である押出ノズル部4の押出口41は、内形が五稜星形状の心部を有し、外形がそれに相似した五稜星形状に形成されている。本実施例においては、押出口41は、複数の凹凸状の屈曲部を形成する。
【0026】
前記切断装置5は、押出ノズル4に一体的に固定された、ワイヤーカッタ装置である。切断装置5は、ピアノ線などのワイヤー43の両端をワイヤーブラケット45に固定し、このワイヤーブラケット45の一端部を制御モータM4の出力軸に固定している。この制御モータM4は、押出ノズル4にモータブラケット47を介して取り付けられている。この制御モータM4を制御部9の指令に基づき駆動することにより、ワイヤー43が外ノズル35の下端面に摺動しながら回転し、押出口41から押し出される複合食品生地DDを切断して複合食品生地片DPを成形する。
【0027】
押出ノズル部4の下方には、押出ノズル部4から押し出され切断装置5によって切断された複合食品生地片DPを搬送する生地搬送部6が設けられている。生地搬送部6は無端状のベルト49を駆動ローラ51と他の複数のローラに掛け回して設けられたベルトコンベアである。また、押出ノズル部4の押出口41の下方に位置するベルト49の内側には、複合食品生地片DPを支持する受け台53が上下位置調節可能に設けられている。
【0028】
制御部7は、操作パネル55と制御装置57を備えている。操作パネル55は、第一供給部2からの第一食品生地DAや第二供給部3からの第二食品生地DBの供給量、回転部材29の回転速度、コンベアベルト49の搬送速度などを設定入力するための表示部を備えている。また、制御装置59は、操作パネル55に設定入力された設定値に基づいて上記各部に駆動を指令する制御機能を備えている。
【0029】
次に、押出ノズル部4内で複合食品生地DDが形成され、複合食品生地片DPが切断成形される工程について説明する。ここでは、食品生地を色彩の違ったクッキー生地とし、白色の生地を第一供給部2のホッパー8に収容し、赤色の生地を第二供給部3のホッパー9に収容した場合について説明する。また、
図5乃至
図8にて複合食品生地DPの形状について説明する。なお、
図5及び
図7は押出ノズル部4から押出された複合食品生地DDを切断した状態の複合食品生地片DPを例示すものであり、第二食品生地DBの線長さを相違させた場合を例示している。また、
図6及び
図8は、それぞれ
図5及び
図7に示す複合食品生地片DBを焼成したものを例示している。また、各図の(a)図は複合食品生地片DPの平面図、(b)図は正面図、(c)図は底面図、(d)図は左側面図、(e)図は右側面図、(f)図は背面図、(g)図は(a)図における断面矢視図、(h)図は正面斜め上方から見た斜視図である(
図9、
図10、
図12において同じ)。
【0030】
各食品生地供給部2,3が制御部9に設定された供給量に基づいて第一食品生地DAおよび第二食品生地DBを押出ノズル部4に供給する。第一食品生地DAは外筒39の接合口13を通過して押出ノズル部4の手前側及び奥側の2つの流路19Aを流下する。また、第ニ食品生地DBは
上部外筒15の接合口14から内筒17の流路17Bを通過して2つの供給管25の出口25Aから第一食品生地DAの内部に線状に供給される。そして、第一食品生地DAの内部に2本の第二食品生地DBを有する複合食品生地DDが流路19Bを流下する。このとき、流路19を形成する
上部外筒15の内周面15S及び内筒17の外周面17Sには第一食品生地DAのみが接するよう第二食品生地DBの供給量を調節することが望ましい。
【0031】
さらに、複合食品生地DDは回転部材29の内側を流下する。このとき、複合食品生地DDは回転部材29の内周面29Sからの摩擦により回転部材29の回転に促されて周方向に回転が付与される。したがって、複合食品生地DDは、下流側へ流下する方向成分F1と周方向への方向成分F2の合力により螺旋状に流下する態様となり、2本の線状の第二食品生地DBは環状の第一食品生地DAの内部で2条の螺旋状に形成される。本実施例では、流路19Aを流下する第一食品生地DAは、
図4(b)において左側から右側に少々傾斜している。したがって、前記合力は押出ノズル部4の手前側(
図4(b)において下側)と奥側(
