特許第6296872号(P6296872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アスモ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6296872-ロータ及び液体ポンプ 図000002
  • 特許6296872-ロータ及び液体ポンプ 図000003
  • 特許6296872-ロータ及び液体ポンプ 図000004
  • 特許6296872-ロータ及び液体ポンプ 図000005
  • 特許6296872-ロータ及び液体ポンプ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296872
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】ロータ及び液体ポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20180312BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20180312BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H02K1/27 501H
   H02K21/14 M
   H02K1/22 A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-84577(P2014-84577)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-204734(P2015-204734A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】金原 良将
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−153637(JP,A)
【文献】 特開2012−244783(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/080888(WO,A1)
【文献】 特開2013−100742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 1/22
H02K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体より成るロータコアの周方向にマグネットを複数配置することでマグネット磁極部が形成されたロータ本体部と、
前記ロータ本体部の径方向外側に固定された筒状のカバーと、
前記ロータ本体部の外周部分の一部を構成すると共に、前記ロータコアの周方向において前記マグネット磁極部に対して空隙をもって形成され、前記ロータコアの軸中心から外周面までの距離が前記ロータコアの軸中心から前記マグネット磁極部の外周面までの距離に比べて長く設定されて前記カバーからの荷重を受ける荷重受部と、
を備えたロータ。
【請求項2】
前記荷重受部が、前記ロータコアの周方向に等間隔に配置された請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記マグネット磁極部と前記荷重受部とが、前記ロータコアの周方向に交互に形成された請求項1又は請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記マグネットが一方の磁極に設定され、
前記荷重受部が他方の磁極として機能する擬似磁極部とされた請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータコアの軸中心から前記荷重受部の外周面までの距離が、複数の前記荷重受部において全て同じに設定された請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記ロータコアには、前記マグネットが挿入される挿入孔が形成され、
前記ロータコアの周方向において前記挿入孔と前記空隙とが隣合って配置された請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のロータ。
【請求項7】
回転することでポンプ部内の液体を圧送するインペラと、
前記インペラと一体回転可能に構成され、前記カバーが非磁性とされた請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のロータと、
前記ロータの径方向外側に設けられたステータと、
前記ロータ本体部を被覆して前記カバーと共に前記ロータの外郭を構成すると共に、前記インペラと一体に形成された樹脂モールド部と、
を備えた液体ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及び液体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、所謂コンシクエントポール型の回転子(ロータ)が開示されている。この回転子は、回転子コア(ロータコア)と、永久磁石(マグネット)と、カバーと、を含んで構成されている。具体的には、回転子コアが、回転軸に固定されたボス部と、ボス部から回転子コアの径方向外側へ突出された複数の突出部と、を有している。そして、回転子コアの外周部には、各突出部間において、複数の永久磁石が設けられている。これにより、回転子コアの周方向において、突出部と永久磁石とが交互に配置されている。そして、カバー内に回転子コアが嵌入されて、カバーが回転子コアに固定されている。
