特許第6296816号(P6296816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296816可塑剤の少ない層を有する可塑剤含有ポリビニルアセタールからなる積層品を有する合せガラス積層品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296816
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】可塑剤の少ない層を有する可塑剤含有ポリビニルアセタールからなる積層品を有する合せガラス積層品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20180312BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20180312BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   C03C27/12 D
   B32B17/10
   B32B27/30 102
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-26154(P2014-26154)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-156390(P2014-156390A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】13155178.0
(32)【優先日】2013年2月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512192277
【氏名又は名称】クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ケラー
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−037193(JP,A)
【文献】 特開2013−006729(JP,A)
【文献】 特開2013−001595(JP,A)
【文献】 特表2010−525967(JP,A)
【文献】 特表2005−525951(JP,A)
【文献】 特開2004−143008(JP,A)
【文献】 特開2008−222513(JP,A)
【文献】 特表平09−508078(JP,A)
【文献】 特表2008−532917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00−29/00
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタールPAと、任意に少なくとも1種の可塑剤WAとを含有し、ガラス転移温度TAを有する少なくとも1枚のフィルムA及びポリビニルアセタールPBと、少なくとも1種の可塑剤WBとを含有し、ガラス転移温度TBを有する少なくとも1枚のフィルムBを、2枚のガラス板の間に積層することによって合せガラスを製造する方法であって、
それぞれ、該積層前に、
・フィルムAが、23.9〜0質量%の可塑剤WAの割合を有し、
・フィルムBが、24.1〜36.0質量%の可塑剤WBの割合を有し、かつ
・フィルムAが、該フィルムBの厚さの30%以下の厚さを有する
ことを特徴とする、合せガラスを製造する方法。
【請求項2】
該フィルムAが、該積層前に、該積層後にフィルムAから生じる層Aよりも少なくとも5℃高いガラス転移温度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該フィルムAが、6〜16質量%のビニルアルコール基の割合を有するポリビニルアセタールPAを含有し、かつ該フィルムBが、14〜26質量%のビニルアルコール基の割合を有するポリビニルアセタールPBを含有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
該積層前に、該フィルムAは、15〜75℃のガラス転移温度TAを有し、かつ該フィルムBが、10〜25℃のガラス転移温度TBを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
フィルムBが2枚のフィルムAの間に配置されており、かつ双方のフィルムAが、それぞれ1枚のガラス板に対して直接接触している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
該フィルムAが、カルボン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩0.001〜0.1質量%を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
該フィルムAが、端部領域中で、少なくとも1枚のガラス板よりも少なくとも1mmだけ小さく、該フィルムBが、この端部領域中で、少なくとも1枚のガラス板と直接接触している、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
