(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら説明する。
実施形態において、インクジェットヘッドは、シェアモード、シェアドウオール方式であるが、特定の方式に限るものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る印刷装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示す構成例において、印刷装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、通信I/F14、ヘッドコントローラ15、モータドライバ16並びに17、インクジェットヘッド18、搬送モータ19及びキャリッジモータ20などを備える。
【0009】
CPU11は、印刷装置1全体を制御する。CPU11は、プログラムを実行することによって種々の処理を実現するプロセッサである。CPU11は、システムバスなどを介して、印刷装置1内の各部に接続する。CPU11は、外部装置からの動作指示に応じて、印刷装置1内の各部へ動作指示を出力したり、各部から取得した種々の情報を外部装置へ通知したりする。
【0010】
ROM12は、プログラムおよび制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。RAM13は、揮発性のメモリで構成される。RAM13は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリである。CPU11は、RAM13を使用しながらROM12に記憶したプログラムなどを実行することによって種々の処理を実現する。なお、印刷装置1は、書き換え可能な不揮発性メモリを備えてもよい。
【0011】
通信I/F14は、外部装置と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信I/F14は、外部装置からのプリント要求に応じたプリントデータを受信する。通信I/F14は、外部装置とデータの送受信を行うインターフェースであれば良い。たとえば、外部装置にローカルに接続するものであっても良いし、ネットワークを介して通信するためのネットワークインターフェースであっても良い。
【0012】
ヘッドコントローラ15は、CPU11からの指示に基づいてインクジェットヘッド18を駆動させる。ヘッドコントローラ15は、インクジェットヘッド18の駆動回路22を電気的に接続する。CPU11は、ヘッドコントローラ15を介して駆動回路22に印刷データ及び制御信号などを送信する。制御信号は、シフトクロック信号、ラッチパルス信号及びタイミングパルス信号などを含んでもよい。また、ヘッドコントローラ15は、駆動回路22へ電力、クロック及びリセット信号などを供給してもよい。
【0013】
モータドライバ16は、CPU11からの指示に基づいて搬送モータ19を駆動させる。モータドライバ17は、CPU11からの指示に基づいてキャリッジモータ20を駆動させる。
【0014】
搬送モータ19は、モータドライバ16からの指示に基づいて、印刷装置1内において印刷に使用される印刷媒体を搬送するローラを駆動させる。たとえば、搬送モータ19は、ピックアップローラ及び搬送ローラなどを駆動させる。CPU11は、モータドライバ16を通じて搬送モータ19を制御することで、印刷媒体をインクジェットヘッド18がインクを吐出する位置に送る。
【0015】
キャリッジモータ20は、モータドライバ17からの指示に基づいて、インクジェットヘッド18を備えるキャリッジに接続されるローラを駆動させる。CPU11は、モータドライバ17を通じてキャリッジモータ20を制御することで、インクジェットヘッド18を所定の位置に配置する。
【0016】
インクジェットヘッド18は、ヘッドコントローラ15からの指示に基づいて、印刷媒体にインクを吐出する。即ち、CPU11は、ヘッドコントローラ15を通じてインクジェットヘッド18からインクを吐出させる。インクジェットヘッド18は、吐出部21及び駆動回路22を備える。
【0017】
吐出部21は、駆動回路22からの信号などに基づいて、印刷媒体にインクを吐出する。吐出部21は、駆動回路22が印加する電圧により、圧力室にインクを充填し、印刷媒体に充填されたインクを吐出する。
【0018】
搬送モータはインクジェットヘッドのノズル並び方向と直角に印刷媒体を定速で送り、固定したインクジェットヘッドを駆動して印刷を行う構成でも良いし、逆に印刷媒体が静止している状態でキャリッジモータをインクジェットヘッドのノズル並び方向と直角に定速で送り印刷を行う構成としても良い。搬送モータとキャリッジモータの双方が停止している状態でインクジェットヘッドを駆動してインクを媒体に付着させ、続いて搬送モータとキャリッジモータのうちどちらかを微動させてから別の位置に印刷する構成でも良い。
【0019】
搬送モータとキャリッジモータは夫々互いに直交する一軸でも良いし、夫々直交する二軸を持っていても良く、また、どちらか片方だけであっても良い。
【0020】
印刷媒体は、たとえば、用紙などであるが、特定の媒体に限定されるものではない。印刷媒体は三次元の構造物でこれに直接印刷するような印刷装置であったり、3次元の構造物を印刷により直接に形成するものであっても良いし、印刷媒体が微細な分注溝を持ちその溝の中にインクを分注するような印刷装置であっても良い。また、印刷装置1は、モータドライバ16、モータドライバ17、搬送モータ19、及び、キャリッジモータ20などを備えなくともよい。この場合、印刷装置は、固定された印刷媒体、又は、他の装置が搬送する印刷媒体に画像を印刷してもよい。
【0021】
図2は、吐出部21を概略的に示す断面図である。