【0003】
また、カバーが回転子コアに固定された状態では、突出部の第1径外面の中央部がカバーの内面に当接し、永久磁石の第2径外面の全面がカバーの内面に接触されるように構成されている。これにより、永久磁石とカバーとが局所的に接触することが回避されて、永久磁石の破損を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−3841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記回転子では、永久磁石がカバーに局所的に接触することが回避されるものの、回転子コアの径方向内側への荷重がカバーから永久磁石に作用する。このため、上記回転子では、カバーから永久磁石に作用する当該荷重を抑制する点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、カバーからマグネットへ作用する荷重を抑制することができるロータ及び当該ロータを用いた液体ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロータは、磁性体より成るロータコアの周方向にマグネットを複数配置することでマグネット磁極部が形成されたロータ本体部と、前記ロータ本体部の径方向外側に固定された筒状のカバーと、前記ロータ本体部の外周部分の一部を構成すると共に、前記ロータコアの周方向において前記マグネット磁極部に対して空隙をもって形成され、前記ロータコアの軸中心から外周面までの距離が前記ロータコアの軸中心から前記マグネット磁極部の外周面までの距離に比べて長く設定されて前記カバーからの荷重を受ける荷重受部と、を備えている。
【0008】
上記構成のロータによれば、ロータがロータ本体部を備えており、ロータ本体部の径方向外側には、筒状のカバーが固定されている。このロータ本体部では、磁性体より成るロータコアの周方向にマグネットが複数配置されて、マグネット磁極部が形成されている。また、ロータ本体部の外周部分の一部が荷重受部で構成されており、荷重受部は、ロータコアの周方向においてマグネット磁極部に対して空隙をもって形成されている。
【0009】
ここで、ロータコアの軸中心から荷重受部の外周面までの距離が、ロータコアの軸中心からマグネット磁極部の外周面までの距離に比べて長く設定されている。そして、ロータ本体部の径方向外側にカバーを固定することによるカバーからロータ本体部に作用するロータ本体部の径方向内側への荷重を荷重受部が受けている。これにより、当該荷重がマグネット磁極部に作用することが抑制されるため、カバーからマグネットへ作用する荷重を抑制することができる。
【0010】
本発明のロータは、上記構成に加えて、前記荷重受部が、前記ロータコアの周方向に等間隔に配置されている。
【0011】
上記構成のロータによれば、ロータコアの周方向において荷重受部が等間隔に配置されているため、ロータ本体部の周方向においてカバーをロータ本体部にバランスよく固定することができる。また、カバーをロータ本体部の径方向外側に固定することによるカバーからロータ本体部に作用するロータ本体部の径方向内側への荷重をロータコアにバランスよく分散させることができる。
【0012】
本発明のロータは、上記構成に加えて、前記マグネット磁極部と前記荷重受部とが、前記ロータコアの周方向に交互に形成されている。
【0013】
上記構成のロータによれば、ロータコアの周方向において荷重受部がマグネット磁極部を挟むように配置されるため、カバーからマグネットへ作用する荷重を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明のロータは、上記構成に加えて、前記マグネットが一方の磁極に設定され、前記荷重受部が他方の磁極として機能する擬似磁極部とされている。
【0015】
上記構成のロータによれば、擬似磁極部としての機能と、カバーからの荷重を受ける機能と、を荷重受部に持たせることができる。これにより、ロータコアにおける別々の部位に当該機能を持たせるように構成した場合と比べて、ロータの構造を簡素化することができる。
【0016】
本発明のロータは、上記構成に加えて、前記ロータコアの軸中心から前記荷重受部の外周面までの距離が、複数の前記荷重受部において全て同じに設定されている。
【0017】
上記構成のロータによれば、例えばロータの径方向外側にステータを配置する場合に、ステータと、擬似磁極部としての機能する荷重受部と、の間の間隔(磁気ギャップ)が略同じになるため、ロータの回転バランスを確保することができる。
【0018】
本発明のロータは、上記構成に加えて、前記ロータコアには、前記マグネットが挿入される挿入孔が形成され、前記ロータコアの周方向において前記挿入孔と前記空隙とが隣合って配置されている。
【0019】
上記構成のロータによれば、マグネットがロータコアの挿入孔内に挿入されているため、ロータが所謂磁石埋設型ロータとして構成されている。このため、磁石埋設型ロータとして構成されたロータにおいて、ロータコアにおける挿入孔の変形等を荷重受部によって抑制することができる。
【0020】
本発明の液体ポンプは、回転することでポンプ部内の液体を圧送するインペラと、前記インペラと一体回転可能に構成され、前記カバーが非磁性とされた上記記載のロータと、前記ロータの径方向外側に設けられたステータと、前記ロータ本体部を被覆して前記カバーと共に前記ロータの外郭を構成すると共に、前記インペラと一体に形成された樹脂モールド部と、備えている。