該フィルムAが、少なくとも1つの切欠を有し、該フィルムBが、この切欠を介して、少なくとも1枚のガラス板と直接接触している、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
フィルムA及びフィルムBが、該積層後に、同じ可塑剤WA及びWBを有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
該フィルムAをガラス板上に配置し、引き続き少なくとも1枚のフィルムBで覆い、その上に2枚目のガラス板を置く、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
該フィルムAを少なくとも1枚のフィルムBと接触させ、こうして得られたフィルムスタックを2枚のガラス板の間に配置する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
該フィルムAの、該ガラス板と接触状態になる面が、該フィルムAの厚さの20%以下の表面粗さRzを有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
該フィルムBが、くさび形の厚さ分布を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
該フィルムBが、カラーシェードを有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑剤に対して異なる親和性のポリビニルアセタールをベースとする異なる可塑剤含量の層を組み合わせて、引き続き該層の間での該可塑剤の移行を伴う、合せガラス板の製造方法に関する。
【0002】
また本発明は、ガラス板を、ポリビニルアセタールをベースとし、薄く、可塑剤の少ない少なくとも1つの層及び可塑剤含有ポリビニルアセタールの少なくとも1つの更なる層と接着させることによる、消音特性を有する合せガラス積層品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
消音特性又は耐貫通特性を有する合せガラス板を製造するには、可塑剤含有ポリビニルアセタールをベースとし、複数の層を有するフィルム積層品が知られている。これらのフィルム積層品中の該層は、使用分野に応じて、多様な機械的性質を有する。そして、通例、消音性の窓ガラス(Verglasungen)を製造するためのフィルム積層品は、該外層と比べて軟質の中間層を有する。耐貫通性のフィルム積層品は、反対の構造を有してよい。
【0004】
PVB部分フィルムの組合せによるフィルム積層品の製造は、WO 03/097347 A1、EP 0566890 B1及びEP 0508864 B1から知られている。ここでは、異なる可塑剤を有する同じPVBポリマーが組み合わされた部分フィルム(WO 03/097347 A1、EP 0508864 B1)もしくは高い残留アセタート含量を有するPVBポリマーが使用される(EP 0566890 B1)。
【0005】
これらの刊行物では、フィルム積層品を製造するために、可塑剤含有ポリビニルアセタールをベースとする複数の層の組合せが提案されている。著しく可塑剤を含有するポリビニルアセタールは極めて粘着性であり、かつ軟質である(すなわち機械的に不安定である)ので、この材料からなる層の組合せは、難しいプロセスである。工業的な実地において、ゆえに、共押出しによる消音フィルムの製造が定着していた。この場合に、高い可塑剤含量、低いガラス転移温度、高い伸び率及び室温の範囲内での機械的な減衰最大値(Daempfungsmaximum)を有する粘着性層は、あまり粘着性でないPVBフィルムの2つの層により包囲されているので、そのような三層フィルムの巻き取り及び巻き戻し(Auf- und Abwickeln)の際、ガラス等上へ載置する際の取扱適性は大体において、通常軟質のPVBフィルムの外側にある2つの層の性質により決定される。それに反して、10℃未満のガラス転移温度を有し、薄く、著しく可塑剤を含有するPVB層の取り扱いは、その著しい粘着性及びとにかく低すぎる引張強さのために、実地の視点では不可能であろう。
【0006】
共押出された消音フィルムは、良好に取り扱うことができ、かつガラス板間に積層することができる。しかしながら、重大な欠点は、これらの多層製品の場合に、それらの著しく制限されたリサイクル性から生じる。異なる2種のガラス転移温度の維持に必要な、互いに接触するフィルム層の間での該可塑剤の不均一分布(Ungleichverteilung)は、それぞれの該層中で使用されるポリビニルアセタールの極性差を必要とし、該差は、一般的に該ポリビニルアセタールの異なる残留アセタート含量及び/又はアセタール化度により調節される。しかし該極性差は、該ポリビニルアセタールが、もはや相分離せずには混和性でないことをまねき、このことは再押出しの際に、こうして製造されたフィルムの乳状の濁り(milchiger Eintruebung)をまねく。
【0007】
更なる欠点は、共押出しにより得られる前記の多層フィルムの、これらが同様に特別な変法により該生成物中へ導入される更なる機能を有する場合の、特に高いコストにある。特に、付加的に押出により導入されるカラーテープ(Farbband)との組合せ又は該フィルムウェブの厚さプロフィールのくさびの形(keiligen Verlaufes)との組合せ又は両者は、かなり高められた製造コストをまねき、該コストは市場において引き継がれる(weitergegeben)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 03/097347 A1