図2が示すように、吐出部21は、第1圧電部材31、第2圧電部材32a並びにb、電極33a乃至c、リード34a乃至c、及び、天板35などを備える。
【0022】
吐出部21は、図示されないベース基板の上面に第1圧電部材31を接合し、第1圧電部材31の上に第2圧電部材32を接合する構造になっている。第1圧電部材31と第2圧電部材32とは、板厚方向に沿って互いに相反する方向に分極して接合する。吐出部21は、この接合された第1圧電部材31及び第2圧電部材32の一端から他端に向けて多数の長尺な溝を設ける。各溝は、間隔が一定でありかつ平行である。
【0023】
第1圧電部材31と第2圧電部材32aとは、アクチュエータ37aを形成する。同様に、第1圧電部材31と第2圧電部材32bとは、アクチュエータ37bを形成する。アクチュエータ37a及び37bには、電極33を通じて駆動回路22から電圧を印加される。アクチュエータ37a及び37bは、電圧が印加されることによって、圧力室36a内の体積を変化させる。
【0024】
吐出部21は、各溝の側壁及び底面に電極33a乃至cを設ける。吐出部21は、各溝内から溝の外部に向けて、電極33a乃至cから延出されたリード34a乃至cを設ける。
【0025】
吐出部21は、各溝の上部に天板35を設ける。天板35と電極33aとは、内部に圧力室36aを形成する。同様に、天板35と電極33bとは、内部に圧力室36bを形成する。天板35と電極33cとは、内部に圧力室36cを形成する。
【0026】
圧力室36は、インクを充填するために、図示しないインクタンクからインクの供給を受ける供給口と通じている。また、圧力室36は、インクを吐出するための吐出口と通じている。
【0027】
電極33aと電極33bとは、アクチュエータ37aに電圧を印加する。即ち、電極33aに印加される電圧と、電極33bに印加される電圧との差が、アクチュエータ37aに印加される。同様に、電極33aと電極33cとは、アクチュエータ37bに電圧を印加する。
【0028】
図2に示す例では、インクを吐出するチャネルがNo.0〜2までを示すが、吐出部21は、さらに多くのチャネルを備えてもよい。
【0029】
吐出部21は、2つのアクチュエータ37及び3つの電極33を駆動して、1つ圧力室36に設けられたノズルからインクを印刷媒体に吐出する。 たとえば、チャネルNo.1からインクを吐出する場合、吐出部21は、アクチュエータ37a及び37bを駆動して圧力室36aに設けられたノズルからインクを印刷媒体に吐出する。あるチャネルがインクを吐出する際、当該チャネルの両隣のチャネルは同時にインクを吐出することはできない。 たとえば、No.1のチャネルからインクを吐出する場合、吐出部21は、No.0及び2のチャネルからはインクを吐出することができない。
吐出部21は、1チャネルずつずらして吐出動作を3回行うことで、全てのチャネルのうちの任意のチャネルからインクを吐出することができる。
【0030】
吐出部21は、チャネルから複数回連続してインクを吐出することができる。たとえば、吐出部21は、駆動回路22からの指示に基づいて、濃く印刷する部分には多数回インクを吐出し、薄く印刷する部分には1回又は少数回インクを吐出する。吐出部21は、インクを吐出する回数を制御することで、色の濃さを調整することができる。ここでは、吐出部21は、チャネルから連続して7回インクを吐出することができるものとする。なお、吐出部21が連続して吐出できる回数は、特定の回数に限定されるものではない。
【0031】
図3は、インクを充填している状態(Pull状態)である吐出部21を概略的に示す断面図である。
図3が示す例では、吐出可能なチャネルは、No.1のチャネルである。
駆動回路22は、インクを充填するように電極33a乃至cを通じてアクチュエータ37a及びbに電圧を印加し、各アクチュエータを駆動する。その結果、アクチュエータ37a及びbは、
図3のように、変形する。
【0032】
図3が示すように、アクチュエータ37aは、隣接チャネルであるNo.0のチャネルの圧力室36b内に折れ曲がっている。同様に、アクチュエータ37bは、隣接チャネルであるNo.2のチャネルの圧力室36c内に折れ曲がっている。
【0033】
その結果、圧力室36a内の体積は、リリース状態(
図2の状態)より増大し、インクが、インク供給口からインクが圧力室36a内へ充填される。
【0034】
このPull状態からリリース状態に戻ると、圧力室36a内の体積は元の状態に戻ろうとする。これにより、吐出部21は、チャネルNo.1に対応する吐出口からインクを印刷媒体に吐出する。
【0035】
図4は、キャンセル状態である吐出部21を概略的に示す断面図である。
吐出後適切な時間を置いた後に、吐出部21は、吐出によってアクチュエータ37などに生じた振動をキャンセルするためにアクチュエータをキャンセル状態とする。
【0036】
駆動回路22は、キャンセル状態になるように電極33a乃至cを通じてアクチュエータ37a及びbに電圧を印加し、各アクチュエータを駆動する。その結果、アクチュエータ37a及びbは、
図4のように、変形する。
【0037】
この間、
図4が示すように、アクチュエータ37aは、圧力室36a内に折れ曲がっている。同様に、アクチュエータ37bは、圧力室36a内に折れ曲がっている。即ち、圧力室36a内の体積は、リリース状態(
図2の状態)より減少している。暫くキャンセル状態を保持して適切な時間を置いた後、アクチュエータ37a及びbに加える電圧をゼロに戻す。その結果、アクチュエータ37a及びbは、
図2の状態に戻る。こうして吐出部21は、インクを吐出する際にアクチュエータ37などに生じた振動などを抑制することができる。
【0038】
次に、駆動回路22について説明する。
【0039】