【0021】
上記構成の液体ポンプによれば、ロータの径方向外側にステータが設けられている。また、ロータ本体部は、樹脂モールド部によって被覆されており、樹脂モールド部はカバーと共にロータの外郭を構成している。そして、ポンプ部内の液体を圧送するインペラが、樹脂モールド部と一体に形成されている。このため、ロータ本体部に対する防水性を、樹脂モールド部及びカバーによって確保することができる。
【0022】
また、ロータの径方向外側部分における外郭を構成するカバーが非磁性とされている。このため、ロータ本体部における磁束がカバーに漏れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態に係るロータに用いられるロータ本体部を示す平面図である。
図2】本実施の形態に係るロータが適用されたウォータポンプを示す縦断面図である。
図3】本実施の形態に係るロータの主要部を分解して示す分解斜視図である。
図4図2に示されるロータ及びインペラを拡大して示す縦断面図である。
図5図1に示されるロータ本体の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本実施の形態に係るロータ52が適用された「液体ポンプ」としてのウォータポンプ10について説明する。
【0025】
本実施の形態に係るウォータポンプ10は、例えば車両(自動車)のエアコンヒータ用の冷却水(液体)を圧送するためのポンプとして用いられている。図2に示されるように、ウォータポンプ10は、インペラ70が収容され且つ冷却水を圧送するポンプ部12と、インペラ70を回転させるためのモータ部50と、を備えている。また、ウォータポンプ10は、モータ部50を収容するモータハウジング30(広義には、「ハウジング」として把握される要素である)と、モータ部50を駆動制御するための回路装置90と、を備えている。
【0026】
以下、上記各構成をポンプ部12、モータハウジング30、モータ部50、及び回路装置90の順で説明する。なお、ウォータポンプ10は、全体として略円柱形状に形成されており、以下の説明では、図面に適宜示される矢印A方向を上方とし、矢印B方向を下方としている。
【0027】
(ポンプ部12について)
図2に示されるように、ポンプ部12はウォータポンプ10の上部を構成している。ポンプ部12はポンプケース14を備えており、ポンプケース14はポンプ部12の外周部分を構成している。このポンプケース14はケース本体部16を有しており、ケース本体部16は下方側へ開放された略有底円筒形状に形成されている。ケース本体部16の内部には、中央部において、インペラ70を収容するインペラ収容部18が形成されており、インペラ収容部18は、下方側へ開放された略凹状に形成されている。さらに、ケース本体部16の内部には、インペラ収容部18に対してケース本体部16の径方向外側において、流路20が形成されている。この流路20は、下方側へ開放された断面略U字形状に形成されると共に、ケース本体部16の周方向に沿って延在されている。
【0028】
また、ケース本体部16の上壁には、中央部(ウォータポンプ10の軸心部)において、入口管22が一体に形成されている。入口管22は、管状に形成されて、ケース本体部16から上方側へ延出されている。また、入口管22はインペラ収容部18と連通されており、冷却水が入口管22からケース本体部16内へ流入されるようになっている。
【0029】
さらに、ケース本体部16の外周部には、図示しない出口管が一体に形成されている。この出口管は、管状に形成されて、ケース本体部16の側壁からウォータポンプ10の軸線に対して直交する方向に延出されている。そして、出口管は流路20と連通されており、ケース本体部16内に流入された冷却水が出口管から流出されるようになっている。
【0030】
また、ケース本体部16の開放端部には、ポンプ側フランジ部26が一体に形成されており、ポンプ側フランジ部26は、ケース本体部16からケース本体部16の径方向外側へ突出されると共に、ケース本体部16の全周に亘って略リング状に形成されている。このポンプ側フランジ部26の下面には、略円筒形状のリブ26Aが立設されており、リブ26Aはケース本体部16の全周に亘って形成されて、ポンプ側フランジ部26から下方側へ突出されている。
【0031】
(モータハウジング30について)
図2に示されるように、モータハウジング30は、ウォータポンプ10の上下方向中間部を構成すると共に、ポンプ部12に対して下方側に配置されている。このモータハウジング30は、全体として下方側へ開放された略有底円筒状に形成されて、入口管22(ウォータポンプ10の軸線)と同軸上に配置されている。具体的には、モータハウジング30は、モータハウジング30の径方向外側部分を構成する外筒部32を有しており、外筒部32は下方側へ開放された略有底円筒状に形成されている。また、モータハウジング30は、モータハウジング30の径方向内側部分を構成する内筒部34を有している。この内筒部34は、上方側へ開放された略有底円筒状に形成されており、内筒部34の開放端(上端)が外筒部32の底壁に結合されている。
【0032】
そして、外筒部32と内筒部34との間の空間が、後述するステータ80を収容するためのステータ収容部36とされており、ステータ収容部36は下方側へ開放された略円環状の空間に形成されている。さらに、内筒部34の内側の空間が、後述するロータ52を収容するためのロータ収容部38とされている。
