特許第6296890号(P6296890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296890アセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296890
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】アセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20180312BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20180312BHJP
【FI】
   G06Q10/00 300
   G06Q50/26
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-98102(P2014-98102)
(22)【出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2015-215759(P2015-215759A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100113642
【弁理士】
【氏名又は名称】菅田 篤志
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100147430
【弁理士】
【氏名又は名称】坂次 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕也
(72)【発明者】
【氏名】住吉 貴志
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−149163(JP,A)
【文献】 特開2005−071266(JP,A)
【文献】 特開2009−074487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁、舗装、トンネルなどの資産の資産情報及び点検結果情報から資産の将来の劣化度を予測すると共に資産の補修年度や補修費用の予算の計画をコンピュータにより作成するアセットマネジメントシステムであって、
資産の点検を行った点検結果情報を格納する点検データベースと、
資産の劣化度を予測するための劣化予測式の適用条件と劣化予測式と劣化係数を含む劣化度予測情報を格納する劣化予測モデルデータベースと、
年度毎に補修を行う道路系資産及び補修費用を含む補修計画情報を格納する補修計画データベースと、
補修費用を計算するための数量計算式と単価と補修工法を含む補修工法情報を格納する補修工法データベースと、
路線に存在する複数資産の集合である路線情報を格納する路線データベースと、
道路系資産の劣化を予測する劣化予測部と
前記補修計画情報を作成する補修計画作成部と
複数の道路系資産において近接している事及び又は補修年度が近い事により同時に補修することが好ましい道路系資産のグループ候補を同時補修グループとして抽出する同時補修グループ候補抽出部と、
資産の補修を行う際に資産利用者が被る社会的補修費用を算出する社会的費用計算部と、
補修工事に要する補修費用を算出する補修費用計算部と、
同時補修グループを同時に補修工事する場合の補修費用と社会的補修費用をファクターとして同時修理しないときに比べて同時補修したときの削減費用を算出する費用削減効果計算部と、
表示部と、
処理結果を前記表示部に出力するユーザインタフェース部とを備え、
前記補修計画作成部が、
中長期にわたり各年度にどの資産を補修するかを決めた中長期の補修計画を作成する第1ステップと、
該第1ステップにより作成した中長期の補修計画の所定の期間を抽出して中期の補修計画とする第2ステップとを実行し
前記同時補修グループ候補抽出部が、
該第2ステップで抽出した中期の補修計画と資産データベースの資産情報を基に位置情報や補修時期が近い資産を同年度にまとめて補修する資産の同時補修グループ候補として抽出する第3ステップを実行し
前記費用削減効果計算部が、
該第3ステップにより抽出した同時補修グループを同年度にまとめて補修する際の社会的費用及び補修費用を計算して費用の削減効果が高い順にリストアップする第4ステップと、
該第4ステップによりストアップしたリスト中から利用者が選択した同時補修グループを受け付ける第5ステップとを実行し
前記ユーザインタフェース部が、
該第5ステップにおいて利用者が選択した同時補修グループをまとめて同年度に補修する場合としない場合の比較情報を前記表示部に表示する第6ステップを実行し
前記費用削減効果計算部が、
該第6ステップに基づいて利用者操作が同時補修グループを中期の補修計画に反映させると判定したとき、同時補修グループを同年度にまとめて補修するように各資産の中期補修年度を変更した補修計画を更新して前記第5ステップに戻る第7ステップを実行る、
アセットマネジメントシステム。
【請求項2】
前記補修計画作成部が、
前記第7ステップにおいて前記同時補修グループを同年度にまとめて補修するように各資産の中期補修年度を変更した補修計画を更新したとき、予算を超過している年度が中期補修年の期間を超えているか否かを判定し、越えていると判定したときに処理を終了する第8ステップを実行する請求項1記載のアセットマネジメントシステム。
【請求項3】
前記同時補修グループ候補抽出部が、
