【文献】
Design and Performance of the Bidirectional Optical Single-Sideband Modulator,Journal of Lightwave Technology,2003年 4月,VOL.21,NO.4,1071-1082
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気光学変調器であって、非線形の光学材料からなる導波路(2)と、電極線(3)とを含み、前記電極線(3)は、電圧が電極線(3)に印加されたときに導波路(2)の変調領域(17)において電界を発生させることにより、導波路(2)を通過する光の位相を変調させるように配置され、
・ 変調領域(17)を通過する光の進行方向の前方の電気光学応答は、前記進行方向の後方の電気光学応答と同じであり、
・ 電気光学応答は帯域通過特性または低域通過特性を有し、
前記電気光学変調器は、高周波変調器であり、
・ 電極線(3)は第1の分岐(3a)および第2の分岐(3b)を含み、各分岐は、
− 初めに、以下、分岐の延在部と称される距離にわたって、導波路(2)に対して平行に、第1の線区域(11)の始端から終端にまで延び、
− 次いで、第1の線区域(11)とは逆の方向に、同じ距離だけ、導波路(2)に対して平行に、第2の線区域(12)の始端から終端にまで延び、
− 分岐(3a;3b)の第1の線区域および第2の線区域(11,12)は、導波路(2)の同じ変調サブ領域(17a;17b)に影響を及ぼし、
・ 第1の線区域(11)の始端から第2の線区域(12)の終端までのマイクロ波信号の伝搬時間は両方の分岐に関して同じである、電気光学変調器。
変調の重心は変調周波数とは無関係であり、変調の重心は、前記導波路に沿った位置に関する位相変調の積分で割られた、位置と単位長当たりの位相変調との積の前記導波路に沿った位置に関する積分として規定される、請求項1に記載の電気光学変調器。
・ 変調領域(17)は変調の重心によって分割された第1のサブ領域(17a)および第2のサブ領域(17b)を含み、電極線(3)は、第1のサブ領域(17a)を一方向に通過する光に対して、第2のサブ領域(17b)を逆方向に通過する光に対するのと同じ変調をもたらすことができる、請求項1または2に記載の電気光学変調器。
電極線(3)は、第1の分岐(3a)と第2の分岐(3b)との間に中間点(16)を含み、電極線(3)は、電気マイクロ波信号源に接続されると、導波路(2)において、中間点(16)に対して対称的な電界分布を発生させることができる、請求項1から4のいずれかに記載の電気光学変調器。
第1の分岐および第2の分岐(3a,3b)を含む電極線(3)の形状は、中間点を通過する軸であって電極線(3)が位置する面に対して垂直である軸を中心として回転対称を有する、請求項5に記載の電気光学変調器。
信号発生器(6)を含み、前記信号発生器(6)は、電極線(3)の端子に電圧を印加することによって、電極線(3)の分岐(3a,3b)においてマイクロ波信号を発生させるように構成され、マイクロ波信号の周波数は中心周波数に位置するかまたは中心周波数付近に位置し、中心周波数は、各々の分岐(3a、3b)において信号の中心波長に対応し、各々の分岐(3a,3b)においては、マイクロ波信号の中心波長または中心波長の整数倍は分岐の延在部の2倍に等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
導波路(2)および電極線(3)が配置される表面とは反対側にある、基板(1)の底面(15)は、少なくともRa=0.3マイクロメートルの程度にまで粗面化されるか、またはくさび型にされ、すなわち、反対側の表面に対して傾斜させられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【背景技術】
【0002】
US5,129,017、US5,050,948、US5,138,480、US5278924、WO02097526およびJP9236783Aは、進行波電極を備えた集積(コプレーナ導波路またはCPW)光学変調器を開示する。変調器はマッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)変調器として構成される。すなわち、光ビームが2部分に分割にされ、光の一方の部分が位相変調され、2つの部分が再結合され、その結果、再結合させた部分の振幅が位相変調に合わせて変調される。光は変調器を1回だけ通過する、すなわち、一方向にしか通過しない。
【0003】
「共振タイプの電極を備えたLiNbO3での短路長の高速光学変調器についての研究(Investigations on short path length high speed optical modulators in LiNbO3 with resonant type electrodes; R. Krahenbuhl, M.M. Howerton, Journal of Lightwave Technology; Vol 19, No. 9, pp.1287-1297, 2001)」においては、活性電極長を短くして変調効率を高めることを目的とするさまざまな種類の共振電極構造が記載されている。図示される電極位相は、マッハ・ツェンダー変調器に限定される。