【0033】
また、外筒部32の外周部分を構成する外筒壁32Aの上端部には、第1結合部40が一体に形成されている。第1結合部40は、外筒壁32Aからモータハウジング30の径方向外側へ突出され、外筒壁32Aの全周に亘って略リング状に形成されると共に、前述したポンプ側フランジ部26と上下方向に対向して配置されている。また、第1結合部40の上面には、前述したポンプ側フランジ部26のリブ26Aと対応する位置において、リブ収容凹部40Aが形成されている。リブ収容凹部40Aは、上方側へ開放されると共に、モータハウジング30の軸方向から見て円環状(リング状)に形成されている。そして、リブ収容凹部40A内にポンプケース14のリブ26Aが収容された状態で、第1結合部40とポンプ側フランジ部26とが結合されている。また、この状態では、外筒部32の底壁がポンプケース14内に入り込むと共に、ポンプケース14内とロータ収容部38内とが連通されている。
【0034】
一方、外筒壁32Aの下端部には、第2結合部42が一体に形成されている。第2結合部42は、外筒壁32Aからモータハウジング30の径方向外側へ突出されると共に、外筒壁32Aの全周に亘って所定の形状に形成されている。また、第2結合部42の下面には、第2結合部42の外周部分において、囲繞壁42Aが一体に形成されている。囲繞壁42Aは、第2結合部42から下方側へ突出されると共に、第2結合部42の全周に亘って枠状に形成されている。
【0035】
さらに、第2結合部42には、コネクタ部(図示省略)が一体に形成されている。このコネクタ部は、下方側へ開放された略有底矩形筒状に形成されると共に、第2結合部42から下方側へ突出されており、コネクタ部内に外部コネクタ(図示省略)が嵌合されるようになっている。また、図示は省略するが、モータハウジング30には、外部コネクタと接続されるコネクタターミナルが設けられており、コネクタターミナルの一端部がコネクタ部の内部に配置されている。さらに、コネクタターミナルは所定の形状に屈曲されており、コネクタターミナルの他端部が、モータハウジング30から下方側へ延出されて、後述する回路基板96に接続されている。
【0036】
また、内筒部34の底壁には、中央部において、略円筒形状の支持部44が一体に形成されている。支持部44は、ポンプ部12の入口管22と同軸上に配置されて、内筒部34の底壁から上方側へ突出されている。さらに、内筒部34内には、円柱状の回転軸46が設けられており、回転軸46は支持部44と同軸上に配置されている。そして、回転軸46の下端部が支持部44に固定支持されており、回転軸46は支持部44から上方側へ突出されている。
【0037】
(モータ部50について)
図2に示されるように、モータ部50は、ロータ52とステータ80とを含んで構成されている。以下、初めにロータ52について説明し、次いでステータ80について説明する。
【0038】
ロータ52は、全体として略円筒形状に形成されると共に、回転軸46の径方向外側でモータハウジング30のロータ収容部38内に収容されている。また、図3及び図4に示されるように、ロータ52は、ロータコア54と、複数(本実施の形態では4つ)の「マグネット」としてのロータマグネット60と、「カバー」としてロータカバー62と、樹脂モールド部64(図4参照)と、を含んで構成されている。そして、本発明のロータ本体部53がロータコア54及びロータマグネット60によって構成されている。
【0039】
図3に示されるように、ロータコア54は、略円環状に打ち抜かれた複数の鋼板で構成されており、当該鋼板が上下方向を板厚方向として上下方向に積層されている。そして、ロータコア54は、全体として略円筒形状に形成されると共に、回転軸46(図2参照)と同軸上に配置されている。また、ロータコア54には、複数(本実施の形態では4箇所)の「挿入孔」としてのマグネット取付孔54Aが上下方向(ロータコア54の軸方向)に貫通形成されている。マグネット取付孔54Aは、ロータコア54の軸方向から見て、ロータコア54の径方向に対して直交する方向を長手方向とした断面略矩形状に形成されると共に、ロータコア54の周方向に沿って等間隔(90°毎)に配置されている。
【0040】
図1に示されるように、ロータコア54の外周部には、マグネット取付孔54Aの長手方向外側の位置において、一対のスリット54Bが形成されている(すなわち、本実施の形態では、8箇所のスリット54Bが形成されている)。このスリット54Bは、ロータコア54の軸方向から見て、ロータコア54の径方向外側に開放された略U字形状に形成されると共に、上下方向に貫通されている。またスリット54Bにおけるマグネット取付孔54Aと隣合う側面54BAが、マグネット取付孔54Aの長手方向両端面54AAと平行に配置されている。そして、ロータコア54におけるマグネット取付孔54Aとスリット54Bとの間の部分が側面ガイド部54Cとされている。
【0041】
図3にも示されるように、ロータマグネット60は、ネオジウム系磁石として構成されると共に、略矩形柱状に形成されている。そして、ロータマグネット60が、上下方向を長手方向としてマグネット取付孔54A内に嵌入(挿入)されている。これにより、ロータコア54の周方向においてロータマグネット60がロータコア54内に埋設されている。すなわち、ロータ52が、所謂IPM型(Interior Permanent Magnet)型(磁石埋設型)ロータとされている。そして、ロータコア54の外周部において、ロータマグネット60が配置された一対のスリット54B間部分が、マグネット磁極部56とされており、本実施の形態では、4箇所のマグネット磁極部56が形成されている。
