特許第6296945号(P6296945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296945
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】調理鍋
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/12 20060101AFI20180312BHJP
   A47J 45/06 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   A47J36/12
   A47J45/06 G
   A47J45/06 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-177304(P2014-177304)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-49348(P2016-49348A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】391036404
【氏名又は名称】株式会社ロゴスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】浜西 千尋
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3184147(JP,U)
【文献】 独国特許出願公告第01045617(DE,B2)
【文献】 実開昭63−163719(JP,U)
【文献】 特開2006−212438(JP,A)
【文献】 特開平07−303568(JP,A)
【文献】 特開2001−287776(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302806(US,A1)
【文献】 特開2010−188110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 36/12
A47J 45/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スモークポット、ダッチオーブンその他の肉厚のある調理鍋において、
上側に開口した鍋であって、前記開口の周縁部および一対の本体用取っ手を有する鍋本体と、
前記鍋本体の前記開口を上側から塞ぐ蓋であって、前記鍋本体の前記開口の前記周縁部に当接する周縁部および一対の蓋用取っ手を有する前記蓋とを備え、
前記蓋が前記鍋本体の開口を塞ぎ且つ前記蓋の前記周縁部が前記鍋本体の前記周縁部に当接した状態で、前記一対の本体用取っ手は、前記鍋本体の前記周縁部の両側から互いに離反するように略水平に延びており、前記一対の蓋用取っ手は、前記蓋の前記周縁部の両側から互いに離反するように略水平に延びており、前記一対の蓋用取っ手のうちの一方の蓋用取っ手が、平面視において前記一対の本体用取っ手のうちの一方の本体用取っ手と重なり合わないように位置ずれし、且つ前記一対の蓋用取っ手のうちの他方の蓋用取っ手が、平面視において前記一対の本体用取っ手のうちの他方の本体用取っ手と重なり合わないように位置ずれしており、
前記本体用取っ手には、前記一方の蓋用取っ手が挿脱可能な貫通穴が形成されており、前記一方の蓋用取っ手が前記本体用取っ手の貫通穴に挿入されることにより前記蓋が前記鍋本体に自立可能になっていることを特徴とする調理鍋。
【請求項2】
請求項1記載の調理鍋において、
前記他方の蓋用取っ手には、貫通穴が形成されていることを特徴とする調理鍋。
【請求項3】
請求項1又は2記載の調理鍋において、
前記本体用取っ手に形成された前記貫通穴は長穴であり、前記一方の蓋用取っ手は板状体であって、その横断面は前記本体用取っ手の当該穴に対応した形状になっていることを特徴とする調理鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スモークポット(又はスモークポッド)、ダッチオーブンその他の肉厚のある調理鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の調理鍋はキャンプ等の際に野外にて広く使用されている。ただ、鋳物製であるのが一般的であることから鍋自体が重く持ち運びが大変である。特に、蓋に関し、衛生上地面に置くわけにいかず、重いながらも調理中に手に持ち続けることが必要になることがあった。
【0003】