前記第3ステップにおいて同時補修グループ候補として抽出するとき、
前記同時補修グループ候補抽出部が路線データベースから同一の路線名をもつ資産を全て読み込む第9ステップと、
コンピュータソフトウェア上の変数iに値「0」を代入する第10ステップと、
前記同時補修グループ候補抽出部が変数iと第9ステップにより読み込んだ路線内にある資産数を比較し、変数iが路線内にある資産数より小さいと判定したとき、同時補修グループに路線内順序が変数i番目の資産を追加する第11ステップと、
該第11ステップに続いて前記同時補修グループ候補抽出部が変数iと読み込んだ路線内にある資産数を比較し、変数iが路線内にある資産数より小さいか否かを判定し、小さいと判定したとき、コンピュータソフトウェア上の変数jに値「i+1」を代入する第12ステップと、
前記同時補修グループ候補抽出部が資産iと資産jの初回の補修年度を補修計画データベースから読み込み、資産iと資産jの初回の補修年度の差を算出し、該算出した補修年度の差の絶対値と予め設定した閾値とを比較し、補修年度の差が閾値以下か否かを判定する第13ステップと、
該第13ステップにおいて補修年度の差が閾値以下と判定したとき、同時補修グループに資産jを追加する第14ステップと、
該第13ステップに続いて変数jに値「j+1」を代入して前記第13ステップに戻る第15ステップと、
前記第13ステップにおいて補修年度の差が閾値以下でないと判定したとき、同時修復グループを確定する第16ステップと、
該第16ステップに続いて変数iに値「i+1」を代入して前記第11ステップに戻る第17ステップとを実行することにより、同時補修グループを抽出する、
請求項1又は2記載のアセットマネジメントシステム。
【請求項4】
前記同時補修グループ候補抽出部が、
前記第3ステップにおいて同時補修グループ候補として抽出するとき、
資産の集合を定義する第18ステップと、
該第18ステップにより定義された集合の中で同時補修グループが確定していない資産があると判定したとき、同時補修グループが確定していない資産の中から任意の資産を抽出して新同時補修グループを選択する第19ステップと、
該第19ステップにより選択した新同時補修グループと工事位置が近い資産があるか否かを判定する第20ステップと、
該第20ステップにより工事位置が近い資産があると判定したとき工事位置が近い資産を新同時補修グループに追加して前記第20ステップに戻る第21ステップと、
前記第20ステップにおいて工事位置が近い資産がないと判定したとき、前記新同時補修グループを確定して前記第19ステップに戻る第22ステップを実行することにより、同時補修グループを抽出する、
請求項1又は2記載のアセットマネジメントシステム。
【請求項5】
橋梁、舗装、トンネルなどの資産の資産情報及び点検結果情報から資産の将来の劣化度を予測すると共に資産の補修年度や補修費用の予算の計画をコンピュータにより作成するコンピュータシステムのアセットマネジメント方法であって、
資産の点検を行った点検結果情報を格納する点検データベースと、
資産の劣化度を予測するための劣化予測式の適用条件と劣化予測式と劣化係数を含む劣化度予測情報を格納する劣化予測モデルデータベースと、
年度毎に補修を行う道路系資産及び補修費用を含む補修計画情報を格納する補修計画データベースと、
補修費用を計算するための数量計算式と単価と補修工法を含む補修工法情報を格納する補修工法データベースと、
路線に存在する複数資産の集合である路線情報を格納する路線データベースと、
道路系資産の劣化を予測する劣化予測部と
前記補修計画情報を作成する補修計画作成部と
複数の道路系資産において近接している事及び又は補修年度が近い事により同時に補修することが好ましい道路系資産のグループ候補を同時補修グループとして抽出する同時補修グループ候補抽出部と、
資産の補修を行う際に資産利用者が被る社会的補修費用を算出する社会的費用計算部と、
補修工事に要する補修費用を算出する補修費用計算部と、
同時補修グループを同時に補修工事する場合の補修費用と社会的補修費用をファクターとして同時修理しないときに比べて同時補修したときの削減費用を算出する費用削減効果計算部と、
表示部と、
処理結果を前記表示部に出力するユーザインタフェース部とを設け、
前記補修計画作成部に
中長期にわたり各年度にどの資産を補修するかを決めた中長期の補修計画を作成する第1ステップと、
該第1ステップにより作成した中長期の補修計画の所定の期間を抽出して中期の補修計画とする第2ステップとを実行させ
前記同時補修グループ候補抽出部に、
該第2ステップで抽出した中期の補修計画と資産データベースの資産情報を基に位置情報や補修時期が近い資産を同年度にまとめて補修する資産の同時補修グループ候補として抽出する第3ステップを実行させ
前記費用削減効果計算部に、
該第3ステップにより抽出した同時補修グループを同年度にまとめて補修する際の社会的費用及び補修費用を計算して費用の削減効果が高い順にリストアップする第4ステップと、
該第4ステップによりストアップしたリスト中から利用者が選択した同時補修グループを受け付ける第5ステップとを実行させ
前記ユーザインタフェース部に、
該第5ステップにおいて利用者が選択した同時補修グループをまとめて同年度に補修する場合としない場合の比較情報を前記表示部に表示する第6ステップを実行させ
前記費用削減効果計算部に、