駆動回路22は、ヘッドコントローラ15からの指示に基づいて吐出部21にインクを吐出させる。駆動回路22は、吐出部21の電極33に電圧を印加することで、吐出部21のアクチュエータ37を駆動し、変形させる。アクチュエータ37を駆動することで、駆動回路22は、吐出部21にインクを充填させ、印刷媒体にインクを吐出させる。駆動回路22は、吐出部21の各チャネルの電極33に電気的に接続する。駆動回路22は、たとえば、ICなどから構成される。
【0040】
図5は、駆動回路22の構成例を示すブロック図である。
図5が示すように、駆動回路22は、ACTレジスタ41、INAレジスタ42、NEGレジスタ43、NEGINAレジスタ44、タイマセットレジスタ45、タイマセットドロップ適用レジスタ46、波形生成部47、波形枠・波形分配制御部48、分割順序指定レジスタ49、HVスイッチ部50、及び、ドロップシーケンス生成部60などを備える。
【0041】
ACTレジスタ41は、吐出可能なチャネル(
図2では、No.1のチャネル)からインクを吐出する場合において、チャネルの電極(対象電極)に印加する電圧(ACT電圧)の波形の凹凸を示す情報(パターン)を格納する。即ち、ACTレジスタ41は、ACT電圧の波形の凹凸を決定する。ACTレジスタ41は、波形の各期間と、各期間に印加される電圧を示す電圧情報とを対応付けて格納する。たとえば、ACTレジスタ41は、ACT電圧の期間に応じた電圧情報として「+」、「VSS」、又は、「−」を格納する。ここで、「+」は、対象電極に+VAAを印加することを示す。また、「VSS」は、対象電極に0Vを印加することを示す。また、「−」は、対象電極に−VAAを印加することを示す。
【0042】
たとえば、ACTレジスタ41は、「VSS、−、−、+」を格納する。この例において、ACTレジスタ41は、ACT電圧の第1期間において対象電極に0Vを印加し、第2期間及び第3期間において対象電極に−VAAを印加し、第4期間において対象電極に+VAAを印加することを示す。ACTレジスタ41が格納するパターンは、特定の構成に限定されるものではない。
【0043】
ACTレジスタ41が格納する要素の個数は、ACT電圧の波形要素の数に応じて決定される。なお、ACTレジスタ41は、製造時などにおいてパターンを書き込まれた固定レジスタあっても良く、或いは書き換え可能なレジスタであってもよい。後者の場合、タイマセットレジスタ45の値は、CPU11から初期設定によって格納されてもよく、CPU11によって任意のタイミングで格納又は変更されてもよい。
【0044】
INAレジスタ42は、吐出可能なチャネルからインクを吐出する場合において、吐出可能なチャネルに隣接するチャネル(
図2では、No.0及びNo.2のチャネル)の電極(隣接電極)に印加する電圧(INA電圧)のパターンを格納する。
【0045】
NEGレジスタ43は、吐出可能なチャネルからインクを吐出しない場合において対象電極に印加する電圧(NEG電圧)のパターンを格納する。
【0046】
NEGINAレジスタ44は、吐出可能なチャネルからインクを吐出しない場合において隣接電極に印加する電圧(NEGINA電圧)のパターンを格納する。なお、NEGINAレジスタ44は、INAレジスタ42で代用してもよい。
【0047】
INAレジスタ42、NEGレジスタ43及びNEGINAレジスタ44の構成は、ACTレジスタ41と同様であるので説明を省略する。
【0048】
以上のように、上記説明した各レジスタは、アクチュエータの各電極に印加する電圧パターンを格納している。
【0049】
これに対して、タイマセットレジスタ45は、電圧のパターンの各期間の時間間隔(タイマセット)を格納する。タイマセットは、各期間の時間間隔を示す時間情報から構成される。タイマセットが格納する時間情報は、電圧パターンが分割される期間の個数と同じであっても良いし、異なってもよい。また、タイマセットレジスタ45は、さらに、波形生成部47が電圧の波形の生成を打ち切る打切時間tdpを格納してもよい。
【0050】
なお、タイマセットレジスタ45は、駆動回路22内の書き換え不可能な固定レジスタとして予め格納されていてもよい。或いは、タイマセットレジスタ45は、駆動回路22内の書き換え可能なレジスタであってもよい。後者の場合、タイマセットレジスタ45の値は、CPU11から初期設定によって格納されてもよく、CPU11によって任意のタイミングで格納又は変更されてもよい。
【0051】
図5が示す例においては、タイマセットレジスタ45は、タイマセットTaレジスタ45a、タイマセットTbレジスタ45b、タイマセットTcレジスタ45c、タイマセットTdレジスタ45dから構成される。
【0052】
タイマセットTaレジスタ45aは、タイマセットTaを格納する。
【0053】
タイマセットTbレジスタ45bは、タイマセットTaと異なるタイマセットTbを格納する。タイマセットTcレジスタ45cは、タイマセットTa及びTbと異なるタイマセットTcを格納する。タイマセットTdレジスタ45dは、タイマセットTa乃至Tcと異なるタイマセットTdを格納する。
【0054】
図6は、タイマセットTa乃至Tdの構成例を示す図である。
【0055】
ある実施形態においては、
図6(a)が示すように、各タイマセットは、時間情報としてt0乃至t10を格納する。タイマセットの各時間情報は、時間間隔を示す。また、時間情報の順序は、各期間に対応する。
【0056】
たとえば、タイマセットTaレジスタ45aは、タイマセットTaとして「t0a、t1a、t2a、t3a、…」を格納する。タイマセットTaレジスタ45aは、たとえば、第1期間が「t0a」であることを示す。
【0057】
他の実施形態においては、
図6(b)が示すように、各タイマセットは、時間間隔を示す時間情報と、波形生成部47が電圧の波形の生成を打ち切る打切時間tdpとを格納する。時間情報は、
図6(a)において示される時間情報と同様である。