【0042】
また、ロータコア54の外周部において、マグネット磁極部56に対してロータコア54の周方向に隣合う部分が荷重受部58とされている。すなわち、本実施の形態では、4箇所の荷重受部58が形成されている。そして、荷重受部58とマグネット磁極部56との間には、上述したスリット54Bによって空隙G(図1参照)が形成されている。これにより、荷重受部58が、マグネット磁極部56と同様に、ロータコア54の周方向に等間隔毎(90°毎)に配置されて、ロータ本体部53の外周部分が、マグネット磁極部56及び荷重受部58で構成されている。そして、ロータマグネット60は、それぞれ同じ磁極(本発明における一方の磁極であり、例えばN極)に設定されており、ロータマグネット60の磁気作用によって荷重受部58がマグネット磁極部56とは異なる磁極(本発明における他方の磁極であり、例えばS極)として機能する擬似磁極部として構成されている。これにより、ロータ52では、互いに磁極の異なるマグネット磁極部56及び荷重受部58がロータコア54の周方向に交互に配置するようになり、ロータ52が、所謂コンシクエントポール型のロータ(ハーフマグネット型ロータともいう)として構成されている。
【0043】
さらに、図1に示されるように、ロータコア54の軸方向から見て、マグネット磁極部56の外周面56Aは、ロータコア54の軸中心Cを中心とした一定の曲率を成す円弧状に形成されており、ロータコア54の軸中心Cから外周面56Aまでの距離(半径)がR1とされている。さらに、ロータコア54の軸方向から見て、荷重受部58の外周面58Aも、ロータコア54の軸中心Cを中心とした一定の曲率を成す円弧状に形成されており、ロータコア54の軸中心Cから外周面58Aまでの距離がR2とされている。そして、距離R1よりも距離R2が若干大きく設定されている。なお、4箇所の荷重受部58にける距離R2は、全て同じ値に設定されている。
【0044】
また、マグネット磁極部56の外周面56Aにおけるロータコア54の周方向両側部分には、窪み部56Bが形成されている。この窪み部56Bは、ロータコア54の径方向外側へ開放された略円弧状に形成されて、ロータコア54の径方向内側へ若干窪むように形成されている。
【0045】
なお、上述したロータコア54及びロータマグネット60の表面には、それぞれ防錆処理(例えばニッケルめっき又は樹脂塗装等)が施されている。これにより、ロータコア54及びロータマグネット60の防食及び防錆性が高められている。
【0046】
図3及び図4に示されるように、ロータカバー62は、ロータコア54よりも軟質で且つ非磁性体よりなる金属(例えばアルミニウム合金等)の板材(本実施の形態では、板厚0.25mm)で製作されると共に、上方側へ開放した略有底円筒形状に形成されており、ロータカバー62の表面に防錆処理が施されている。具体的には、ロータカバー62は、略円筒形状に形成された筒部62Aを有している。また、ロータカバー62は底壁部62B(図4参照)を有しており、底壁部62Bは、上下方向を板厚方向にした略円環板状に形成されて、筒部62Aの下端から筒部62Aの径方向内側へ延びている。そして、ロータカバー62内にロータコア54が嵌入(挿入)されている。具体的には、ロータコア54のマグネット磁極部56が筒部62A内に嵌入されて、ロータコア54のマグネット磁極部56の外周面56Aがロータカバー62の内周面62Cに当接されている。そして、ロータカバー62内にロータコア54が嵌入された状態(換言すると、ロータカバー62がロータコア54の径方向外側に固定された状態)では、ロータカバー62の内周面62Cと、ロータコア54の荷重受部58の外周面58Aと、の間には、僅かな隙間が形成されている。
【0047】
これにより、ロータコア54の径方向外側の外周面が、ロータカバー62の筒部62Aによってロータ52の径方向外側から覆われて、筒部62Aがロータ52の径方向外側部分を構成している。また、ロータコア54の下面及びロータマグネット60の下面が、ロータカバー62の底壁部62Bによって下方側から覆われて、底壁部62Bがロータ52の下端部を構成している。
【0048】
図4に示されるように、樹脂モールド部64は、インサート成形等の手法によってロータカバー62と一体成形されて、ロータカバー62と共にロータ52の外郭を構成している。具体的には、樹脂モールド部64は、略円筒形状のインナモールド部64Aを有しており、インナモールド部64Aはロータコア54の径方向内側の内周面を被覆するようにロータコア54と一体に形成されている。また、インナモールド部64Aの下端部が、ロータカバー62の底壁部62Bと一体に形成されている。
【0049】
さらに、樹脂モールド部64はアッパモールド部64Bを有している。このアッパモールド部64Bは、インナモールド部64Aの上端からロータ52の径方向外側へ延びて、略円環状に形成されている。そして、アッパモールド部64Bは、ロータコア54の上面(軸方向他端面)及びロータマグネット60の上面と一体に形成されている。さらに、アッパモールド部64Bの径方向外側端部がロータカバー62の筒部62Aの上端部と一体に形成されており、アッパモールド部64Bがロータカバー62を閉塞するようになっている。これにより、ロータカバー62と樹脂モールド部64との結合部分の液密性が確保された状態で、ロータコア54及びロータマグネット60がロータカバー62及び樹脂モールド部64によって覆われている。