該第6ステップに基づいて利用者操作が同時補修グループを中期の補修計画に反映させると判定したとき、同時補修グループを同年度にまとめて補修するように各資産の中期補修年度を変更した補修計画を更新して前記第5ステップに戻る第7ステップを実行させる、
アセットマネジメント方法。
【請求項6】
前記補修計画作成部に、
前記第7ステップにおいて前記同時補修グループを同年度にまとめて補修するように各資産の中期補修年度を変更した補修計画を更新したとき、予算を超過している年度が中期補修年の期間を超えているか否かを判定し、越えていると判定したときに処理を終了する第8ステップを実行させる、
請求項5記載のアセットマネジメント方法。
【請求項7】
前記同時補修グループ候補抽出部に、
前記第3ステップにおいて同時補修グループ候補として抽出するとき、
前記同時補修グループ候補抽出部が路線データベースから同一の路線名をもつ資産を全て読み込む第9ステップと、
コンピュータソフトウェア上の変数iに値「0」を代入する第10ステップと、
前記同時補修グループ候補抽出部が変数iと第9ステップにより読み込んだ路線内にある資産数を比較し、変数iが路線内にある資産数より小さいと判定したとき、同時補修グループに路線内順序が変数i番目の資産を追加する第11ステップと、
該第11ステップに続いて前記同時補修グループ候補抽出部が変数iと読み込んだ路線内にある資産数を比較し、変数iが路線内にある資産数より小さいか否かを判定し、小さいと判定したとき、コンピュータソフトウェア上の変数jに値「i+1」を代入する第12ステップと、
前記同時補修グループ候補抽出部が資産iと資産jの初回の補修年度を補修計画データベースから読み込み、資産iと資産jの初回の補修年度の差を算出し、該算出した補修年度の差の絶対値と予め設定した閾値とを比較し、補修年度の差が閾値以下か否かを判定する第13ステップと、
該第13ステップにおいて補修年度の差が閾値以下と判定したとき、同時補修グループに資産jを追加する第14ステップと、
該第13ステップに続いて変数jに値「j+1」を代入して前記第13ステップに戻る第15ステップと、
前記第13ステップにおいて補修年度の差が閾値以下でないと判定したとき、同時修復グループを確定する第16ステップと、
該第16ステップに続いて変数iに値「i+1」を代入して前記第11ステップに戻る第17ステップを実行させることにより、同時補修グループを抽出する、
請求項5又は6記載のアセットマネジメント方法。
【請求項8】
前記同時補修グループ候補抽出部に、
前記第3ステップにおいて同時補修グループ候補として抽出するとき、
資産の集合を定義する第18ステップと、
該第18ステップにより定義された集合の中で同時補修グループが確定していない資産があると判定したとき、同時補修グループが確定していない資産の中から任意の資産を抽出して新同時補修グループを選択する第19ステップと、
該第19ステップにより選択した新同時補修グループと工事位置が近い資産があるか否かを判定する第20ステップと、
該第20ステップにより工事位置が近い資産があると判定したとき工事位置が近い資産を新同時補修グループに追加して前記第20ステップに戻る第21ステップと、
前記第20ステップにおいて工事位置が近い資産がないと判定したとき、前記新同時補修グループを確定して前記第19ステップに戻る第22ステップを実行させることにより、同時補修グループを抽出する、
請求項5又は6記載のアセットマネジメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁、舗装、トンネルなどの資産の資産情報や点検結果情報を管理し、点検結果情報から資産の将来の劣化度を予測すると共に資産の補修年度や補修費用の予算の計画を作成するアセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自治体が橋梁、舗装、トンネルなどの道路系資産の管理に利用するアセットマネジメントシステムは、資産の点検結果情報から将来の劣化度を予測し、補修年度を決定し、その資産維持にかかるトータルの費用(ライフサイクルコスト)を計算する機能と、補修費用が各年度の決められた予算内に収まるように資産の補修年度の変更(予算平準化)を行って中長期の補修計画を作成する機能を持つコンピュータシステムらにより構成される。また、自治体では、この中長期の補修計画に基づいて補修工事の発注単位や補修工事による通行止めの時期等の状況を考慮し、担当者がどの年度にどの資産をどの単位でまとめて補修するかという1〜5年程度の範囲の中期の補修計画を決定していくことが多い。
【0003】
なお、道路橋のアセットマネジメントシステムに関する技術が記載された文献としては下記の非特許文献が挙げられる。該非特許文献には、劣化予測・ライフサイクルコスト計算、中長期計画の決定、中期計画の作成、事後評価という橋梁の管理のためのフロー及びそれぞれのステップの方法が解説され、中期計画の作成については、中長期計画をベースに橋梁ごとの特殊事情を考慮して対策工事の順番や組合を調整することにより現場の状況を反映させた実行可能性の高い中期計画を作成することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】JIPMソリューション社が2010年 06月に発行した金氏眞著、雑誌「プラント エンジニア 2010年 06月号」の記事「導路橋の効率的な維持管理を支援するBMS(ブリッジマネジメントシステム、」(https://www.cgr.mlit.go.jp/ctc/tech_dev/kouryu/T−Space/ronbun/pdf/22_tottori/22_tottori_5−1.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の非特許文献1に記載された技術は、現場の状況を反映させた実行可能性の高い中期計画を作成することができる効果に留まる。
