特許第6297029号(P6297029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297029多様な官能基を有する粒子による免疫グロブリンG調製物のクロマトグラフィー精製
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297029
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】多様な官能基を有する粒子による免疫グロブリンG調製物のクロマトグラフィー精製
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20180312BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20180312BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20180312BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20180312BHJP
   C07K 1/18 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   C07K16/18
   G01N30/88 J
   G01N30/88 201G
   G01N30/88 201Y
   G01N30/26 A
   G01N30/02 B
   C07K1/18
【請求項の数】79
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2015-514962(P2015-514962)
(86)(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公表番号】特表2015-519360(P2015-519360A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】SG2013000031
(87)【国際公開番号】WO2013180647
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】61/653,913
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504354117
【氏名又は名称】エイジェンシー・フォー・サイエンス,テクノロジー・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ガグノン ピーター スタンレー
【審査官】 松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/015912(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/013930(WO,A1)
【文献】 特開平06−066793(JP,A)
【文献】 Sven Sommerfeld et al.,Challenges in biotechnology production-generic processes and process optimization for monoclonal antibodies,Chemical Engineering and Processing,2005年,vol.44,pages 1123-1137
【文献】 Nihal Tugcu,Maximizing Productivity of Chromatography Steps for Purification of Monoclonal Antibodies,Biotechnology and Bioengineering,2008年 2月15日,vol.99, No.3,pages 599-613
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
G01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のタンパク質を含むサンプルを精製する方法であって、(i)正に帯電した多孔性粒子を含む充填されたクロマトグラフィーカラムを提供する工程、(ii)平衡化緩衝液を用いて、該サンプル中の該所望のタンパク質が溶出する条件であって、4〜9の範囲のpH及び0.1mS/cm〜30mS/cmの範囲の伝導率を含む条件に該カラムを平衡化させる工程、(iii)該カラムに適用されるサンプルの体積が、該カラムの空隙容量以下の体積からなるように、該サンプルを該カラムと接触させる工程、及び(iv)該カラムから該所望のタンパク質を溶出する工程を含み、ここで、該所望のタンパク質は、より純粋な状態かつ該カラムが平衡化された条件になっており;該所望のタンパク質は、IgG抗体、IgG抗体フラグメント、IgG抗体誘導体またはIgG抗体融合タンパク質である、方法。
【請求項2】
前記所望のタンパク質が、IgG抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記所望のタンパク質が、IgG抗体の電荷特性と類似の電荷特性を有する、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ミニボディ、ダイアボディ、VHHドメイン、Fc融合タンパク質またはIgG誘導体からなる群より選択される形態のIgG抗体に由来する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルが、精製されていなくてもよいし、中レベルの純度であってもよいし、高度に精製されていてもよい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の99%未満の体積からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の95%未満の体積からなる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の90%未満の体積からなる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の80%未満の体積からなる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の70%未満の体積からなる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の10%未満の体積からなる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該カラムに適用される前記サンプルの体積が、前記カラムの空隙容量の5%未満の体積からなる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記カラムが、正に帯電した多孔性粒子だけで充填されており、該カラムに適用される前記サンプルの体積が、該充填されたカラムの空隙容量の40%未満の体積からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
該サンプル中の該所望のタンパク質が溶出する前記条件が、(1)約6.5〜約8.5、(2)約6.5〜約7.5および(3)約7.5〜約8.5からなる群より選択される範囲内のpHを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
該サンプル中の該所望のタンパク質が溶出する前記条件が、約0.1〜約15mS/cmの伝導率値を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプル条件が、およそ2のpH〜およそ10のpHの範囲であり得る、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルの伝導率値が、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲であり得る、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
該サンプル中の該所望のタンパク質が溶出する前記条件が、およそ4のpH〜およそ9のpHの範囲を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記平衡化緩衝液の伝導率値が、およそ0.1mS/cm〜およそ30mS/cmの範囲であり得る、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記正に帯電した多孔性粒子が、陰イオン交換粒子である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記陰イオン交換粒子が電気陽性度を有し、前記電気陽性度の少なくとも一部が、トリス(2−アミノエチル)アミン、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジエチレンアミノエチル、エチレンジアミノ、第1級アミノ部分、第2級アミノ部分、第3級アミノ部分および第4級アミノ部分からなる群より選択される部分によって提供されている、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記カラムが、前記電気陽性多孔性粒子のほかに粒子を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記電気陽性多孔性粒子および前記さらなる粒子の少なくとも1つが、陽イオン交換、疎水性相互作用、水素結合、pi−pi相互作用および金属キレート化からなる群より選択される1つ以上の第2の化学的官能基を有する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、該サンプルを凝集物解離剤と接触させるさらなる工程を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記凝集物解離剤が、有機カチオンである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記有機カチオンが、エタクリジン、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン、アクリザン(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリシド、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニル(1−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム塩化物および3,6−アクリジンジアミン)、アルギニンおよびクロルヘキシジンからなる群より選択される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記有機カチオンが、エタクリジン、クロルヘキシジン、アルギニンまたはそれらの塩である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記有機カチオンが、エタクリジンまたはその塩である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記有機カチオンが、およそ0.01%〜およそ0.05%の量で存在する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記有機カチオンが、およそ0.01%未満の量で存在する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記有機カチオンが、およそ0.005%未満の量で存在する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記有機カチオンが、およそ0.001%未満の量で存在する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記有機カチオンが、およそ0.020〜およそ0.025%の量で存在する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプルが、前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、エタクリジン、アルギニンおよびクロルヘキシジンならびにそれらの塩からなる群からの2種以上の有機カチオンで処理される、請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に該サンプルを処理するために使用される前記有機カチオンが、1%未満の濃度で提供される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に該サンプルを処理するために使用される前記有機カチオンが、およそ0.01%〜およそ0.05%の濃度で提供される、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に該サンプルを処理するために使用される前記有機カチオンが、およそ0.01%未満の濃度で提供される、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に該サンプルを処理するために使用される前記有機カチオンが、およそ0.005%未満の濃度で提供される、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に該サンプルを処理するために使用される前記有機カチオンが、およそ0.001%未満の濃度で提供される、請求項33記載の方法。
【請求項39】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に該サンプルを処理するために使用される前記有機カチオンが、およそ0.020〜およそ0.025%の濃度で提供される、請求項33記載の方法。
【請求項40】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性物質およびアラントインからなる群より選択される可溶性有機調節物質と該サンプルをさらに接触させる、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性物質およびアラントインからなる群より選択される可溶性有機調節物質と該サンプルを接触させ、かつ前記サンプルを前記有機カチオンと接触させる工程の前に、該サンプルを前記有機調節物質と接触させる工程を行う、請求項24〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性物質およびアラントインからなる群より選択される可溶性有機調節物質と該サンプルを接触させ、かつ前記サンプルを前記有機調節物質と接触させる工程を、該サンプルを前記有機カチオンと接触させる工程と実質的に同時に行う、請求項24〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性物質およびアラントインからなる群より選択される可溶性有機調節物質と該サンプルを接触させ、かつ前記サンプルを前記有機調節物質と接触させる工程を、該サンプルを前記有機カチオンと接触させる工程の後に行う、請求項24〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記有機調節物質が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールからなる群より選択される非イオン性有機ポリマーである、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記非イオン性有機ポリマーが、およそ500D以下の平均分子量を有する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記有機調節物質が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、イソプロパノールおよびフェノキシエタノールからなる群より選択される有機溶媒である、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記有機調節物質が、およそ1%(w/v)以上の濃度で提供される、請求項40〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記有機調節物質が、Tween、triton、CHAPS、CHAPSOおよびオクチルグルコシドからなる群より選択される界面活性物質である、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記界面活性物質が、およそ1%(w/v)以下の濃度で提供される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記界面活性物質が、およそ0.1%(w/v)以下の濃度で提供される、請求項48記載の方法。
【請求項51】
前記有機調節物質が、飽和量未満の量で提供されるアラントインである、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、該サンプルを抗ウイルス剤とさらに接触させる、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記抗ウイルス剤が、少なくとも1価の正電荷を有する非多価有機カチオンである、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記抗ウイルス剤が、正電荷を欠く、請求項52記載の方法。
【請求項55】
前記抗ウイルス剤が、およそ1%(w/v)未満の量で存在する、請求項52〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記抗ウイルス剤が、およそ0.1%(w/v)未満の量で存在する、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記抗ウイルス剤が、およそ0.01%(w/v)未満の量で存在する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記抗ウイルス剤が、およそ0.001%(w/v)未満の量で存在する、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、アラントインが該サンプル中で過飽和されるのに十分な量で該サンプルを該アラントインと接触させる工程および該サンプルの固体部分または非溶解部分から所望のタンパク質を含む上清を分離する工程というさらなる工程を含む、請求項1〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、アラントインが該サンプル中で過飽和されるのに十分な量で該サンプルを該アラントインと接触させる工程および該サンプルの固体部分または非溶解部分から所望のタンパク質を含む上清を分離する工程というさらなる工程を含み、前記サンプルを前記有機カチオンと接触させる工程の前に、該サンプルを前記アラントインと接触させる工程を行う、請求項24〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、アラントインが該サンプル中で過飽和されるのに十分な量で該サンプルを該アラントインと接触させる工程および該サンプルの固体部分または非溶解部分から所望のタンパク質を含む上清を分離する工程というさらなる工程を含み、前記サンプルを前記アラントインと接触させる工程を、該サンプルを前記有機カチオンと接触させる工程と実質的に同時に行う、請求項24〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、アラントインが該サンプル中で過飽和されるのに十分な量で該サンプルを該アラントインと接触させる工程および該サンプルの固体部分または非溶解部分から所望のタンパク質を含む上清を分離する工程というさらなる工程を含み、前記サンプルを前記アラントインと接触させる工程を、混合性の化学的特性の可溶性有機カチオンと該サンプルを接触させる工程の後に行う、請求項24〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記アラントインが、0.5%(w/v)を超える量で存在する、請求項59〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記アラントインが、およそ1%(w/v)を超える量で存在する、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、不溶性固体を除去するさらなる工程を含む、請求項1〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
不溶性固体を除去する前記工程が、有機調節物質、抗ウイルス剤または過飽和アラントインと前記サンプルを接触させる1つ以上の工程の後に行われる、請求項65記載の方法。
【請求項67】
有機調節物質、抗ウイルス剤または過飽和アラントインと前記サンプルを接触させる1つ以上の工程の後に、該サンプルに加えられた前記有機調節物質、抗ウイルス剤およびアラントインのうちの少なくともいくつかを吸着することができる化学部分を有する固体材料と該サンプルを接触させる、請求項52〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記固体材料が、前記サンプルに加えられた後に該サンプルから分離される粒子から構成される、請求項67記載の方法。
【請求項69】
前記固体材料が、前記サンプルが通過する、膜、モノリス、または粒子で充填されたカラムから構成される、請求項67記載の方法。
【請求項70】
前記固体材料上の化学部分が、陽イオン交換、陰イオン交換、疎水性相互作用、水素結合、pi−pi相互作用または金属キレート化のための能力を有する基のうちの1つ以上を含み得る、請求項67〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記サンプルに加えられた前記有機調節物質、抗ウイルス剤およびアラントインのうちの少なくともいくつかを吸着することができる化学部分を有する前記固体材料と該サンプルを接触させる工程の後、かつ該サンプルを前記カラムと接触させる工程の前に、該サンプルから不溶性固体を分離するかまたは除去するさらなる工程を含む、請求項67〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記サンプルが、凝集物を含み、所望のタンパク質のより純粋な状態が、該サンプルと比較して少ない凝集物含有量を有する、請求項1〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記凝集物が、所望のタンパク質のホモ凝集物を含む、請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記サンプル中の所望のタンパク質のホモ凝集物の存在が、実質的に排除される、請求項73記載の方法。
【請求項75】
前記凝集物が、所望のタンパク質および夾雑物のヘテロ凝集物を含む、請求項72記載の方法。
【請求項76】
前記ヘテロ凝集物が、所望のタンパク質と実質的に同じ流体力学的サイズである、請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記夾雑物が、核酸、ヌクレオチド、エンドトキシン、金属イオン、タンパク質、脂質または細胞培養液成分である、請求項75記載の方法。
【請求項78】
所望のタンパク質および夾雑物のヘテロ凝集物の存在が、実質的に排除される、請求項75〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記サンプルが、1つ以上の夾雑物を含み、所望のタンパク質のより純粋な状態は、該サンプルと比較して少ないそのような夾雑物含有量を有する、請求項1〜78のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を精製するための方法、より詳細には、抗体およびフラグメント、フラグメント構築物ならびに抗体に由来するFc融合タンパク質の精製に関する。本発明はさらに、抗体およびフラグメントのサンプルならびにウイルス、DNAおよびエンドトキシンから抗体凝集物(ホモ凝集物)および抗体−夾雑物複合体(ヘテロ凝集物)のレベルを低下させるための方法に関する。本発明はさらに、これらの能力と、所望のレベルの最終精製を達成する他の精製方法との統合に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電表面を有する固体材料は、一般にタンパク質精製の分野において、および特に抗体精製のために、広く使用されている。これらの材料には、通常、いわゆるイオン交換体が含まれ、それらは、通常、2つの適用形式のうちのいずれかで使用される。結合−溶出(bind−elute)モードでは、サンプルおよびイオン交換体を、抗体が結合できる条件に平衡化する。荷電表面と弱くしかまたは全く相互作用しない夾雑物は、結合せず、排除される。抗体よりも強く相互作用する夾雑物は、より強く結合する。洗浄して未結合の夾雑物を除去した後、塩濃度を上げることによって、カラムは溶出され得る。これにより、結合した種をイオン交換体との相互作用の強度の弱い順で分画することが可能になり、それにより、高度の抗体精製が達成される。フロースルー(flow−through)モードでは、サンプルとイオン交換体の両方を、抗体の結合を妨げる条件に平衡化する。抗体よりも強くイオン交換体と相互作用する種は、結合されることにより除去されるが、抗体よりも弱く結合する種は、抗体とともに貫流し、夾雑物として残る。ヒト、ヒト化またはキメラIgGモノクローナル抗体では、ほとんどの結合−溶出法は、陽イオン交換体(負に帯電した表面)において行われる。ほとんどのフロースルー法は、陰イオン交換体(正に帯電した表面)において行われる。両方のモードが、カラムに充填されるかもしくは大量の水性サンプルに直接加えられる多孔性粒子もしくは非多孔性粒子またはモノリスもしくは膜を含む種々の固相構造として提供される荷電表面において行われる。これらの異なる構造は、異なる流動特性、能力および分解能をもたらすが、フロースルークロマトグラフィーまたは結合−溶出クロマトグラフィーの典型的な化学特性は、物理フォーマットに関係なく、不変である。両方の方法が、サンプルをカラムに導入する前の条件と同じ条件にイオン交換体およびサンプルを平衡化することに依存する。
【0003】
約100〜約300kDaのサイズカットオフを有する限外濾過膜の表面上に正電荷が生成された、高性能タンジェンシャルフロー濾過(High Performance Tangential Flow Filtration)(HPTFF)と呼ばれる方法が、記載されている(非特許文献1;特許文献1(van Reis);非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。粗IgGモノクローナル抗体のサンプルを、狭い範囲のpHおよび伝導率の中に導入すると、IgGは、膜表面からはじかれ、ゆえに、孔の通過を妨げられる。夾雑物種の大部分は、表面に結合するかまたは対流質量輸送(convective mass transport)によって孔を通過し、それにより、排除される。この方法では、抗体の濃縮も可能であるが、そのような濃縮は、抗体を膜に適用する前に抗体を操作条件に平衡化することに依存する。それらの操作条件は、一般に、弱アルカリ性から中性付近のpHおよび低伝導率からなる。過剰な伝導率は、静電相互作用を阻止することがあり、膜の孔の通過によるIgGの損失を招くことがある。膜に結合する酸性夾雑物は、膜の電荷を中和するので、この方法の能力は、その酸性夾雑物の比率によって制限され得る。これにより、抗体斥力が弱わり得るかまたは保留され得、夾雑物とともに孔を通過することによって抗体を損失させ得る。したがって、従来のイオン交換体における結合−溶出法およびフロースルー法と同様に、HPTFFも、サンプルの平衡化およびその手法を行う前の操作条件に依存する。現在、HPTFFは、膜での応用法において単独で使用されている。その流体リサイクルアプローチは、それをモノリスまたは充填された粒子のカラムに適用させることができない可能性がある。
【0004】
別の方法は、化学的官能基の組み合わせを有する混合モードのクロマトグラフィー媒体を使用する(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。これらの媒体材料のいくつかは、正電荷を含み、イオン交換体と同じフォーマット、すなわち、結合−溶出モードおよびフロースルーモードであるが、第2の官能基の性質に応じて異なる化学的条件下で適用される。なおも別の方法は、物理的機能を化学的機能と組み合わせる方法である。そのような例の1つは、可変のサイズ排除機能を、多孔性粒子陰イオン交換材料とともに使用する(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。その方法は、タンパク質の電荷ならびに緩衝液の条件への依存も示しつつ、通常、サイズ依存的様式での粒子孔へのタンパク質の進入を含む。その方法は、IgGタイプ抗体に結合し、溶出するために使用されているが、精製においてまたは抗体凝集物の減少のためには使用されていない。
【0005】
正に帯電した可溶性ポリマー(ポリアリルアミン、ポリアルギニン)およびある特定の二価の陽イオン(エタクリジン、金属イオン)は、抗体調製物から負に帯電した夾雑物を共沈させるために使用されている(非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;特許文献2(Farhner et al.);非特許文献14;非特許文献17;非特許文献18;特許文献3(Bernhardt);非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23)。これらの方法は、正に帯電した粒子に対する液相類似物と考えることができる。そのような方法は、一般にバッチモードと称される代替の物理フォーマットで行われ得、そこで、それらのポリマーは、慎重に制御された狭い範囲内のpHおよび伝導率の条件の抗体調製物に直接加えられる。そのような変法は、細胞培養上清、ならびにDNA、エンドトキシンおよびウイルスから酸性の宿主タンパク質を選択的に沈殿させる際に使用されている。
【0006】
指摘されている別の問題は、非天然のヘテロ凝集物が、宿主細胞由来の夾雑物とインビトロ細胞培養法によって産生された組換えタンパク質との間で自発的に形成し得ることである(非特許文献24;非特許文献25;非特許文献26;非特許文献27;非特許文献28)。これらのヘテロ凝集物は、2つの観点において非天然であると考えられ得る:1)構成する夾雑物は、しばしば非ヒト起源であり、生存している非ヒト宿主細胞によって分泌されるか、または非ヒト宿主細胞は、死滅して溶解すると培養液中に放出される。生存中のヒトでは、そのような非ヒト夾雑物は、存在しない;および2)構成する夾雑物は、死細胞の構成成分は迅速に排除されるインビボ系におけるヒトと比較して、高濃度に蓄積する。したがって、組換え産物は、生体系には通常存在しない濃度において、強く相互作用する高レベルの夾雑物に曝露される。一方、高発現レベルの組換えタンパク質は、それらをこれらの非ヒト夾雑物との非特異的な会合にとって好適な基質にして、多様な組成の望ましくないヘテロ凝集物の形成を支持する。
【0007】
ヘテロ凝集物の夾雑タンパク質の含有率は、夾雑タンパク質を直接標的化することによって(非特許文献24および非特許文献27)、ならびに夾雑タンパク質に関わる対応するDNA成分を標的化することによって間接的に(非特許文献25および非特許文献28)、ある程度対処されている。いくつかの複合体が解離されると、抗体凝集物レベルの低下が示された(非特許文献24、非特許文献26および非特許文献28)。陰イオン交換体が抗体−夾雑物複合体のレベルを低下させる能力は、開示されている(非特許文献25および非特許文献27)が、ヘテロ凝集物を完全に排除できた陰イオン交換処理を明らかにした研究は存在しない。サイズ排除、陽イオン交換および疎水性相互作用クロマトグラフィーのすべてが、概して陰イオン交換より劣っていた(非特許文献27)。
【0008】
ヘテロ凝集物を解離させると予想され得る作用物質で抗体調製物を処理することは、一般に効果がないと証明されている。例えば、高濃度の尿素、塩またはそれらの2つの組み合わせを使用しても、IgM−夾雑物ヘテロ凝集物は実質的に解離しない(非特許文献27)。溶出前に尿素、アルコールおよび界面活性物質で洗浄するプロテインAアフィニティークロマトグラフィーは、洗浄無しよりも効果的にヘテロ凝集物レベルを低下させ(非特許文献24)、プロテインGアフィニティークロマトグラフィーと尿素、塩およびEDTAを組み合わせる溶出前の洗浄と同程度(非特許文献26)と示唆されている。溶出前に尿素で洗浄する陰イオン交換クロマトグラフィーは、尿素洗浄を行わない場合よりも効果的にヘテロ凝集物を減少させると示唆されている(非特許文献26)。陽イオン交換クロマトグラフィーは、溶出前にEDTAで洗浄すると、洗浄無しよりも効果的にヘテロ凝集物を減少させるとも示唆されている(非特許文献26)。最後に、溶出前に尿素および/または塩で洗浄するヒドロキシアパタイトも、そのような洗浄無しよりも効果的にヘテロ凝集物を減少させた(非特許文献28)。これらの知見にもかかわらず、概して、クロマトグラフィーカラムに結合した抗体の溶出前の洗浄において解離剤を使用しても、中程度にしか成功しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,001,550号明細書
【特許文献2】米国特許出願第20080193981号明細書
【特許文献3】米国特許第5,559,250号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】van Reis et al,J.Membr.Sci.(2007)297:16−et seq.