【特許文献2】EP 0566890 B1
【特許文献3】EP 0508864 B1
【特許文献4】EP 1527107 B1
【特許文献5】WO 2004/063231 A1
【特許文献6】EP 1606325 A1
【特許文献7】WO 03/020776 A1
【特許文献8】EP 1 235 683 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ゆえに、良好な音響的性質を有する合せガラス積層品を得ることができ、その際に、共押出される多層フィルムに又は軟質で、加工しにくい減衰層に手を出す必要がない、方法を提供することであった。更なる課題は、現実的には高価な特殊PVBフィルムに手を出さなければならない、組み合わされた性質(カラーシェード(Farbkeil)、ヘッドアップ用のくさび形の厚さプロフィールを有する、音響学的性質)を有する合せガラス積層品を製造するための、費用のかからない代替法を示すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
意外なことに、良好な音響的性質を有する合せガラス板が、2枚のガラス板を、24〜36質量%の常用の可塑剤含量を有する少なくとも1枚のより厚いPVBフィルム並びにより低い可塑剤含量を有する少なくとも1枚のより薄い更なるフィルムと結合させることにより、得ることができることが見出された。
【0011】
薄い該フィルムは、別個に押し出され、かつ可塑剤を全く有しないか、又は該製造及び機械的応力下での更なる加工の際に著しく伸びず、粘着性でもないように低い可塑剤割合を有する。
【0012】
発明の説明
本発明の対象は、ゆえに、ポリビニルアセタールPAと、任意に少なくとも1種の可塑剤WAとを含有し、ガラス転移温度TAを有する少なくとも1枚のフィルムA及びポリビニルアセタールPBと、少なくとも1種の可塑剤WBとを含有し、ガラス転移温度TBを有する少なくとも1枚のフィルムBを、2枚のガラス板の間に積層することによる、合せガラスの製造方法であり、その際にそれぞれ、該積層前に、
・フィルムAが、23.9〜0質量%の可塑剤WAの割合を有し、
・フィルムBが、24.1〜36.0質量%の可塑剤WBの割合を有し、かつ
・フィルムAが、該フィルムBの厚さの30%以下の厚さを有する。
【0013】
以下に、"初期状態"とは、該積層前の該フィルムA及びBの状態、すなわち該フィルムのまだ別個の状態であると理解される。
【0014】
該フィルムA及びBの製造は別個に行われる。該フィルムA及びBの積層は、スタックへと一つにすること(Zusammenlegen)(場合により、フィルムA及びBからなる別個のフィルム巻物の巻き戻し)により行われる。該積層品又はフィルムスタックの製造は、該フィルムの一緒の製造により、例えば該フィルムの一緒の押出しにおいて、行われない。もちろん、一つにしたフィルムA及びBからなるフィルムスタックを再び巻き取って一緒のフィルム巻物にし、これを次いで巻き戻して部分に分け、かつ2枚のガラス板間に配置することが可能である。
【0015】
該層A及びBは、該層の積層前の初期状態で並びに合せガラス積層品中にある該中間層スタック中で、唯一の可塑剤並びに異なる組成及び同じ組成の可塑剤の混合物を有してよい。異なる組成とは、該可塑剤の種類並びに混合物中の該可塑剤の割合を意味している。好ましくは、該フィルムA及びフィルムBは、該積層後に、すなわち完成した合せガラス中に、同じ可塑剤WA及びWBを有する。
【0016】
本発明により使用される可塑剤含有フィルムBは、該層の積層前の初期状態で、例えば24.1〜36.0質量%、好ましくは25.0〜32.0質量%及び特に26.0〜30.0質量%の可塑剤を含有する。
【0017】
本発明により使用される可塑剤の少ないフィルムAは、該層の積層前の初期状態で可塑剤23.9〜0質量%を有してよく、その際にこの範囲の上限及び下限は、それぞれ互いに独立して、可塑剤22質量%、20質量%、18質量%、16質量%、14質量%、12質量%、10質量%、8質量%であってよく、又はそれどころか可塑剤がなくてもよい(0.0質量%)。特に好ましくは、可塑剤の少ない該フィルムAは、可塑剤5.0〜21.0質量%を含有する。
【0018】
該分布平衡の位置は、材料だけでなく質量にも依存する。ゆえに、本発明による方法において、該フィルムAは、該層の積層前の初期状態で、1枚もしくは複数枚のフィルムBの厚さの30%以下、好ましくは25%以下及び好ましくは20%以下の厚さを有する。該フィルムAの厚さの下限は、1枚もしくは複数枚のフィルムBの厚さの少なくとも1%であるべきである。特に好ましくは、該フィルムAの厚さは、1枚もしくは複数枚の該フィルムBの厚さの5%又は10%もしくは15%である。
【0019】
該層の積層前の初期状態のフィルムAの厚さは、20〜200μm、好ましくは30〜150μm、好ましくは40〜120μm、好ましくは60〜100μm及び最も好ましくは70〜90μmである。合せガラス中で、該フィルムの厚さは、フィルムBからの可塑剤の移動により増加する。
