特許第6296999号(P6296999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296999
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】携帯端末用骨伝導アダプター
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20180312BHJP
   H04R 13/00 20060101ALI20180312BHJP
   H04M 1/03 20060101ALI20180312BHJP
   H04M 1/21 20060101ALI20180312BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H04R1/00 317
   H04R13/00
   H04M1/03 C
   H04M1/21 E
   H04R1/02 102Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-8561(P2015-8561)
(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2016-134785(P2016-134785A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】515018220
【氏名又は名称】安達 義雄
(73)【特許権者】
【識別番号】515018242
【氏名又は名称】安達 義博
(73)【特許権者】
【識別番号】515018264
【氏名又は名称】安達 駿吏
(74)【代理人】
【識別番号】100081259
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 道夫
(72)【発明者】
【氏名】安達 義雄
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−065785(JP,A)
【文献】 特開2002−164986(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/033677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00 − 1/08
H04R 1/10
H04R 13/00
H04M 1/02 − 1/23
H04M 1/00
H04M 1/24 − 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に着脱自在であって装着により前記携帯端末の音声信号が入力される接続部と、この接続部を介し、前記音声信号に応じて振動する骨伝導装置とを備え、前記接続部は前記携帯端末(6)に設けられたジャック(7)に対し着脱自在なプラグ(5)からなり、前記骨伝導装置は、前記プラグ(5)を介し音声信号が流れるコイル(10)と、このコイル(10)の軸方向に対向配置されたマグネット(11)からなる振動子を振動可能に保持するダンパー(12)からなることを特徴とする骨伝導アダプター。
【請求項2】
請求項記載の骨伝導アダプターにおいて、前記ダンパー(12)は前記振動子の両側面および上面を包み込み、かつ上面部分はケース(2)に形成した開口部(2c)から外部に露出し振動伝達部分への当接部(12a)をなすことを特徴とする骨伝導アダプター。
【請求項3】
請求項記載の骨伝導アダプターにおいて、ダンパー(12c)はリング状をなし、少なくとも一以上のダンパー(12c)を前記振動子の外周に巻き付けて保持し、かつ振動子が配置されるケース部分を振動伝達部分への当接部(12a’)としたことを特徴とする骨伝導アダプター。
【請求項4】
請求項または記載の骨伝導アダプターにおいて、前記ケース(2)は第1のケース半体(2a)と第2のケース半体(2b)とからなり、前記第1のケース半体(2a)に前記コイル(10)および前記プラグ(5)が設けられ、前記第2のケース半体(2b)に前記ダンパー(12)で保持された振動子が設けられ、前記第1、第2のケース半体(2a)、(2b)の各内側を互いに向い合わせ、一体化してなることを特徴とする骨伝導アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話のような携帯端末を難聴者であっても健常者と同様に通話できるようにした携帯端末用骨伝導アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォンのような携帯端末は全世界的に普及し、老若男女を問わず誰でも持ち歩いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−016522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9は従来の携帯電話の概略斜視図で、正面上部の適位置にスピーカ8が、下方にマイクロホン8’がそれぞれ内蔵され、通話ができるように構成されている。また、液晶画面Aや相手の電話番号を入力したり、メールをするための各種キーBも設けられている。
【0005】
使用にあたっては、通常、図10に示すように、スピーカ8の部分を耳に当て相手方と会話を行う。スマートフォンも同様にして使用される。
【0006】
しかしながら、難聴者は耳が聞こえないため、メール機能は使えるが、通常の電話としての会話はできない。また、日本は今後、益々高齢化が進み、高齢になると耳が遠くなるため、何らかの対策を講じておくことが好ましい。