【非特許文献2】van Reis et al,J.Membr.Sci.(1999)159:133−et seq.
【非特許文献3】Bolton et al,Adv.Filtr.Sep.Technol.(1999)13A:537−et seq.
【非特許文献4】Burns et al,J.Membr.Sci.(1999)64:27−et seq.
【非特許文献5】Mehta et al,CEP(2008)104(5):S14−et seq.
【非特許文献6】Eriksson et al,Bioprocess.Intl.(2009)7:52−et seq.
【非特許文献7】Bresolin et al,J.Chromatogr.B(2010)878:2087−et seq.
【非特許文献8】de Souza et al,J.Chromatogr.B(2010)878:557−et seq.
【非特許文献9】Hunter et al,J.Chromatogr.A(2000)897:65−et seq.
【非特許文献10】Hunter et al,J.Chromatogr.A(2000)897:87−et seq.
【非特許文献11】Hunter et al,J.Chromatogr.A(2001)930:79−et seq.
【非特許文献12】Hunter et al,J.Chromatogr.A(2002)971:105−et seq.
【非特許文献13】Thommes et al,in:U.Gottschalk(ed.),Process Scale Purification of Antibodies,J.Wiley and Sons,Hoboken,(2009)293−et seq.
【非特許文献14】Ma et al.,J.Chromatogr.B(2010)878:798−et seq.
【非特許文献15】Peram et al,Biotechnol.Progr.,(2010)26:1322−et seq.
【非特許文献16】Glynn,,in U.Gottschalk(ed.),Process Scale Purification of Antibodies,J.T.Wiley and Sons,Hoboken,(2009)309−et seq.
【非特許文献17】Cordes et al,Biotechnol.Progr.,(1990)6:283−et seq.
【非特許文献18】Dissing,et al,Bioseparation,(1999),7:221−et seq.
【非特許文献19】Akcasu et al,Nature,(1960)187:323−et seq.
【非特許文献20】Matsuzawa,et al,Nucl.Acids Res.,(2003)3(3):163−et seq.
【非特許文献21】Christensen et al.,Prot.Expr.Purifi,(2004)37:468−et seq.
【非特許文献22】Kejnovsky et al,Nucl.Acids Res.,(1997)25:1870−et seq.
【非特許文献23】Ongkudon et al,Anal.Chem.,(2011)83:391−et seq.
【非特許文献24】Shukla et al,Biotechnol.Progr.(2008)24:1115−et seq.
【非特許文献25】Luhrs,et al,J.Chromatogr.B(2009)877:1543−et seq.
【非特許文献26】Mechetner et al,J.Chromatogr.B(2011)879:2583−et seq.
【非特許文献27】Gagnon et al,J.Chromatogr.A,(2011)1218:2405−et seq.
【非特許文献28】Gagnon,Bioprocessing J.(2010)9(4):14−et seq.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
IgGベースの免疫学的構築物を精製するための方法、材料およびキットが提供される。ある特定の実施形態において、本発明は、所望のタンパク質を含むサンプルを精製するための方法を提供し、その方法は、(i)正に帯電した多孔性粒子を含む充填されたクロマトグラフィーカラムを提供する工程、(ii)サンプル中の所望のタンパク質が溶出する条件に、充填されたクロマトグラフィーカラムを平衡化させる工程、(iii)充填されたクロマトグラフィーカラムに適用されるサンプル体積が、その充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間以下であるように、サンプルをその充填されたクロマトグラフィーカラムと接触させる工程、および(iv)充填されたクロマトグラフィーカラムから所望のタンパク質を溶出する工程を含み、ここで、その所望のタンパク質は、より純粋な状態かつその充填されたクロマトグラフィーカラムが平衡化された条件になっており;その所望のタンパク質は、IgG抗体、IgG抗体フラグメント、IgG抗体誘導体またはIgG抗体融合タンパク質である。
【0012】
前述の実施形態において、所望のタンパク質は、IgG抗体の電荷特性と類似の電荷特性を有する、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ミニボディ(minibody)、ダイアボディ、VHHドメイン、Fc融合タンパク質またはIgG誘導体からなる群より選択される形態のIgG抗体に由来し得る。
【0013】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルは、あらかじめ精製されていないことがある。
【0014】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルは、中レベルまたは高レベルの純度への事前の精製工程を経ていることがある。
【0015】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルの中レベルの純度は、約40%〜約90%の純度の範囲内であり得る。
【0016】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルの高レベルの純度は、約90%以上の範囲内であり得る。
【0017】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル中の宿主細胞タンパク質またはDNA夾雑物の最初のレベルは、約100ppm〜約10,000ppmの範囲内であり得る。
【0018】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル中の全夾雑物の最初のレベルは、約200,000ppm〜約5,000,000ppmの範囲内であり得る。
【0019】
前述の各実施形態の1つ以上において、所望のタンパク質中の夾雑物の最終レベルは、約0.1〜約10ppmの範囲内であり得る。
【0020】
前述の各実施形態の1つ以上において、所望のタンパク質中の夾雑物の最終レベルは、約0.01〜約1ppmの範囲内であり得る。
【0021】
前述の実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、カラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の99%未満であり得る。
【0022】
前述の実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、カラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の95%未満であり得る。
【0023】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の90%未満であり得る。
【0024】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の80%未満であり得る。
【0025】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の70%未満であり得る。
【0026】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の10%未満であり得る。
【0027】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の5%未満であり得る。
【0028】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の1%未満であり得る。
【0029】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間の0.1%未満であり得る。
【0030】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、正に帯電した多孔性粒子だけで充填され得、サンプル体積は、充填されたクロマトグラフィーカラムの体積の40%未満であり得る。
【0031】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル適用条件は、およそ2〜およそ10のpHの範囲内のpHを含む。
【0032】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、およそ4〜およそ9のpHに平衡化され得る。
【0033】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、約7.5〜約8.5のpHの緩衝液と平衡化され得る。
【0034】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル適用条件は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲内の伝導率を含む。
【0035】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、およそ0.1mS/cm〜およそ30mS/cmの伝導率値に平衡化され得る。
【0036】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、約0.1〜およそ約15mS/cmの伝導率値に平衡化され得る。
【0037】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、約8のpHおよび約1mS/cm未満のゼロでない伝導率値の緩衝液と平衡化され得る。
【0038】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、溶出物に対して行われるその後の精製工程のためのサンプル適用条件における条件またはそのサンプル適用条件に近い条件に平衡化され得る。
【0039】
前述の各実施形態の1つ以上において、正に帯電した多孔性粒子は、陰イオン交換粒子である。
【0040】
前述の各実施形態の1つ以上において、陰イオン交換粒子は、トリス(2−アミノエチル)アミン、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジエチレンアミノエチル、エチレンジアミノ、第1級アミノ部分、第2級アミノ部分、第3級アミノ部分、第4級アミノ部分、電気陽性種の組み合わせおよびそれらの混合物からなる群より選択される部分によって提供されている電気陽性度の少なくとも一部である電気陽性度を有する。
【0041】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムは、電気陽性多孔性粒子のほかに他の粒子をさらに含む。
【0042】
前述の各実施形態の1つ以上において、電気陽性多孔性粒子または他の粒子の少なくとも1つは、陽イオン交換、疎水性相互作用、水素結合、pi−pi相互作用および金属キレート化からなる群より選択される1つ以上の第2の化学的官能基を含む。
【0043】
前述の各実施形態の1つ以上において、本方法は、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、凝集物解離剤(aggregate−dissociating agent)とサンプルを接触させるさらなる工程をさらに含み得る。
【0044】
前述の各実施形態の1つ以上において、凝集物解離剤は、有機カチオンであり得る。
【0045】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、エタクリジン、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン(acrisorcin)、アクリザン(acrizane)(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリシド(acricide)、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニル(acranil)(1−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム塩化物および3,6−アクリジンジアミン(acridineidiamine))、アルギニンおよびクロルヘキシジンからなる群より選択され得る。
【0046】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、エタクリジン、クロルヘキシジン、アルギニンまたはそれらの塩であり得る。
【0047】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、エタクリジンまたはその塩であり得る。
【0048】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、およそ0.01%〜およそ0.05%(w/v)の量で存在し得る。
【0049】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、およそ0.01%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0050】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、およそ0.005%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0051】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、およそ0.001%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0052】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機カチオンは、およそ0.020〜およそ0.025%(w/v)の量で存在し得る。
【0053】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルは、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、エタクリジン、アルギニンおよびクロルヘキシジンならびにそれらの塩からなる群より選択される2種以上の有機カチオンで処理され得る。
【0054】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、1%(w/v)未満のゼロでない濃度で提供され得る。
【0055】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、およそ0.01%〜およそ0.05%(w/v)の濃度で提供され得る。
【0056】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、およそ0.01%(w/v)未満のゼロでない濃度で提供され得る。
【0057】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、およそ0.005%(w/v)未満のゼロでない濃度で提供され得る。
【0058】
前述の各実施形態の1つ以上において、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、およそ0.001%(w/v)未満のゼロでない濃度で提供され得る。
【0059】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルをカラムと接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、およそ0.020〜およそ0.025%(w/v)の濃度で提供され得る。
【0060】
前述の各実施形態の1つ以上において、本方法は、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性物質およびウレイドからなる群より選択される可溶性有機調節物質(soluble organic modulator)とサンプルを接触させる工程をさらに含み得る。
【0061】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質とサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程の前に行われ得る。
【0062】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質とサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程と実質的に同時に行われ得る。
【0063】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質とサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程の後に行われ得る。
【0064】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールからなる群より選択される非イオン性有機ポリマーを含み得る。
【0065】
前述の各実施形態の1つ以上において、非イオン性有機ポリマーは、およそ500D以下のゼロでない平均分子量を有し得る。
【0066】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、イソプロパノールおよびフェノキシエタノールからなる群より選択される有機溶媒を含み得る。
【0067】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質は、およそ1%(w/v)以上の濃度で提供され得る。
【0068】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質は、Tween、Triton、CHAPS、CHAPSOおよびオクチルグルコシドからなる群より選択される界面活性物質を含み得る。
【0069】
前述の各実施形態の1つ以上において、界面活性物質は、およそ1%(w/v)以下のゼロでない濃度で提供され得る。