図4(b)において上側)では相違する結果となり、第2食品生地DBの2本の螺旋は心部材23の中心に対し対称形とはならない。また、流路19Aから流下する複合食品生地DDと回転部材29の内側を回動する複合食品生地DDが合流する際に、一方の複合食品生地DDの外側に他方の複合食品生地DDが重なることにより一方の第二食品生地BDの外側に第一食品生地DAを介して他方の第二食品生地BDが重なる場合も生じる(
図7参照)。
【0032】
回転部材29の位置を流下した複合食品生地DDは、下側心部材21及び外ノズル35の間の流路19Dを流下する。前述のとおり、下側心部材21の柱部22の外周面22Sと外ノズル35の下側ストレート部36の内周面36Sで形成される流路19は内形及び外形が五稜星形状に形成されている。したがって、環状の複合食品生地DDは中空の五稜星形状に変形する。このとき、第一食品生地DAに内在する第ニ食品生地DBは複合食品生地DDの内周面や外周面に露出することなく第一食品生地DAに覆われた状態を維持し、五稜星の稜線に沿って、つまりは、複合食品生地DDの外郭に対応する形状に変形する(
図5、
図7参照)。
【0033】
中空の五稜星形状に変形した複合食品生地DDは、押出ノズル部4の押出口41から押出され、所要の回転数にて回転する切断装置5のワイヤー43にて所要の厚みを有する複合食品生地片DPに切断される。この複合食品生地片DPの上下面(
図5などにおける正面及び背面)である切断面には、押出ノズル部4内で螺旋状に変形した第ニ食品生地DBが線状の模様となって露出することとなる。
図5及び
図7で例示するように、この線状の模様の長さは、例えば、回転部材29の回転数を増加させることにより長く成形することができ、この回転数に応じて変化させることができる。また、この模様の太さは、例えば、第ニ食品生地DBの供給量を増加させることにより太く成形することができ、その供給量に応じて変化させることができる。
【0034】
切断された複合食品生地DPはコンベアベルト49の搬送面に落下載置され次工程に搬送される。そして、焼成されることにより正面側より背面側が拡がるように変形する(
図6及び
図8参照)。
【0035】
また、外ノズル53の下側ストレート部36及び下側心部材21の柱部22の形状を変更することにより押出口41の形状を変化させることができる。例えば、
図9に示すように、切断された中空の複合食品生地片DPは、内周面及び外周面がハート型に成形されている。このとき、第一食品生地DAに内在する第ニ食品生地DBは、複合食品生地DDの内周面や外周面に露出することなく第一食品生地DAに覆われた状態を維持し、切断面にはハート型の稜線に沿って、つまりは、複合食品生地DDの凹凸状の屈曲部や湾曲部を有する外郭に対応する形状に変形した線状の模様を有することとなる。
【0036】
次に、本発明の第二の実施の形態に係る成形装置1の押出ノズル部71及び切断装置81について
図11及び
図12を用いて説明する。
図11は、押出ノズル部71及び切断装置81を縦切断面にて示した側面説明図である。また、
図12は、押出ノズル部71により押出され切断された複合食品生地片DPを示した説明図である。なお、第一の実施の形態に係る成形装置1と同様な構成には同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0037】
本実施例では、第一食品生地DA、第二食品生地DB及び第三食品生地DCの三種類の生地を用いた複合食品生地DDから食品生地片DPを成形する場合を示す(
図12参照)。押出ノズル71の流路19は、第一食品生地DAを供給する第一供給部2に連通されている。また、押出ノズル部71の
上部外筒15の側壁に図示されない第三供給部から第二食品生地DBを流路19A内に供給するための供給管73を備えている。供給管73の出口73Aは、流路19Aを形成する上部外筒15の内周面15Sより内側に位置すると共に、内筒17の外周面17Sより外側に位置し、下側に向かって開口している。
【0038】
さらに、内筒17の下流端には下側心部材75が取り付けられている。この下側心部材75の下側部分には、内筒17の内側の流路17Bに連通する円管状の柱部76が備えられている。そして、内筒17の流路17Bは第三食品生地DCを供給する第ニ供給部に連通している。これら内筒17と下側心部材75にて心部材79を構成する。