【0004】
「LiNbO3での高感度集中素子帯域通過変調器(High-sensitivity lumped-element bandpass modulators in LiNbO3; G. E. Betts, L.M. Johnson, C. H. Cox; IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology, Vol. 7, no. 12, pp. 2078-2083, Dec. 1989)」においては、集積マッハ・ツェンダー変調器に基づいた帯域通過変調器が記載されている。
【0005】
「双方向光学単側波帯変調器の設計および性能(Design and performance of the bidirectional optical single-sideband modulator; A. Loayssa et. al., Journal of Lightwave Technology, Vol 21, No. 4, pp. 1071-1082, April 2003)」においては、標準的な単一電極マッハ・ツェンダー変調器および受動型光ファイバ構成要素を用いる光学単側波帯変調を実現するのに用いられる双方向光学単側波帯変調器に関する研究が記載されている。電気光学変調器は、高周波電極を双方向に駆動することによって動作させられる。すなわち、1つの信号が同じ電極の両端に供給される。
【0006】
図1は、先行技術に従って絶対距離を測定するための距離測定装置を概略的に示す。光源101は、典型的には可視範囲または赤外線範囲の光を放出し、中心波長λを有し、光源のスペクトル幅Δλは、低コヒーレンス光の放出を確実にするのに十分なほどに幅が広い。広帯域の光源101が放出した並列光ビームは偏光ビームスプリッタ102を照らし、これにより、透過したビームのうちの1本に関して確実に直線偏光状態にする。偏光されたビームは、両側に電極104を備えた電気光学結晶103を通過する。電極104は、電気光学結晶103の主な結晶軸のうちの1本に対して平行に電界を加えることを可能にする。周波数fを有する正弦波電気信号を信号源108によって発生させて、電極104に加える。この電界は、結晶の低速光学軸と高速光学軸との間に屈折率差の変化をもたらす。こうして、2つの直交波の間に位相変調がもたらされる。
【0007】
電気光学結晶103の出力において、4分の1波長板105が、その軸を電気光学結晶103の主軸に対して45°に配向した状態で配置される。4分の1波長板105を通過した後の光ビームは、測定されるべき距離に沿って進み、目標物に到達する。コーナーミラー106または他の反射要素が目標物に固定されており、これに光が反射して光源に戻っていく。4分の1波長板105を2回通過した後、戻ってくる光の2つの直交波が90°回転し、2回目には逆方向に電気光学結晶103と交差する。出ていく光と戻ってくる光との干渉に従って振幅が変調された最終的なビームは、受光器107によって捕捉される。
【0008】
たとえばこの原則に従った関連する距離測定装置が、たとえば、EP0205406、EP0313518、EP−A−1647838、WO97/18486およびEP特許出願番号10405078から公知である。絶対距離測定のためのフィゾー法(Fizeau method)の作用を説明するために、上記出願の内容全体が引用により援用されている。
【0009】
基本的には、レーザまたは広帯域光源から光ビームを発生させ、収束光学ユニットによって、光を直線的に偏光させるための偏光ビームスプリッタ上に誘導し、次いで、電気光学変調器、λ/4リターダおよび出口光学ユニットによって測定経路上に誘導する。測定経路に沿って戻ってくる光は、上述の要素を通過して偏光ビームスプリッタにまで到達し、後者(偏光ビームスプリッタ)によって検出器にまで誘導される。評価ユニットは、検知器信号に基づいて測定経路の長さを決定するための役割を果たす。
【0010】
本願の文脈において重要なことは、この方法においては、出ていく測定光および戻ってくる測定光が変調器において変調される点である。上記変調の頻度を変えることによって、検出された測定光ビームの最低限の強度(または実質的に同義的には、強度の導関数のゼロ交差)が決定される。測定装置と逆反射体または半協働的(semi-cooperative)目標物との間の測定経路の長さは最低周波数から決定される。半協働的目標物は、たとえば拡散反射によって、入射光の少なくとも一部を入射光の方向に沿って戻らせる。
【0011】
フィゾー原理に基づいた距離測定装置の最新の実現例では、バルク結晶がポッケルス効果(Pockels-effect)を示す電気光学変調器が用いられる。(〜1mmの結晶幅に対して)十分に変調させるのに必要な数100Vの電圧を実現するために、変調器は〜1Wの駆動電力を必要とし、結晶は電気共振器に配置される。特定の変調周波数を設定することにより、共振器の機械的調整が必要となり、こうして、測定率が(たとえば20Hzに)制限される。
【0012】
距離測定装置において集積光学変調器を用いることによって測定を速めることが望ましい。しかしながら、距離測定装置の測定原理は、光が変調器を2回、相対する方向に通過することを必要とするので、公知の単回通過変調器は好適ではない。
【0013】