【0070】
前述の各実施形態の1つ以上において、界面活性物質は、およそ0.1%(w/v)以下のゼロでない濃度で提供され得る。
【0071】
前述の各実施形態の1つ以上において、可溶性有機調節物質は、飽和量未満の量(subsaturating amount)で提供されるウレイドを含み得る。
【0072】
前述の各実施形態の1つ以上において、ウレイドは、尿素、ヒダントインおよびアラントインからなる群より選択され得る。
【0073】
前述の各実施形態の1つ以上において、本方法は、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、抗ウイルス剤とサンプルを接触させる工程をさらに含み得る。
【0074】
前述の各実施形態の1つ以上において、抗ウイルス剤は、少なくとも1価の正電荷を有する有機カチオンであり得る。
【0075】
前述の各実施形態の1つ以上において、抗ウイルス剤は、正電荷を欠き得る。
【0076】
前述の各実施形態の1つ以上において、抗ウイルス剤は、およそ1%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0077】
前述の各実施形態の1つ以上において、抗ウイルス剤は、およそ0.1%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0078】
前述の各実施形態の1つ以上において、抗ウイルス剤は、およそ0.01%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0079】
前述の各実施形態の1つ以上において、抗ウイルス剤は、およそ0.001%(w/v)未満のゼロでない量で存在し得る。
【0080】
前述の各実施形態の1つ以上において、本方法は、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、ウレイドがサンプル中で過飽和されるのに十分な量でサンプルをウレイドと接触させる工程およびサンプルの固体部分または非溶解部分から所望のタンパク質を含む上清を分離する工程というさらなる工程をさらに含み得る。
【0081】
前述の各実施形態の1つ以上において、ウレイドとサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程の前に行われ得る。
【0082】
前述の各実施形態の1つ以上において、ウレイドとサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程と実質的に同時に行われ得る。
【0083】
前述の各実施形態の1つ以上において、過飽和ウレイドとサンプルを接触させる工程は、混合性の化学的特性の可溶性有機カチオンとサンプルを接触させる工程の後に行われる。
【0084】
前述の各実施形態の1つ以上において、ウレイドは、尿素、尿酸、ヒダントイン、アラントイン、アルクロキサ(alcloxa)、アルジオキサ、ヘモカン(hemocane)、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド(glyoxylureide)、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素およびプリンからなる群より選択され得る。
【0085】
前述の各実施形態の1つ以上において、ウレイドは、アラントインを含み得る。
【0086】
前述の各実施形態の1つ以上において、ウレイドは、尿酸を含み得る。
【0087】
前述の各実施形態の1つ以上において、アラントインは、0.5%(w/v)を超える量で存在し得る。
【0088】
前述の各実施形態の1つ以上において、アラントインは、およそ1%(w/v)を超える量で存在し得る。
【0089】
前述の各実施形態の1つ以上において、尿酸は、0.0025%(w/v)を超える量で存在し得る。
【0090】
前述の各実施形態の1つ以上において、尿酸は、およそ0.01%(w/v)を超える量で存在し得る。
【0091】
前述の各実施形態の1つ以上において、尿酸は、およそ0.1%(w/v)を超える量で存在し得る。
【0092】
前述の各実施形態の1つ以上において、尿酸は、およそ1%(w/v)を超える量で存在し得る。
【0093】
前述の各実施形態の1つ以上において、本方法は、充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、不溶性固体を除去するさらなる工程をさらに含み得る。
【0094】
前述の各実施形態の1つ以上において、不溶性固体を除去する工程は、有機調節物質、抗ウイルス剤または過飽和ウレイドのうちの1つ以上とサンプルを接触させる工程の後に行われ得る。
【0095】
前述の各実施形態の1つ以上において、有機調節物質、抗ウイルス剤または過飽和ウレイドのうちの1つ以上とサンプルを接触させた後に、そのサンプルは、そのサンプルに加えられた有機調節物質、抗ウイルス剤およびウレイドのうちの少なくともいくつかを吸着することができる化学部分を有する固体材料と接触され得る。
【0096】
前述の各実施形態の1つ以上において、固体材料は、サンプルに加えられた後にサンプルから分離される粒子から構成され得る。
【0097】
前述の各実施形態の1つ以上において、固体材料は、サンプルが通過し得る、膜、モノリス、または粒子で充填されたカラムから構成され得る。
【0098】
前述の各実施形態の1つ以上において、固体材料上の化学部分は、陽イオン交換、陰イオン交換、疎水性相互作用、水素結合、pi−pi相互作用または金属キレート化のための能力を有する基のうちの1つ以上を含み得る。
【0099】
前述の各実施形態の1つ以上において、本方法は、サンプルに加えられた有機調節物質、抗ウイルス剤およびウレイドのうちの少なくともいくつかを吸着することができる化学部分を有する固体材料とサンプルを接触させる工程の後、かつ充填されたクロマトグラフィーカラムとサンプルを接触させる工程の前に、サンプルから不溶性固体を分離するかまたは除去するさらなる工程をさらに含み得る。
【0100】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルは、凝集物を含み得、所望のタンパク質のより純粋な状態は、そのサンプルと比較して少ない凝集物含有量を有する。
【0101】
前述の各実施形態の1つ以上において、凝集物は、所望のタンパク質のホモ凝集物を含み得る。
【0102】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプル中の所望のタンパク質のホモ凝集物の存在は、本明細書中に開示される方法を行うことによって、実質的に排除され得る。
【0103】
前述の各実施形態の1つ以上において、凝集物は、所望のタンパク質および夾雑物のヘテロ凝集物を含み得る。
【0104】
前述の各実施形態の1つ以上において、ヘテロ凝集物は、所望のタンパク質と実質的に同じ流体力学的サイズであり得る。
【0105】
前述の各実施形態の1つ以上において、夾雑物は、核酸、ヌクレオチド、エンドトキシン、金属イオン、タンパク質、脂質、細胞培養液成分またはそれらの組み合わせであり得る。
【0106】
前述の各実施形態の1つ以上において、所望のタンパク質および夾雑物のヘテロ凝集物の存在は、本明細書中に開示される方法を行うことによって、実質的に排除され得る。
【0107】
前述の各実施形態の1つ以上において、サンプルは、1つ以上の夾雑物を含み得、所望のタンパク質のより純粋な状態は、本明細書中に開示される方法を行った結果としてのサンプルと比較して少ないそのような夾雑物含有量を有する。
【0108】
前述の実施形態のいずれかに係る方法を簡便に行うためのキットが提供され得る。
【0109】
本明細書中に開示される実施形態は、主にIgGタイプ抗体およびそれらのヘテロ凝集物に関して例証され得るが、当業者は、様々な実施形態が他のタンパク質(例えば、IgMタイプおよび他の抗体、ヒストンタンパク質、ならびに有益なことには、他の任意のアルカリ性タンパク質)の精製に適用可能であることを理解するだろう。これらおよび他の利点は、当業者によって認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1図1は、カラム体積の35%のサンプル体積でUNOsphere Qに適用された、濾過された細胞培養上清(CCS)(左パネル)およびプロテインAで精製されたtrastuzumab(右パネル)のクロマトグラムを並べて示している(両方のカラムが、50mM Tris,pH8.0に平衡化された)。実線は、UV吸光度を示している。破線は、伝導率を示している。
図2図2は、NaClの非存在下のpHに応じた(左パネル)、およびpH8.0における塩濃度に応じた(右パネル)、本発明の方法による宿主細胞タンパク質の減少を示しているプロットを示している。実線および黒菱形は、適用されたtrastuzumab細胞培養上清の値を表している。破線および白菱形は、適用されたプロテインAで精製されたtrastuzumabの値を表している。黒三角は、本発明の方法を行う前の細胞培養上清中の宿主細胞タンパク質を示している。白三角は、プロテインAで精製されたサンプル中の宿主細胞タンパク質を示している。
図3図3は、細胞培養上清由来の濾過されたtrastuzumab(左パネル)、細胞培養上清の空隙容量分画(void volume−fractionation)(中央パネル)および陽イオン交換に続く空隙容量分割(void volume−partitioning)によって精製されたtrastuzumab(右パネル)の分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のプロファイルを示している。
図4図4は、パパイン消化されたRituxanの分画の分析用SECプロファイルに続いて、空隙容量分割の後の第1および第2のピークの分析用SECプロファイルを示している。SECプロファイル中の数値は、単位が分の溶出時間を表している。実線は、UV吸光度である。破線は、伝導率である。
図5図5は、空隙容量分割に不適な陰イオン交換体による損なわれた抗体分割を示すSECプロファイルを示している。QFF:Q Sepharose Fast Flow。FDHC:Fractogel DEAE HighCap。P50HQ:POROS 50 HQ。実線は、UV吸光度である。破線は、伝導率である。
図6図6は、塩濃度に応じたpH逸脱のプロットを示している。50mM Tris,pH8.0に平衡化されたUNOsphere Q。プロテインA精製されたtrastuzumab。実線:UV吸光度。単純な破線:伝導率。複雑な破線:pH。約13mLから始まる伝導率のピークは、適用された抗体サンプル中の塩からのものである。約45mLから始まる伝導率の上昇は、2.0M NaCl浄化工程と対応する。
【発明を実施するための形態】
【0111】
ある特定の実施形態において、本発明は、電気陽性多孔性粒子で充填されたカラムに関し、そのカラムにおいて、抗体は、孔からの立体的排除とは無関係な静電反発の力もしくは孔からの立体的排除を伴う静電反発の力によって、または孔からの立体的排除だけによって、粒子の間の空間(すなわち、粒子間の空間または隙間)に実質的に排除され得る。このことにより、抗体は、もっぱらではないにしても実質的に隙間を通ってカラムを通過し得る。特に、立体的排除とは、孔の内部に正に帯電したリガンドを配置することによって発揮される物理的抵抗に抗体分子が打ち勝つことを妨げる条件下では、それらの抗体分子は孔隙に入ることができない機序のことを指す。夾雑タンパク質(抗体を産生した宿主細胞から生じるタンパク質を含む)、DNAフラグメント、ならびに塩、非イオンおよび双性イオンの種を含む細胞培養液成分の多くは、粒子の孔に入ることができ、このことは、いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、カラムを通るそれらの輸送を遅らせると考えられており、緩衝液がカラムを貫流するとき、より速く移動するIgGからそれらを分離させる。DNA、エンドトキシン、ウイルスおよび多くのタンパク質を含む酸性夾雑物は、電気陽性表面への結合によって、さらに遅れ得る。この方法により、サンプル条件に関係なく、ほとんどの夾雑物の化学的特徴に関係なく、および抗体がカラムを通るのを推進するサンプル適用の直後に適用される緩衝液の組成に関係なく、とりわけIgGの効果的な分画が可能になることが見出されている。ある特定の実施形態において、本発明が、広範囲の条件(pH、塩濃度、伝導率など)において行われ得ること、およびゆえに、それらの条件が、所望のIgG抗体またはフラグメントの製造および精製の過程における本発明の方法の前または後のプロセスとともに本発明の方法を簡便に行うために選択され得ることは、本発明の利点である。ある特定の実施形態において、これらの独特の操作の特徴および結果は、サンプル適用を、カラム内の正に帯電した粒子の粒子間体積を超えない体積に限定することによって達成される。さらに、いくつかの実施形態において、本方法は、非多孔性粒子、膜またはモノリスを含む他のタイプの正に帯電した材料には適用されないし、正に帯電した多孔性もしくは非多孔性粒子または可溶性の正に帯電したポリマーをサンプル内に分散させることによって適用されることもない。もっと正確に言えば、本発明の好ましい実施形態において、本方法は、多孔性粒子の充填されたカラムを用いて行われる。
【0112】
ある特定の実施形態において、本発明のある特定の方法の固有の分画能力は、カラムが、それらのさらなる官能基によって抗体が保持されないかまたは有意に遅れないようにする条件に平衡化される限り、カラム床内の粒子にさらなる表面官能基を含めることによって高められ得ることがさらに見出されている。そのような官能基としては、負に帯電した基、疎水性基、pi−pi結合基、水素結合基または金属キレート基が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらのさらなる官能基は、正に帯電した基と同じ化学構造上、正に帯電した基と同じ多孔性粒子上、または多孔性もしくは非多孔性であり得る異なる粒子上に存在し得る。さらなる粒子を含めることによって第2の官能基が加えられる場合、適用され得るサンプルの体積は、そのカラム内の正に帯電した多孔性粒子だけの間に存在し得る粒子間の空間に対応する体積に限定される。この体積は、カラム内の正に帯電した多孔性粒子の、重力によって定まる体積の約40%と推定され得るが、粒子床が物理的に圧縮されている場合、それより小さい可能性があり、その体積は、実験によって定量的に決定され得る。
【0113】
ある特定の実施形態において、本発明は、本方法によって、サンプル中の抗体凝集物の比率を実質的に低下させることが可能であるという利点を提供する。凝集物は、天然の抗体と同じ電荷特性を有すると予想されるので、これは、驚くべきことである。ゆえに、凝集物は、天然の抗体と同時に溶出すると予想される。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、ある特定の実施形態において、本発明の方法は、凝集物を分離するのではなく、凝集物を解離させると考えられる。
【0114】
ある特定の実施形態において、凝集物の減少は、凝集物の解離を促進する作用物質でサンプルを前処理することによって、さらに高められ得る。そのような作用物質としては、特に、エタクリジンなどの多価陽イオンが挙げられ、さらに、とりわけ、高濃度の塩、ウレイド、アミノ酸、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒および界面活性物質を含む様々な有機調節物質が挙げられ得る。それらの解離剤は、本方法の通例の実施中に、サンプル中の他の小分子とともに除去される。実験データから、正に帯電した凝集物解離剤でのサンプル前処理に続く、上に記載されたようなカラムへのサンプルの適用の組み合わせは、いずれかの方法だけよりも高い程度の凝集物の減少を達成すると示唆される。抗ウイルス剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、メチレンブルーおよびトリ(n−ブチル)ホスフェート)を含むがこれに限定されない他の有機化合物または無機化合物が、ウイルス不活性化などであるがこれに限定されない他の目的のために加えられ得る。
【0115】
ある特定の実施形態において、本発明は、所望のタンパク質を含むサンプルを精製するための方法を提供し、その方法は、(i)正に帯電した多孔性粒子を含む充填されたクロマトグラフィーカラムを提供する工程、(ii)サンプル中の所望のタンパク質が溶出する条件にそのカラムを平衡化させる工程、(iii)そのカラムに適用されるサンプル体積が、そのカラム内の正に帯電した多孔性粒子の粒子間の空間以下であるように、サンプルをそのカラムと接触させる工程、(iv)そのカラムから所望のタンパク質を溶出する工程を含み、ここで、その所望のタンパク質は、より純粋な状態かつそのカラムが平衡化された条件になっており;その所望のタンパク質は、IgG抗体、IgG抗体フラグメント、IgG抗体誘導体またはIgG抗体融合タンパク質である。
【0116】
ある特定の実施形態において、所望のタンパク質は、IgG抗体であるか、またはIgG抗体の電荷特性と類似の電荷特性を有する、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ミニボディ、ダイアボディ、VHHドメイン、Fc融合タンパク質またはIgG誘導体などの形態のIgG抗体に由来する。ある特定の実施形態において、サンプルは、精製されていなくてもよいし、中レベルの純度であってもよいし、高度に精製されていてもよい。
【0117】
他の実施形態において、抗体は、IgM、IgD、IgAもしくはIgE、またはそれらの抗体の誘導体の形態(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ScFV);あるいは複雑な構築物(例えば、Fc融合タンパク質または免疫複合体)であり得る。
【0118】
ある特定の実施形態において、粒子間の空間は、サンプルの体積のおよそ2倍より大きい。ある特定の実施形態において、電気陽性多孔性粒子を含むカラムの一部の粒子間の空間は、サンプル体積より大きい。ある特定の実施形態において、カラムが、正に帯電した多孔性粒子だけで充填されるとき、サンプル体積は、充填されたカラムの体積の約40%以下であり;ある特定の実施形態において、カラムが、正に帯電した多孔性粒子および他の粒子で充填されるとき、サンプル体積は、カラム内の重力によって定まる正に帯電した多孔性粒子の体積の約40%以下である。
【0119】
ある特定の実施形態において、カラムに充填された正に帯電した(positively charge)多孔性粒子の粒子間の空間は、サンプルとほぼ同じ体積、またはサンプル体積より10%大きいか、またはサンプルよりも20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100%大きいか、またはサンプルよりも1.5倍もしくは2倍もしくは2.5倍もしくは3倍もしくは4倍もしくは5倍もしくはそれ以上大きい。
【0120】