【0058】
打切時間tdpは、対応する時間情報が示す時間間隔の合計よりも長くとも短くともよい。打切時間tdpが時間間隔の合計よりも長い場合、波形生成部47は、最後の時間情報が示す時間間隔が経過した後は、対象チャネルの電極と隣接チャネルの電極との両者に0Vを印加する。
【0059】
各タイマセットは、それぞれ異なる打切時間dtpを格納してもよいし、同一の打切時間tdpを格納してもよい。
【0060】
タイマセットが打切時間dtpを格納する場合、波形生成部47は、1個のインク液滴の吐出動作に対する波形の生成を、タイマセットが格納する打切時間tdpで打ち切る。
【0061】
なお、タイマセットレジスタ45は、打切時間tdpを含むタイマセットと、打切時間tdpを含まないタイマセットとを同時に格納してもよい。
【0062】
タイマセットドロップ適用レジスタ46は、ドロップ目ごとにセレクタ47aが選択するタイマセットを指定する選択信号をセレクタ47aに送信する。選択信号は、セレクタ47aが選択するタイマセットを示す。即ち、セレクタ47aは、タイマセットドロップ適用レジスタ46が送信する選択信号に基づいてタイマセットを選択する。
【0063】
タイマセットドロップ適用レジスタ46は、波形枠・波形分配制御部48が1つの波形を生成する毎に選択信号を送信してもよいし、ドロップ目に対応する選択信号をまとめて送信してもよい。
【0064】
図7は、タイマセットドロップ適用レジスタ46が格納するタイマセット選択テーブルの例を示す。タイマセット選択テーブルは、ドロップ目と、タイマセットとを対応付けて格納する。
【0065】
タイマセットドロップ適用レジスタ46は、タイマセット選択テーブルに基づいて、セレクタ47aに選択信号を送信する。即ち、タイマセットドロップ適用レジスタ46は、ドロップ目に対応するタイマセットを選択する選択信号をセレクタ47aに送信する。
【0066】
たとえば、タイマセットドロップ適用レジスタ46は、1ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTaを選択させる選択信号をセレクタ47aに送信する。
【0067】
なお、タイマセットドロップ適用レジスタ46は、波形生成部47がドロップに対応する波形を生成する度に、次のドロップ目に対応する選択信号をセレクタ47aに送信してもよい。また、タイマセットドロップ適用レジスタ46は、波形生成部47がドロップに対応する波形を生成する前に各ドロップに対応する選択信号をまとめてセレクタ47aに送信してもよい。
【0068】
波形生成部47は、ACTレジスタ41、INAレジスタ42、NEGレジスタ43、NEGINAレジスタ44、タイマセットTaレジスタ45a、タイマセットTbレジスタ45b、タイマセットTcレジスタ45c、タイマセットTdレジスタ45d及びタイマセットドロップ適用レジスタ46が送信する選択信号に基づいて、吐出部21に印加する電圧の波形を生成する。波形生成部47は、パターンとタイマセットとを組み合わせることによって、電圧の波形を生成する。
【0069】
たとえば、ACT電圧の波形を生成する場合、波形生成部47は、ACTレジスタ41が格納するパターンと、タイマセット(たとえば、タイマセットTa)と、を組み合わせて、ACT電圧の波形を生成する。この場合、波形生成部47は、タイマセットTaに基づいて、電圧の波形の第1期間の時間を「t0a」と設定する。また、波形生成部47は、ACTレジスタ41に格納された情報に基づいて、ACT電圧の第1期間の電圧を「VSS」と設定する。波形生成部47は、すべての期間において同様の動作を行い、ACT電圧の波形を生成する。
【0070】
図5が示すように、波形生成部47は、セレクタ47a及びタイマ47bなどを備える。
セレクタ47aは、複数のタイマセット(
図5では、タイマセットTa乃至Td)から電圧の波形を生成するために使用するタイマセットを選択する。セレクタ47aは、ドロップごとにタイマセットを選択する。たとえば、セレクタ47aは、1ドロップ目にはタイマセットTaを選択し、2ドロップ目にはタイマセットTbを選択する。
【0071】
また、セレクタ47aは、全てのドロップの体積が一定になるようにタイマセットを選択してもよい。また、セレクタ47aは、全てのドロップの吐出速度が一定になるようにタイマセットを選択してもよい。また、セレクタ47aは、ドロップごとに吐出体積又は吐出速度を変化させるようにタイマセットを選択してもよい。
セレクタ47aがタイマセットを選択する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0072】
セレクタ47aは、選択されたタイマセットをタイマ47bへ送信する。
タイマ47bは、セレクタ47aが選択したタイマセットに基づいて、電圧の各期間の長さを設定する。タイマ47bは、各期間の終了と共に信号を発信するなどして、波形生成部47に期間の終了を通知する。
【0073】
また、セレクタ47aが選択したタイマセットが打切時間tdpを格納する場合、タイマ47bは、打切時間tdpを設定する。たとえば、タイマ47bは、吐出動作を開始してから時間を計測する。計測された時間が打切時間tdpに達すると、タイマ47bは、信号を発信するなどして、波形生成部47に打切時間が経過したことを通知する。
【0074】
波形生成部47は、タイマ47bが設定した各期間の長さと、電圧のパターンと、に基づいて、電圧の波形を生成し、生成された波形を波形枠・波形分配制御部48へ送信する。
【0075】