したがって、本発明の目的は、出ていく光および戻ってくる光がともに同じ変調器を通過する上述の距離測定装置において用いることができる電気光学変調器を製造することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、出ていく光および戻ってくる光の両方が横断する集積光学変調器を用いる距離測定装置を製造することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、公知の変調器よりも低変調電圧および低消費電力で動作させることが可能な電気光学変調器を備えた距離測定装置を製造することである。
【0016】
これらの目的は、対応する独立請求項に従った電気光学変調器および距離測定装置によって達成される。
【0017】
電気光学変調器は、非線形の光学材料からなる導波路と、電極線とを含む。電極線は、電極線に電圧が加えられたときに導波路の変調領域において電界を発生させ、これにより、導波路を通過する光の位相を変調させるように配置される。ここでは、
・ 変調領域の前方の電気光学応答(forward electro-optic response)は後方の電気光学応答(backward electro-optic response)と同じである(言いかえれば、変調器を一方向に通過する光および逆方向に通過する光に対する位相シフトなどの効果は同じである)。
【0018】
・ 使用された変調周波数範囲での電気光学応答は平坦な(たとえば低域通過または帯域通過)特徴を有する。
【0019】
これら2つの特性を組合せることにより、2つの光ビームが互いに反対方向に変調器を通過する適用例において変調器を使用することが可能となる。この場合、2本のビームが、たとえばGHz範囲の高周波数で、本質的に同じ態様で変調されることが重要である。このマイクロ波周波数範囲においては、信号の波長は、電極線の寸法とほぼ同じである。
【0020】
注:「帯域通過特性」は、一般に知られているように、直流電圧が電極線に印加されたときに電気光学応答が本質的にゼロになり、周波数が上昇するのに応じて最大値にまで上昇し、次いで少なくとも1回低下することを意味する。
【0021】
注:光導波路は、電磁波を光学スペクトルで誘導する物理的構造である。一般的なタイプの光導波路は光ファイバおよび矩形導波路を含む。光導波路においては、選択された光モードだけが導波路の長さに沿って伝搬することができる。というのも、導波路の横方向寸法(すなわち、光が伝搬する導波路の長さに対して直交する寸法)が光のほんの数波長の範囲内にあるからである。
【0022】
これとは対照的に、バルク結晶または体積結晶(volume crystal)においては、横方向寸法は、結晶を通過する光ビームの直径または光の波長よりも著しく大きく、光をさまざまなモードで伝搬させる場合も結晶の寸法の影響を受けない。結晶の種類に応じて、光は、当然、結晶の他の特性(屈折、分散など)によって影響を受ける可能性がある。導波路とは異なり、バルク結晶または体積結晶は光誘導機能を備えていない。
【0023】
このため、導波路と電極とがほんのわずかしか離れていないこのような集積光学変調器では、十分に変調させるのに必要な電界強度がわずか数ボルトの変調電圧で実現され、結果として駆動電力が劇的に低下し、外部共振器や、時間のかかるその機械的調整が不要となる。
【0024】
一実施形態においては、変調の重心は変調周波数とは無関係である。変調の重心は導波路に沿った点である。その位置y
COGは、導波路に沿った位置に関
する位相変調の積分で割られた
、位置y
と単位長a当たりの位相変調
との積
の導波路に沿った位置に関する積分として規定される。
【0025】
【数1】
【0026】
ここで、y1およびy2は、導波路軸Yに沿った変調領域の開始位置および終端位置である。結果として、変調の重心によって導波路が2区域に分割され、両方の区域における光の変調合計は同じとなる(一方の区域における変調合計は、その区域に沿った変調の積分である)。
【0027】
距離測定装置は電気光学変調器を含む。これにより、高い測定速度、高精度および低消費電力で距離測定装置を動作させることが可能となる。
【0028】
一実施形態においては、距離測定装置は光を放出する光源を含み、電気光学変調器は、光源によって放出された光が、距離測定装置から放出される前に電気光学変調器を第1の方向に通過するように、そして、距離測定装置の外側にある目標物から反射した後の出射光が第1の方向とは逆の第2の方向に電気光学変調器を通過するように、距離測定装置に配置される。
【0029】
一実施形態においては、変調領域は第1のサブ領域および第2のサブ領域を含む。電極線は、第1のサブ領域を一方向に通過する光に対して、第2のサブ領域を逆方向に通過する光に対するのと同じ変調をもたらすことができる。
【0030】
一実施形態においては、電極線は第1の分岐および第2の分岐を含む。各分岐は、
・ 初めに、以下分岐の延在部と称される距離にわたって、導波路に対して平行に、第1の線区域の始端から終端にまで延び、
・ 次いで、第1の線区域とは逆方向に、同じ距離だけ、導波路に対して平行に、第2の線区域の始端から終端にまで延び、
・ 第1の線区域の始端から第2の線区域の終端までのマイクロ波信号(すなわち、両方の分岐のための同じマイクロ波信号)の伝搬時間は、どちらの分岐に関しても同じである。