ある特定の実施形態において、カラムは、サンプルをカラムと接触させる前に、平衡化緩衝液と平衡化される。ある特定のそのような実施形態において、カラムは、およそ4〜およそ9のpHに平衡化される。ある特定のそのような実施形態において、カラムは、約6.5〜約7.5のpHの緩衝液と平衡化される。ある特定の実施形態において、カラムは、およそ1mS/cm〜およそ30mS/cm伝導率値に平衡化される。ある特定の実施形態において、カラムに対するpH、塩濃度および伝導率の条件は、電気陽性多孔性粒子と所望のタンパク質以外のサンプル由来成分との静電相互作用が実質的に保留されるように選択される。平衡化緩衝液およびまたは溶出緩衝液に対するpH、塩濃度および伝導率の条件は、本発明のある特定の実施形態において、電気陽性多孔性粒子と所望のタンパク質以外のサンプル由来成分との静電相互作用が実質的に保留されるように選択され得る。ある特定の実施形態において、平衡化されたカラムの伝導率は、約0.1〜約15mS/cmである。ある特定の実施形態において、カラムは、溶出物に対して行われるその後の精製工程のためのサンプル適用条件における条件またはそのサンプル適用条件に近い条件に平衡化され得る。
【0121】
ある特定の実施形態において、サンプルの条件は、およそ2のpH〜およそ10のpHの範囲であり得る。ある特定のそのような実施形態において、サンプルの伝導率値は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲であり得る。ある特定の実施形態において、サンプルの条件は、およそ2のpH〜およそ10のpHの範囲であり得、ある特定の実施形態において、サンプルの条件の伝導率値は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲であり得る。
【0122】
ある特定の実施形態において、溶出条件は、およそ2のpH〜およそ10のpHの範囲であり得る。ある特定のそのような実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液の伝導率は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲であり得る。ある特定の実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液は、サンプルまたは平衡化緩衝液よりも低い伝導率を有する。ある特定の実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液は、サンプルまたは平衡化緩衝液よりも高い伝導率を有する。
【0123】
ある特定の実施形態において、カラム平衡化緩衝液は、約8.0のpHおよび1mS/cm未満の伝導率(例えば、50mM以下の濃度の、塩が加えられていないTrisによって媒介される)であり得る。いくつかの実施形態において、Trisの濃度は、約20mM〜約50mMの範囲内であり得る。
【0124】
ある特定の実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液は、平衡化緩衝液と同じ組成を有し得る。ある特定の実施形態において、サンプルの後に適用される緩衝液は、平衡化緩衝液とは異なる組成を有し得る。ある特定の実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液は、正に帯電した粒子に結合され得る負に帯電した材料を除去する目的で、平衡化緩衝液よりも一層高い伝導率であり得る。
【0125】
ある特定の実施形態において、その後の使用サイクルのための調製においてカラムを浄化するために過剰な塩または他の添加物がサンプルに含められ得る。そのような添加物は、その手法によって達成される純度およびまたは凝集物減少の程度が高まるという結果とともに、抗体と夾雑物種との間の非特異的な相互作用を解離させるという有益な効果も媒介し得ることが理解されるだろう。
【0126】
ある特定の実施形態において、正に帯電した多孔性粒子は、陰イオン交換粒子である。ある特定のそのような実施形態において、陰イオン交換粒子は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アミノ基、エチレンジアミノ、ジエチルアミノエチル(diethyaminoethyl)、第3級アミノエチル、第4級アミノエチル、トリス(2−アミノエチル)アミン、ポリアリルアミン、ポリアルギニン、ポリリジンまたはポリエチレンイミンなどの部分によって部分的に付与される電気陽性度を有する。ある特定の実施形態において、カラムは、電気陽性多孔性粒子のほかに粒子を含む。ある特定の実施形態において、電気陽性多孔性粒子およびさらなる粒子の少なくとも1つは、陽イオン交換、疎水性相互作用、水素結合、pi−pi相互作用および金属キレート化からなる群より選択される1つ以上の第2の化学的官能基を有する。
【0127】
ある特定の実施形態において、上記手法は、粒子の孔内に荷電基の密なネットワークを形成し、その結果、そのネットワークが、強い負電荷を欠くタンパク質の進入を物理的に妨害するかまたは妨げる、いわゆるグラフトされたリガンドを利用する。
【0128】
ある特定の実施形態において、上記手法は、IgGまたはそのフラグメントの効果的な進入を妨げる孔サイズを有する正に帯電した多孔性粒子クロマトグラフィー媒体を利用する。IgGまたはそのフラグメントの進入を妨げる際に有用な例示的な孔サイズとしては、IgGまたはそのフラグメントのサイズに応じて、約10nm〜約100nmの範囲(その間の任意の値およびその小数部を含む)が挙げられる。当業者は、1、2、3、4、5、6、7、8または9nmを含むがこれらに限定されない10nm未満の孔サイズも使用され得ることを理解するだろう。同様に、当業者は、120、150、200、300および500nm(その間の任意の値およびその小数部を含む)を含むがこれらに限定されない100nmより大きい孔サイズが使用され得ることも理解するだろう。当業者は、精製される抗体またはそのフラグメントに基づく孔サイズの適切な選択を認識するだろう。そのような多孔性粒子は、サンプル体積全体またはそのより少ない任意の比率を構成し得る。
【0129】
ある特定の実施形態において、本発明は、サンプルをカラムと接触させる工程の前に、凝集物解離剤とサンプルを接触させるさらなる工程を提供する。ある特定のそのような実施形態において、凝集物解離剤は、有機カチオンである。ある特定の実施形態において、そのような有機カチオンは、エタクリジン、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン、アクリザン(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリシド、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニル(1−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム塩化物および3,6−アクリジンジアミン)またはクロルヘキシジンであり得る。ある特定の実施形態において、有機カチオンは、アルギニン、エタクリジンもしくはクロルヘキシジンまたはそれらの塩である。本発明のある特定の態様において、有機カチオンは、エタクリジンまたはその塩である。ある特定のそのような実施形態において、有機カチオンは、およそ0.01%〜およそ0.05%の量、またはおよそ0.01%未満のゼロでない量、またはおよそ0.005%未満のゼロでない量、またはおよそ0.001%未満のゼロでない量、またはおよそ0.020〜およそ0.025%の量で存在する。
【0130】
ある特定の実施形態において、サンプルは、サンプルをカラムと接触させる工程の前に、アルギニン、エタクリジンおよびクロルヘキシジンおよびそれらの塩からなる群からの2種以上の有機カチオンで処理される。ある特定のそのような実施形態において、サンプルをカラムと接触させる工程の前にサンプルを処理するために使用される有機カチオンは、1%未満のゼロでない濃度、またはおよそ0.01%〜およそ0.05%の濃度、またはおよそ0.01%未満のゼロでない濃度、またはおよそ0.005%未満のゼロでない濃度、またはおよそ0.001%未満のゼロでない濃度、またはおよそ0.020〜およそ0.025%の濃度で提供される。
【0131】
ある特定の実施形態において、サンプルは、さらに、サンプルをカラムと接触させる工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性物質およびウレイドからなる群より選択される可溶性有機調節物質と接触される。ある特定のそのような実施形態において、有機調節物質とサンプルを接触させる工程は、サンプルを有機カチオンと接触させる工程の前に、行われる。他の実施形態では、有機調節物質とサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程と実質的に同時に行われる。他の実施形態では、有機調節物質とサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程の後に行われる。ある特定のそのような実施形態において、有機調節物質は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールからなる群より選択される非イオン性有機ポリマーである。ある特定のそのような実施形態において、非イオン性有機ポリマーは、およそ500D以下の平均分子量を有する。ある特定のそのような実施形態において、有機調節物質は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノールおよびフェノキシエタノールからなる群より選択される有機溶媒である。ある特定のそのような実施形態において、有機調節物質は、およそ1%(w/v)以上の濃度で提供される。
【0132】
ある特定の実施形態において、有機調節物質は、Tween、triton、CHAPS、CHAPSOおよびオクチルグルコシドからなる群より選択される界面活性物質である。ある特定のそのような実施形態において、界面活性物質は、およそ1%(w/v)以下のゼロでない濃度またはおよそ0.1%(w/v)以下のゼロでない濃度で提供される。ある特定の実施形態において、有機調節物質は、飽和量未満の量で提供されるウレイドである。ある特定のそのような実施形態において、ウレイドは、尿素、ヒダントインまたはアラントインである。
【0133】
ある特定の実施形態において、サンプルは、サンプルをカラムと接触させる工程の前に、抗ウイルス剤とさらに接触される。ある特定のそのような実施形態において、抗ウイルス剤は、非多価有機カチオン(例えば、塩化ベンザルコニウム、メチレンブルー、トリ(n−ブチル)ホスフェートまたはオクタン酸(カプリル酸としても知られる))である。ある特定のそのような実施形態において、抗ウイルス剤は、およそ1%(w/v)未満のゼロでない量、またはおよそ0.1%(w/v)未満のゼロでない量、またはおよそ0.01%(w/v)未満のゼロでない量、またはおよそ0.001%(w/v)未満のゼロでない量で存在する。
【0134】
ある特定の実施形態において、本発明は、サンプルをカラムと接触させる工程の前に、ウレイドがサンプル中で過飽和されるのに十分な量でサンプルをウレイドと接触させる工程およびサンプルの固体部分または非溶解部分から所望のタンパク質を含む上清を分離する工程というさらなる工程を含む。ある特定のそのような実施形態において、ウレイドとサンプルを接触させる工程は、サンプルを有機カチオンと接触させる工程の前に、行われる。他の実施形態では、ウレイドとサンプルを接触させる工程は、有機カチオンとサンプルを接触させる工程と実質的に同時に行われる。なおも他の実施形態では、ウレイドとサンプルを接触させる工程は、混合性の化学的特性の可溶性有機カチオンとサンプルを接触させる工程の後に行われる。ある特定のそのような実施形態において、ウレイドは、尿素、尿酸、ヒダントイン、アラントイン、アルクロキサ、アルジオキサ、ヘモカン、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素またはプリンである。ある特定のそのような実施形態において、ウレイドは、アラントインまたは尿酸である。ウレイドがアラントインである、ある特定の実施形態において、アラントインは、0.5%(w/v)を超える量またはおよそ1%(w/v)を超える量で存在する。ウレイドが尿酸である、ある特定の実施形態において、尿酸は、0.0025%(w/v)を超える量、またはおよそ0.01%(w/v)を超える量、またはおよそ0.1%(w/v)を超える量、またはおよそ1%(w/v)を超える量、またはおよそ10%(w/v)を超える量で存在する。
【0135】
ある特定の実施形態において、本発明は、サンプルをカラムと接触させる工程の前に、不溶性固体を除去するさらなる工程を含む方法を提供する。ある特定のそのような実施形態において、不溶性固体を除去する工程は、有機調節物質、抗ウイルス剤または過飽和ウレイドとサンプルを接触させる工程の1つ以上の工程の後に行われる。ある特定の実施形態において、有機調節物質、抗ウイルス剤または過飽和ウレイドとサンプルを接触させる工程の1つ以上の工程の後に、そのサンプルは、そのサンプルに加えられた有機調節物質、抗ウイルス剤およびウレイドのうちの少なくともいくつかを吸着することができる化学部分を有する固体材料と接触される。ある特定のそのような実施形態において、固体材料は、サンプルに加えられた後にサンプルから分離される粒子から構成されるか、または固体材料は、サンプルが通過する、膜、モノリス、もしくは粒子で充填されたカラムから構成される。ある特定のそのような実施形態において、固体材料上の化学部分は、陽イオン交換、陰イオン交換、疎水性相互作用、水素結合、pi−pi相互作用または金属キレート化のための能力を有する基の1つ以上を含み得る。ある特定の実施形態において、本発明は、サンプルに加えられた有機調節物質、抗ウイルス剤およびウレイドのうちの少なくともいくつかを吸着することができる化学部分を有する固体材料とサンプルを接触させる工程の後、かつサンプルをカラムと接触させる工程の前に、サンプルから不溶性固体を分離するかまたは除去するさらなる工程を含む方法を提供する。
【0136】
ある特定の実施形態において、サンプルは、凝集物を含み、本方法を行うことによって生じた所望のタンパク質のより純粋な状態は、そのサンプルと比較して少ない凝集物含有量を有する。ある特定のそのような実施形態において、凝集物は、所望のタンパク質のホモ凝集物を含み、ある特定のそのような実施形態において、サンプル中の所望のタンパク質のホモ凝集物の存在は、実質的に排除される。ある特定の実施形態において、凝集物は、所望のタンパク質および夾雑物のヘテロ凝集物を含み、ある特定のそのような実施形態において、そのヘテロ凝集物は、所望のタンパク質と実質的に同じ流体力学的サイズである。ある特定のそのような実施形態において、夾雑物は、核酸、ヌクレオチド、エンドトキシン、金属イオン、タンパク質、脂質または細胞培養液成分である。ある特定のそのような実施形態において、所望のタンパク質および夾雑物のヘテロ凝集物の存在は、実質的に排除される。
【0137】
ある特定の実施形態において、本発明は、サンプルが1つ以上の夾雑物を含む方法を提供し、ここで、その方法を行うことによって生じた所望のタンパク質のより純粋な状態は、そのサンプルと比較して少ないそのような夾雑物含有量を有する。例えば、いくつかの実施形態において、夾雑物が凝集物である場合、その凝集物の濃度は、下記の実施例1〜10において実証されるように、約20%から約0.1%に低下され得る。いくつかの実施形態において、遊離した軽鎖夾雑物などのいくつかの夾雑物は、例証実施例13および14に示されるように、検出限界において名目上は排除され得る。同様に、宿主細胞タンパク質、DNA、エンドトキシンおよびウイルスの99%の減少は、例えば、実施例20および21に示されるように、本発明の方法によって排除され得る。本発明の方法は、当該分野で公知の従来の精製方法に好ましく匹敵する。例えば、実施例23に示されるように、プロテインAによるHerceptin精製において、123ppmという宿主細胞タンパク質の濃度を達成することができた。対照的に、本発明の方法は、宿主細胞の含有量を約3ppmに減少させることができた。
【0138】
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の方法を簡便に行うためのキットを提供し、そのキットは、本発明を行うために必要な材料のいくつかまたはすべてを、好ましくは、本発明の方法を行うために好都合な量および濃度で備える。そのようなキットは、そのキットに提供されている材料を使用するための指示書も備え得る。
【0139】
以下の用語は、本発明がより容易に理解され得るように定義される。さらなる定義は、詳細な説明全体を通して示される。
【0140】
「凝集物」とは、生理学的条件において安定であり、広範囲のpHおよび伝導率の条件にわたって安定なままであり得る、2つ以上の分子の会合のことを指す。凝集物は、少なくとも1つの生体分子(例えば、タンパク質、核酸または脂質)および別の分子または金属イオンを含むことが多い。会合は、任意のタイプまたは任意の組み合わせの化学的相互作用を通じて生じ得る。抗体の凝集物は、2つのカテゴリーに分類され得る:「ホモ凝集物」とは、2つ以上の抗体分子の安定な会合のことを指し;「ヘテロ凝集物」とは、1つ以上の抗体分子と1つ以上の非抗体分子との安定な会合のことを指す。非抗体成分は、ヌクレオチド、エンドトキシン、金属イオン、タンパク質、脂質または細胞培養液成分からなる群からのもう1つの実体からなり得る。
【0141】
「抗体」とは、免疫グロブリン、その複合体またはフラグメントの形態のことを指す。その用語には、天然の形態または遺伝的に改変された形態(集合的に「抗体誘導体」、例えば、ヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、グラフト抗体およびインビトロ産生抗体)を含む、ヒトまたは他の哺乳動物の細胞株に由来するIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMクラスのポリクローナルまたはモノクローナル抗体が含まれ得るが、これらに限定されない。「抗体」には、免疫グロブリン部分を含む融合タンパク質を含むがこれに限定されない複合体の形態も含まれ得る。例示的な抗体融合タンパク質としては、他の抗体と融合された抗体、他の標的に対する結合特異性を有する他のタンパク質と融合された抗体、または治療的、イメージングもしくは診断的な価値を有する他のタンパク質との融合物が挙げられるがこれらに限定されない。「抗体」には、それらが抗原結合機能を保持するか否かに関係なく、抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、Fv、scFv、Fd、dAb、Fcおよび他の組成物)も含まれ得る。
【0142】