【0020】
フィルムBの厚さは、初期状態で450〜1500μm、好ましくは600〜1000μm、好ましくは700〜900μmである。複数枚のフィルムBの使用の場合に、相応することは、それらの全厚に当てはまる。フィルムBが、該サンドイッチ体の製造前に延伸される及び/又は付加的に該ガラス板(例えば風防ガラス(Windschutzscheibe))の形にアーチ形で適合される場合には、前記の厚さは、該積層の時点に、もう一度20%まで減少しうる。
【0021】
薄く、可塑剤の少ない、少なくとも1枚のフィルムAは、この場合に、ガラス表面の方を向いている。
【0022】
本発明の更なる実施態様において、薄く、可塑剤の少ない該フィルムAは、より高い可塑剤含量を有する2枚以上のより厚いフィルムの間に配置されてもよい。双方の場合に、より高い可塑剤含量を有する該フィルムのうち少なくとも1枚は、その際に付加的な特徴、例えば帯域フィルタ、くさび形の厚さプロフィール、IR吸収特性、音響学的性質、色等を有してよい。
【0023】
自動車窓ガラスの場合に、美観的理由及び耐久性の理由から、該合せガラス積層品の縁部(Kanten)をシーリング材でシールすることは好ましくない。このことは、そのような窓ガラスの、縁部欠陥の形成に対する感受性、例えば、該層の相互の間での剥離(離層)又は該積層品の縁部にまで達する極めて軟質の減衰層のために、気泡の発生を促進させる。
【0024】
本発明による方法において、可塑剤の少ない該フィルムAは、該フィルムが合せガラス積層品中で端部(Rand)まで完全に達しないように、裁断及び配置することができる。特に、該フィルムAは、端部領域中で少なくとも1枚のガラス板よりも少なくとも1mmだけ小さくてよいので、該フィルムBはこの端部領域中で少なくとも1枚のガラス板と直接接触している。
【0025】
更に、薄く、初期状態で可塑剤の少ない又は可塑剤フリーの該フィルムAは、該ガラス/フィルムサンドイッチ体中への挿入前に穴あけされてよいので、このフィルムは、切欠、例えば開口部(Durchbrueche)、孔、スリット(Schlitze)を任意の幾何学的パターンで有してよい。
【0026】
そして、該フィルムAは、少なくとも1つの切欠(Aussparung)を有してよいので、該フィルムBは、この切欠を介して少なくとも1枚のガラス板と直接接触している。完成した合せガラスへの接着後に、初期状態でより高い可塑剤含量を有する該フィルムBはこれらの箇所で、該ガラス板と、遮られることなく接着されており、もしくは2枚のより厚いフィルムの間へのより薄いフィルムの配置の際に、後者のより厚いフィルムの間での直接接触が生じる。これにより、該振動挙動に意図的に影響を及ぼすことができるので、該合せガラス板に関して、連続して部材面中にあり、かつ重なり合っている減衰層では得ることはできない振動特性が入手可能になる。
【0027】
本方法の更なる利点は、より厚い、初期状態でより可塑剤含有のフィルムBから、薄く、初期状態で可塑剤の少ない該フィルムA上への可塑剤の放出により、前者のフィルムBが合せガラス積層品中でいわば"後硬化する"ことにある。すなわち、製造、巻き戻し、載置、脱気及びそれぞれの予備複合化法(Vorverbundverfahren)における該端部複合体の製造の際に、該フィルムBは、通常の性質を有し、かつ該加工にとって不都合に高い硬さを有しない。該最終状態の達成と共に、該層中で低下された可塑剤含量に基づき、該フィルムBのガラス転移温度が使用温度で高められており、このことは、同時に生じる軟質の層Aとの組合せで、極めて良好な耐貫通性及び良好な音響的性質をもたらす。
【0028】
本方法は、任意の数の層、例えば2、3、4、5、6、7、8又は9つの層の組合せを含む。
【0029】
該層の数及びそれらの組成から独立して、該方法の過程で、該層を組み合わせてフィルム積層品にした後に、可塑剤により富んだ層から、もともと可塑剤のより少ない層への可塑剤の移行が行われる。該可塑剤の移行により、合せガラス中で、異なる機械的性質及び/又は音響的性質の層を有する中間層順序が得られる。
【0030】
より高い可塑剤含量を有するより厚い該PVBフィルムと接触すると、相対的に厚く、可塑剤に富んだ該PVBフィルムから、薄い該PVBフィルムへの可塑剤の移行が、該積層過程中に、例えばオートクレーブ中で結合させる際に、始まり、それにより、完成した該合せガラスの最終状態で、薄い該PVBフィルムから生じた層のガラス転移温度(Tg)は、10℃未満となり、並びにその音響的な減衰最大値は、35℃未満となる。該可塑剤含量、該ガラス転移温度及び該減衰最大値の最終状態(すなわち20℃の使用温度での熱力学的平衡状態における)は、その際に本質的には、異なる該層中にあるポリビニルアセタールの化学構造、全体で用いる可塑剤量、並びに該可塑剤の種類に依存する。該ポリビニルアセタールの分子構造は、それらの極性及び異なる該可塑剤に対する親和性を決定する。
【0031】
該可塑剤の移行プロセスは、該合せガラス製造の際に常用のオートクレーブプロセス中にも開始しうる。ここでは、2枚のガラス板と、間に差し込まれたフィルム積層品を有する層本体は、100〜150℃の温度に1〜6時間にわたってさらされる。