【0006】
本発明の目的は、担当者が資産の補修年度を変更し、補修計画を再作成するという試行錯誤を支援する機能により、補修計画作成にかかる工数を削減することができるアセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、橋梁、舗装、トンネルなどの資産の資産情報及び点検結果情報から資産の将来の劣化度を予測すると共に資産の補修年度や補修費用の予算の計画を作成するアセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法であって、中長期の補修計画から所定の期間を抽出した中期の補修計画と資産データベースの資産情報を基に位置情報や補修時期が近い資産を同年度にまとめて補修する資産の同時補修グループ候補として抽出し、この同時補修グループを同年度にまとめて補修する際の社会的費用及び補修費用を計算して費用の削減効果が高い順にリストアップしたリスト中から利用者が選択した同時補修グループをまとめて同年度に補修する場合としない場合の比較情報を表示部に表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるアセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法は、中長期計画から作成した暫定的な中期計画から補修年度及び工事位置が近い複数の資産を同年度に補修する資産の同時補修グループとして抽出し、この抽出した同時補修グループを費用削減効果が高い順にリストアップして同時修復を反映したときとしないときの比較情報を利用者に提示することによって、補修計画作成にかかる工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるアセットマネジメントシステムの全体構成を示す図である
図2】本実施形態による資産DBの構成を示す図である
図3】本実施形態による点検DBの構成を示す図である
図4】本実施形態による劣化予測モデルDBの構成を示す図である
図5】本実施形態による補修計画DBの構成を示す図である
図6】本実施形態による補修工法DBの構成を示す図である
図7】本実施形態による路線DBの構成を示す図である
図8】本実施形態によるアセットマネジメント方法の全体動作を示すフロー図である
図9】本実施形態によるステップS801の詳細フロー図である
図10】本実施形態によるステップS803の第1詳細フロー図である
図11】本実施形態によるステップS804の詳細フロー図である
図12】本実施形態によるステップS1103における社会的費用の計算方法の説明図である
図13】本実施形態によるステップS1105の表示例を示す図である
図14】本実施形態によるステップS806の詳細フロー図である
図15】本実施形態によるステップS1404の表示例を示す図である
図16】本実施形態によるステップS803の第2詳細フロー図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるアセットマネジメント方法を適用したアセットマネジメントシステムの一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
[構成]
本実施形態によるアセットマネジメントシステムは、図1に示す如く、中央演算処理装置などの計算能力を有する一つの計算機で構成されるアセットマネジメントシステム100と、キーボード等入力装置101と、ディスプレイ等の出力装置102とをバスを介して相互に接続して構成され、該アセットマネジメントシステム100は、次の構成要素から成る。
(1)道路系資産の劣化を予測する劣化予測部111
(2)道路系資産の補修計画情報を作成する補修計画作成部112
(3)複数の道路系資産において位置が近接している事や補修年度が近い事により同時に補修することが好ましい道路系資産のグループ候補を同時補修グループとして抽出する同時補修グループ候補抽出部113
(4)資産の補修を行う際に資産利用者が被る社会的補修費用(補修工事によりその資産が使用できない場合に被る費用)を算出する社会的費用計算部114
(5)補修工事に要する補修費用を算出する補修費用計算部115
(6)同時補修グループを同時に補修工事する場合の補修費用と社会的補修費用をファクターとして同時修理しない場合に比べて同時補修したときの削減費用を算出する費用削減効果計算部116
(7)本システムの利用者とのインタフェースであるユーザインタフェース部117
(8)道路系資産に関する資産情報を格納する資産DB(データベース)121
(9)資産の点検を行った点検結果情報を格納する点検DB122
(10)資産の劣化度を予測するための劣化予測式の適用条件・劣化予測式・劣化係数等の劣化度予測情報を格納する劣化予測モデルDB123
(11)補修計画作成部112により作成した各年度にどの資産を補修し、どのくらいの費用が掛かるかという補修計画情報を格納する補修計画DB124
(12)補修費用を計算するための数量計算式・単価・補修工法等の補修工法情報を格納する補修工法DB125