【0050】
一方、インナモールド部64Aの径方向内側には、略円筒形状に形成された軸受66が一体に設けられている。軸受66は、回転軸46と同軸上に配置されて回転軸46に回転可能に支持されている(図2参照)。これにより、ロータ52が軸受66を介して回転軸46の軸線回りに回転されるようになっている。
【0051】
また、樹脂モールド部64の上側には、樹脂モールド部64とインペラ70とを連結するための連結軸部65が一体に形成されている。連結軸部65は略円筒形状に形成されて、回転軸46と同軸上に配置されると共に、樹脂モールド部64のアッパモールド部64Bから上方側へ延出されている。
【0052】
連結軸部65の上端には、インペラ70を構成する第1円盤部72及びブレード74が一体に形成されている。第1円盤部72は、略円板状に形成されて、板厚方向を回転軸46の軸方向にして回転軸46と同軸上に配置されている。また、ブレード74は、第1円盤部72から上方側へ突出されている。さらに、ブレード74の上側には、インペラ70を構成する第2円盤部76が設けられている。第2円盤部76は、略円板状に形成されると共に、第1円盤部72とブレード74を介して対向するように配置されて、ブレード74と一体に結合されている。
【0053】
次にステータ80について説明する。図2に示されるように、ステータ80は、環状に形成されたステータコア82と、導電性を有する巻線84と、を含んで構成されて、モータハウジング30のステータ収容部36内に収容されている。ステータコア82は、所定の形状に打ち抜かれた複数の鋼板によって構成されており、当該鋼板が上下方向を板厚方向にして上下方向に積層されている。そして、ステータコア82には、自身の径方向外側へ延びる複数のティース部82Aが形成されている。
【0054】
巻線84は、ステータコア82のティース部82Aに巻回されている。これにより、ティース部82Aの外周部に沿って巻き回された巻線部84Aが形成されている。また、巻線84の端末部は、モータハウジング30(ステータ収容部36)から下方側へ延出されて、後述する回路基板96に接続されている。なお、巻線部84Aとティース部82Aとの間には、絶縁部材85が介装されている。
【0055】
また、ステータ80は、ステータホルダ86によって覆われている。ステータホルダ86は、鋼板で製作されると共に、下方側へ開放された略有底円筒形状に形成されている。また、ステータホルダ86の底壁には、円形状の配置孔86Aが上下方向に貫通形成されている。そして、ステータ80がステータホルダ86内に配置(挿入)された状態で、ステータ80及びステータホルダ86がステータ収容部36内に収容されている。また、この状態では、モータハウジング30の内筒部34が配置孔86Aの内側に配置されている。
【0056】
また、ステータホルダ86の開放端(下端)には、ホルダ側フランジ部86Bが一体に形成されている。このホルダ側フランジ部86Bは、ステータホルダ86の開放端(下端)からステータホルダ86の径方向外側へ延出されて、モータハウジング30の第2結合部42の下側で且つ囲繞壁42Aの内側に配置されている。
【0057】
(回路装置90について)
図2に示されるように、回路装置90は、ウォータポンプ10の下部を構成すると共に、モータハウジング30の下方側に配置されている。この回路装置90は、プレートユニット92と、回路基板96と、回路カバー98と、を含んで構成されている。
【0058】
プレートユニット92は、略円盤状に形成されて、モータハウジング30に対して下方側に配置されている。このプレートユニット92は、樹脂材で構成されたプレート本体93と、鋼板で構成され且つ略リング状に形成されたリングプレート94と、を有している。そして、リングプレート94がプレート本体93の上方側に配置された状態で、プレート本体93及びリングプレート94が一体に成形されている。
【0059】
さらに、リングプレート94がステータホルダ86のホルダ側フランジ部86Bと上下方向に対向して配置されており、プレートユニット92が、図示しない位置においてホルダ側フランジ部86Bに締結固定されている。
【0060】
また、リングプレート94には、後述する回路基板96を固定するための複数の固定片94Bが一体に形成されている。この固定片94Bは、リングプレート94の外周部から下方側へ延出されており、固定片94Bの先端部がリングプレート94の径方向内側へ屈曲されている。そして、固定片94Bの先端部には、後述する回路基板96を締結するためのバーリング94Cが形成されており、バーリング94Cは下方側へ開放された略有底円筒状に形成されている。
【0061】
さらに、プレートユニット92には、図示しないガイド孔が上下方向に貫通形成されており、ガイド孔内に、前述したコネクタターミナルの他端部及び巻線84の端末部が挿入されるようになっている。
【0062】
回路基板96は、略円板状に形成されて、板厚方向を上下方向にしてプレートユニット92の下方側に配置されている。そして、前述したリングプレート94のバーリング94Cにネジ(図示省略)が挿入されて、該ネジによって回路基板96がプレートユニット92に固定されている。また、回路基板96には、複数の回路素子96Aが実装されると共に、前述したコネクタターミナルの他端部及び巻線84の端末部が接続されている。