【0032】
最終的な該性質は、該熱力学的平衡状態の達成と共に確立される。20℃の常用の使用温度で、8週までの該平衡状態の調節を必要としうる。この時間は、オートクレーブプロセスに加えて、40℃以下での熱時における貯蔵が実施される場合に、短縮することができる。貯蔵が高すぎる温度で行われる場合には、可塑剤は、むしろ、多様な該層中に存在しているポリビニルアセタールの極性から独立して分布する傾向を示し、これは平衡状態で20℃での該分布に相当する必要はない。
【0033】
極めて軟質の個々のフィルムの加工の欠点は回避される、それというのも、変更される性質は、合せガラス中の既に固定された中間層スタック中での可塑剤の移行によってはじめて確立されるからである。
【0034】
本発明により使用される層は、ポリビニルアルコール又はエチレン−ビニルアルコールコポリマーのアセタール化により製造される、ポリビニルアセタールを含有する。
【0035】
該層は、それぞれ異なるポリビニルアルコール含量、アセタール化度、残留アセタート含量、エチレン割合、分子量もしくは該アセタール基の該アルデヒドの異なる鎖長を有するポリビニルアセタールを含有してよい。
【0036】
特に、該ポリビニルアセタールの製造に使用されるアルデヒド又はケト化合物は、炭素原子2〜10個を有する線状又は分枝鎖状の(すなわち"n"又は"イソ"タイプの)ものであってよく、これは相応する線状又は分枝鎖状のアセタール基をもたらす。該ポリビニルアセタールは相応して、"ポリビニル(イソ)アセタール"又は"ポリビニル(n)アセタール"と呼ばれる。
【0037】
本発明により使用されるポリビニル(n)アセタールは特に、少なくとも1種のポリビニルアルコールと、炭素原子2〜10個を有する1種以上の脂肪族の非分枝鎖状ケト化合物との反応から生じる。好ましくは、このためにはn−ブチルアルデヒドが使用される。
【0038】
該ポリビニルアセタールの製造に多様な層中で使用されるポリビニルアルコール又はエチレン−ビニルアルコールコポリマーは、それぞれ同じか又は異なり、純品で又は異なる重合度又は加水分解度を有するポリビニルアルコール又はエチレン−ビニルアルコールコポリマーの混合物であってよい。
【0039】
多様な層中の該ポリビニルアセタールのポリ酢酸ビニル含量は、相応する程度にけん化されたポリビニルアルコール又はエチレン−ビニルアルコールコポリマーの使用により調節することができる。該ポリ酢酸ビニル含量により、該ポリビニルアセタールの極性が影響を受け、それにより、それぞれの該層の可塑剤相溶性及び機械的な強さも変わる。該ポリビニルアルコール又はエチレン−ビニルアルコールコポリマーと、複数種のアルデヒド又はケト化合物の混合物とのアセタール化を実施することも可能である。
【0040】
好ましくは、該層は、該層を基準として、それぞれ同じか又は異なり、0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜3モル%又は5〜8モル%のポリ酢酸ビニル基の割合を有するポリビニルアセタールを含有する。
【0041】
初期状態で可塑剤のより少ない該フィルムAの使用されるポリビニルアセタールPAのポリビニルアルコール含量は、6〜16質量%、8〜15質量%、10〜14質量%及び好ましくは11〜13質量%であってよい。初期状態で可塑剤により富んだ該フィルムBの使用されるポリビニルアセタールPBのポリビニルアルコール含量は、14〜26質量%、16〜24質量%、18〜22質量%及び好ましくは19〜21質量%であってよい。
【0042】
該フィルムAのガラス転移温度TA(DIN 53765によるTgの測定)は、初期状態で、15〜75℃、好ましくは17〜60℃、好ましくは19〜45℃、好ましくは20〜40℃、好ましくは21〜35℃、好ましくは22〜30℃の範囲内である。
【0043】
完成した合せガラス中で、すなわち該積層後かつ該熱力学的平衡の調節後に、フィルムAから生じた、該平衡状態の達成後の層のガラス転移温度(TA′)は、該初期フィルムのTAに比べて、可塑剤の吸収により、少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、特に好ましくは少なくとも15℃及び殊に少なくとも20℃低下している。
【0044】
少なくとも1枚のフィルムBのガラス転移温度TB(DIN 53765による測定)は、初期状態で、10〜25℃、好ましくは14〜23℃、好ましくは15〜21℃、好ましくは16〜20℃の範囲内である。
【0045】
フィルムA及びBは好ましくは、初期状態でTAがTBよりも大きく、それに対して完成した合せガラス中で、すなわち該積層後かつ該熱力学的平衡の調節後に、フィルムAから生じた該層のガラス転移温度(TA′)が、フィルムBから生じた該層のガラス転移温度(TB′)よりも小さいように組み合わされる。
【0046】
好ましくは、(TA−TB)+(TB′−TA′)の和は、10℃、15℃、20℃、30℃より大きい。
【0047】