(13)路線を構成する路線情報(定められた開始地から終端地までに存在する資産の集合であって、例えば、交差点から交差点までの間に存在する舗装・トンネル・橋梁の集合)を格納する路線DB126
【0011】
尚、本実施形態においては入力装置101が利用者からの入力をバスを介してアセットマネジメントシステム100に送り、出力装置102がアセットマネジメントシステム100の処理結果をバスを介して受け取り表示するものであるが、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば、入力装置101と出力装置102にネットワーク入出力装置を用い、ネットワークを介してデータの入出力を行うように構成しても良い。
【0012】
前記劣化予測部111は、資産DB121に格納した資産情報と点検DB122に格納した点検結果情報と劣化予測モデルDB123に格納した劣化度予測情報に基づいて資産の将来の劣化度を予測する機能を有する。前記補修計画作成部112は、劣化予測部111により予測した資産の劣化度に基づいて資産の補修年度を決定すると共に補修費用計算部115により算出した補修工事に要する補修費用に基づいて各年度にかかる補修費用の合計を計算する機能を有する。前記同時補修グループ候補抽出部113は、補修計画作成部112により作成した補修計画に基づいて補修年度が近い又は位置情報が近いという条件を満たすグループを同時補修グループ候補として抽出する機能を有する。社会的費用計算部114は、資産の補修を行う際に資産利用者が被る費用(社会的費用)を算出する機能を有する。補修費用計算部115は、補修工事を行う資産の面積・補修工法等の情報から補修費用を算出する機能を有する。費用削減効果計算部116は、同時補修グループを同時に補修工事する場合の補修費用と社会的費用を計算し、同時に補修しない場合と比べてどのくらい費用が削減されるかを算出する機能を有する。ユーザインタフェース部117は、入力装置101から入力された入力データを受け取り、処理結果を出力装置102への受け渡しを行う機能を有する。これら機能はコンピュータ上のハードウェア及びソフトウェアによって形成される。
【0013】
前記資産DB121は、資産に関する各種情報をアセットマネジメントシステム100により管理する資産1つにつき1レコードで表して格納するものであって、図2に示す如く、資産の名称を表す資産名と該資産の座標を表す経緯及び緯度と所在地他の項目情報とから構成される。前記点検DB122は、資産の点検を行った点検結果情報を1資産に対する1回の点検を1レコードで格納するものであって、図3に示す如く、資産の点検を実施した点検日と資産名と該資産の健全度(その資産の劣化度をある基準を基に評価した評価値納)の各項目情報とから構成される。
前記劣化予測モデルDB123は、劣化度予測情報を1レコードで格納するものであって、図4に示す如く、一意のモデルIDと資産の種類を表す工種(例えば、道路系資産であれば舗装、トンネル、橋梁)と資産の資産を通過する車両の交通量と工事に使用する工事部材(例えば、橋梁であれば、主桁、床板等の部材)と劣化を予測するための式の形式を示す劣化予測式と劣化係数a〜劣化係数cとの各項目情報とから構成される。
【0014】
前記補修計画DB124は、資産毎の補修計画情報を1レコードで格納するものであって、図5に示す如く、補修を実施する年度と資産名と工事部材と補修方法と補修費用と工事日数と社会的費用(補修工事によりその資産が使用できない場合に被る費用)他の項目情報とから構成される。
前記補修工法DB125は、補修工法の補修工法情報を格納するものであって、図6に示す如く、補修工法を一意に識別するための補修工法名と補修工事の数量を計算するための式である数量計算式と補修に要する単価(補修費用は数量計算式×単価により算出)とその工法が適用可能な健全度と工事日数の各項目情報とから構成さる。
路線DB126は、開始地から終端地までに存在する資産(舗装・トンネル・橋梁)の路線情報を格納するものであって、図7に示す如く、路線を一意に識別するための路線名と該路線を構成する資産を開始地から終端地まで順番に並べたときの通し番号である路線内順序と資産名との各項目情報とから構成され、本実施形態で述べるDBの各項目情報は上記に限られるものではなく、任意の他の項目を含んでも良い。
【0015】
[全体動作]
さて、本実施形態によるアセットマネジメントシステムの全体動作は、図8に示す如く、次の各ステップを実行する。
(1)中長期にわたり各年度にどの資産を補修するかを決めた中長期(例えば100年)の補修計画を作成するステップS801
(2)作成した中長期の補修計画の最初5年分を抽出して、暫定的な中期の補修計画とするステップS802
(3)暫定的な中期の補修計画と資産DB121の資産情報を基に位置情報や補修時期が近い資産を同年度にまとめて補修する資産のグループ(同時補修グループ)候補として抽出するステップS803
(4)同時補修グループを同年度にまとめて補修する場合の社会的費用と補修費用を計算して、費用の削減効果が高い順にリストアップするステップS804
【0016】
(5)前記ステップS804によりストアップしたリスト中から利用者が選択したか否かを判定するステップS805
(6)該ステップS805において利用者が同時補修グループを選択したと判定したとき、利用者が選択した同時補修グループをまとめて同年度に補修する場合としない場合の比較情報(社会的費用と補修費用の全体の比較に加えて各年度の補修費用が予算内に収まっているかという情報も含む)を表示するステップS806