たとえば、ACT電圧の波形を生成する場合、波形生成部47は、ACTレジスタ41から第1期間の電圧を示す情報を取得する。第1期間の電圧を示す情報を取得すると、波形生成部47は、当該情報が示す電圧を印加させる指示を波形枠・波形分配制御部48に送信する。タイマ47bが第1期間の終了を通知すると、波形生成部47は、第2期間の電圧を示す情報を取得する。第2期間の電圧を示す情報を取得すると、波形生成部47は、当該情報が示す電圧を印加させる指示を波形枠・波形分配制御部48に送信する。波形生成部47は、同様の動作を全ての期間において行い、ACT電圧の波形を生成する。
【0076】
また、波形生成部47は、同様の動作によって、INA電圧の波形、NEG電圧の波形、及び、NEGINA電圧の波形を生成する。
【0077】
波形生成部47は、同一のドロップ目においては、いずれの電圧の波形に対しても同一のタイマセットを適用する。たとえば、波形生成部47は、1ドロップ目において、いずれの電圧の波形に対してもタイマセットTaを適用する。また、波形生成部47は、2ドロップ目において、いずれの電圧の波形に対してもタイマセットTbを適用する。
【0078】
波形枠・波形分配制御部48は、各チャネルの電極に電圧を印加させるためのスイッチ信号を生成する。波形枠・波形分配制御部48は、同時に吐出可能なチャネルのグループ(対象分割)に対するスイッチ信号として、ACT電圧又はNEG電圧を印加するようなスイッチ信号を生成する。また、波形枠・波形分配制御部48は、吐出不可能なチャネルのグループ(隣接分割)に対するスイッチ信号として、INA電圧又はNEGINA電圧を印加するようなスイッチ信号を生成する。
【0079】
分割順序指定レジスタ49は、吐出可能なグループを設定する順序を格納する。
波形枠・波形分配制御部48及び分割順序指定レジスタ49については後に詳述する。
【0080】
HVスイッチ部50は、波形枠・波形分配制御部48からのスイッチ信号に基づいて、各チャネルのアクチュエータ37へ電圧を印加する。
HVスイッチ部50については後に詳述する。
【0081】
ドロップシーケンス生成部60は、CPU11がヘッドコントローラ15を通じて送信する印刷データに基づいてドロップシーケンスを生成する。
【0082】
印刷データは、チャネルごとにインクを吐出する回数又は吐出するタイミングを指定する。印刷データは、チャネルが吐出するインクの回数とタイミングとを1/0信号(2値信号)で示してもよいし、コードデータ(たとえば、ドロップ数を示すコード化されたデータ)で示してもよい。
【0083】
ドロップシーケンスは、チャネルが吐出するインクの回数とタイミングとを1/0信号(2値信号)で示す。たとえば、「1」は、インクを吐出することを示し、「0」は、インクを吐出しないことを示す。ドロップシーケンスは、チャネルがインクを連続して吐出することができる回数と同数の1/0信号を格納する。
【0084】
ドロップシーケンス生成部60は、生成されたドロップシーケンスを波形枠・波形分配制御部48へ送信する。
【0085】
図8は、印刷データとドロップシーケンスとドロップ数との構成例を示す。
【0086】
ここでは、印刷データは、チャネルごとにインクを吐出する回数又は吐出するタイミングを指定する。各チャネルは、7回連続でインクを吐出することができるため、印刷データは、7つのビットを格納する。
【0087】
この場合、ドロップシーケンス生成部60は、印刷データをそのままドロップシーケンスとして、波形枠・波形分配制御部48へ送信する。
【0088】
印刷データにおいてビット「1」を立てる位置を変えることによって、インクを吐出するタイミングを選択することができる。たとえば、チャネルがインクを2回吐出する場合、CPU11は、印刷データとして、「1010000」、「011000」、「0000011」などを生成してもよい。
【0089】
図9は、印刷データとドロップシーケンスとドロップ数との他の構成例を示す。
【0090】
図9が示す印刷データは、チャネルがアクチュエータ37のヒステイシスによる影響、インクのチキソ性などによる影響などで最初のドロップが吐出できない場合の印刷データである。
図9が示すように、印刷データは、「1」を含むビット列の最初に「1」を追加する。「1」を追加することで、チャネルは、適切な回数インクを吐出することができる。
【0091】
図10は印刷データとドロップシーケンスとドロップ数とのさらに他の構成例を示す。
図10が示すように、印刷データは、吐出回数を2進数で示すコードデータである。
【0092】
この場合、ドロップシーケンス生成部60は、インクを吐出するタイミングを決定する。たとえば、ドロップシーケンス生成部60は、前詰め、中詰め又は後ろ詰めでインクを吐出するようにタイミングを決定してもよい。また、ドロップシーケンス生成部60は、外部装置(CPU11など)の指令に基づいてインクを吐出するタイミングを決定してもよい。
【0093】
図10が示す例において、ドロップシーケンス生成部60は、前詰めでインクを吐出するタイミングを決定する。後ろ詰めでインクを吐出するには、ドロップシーケンス生成部60において、例えば印刷データ「010」のドロップシーケンスを、「1100000」とする代わりに「0000011」というように反転したシーケンスを生成するように構成しておけば良い。
【0094】
図11は、波形枠・波形分配制御部48の構成例を示すブロック図である。
図11が示すように、波形枠・波形分配制御部48は、データ転送・ラッチ制御部51、隣接波形制御部52、対象波形制御部53、及び、分割制御部54などを備える。 データ転送・ラッチ制御部51は、ドロップシーケンスに基づいて、隣接波形制御部52、及び、対象波形制御部53に、各チャネルがインクを吐出するタイミングを送信する。
【0095】