【0007】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、難聴者であっても健常者と同様に通話を可能とし、かつ組立ても容易で安価な携帯端末用骨伝導アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、携帯端末に着脱自在であって装着により前記携帯端末の音声信号が入力される接続部と、この接続部を介し、前記音声信号に応じて振動する骨伝導装置とを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の骨伝導アダプターにおいて、前記接続部は前記携帯端末6に設けられたジャック7に対し着脱自在なプラグ5からなり、前記骨伝導装置は、前記プラグ5を介し音声信号が流れるコイル10と、このコイル10の軸方向に対向配置されたマグネット11からなる振動子を振動可能に保持するダンパー12からなることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の骨伝導アダプターにおいて、前記ダンパー12は前記振動子の両側面および上面を包み込み、かつ上面部分はケース2に形成した開口部2cから外部に露出し振動伝達部分への当接部12aをなすことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2記載の骨伝導アダプターにおいて、ダンパー12cはリング状をなし、少なくとも一以上のダンパー12cを前記振動子の外周に巻き付けて保持し、かつ振動子が配置されるケース部分を振動伝達部分への当接部12a’としたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項3または4記載の骨伝導アダプターにおいて、前記ケース2は第1のケース半体2aと第2のケース半体2bとからなり、前記第1のケース半体2aに前記コイル10および前記プラグ5が設けられ、前記第2のケース半体2bに前記ダンパー12で保持された振動子が設けられ、前記第1、第2のケース半体2a、2bの各内側を互いに向い合わせ、一体化してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3記載の発明によれば、スマートフォンのような携帯端末に小型であって携帯用の骨伝導タイプのアダプターをワンタッチで一体的に装着でき、外耳道付近の耳珠に接触させれば、難聴者であっても容易に相手の音声を認識することができ、通話をすることができる。また、プラグとジャックが適合すれば、いかなる携帯端末にも適用でき、骨伝導装置の主要構成部分は、コイル10、マグネット11、ダンパー12、12cと部品点数が少なく、コスト安を実現できる。
請求項記載の発明によれば、一方の第1のケース半体2aにプラグ5、コイル10を配置し、他方の第2のケース半体2bの所定位置にダンパー12、12cに保持された振動子を配置し、両第1、第2のケース半体2a、2bを向い合わせて結合するだけで容易に組み立てることができ、生産性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る骨伝導アダプターと携帯端末の分視図を示す。
図2】本発明に係る骨伝導アダプターを携帯端末に装着した状態を示す斜視図。
図3】(a)骨伝導アダプターの平面図、(b)同骨伝導アダプターの側面図、(c)底面図である。
図4図3(c)中A−A線断面図。
図5図3(b)中B−B線断面図。
図6】(a)は図3(c)中C−C線断面図、(b)は(a)図中A部分の拡大図を示す。
図7】耳の一般的形状の概略図を示す。
図8】使用状態を示す斜視図である。
図9】従来の携帯電話の斜視図。
図10】同上の使用状態説明図である。
図11】本発明の第2実施例の断面図を示す。
【実施例1】
【0011】
図1において、1は本発明に係る骨伝導アダプターで、例えばABS樹脂からなるケース2の頭部3には音声信号を機械運動に変換する骨伝導装置が内蔵されている。また、図示の状態において、上方部分に位置する頭部3の下方に一体形成された首部4の底面からプラグ5が突設されている。このプラグ5は、いわゆる携帯電話やスマートフォンのような携帯端末6に設けられたジャック7に対し着脱自在となっている。
【0012】
携帯端末6の内部構造は公知であるので、説明は省略する。また、プラグ5とジャック7の構造も公知であり、プラグ5をジャック7に差し込めば電気的、かつ機械的に接続されることも公知である。
【0013】
図2は骨伝導アダプター1を携帯端末6に装着し、一体化した状態を示す。これにより携帯端末6に内蔵されたスピーカ8への音声信号が骨伝導アダプター1へ切替えられるようになっており、この種の切替え構造も公知である。
【0014】
図3(a)〜(b)は骨伝導アダプター1の好ましい形状例を示す。骨伝導アダプター1のケース2は平面から見ると円形をなす頭部3と、この頭部3の一端側に一体形成されたほぼ矩形状の首部4からなっている。また、ケース2は第1、第2のケース本体2a、2bの2分割構造をなす。なお、ケース2の形状は必ずしもこの形状に限定されるものでなく、首部4は例えば有底円筒状に形成しても良い。また、頭部3の形状も適宜設計変更しても良い。
【0015】
図4は、図3中A−A線断面図であって骨伝導アダプター1の内部構造を示す。第1のケース半体2aの頭部3内の中空部には、円筒状の胴部9aと、胴部9aの各端部にそれぞれ一体形成された円板状のフランジ9b、9cとからなるコイルボビン9が配置されている。コイルボビン9の胴部9aの外周にはコイル10が巻き回され、コイル10の巻き始め、巻き終わりの引出線(図4では図示せず)はプラグ5に接続されている。