特に、「IgG抗体」とは、免疫グロブリン、その複合体、フラグメントまたは誘導体の形態のことを指す。その用語には、天然の形態または遺伝的に改変された形態(例えば、ヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、グラフト抗体およびインビトロ産生抗体)を含む、ヒトまたは他の哺乳動物の細胞株に由来する任意のサブクラスのポリクローナルまたはモノクローナル抗体が含まれ得るが、これらに限定されない。その用語には、それらが抗原結合機能を保持するか否かに関係なく、抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、Fv、scFv、Fd、dAb、Fc、VHH、ミニボディ、ダイアボディおよび他の組成物)も含まれ得る。その用語には、免疫グロブリン部分を含む融合タンパク質を含むがこれに限定されない複合体の形態も含まれ得る。
【0143】
「カラム平衡化」とは、クロマトグラフィー媒体で充填されたカラムにおいて、所望の緩衝液の安定した等しい分配を達成することを指す。平衡時、カラム出口において計測される溶離剤のpH、伝導率およびUV吸収は、カラム入口に導入される溶離剤と実質的に同一である。
【0144】
「カラム体積」とは、カラムと呼ばれる通常、円筒形のデバイス内に充填された粒子の総体積のことを指す。カラム体積という用語は、3つの部分(空隙容量として公知の粒子間の空間である部分、孔体積として公知の孔内の体積、およびマトリックス体積と称されることが多い粒子の固体マトリックスによって占有される体積)から構成される、いわゆる総カラム体積に対応すると通常、理解される。
【0145】
「伝導率値」とは、電解質溶液が電気を通す能力のことを指す。電解質の溶液の伝導率は、例えば、固定された距離だけ離れた2つの電極間の溶液の抵抗を測定することによって計測され得る。
【0146】
「夾雑物」とは、所望の抗体などの所望のタンパク質の純度を低下させる任意の望まれない無機または有機実体のことを指す。夾雑物には、所望のタンパク質を伴う凝集物、特に、ヘテロ凝集物を形成し得る実体が含まれる。本発明の方法は、そのような凝集物の有効な解離をもたらすことにより、その凝集物を形成する夾雑物から所望のタンパク質が回収され得る。例示的な夾雑物としては、タンパク質、DNA、細胞成分などが挙げられる。他の夾雑物は、前の精製工程において使用された試薬を含み得る。
【0147】
「電気陽性多孔性粒子」または「正に帯電した多孔性粒子」とは、おおよそ球状であってもよいし、そうでなくてもよく、任意のサイズの孔を有し得る、不溶性固体のことを指す。必要に応じて、粒子は、10ミクロン未満から100ミクロン超の範囲のサイズであり得、平均孔サイズは、10nm未満(マイクロ多孔性)から100nm超(マクロ多孔性)の範囲であり得る。粒子の電気陽性度は、アミノ、エチレンジアミノ、ジエチルアミノエチル、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンのような弱陰イオン交換基、第4級アミノ基などの強陰イオン交換基、組み合わされた弱−強交換体、例えば、ポリリジン、ポリアルギニンもしくはトリス(2−アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリプロピレンイミンテトラアミン、PAMAMデンドリマー(エチレンジアミンコア)または前述の任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない化学基によって付与され得る。正に帯電した表面に混合性の化学的特性をもたらす第2の官能基は、負もしくは正に帯電した基、疎水性基、pi−pi結合基、水素結合基または金属キレート基からなり得る。第2の官能基は、粒子を合成する製造材料もしくは製造プロセスの偶然の副産物として電気陽性の粒子上に存在し得るか、またはそれらの第2の官能基は、意図的な設計によって存在し得る。第2の官能基の濃度は、1ミリ当量/mL粒子未満から100ミリ当量/mL超の範囲であり得る。電気陽性多孔性粒子という用語には、陰イオン交換体および耐塩性の陰イオン交換体と称される市販の多孔性粒子クロマトグラフィー材料が含まれ、電気陽性である、いわゆる混合モードのクロマトグラフィー材料が含まれ得る。
【0148】
「エンドトキシン」とは、溶解されると細胞から放出されるグラム陰性菌の外膜に存在する毒性の熱安定性リポ多糖物質のことを指す。エンドトキシンは、リン酸残基およびカルボキシル残基が高含有量であることに起因して、一般に酸性であり得、リピドA領域の脂肪酸含有量に起因して、高度に疎水性であり得る。エンドトキシンは、水素結合の広範な機会を提供し得る。
【0149】
「粒子間体積」または「空隙容量」とは、粒子自体によって占有されていないカラム内の体積;粒子の間の空間のことを指す。これは、カラムの空隙容量と称されることが多い。類似のサイズのおおよそ球状の粒子の場合、それらの粒子が、力学的手段によって物理的に圧縮されるのではなく、重力によって定着されるとき、空隙容量は、通常、それらの粒子で充填されたカラムの約40%を構成する。
【0150】
「孔体積」とは、多孔性粒子の孔の内部の体積のことを指す。それらの孔は、正に帯電した基が主に孔の壁に分布していて、物理的に遮られていない可能性があるか、または孔の内部に存在するポリマーのネットワーク上もしくはそのネットワーク内に分布している正に帯電した基で部分的に遮られている可能性がある。孔が、部分的に遮られている場合、見かけ上の妨害の程度は、抗体もしくは他のサンプル成分の電荷特性によって、ならびに/またはpHおよび伝導率などの緩衝液の条件に応じて、変動し得る。
【0151】
「非イオン性有機ポリマー」とは、荷電基を欠く連結された有機繰り返しサブユニットから構成される天然に存在するまたは合成の炭化水素のことを指す。それは、直鎖状であり得るか、主に直鎖状でいくらか分枝状であり得るか、または主に分枝状であり得る。本発明を行うのに適した例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールおよびポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられるがこれらに限定されない。PEGは、構造式HO−(CH−CH−O)−Hを有する。例としては、100ダルトン未満から1000ダルトン超の範囲の平均ポリマー分子量を有する組成が挙げられるが、これに限定されない。
【0152】
「有機カチオン」とは、少なくとも1価の正電荷を有し、かつ複数の正電荷を含み得る、天然起源または合成起源の有機分子、有機カチオンまたは有機塩のことを指す。有機カチオンは、負電荷も有し得るが、その結果、正味の正電荷または正味の中性電荷を有する。有機カチオンが、正味の正である場合、その有機イオンは、陰イオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、硫酸イオン、有機酸、乳酸イオン、グルコン酸イオンおよび本方法と不適合でない他の任意の陰イオン)とともに提供されてもよい。ある特定の実施形態において、有機カチオンのある特定の正電荷は、アミン、イミドまたは他の窒素部分によって供給される。有機カチオンは、さらに、混合性の化学的特性であり得、疎水性残基、他の官能性部分を含み、かつ/または他のタイプの化学的相互作用に関与する能力(例えば、水素結合、疎水性相互作用、pi−pi結合、金属配位およびインターカレーションに関与する能力を含む)を有し得る。ある特定の実施形態において、有機カチオンの例としては、アミノ酸、ジアミノ酸、クロルヘキシジンおよびエタクリジンが挙げられるがこれらに限定されない。エタクリジンのバリアントおよび誘導体は、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン、アクリザン(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリシド、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニル(1−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム塩化物および3,6−アクリジンジアミン)およびそれらの塩(例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩)を含むと理解される。有機カチオンは、主要な静電的官能基が正である限り、他の化学基および官能基を含んでもよい。
【0153】
「有機調節物質」とは、精製されるべき所望のタンパク質の凝集物の解離を促進することによって、凝集物の混入を減少させ得る有機化合物、または他の試薬とともに凝集物の混入を減少させるのを助け得る有機化合物のことを指す。有機調節物質としては、とりわけ、塩、ウレイド、アミノ酸、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒および界面活性物質が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0154】
「有機溶媒」とは、液体状態で存在する、天然に存在するまたは合成の有機化合物のことを指す。本発明を行うのに適した例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノールおよびフェノキシエタノールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0155】
「ポリヌクレオチド」とは、鎖として共有結合的に結合された複数のヌクレオチドモノマーから構成される生体高分子のことを指す。DNA(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)は、ポリヌクレオチドの例である。ポリヌクレオチドは、水素結合を形成する高い傾向を有し得る。
【0156】
「タンパク質」とは、炭素、水素、酸素、窒素、および通常は硫黄を含み、主に、ペプチド結合によって連結された1本以上のアミノ酸鎖から構成される、複雑な有機高分子の任意の群のことを指す。タンパク質は、天然起源または組換え起源であり得る。タンパク質は、グリコシル化、ペグ化または他の化学部分との結合体化などによって、非アミノ酸部分で修飾され得る。タンパク質の例としては、抗体、凝固因子、酵素およびペプチドホルモンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0157】
「タンパク質調製物」とは、目的のタンパク質を含む任意の水溶液またはほぼ水性の溶液(例えば、細胞を含む細胞培養回収物、(実質的に)無細胞の細胞培養上清、または精製段階由来の目的のタンパク質を含む溶液)のことを指す。
【0158】
「サンプル適用条件」とは、所望のタンパク質を含むサンプルが、どのようにして供給されるかを指し、例えば、サンプル濃度、溶離剤の伝導率などが挙げられる。サンプル適用条件は、通常、次の精製のためにカラムが平衡化される条件に対して選択され得る。
【0159】
「固体材料」とは、粒状、結晶性、重合体、繊維状、多孔性の中空繊維状、一体構造または膜状の性質であり得る不溶性の有機固体のことを指す。固体材料は、非多孔性粒子もしくは多孔性粒子、多孔性膜、多孔性繊維または多孔性モノリスからなり得る。それらの粒子は、粒状である場合、おおよそ球状であってもよいし、そうでなくてもよく、100nm未満から100ミクロン超の範囲のサイズであり得る。多孔性粒子の平均孔サイズは、約10nm未満(マイクロ多孔性)から約100nm超(マクロ多孔性)の範囲であり得る。膜における平均孔サイズは、100nm未満から1ミクロン超の範囲であり得る。膜またはモノリスにおける平均チャネルサイズは、1ミクロン未満から10ミクロン超の範囲であり得る。固体材料はさらに、例えば、粒子が、網状マトリックスの中に埋め込まれているか、膜の間にはさまれているか、またはその両方である、複合構造からなり得る。
【0160】
「過飽和ウレイド」とは、特定のタンパク質調製物において一般的な条件下でその最大溶解度を超過した量のウレイドを含む溶液のことを指す。ある特定の実施形態において、本発明は、そのようなウレイドのいくらかの割合が、サンプルに溶解されない形態で存在するようなそのようなサンプルに対する条件下において、そのようなサンプルにおけるそのようなウレイドの溶解度を超える量でウレイドが存在する、サンプルを提供する。
【0161】
「界面活性物質」は、一般に、疎水性部分および親水性部分を組み入れている(それらにより、両親媒性と称される)あるクラスの有機分子などの「界面活性剤」を含む。界面活性物質は、水溶液中での十分な濃度において、水との接触を最小にするために中心に集中した疎水性部分および水との接触を最大にするために外側に向かって放射状に広がる親水性部分を有するクラスターに自己会合し得る。生物学的調製物、特に、疎水性の特性を有するかまたは疎水性の特性の領域を有する材料を含む生物学的調製物の存在下において、界面活性物質の疎水性部分は、疎水性材料のいくつかの部分と自発的に会合する傾向および界面活性物質の親水性部分の影響によって溶解度を高める傾向がある。それらは、異なる疎水性材料の間(両方ともが水性溶媒に溶解されている)で生じる疎水性相互作用を調節するためにも使用され得る。本発明のある特定の実施形態を行うために適した界面活性物質の例としては、非イオン性界面活性物質、例えば、ポリソルベート界面活性物質(例えば、Tween20であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートおよびTween80であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)およびTriton(例えば、ポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル)および双性イオン界面活性物質(例えば、CHAPS(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)、CHAPSO(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート))およびオクチルグルコシド(例えば、(2R,3S,4S,5R,6R)−2−(ヒドロキシメチル)−6−オクトキシオキサン−3,4,5−トリオール)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0162】
「ウレイド」とは、1つ以上の尿素部分またはその誘導体を含む天然起源または合成起源の環式または非環式の有機分子のことを指す。ある特定の実施形態において、本発明は、ウレイド(例えば、尿素、尿酸、ヒダントイン、アラントイン(CAS番号97−59−6;アルクロキサ、アルジオキサ、ヘモカン、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素)、プリンおよびそれらの誘導体)を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、式R−CO−NH−CO−NHまたはR−CO−NH−CO−NH−CO−R’またはR’R”NH−CO−NR”’R””(ここで、関連する「R基」は、Hまたは任意の有機部分であり得る)の有機分子を提供する。
【0163】
「ウイルス」または「ビリオン」とは、RNAコアもしくはDNAコア、タンパク質コート、およびより複雑なタイプでは、取り囲んでいるエンベロープから構成され、生存している宿主、主に細菌、植物および動物の細胞内だけで複製する、超顕微鏡的(直径おおよそ20〜300nm)で代謝的に不活性な感染物質のことを指す。
【0164】
ある特定の実施形態において、抗体は、サンプル適用の前にカラムを平衡化させた緩衝液と同じ緩衝液において溶出され得る。そのような実施形態において、本発明は、そのカラムが、サンプルが存在している緩衝液を最初の配合から他の方法によるその後の処理により適した配合に交換する目的のために使用され得るという利点を提供し得る。サンプルが最初に存在する緩衝液の組成は、抗体の損傷を回避する必要性以外によって制限されないが、カラム平衡化緩衝液の組成は、かなりの比率のその抗体を正に帯電した粒子に結合させるのに十分なレベルにおいて、抗体に対して負電荷をもたらさない範囲内でなければならない。適切な平衡化条件は、正に帯電した多孔性粒子の選択および特異的抗体の特定の特徴に従って変動する。通常、カラム平衡化条件は、0.1mS/cm未満から30mS/cm超の伝導率値および4.0未満から9.0超のpH値の範囲であり得るが、これらに限定されない。
【0165】
夾雑物レベルを低下させることが本手法の目的である、ある特定の実施形態において、抗体を正に帯電した粒子に実質的に結合させない、最も高いpHおよび/または最も低い伝導率を使用することが有益だろう。最も高いpHおよび/または最も低い伝導率の目安は、抗体の溶解度および安定性の要件に従って加減され得ることが理解されるだろう。
【0166】
ある特定の実施形態において、電気陽性の粒子が、さらなる化学的官能基を有する場合、本方法を行うために、より低いpH値を使用すること、または粒子の表面と抗体との相互作用力を調節する添加物を含めることが、必要または有益であり得る。最も単純なそのようなバリアントは、NaClまたは他の塩を加えることであり得る。最も効果的なレベルは、種々のNaCl上昇(例えば、25mM、50mM、100mM、200mMなど)を評価することによって、実験的に決定され得る。いったん、有効な範囲が決定されたら、それは、より細かい上昇においてまたはいわゆる実験計画法(DoE)などの統計学的方法を用いて行われるその後の実験を用いて洗練され得る。代替の塩、ならびに、とりわけ、糖、カオトロープ、有機溶媒および界面活性物質を含む他の添加物もまた考えられ得る。様々なpH値との組み合わせとともに、添加物の組み合わせもまた、評価され得る。
【0167】
ある特定の実施形態において、カラム内に存在する正に帯電した粒子は、単一のタイプ、または多孔性粒子と非多孔性粒子との組み合わせもしくは異なる孔サイズを有する多孔性粒子の組み合わせを含む複数のタイプであり得る。本発明が、異なるサイズの孔を有する粒子の組み合わせを使用する場合、1つのサブセットの粒子は、抗体を物理的に排除するサイズの孔を有し得、別のサブセットは、抗体を排除しない孔サイズを有し得る。そのような場合において、抗体を排除しない程度に十分大きい孔を有するサブセットは、強い負電荷を欠く抗体による孔への進入を物理的に妨害するようにリガンドを提供し得る。
【0168】
ある特定の実施形態において、本方法の緩衝液交換能力は、それが、特に、その後の処理方法を干渉し得る低分子量のサンプル成分を除去するという利点を提供する。これにより、本発明のある特定の実施形態の予期しない別の特徴が明らかになる。エタクリジンは、非常に有効な凝集物解離剤であるので、正に帯電した多孔性粒子の表面からはじかれると予想される。しかしながら、エタクリジンは、IgG抗体と同時に溶出しない。ポリエチレンイミンなどの他の正に帯電した添加物および他のカチオン性ポリマーは、予想通りはじかれ、ある特定の実施形態ではIgGと同時に溶出するが、それらは、負に帯電した粒子を少しずつ増加させてカラム内で電気陽性多孔性粒子と混合することによって、IgGと比べて選択的に保持され得る。
【0169】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、IgGと類似の電荷特性を組み入れ得る、FabおよびF(ab’)などのIgGフラグメントならびにミニボディ、ダイアボディ、いわゆる一本鎖VHHドメイン、Fc融合タンパク質および他のIgG誘導体構築物の精製に対して、等しい有効性で適用され得る。