【0031】
したがって、たとえば光路が平行に延びる2つの別個の導波路に分割されているマッハ・ツェンダー集積光学変調器とは対照的に、電極は単一の導波路に沿って光を変調するように配置される。一実施形態においては、各々の分岐に関して、別個の線区域(2つ以上)が導波路の同じ変調領域に沿って延びている。たとえば、第1の分岐における2つ以上の線区域が導波路の第1の変調サブ領域に沿って延び、第2の分岐における2つ以上の線区域が導波路の第2の変調サブ領域に沿って延びる。
【0032】
電気信号が電極線に印加されると、各々の分岐に関して、第1の線区域および第2の線区域から(および場合によっては、分岐の第3の線区域またはさらには同じ分岐のさらに別の区域から)の電界が重ね合わされて、導波路に沿った同じ領域に影響を及ぼす。
【0033】
一実施形態においては、変調器は導波路を1つだけ含んでもよく、この導波路に沿って変調が行なわれる。この場合、導波路のさらなる分割および/または導波路の結合は行なわれない。
【0034】
電極線と導波路とは、第1の線区域と第2の線区域との間の電圧差が導波路において電界をもたらすように、相対的に配置される。第1の線区域の終端は第2の線区域の始端に電気的に接続される。
【0035】
一実施形態においては、
・ 各々の分岐は、第2の線区域の終端から、
− 第1の線区域と同じ方向に、同じ距離だけ、導波路に対して平行に第3の線区域において延び、
・ 第1の線区域の始端から第3の線区域の終端までのマイクロ波信号の伝搬時間は、どちらの分岐の場合も同じである。
【0036】
変調領域に影響を及ぼす(実施形態に応じて)2つまたは3つの線区域からの電界を重ね合わせることにより、結果として、導波路における電界が定常波のように振動することとなり、これらの線の長さに沿って対称的になり、さらに対称的な光学応答をもたらす。
【0037】
一実施形態においては、電極線は、第1の分岐、第2の分岐、およびこれら2つの分岐間の中間点を含み、電極線は、電気的なマイクロ波信号源に接続されると、中間点に対して対称的な導波路において電界分布を発生させることができる。中間点は、2つの分岐間の幾何学的中心であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0038】
結果として、変調区域の長さに沿って一方向に導波路を通過する光は、同時に逆方向に通過する光と全体的に同じ位相シフトを経験する(これは、変調区域に沿った時間依存の電圧誘起位相シフト(voltage induced phase shift)と位置依存の電圧誘起位相シフトとの積分である)。言いかえれば、前方の電気光学応答は後方の電気光学応答と同じである。
【0039】
分岐の電気的特性に関するこのような対称的な構成は、光学回路において光の伝搬の前方および後方について同じ電気光学応答を得ることを可能にする。電気的特性に関する対称的な構成は、分岐の幾何学的対称性によって、または分岐の電気的特性の対称性によってのみ得られてもよい。
【0040】
したがって、一実施形態においては、第1の分岐および第2の分岐を含む電極線の形状は中間点に対して対称的である。電極線の形状は、中間点を通過する面であって導波路に対して垂直である面に対して鏡面対称であってもよい。代替的には、電極線の形状は、中間点を通過する軸であって電極線が位置する面に対して垂直である軸を中心として回転対称を有していてもよい。
【0041】
一実施形態においては、電気光学変調器は信号発生器を含む。当該信号発生器は、電極線の端子に電圧を印加することによって、電極線の分岐においてマイクロ波信号を発生させるように構成される。マイクロ波信号の周波数は中心周波数に位置するかまたは中心周波数付近に位置する。中心周波数は、各々の分岐においては、信号の中心波長に対応する。各々の分岐においては、マイクロ波信号の中心波長または中心波長の整数倍は分岐の延在部(extension)の2倍に等しい。信号のこのような使用は、好ましくは距離測定装置において実現される。
【0042】
一実施形態においては、導波路および電極線が配置される面(上面)とは反対側にある基板の底面は、少なくともRa=0.3μmの程度にまで、好ましくはRa=0.5μm〜0.7μmの範囲内で粗面化されるか、または、底面は上面に対して平行ではない(くさび型である)。これにより、圧電効果によって基板において生じる可能性のある機械的共振が抑制されるかまたは排除される。
【0043】
要約すると、電気光学変調器は、以下の特徴のうち1つ以上を含む:
・ 複屈折の電気光学結晶。
【0044】
・ 通常軸(ordinary axis)および異常軸(extraordinary axis)は光の伝搬方向に対して直交する。
【0045】
・ 光の伝搬方向は通常軸のうちの1つに対して平行である。
・ 結晶方位は、最も高い電気光学係数を用い、かつ2つの交差した偏光間の差動的な電気光学位相変調を最大限にするように選択される。
【0046】
・ 光導波路は結晶の表面に組込まれている。
・ 導波路は、偏光の両方の状態を支持することができる。
【0047】
・ 差動位相変調に含まれる電気光学係数と相互作用させるように外部電界を引き起こすために、ひとまとめにされた2つの共面電極が導波路とは別個にパターン化される。