隣接波形制御部52は、各チャネルがインクを吐出するタイミングに基づいて、吐出可能なチャネル(対象チャネル)に隣接する各チャネル(隣接チャネル)の電極33に印加する電圧の波形を設定する。たとえば、隣接波形制御部52は、隣接チャネルに印加する電圧の波形として、INA電圧の波形、又は、NEGINA電圧の波形を設定する。対象チャネルがインクを吐出する場合、隣接波形制御部52は、当該対象チャネルに隣接する隣接チャネルに印加する電圧の波形として、INA電圧の波形を設定する。また、対象チャネルがインクを吐出しない場合、隣接波形制御部52は、当該対象チャネルに隣接する隣接チャネルに印加する電圧の波形として、NEGINA電圧の波形を設定する。
【0096】
対象波形制御部53は、各チャネルがインクを吐出するタイミングに基づいて、吐出可能なチャネルの電極33に印加する電圧の波形を設定する。たとえば、対象波形制御部53は、対象チャネルに印加する電圧の波形として、ACT電圧の波形、又は、NEG電圧の波形を設定する。対象チャネルがインクを吐出する場合、対象波形制御部53は、当該対象チャネルに印加する電圧の波形として、ACT電圧の波形を設定する。また、対象チャネルがインクを吐出しない場合、対象波形制御部53は、当該対象チャネルに印加する電圧の波形として、NEG電圧の波形を設定する。
【0097】
分割制御部54は、分割順序指定レジスタ55が格納する分割順序に基づいて、対象チャネルのグループ(対象分割)と隣接チャネルのグループ(隣接分割)とを設定する。分割制御部54は、対象波形制御部53が設定した波形に基づいたスイッチ信号を対象分割のチャネルに対応するスイッチ信号としてHVスイッチ部50へ送信する。また、分割制御部54は、隣接波形制御部52が設定した波形に基づいたスイッチ信号を隣接分割のチャネルに対応するスイッチ信号としてHVスイッチ部50へ送信する。
【0098】
分割順序指定レジスタ55は、吐出可能なグループを設定する順序を格納する。たとえば、分割順序指定レジスタ55は、最初にNo.3n+1(nは、0を含む自然数)のチャネルのグループを対象分割と設定し、次にNo.3n+2のチャネルのグループを対象分割と設定し、最後にNo.3n+3のチャネルのグループを対象分割と設定することを示す情報を格納してもよい。
【0099】
この例において、分割制御部54は、最初に、対象分割として、No.3n+1のチャネルのグループを設定する。このとき、分割制御部54は、隣接分割として、No.3n+2、3n+3のチャネルのグループを設定する。
【0100】
対象分割の吐出動作が終了すると、分割制御部54は、対象分割として、No.3n+2のチャネルのグループを設定する。このとき、分割制御部54は、隣接分割として、No.3n+1、3n+3のチャネルのグループを設定する。
【0101】
対象分割の吐出動作が終了すると、分割制御部54は、対象分割として、No.3n+3のチャネルのグループを設定する。このとき、分割制御部54は、隣接分割として、No.3n+1、3n+2のチャネルのグループを設定する。
【0102】
以上の動作によって、分割制御部54は、すべてのチャネルからインクを吐出させることができる。
【0103】
図12は、HVスイッチ部50(電圧印加部)の構成例を示すブロック図である。
図12が示すように、HVスイッチ部50は、+VAAスイッチ61、−VAAスイッチ62及びVSSスイッチ63などを備える。
【0104】
+VAAスイッチ61は、+VAAとチャネルの電極33とを接続するスイッチである。
−VAAスイッチ62は、−VAAとチャネルの電極33とを接続するスイッチである。
VSSスイッチ63は、VSS(グランド)とチャネルの電極33とを接続するスイッチである。
【0105】
各スイッチは、互いに排他的に動作する。即ち、1つのスイッチが電極33と接続している間は、他のスイッチは、電極33と接続しない。
【0106】
たとえば、+VAAスイッチ61、−VAAスイッチ62及びVSSスイッチ63は、MOSトランジスタなどで構成される。
【0107】
実施形態では、+VAAは、+7V〜+18Vである。また、−VAAは、−7V〜−18Vである。なお、+VAAと−VAAとは、特定の電圧に限定されるものではない。
【0108】
ここでは、HVスイッチ部50は、No.0のチャネルに対応するスイッチとして、+VAAスイッチ61b、−VAAスイッチ62b及びVSSスイッチ63bなどを備える。また、HVスイッチ部50は、No.1のチャネルに対応するスイッチとして、+VAAスイッチ61a、−VAAスイッチ62a及びVSSスイッチ63aなどを備える。また、HVスイッチ部50は、No.2のチャネルに対応するスイッチとして、+VAAスイッチ61c、−VAAスイッチ62c及びVSSスイッチ63cなどを備える。
【0109】
たとえば、No.1のスイッチ信号として「+VAA」に接続する信号を受信すると、HVスイッチ部50は、−VAAスイッチ61a及びVSSスイッチ63aをオフにして、+VAAスイッチ61aをオンにする。この動作により、HVスイッチ部50は、No.1のチャネルの電極33に+VAAを印加する。
【0110】
次に、アクチュエータ37に印加される電圧について説明する。
図13は、アクチュエータ37に印加される電圧、ACT電圧、及び、INA電圧を示すタイミングチャートである。
【0111】
図13が示すタイミングチャートは、対象チャネルがインクを1回吐出する場合における各電圧を示す。
【0112】
アクチュエータ電圧は、対象チャネルのアクチュエータ37に印加される電圧を示す。
図2が示す例において、対象チャネルがNo.1のチャネルである場合、アクチュエータ電圧は、アクチュエータ37a及び37bに印加される電圧である。
【0113】
図13が示すように、アクチュエータ37a及び37bは、まず、所定の負の電圧を印加される。所定の負の電圧を印加されると、アクチュエータ37a及び37bは、
図3が示すようなPull状態となる。Pull状態となると、圧力室36aは、インクタンクからインクを吸引する。
【0114】