【0170】
ある特定の実施形態において、本発明は、粗サンプルからの抗体の最初の分画のためにまたは任意の段階の精製において使用され得;いずれの場合も、本発明が、特定の抗体の用途のために必要な全体的な精製の程度を達成するために他の精製方法と組み合わされ得ることを例証する。
【0171】
本発明が、サンプル中に凝集物解離剤およびまたはウイルス沈殿剤もしくはウイルス不活性化剤を含めることによってまたは含めずに、宿主細胞タンパク質、DNA、エンドトキシンおよびウイルスを非常に効果的に減少させるという利点も付与し得ることは、当業者には明らかだろう。溶出緩衝液の配合が、カラム平衡化緩衝液の推奨される範囲内に入るとき、これらの夾雑物の除去が、さらに増強され得ることも等しく明らかだろう。これは、カラムを複数回のサイクルのために使用すると意図されている場合、なおも結合しているDNA、エンドトキシンおよび/またはウイルスをカラムから除去するために浄化緩衝液をその後に適用することを必要とし得る。
【0172】
本発明のさらなる目的および利点は、一部が以下の説明に示され、一部がその説明から明らかになるか、または本発明を行うことによって学習され得る。本発明の目的および利点は、請求項に明記されるエレメントおよび組み合わせを用いて成し遂げられ、達成され得る。
【0173】
前述の全般的な説明と以下の詳細な説明の両方が、単に例示的かつ説明的であって、特許請求されるような本発明を限定しないことが理解されるべきである。
【0174】
本発明のある特定の実施形態を使用するための準備において、カラムに対して使用可能なサンプル体積は、決定されなければならない。カラム内のすべての粒子が正に帯電した多孔性粒子である、その最も単純な様式において、この値は、重力によって定まる圧縮されてない充填されたクロマトグラフィー床の総体積に0.4を乗算することによって、推定され得る。許容できる最大サンプル体積は、カラムが中程度のpHの低塩緩衝液に平衡化され、高塩緩衝液中のIgGのサンプルが適用され、次いで、さらなる平衡化緩衝液が適用される、単純な実験によって正確に測定され得る。280nmにおけるUV吸光度の上昇によって示唆されるような、抗体が溶出し始めた点を記録する。伝導率の上昇によって示唆されるような、高塩が溶出し始めた点を記録する。それらの記録の間の体積が、そのカラムに対する1サイクルあたりの最大サンプル体積に相当する。
【0175】
電気陽性多孔性粒子以外のさらなる粒子(例えば、第2の化学的表面を有するもの)を含むカラムに対する本発明のある特定の実施形態の実施にとって好適なサンプル体積は、正に帯電した多孔性粒子だけの体積を乗算することによって推定され得る。上記の実験を、最大のサンプルを明確に定義するために応用できる。混合された正の粒子および他の粒子の所与のカラムに対する最大のサンプル体積は、正でない粒子によって占有される相対的なカラム体積に比例して、正の多孔性粒子だけのカラムから減少し得ることは明らかだろう。
【0176】
ある特定の実施形態において、特定の抗体を精製するための方法の開発は、通常、正に帯電した多孔性粒子だけを充填したカラムであり得る最も単純な選択肢の評価から始まる。適切な粒子は、いわゆる陰イオン交換クロマトグラフィーの手法の実施用に販売されている市販のクロマトグラフィー媒体からなり得る。多数のそのような製品の例としては、Capto−Q、Capto DEAE、QAE Sephadex、DEAE Sephadex(GE Healthcare);GigaCap QおよびQ−Toyopearl(Tosoh Bioseparations);Macroprep DEAE、Macroprep High−Q、UNOsphere QおよびNuvia Q(Bio−Rad Laboratories);Eshmuno Q、DEAE Fractogel、TMAE Fractogel(Merck);ならびにQ−HyperD(Pall)が挙げられる。そのような製品は、現在、それらの表面上の第2の官能基が何であるかまたはその濃度について分類されていないし、孔サイズも、排除限界も、機能を高めるためにリガンドグラフト法を使用することに起因する実質的な孔サイズも、そのような情報も、供給業者から広く入手可能でない。そのような製品のすべてが、複数の物理的機能および化学的機能を備えること、ならびに2つ以上の製品を評価して、どれが本質的に特定の抗体の精製に最も適するかを判断することが賢明であることは、予想されるだろう。1つの実施形態において、評価は、UNOsphere QおよびNuvia QまたはUNOsphere Qだけから始まり得る。
【0177】
任意の所与の抗体について、カラムが最初に平衡化されるpHおよび伝導率値の範囲を評価することが望ましいであろう。一般的なこととして、凝集物および夾雑物の減少は、抗体が可溶性かつ安定なままである最も高いpHおよび最も低い伝導率において最善であるので、20〜50mM Tris,pH8.0などのわずかにアルカリ性の緩衝液の初期条件は、開始するのに好都合なものであり得る。続いて、それより低いおよび高いpH値(2.0もの低いpH値または9.0より高いpH値)および0.1未満から30mS/cm超の範囲の伝導率値が評価され得る。
【0178】
いくつかの実施形態において、溶出されたサンプルを、さらなるサンプル調製の必要なく、その後の精製工程に適用するのに適するようにする条件を評価することが有用であり得る。例えば、溶出されたサンプルが、その後、6.0のpHの陽イオン交換カラムに適用される場合、カラムをpH6.0に平衡化することが望ましい場合がある。溶出されたサンプルが、その後、ヒドロキシアパタイトカラムに適用される場合、中性のpHを使用すること、および緩衝液のリン酸濃度をヒドロキシアパタイトカラムが要求するレベルに設定すること、およびEDTAまたはクエン酸塩などのキレート剤を省略することが好適であり得る。平衡化緩衝液が、その後の分画方法との連続性のために選択されるいずれの場合も、精製能力が本工程で犠牲にされないことを確実にするために、高いpHかつ低い伝導率の条件が、なおも広く評価され得る。
【0179】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本方法は、サンプル組成とは実質的に無関係であると考えられる。その結果として、ある特定の実施形態において、サンプルは、抗体凝集物もしくは抗体−夾雑物複合体の解離を高めるために、またはDNA、エンドトキシンもしくはウイルスの混入を減少させるために、種々の作用物質を個別にまたは組み合わせて含んでよい。そのような作用物質としては、ある特定の実施形態において、とりわけ、最大8Mの尿素、最大6Mのグアニジン、還元剤、界面活性物質、有機溶媒、エタクリジン、クロルヘキシジン(chlorexidine)、塩化ベンザルコニウム、トリ(n−ブチル)ホスフェートおよびメチレンブルーが挙げられ得る。これらの場合における制限因子は、加えられる作用物質が、抗体を損なわないかまたは沈殿させないことであり得る。エタクリジンおよびクロルヘキシジンなどの作用物質は、抗体の特徴およびサンプルの組成に応じて0.001%未満から1%の範囲の濃度において効果的に適用され得る。一般的なこととして、高濃度は、沈殿物の形成を引き起こし得、それにより、それらを電気陽性多孔性粒子のカラムに適用する前にそれらを除去するさらなる工程が必要となり得るので、ほとんどの場合において、低濃度が好ましいだろう。UNOsphere Qに対する実験データから、この理想を満たす0.01〜0.05の濃度、および特に0.020〜0.025%の範囲の濃度が明らかになる。
【0180】
サンプル中の抗体が、上に記載されたような作用物質であらかじめ処理されているか;または本方法が、精製されていない細胞培養上清のサンプルに対して行われる、ある特定の実施形態において、本方法の性能は、実質的な第2の官能基を組み入れる正に帯電した多孔性粒子を使用することによって高められ得る。例としては、第2の官能基と計画的に組み合わされた正電荷を組み入れる多孔性粒子ベースの市販のクロマトグラフィー製品が挙げられ得る。そのような媒体は、通常、混合モードと称される。Capto adhere(GE healthcare)は、正電荷と、疎水性相互作用、pi−pi結合および水素結合に関与する能力を付与する官能基とを組み合わせている市販の混合モードのクロマトグラフィー製品の例である。同様の組み合わせは、文献において公知であり、さらなる市販品の参入が予想され得る。第2の官能基による保持または遅延を妨げるために平衡化緩衝液の配合を改変する必要があり得ることは、当業者に明らかであろう。Capto adhereの場合、例えば、陰イオン交換用に販売されているクロマトグラフィー媒体で要求されるであろうpHおよび伝導率よりも、低いpHおよび高い伝導率で操作する必要があり得る。しかしながら、第2の官能基を含めることは、正に帯電したクロマトグラフィー表面を含む帯電したクロマトグラフィー表面を利用する他の方法の機能を直接かつ劇的に干渉すると当該分野において十分に理解されている極端に高い伝導率を含むサンプルに適合する本発明の能力を、サンプル組成に関係なく損なわない。
【0181】
サンプルが上に記載されたような組成を含むある特定の実施形態において、電気陽性多孔性粒子と、第2の化学的官能基を組み込む異なる粒子とを組み合わせること、および2種または数種の粒子タイプを一緒に同じカラムに充填することが、もう1つの選択肢として有用であり得る。第2の官能基を有する粒子は、多孔性であってもよいし、非多孔性であってもよい。上記のように、本方法は、サンプル組成とは無関係なままである。同様に、平衡化条件は、抗体と第2の官能基との相互作用を保留する必要性によって限定され得る。例えば、負電荷の官能基を有する粒子が存在し、特定の抗体がそのような電荷に結合する強い傾向を有する場合、pHおよび/または伝導率を高める必要があり得る。上記のようなこの場合における好ましい交換条件は、1つ以上の第2の官能基を含めることが、より高い程度の精製を可能にし得ることである。
【0182】
電気陽性多孔性粒子が、第2の官能基を組み入れる異なる粒子と組み合わされるある特定の実施形態において、後者は、電気陽性粒子の床の上に層にされ得るか、または電気陽性粒子のカラムの直前もしくは直後に配管され得る別個のカラムに充填され得る。いくつかの実施形態において、電気陽性多孔性粒子は、第2の官能基を有する別個の粒子と混合される。
【0183】
本発明のある特定の実施形態に対する特定の抗体の精製を最適化する粒子混合物を開発するとき、第2の官能基は、特定のタイプの夾雑物の存在の増加に適合するように選択され得る。例えば、疎水性の第2の官能基は、疎水性であるが無電荷の成分(例えば、トリ(n−ブチル)ホスフェート)の除去の効率を改善し得る。電気陰性の官能基は、エタクリジンなどの正に帯電した作用物質を除去する効率を改善し得る。電気陰性で疎水性の第2の官能基の組み合わせは、正に帯電した疎水性夾雑物(例えば、エタクリジン、塩化ベンザルコニウムおよびメチレンブルー)の除去効率を改善し得る。実験データは、そのような場合における改善が、これらの夾雑物がサンプル中に独立して存在するときに本発明がそれらの夾雑物を除去することが本来できないということを反映するものでないことを示唆し;むしろ、実験データは、高められた機能が、抗体との別の安定した複合体からこれらの作用物質を競合的に解離させる能力、ならびに/または第2の官能基が、粒子間の空間に抗体を押し返すために必要な、主要な粒子上の正電荷を飽和させ得るおよび中和し得る夾雑物の量を除去する能力に由来することを示唆する。ある特定の別の実施形態において、本方法は、潜在的に問題となる夾雑物を取り除くために第2の粒子をあらかじめサンプルに直接加え得、次いで、それらの粒子をサンプルから分離し、次いで、部分的に精製されたサンプルをカラムと接触させるように、行われ得る。
【0184】
特定の抗体の精製を最適化する粒子混合物を開発するとき、第2の官能基は、もう一つの選択肢としてまたはさらに、pH制御を高める能力および/もしくは所望の操作pHにカラムを調整する(titrate)ために必要な緩衝液の体積を減少させる能力に従って、選択され得る。例えば、陰イオン交換体は、高い伝導率に曝露されると、制御されない一時的なpH上昇をもたらすと知られている。それらの陰イオン交換体は、伝導率が低下すると、制御されない一時的なpH低下をもたらす。これらの作用の大きさおよび持続時間は、工程間の伝導率の差、交換体の電荷特性および緩衝液の能力に応じて変動する。陽イオン交換体は、同じ問題に悩まされるが、制御されないpH逸脱の向きは、陰イオン交換体で起きるものと逆である。ゆえに、第2の電気陰性官能基を第1の電気陽性官能基と組み合わせると、pH逸脱の大きさが小さくなり、その持続時間が短くなる。官能基の理想的な混合は、実験によって容易に決定され得る。
【0185】
電気陽性粒子とは異なる官能基を有するさらなる粒子を使用し、それらの異なる粒子が、電気陽性粒子と混合されるかまたは電気陽性粒子の前にカラムに充填される、ある特定の実施形態において、抗体は、その異なる粒子の孔の中および外に拡散するので、最初のサンプルを、電気陽性粒子だけのカラムに適用され得る量から下方修正して、その抗体の分散の結果として生じるサンプル体積の増加を相殺する必要があり得る。最初のサンプル体積を減少させる必要な程度は、あったとしても、単純な実験によって容易に決定され得、ここで、判定基準は、平衡化緩衝液内への抗体の溶出である。
【0186】
ある特定の実施形態において、本方法は、サンプル適用の直後に適用される緩衝液の組成とは無関係であるその有効性に起因して、正に帯電した多孔性粒子の他の応用法と区別される。多くの場合、サンプル適用の直後に、多孔性粒子に結合した材料を完全に溶出することが意図された緩衝液組成物を続けることが有益であり得る。例えば、カラムは、おおよその生理学的条件(例えば、50mM Hepes、0.1M NaCl,pH7.0)に平衡化され得る。1.0M塩化ナトリウム,pH8.0を含む抗体細胞培養上清を、カラム体積の35%に達する体積で適用し、次いで、2M塩化ナトリウム,pH4.0を続ける。実質的に精製された抗体は、生理学的なHepes−食塩水緩衝液中に溶出する。これは、その抗体が、上に記載されたように、もっぱら粒子間の空間を通って移動するが、追跡緩衝液は、粒子内の孔空間を通って移動しなければならないので、生じる。このアプローチの説得力のある特徴は、それが、夾雑物の溶出とカラムの浄化を同時に行う独特の能力を支持する点であり、実際的な利点は、プロセスサイクルが短縮されること、プロセス時間および材料の使用量が減少することである。このことにより、大きなカラムでの1サイクルではなく小さいカラムで複数サイクルを行うことが魅力的になり、これにより、材料の使用量がさらに減少する。
【0187】
ある特定の実施形態において、電気陽性多孔性粒子の平均孔直径より大きい流体力学的サイズを有する酸性夾雑物(例えば、ウイルス)は、別途、抗体の立ち下がり境界(trailing boundary)において溶出し得、潜在的に抗体を過剰および不必要な程度に汚染し得るので、その夾雑物の保持を高めるという明確な目的のために、サンプルの後に平衡化緩衝液またはより低い伝導率の緩衝液、例えば、50mM Tris,pH8.0を続けることが有益であり得る。そのカラムが、電気陰性粒子の増加を含み得る程度まで、これは、電気陽性の夾雑物の除去も増加させ得る。低伝導率の追跡緩衝液の理想的な体積は、充填されたカラム体積の約50%から開始して、実験的に決定され得る。
【0188】
ある特定の実施形態において、本方法は、多孔性粒子のクロマトグラフィーに対して通常使用される流速よりも速い流速を支持する。これは、抗体が、質量輸送が対流性である粒子間の空間をもっぱら移動するがゆえに、その抗体の遅い拡散係数にも流速またはサンプル粘度にも影響されないことが理由である。したがって、本方法は、150〜300cm/時で行われる通常の多孔性粒子クロマトグラフィーの操作に対して、最大1000cm/時以上の線流速での高効率で行われ得る。しかしながら、300cm/時より速い流速は、小さいサンプル体積を要求し得る。これは、結合されない夾雑物に対する質量輸送が拡散性であることから、流速またはサンプル粘度の上昇に伴って低効率になることが理由である。過剰な流速は、夾雑物が、多孔性粒子の孔と拡散性の平衡に達する機会を少なくしてしまう。実験によって、任意の所与の抗体および緩衝液組成のセットに対する理想的な流速が明らかになるだろう。
【0189】
電気陽性多孔性粒子が、他の表面化学を有する多孔性粒子のカラムにおいて組み合されるある特定の実施形態において、通常、最大サンプル体積を電気陽性粒子だけの体積に基づかせることが有用であり得る。その場合でも、電気陽性表面を欠く粒子の存在が、カラム内のサンプルを希釈する効果を有し得るので、最大サンプル体積を実験的に決定することが賢明であり得る。
【0190】
ある特定の実施形態において、電気陽性以外の表面化学を有する粒子が、電気陽性粒子のカラムと直列で配管される別個のカラムに充填され得る。そのような配置では、他の化学の粒子が同じカラムにおいて電気陽性粒子と混合される場合について考察されたものと同じ注意事項が、適用され得る。
【0191】
ある特定の実施形態において、本明細書中に開示される方法は、サンプル調製後の最初の精製工程に使用され得る。他の実施形態において、本発明は、中間の精製に使用され得るか、または最終的な精製に使用され得る。本方法が、あるプロセスの最後の工程として使用されないいずれの場合も、本方法は、凝集物および/または夾雑物の減少と同時にサンプルの緩衝液を交換する能力のおかげでプロセス全体の連続性を促進する能力を有することは、当業者には明らかだろう。
【0192】
ある特定の実施形態において、本発明は、他の精製方法とともに実施され得る。詳細には、本発明は、サイズ排除、陰イオン交換、陽イオン交換、疎水性相互作用、優先的排除(preferential exclusion)、ヒドロキシアパタイトまたは他の形態もしくは混合モードのクロマトグラフィー、あるいはバイオアフィニティークロマトグラフィーとの任意の組み合わせで;また、沈殿、結晶化および水相二相分割(aqueous two−phase partitioning)の方法とともに、使用され得る。
【0193】
処理されたIgGを得た後、カラムの内容物は、廃棄され得る。あるいは、そのカラムは、それがさらなるサイクルのために使用され得るように、高濃度の塩で浄化され得、次いで、再平衡化によって元の条件に戻され得る。そのカラムはまた、水酸化ナトリウムなどの適切な作用物質で消毒され得る。
【0194】
ある特定の実施形態において、本発明は、処理能力を高めるために機械化され得、自動化され得る。ある特定のそのような実施形態において、例えば、本方法は、疑似移動床式クロマトグラフィーを行うために使用されるような自動化されたマルチカラムシステムを含み得る。
【0195】