この点、蓋を鍋本体に自立させる構造になった調理用片手鍋の提案がなされており(例えば、特許文献1等)、かかる提案のように上記調理鍋を改良することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−230106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる場合、蓋自体も重たいことから、蓋の自立構造の強度を高めることが必要になり、これに伴って同構造が複雑となり、鍋全体が重くなるばかりか割高になるという問題が指摘されている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、簡単な構造でありながら蓋を鍋本体に自立させることか可能な調理鍋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の調理鍋は、上側に開口した鍋であって、前記開口の周縁部および一対の本体用取っ手を有する鍋本体と、前記鍋本体の前記開口を上側から塞ぐ蓋であって、前記鍋本体の前記開口の前記周縁部に当接する周縁部および一対の蓋用取っ手を有する前記蓋とを備えている。前記蓋が前記鍋本体の開口を塞ぎ且つ前記蓋の前記周縁部が前記鍋本体の前記周縁部に当接した状態で、前記一対の本体用取っ手は、前記鍋本体の前記周縁部の両側から互いに離反するように略水平に延びており、前記一対の蓋用取っ手は、前記蓋の前記周縁部の両側から互いに離反するように略水平に延びており、前記一対の蓋用取っ手のうちの一方の蓋用取っ手が、平面視において前記一対の本体用取っ手のうちの一方の本体用取っ手と重なり合わないように位置ずれし、且つ前記一対の蓋用取っ手のうちの他方の蓋用取っ手が、平面視において前記一対の本体用取っ手のうちの他方の本体用取っ手と重なり合わないように位置ずれしている。前記本体用取っ手には、前記一方の蓋用取っ手が挿脱可能な貫通穴が形成されており、前記一方の蓋用取っ手が前記本体用取っ手の貫通穴に挿入されることにより前記蓋が前記鍋本体に自立可能になっている。
【0008】
上記発明によると、本体用取っ手に形成された穴に蓋用取っ手を挿入すると、蓋用取っ手が鍋本体に対して位置決められ、蓋が本体用取っ手の上に置かれ保持される。その結果、蓋の自立状態が維持される。このように簡単な構造でありながら蓋を鍋本体に自立させることが可能になる。基本的に形状等を設計変更するだけで良いことから、従来のように鍋全体が重くなったり割高になったりすることがない。また、調理中に蓋を手に持ち続けることも当然に不要になり使い勝手が良くなる。しかも、本体用取っ手と蓋用取っ手とが重なり合っていないことから、蓋の取り外しが容易になる。
【0009】
前記他方の本体用取っ手には、貫通穴が形成されていても良い。
【0011】
本体用取っ手に形成された前記貫通穴は長穴であり、一方の蓋用取っ手は板状体であって、その横断面は本体用取っ手の当該穴に対応した形状になった構造とすると良い。
【0012】
上記形態によると、鋳物等の型を用いて作成するのに適した形状になっていることから、大きな設計変更が不要になり、この点で一層の低コスト化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る調理鍋の上方視斜視図である。
図2】同調理鍋の側面図である。
図3】同調理鍋の底面面である。
図4】同調理鍋の蓋の底面図である。
図5】同調理鍋の使用状態を説明するための図であって、蓋を鍋本体に自立させた状態を示す上方視斜視図である。
図6】同調理鍋の付属品である金網の上方視斜視図である。
図7】同調理鍋の付属品である持ち運び具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
ここに例として挙げる調理鍋1は横長の箱状をなした鋳物製のスモークポットであって、本体用取っ手12、13を有した鍋本体10と、蓋用取っ手21を有した蓋20とを備えた構成になっている。本案例では、調理鍋1の付属品として、金網30(図6参照)及び持ち運び具40(図7参照)が備えられている。
【0016】
鍋本体10については、図5に示されているように上面が開放されており且つ角に丸みを帯びた略直方体状の容器である。鍋本体10の内底面には半球状の突起111が格子状に複数形成されている。突起111は、鍋本体10に入れられたスモークチップ(図示せず)を底上げして鍋本体10の内底面との間に隙間を開けるために設けられている。
【0017】
鍋本体10の長手方向の両側には、図1に示されているように本体用取っ手12,13が一対として形成されている。
【0018】
本体用取っ手12については鍋本体10のフランジ(周縁部)の図中右部分が延びた略長方形の板状体であって、その中央部には穴121が貫通して形成されている。穴121は略長方形の長穴であって、鍋本体10の短手方向に延びている。