(7)該ステップS806における同年度の補修有無の比較情報を表示した後、利用者操作が同時補修グループを中期の補修計画に反映させるか否かを判定し、反映さないと判定したとき、中期の補修計画の更新を行わずに前記ステップS805に戻るステップS807
(8)該ステップS807において同時補修グループを中期の補修計画に反映させると判定したとき、同時補修グループを同年度にまとめて補修するように各資産の中期の補修年度を変更(既に反映済みの同時補修グループはリストから取り除き、反映後に同時補修グループの集合に変化がある場合は、既に反映済みの同時補修グループを部分集合に含んでいてもリストに表示)して補修計画を更新してステップS805に戻るステップS808
(9)前記ステップS805において利用者操作が同時補修グループを選択しないと判定したとき、利用者操作が補修計画を終了させるか否かを判定し終了させないと判定したとき、前記ステップS805に戻るステップS809
(10)該ステップS809において利用者操作が補修計画を終了させると判定したとき、反映すると選択された全ての同時補修グループの補修年度を反映した中期の補修計画を作成して処理を終了するステップS810
本例のステップS801による中長期の補修計画は、中長期にわたり予算制約を満たすための補修計画を立て、ステップS810は中期にわたりどの資産のどの補修工事を行うかを決めた補修計画を立て、中長期は100年、中期は5年を想定しているが、本発明はこの年数に限定するものではない。
【0017】
[中長期補修作成処理詳細]
前記ステップS801による中長期補修作成処理の詳細は、図9に示す如く、次の各ステップを実行することによって、全ての資産に対する補修年度及び補修費用を決定するように動作する。
(1)補修計画作成部112が補修計画が決まっていない資産があるか否かを判定するステップS901
(2)該ステップS901において補修計画が決まっていない資産があると判定したとき、補修計画作成部112が資産DB121から1つの資産の資産情報を読み込むステップS902
(3)補修計画作成部112が点検DB122からステップS902により読み込んだ資産に対応する点検結果情報を読み込むステップS903
(4)劣化予測部111がステップS902により読み込んだ資産に対応する劣化予測モデルを劣化予測モデルDB123から読み込んで資産の劣化度(劣化予測情報)を予測するステップS904
(5)補修計画作成部112が前記取得した資産情報及び劣化予測情報に基づいて補修工法DB125から対応する補修工法を選択し、補修年度及び補修費用を決定して前記ステップS901に戻るステップS905
【0018】
次いで、本システムは、前記ステップS901において、補修計画が決まっていない資産がないと判定したとき、次の各ステップを実行することによって、補修費用が年度毎の予算内におさまるように中長期の補修計画を作成することができる。
(6)全ての資産の年度毎の補修費用を合計するステップS906
(7)該ステップS906により合計した年度毎の補修費用の合計が予算を超えている年度があるか否かを判定し、ないと判定したときに処理を終了するステップS907
(8)該ステップS907において年度毎の補修費用の合計が予算を超えている年度があると判定したとき、その年度で最も優先度の低い資産の補修工事を翌年度に移すステップS908
(9)予算を超過している年度が計算期間を超えているか否かを判定し、越えていないと判定したときに前記ステップS907に戻り、越えていると判定したとき(予算制約で全補修を行うことが不可能なため)処理を終了するステップS909
【0019】
尚、前記ステップS908による補修工事を翌年度に移す際に参照する優先度は、例えば、係数α×健全度+係数β×重要度といった式で計算される値やあらかじめ資産DB121に登録された優先度の値を用いることができるが、本発明は資産の優先度が定められていれば良く、この例に限られるものではない。また、前記ステップS908による計算期間は、補修計画を立てる期間のことであって、本例では中長期が100年、中期が5年を想定しているが、これに限られるものではない。
【0020】
[同時補修グループ抽出の第1作成処理詳細]
前記ステップS803による同時補修グループを抽出する処理の詳細は、図10に示す如く、次の各ステップを実行することによって、同時補修グループを抽出することができる。
(1)同時補修グループ候補抽出部113が処理していない路線があるか否かを判定し、処理していない路線がないと判定したときに処理を終了するステップS1001
(2)該ステップS1001において処理していない路線があると判定したとき、同時補修グループ候補抽出部113が路線DB126から同一の路線名をもつ資産を全て読み込むステップS1002
(3)コンピュータソフトウェア上の変数iに値「0」を代入するステップS1003と、同時補修グループ候補抽出部113が変数iと読み込んだ路線内にある資産数を比較し、変数iが路線内にある資産数より小さいか否かを判定し、小さくないと判定したときにステップS1001に戻るステップS1004
(4)該ステップS1004において変数iが路線内にある資産数より小さいと判定したとき、同時補修グループに路線内順序が変数i番目の資産(資産i)を追加するステップS1005