ある特定の実施形態において、本明細書中に開示される方法は、特に、補体C1qおよびインターアルファトリプシンインヒビターのようなある特定の血漿タンパク質またはヒストンなどのアルカリ性の等電点を有するタンパク質を含む非抗体タンパク質に効果的に適用され得る。ヒストンの場合、ヒストンを、それと会合し得るDNAおよび他の夾雑物から分離するために、サンプルを1つ以上の強力な化学的解離剤(例えば、高濃度のグアニジンであるがこれに限定されない)と組み合わせることができるので、本方法は、特に有益である。次いで、平衡化緩衝液は、抗体の場合と同じガイドラインに従って選択され得る。これらの非IgGの適用は、目的のタンパク質が、その混合物中で最もアルカリ性の成分であるか、または混合物中で最もアルカリ性の成分の中に入るか、または少なくとも1つの特定の夾雑物よりもアルカリ性である、他のタンパク質を精製するための方法の適格性も明らかにし、その結果、目的のタンパク質は対流的に空隙容量を貫流する一方で夾雑物は粒子の孔体積を通って拡散的に移動するかまたは粒子表面に結合する条件が開発され得る。
【実施例】
【0196】
実施例1.10mLカラムに電気陽性多孔性粒子(NuviaQ,Bio−Rad Laboratories)を充填し、そのカラムを50mMヒスチジン,pH7.5と平衡化した。20%超の凝集物を含む約2mgのモノクローナルIgG(クローンher2)を含む2mLの清澄化された細胞培養上清を、300cm/時の流速でそのカラムに適用した。サンプルを適用した緩衝液がそのカラムを貫流するとき、平衡化緩衝液に溶出されるタンパク質ピーク、次いで、大量の材料が、貫流した。そのカラムを50mM Hepes、2M塩化ナトリウムの段階で溶出させたところ、濃縮された夾雑物ピークが得られた。pHは、最初のピークが溶出している間は安定していたが、フロースルー材料が通過している間にpH8.1まで上昇し、次いで、塩溶出工程が始まると約pH8.7に急上昇した。最初のピーク、その後のフロースルーおよび溶出ピークをサイズ排除クロマトグラフィーで解析した。最初のピークは、0.1%未満の凝集物濃度で、約80%純粋なIgGを含んでいた。その夾雑物は、主に、遊離した過剰量の抗体軽鎖を含んでいた。IgG回収率は、95%超と推定された。その後のフロースルー材料は、宿主細胞タンパク質および小分子細胞培養液成分を含んでいた。溶出ピークは、DNA、いくつかの宿主タンパク質夾雑物および細胞培養液成分を含んでいた。IgGは、その後のフロースルーおよび塩溶出画分に存在しなかった。
【0197】
実施例2.10mLカラムに電気陽性多孔性粒子(UNOsphere Q,Bio−Rad Laboratories)を充填し、そのカラムを50mMヒスチジン,pH7.2と平衡化した。20%超の凝集物を含む約2mgのモノクローナルIgG(クローンher2)を含む2mLの清澄化された細胞培養上清を、300cm/時の流速でそのカラムに適用した。サンプルを適用した緩衝液がそのカラムを貫流するとき、平衡化緩衝液に溶出されるタンパク質ピーク、次いで、大量の材料が、貫流した。そのカラムを50mM Hepes、2M塩化ナトリウム,pH7.0の段階で溶出させたところ、濃縮されたピークが得られた。最初のピーク、その後のフロースルーおよび溶出ピークをサイズ排除クロマトグラフィーで解析した。最初のピークは、0.1%未満の凝集物濃度で約80%純粋なIgGおよび約20%の遊離した過剰量の抗体軽鎖を含んでいた。その後のフロースルー材料は、宿主細胞タンパク質および小分子細胞培養液成分を含んでいた。溶出ピークは、DNA、いくつかの宿主タンパク質夾雑物および細胞培養液成分を含んでいた。IgGは、その後のフロースルーおよび塩溶出画分に存在しなかった。
【0198】
実施例3.カラムに電気陽性多孔性粒子(各5mLのNuvia QおよびUNOsphere Q)を充填し、次いで、50mM Hepes,pH7.0と平衡化した。20%超の凝集物を含む約2mgのモノクローナルIgG(クローンher2)を含む2mLの清澄化された細胞培養上清を、300cm/時の流速でそのカラムに適用した。サンプルを適用した緩衝液がそのカラムを貫流するとき、平衡化緩衝液に溶出されるタンパク質ピーク、次いで、大量の材料が、貫流した。そのカラムを50mM Hepes、2M塩化ナトリウムの段階で溶出させたところ、濃縮されたピークが得られた。最初のピーク、その後のフロースルーおよび溶出ピークをサイズ排除クロマトグラフィーで解析した。最初のピークは、0.1%未満の凝集物濃度で約80%純粋なIgGおよび約20%の遊離した過剰量の抗体軽鎖を含んでいた。その後のフロースルー材料は、宿主細胞タンパク質および小分子細胞培養液成分を含んでいた。溶出ピークは、DNA、いくつかの宿主タンパク質夾雑物および細胞培養液成分を含んでいた。IgGは、その後のフロースルーおよび塩溶出画分に存在しなかった。
【0199】
実施例4.カラムを50mM Hepes、50mM NaCl,pH7.0と平衡化すること以外は、実施例3の実験を繰り返した。最初のピークの回収率および組成は、実施例3において得られたものと等しかった。
【0200】
実施例5.カラムを50mM Hepes、100mM NaCl,pH7.0と平衡化すること以外は、実施例3の実験を繰り返した。最初のピークの回収率および組成は、実施例3において得られたものと等しかった。
【0201】
実施例6.カラムを50mM Hepes、150mM NaCl,pH7.0と平衡化すること以外は、実施例3の実験を繰り返した。最初のピークの回収率および組成は、実施例3において得られたものと等しかった。実施例3〜6の結果は、驚いたことに、最初のピークにおいて得られたIgGの純度および回収率が、平衡化緩衝液の塩濃度を高めるにつれて下がらないことを示した。その後の実験から、驚いたことに、回収率および純度が、操作pHを6.0(50mM MES)にまで低下させることにもほとんど影響されないことが明らかになった。いずれも、pH8.0(50mM Tris)では、成績は有意に改善されなかった。
【0202】
実施例7.カラムに10mLの電気陽性多孔性粒子媒体(Macroprep High−Q)を充填し、50mM Hepes,pH7.0と平衡化した。約1mgのモノクローナルIgG(her2)を含む2mLの清澄化された細胞培養上清を、300cm/時の線流速で適用した。タンパク質ピークが、平衡化緩衝液に溶出し始めた。その残りのピークは、元のサンプル由来の塩とともにカラムから出て、pH指示色素であるフェノールレッドも含んだ。95%超の純粋なIgGが、両方のピークに見られた。他のすべての夾雑物は、連続的な平衡化緩衝液の流れおよび50mM Hepes、2M NaCl,pH7.0による溶出によって、後で溶出した。このことは、異なる電気陽性媒体の間の分離性能の差異を例証する。
【0203】
実施例8.強電気陰性、水素結合および疎水性の官能基も含む2mLのキレート化多孔性粒子(Chelex−100)と混合された、10mLの電気陽性多孔性粒子(UNOsphere Q)をカラムに充填した。そのカラムを50mM Hepes、200mM NaCl,pH7.0(伝導率21mS/cm)と平衡化した。2mLの清澄化された細胞培養上清、約2mgのモノクローナルIgG(クローンher2)を300cm/時の流速でそのカラムに適用した。サンプルを適用した緩衝液とともに、平衡化緩衝液に溶出されるタンパク質ピーク、次いで、大量の材料が、貫流した。続いて、50mM Hepes、2M NaClに大きなピークが溶出した。分析用SECから、最初のピークが、0.1%未満の凝集物含有率で95%超の純粋なIgGであることが明らかになった。抗体回収率は95%超だった。この実験を、11、16および31mS/cmの伝導率値で、数回繰り返した。21mS/cm以下のすべての伝導率値において、成績は同一だった。凝集物の減少は、31mSにおいて同一だったが、IgGピークの上昇側の傾きは、より浅く、回収率は、90%まで低下した。
【0204】
実施例9.1%水溶液の溶解エタクリジンを、IgGモノクローナル抗体(クローンher2)を含む10mLの細胞培養液に撹拌しながら加えたところ、濃い黄色の0.02%エタクリジン溶液が得られた。実施例8のカラムを50mMヒスチジン,pH7.5と平衡化した。2mLの黄色に着色しているが光学的に透明な上清をそのカラムに適用し、回収した。次いで、そのカラムを25mM Hepes、3M NaCl,pH7.0で溶出し、次いで、25mM Hepes、3Mグアニジン,pH7.0で浄化した。平衡化緩衝液に溶出する最初のピークを回収した。エタクリジン処理された材料のサンプルに加えてこの画分をSECで解析した。95%超のIgGが、約80%の純度かつ0.1%未満の凝集物含有率で第1のピークに回収された。3M NaClによるカラム溶出は、多量の夾雑物を除去したが、エタクリジンは、カラムに結合したまま残り、後で、グアニジンを用いて除去された。
【0205】
実施例10.50mgのエタクリジンを、IgGモノクローナル抗体(クローンher2)を含む10mLの細胞培養液に撹拌しながら加えて、0.5%溶液を得た。これにより、即座に、濾過によって除去される高密度な黄色沈殿物が形成され、沈降した。実施例8のカラムを50mMヒスチジン,pH7.5と平衡化した。エタクリジン処理由来の2mLの黄色に着色しているが光学的に透明な上清をそのカラムに流し、回収した。次いで、そのカラムを25mM Hepes、3M NaCl,pH7.0で溶出し、次いで、25mM Hepes、3Mグアニジン,pH7.0で浄化した。平衡化緩衝液に溶出する最初のピークを回収した。エタクリジン処理された材料のサンプルに加えてこの画分をSECで解析し、上記の実施例の結果と比較した。高濃度のエタクリジンは、IgG回収率を23%低下させ、純度を5%未満しか改善しなかったが、凝集物の含有率は、なおも0.1%未満に低下し、365nmにおけるUV吸光度によって示唆されるIgGのエタクリジン含有量は、零だった。
【0206】
実施例11.105mLのIgG含有細胞培養上清を、一連のプロセスサイクル(各々、UNOsphere Qの60mLカラムを50mM Hepes、100mM NaCl,pH7.0と平衡化する工程、15mLのサンプルを適用する工程、次いで、50mM Hepes、2M NaCl,pH7.0を適用する工程からなる)で調製した。続いて、処理されたIgGを、アフィニティークロマトグラフィーを行うためのプロテインAが固定化されたカラムに適用した。そのプロテインA精製の結果を、105mLの濾過された細胞培養上清からなる未処理サンプルの結果と比較した。本発明によって処理された材料は、10倍超少ないDNAおよび宿主細胞タンパク質夾雑物しか含まなかった。
【0207】
実施例12.まず、条件付き同時水和クロマトグラフィー(constrained cohydration chromatography)で精製された後、陽イオン交換クロマトグラフィーで精製されたIgG抗体を、50mM Tris,pH8.0と平衡化されたUNOsphere Qのカラムにおいて、本発明によって処理した。結果を、UNOsphere Qにおけるフロースルークロマトグラフィーによって処理されたサンプルと比較した。本発明によって処理された材料の宿主細胞タンパク質の含有量は、フロースルークロマトグラフィーによって処理された材料よりも8倍少なかった。本発明によって処理されたサンプル中のDNAレベルは、このアッセイの検出限界未満だったので、DNA除去に対する相対的な改善は、計算できなかった。フロースルークロマトグラフィーによって処理されたサンプルでは、約23百万分率のDNAが計測された。
【0208】
実施例13.細胞培養上清から、50mM Hepes、100mM NaCl,pH7.0に平衡化されたUNOsphere Qにおいて本発明によって精製されたIgG抗体(her2)を、ヒドロキシアパタイト(CHTタイプI,40ミクロン)のカラムに適用し、リン酸勾配で溶出した。これにより、遊離した軽鎖夾雑物は排除され、抗体が99%近くの純度で残った。
【0209】
実施例14.50mM Hepes、100mM NaCl,pH7.0に平衡化されたUNOsphere Qにおいて細胞培養上清から本発明によって精製されたIgG抗体(her2)を、4部の50mM MES,pH6.0で希釈し、陽イオン交換体(Nuvia S)に適用し、pH6.0において塩勾配に溶出した。これにより、遊離した軽鎖夾雑物が排除され、抗体が99%に近い純度で残った。
【0210】
実施例15.IgG Fabタンパク質を含むE.coli溶解産物を、50mM Hepes、100mM NaCl,pH7.0に平衡化されたUNOsphere Qのカラムに適用した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって可視化されたとき、タンパク質夾雑物の90%超が、上記Fabから除去された。
【0211】
実施例16.様々な市販の陰イオン交換体の適格性を評価した。直径1.6cmの個々のカラムに、各々20mLの以下の媒体を充填した:UNOsphere Q、Nuvia Q、Capto Q、GigaCap Q、Poros HQ、Q Fast Flow SepharoseおよびFractogel tentacle DEAE。各カラムを50mM Tris,pH8.0に平衡化した。5mLに達する50mM Hepes、100mM NaCl,pH7.0中の精製されたHerceptin IgGのサンプルを各々に適用した。UNOsphere QおよびNuvia Qでは、IgGの完全な空隙分割(void partitioning)が観察された。分割は、Capto Qの場合、約95%であり、GigaCap Qの場合、約85%だった。分割は、Fractogel DEAEの場合、約75%であり、Q Sepharoseの場合、65%であり、POROS HQの場合、50%だった。
【0212】
実施例17.種々の抗体およびフラグメントのサンプルを50mM Tris,pH8.0と平衡化したUNOsphere Qのカラムに適用することによって、適用範囲の幅を調べた。サンプルは、Herceptin、Rituxan、AvastinおよびHumiraを含む精製されたIgGモノクローナル抗体からなった。Avastin以外はすべて、効果的に分割した。そのカラムを、50mM Tris、100mM NaCl,pH8.0と再度平衡化したところ、すべての抗体が、効果的に分割した。
【0213】
実施例18.Rituxan由来のFabおよびF(ab’)フラグメントを実施例17に記載されたカラムに適用することによって、さらに適用範囲の幅を調べた。両方ともが、50mM Tris,pH8.0において効果的に分割した。酵素消化プロセス後の残留Fcフラグメントも含むFabサンプルの適用は、Fcフラグメントを交換体に結合させ、続いてNaCl濃度を上昇させて溶出することによる、Fcフラグメントの除去というさらなる利点も提供した。
【0214】
実施例19.モノクローナルIgM抗体を実施例17に記載されたカラムに適用することによって、さらに適用範囲の幅を調べた。このIgMは、9.0より高い等電点を有したことから、それが、50mM Tris,pH8.0において十分に分割するはずであると示唆された。それは、そのように分割しなかったが、平衡化緩衝液に200mM NaClを含めたとき、効果的に分割した。これは、抗体における不均一な電荷分布が原因であり、このことは、なぜAvastin(実施例17)が50mM Tris,pH8.0で十分に分割しなかったかも説明し得るものである。
【0215】
実施例20.Herceptinの2工程精製。精製されていないherceptinを50mM Tris,pH8.0と平衡化したUNOsphere Qのカラムに適用したところ、99%超の夾雑宿主細胞タンパク質およびDNAが除去されたが、過剰量の遊離した軽鎖が抗体と同時に溶出した。遊離した軽鎖を、陽イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーまたはCapto adhereにおける混合モードクロマトグラフィーによって除去した。陽イオン交換クロマトグラフィーの場合、pH6.0で適用されたNaCl勾配で軽鎖を除去し、陽イオン交換工程を本発明の前または後に行った。ヒドロキシアパタイトの場合、リン酸勾配で軽鎖を除去した。Capto adhereの場合、50mM Hepes、1M NaCl,pH7.0中でサンプルを結合させ、次いで、カラムを、NaCl濃度がゼロという最終的な濃度にまで低下する直線勾配で溶出することによって、軽鎖を除去した。
【0216】
実施例21.pHおよび伝導率の条件の検討。精製されたherceptinの分割挙動を、3.0〜10.0の範囲のpH値および0〜2Mの範囲のNaCl濃度にわたって評価した。これらの実験は、UNOsphere Qにおいて行った。NaClを加えない場合、herceptinは、pH8.0以上のすべてのpH値において分割した。herceptinは、50mM NaCl以上の存在下のすべてのpH値において分割した。この方法の精製能力を、精製されていないherceptinを4〜8の範囲のpH値および0〜4Mの範囲のNaCl濃度において適用することによって評価した。最も高いpHおよび最も低い伝導率において、最良の精製性能が得られた。宿主細胞タンパク質、DNA、エンドトキシンおよびウイルスの99%超の減少が、50mM Tris pH8.0において得られた。抗体回収率もまた、99%超だった。NaClの非存在下でpHを低下させると、夾雑物の減少が減少した。pH8.0においてNaCl濃度を上昇させても、夾雑物の減少が減少した。
【0217】
実施例22.電気陽性多孔性粒子と負に帯電した疎水性粒子との組み合わせ。UNOsphere Qの20mLカラムを、Macroprep T−butyl(これは、疎水性官能基と陽イオン交換官能基との組み合わせを組み入れていると考えられる)の5mLカラムの後に直接、直列で配管した。herceptinの陽イオン交換処理されたサンプルを適用した。同一サンプルをUNOsphere Qのみのカラムに適用した。このタンデムカラムによって精製されたサンプルの宿主細胞タンパク質含有率は、UNOsphere Qのみに適用されたサンプルよりも44%低かった(1559百万分率(ppm)対2822ppm)。その後の系列では、様々なパーセンテージのMacroprep T−ButylをUNOsphere Qと直接組み合わせた:0.5%、1%および1.5%。有意な改善は、明白でなかった。
【0218】
実施例23.多段階抗体精製。Herceptinを、清澄化された細胞培養上清から、0.025%エタクリジンの存在下において1%アラントインで処理した後、トリス(2−アミノエチル)アミンおよびイミノ二酢酸で置換された粒子の混合物で濾過し、次いで、ポリエチレングリコールにおける立体排除クロマトグラフィーで最初の抗体捕捉を行った後、陽イオン交換を行い、続いて、特許請求されている発明を行うことによって、精製した。陽イオン交換工程後の宿主タンパク質濃度は、17ppmだった。pH8.25の50mM Trisにおいて適用された本発明は、宿主タンパク質濃度を2ppmまで低下させた。立体排除クロマトグラフィーを硫酸アンモニウムにおいて行うことに置換すること以外、このプロセスを繰り返した。陽イオン交換後の宿主タンパク質濃度は、158ppmだった。pH8.25において適用された本発明は、宿主タンパク質を9ppmまで低下させた。プロテインAによる同じ抗体の精製は、宿主タンパク質濃度を123ppmまで低下させた。特許請求されている発明は、宿主タンパク質濃度を123ppmから3ppmに低下させた。エタクリジンの大部分は、イミノ二酢酸によって除去された。エタクリジンは、最終的な材料中で検出不可能だった。