【0048】
・ 対称的な構成は、光学回路における光伝搬の前方および後方に関して同じ電気光学応答を得ることを可能にする。
【0049】
・ 2本の電極線は、所望の周波数での帯域通過作用を可能にするように、それぞれの端部が短絡されている。
【0050】
・ 各電極線の長さは、この所望の周波数での応答を最適化するために、線において伝搬するマイクロ波信号の波長と等しくなり得る。
【0051】
・ 結晶は圧電性であり得る。音波共振は、電極の上面から基板の底面までの間に発生させてもよい。一定の表面粗さを達成するよう研削すること、底面に溝を機械加工すること、または底面をくさび型に(傾斜付け)することにより、共振条件を排除することができる。
【0052】
・ 変調器は、パッケージングされると、ケースハウジングにおいてマイクロ波共振を発生させることができる。装置および電極の表面におけるマイクロ波吸収体により、マイクロ波共振の発生を回避することができる。
【0053】
本発明の主題は、概略的に示される添付の図面において図示される例示的な実施形態に関連付けて、以下の文脈においてより詳細に説明されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0055】
原則的に、同一の部分には図面において同じ参照符号が付されている。
規則:位相変調器は電気光学結晶を用いる。変調の指数により、いわゆる半波電圧Vπが規定されるだろう。半波電圧は、電気光学変調器の特徴であり、透過光の光学位相をπラジアンだけ変えるために結晶に印加される必要のある電圧に対応している。
【0056】
電気光学変調器の導波構成は以下のとおりである:直線形の光導波路が結晶面に形作られて、断面の幅および高さが数マイクロメートルである狭い通路に光を閉じ込めることを可能にする。共面電極は、数マイクロメートルの隙間を空けて導波路の付近に配置され、これにより導波路に強電界を加えることを可能にする。半波電圧は、バルク結晶変調器の場合よりもはるかに低いほんの数ボルトにまで下げることができる。
【0057】
導波変調器(guided wave modulators)は、たとえばニオブ酸リチウムでは、この低電圧構成のおかげで、超高周波数で動作可能である。共面導波路(CPW:coplanar waveguides)マイクロ波線で作られた特別な進行波電極により、導波路において伝搬する光波とCPW線において伝搬するマイクロ波との間に位相整合条件を得ることが可能となる。これらの波はともに、同じ方向に同じ速度で移動する。一般的に、高速進行波の集積光学変調器においては、マイクロ波電気信号は、変調器の一方側では、導波路の光入力付近において、CPW線の入力ストリップに供給される。マイクロ波線の端部は光導波路出力の付近に設定される。しかしながら、このような構成は、光が2回目には逆方向に変調器を通過するような距離測定装置での使用には適していない。帰路において、光は、逆方向に伝搬する電気信号と相互に作用する。結果として、高周波数では、前方および後方への電気光学応答が大きく異なっている。
【0058】
図1におけるような距離計測構成において集積位相変調器を用いると、受光器107の出力における平均的な電力P(f)の形状が、変調周波数の関数として、
図2aに示される曲線と同様になることが分かる。主な特性は、P(f)のゼロが適所にとどまることである。理想的には、曲線は対称的であるが、これは、曲線のゼロ点を決定することを必要とする距離測定のための前提条件となる。ゼロ点を決定するための一方法においては、ゼロ点自体を決定するのではなく、同じ電力P(fka)=P(fkb)を有するゼロ点の左側および右側における2点が決定される。次に、ゼロ点の周波数は、曲線が対称的であると想定した場合、(fka+fkb)/2として計算される。しかしながら、マイクロ波電極の幾何学的性質および物理的性質に応じて、ゼロ点のまわりの曲線の形状は非対称的になる可能性がある。これは
図2bにおいて示される。これにより、距離測定に歪みが生じる。基準P(fka)=P(fkb)であれば、この非対称性により、最終的な(fka+fkb)/2が正確なfkとは異なるものになる可能性があり、絶対距離Lの決定に誤差が生じる可能性がある。
【0059】
さらに、電極が電極線の中間部分によって給電される場合、P(f)がゼロに等しくなり、光伝搬の前方および後方の両方に関して変調器の応答の完全な対称性が回復されることを証明することができる。さらに、変調の重心は、変調周波数とは無関係に同じ位置にとどまる。
【0060】
このため、実現可能な設計としては、2本の平行な線が電極のちょうど中心に設定された入力電気ストリップによって給電され、光の伝搬方向とは全く無関係に応答を行う装置に完全な対称性をもたらす。
【0061】
図3は、このような対称的な電極を備えたこのような集積位相変調器を示す。基板21においては、導波路22が埋込まれ、共面電極対23が導波路22に電界を与えるように配置される。電極対23の一方の電極は信号発生器26から入力ストリップ24によって給電され、他方の電極は出力ストリップ25によって終端抵抗器配列27に接続される。
【0062】