【0039】
外ノズル35には、五稜星形状のストレート部36が形成されており、その中央に円状の柱部76が同心上に配置されている。したがって、押出ノズル部71の押出口77は、流路19の出口の内側に管状の柱部76による円形の出口が同心上に配置されている。つまり、流路19の出口は、内形が円形で、外形が五稜星形状に形成されている。このような構成により、押出口77は、複数の凹凸状の屈曲部が形成されている。
【0040】
押出ノズル部71の下方には、切断装置81が備えられている。この切断装置81は、平刃83を備えた超音波スライサを例示することができる。この平刃83は、図示されない駆動装置により矢印のように長方形状に移動する。
【0041】
次に、押出ノズル部71にて複合食品生地DDが形成され、複合食品生地片DPが切断成形される工程について説明する。各生地供給部が制御部9に設定された供給量に基づいて第一食品生地DA、第二食品生地DB及び第三食品生地DCを押出ノズル部71に供給する。第一食品生地DAは押出ノズル部4の流路19Aを流下する。また、第ニ食品生地DBは供給管73の出口73Aから第一食品生地DAの内部に線状に供給される。そして、第一食品生地DAの内部に1本の第二食品生地DBを有する複合食品生地DDが流路19Bを流下する。
【0042】
さらに、複合食品生地DDは回転部材29の内側に形成される流路19Cを流下する。このとき、複合食品生地DDは、下流側へ流下する方向成分F1と周方向への方向成分F2の合力により螺旋状に流下する態様となり、線状の第二食品生地DBは環状の第一食品生地DAの内部で螺旋状に形成される。
【0043】
回転部材29の位置する流路19Cを流下した複合食品生地DDは、下側心部材75及び外ノズル35の間の流路19Dを流下する。前述のとおり、押出口77を形成する流路19Dの出口は、内形が円形で外形が五稜星形状に形成されている。したがって、環状の複合食品生地DDは中空の五稜星形状に変形する。このとき、第一食品生地DAに内在する第ニ食品生地DBは複合食品生地DDの内周面や外周面に露出することなく第一食品生地DAに覆われた状態を維持し、複合食品生地DDによる外郭に対応する形状に変形する。
【0044】
また、第三食品生地DCは下側心部材75の円形の出口より複合食品生地DDによる外郭の内側に押し出され、全体として積層状の積層食品生地DLが押出口77より押し出される。そして、切断装置81の平刃83が積層食品生地DLから所要の厚さの積層食品生地片DQを切断する。積層食品生地片DQの切断面には、第三食品生地DCによる円形の中央部分の外側に五稜星形状の外形を有する複合食品生地DDの外郭が配置され、この複合食品生地DDの内部に第二食品生地DBによる折れ曲がった線状の模様が形成されている(
図12(b)参照)。
【0045】
次に、本発明の第三の実施の形態に係る成形装置1の押出ノズル部61及び切断装置91について
図13、14を用いて説明する。この切断装置91は、特許文献3に示すようなシャッタ式切断装置を例示することができ、押出ノズル部61の下方に昇降可能に配置されている。なお、第一の実施の形態に係る成形装置1と同様な構成には同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0046】
図13は、押出ノズル部61を示した説明図であり、
図13(a)は押出ノズル部61の断面を示し、
図13(b)は
図13(a)のK−K矢視による押出ノズル部61の断面を示す。内筒17の中央に管部材63を貫通させ、管部材63の下端を下側心部材65に嵌入している。下側心部材65はその下部に柱部66を備え、さらに、中空状の流路65Bを備えている。管状の柱部66の形状は、4つの角を円弧状に丸めた略正方形である。この管部材63に図示されない供給部から第三食品生地DCを供給することにより、下側心部材65の押出口67から第三食品生地DCを押し出す。また、柱部66の外周面66Sと外ノズル35の下側ストレート部36の内周面36Sとで流路19Dを形成する。押出口41の外形は、4つの凹凸状の曲線により形成された形状であり、この押出口41から複合食品生地DDが押し出され、全体として複合食品生地DDの内側に第三食品生地DCを備えた積層食品生地DLが押出ノズル部61から押し出される。