圧力室36aがインクを吸引すると、アクチュエータ37a及び37bへ0Vが印加される。0Vが印加されると、アクチュエータ37a及び37bは、
図2が示すようなリリース状態となる。アクチュエータ37a及び37bがリリース状態になると、圧力室36aから印刷媒体にインクが吐出される。
【0115】
圧力室36aから印刷媒体にインクが吐出されると、アクチュエータ37b及び37bは、所定の正の電圧を印加される。所定の正の電圧を印加されると、アクチュエータ37a及び37bは、
図4が示すようなキャンセル状態となる。アクチュエータ37a及び37bがキャンセル状態となると、アクチュエータ37a及び37bへ0Vが印加される。0Vが印加されると、1ドロップ分の吐出動作は終了する。
【0116】
電極33aに印加されるACT電圧は、ACT電圧のパターンとタイマセットとによって生成される。
図13の例において、ACT電圧のパターンは、第1期間が「VSS」であることを示す。また、タイマセットは、第1期間が「t0」の長さであることを示す。したがって、ACT電圧の第1期間は、t0時間であって、その間のACT電圧は、「0」である。
【0117】
同様に、ACT電圧のパターンは、第2期間が「−」であることを示す。また、タイマセットは、第2期間が「t1」の長さであることを示す。したがって、ACT電圧の第2期間は、t1時間であって、その間のACT電圧は、「−VAA」である。
同様に、ACT電圧の全ての期間について、長さとその間の電圧とが決定される。
INA電圧も同様に生成される。アクチュエータ37に印加される電圧は、ACT電圧とINA電圧との差である。
【0118】
なお、電極33に印加する電圧は、アクチュエータ37の分極方向が逆向きなら、上記の極性と逆の極性とする。
【0119】
図14は、アクチュエータ37に印加される電圧、ACT電圧、及び、INA電圧を示す他のタイミングチャートである。
図14が示す例において、タイマセットは、t10を格納しておらず、打切時間tdpを格納している。また、タイマセットが格納するt0〜t9までの時間は、打切時間tdpよりも短い。
【0120】
図14が示すように、ACT電圧の第11期間は、「VSS」の状態が打切時間tdpまで継続する。同様に、INA電圧の第11期間は、「VSS」の状態が打切時間tdpまで継続する。
【0121】
図15は、アクチュエータ37に印加される電圧、ACT電圧、及び、INA電圧を示すさらに他のタイミングチャートである。
図15が示す例において、タイマセットは、t10を格納しておらず、打切時間tdpを格納している。また、タイマセットが格納するt0〜t9までの時間は、打切時間tdpよりも長い。
【0122】
図15が示すように、駆動回路22は、打切時間tdpまではACT電圧及びINA電圧を生成するが、その後は生成しない。駆動回路22は、打切時間tdpが経過すると、1ドロップ分の吐出動作を終了する。
【0123】
このように、打切時間tdpを設定することによって、ACT電圧、INA電圧などの電圧パターンを格納した各レジスタの電圧パターンを、全て実行するか、それとも途中までの実行に留めるかを選択可能となる。即ち
図14のように打切時間tdpを長く設定すれば電圧パターンは全て実行され吐出の後キャンセルが行われるが、
図15のように打切時間tdpを短く設定して途中までの実行に留めれば吐出だけが実行され、アクチュエータを
図4の状態とするキャンセルパルスは省略される。
【0124】
これを利用して、打切時間tdpの値をドロップ目毎に変えるように構成しておけば、電圧パターンを格納した各レジスタは各ドロップ目で共通でありながら、ドロップ目によってキャンセルパルスの有無を選ぶといった波形生成も可能となる。
【0125】
例えば1ドロップ目はインクのチキソ性やアクチュエータのヒステリシスの影響によって圧力室のインク圧力の振動が比較的小さいためキャンセルパルスを省略し、2ドロップ目以降だけにキャンセルパルスを付加するといった波形生成も可能である。こうすることで、省略した1ドロップ目のキャンセルパルスの時間分だけ駆動に要する時間を節約でき、その分印刷を高速化することが可能になる。
図16は、7ドロップ分の吐出動作において1つのアクチュエータ37に印加される電圧、ACT電圧、及び、INA電圧を示すタイミングチャートである。
実施形態に係る吐出部21においては、対象分割は、1カ所に連続して7回インクを吐出することができる。したがって、
図16は、吐出分割が印刷媒体のある箇所に吐出を開始してから終了するまでの間のタイミングチャートである。また、
図16が示す例では、駆動回路22が吐出部21に連続して7回吐出させる場合の例を示す。
【0126】
ここでは、タイマセットドロップ適用レジスタ46は、1ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTaを、2ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTbを、3乃至6ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTcを、7ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTdを、格納する。
【0127】
次に、インクジェットヘッド18の動作例について説明する。ここでは、
図16が示すタイミングチャートに従って説明する。
【0128】
まず、CPU11は、外部からの指示などに基づいて印刷を開始する。印刷を開始すると、CPU11は、搬送モータ19によって用紙をインクジェットヘッド18がインクを吐出する位置に送る。
【0129】