この方式の欠点は、変調器電極が、インピーダンス、損失、有効なマイクロ波指数などの線特徴には依存しないがその静電容量には依存する周波数応答を有するひとかたまりの電極として記載され得る点である。このような電極は、電気光学変調応答に低域通過フィルタ特徴を与え、結果として、高周波数(たとえばGHz範囲)で機能させるのに適さないものとなる。この効果は、電極長を短くすることによって限られた程度にまで抑制することができるであろうが、必要な半波電圧Vπを上昇させることになるだろう。
【0063】
図4aおよび
図4bは、これらの不利点を克服し、帯域通過応答を呈する変調器を示す。変調器は、複屈折の電気光学結晶からなる基板1を含む。使用可能な材料は、たとえば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)またはタンタル酸リチウム(LiTaO3)などの強誘電体結晶である。結晶方位は、異常屈折率n
eの主軸Zが光の伝搬方向に対して90°で位置合わせされるように選択される。この条件であれば、これらの波の間に広帯域源のコヒーレンス長よりも長い光遅延を導入するために、かつ、たとえば寄生的な光リターンロスからの如何なるスプリアス干渉をも防ぐために、入射光は、常に、光が一偏光状態であれば異常屈折率n
eに、そして光が90°の偏光状態であれば通常屈折率n
oにされるだろう。
【0064】
方位配列は、Xカット構成においてはLiNbO3の基板であり、Y軸は光の伝搬方向に対して平行であり、X軸は基板の表面に対して直交し、異常光学軸Zは、表面に対して平行であり光の伝搬方向に対して直交している。この構成は、「Xカット、Y伝搬およびZ横軸」と略される。
【0065】
結晶の表面においては、直線的な導波路2が基板1において拡散される。これは、ニオブ酸リチウムの場合にはチタンの拡散によって得ることができるが、但し、導波路を準備するにはさまざまな金属を用いることができる。
【0066】
したがって、基板は、まず、偏光の両方の状態をサポートする上述の光導波路2と、導波路2に対して平行な電極線3の区域11および12であるコプレーナストリップとを含む。Xカット結晶は、線区域11および12を導波路2の両側に配置することを可能にする。電極として作用する区域11と区域12との間の隙間は、金属層による誘導光学場の如何なる減衰をも回避するために、導波路幅よりもわずかに大きい。この方式であれば、金属電極は、Zカット、Y伝搬、X横軸の構成(「Zカット」構成と略される)の場合に必要となり得る如何なる誘電性緩衝層もなしに、基板表面に直接堆積させることができる。
【0067】
電極は2本の電極線3、第1の分岐3aおよび第2の分岐3bを含む。これらの分岐はともに、入力ストリップ4から始まり、出力ストリップ5で終端する(ともにマイクロストリップ型である)が、導波路2に沿って互いに逆方向に延在する。分岐の各々は、一方端が入力ストリップ4に接続され導波路2に沿って延びる第1の線区域11を含む。他方の端部においては、第1の線区域11は、線端部の短絡によって、第2の線区域12に接続される。第2の線区域12は導波路2に沿って戻り、出力ストリップ5に接続されている。入力ストリップ4は、信号発生器6に電気的に接続され、当該信号発生器6によって給電され、出力ストリップ5は、電極の特性インピーダンスに整合させることのできるインピーダンスを有する抵抗器7などの終端要素に電気的に接続される。入力ストリップ4および出力ストリップ5は、電極の長さに沿って中間点16に位置し、好ましくは対称的な形状にされ、各々がT−カプラ8によって、第1の線区域11の始端および第2の線区域12の終端にそれぞれ取付けられる。
【0068】
「電極の長さ」または「電極長」という語が、全体として導波路2に沿った電極の延在部を示すのに用いられるのに対して、分岐3aおよび3bの各々が、蛇行した分岐に沿って測定される長さを有していることに留意されたい。各分岐がそれ自体に沿ってちょうど1回だけ折り返して戻ってくるこの対称的な実施形態においては、電極の長さは分岐3a、3bの各々の長さと同じである。第2の線区域12の長さと等しい第1の線区域11の長さは「分岐の延在部」と称することとする(なぜなら、これは、分岐がそれ自体を折り返して戻ってくる前に一方向に延在する長さであるからである)。
【0069】
電極線3上の電気信号は線の付近に電界を発生させる。導波路2のうち、導波路2に沿って通過する光がこの電界によって影響を受けている区域は、変調領域17と称することとする。その長さは、本質的には、導波路2に沿った電極の長さであり、言いかえれば、第1の分岐および第2の分岐の延在部の合計である。各々の分岐3のために、2つの区域11および12の電界が重ね合わされ、結果として重ね合わされた電界または全体の電界が変調領域17に影響を及ぼすこととなる。第1の分岐3aは、第1のサブ領域17aにおける光に影響を及ぼし、第2の分岐3bは、変調領域17の第2のサブ領域17bにおける光に影響を及ぼす。本願において示される実施形態においては、電極長は本質的には変調領域17の長さと等しく、各々の分岐3aおよび3bの延在部は対応するサブ領域17aおよび17bの長さと等しい。
【0070】
図4bはXZ面に沿った断面を示す。既に記載した要素に加えて、この図は、電極線を担持し粗面を有する面とは反対側にある底面15を概略的に示す。粗面は、電気信号が電極線3に加えられたときに生じる可能性のある音響共振をなくすかまたは少なくとも抑制する。
【0071】