該層は、好ましくは未架橋のポリビニルアセタールを含有する。架橋ポリビニルアセタールの使用は同じように可能である。ポリビニルアセタールの架橋方法は、例えばEP 1527107 B1及びWO 2004/063231 A1(カルボキシル基含有ポリビニルアセタールの熱による自己架橋)、EP 1606325 A1(ポリアルデヒドで架橋されたポリビニルアセタール)及びWO 03/020776 A1(グリオキシル酸で架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。
【0048】
本発明により使用されるフィルムA及び/又はBは、可塑剤として、次の群から選択される1種以上の化合物を含有してよい:
・多価の脂肪族又は芳香族の酸のエステル、例えばジアルキルアジパート、例えばジヘキシルアジパート、ジオクチルアジパート、ヘキシルシクロヘキシルアジパート、ヘプチルアジパート類及びノニルアジパート類の混合物、ジイソノニルアジパート、ヘプチルノニルアジパート並びにアジピン酸と、環式脂肪族の又はエーテル結合を有するエステルアルコールとのエステル、ジアルキルセバカート、例えばジブチルセバカート並びにセバシン酸と、環式脂肪族の又はエーテル結合を有するエステルアルコールとのエステル、フタル酸のエステル、例えばブチルベンジルフタラート又はビス−2−ブトキシエチルフタラート
・1個以上の非分枝鎖状又は分枝鎖状で脂肪族又は芳香族の置換基を有する多価の脂肪族又は芳香族のアルコール又はオリゴエーテルグリコールのエステル又はエーテル、例えばジグリコール、トリグリコール又はテトラグリコールと、線状又は分枝鎖状で脂肪族又は環式脂肪族のカルボン酸とのエステル;後者の群の例として、ジエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノアート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノアート)、トリ−エチレングリコール−ビス−(2−エチルブタノアート)、テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノアート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノアート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノアート、テトラエチレングリコールジメチル−エーテル及び/又はジプロピレングリコールベンゾアートを利用してよい
・脂肪族又は芳香族のエステルアルコールとのリン酸エステル、例えばリン酸トリス(2−エチルヘキシル)(TOF)、リン酸トリエチル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、及び/又はリン酸トリクレジル
・クエン酸、コハク酸及び/又はフマル酸のエステル。
【0049】
特に好ましくは、該フィルムA及びBは、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DINCH)又はトリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノアート(3GOもしくは3G8)を可塑剤として含有する。
【0050】
本発明による方法は、互いに接触している少なくとも2枚のフィルムA及びBの間での可塑剤の拡散により促される移動を利用し、それにより、該熱力学的平衡の最終状態で、接触発生前の状態とは異なる他の可塑剤含量が確立される。
【0051】
付加的に、該フィルムA及びBは、更なる添加剤、例えば残留量の水、UV吸収剤、酸化防止剤、接着調節剤(Haftungsregulatoren)、蛍光増白剤、安定剤、着色剤、加工助剤、有機又は無機のナノ粒子、熱分解シリカ及び/又は表面活性物質を含有してよい。特に、フィルムAは、蛍光添加剤も含有してよく、又はIR吸収性又はIR反射性のコーティングが設けられていてよい。接着調節剤として、該フィルムAは、カルボン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩0.001〜0.1質量%を有してよい。
【0052】
合せガラスの本発明による製造方法内での積層工程は好ましくは、該フィルムA及びBを、双方の該ガラス板の間へ配置し、こうして用意された層本体を、高められた圧力又は減圧及び高められた温度下でプレスして積層品にすることにより、実施される。
【0053】
該フィルムAを少なくとも1枚のフィルムBと接触させる、例えば巻き取って一緒のフィルム巻物にするか、又は裁断された半製品及びこうして得られたフィルムスタックとして、2枚のガラス板の間へ配置することも可能である。引き続き、こうして用意された層本体を、高められた圧力又は減圧及び高められた温度下でプレスして積層品にする。
【0054】
該層本体の積層には、当業者によく知られた方法が、予備複合体の先行する製造あり及びなしで、使用してよい。
【0055】
いわゆるオートクレーブプロセスは、約10〜15barの高められた圧力及び130〜145℃の温度で約2時間にわたって実施される。真空サック法又は真空リング法は、例えばEP 1 235 683 B1によれば、約200mbar及び130〜145℃で操作する。
【0056】
いわゆる真空ラミネーターも使用可能である。これらは、加熱可能及び真空排気可能なチャンバからなり、それらの中で複合窓ガラスを30〜60分かけて積層することができる。0.01〜300mbarの減圧及び100〜200℃、特に130〜160℃の温度が、実地において認められている。