CPU11が用紙を送ると、波形生成部47のセレクタ47aは、タイマセットドロップ適用レジスタ46が送信する選択信号に従って、1ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTaを選択する。セレクタ47aがタイマセットTaを選択すると、タイマ47bは、タイマセットTaに従って、波形の各期間の長さを設定する。波形生成部47は、タイマ47bが設定した各期間の長さと従って、ACT電圧、INA電圧、NEG電圧及びNEGINA電圧の波形を生成する。波形生成部47は、生成された各電圧の波形を示す情報を波形枠・波形分配制御部48へ送信する。
【0130】
波形枠・波形分配制御部48の対象波形制御部53は、ACT電圧の波形を示す情報とNEG電圧の波形を示す情報とに基づいてACT電圧の波形とNEG電圧の波形とを設定する。波形枠・波形分配制御部48の隣接波形制御部52は、INA電圧の波形を示す情報とNEGINA電圧の波形を示す情報とに基づいてNEG電圧の波形とNEGINA電圧の波形とを設定する。また、データ転送・ラッチ制御部51は、ドロップシーケンス生成部60からドロップシーケンスを受信する。
【0131】
分割制御部54は、対象波形制御部53が設定したACT電圧の波形とNEG電圧の波形とドロップシーケンスとに基づいたスイッチ信号を対象分割のチャネルに対応するスイッチ信号としてHVスイッチ部50へ送信する。また、分割制御部54は、隣接波形制御部52が設定したINA電圧の波形とNEGINA電圧の波形とドロップシーケンスとに基づいたスイッチ信号を隣接分割のチャネルに対応するスイッチ信号としてHVスイッチ部50へ送信する。
【0132】
HVスイッチ部50は、分割制御部54から、各チャネルに対応するスイッチ信号を受信する。各チャネルに対応するスイッチ信号を受信すると、HVスイッチ部50は、各チャネルに対応するスイッチ信号に従って、各チャネルのアクチュエータ37に電圧を印加する。
【0133】
以上の動作によって、対象チャネルは、圧力室36から印刷媒体にインクを吐出することができる。
図16の例では、1ドロップ分の吐出動作が終了すると、セレクタ47aは、選択信号に従って、2ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTbを選択する。以下、インクジェットヘッド18は、同様の動作を行う。
【0134】
2ドロップ分の吐出動作が終了すると、セレクタ47aは、選択信号に従って、3ドロップ目のタイマセットとしてタイマセットTcを選択する。 インクジェットヘッド18は、同様の動作を全てのドロップ目で行う。
すべてのドロップ目で同様の動作を行うと、インクジェットヘッド18は、対象分割の吐出動作を終了する。対象分割の吐出動作を終了すると、インクジェットヘッド18は、対象分割の設定を変更し、同様の動作を行う。インクジェットヘッド18がすべてのチャネルについて吐出動作を終了すると、CPU11は、インクジェットヘッド18が次の印刷位置にインクを吐出することができるように、搬送モータ19を用いて用紙を移動させる。CPU11が用紙を移動させると、インクジェットヘッド18は、同様に吐出動作を行う。インクジェットヘッド18がすべての印刷地点において吐出動作を終了すると、CPU11は、印刷を終了する。
【0135】
どのドロップ目でTa〜Tdのうちのどのタイマセットを利用するかは、タイマセットドロップ適用レジスタ46に格納する情報によって自由に設定可能である。
【0136】
なお、CPU11は、キャリッジモータ20によってインクジェットヘッド18を移動させてもよい。
【0137】
また、駆動回路22は、用紙が移動している間に、最初のタイマセットを選択してもよい。 以上のように構成されるインクジェットヘッド18は、ドロップ目ごとにタイマセットを変更することができる。そのため、インクジェットヘッド18は、ドロップごとに吐出速度及び吐出体積などの吐出状態を調整することができる。これにより、インクジェットヘッド18は、印刷品質を安定させることができる。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に本件出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
アクチュエータの動作によってインクを吐出する吐出部と、
前記アクチュエータに印加される電圧のパターンを格納する第1記憶部と、
複数のタイマセットを格納する第2記憶部と、
前記第2記憶部が格納する前記タイマセットと、前記第1記憶部が格納する電圧パターンとに基づいて、前記アクチュエータに印加される電圧の波形を生成する波形生成部と、
前記波形生成部が生成した前記波形に基づいて、前記アクチュエータに電圧を印加する電圧印加部と、
を備えるインクジェットヘッド。
[C2]
前記波形生成部は、
前記第2記憶部が格納する前記複数のタイマセットからタイマセットを選択する選択部を備え、
前記波形生成部は、前記選択部が選択した前記タイマセットに基づいて、前記波形を生成する、
前記C1に記載のインクジェットヘッド。
[C3]
タイマセットを指定する選択信号を前記選択部に送信する選択信号送信部を備え、
前記選択部は、前記選択信号送信部が送信する前記選択信号に基づいて、ドロップごとに前記複数のタイマセットからタイマセットを選択する、
前記C2に記載のインクジェットヘッド。
[C4]
前記複数のタイマセットは、前記波形の生成を打ち切る打切時間を格納し、
前記波形生成部は、波形の生成を開始してから、前記タイマセットが格納する前記打切時間が経過すると、前記波形の生成を終了する、
前記C1乃至3の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。
[C5]
前記C1乃至4の何れか1項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドがインクを吐出する位置に印刷媒体を送る搬送部と、
を備える、
印刷装置。