電極3のこの設計により、高周波数での帯域通過変調が可能となる。入力ストリップ4はT−カプラ8への信号を担持する。T−カプラ8は、入来する電気マイクロ波信号を、電極線3の2つの出力分岐3aおよび3bに至る2つのバランスのとれた部分へと分割する。これらの2つの分岐3a、3bは、入来するマイクロ波を、第1の分岐3aのために前方に、そして第2の分岐3bのために後方に伝搬させる。分岐3aおよび3bは各々、第一近似(first approximation)においては、マイクロ波が所与の有効なマイクロ波指数および所与の特性インピーダンスで伝搬するマイクロストリップ線として見なすことができる。誘導されたマイクロ波は、送出側の各第1の線区域11の端部における短絡に到達すると、電極の各分岐3a、3bにおける第2の線区域12に沿って、互いに逆方向に伝搬して、第1の分岐3aの場合には後方に進み、第2の分岐3bの場合には前方に進む。
【0072】
低周波数では、マイクロ波の波長が電極長と比べて長く、電圧電位が前方および後方に(第2の分岐の場合にはそれぞれ後方および前方に)沿った伝搬中には変化しないことが分かるだろう。このため、電位の差は変化しないままであり、ほぼゼロに等しくなる。したがって、電気光学変調は光導波路において伝搬する光には適用されない。
【0073】
変調信号の周波数が高くなると、各電極分岐の長さはマイクロ波信号の波長と比べて無視できるものではなくなる。少なくとも1つの周波数のために、各分岐3a、3bにおいて、第1の線区域11に沿って伝搬する電界と、第2の線区域12に沿って伝搬する(短絡によって反射される)電界とは位相が逆の状態である。この状況においては、線区域間の電圧の差が最大限にされる。この状況は、電気波長L
1が分岐の延在部の2倍に等しくなったときに発生する。言いかえれば、L
1は、中間点16から、分岐がそれ自体を折り返して戻ってくる短絡箇所までの距離の2倍に等しい。2つの分岐3a、3bのこの対称的な構成においては、これはまた、L
1が電極の長さに等しいことを意味する。この状況は、L
1の整数分だけ、すなわち、L
1/2、L
1/3、L
1/4などの分だけ繰り返される。L
1およびその整数分付近の波長に関しては、電圧の差が正弦関数に従って徐々に小さくなる。
【0074】
図5は、電気光学位相変調Δφ(f)の振幅の周波数応答を概略的に示す。変調器において伝搬する光波に適用される位相変調の振幅は、
【0076】
に比例する。
この場合、lは電極長であり、ここでは変調領域17の長さに等しく、β
mは他の変数に応じた係数である。
【0077】
第1の最大値(1st maximum)の位置を推定することができる。
【0079】
cは光の速度であり、n
mは電極線3のマイクロ波(屈折)率、すなわち、光の速度に対する電波速度の比である。
【0080】
最後に、各電極線3の各分岐3aおよび3bにおいて伝搬する波は、出力T−カプラ上で出力ストリップ5に再結合する。線の特性インピーダンスに整合させた終端抵抗器7は、電源6に対する電気的なリターンロスを最小限にするために信号を吸収することができる。
【0081】
具体的な実施形態においては、変調器は以下の特徴を含む:
・ 複屈折ニオブ酸リチウム基板
・ サイズ:長さ25mm、厚さ0.5mm、幅2mm
・ 構成:Xカット、Y伝搬、Z横軸(「Xカット構成」と略される)
・ 波長800nm
・ 普及した技術におけるチタン
・ 800nmでの光導波路単一モード
・ 共面のCr−Au薄膜電極
・ 電極のリング構成
・ 電極ギャップ12μm
・ リングの一分岐の長さは線におけるマイクロ波の実効波長と等しく(例:2GHzの中心周波数の場合には20mm)、分岐の延在部の2倍に等しい。
【0082】
・ 単一の入力マイクロストリップおよび単一の出力マイクロストリップ
・ 圧電音響共振を防ぐための背面の高粗度
・ ケースハウジングによって引き起こされるマイクロ波共振の形成を防ぐために、チップの表面にまたは表面上に配置されたマイクロ波吸収体。
【0083】
図6aおよび
図6bは、
図4aおよび
図4bと本質的に同じ特徴を有する別の実施形態の斜視図および断面図を示しているが、電気的に接地された接地面18は、電極と共面であり、本質的に電極によって覆われない位置で基板1を覆っている。この接地面18は、伝搬特性、特に、電極線3に沿ったマイクロ波信号の速度、を変えることを可能にする。
【0084】
図7aおよび
図7bは、
図4aおよび
図4bと本質的に同じ特徴を有する別の実施形態の斜視図および断面図を示すが、以下の点を除く。
【0085】
・ 構成:Zカット、Y伝搬、X横軸(「Zカット構成」と略される)
・ 電極分岐のS字形構成
・ 上述のように、各々の分岐の延在部の2倍は、印加されるマイクロ波の実効波長と等しいが、分岐がそれ自体を2回折り返しているので、分岐の長さは分岐の延在部の3倍と等しくなる。
【0086】
・ 単一の入力マイクロストリップおよびデュアル末端線出力マイクロストリップ。
より詳細には、この実施形態においては、平面電極線3は2つの分岐3aおよび3bを含み、各々の分岐は、入力ストリップ4のT−カプラ8を始端として、
・ 導波路2に沿って平行に、かつ、導波路2の第1の側において、最初の方向に延びる第1の線区域11と、
・ 導波路2に沿って平行に、かつ、導波路2の上方において、最初の方向とは逆の方向に延びる第2の線区域12と、