(5)コンピュータソフトウェア上の変数jに値「i+1」を代入するステップS1006と、同時補修グループ候補抽出部113が資産iと資産jの初回の補修年度を補修計画DB124から読み込み、資産iと資産jの初回の補修年度の差を算出し、該算出した補修年度の差の絶対値と予め設定した閾値とを比較し、補修年度の差が閾値以下か否かを判定するステップS1007
(6)該ステップS1007において補修年度の差が閾値以下と判定したとき、同時補修グループに資産jを追加するステップS1008
(7)該ステップS1008に続いて変数jに値「j+1」を代入してステップS1007に戻るステップS1009
(8)前記ステップS1007において補修年度の差が閾値以下でないと判定したとき、以前の処理により同時補修グループに追加された資産を同時補修グループの候補として確定するステップS1010
(9)変数iに値「i+1」を代入してS1004に戻るステップS1011
【0021】
尚、前記ステップS1007及び1008におけるグループ化の条件には、補修年度の差だけでなく、資産DB121に予め登録されている「工事業者名」や「工種」といった資産情報の中で利用者が指定した条件を用いることもできる。
【0022】
[費用削減効果順リストアップ処理詳細]
前記ステップS804による費用削減効果順のリストアップを行う処理の詳細は、図11に示す如く、次の各ステップを実行することによって、費用削減効果が高い順の同時補修グループをリストアップすることができる。
(1)費用削減効果計算部116が費用削減効果を計算していない同時補修グループがあるか否かを判定するステップS1101
(2)該ステップS1101において費用削減効果を計算していない同時補修グループがあると判定したとき、同時補修グループをまとめて補修する際の補修費用を前記ステップS801と同様の方法にて算出するステップS1102
(3)同時補修グループをまとめて補修する際の社会的費用を計算するステップS1103
(4)該ステップS1103により算出した補修費用と社会的費用を合計し、削減効果を算出してステップS1101に戻るステップS1104
(5)前記ステップS1101において費用削減効果を計算していない同時補修グループがないと判定したとき、費用削減効果計算部116が削減効果が高い順に同時補修グループをリストアップして、出力装置102にリスト表示して処理を終了するステップS1105
【0023】
ここで、前記ステップS1103における社会的費用の計算方法を説明する。本例においては、まず、路線1の補修例として図12に示す如く、例えば、路線1を構成する資産が、〈舗装1−1〉〈舗装1−2〉〈舗装1−3〉〈橋梁1−1〉〈舗装1−4〉〈舗装1−5〉で、それぞれの補修年度が「2,3,8,2,5,4」であり、それぞれの工事日数が「10,10,20,20,10,10」とする。この場合、これら情報から、符号1201にて示す各年度の補修工事を行う時に必要な通行止め日数を計算し、同年度に複数の補修工事がある場合、同年度の同じ時期に複数の資産を合わせて補修工事を行うと想定し、工事日数が最大のものをその年度の通行止め日数とし、この各年度の通行止め日数の合計に単位当たりの社会的費用を掛け合わせた値が社会的費用である場合を想定する。
【0024】
ここで、図12上段の如く、同時補修グループをまとめて補修しない場合は、通行止め日数60日に単位当たりの社会的費用0.1M円をかけた6M円が社会的費用になる。これに対し、図12下段の如く、同時補修グループをまとめて補修する場合は、路線1を構成する資産が、〈同時補修グループ1(舗装1−1、舗装1−2)〉〈舗装1−3〉〈橋梁1−1〉〈舗装1−4〉〈舗装1−5〉で、それぞれの補修年度が「2,8,2,5,4」、それぞれの工事日数が「10,10,20,20,10,10」となる。これら情報から同時補修グループをまとめない場合と同様に、符号1202にて示す各年度の補修工事に必要な通行止め日数を算出し、同時補修グループの通行止め日数はそのグループ内の最大の工事日数としたとき、同時補修グループをまとめて補修する場合の社会的費用を計算すると5M円となり、安価になることが解る。尚、同時補修グループを決定する方法としては、同時補修グループ内に含まれている資産のいずれかの補修年度を採用、同時補修グループ内に含まれている資産の補修年度の平均値から前後一年以内、同時補修グループ内に含まれている資産の補修年度最大値から最小値までの間のいずれかの値を採用といった選択方法が考えられる。
【0025】
この費用削減効果順リストアップを行うステップS1105の表示例は、図13に示す如く、表形式にて「同時補修グループ名」と「同時補修年度」と「補修費用(差分)」と「社会的費用(差分)」と「削減効果」を表1301にて表示する。前記「同時補修グループ名」は同時補修グループを識別するための値であり、「同時補修年度」は同時補修グループをまとめて補修する年度であり、「補修費用(差分)」は同時補修グループをまとめて補修しない場合に対する同時補修グループをまとめて補修する場合の補修費用の差であり、「社会的費用(差分)」は同時補修グループをまとめて補修しない場合に対する同時補修グループをまとめて補修する場合の社会的費用の差であり、「削減効果」は補修費用差分と社会的費用の合計である。
【0026】