【0019】
本体用取っ手13は鍋本体10のフランジの図中左部分が延びた略長方形の板状体であって、その中央部には穴131が貫通して形成されている。穴131は略長方形の長穴であって、鍋本体10の短手方向に延びている。
【0020】
蓋20については、図1及び図2に示されているように鍋本体10の開口11を上から塞ぐための板状体である。本案例では、表面と裏面との両方が使用可能になっている。蓋20の表面(図1参照)には、鍋本体10の開口11の形状に対応した突脈23が形成されている。蓋20の裏面(図4参照)にも開口11の形状に対応した突脈24が形成されている。突脈24は開口11を完全密閉するために連続して形成されているが、突脈23は開口11を一部開放するために2箇所切り欠かれている。切り欠かれた部分がスモーク通気穴231、231(図1参照)とされている。
【0021】
蓋20の長手方向の両側付近には、蓋用取っ手21,22が各々形成されている。蓋用取っ手21,22は、図1に示されているように蓋20が鍋本体10の上に置かれた状態で本体用取っ手12、13とは重なり合わず若干位置ずれした位置に設けられている。蓋20の長手方向ではなく蓋20の中心に対する対称位置に配置されている。また、蓋用取っ手21と蓋用取っ手22とは、本案例では本体用取っ手12,13とは異なり形状が異なっている。
【0022】
蓋用取っ手21は蓋20のフランジ(周縁部)の図中右部分が延びた略長方形の板状体であって、その横断面は、本体用取っ手12の穴121に対応した形状になっている。なお、蓋用取っ手21の長さについては後記するものとする。
【0023】
蓋用取っ手22は蓋20のフランジの図中左部分が延びた略長方形の板状体であって、その中央部には穴221が貫通して形成されている。穴221は穴121,131と同一の形状であって、蓋20の短手方向に対して若干傾斜させた方向に延びている。
【0024】
なお、金網30については、図6に示されているように調理対象を鍋本体10内に配置するための脚付き台である。その表と裏とを使い分けることにより調理対象の高さ位置を2段階に調整可能になっている。持ち運び具40については、鍋本体10又は蓋20を持ち運ぶための板状の金属片であって、その折り曲げ先端部を鍋本体10の穴121(又は131)若しくは蓋20の穴221に差し込んで鍋本体10又は蓋20を持ち上げるようにして使用される。
【0025】
上記のように構成された調理鍋1については、持ち運び具40を使用して蓋20を鍋本体10から持ち上げる。この際、本体用取っ手12、13と蓋用取っ手21、22とが重なり合っていないことから、蓋20の取り外しが容易である。そして、蓋20を鉛直方向に立てて、この状態で鍋本体10の本体用取っ手12又は13の穴121又は131に蓋20の蓋用取っ手21を挿入する。
【0026】
すると、蓋用取っ手21が鍋本体10の穴121又は131により位置決められ、蓋20が本体用取っ手12又は13の上に置かれ保持される。これにより蓋20の自立状態が維持される。即ち、蓋20が鍋本体10に自立可能になっている。この際、蓋20がその自重により若干傾いても鍋本体10から脱落しないように、蓋用取っ手21の長さが設定されている。
【0027】
このように簡単な構造でありながら蓋20を鍋本体10に自立させることが可能になる。従来のように鍋全体が重くなることがなく、調理中に蓋20を手に持ち続けることも当然に不要になり使い勝手が良くなる。また、鋳物の型を設計変更するだけで実現可能であることから、調理鍋1kの製作工程に特別な変更が不要になり、この点で低コスト化を図ることも容易になる。
【0028】
なお、本発明に係る調理鍋はスモークポットだけの適用に限定されず、ダッチオーブンや土鍋等の肉厚のある調理鍋にも上記と同様に適用可能であり、その材質についても鋳鉄だけでなくアルミ、ステンレス、銅又はセラミック等でも良い。鍋本体及び蓋の形状については、鍋の種類に応じて適宜設計変更すると良い。特に本体用取っ手又は蓋用取っ手については、鍋本体又は蓋のフランジの一部を利用する形態でもかまわず、本体用取っ手に形成された穴に蓋用取っ手を挿入し、これにより蓋が鍋本体に自立可能になっている限り、本体用取っ手の穴、蓋用取っ手の形状又は位置等に関して適宜設計変更することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 調理鍋
10 鍋本体
12、13 本体用取っ手
121、131 穴
20 蓋
21、22 蓋用取っ手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7