【0057】
最も単純な場合に、該合せガラス積層品を製造するために、フィルムA又はBが、ガラス板上へ配置され、かつこのためには同時に又はそれに続いて更なる該フィルムBもしくはAが配置される。それに引き続いて、2枚目のガラス板が載置され、かつガラスフィルム複合体が製造される。過剰の空気は、その後、当業者に知られた任意の予備複合化法の助けを借りて除去してよい。この場合に、該層相互並びに該ガラスとの最初の軽度の接着も既に行われる。
【0058】
該ガラスフィルム複合体を、最後に、オートクレーブプロセスにかけてよい。好ましくは、フィルムAは1枚目のガラス板上へ配置され、かつより厚い該フィルムBで覆ってから、2枚目のガラス板が載置される。本方法は、考えられ、かつ原則的に実行可能な多くの変法において実施してよい。例えば、フィルムAは単純に、相応する幅のロールから取り出され、それに対して、フィルムBは前もって、製造すべき合せガラスの寸法に裁断された。このことは、特に風防ガラス及び他の自動車窓ガラス部材の場合に有利である。この場合に、より厚い該フィルムBを裁断前に付加的になお延伸することが特に有利である。これは、より経済的なフィルム挿入を可能にするか、もしくはフィルムBがカラーシェードを有する場合に、その屈曲部を上側のガラス板縁部への適合を可能にする。多層消音フィルムの共押出しの場合とは異なり、ここでは、既に該フィルム中で極めて軟質の減衰層の不均一なテーパ(Verjuengung)による問題は生じない。
【0059】
自動車分野において、特に風防ガラスの製造のために、しばしば、上部領域中で、いわゆるカラーテープを有するフィルムが使用される。このためには、該フィルムA及びBの上側の部分が、相応して着色されたポリマー溶融物と共に共押出されてよいか、又は多層系において、該フィルムA及びBのうち1枚が、異なる色彩(Faerbung)を有してよい。本発明において、これは、該フィルムA及びBのうち少なくとも1枚を完全に又は部分的に着色することにより実現可能である。
【0060】
本発明による方法において、該フィルムBは、ゆえに、特に、先行するプロセス工程において既に、風防ガラスの該幾何学的形状に適合されたカラーシェードを有してよい。
【0061】
最も単純な場合に、該フィルムBは、カラーテープを有するか又は有しない及びくさびの厚さプロフィールを有する又は有しない市販のPVBフィルムである。同様に、中にIR保護のために分散されたナノ粒子を有するフィルムB並びに着色されたフィルムを使用してよい。もちろん、フィルムBは、音響学的機能を有するフィルムであってもよいので、フィルムAとの組合せにより更に改善された消音特性が得られる。もちろん、フィルムBは既に、前記の機能のうち複数を兼ね備えることもできる。
【0062】
薄い該フィルムAの製造は通例、キャストフィルムラインを使用しながらの押出しによるか又はインフレートフィルムとして行われる。この場合に、表面粗さは、制御されたフロークラック(Fliessbruch)によるか又はキャストフィルム法の場合に構造化されたチルロールの使用により付加的に、行ってよい。
【0063】
付加的に、既に製造されたフィルムに、少なくとも1組のロール対の間での型押過程により、規則的で、確率的ではない粗さを刻印してよい。好ましくは、本発明により使用されるフィルムは、1〜25μmの粗さRz、好ましくは1〜20μmのRz、特に好ましくは3〜15μmのRz及び殊に4〜12μmのRzを有する両面の又は好ましくは片面の表面構造を有する。特に好ましいのは、該フィルムAの、該ガラス板と接触状態になる面が、その厚さの20%以下の表面粗さRzを有する場合である。
【0064】
測定方法
該フィルムもしくは層のガラス転移温度(Tg)の測定は、DIN 53765による動的示差熱量測定法(DSC)を用いて、10K/分の加熱速度を使用して−50℃〜150℃の温度間隔で行われる。1回目の加熱温度傾斜(Heizrampe)、続いて冷却温度傾斜、続いて2回目の加熱温度傾斜で運転される。該ガラス転移温度の位置は、2回目の加熱温度傾斜に属する測定曲線についてDIN 51007により求められる。DIN中点値(Tg DIN)は、ステップ高さの半分での水平線と該測定曲線との交点として定義されている。該ステップ高さは、該中心接線(Mitteltangente)と、ガラス転移の前及び後の該測定曲線のベースラインとの双方の交点との垂直の距離により定義されている。
【実施例】
【0065】
例1〜8のフィルムを、幅35cmの冷却ロールユニットを有する小型押出機上で、示した厚さで、示した量及びタイプの可塑剤を用いて製造した。使用されたポリビニルブチラールは、これらの例について、12.0質量%のPVOH含量及び8質量%の残留アセタートを有していた。該フィルムについて、第1表に示されたガラス転移温度(TA)が測定された。
【0066】
TROSIFOL VG R10 0.76は、27.5質量%の可塑剤含量を有し、760μmの厚さの、風防ガラスの積層用の市販の標準自動車フィルムである。製造に使用されるPVBバッチは、20.3質量%のPVOH含量を有していた。該ガラス転移温度(TB)は19.2℃と測定された。
【0067】