【0016】
内側に位置するフランジ9b側であって第2のケース半体2b側には振動子であるマグネット11がコイル10の軸方向と対向するように配置されている。マグネット11の周囲は、図示の状態において、底部を除き、例えばゴム材のような弾性部材からなるダンパー12で囲まれている。そしてこのマグネット11の底面がコイル10のフランジ9b上に対向配置され、ハウリングは起こらない構造になっている。
【0017】
図示の状態において、このダンパー12の外面は耳部分への当接部12aとなり、第2のケース半体2bの開口部2cから外部に露出している。当接部12aは好ましくはやや肉厚とすればクッション性が生じ、当接させた場合、感触が良好となる。なお、ダンパー12の外周部にはフランジ状の突部12bが形成され、この突部12bは第2のケース半体2bの内側に形成された凹部2dと係合し、内部にマグネット11を有するダンパー12が第2のケース半体2bの開口部2cから外に抜け出ないように構成されている。
【0018】
組立てにあたっては、コイル10の引出線a、bをプラグ5に接続し、一方の第1のケース半体2aの所定の位置に収納する。図5はその状態を示す。
【0019】
また、他方の第2のケース半体2bには、マグネット11が内蔵されたダンパー12を配置し、第1、第2のケース半体2a、2bの内側を互いに向い合わせる。
【0020】
図6(a)に示すように、第2のケース半体2bの内面の適宜の箇所には凸部cが形成され、第1のケース半体2aにはそれを収納する凹部dが形成され、凸部cと凹部dを嵌め合わせる。図6(b)はその拡大図を示す。なお、第1のケース半体2aに凸部cを、第2のケース半体2bに凹部dを形成しても良いことは勿論である。
【0021】
そして、超音波溶着により第1、第2のケース半体2a、2bを一体化すれば骨伝導アダプター1が完成する。
【0022】
図7は一般的な耳の形状を示す。本発明者は耳の周辺の何箇所かに骨伝導アダプター1の当接部12aを当接させ、どこの部位が一番好適かについて確認したところ、耳珠に当てると好ましいことを見い出した。
【0023】
図8はその使用状態を示す。
【0024】
使用に際しては、プラグ5をジャック7に差し込むと携帯端末6と一体化させることができる。手で携帯端末6をもち、骨伝導アダプター1の当接部12aを耳珠に押圧させる。この場合、当接部12aは弾性部材からなるため、感触が良い。その状態において、いま、携帯端末6からの交流の音声電流がプラグ5を介しコイル10に流れると、アンペアの右ネジの法則により、その電流の向きにしたがって、磁束が交互に変化する。アンペアの右ネジの法則とは、電流とその周りにできる磁場との関係を表す法則で、電流を流すと、電流の方向を右ネジの進む方向として、右ネジの回る向きに磁場が生じることである。
【0025】
また、フレミングの左手の法則により発生した力Fがダンパー12内のマグネット11に作用する。この場合、ダンパー12の底部は開口し、マグネット11はコイル10と直接対向配置させているため、コイル10の磁束はマグネット11に速やかに作用する。ダンパー12は弾性材からなるため、マグネット11は振動可能で、マグネット11が振動する。
【0026】
当接部12aを振動伝達部分である耳珠に押し当てればその振動が外耳道の奥にある耳小骨から蝸牛以降の聴覚神経に速やかに伝達され脳に音として認識される。これによって相手の声を聴くことができ、会話を行うことができる。この際、外部に音漏れがすることはない。なお、当接部12aを肉厚にしておけば、皮膚への感触は良好であり、特別に他の別部材のパッドを設ける必要はなく、経済的である。勿論、別途、パッドを設けても良いことは勿論である。
【0027】
携帯端末から骨伝導アダプター1を抜けば携帯端末に内蔵されたスピーカ8から音声を聞くことができ、通常の携帯端末として使用できる。なお、本発明の骨伝導アダプター1は難聴者のみならず健常者でも使用でき、周りに人がいても、音漏れがないため、迷惑をかけることはない。
【実施例2】
【0028】
図11は本発明の第2実施例を示す。この実施例では、リング状の少なくとも一以上のダンパー12cで振動子であるマグネット11を保持するようにしている。
【0029】
すなわち、この例では、振動子の外周に、2つのダンパー12cを離間して巻き付け、その振動体をコイル10上に配置している。
【0030】
また、振動体が配設される第2のケース半体2b’の部分を、図示の状態において、上方に突出させ、その部分を当接部12a’とし、振動子の振動をダンパー12cを介し当接部12a’に伝達するようにしている。この当接部12a’はクッション性をもたせるために肉厚にすると好ましい。逆に肉薄にし、振動を伝達し易くしても良い。
【0031】
この場合、第2のケース半体2b’を可とう性のある材質で形成すれば当接部12a’を速やかに振動させることができる。
【0032】
他の構成、作用、組立て方法、使い方等は前述の実施例と基本的には同様であるため省略する。
【0033】
なお、骨伝導装置は必ずしも上記各実施例に限定されるものでなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 骨伝導アダプター
2 ケース
2a 第1のケース半体
2b 第2のケース半体
3 頭部
4 首部
5 プラグ
6 携帯端末
7 ジャック
8 スピーカ
9 コイルボビン
9a 胴部
9b、9c フランジ
10 コイル
11 マグネット
12 ダンパー
12a、12a’ 当接部
12b 突部
12c ダンパー
a、b コイル引出線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11