【0063】
回路カバー98は、鋼板で製作されると共に、上方側へ開放された略有底円筒形状に形成されている。また、回路カバー98の開放端(上端)には、カバー側フランジ部98Aが一体に形成されており、カバー側フランジ部98Aは、回路カバー98の開放端から回路カバー98の径方向外側へ突出されると共に、回路カバー98の全周に亘って形成されている。そして、回路カバー98は、回路基板96及びプレートユニット92を覆うと共に、モータハウジング30の下端部を閉塞している。具体的には、カバー側フランジ部98Aが、モータハウジング30の囲繞壁42Aの内側で且つステータホルダ86のホルダ側フランジ部86Bと対向して配置されて、図示しないネジ等の締結部材によってホルダ側フランジ部86Bに締結固定されている。
【0064】
次に本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0065】
上記のように構成されたウォータポンプ10では、ポンプ部12(ポンプケース14)内とモータハウジング30のロータ収容部38内とが連通されている。また、ポンプケース14のインペラ収容部18内には、インペラ70が収容されており、ロータ収容部38内には、モータ部50のロータ52が収容されている。さらに、インペラ70とロータ52とは一体回転可能に構成されている。また、ロータ52の径方向外側には、モータ部50のステータ80が配置されており、ステータ80はモータハウジング30のステータ収容部36内に収容されている。
【0066】
そして、外部コネクタがコネクタ部に接続されて、モータ部50を駆動制御する電力が外部コネクタから回路装置90へ供給されると、モータ部50が駆動して、モータ部50のロータ52が回転軸46の軸線回りに回転される。これにより、インペラ70が回転軸46の軸線回りに回転して、ポンプ部12の入口管22からポンプケース14内に流入された冷却水が圧送されてポンプ部12の出口管から流出される。
【0067】
ここで、ロータコア54では、ロータコア54の軸中心Cから荷重受部58の外周面58Aまでの距離R2が、ロータコア54の軸中心Cからマグネット磁極部56の外周面56Aまでの距離R1に比べて大きく(長く)設定されている。このため、ロータカバー62をロータ本体部53の径方向外側に固定することでロータカバー62からロータ本体部53に作用するロータコア54(ロータ本体部53)の径方向内側への荷重を荷重受部58によって受けることができる。これにより、当該荷重がマグネット磁極部56に作用することが抑制されるため、ロータカバー62からロータマグネット60へ作用する荷重を抑制することができる。
【0068】
また、ロータ52では、荷重受部58が、ロータコア54の周方向に等間隔(90°毎)に配置されている。このため、ロータコア54(ロータ本体部53)の周方向においてロータカバー62をロータ本体部53にバランスよく固定することができる。また、ロータカバー62をロータ本体部53の径方向外側に固定することでロータカバー62からロータ本体部53に作用するロータコア54(ロータ本体部53)の径方向内側への荷重をロータコア54へバランスよく分散させることができる。
【0069】
さらに、ロータ52では、マグネット磁極部56と荷重受部58とが、ロータコア54の周方向に交互に形成されている。このため、ロータカバー62からロータマグネット60へ作用する荷重を効果的に抑制することができる。
【0070】
また、ロータ52では、ロータマグネット60が一方の磁極とされ、荷重受部58が他方の磁極として機能する擬似磁極部とされている。つまり、荷重受部58が、擬似磁極部としての機能と、ロータカバー62からロータ本体部53に作用する荷重を受ける機能と、を有している。このため、上記2つの機能をロータコア54における別々の部位に持たせるように構成した場合と比べて、ロータ52の構造を簡素化することができる。
【0071】
さらに、各荷重受部58において、ロータコア54の軸中心Cから荷重受部58の外周面58Aまでの距離R2が、全て同じ値に設定されている。このため、擬似磁極部としての機能する荷重受部58とステータ80との間の間隔(磁気ギャップ)が略同じになるため、ロータ52の回転バランスを確保することができる。
【0072】
また、マグネット磁極部56と荷重受部58との間には、空隙Gが形成されているため、ロータカバー62から荷重受部58へ作用する荷重のマグネット磁極部56への伝達を空隙Gによって抑制できる。
【0073】
また、ロータ52では、ロータマグネット60がロータコア54のマグネット取付孔54A内に挿入されて、ロータ52が所謂磁石埋設型ロータとして構成されている。このため、磁石埋設型ロータとして構成されたロータ52において、ロータコア54におけるマグネット取付孔54Aの変形等を荷重受部58によって抑制することができる。具体的には、ロータカバー62内にロータコア54を嵌入するときには、荷重受部58の外周面58Aが、ロータカバー62の内周面62Cに当接されると共に、マグネット磁極部56の外周面56Aとロータカバー62の内周面62Cとの間に僅かな隙間が形成される。これにより、ロータカバー62内にロータコア54を嵌入するときに、ロータコア54における側面ガイド部54Cが変形することが抑制される(すなわち、マグネット取付孔54Aが変形することが抑制される)。これにより、ロータマグネット60をマグネット取付孔54A内へ良好に嵌入(挿入)することができる。
【0074】