・ 導波路2に沿って平行に、かつ導波路2を挟んで第1の側とは反対側にある導波路2の第2の側において、最初の方向に延びる第3の線区域13と、
・ 終端抵抗に接続されるべき出力ストリップ14とを備える。
【0087】
図8および
図9は、分岐3a、3bが、従来の実施形態の鏡面対称ではなく、中間点16に対して点対称または回転対称を有するZカット構成における変調器のさらなる実施形態を示す。
図8においては、2つの分岐は
図9における共通の入力ストリップ4によって給電される。各分岐は別個の入力ストリップ4、4′を有する。入力ストリップおよび出力ストリップの役割は逆にすることができる。第1の分岐と第2の分岐との間の中間点16における隙間は、分岐同士を互いからY方向に間隔を空けた状態で、図示されるよりも大きくすることができる。
【0088】
Zカット構成についての対称的な実施形態においては、
図7a、
図7b、
図8および
図9におけるように、各々の分岐3a、3bは、それ自体に沿ってちょうど2回折り返しており、分岐3a、3bの各々の長さ(すなわち、第1の線区域11、第2の線区域12および第3の線区域13の長さの合計)は、それぞれの分岐の延在部の3倍である。電極線3に加えられるマイクロ波信号の波長は、好ましくは、分岐の延在部の2倍である。代替的には、マイクロ波信号の波長の整数倍は分岐の延在部の2倍に等しい。
【0089】
さらなる非対称的な実施形態においては、第1の分岐3aおよび第2の分岐3bは対称的ではなく、異なる幾何学的形状、たとえば異なる断面を有する。結果として、これらは異なるマイクロ波屈折率を有する。なぜなら、マイクロ波の伝搬速度は、特に幾何学的形状に依存するからである。これにより、さらには、異なる形状の分岐におけるマイクロ波信号の波長が異なるものとなる。ここでは、先の実施形態については、「マイクロ波信号の波長」が実効波長、すなわちそれぞれの伝導線に現れた場合の信号の波長、を示すことに留意されたい。分岐を構成するマイクロストリップの幅を広げることにより、分岐に沿って移動するマイクロ波の速度が低下することとなる。マイクロ波信号を出力テーパに同時に到達させるために、かつ導波路2において同じ変調をもたらすために、その分岐における信号の速度で割った分岐の延在部は両方の分岐に対して同じでなければならない。
【0090】
結果として、これらのさらなる実施形態においては、分岐の延在部は異なる波長に適合される。このため、たとえば分岐を狭くすることによってマイクロ波信号がより高速で移動している分岐は、信号が分岐の長さに沿って移動するのにかかる時間を同じままに維持するために、より長くされる。2つの分岐は幾何学的に対称的ではないが、導波路2を通過する光に対する電気光学変調効果は対称的であり、光が導波路2を通過する方向にかかわらず同じである。このような幾何学的に非対称的な電極分岐についての例を以下の2つの図に示す。
【0091】
図10は、第1の分岐3aが第2の分岐3bよりも細い伝導ストリップを含んでいるXカット構成を示す。これに対応して、第1の分岐3aの延在部、第1のサブ領域17aは第2の分岐3bの延在部よりも長い。(上述のすべての実施形態に関しても)以下の関係が適用される。
【0092】
・ 両方の分岐においては、マイクロ波信号の波長(またはその整数倍)は、分岐の延在部の2倍である。
【0093】
・ 電極長は、2つの分岐3a、3bの異なる延在部の合計である。
これらの関係は、第1の分岐3aが第2の分岐3bよりも厚い伝導ストリップを備えているZカット構成を示す
図11にも適用される。
【0094】
これらの関係は、分岐を囲む材料の誘電特性を変えることによって、または、接地面18などの電極線3に沿ったマイクロ波伝搬に影響を及ぼすさらなる要素によってマイクロ波信号速度が変更される構成(図示せず)にも適用される。信号速度のこのような変更は、対称的に配置された要素(すなわち、両方の分岐上の対応する対称的な要素)によって、または、2つの分岐上に異なる要素を備えることによって、もたらされてもよいが、信号伝搬に対して同じ効果が及ぼされる。
【0095】
上記に示される集積変調器のうちの1つを利用する距離測定装置は、好ましくは、
図1の距離測定装置と同様の構造を有し、
図1の距離測定装置と同様に動作させられるが、バルク電気光学結晶103は、集積変調器のうちの1つと置換えられてもよい。信号源108は、信号を発生させるように、好ましくは、変調器の各分岐3a、3bにおける波長(またはその整数倍)がそれぞれの分岐3a、3bの延在部の2倍となるGHz範囲のマイクロ波信号を発生させるように構成される。
【0096】
一実施形態においては、マイクロ波信号の中心周波数は、たとえば、2GHz〜3GHzの範囲内である。変調帯域幅は、たとえば、数100MHzの範囲内にある。これは、距離測定に適用するのに十分に適している。
【0097】
本発明の現在好ましい実施形態において本発明を記載してきたが、本発明がこれらに限定されず、添付の特許請求の範囲内でさまざまに具体化および実施され得ることが明確に理解される。たとえば、これまでに示された実施形態は入力ストリップに接続された単一の源および出力に接続された終端抵抗を用いるのに対して、代替的な実施形態は、一般化されたインピーダンスまたは出力に接続された第2の源を有し得る。