【0047】
図14は、押出ノズル部61から押し出された棒状の積層食品生地DLをシャッタ式切断装置91にて切断する工程を示した側面説明図である。切断装置91は、3枚以上の複数のシャッタ片93を備え、シャッタ片93の作用面95にて開口97を形成し、このシャッタ開口97を閉じることにより開口97に供給された棒状の積層食品生地DLを切断する。また、切断装置91及び生地搬送部6の受け台53に支持されたコンベアベルト49の支持部分50は、切断工程時には吐出される積層食品生地DLの流下に伴って下降するものである。
【0048】
図14(a)は、複合食品生地DDによる底部DTを有する棒状の積層食品生地DLをシャッタ開口97に通してコンベアベルト49で支持した状態を示している。この状態から切断装置91及び支持部分50を下降させながらシャッタ開口97を縮小することにより、シャッタ片93の作用面95が積層食品生地DLの外周面を内側に押圧するとともにシャッタ片93の下面に位置する積層食品生地DLの上面である切断面が形成される(
図14(b),(c)参照)。そして、シャッタ片93の切断動作が終了した際には、底部DTと上面に切断面を有する積層食品生地片DQが形成される。また、棒状の積層食品生地DLの下端には複合食品生地DDによる新たな底部DTが形成される(
図14(d)参照)。そして、このような成形工程を繰り返すことにより複数の有底積層食品生地片DQを成形することができる。
【0049】
この底部DTを有する積層食品生地片DQは、有底状の外郭を形成する複合食品生地DDの内側に第三食品生地を備えたものであり、複合食品生地DDの上面の切断面の形状は、内形が4つの角を円弧状に丸めた略正方形であり、外形は4つの凹凸状の曲線により形成された形状である。また、外郭を形成する複合食品生地DDを構成する第一食品生地DAの内部には第二食品生地DBによる線状の模様を有することとなる。この模様は、複数の凹凸状に形成された第一食品生地DAの外郭に応じて成形されるものである(
図14(d)、(e)参照)。
【0050】
なお、押出ノズル部61から第三食品生地DCを押し出すことなく、複合食品生地DDのみを押し出すことにより、複合食品生地DDの内側に中空部DHを備えた有底状の複合食品生地を押し出すことが可能であり、内側に窪みを有する有底状の複合食品生地片DPを成形することができる(
図14の括弧書き参照)。
【0051】
本発明の実施の形態による成形装置の説明は概ね上述のとおりであるが、これに限らず、特許請求の範囲内において種種の変更が可能である。例えば、上記成形装置においては、複合食品生地DDの流下する流路19において、流路を形成する外筒39の一部である回転部材29の内周面29Sを周方向に回転することにより複合食品生地DDを回転し、複合食品生地DDの内部に螺旋状の第二食品生地DBを形成するよう説明したが、例えば、内筒17の外周部17Sの一部分を周方向に回転するなど心部材側を回転するように設けてもよい。
【0052】
また、回転部材29の回転速度を変速したり、間欠的に駆動する、あるいは、第ニ食品生地DBの供給量を変動したり、間欠的に供給したりすることにより、複合食品生地DDに内在する第ニ食品生地DBの螺旋状の軌跡が変動でき、切断された複合食品生地DDの切断面に現れる第二食品生地DBの線状の模様を変化させることが可能となる。
【0053】
また、上記説明では押出ノズル部から押し出された複合食品生地をその押出方向に直交する方向から切断するよう図示したが、押出方向に交差する方向であればよく、複合食品生地DDによる外郭の切断面に第二食品生地DBによる線状の模様を表出させることが可能である。
【0054】
また、流路19の内部に第二食品生地DBを供給する供給管を1つあるいは2つ備えるよう説明したがさらに多くの供給口を備えてもよい。また、各供給管から供給する第二食品生地DBは同一の生地に限らず色や物性の相違する生地であってもよく、変化に富んだ模様を表出することができる。
【0055】
また、上記説明では、クッキー生地を用いた例を示したが、例えば、魚肉のすり身などによるかまぼこ等の成形にも用いることができ、後工程における熱処理においても焼成だけでなく蒸成などであってもよい。また、アイスクリームなど種種の食品生地に適用することが可能である。