図示の例では、削減効果の昇順で表示しているが、補修費用(差分)や社会的費用(差分)の昇順でも良く、表1301から1レコードを選択して「選択」ボタン1302を押下すると、ステップS806の処理に移り、「確定」ボタン1303を押下するとステップS809の処理に移り、入力ボックス1304に任意の資産名を入力し、「フィルタ」ボタン1305を押下すると入力された資産が含まれる同時補修グループのみを表1301に表示することができる。また、入力ボックス1304に複数の資産名を入力し「フィルタ」入力ボタン1305を押下した場合は、その和集合や積集合を表1301に表示したり、入力ボックス1304を空にして「フィルタ」入力ボタン1305を押下した場合は、全てを表示するように構成しても良い。
【0027】
[反映前後の比較情報表示処理詳細]
前記ステップS806による同時補修グループを反映した際の反映前後の比較情報を表示する処理の詳細は、図14に示す如く、次の各ステップを実行することによって、同時補修グループを反映した際の反映前後の比較情報を表示することができる。
(1)ユーザインタフェース部117が補修計画DB124から補修計画を読み出すステップS1401
(2)入力装置101から受け付けた反映する同時補修グループの情報である表1301のレコード情報を取得するステップS1402
(3)利用者により選択された同時補修グループの情報を補修計画作成部112に送り、補修計画作成部112が反映する同時補修グループの情報を反映した補修計画を算出するステップS1403
(4)該ステップS1403による計算結果を受け取り、同時補修グループの情報を反映前後の比較情報を出力装置102に表示するステップS1404
尚、補修計画は同時補修グループの反映した資産は、補修年度を固定し、それ以外の資産はステップS801と同様に劣化予測式により補修年度を決めて計算する。
【0028】
前記ステップS1404による出力装置102への反映前後の比較情報の表示例は、図15に示す如く、次の表示要素から成り、「反映」ボタン1507を押下したとき前記ステップS808の処理に移り、「戻る」ボタン1508を押下したとき前記ステップS805に戻るように表示される。
(1)同時補修グループをまとめて補修しない場合の各年度の補修費用と予算制約を満たしているか否かを棒グラフで表すグラフ1501
(2)補修費用の合計値1503
と、社会的費用の合計値1505
(3)同時補修グループをまとめて補修する場合の各年度の補修費用と予算制約を満たしているかを棒グラフで表すグラフ1502
(4)補修費用の合計値1504
(5)社会的費用の合計値1506
(6)「反映」ボタン1507
(7)「戻る」ボタン1508
尚、図示の例では、棒グラフの例を示しているが、同様の情報を他のグラフ形式又は表形式で比較可能に表示しても良い。
【0029】
[同時補修グループ抽出の第2作成処理詳細]
前記ステップS803による同時補修グループ抽出処理の詳細は、前述の図10に示した動作に限られるものではなく、図16に示す次の各ステップを実行することにより暫定的中期計画を作成し、同時補修グループを抽出しても良い。
(1)資産の集合を定義(資産の集合は全資産を一つの集合と定義してもよいし、資産DB121にあらかじめ定義されている管理市町村名などの資産情報を用いて集合を定義指定もよい)するステップS1601
(2)該ステップS1601により定義された集合の中で同時補修グループが確定していない資産があるかを判定し、グループが確定していない資産がないと判定したときに処理を終了するステップS1602
(3)前記ステップS1602によりグループの確定していない資産があると判定したとき、決まっていない資産の中から一つ資産を取り出して新規グループとするステップS1603
(4)該ステップS1603により選択した新グループと工事位置(緯度経度)が近い資産があるか否かを判定するステップS1604
(5)該ステップS1604により位置情報が近い資産がないと判定したとき、その新グループを確定して前記ステップS1602に戻るステップS1606
(6)前記ステップS1604により位置情報が近い資産があると判定したとき、その資産を新グループに追加して前記ステップS1604に戻るステップS1605
【0030】
尚、前記ステップS1604による位置情報の近さを測る方法は、例えば、資産の経度緯度を用いて資産間の距離を用いて算出し、算出距離が予め定められた閾値以内か否かで近いかどうかを判定する方法が好適である。
【0031】
このように本実施形態によるアセットマネジメントシステム及びアセットマネジメント方法は、補修年度とあらかじめ決められた予算制約を基に各年度の補修費用が予算制約内に収まるように補修年度の変更を行う第5ステップと、資産情報と前記補修年度を基に位置情報と補修年度の値が近い複数の資産を同年度に補修する資産の同時補修グループとして利用者に表示して選択させる第6ステップから第9ステップとを実行することによって、補修計画作成にかかる工数を削減することができる。
【符号の説明】
【0032】
100 アセットマネジメントシステム、101 入力装置、102 出力装置、
111 劣化予測部、112 補修計画作成部、
113 同時補修グループ候補抽出部、114 社会的費用計算部、
115 補修費用計算部、116 費用削減効果計算部、
117 ユーザインタフェース部、121 資産DB、122 点検DB、
123 劣化予測モデルDB、124 補修計画DB、125 補修工法DB、
126 路線DB
図1
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