施工前に、全てのフィルムを24h、23℃/23%相対湿度(rF)の気候中で貯蔵した。
【0068】
該試験積層品の製造のために、厚さ2.1mmで縁部長さ30×30cmを有するタイプPlanilux(登録商標)の平板状ガラスを、工業的に常用のガラス洗浄機を用いて洗浄した。
【0069】
下側のガラス板を、施工台上に置き、例1〜8のフィルムAを、それぞれロールから巻き戻してその上へ配置した。隣接して、該フィルムVG R10の層をその上に置いてから、該サンドイッチ体を、上部のPlaniluxガラス板の載置により補完した。突出したフィルムを、鋭利なナイフで縁部に揃えて切り離した。該サンドイッチ体を、工業的に常用のロール予備複合化装置により予備複合化し、最後に90分間、オートクレーブ中で最大140℃及び圧力12barで接着させて最終複合体にした。
【0070】
該ガラスを取り出した後に、これらを20℃で実験室中で貯蔵し、それから取り出した2.5×30cmの寸法の積層品ストリップについて、毎週、振動挙動をISO 16940:2008により測定した。貯蔵時間6週後に、1番目及び2番目の振動モードの損失係数はもはや変わらなかったので、該試験積層品はその中にある中間層組合せと共に、平衡にあるとみなすことができた。損失係数並びにそれに属する共振振動数の値は、第1表に示されている。0.20を上回る損失係数の場合に、ガラス部材の振動の良好に認知できる音響的な減弱(Bedaempfung)が前提とされうる。0.25を上回る損失係数の場合に、該消音及び振動減衰の明らかに認知できる改善が前提とされうる。
【0071】
例1〜8の可塑剤の少ない薄いフィルムと、市販の標準フィルムTROSIFOL VG R10との組合せにより、それゆえ、単純な方法で、良好な安全特性及び良好な音響的性質を有する試験積層品を製造することができた。
【0072】
第2表は、ISO 16940:2008により、20℃で貯蔵10週後の2.5×30cmの積層品ストリップについて測定された振動特性、並びにTA′もしくはTB′を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
本発明の実施態様は次の通りである:
1. ポリビニルアセタールPAと、任意に少なくとも1種の可塑剤WAとを含有し、ガラス転移温度TAを有する少なくとも1枚のフィルムA及びポリビニルアセタールPBと、少なくとも1種の可塑剤WBとを含有し、ガラス転移温度TBを有する少なくとも1枚のフィルムBを、2枚のガラス板の間に積層することによって合せガラスを製造する方法であって、
それぞれ、該積層前に、
・フィルムAが、23.9〜0質量%の可塑剤WAの割合を有し、
・フィルムBが、24.1〜36.0質量%の可塑剤WBの割合を有し、かつ
・フィルムAが、該フィルムBの厚さの30%以下の厚さを有する
ことを特徴とする、合せガラスを製造する方法。
2. 該フィルムAが、該積層前に、該積層後にフィルムAから生じる層Aよりも少なくとも5℃高いガラス転移温度を有する、上記1記載の方法。
3. 該フィルムAが、6〜16質量%のビニルアルコール基の割合を有するポリビニルアセタールPAを含有し、かつ該フィルムBが、14〜26質量%のビニルアルコール基の割合を有するポリビニルアセタールPBを含有する、上記1又は2記載の方法。
4. 該積層前に、該フィルムAは、15〜75℃のガラス転移温度TAを有し、かつ該フィルムBが、10〜25℃のガラス転移温度TBを有する、上記1から3までのいずれか1項記載の方法。
5. フィルムBが2枚のフィルムAの間に配置されており、かつ双方のフィルムAが、それぞれ1枚のガラス板に対して直接接触している、上記1から4までのいずれか1項記載の方法。
6. 該フィルムAが、カルボン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩0.001〜0.1質量%を有する、上記1から5までのいずれか1項記載の方法。
7. 該フィルムAが、端部領域中で、少なくとも1枚のガラス板よりも少なくとも1mmだけ小さく、該フィルムBが、この端部領域中で、少なくとも1枚のガラス板と直接接触している、上記1から6までのいずれか1項記載の方法。
8. 該フィルムAが、少なくとも1つの切欠を有し、該フィルムBが、この切欠を介して、少なくとも1枚のガラス板と直接接触している、上記1から7までのいずれか1項記載の方法。
9. フィルムA及びフィルムBが、該積層後に、同じ可塑剤WA及びWBを有する、上記1から8までのいずれか1項記載の方法。
10. 該フィルムAをガラス板上に配置し、引き続き少なくとも1枚のフィルムBで覆い、その上に2枚目のガラス板を置く、上記1から9までのいずれか1項記載の方法。
11. 該フィルムAを少なくとも1枚のフィルムBと接触させ、こうして得られたフィルムスタックを2枚のガラス板の間に配置する、上記1から9までのいずれか1項記載の方法。
12. 該フィルムAの、該ガラス板と接触状態になる面が、該フィルムAの厚さの20%以下の表面粗さRzを有する、上記1から11までのいずれか1項記載の方法。
13. 該フィルムBが、くさび形の厚さ分布を有する、上記1から12までのいずれか1項記載の方法。
14. 該フィルムBが、カラーシェードを有する、上記1から13までのいずれか1項記載の方法。