さらに、ウォータポンプ10では、ロータカバー62と樹脂モールド部64とによってロータ52の外郭が構成されている。具体的には、ロータカバー62が略有底円筒状に形成されており、ロータカバー62内にロータコア54が挿入されている。また、樹脂モールド部64が、ロータコア54の径方向内側部分及び上面側を被覆して、ロータカバー62と一体に形成されている。これにより、ロータカバー62及び樹脂モールド部64によってロータ本体部53(ロータコア54及びロータマグネット60)に対する防水性を確保することができる。
【0075】
また、ロータ52の径方向外側部分が、非磁性体よりなる金属のロータカバー62によって構成されている。このため、仮にロータカバー62を樹脂製とする場合と比べて、ロータコア54とステータ80との間の間隔を狭くすることができる。すなわち、仮にロータカバー62を樹脂材で構成すると、成形性等の観点からロータカバー62の厚みを例えば1mm〜2mmに確保する必要がある。これに対して、ロータカバー62を金属の板材にすることで、ロータカバー62の厚みを例えば0.25mmとすることができる。その結果、ロータコア54とステータ80との間の間隔(磁気ギャップ)を狭くすることができる。また、ロータカバー62が非磁性体で構成されているため、ロータ本体部53における磁束がロータカバー62に漏れることを防止できる。
【0076】
さらに、ロータカバー62はロータコア54よりも軟質の金属で構成されている。このため、ロータカバー62からロータ本体部53に作用するロータコア54(ロータ本体部53)の径方向内側への荷重がマグネット磁極部56に作用することが一層抑制され、ロータカバー62からロータマグネット60へ作用する荷重を一層抑制することができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、ロータ52が所謂磁石埋設型ロータとして構成されているが、ロータ52を所謂磁石表面固定型のロータとして構成してもよい。すなわち、図5に示されるように、ロータコア54の外周部における荷重受部58の間の部分に、ロータコア54の径方向外側へ開放した凹部59を形成して、当該凹部59内にロータマグネット60を配置するように構成してもよい。この場合には、ロータコア54の軸方向から見て、ロータマグネット60の外周面60Aを円弧状に形成すると共に、ロータコア54の軸中心Cから外周面60Aまでの距離が距離R1に相当するように構成される。
【0078】
また、本実施の形態では、ロータコア54に、4箇所のマグネット磁極部56及び4箇所の荷重受部58が形成されている。すなわち、ロータコア54が所謂8極のロータコアとして構成されているが、ロータコア54を4極以上のロータコアとして構成してもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、マグネット磁極部56の外周面56A及び荷重受部58の外周面58Aが、ロータコア54の軸方向から見て一定の曲率を成す円弧状に形成されているが、外周面56A,58Aの形状はこれに限らない。例えば、外周面56A,58Aにおけるロータコア54の周方向外側部分が、ロータカバー62の内周面62Cに対してロータコア54の径方向内側に離間するように、外周面56A,58Aの曲率を変化させてもよい。また、例えば、荷重受部58の外周面58Aにロータカバー62の径方向外側へ突出する突出部を形成して、当該突出部がロータカバー62の内周面62Cに当接するように構成してもよい。すなわち、荷重受部58におけるロータコア54の軸中心Cから外周面58Aまでの距離R2とは、距離R2の最大距離をいう。
【0080】
また、本実施の形態では、マグネット磁極部56と荷重受部58との間にスリット54Bが形成されてスリット状の空隙Gが形成されているが、空隙Gの形状はこれに限らない。例えば、スリット54Bの代わりに、ロータコア54の軸方向に貫通する孔部をロータコア54に設けて、空隙Gを形成してもよい。すなわち、ロータカバー62から荷重受部58へ作用する荷重のマグネット磁極部56への伝達を抑制するように空隙Gが形成されていればよい。
【0081】
また、本実施の形態では、ロータコア54及びロータマグネット60の表面に、防錆処理(例えば、ニッケルめっきや樹脂塗装)が施されているが、ロータコア54及びロータマグネット60の何れか一方の防錆処理を省略してもよいし、両方の防錆処理を省略してもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、ロータカバー62が例えばアルミニウム合金等で構成されているが、ロータカバー62をSUSの板材で構成してもよい。さらに、ロータカバー62の板厚が、0.25mmに設定されているが、モータ部50のモータ効率を考慮しつつ、ロータカバー62の板厚を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10・・・ウォータポンプ(液体ポンプ)、12・・・ポンプ部、52・・・ロータ、53・・・ロータ本体部、54・・・ロータコア、54A・・・マグネット取付孔(挿入孔)、56・・・マグネット磁極部、56A・・・外周面、58・・・荷重受部、58A・・・外周面、60・・・ロータマグネット(マグネット)、62・・・ロータカバー(カバー)、64・・・樹脂モールド部、G・・・空隙、R1・・・ロータコアの軸中心からマグネット磁極部の外周面までの距離、R2・・・ロータコアの軸中心から荷重受部の外周面までの距離
図1
図2
図3
図4
図5