【0219】
実施例24.IgGの多段階精製。細胞培養上清のpHを5.5に低下させることおよびエタクリジンの代わりに0.1%オクタン酸を用いること以外は、実施例23の手順に従った。サンプルをトリス(2−アミノエチル)アミンおよびイミノ二酢酸のカラムに貫流させた後、そのサンプルを立体排除工程のためにpH8.0に調整した。オクタン酸の大部分は、固定されたトリス(2−アミノエチル)アミンによって除去された。オクタン酸は、最終工程後の抗体では検出不可能だった。
【0220】
実施例25.抗体調製物からの抗ウイルス化合物の除去。別個の実験において、0.025%エタクリジンを、pH8.0の精製されたHerceptinに加え、0.1%オクタン酸を、pH5.5の精製されたherceptinに加えた。50mM Tris,pH8.25に平衡化されたUNOsphere Qのカラムの体積の35%を構成するサンプルを適用することによって、それらのサンプルを処理した。エタクリジンは、上部への非常に濃い黄色のバンドの蓄積によって示されるように、カラムに強く結合した。オクタン酸も同様に除去されたが、その無色の性質のせいで、視覚的に明らかでなかった。両方の場合において、3Mグアニジン,pH5.5の溶出によって、カラムを再生した。
【0221】
実施例26.多様な正に帯電した粒子の使用。50mM MES、25mM NaCl,pH6.0中の4mLの体積の589百万分率の夾雑宿主細胞タンパク質を含むモノクローナル抗her2 IgGの部分的に精製されたサンプルを、50mM酢酸塩pH4.0に平衡化されたCapto adhereの20mLカラムに適用した。その抗体の約92%は、空隙容量に分割した。分割したIgGの宿主タンパク質含有率は、5百万分率であり、これは、約99%の減少に相当する。抗体回収率は、約92%だった。操作条件は、実施例21に記載されたようにスクリーニングされたpHおよび塩濃度の範囲から選択された。この実施例と実施例21との間で非常に異なる条件は、正電荷が存在する限り、本方法が広範囲の化学的選択性の間で機能することを強調する。これらの2つの実施例は、一連のクロマトグラフィー媒体タイプにわたる本方法の有用性、および単純であるが体系的なスクリーニングによって最も適切な条件を特定できることも強調する。
【0222】
実施例27.正に帯電したマイクロ多孔性粒子の使用。50mM Hepes、50mM NaCl,pH7.0中のherceptinの部分的に精製された4mLサンプルを、50mM Tris,pH8.0に平衡化された20mLのQAE Sephadex A25を含むカラムに適用した。そのクロマトグラムは、抗体が空隙容量に溶出されただけでなく、塩もまた空隙に溶出し始めることを示唆した。元のサンプル中の塩由来のナトリウムイオンがイオン排除されるので、空隙において塩溶出が生じるという仮説を立てた。45ppmの宿主細胞タンパク質もまた、抗体とともに溶出した。この実験を、各回ごとに塩濃度を上げながら数回繰り返した。サンプル−塩ピークは、平衡化塩濃度が上がるにつれて、含められた体積までより限定され、200mM NaClでは、溶出プロファイルは、UNOsphere Qで観察されたものと本質的に同じだった。これは、上記イオン排除仮説と一致しているようである。驚いたことに、平衡化塩が増加するにつれて、夾雑物の除去も、200mM NaClにおいて宿主タンパク質夾雑物が検出されない点まで増加した。したがって、この粒子材料の操作上の特徴は、UNOsphere Qで観察された塩増加に対する応答とまったく逆の応答に従う。UNOsphere Qは、QAE Sephadexで観察されたような塩イオンの早期の溶出を示すことは決してなかった。この実験における宿主細胞タンパク質は、ELISAによって計測された。
【0223】
実施例28.リガンドがグラフトされた正に帯電した粒子の使用。
【0224】
全般的な実験条件
緩衝液、塩および試薬は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。ラットIgMハイブリドーマであるクローン60A9は、SP2/0細胞によって5%ウシ胎仔血清中で作製された。キメラおよびヒト化バイオシミラーIgGモノクローナル抗体は、トリシストロニックベクター(Ho et al.,J.,Biotechnol.(2012)157:130−et seq.)を使用して、チャイニーズハムスター卵巣細胞によって無タンパク質培地中で産生された。RituximabのF(ab’)およびFabは、固定化された酵素を用いた消化によって調製した(Gagnon et al.,J.Sep.Sci.(2009)32:3857−et seq.)。
【0225】
UNOSPHERETMQ、NUVIATMQおよびセラミックヒドロキシアパタイトCHTTMタイプ140μmは、Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA)から購入した。GIGACAPTMQは、Tosoh Bioscience(Tokyo,Japan)から購入した。Fractogel DEAE Hi−Capは、Merck(Darmstadt,Germany)から購入した。Q SEPHAROSETMFast Flow、CAPTOTMQ、Capto adhere、MABSELECTTM(プロテインA)およびSEPHADEXTMG25は、GE Healthcare(Uppsala,Sweden)から購入した。POROS(登録商標)HQ−50およびXSは、Applied Biosystems(Foster City,CA)から入手した。CIMTMQAモノリスは、BIA Separations(Klagenfurt,Austria)から入手した。SARTOBINDTMQ−Nano膜濾過ユニットは、Sartorius−Stedim(Goettingen,Germany)から入手した。PROSEPTM−Va(プロテインA)は、Millipore(Billerica,MA)から購入した。
【0226】
陰イオン交換用の粒子ベースの媒体を、300cm/時の線流速でXKTM16/20カラム(20mL,10cm床高;GE Healthcare)に充填した。軸圧縮を回避するために、アダプターをその床の表面に慎重につけた。サンプル境界におけるプレカラム分散を最小するためにスーパーループを通ってこれらのカラムにサンプルを、細心の注意を払って適用した。プロテインA媒体をXKまたはTRICORNTMシリーズのカラム(GE Healthcare)に充填した。200cm/時で実験を行った。カラム充填およびクロマトグラフィー実験は、AKTATMExplorer 100(GE Healthcare)において行った。
【0227】
いくつかの陰イオン交換実験において、500mM NaClをサンプルに加えることにより、抗体および塩の相対的な分配を強調した。pH3.0で行われた実験は、50mMクエン酸塩で緩衝され;pH4.0で行われた実験は、50mM酢酸塩で緩衝され;pH5で行われた実験は、25mM酢酸塩、25mM MESで緩衝され;pH6.0で行われた実験は、50mM MESで緩衝され;pH7.0で行われた実験は、50mM Hepesで緩衝され;pH8.0で行われた実験は、50mM Trisで緩衝され、pH9.0および10.0で行われた実験は、50mMホウ酸塩で緩衝された。濾過された細胞培養上清(CCS)を、50mMリン酸塩、100mM NaCl,pH7.2と平衡化されたプロテインA親和性媒体に適用することによって、精製されたIgGを調製した。平衡化緩衝液をローディングした後、カラムを洗浄し、次いで、100mMアルギニン、100mM酢酸塩,pH3.5(MABSELECTTM)または100mMクエン酸塩,pH3.0(PROSEPTM)で溶出した。1つの実験において、trastuzumabの最初の精製を、POROS HSXにおける陽イオン交換クロマトグラフィーによって行った。pH6.0に調整した細胞培養上清を2.5mS/cmの伝導率に希釈し、50mM MES,pH6.0と平衡化されたカラムにローディングした。この後、平衡化緩衝液で洗浄し、次いで、50mM MES、200mM NaCl,pH6.0までの直線勾配で溶出した。
【0228】
1つの実験において、細胞培養上清を陰イオン交換処理した後のtrastuzumab中に残留している夾雑遊離軽鎖および軽鎖二量体を、上に記載されたような陽イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。別の実験では、1M NaCl、50mM Hepes,pH7.0においてサンプルをCapto adhereに結合させ、次いで、50mM Hepes,pH7.0まで下行する直線勾配で溶出することによって、軽鎖夾雑物を除去した。別の実験では、50mM Hepes、5mMリン酸ナトリウム,pH7.0においてサンプルをヒドロキシアパタイトに結合させ、次いで、1M NaCl、5mMリン酸塩,pH7.0までの直線勾配で溶出した後、500mMリン酸塩,pH7.0で浄化することによって、軽鎖夾雑物を除去した。
【0229】
抗体凝集物を、50mM MES、200mMアルギニン、5mM EDTA、0.05%アジ化ナトリウム,pH6.5)と平衡化されたG3000SWxlカラム(Tosoh Bioscience)を備えたShimadzu HPLCシステム(Kyoto)におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって0.6mL/分でモニターした。100μLのサンプルを注入した。Cygnus Technologies Inc.(Southport,NC)製のCHO HCPキットを用いて製造者の推奨に従い、ELISAによって宿主細胞タンパク質(HCP)をモニターした。ACCUBLUETMHigh Sensitivity dsDNA Quantitationキット(Biotium,Inc.,Hayward,CA)を用いて、製造者の推奨に従い、インターカレート色素アッセイによって宿主細胞DNAを計測した。ENDOSAFE ENDOCHROME−KTMLAL試薬(Charles River Laboratories Inc.,Wilmington,MA)を使用する標準的な動態学的色素生産性Limulus Amebocyte Lysateアッセイによって、エンドトキシンレベルを計測した。マウス微小ウイルス(MVM)およびマウス白血病ウイルス(MuLV)に対する感染性試験をCharles River Laboratories(Cologne,Germany)が行った。
【0230】
Trastuzumabの精製。UNOsphere Qにおけるバイオシミラーtrastuzumab(IgG)のフロースルー陰イオン交換クロマトグラフィーの経過中、ブレークスルー画分の立ち上がり端に明確なショルダーが観察された。そのショルダーの伝導率およびpHは、カラムの平衡化条件とマッチした。7.0という操作pHおよび8.45という抗体等電点(pI)を考えれば、その抗体が、交換体の表面からはじかれ、空隙容量を通過してもっぱら移動せざるを得ないと結論づけられた。カラムが35%以下の総体積にローディングされるとき、単一集団の高度に精製されたtrastuzumabが、完全に空隙容量内に溶出し、図1に示されるように、夾雑物の大部分から良好に分離された。
【0231】
ピーク幅は、NaCl濃度が4Mまで増加するにつれて広がったが、分割は、本質的に完全なままであることが観察された。分割は、pH9および10では観察されず、それは、抗体の正味電荷の反転が原因であるが、緩衝液が50mM以上のNaClを含むときは、それは完全に回復した。これらの結果から、静電反発は、分割を達成するために必要なかったが、その代わり、分割は、静電引力の保留に依存するとみられることが示唆される。
【0232】
塩は、図1に示されるように、空隙容量の後に溶出した。これは、IgGを平衡化緩衝液中に緩衝液交換する手段、およびIgGが3Mグアニジン,pH5.5に適用されたときでさえ、分割をサンプル組成と無関係にする副次的な利点を提供する。宿主細胞タンパク質(HCP)の大部分は、IgGよりも酸性であるので、宿主タンパク質の細胞レベルは、非IgGタンパク質挙動の指標として使用できる。50mM Tris,pH8.0と平衡化されたカラムでは、UNOSPHERETMQ空隙容量分割は、trastuzumab細胞培養上清(CCS)から99.1%の宿主細胞タンパク質を除去し、ProSep プロテインA精製されたIgGから99.5%を除去し、陽イオン交換精製されたIgGから99.6%を除去した。細胞培養上清からの宿主細胞タンパク質の除去は、図2に示されるように、pHが低下するにつれて、および平衡化緩衝液のNaCl濃度が上昇するにつれて、低下した。
【0233】
UNOSPHERETMQ空隙容量分割は、pH7.0および8.0、250mM未満のNaCl濃度において、trastuzumab細胞培養上清、およびプロテインA精製されたtrastuzumabからの99.5%のDNA減少も達成した。エンドトキシンは、50mM Hepes、50mM NaCl,pH7.0において99.7%減少した。同じ条件において分画されたサンプルのウイルス感染性試験は、マウス微小ウイルス(MVM)の3.5log減少およびマウス白血病ウイルス(MuLV)の3.0log減少を示した。
【0234】
UNOSPHERETMQ空隙容量分割において、trastuzumabは、図3(中央パネル)に示されるように、遊離軽鎖および軽鎖二量体と同時に溶出した。軽鎖夾雑物は、漸増NaCl勾配を用いるヒドロキシアパタイト、1M NaClにおいてIgGが結合され、漸減塩勾配で溶出されるCapto adhere、および漸増NaCl勾配を用いる陽イオン交換クロマトグラフィーによって除去することができた。2工程手順では、陽イオン交換の後、50mM Tris,pH8.0とのカラム平衡化におけるUNOSPHERETMQ空隙容量分割によって、宿主細胞タンパク質が14ppmまで減少し、図3(右パネル)に示されるように、細胞培養上清から99.99%の減少が提供された。後で溶出したサンプル−塩関連ショルダーの宿主細胞タンパク質含有率は、約678ppmだった。IgG回収率は、99%超だった。
【0235】
他の抗体および抗体フラグメント。Adalimumab(pI8.25)およびrituximabは、50mM Tris,pH8.0中のtrastuzumabと同程度に効果的に空隙容量分割を介して分割した。Bevacizumab(pI8.3)は、100mM NaClの存在下では空隙容量分割を介して効果的に分割したが、塩の非存在下では分割しなかった。rituximabのペプシン消化から得られたF(ab’)2およびパパイン消化から得られたFabは、インタクトな抗体と同程度に効果的に、空隙容量分割を介して分割した。Fabでは、第2のピークは、サンプル−塩と同時に溶出し、その後のより高い塩溶出ピークは、図4に示されるように、残存Fcフラグメントであることが証明された。
【0236】
この知見は、rituximabのパパイン消化物由来のFcフラグメントが、Fabよりも高い割合のカルボキシル基を含むと以前に示されているので、空隙容量分割の基となる機構であると考えられるものと一致した。理論に拘束されるものではないが、より高いカルボキシル含有量は、リガンドがグラフトされた交換体媒体において陰イオン交換基への結合を支持し、空隙容量への分割を干渉するかまたは妨げると仮定されている。Fcフラグメントは、200mM NaCl、50mM Tris,pH8.0中のFabとともに空隙に分割されることができたことから、静電引力を無にすることが、分割を達成する際に重要な因子であるという証拠が提供された。
【0237】
空隙容量分割は、充填された多孔性粒子における低密度ポリマーゾーンのサイズ排除の特徴に部分的に依存することを考えれば、この特徴を欠く陰イオン交換体は、空隙容量分割においてうまく機能しないだろうと予想された。これは、通常、開かれた接近可能な孔表面上に単層の荷電基を組み入れていると理解されている、Q Sepharose Fast Flowを用いて示された。わずか約65%のtrastuzumabしか空隙容量に分割されず、残りの大部分は、図5(左パネル)に示されるように、適用されたサンプルから残存する塩と同時に溶出した。散布粒子(perfusive particle)陰イオン交換体は、50%未満の分割しか支持しなかった。この知見は、グラフティングの差異、あるいは粒子を横断する対流チャネルの影響を反映し得る。膜および一体構造の陰イオン交換体もまた、うまく機能せず、これは、それらが、抗体が締め出される空隙容量を欠くからであると考えられる。Fractogel DEAE HiCapは、図5(中央パネル)に示されるように、約75%の分割を達成した。GigaCap Qは、約85%の分割を達成し;CAPTO Qは、約95%の分割を達成した。完全な分割は、Nuvia QおよびUNOSPHERE Qによって達成され(図1)、後者が、IgGピークとサンプル−塩ピークとの間の最良の分割を補助した。様々な交換体によるこれらの知見は、グラフティングが、交換体に対して強力な静電引力を欠く生体分子にサイズ排除限界を課すという一般的な効果を有し得ることを示唆している。
【0238】
trastuzumab MAbSelect プロテインA溶出物のpHをpH7.0に調整し、次いで、50mM Tris,pH8.0に平衡化されたUNOsphere Qの20mLカラムに6.5mLを適用した。別のアリコートを別々に、水で約4.5倍希釈して5mS/cmの伝導率を得て、次いで、100mgに達するIgGのサンプルを、50mM Tris、50mM NaCl,pH8.0に平衡化されたUNOsphere Qの1mLカラムに流した。HCPは、空隙容量分割によって2ppmに減少し、フロースルーによって3ppmに減少した。空隙容量分割は、抗体1単位あたりより大きな体積の緩衝液とクロマトグラフィー媒体の両方を使用したが、それは、凝集物を0.45%から0.05%未満まで減少させるという予想外の利点ももたらした(ここで、フロースルーは、0.35%にまでしか減少させなかった)。
【0239】
空隙容量分割を使用する本発明の方法は、そのような方法が、他の陰イオン交換形式よりも良いプロセス制御を支持するというさらなる利点を提供し得る。例えば、イオン交換プロセス中の制御されないpHの逸脱が、当該分野において注目されている。塩濃度の上昇は、イオン交換表面からHまたはOHなどの緩衝対イオンを置き換え、pHの制御されない上昇または減少をもたらし得る。そのような逸脱は、2pH単位の振幅を超える場合があり、数カラム体積に及ぶ場合がある。塩濃度の低下は、逆の徴候とともに同様の影響を媒介する。通常のフロースルー陰イオン交換では、塩濃度の変化は、サンプルロードの始めおよび終わりに生じる。それらの影響は、場合によっては許容され得るが、なおも、主要なプロセス変数に対して制御不能である。空隙容量分割を用いる本発明の方法において、塩は、抗体の後に続くので、図6のプロットに示されているように、pHの逸脱は、IgGがカラムから溶出するまで生じない。この塩溶出およびその結果生じるpHの逸脱の遅延は、より良い性能とより良い再現性の両方に寄与し得る。
【0240】
本明細書中に開示される方法および実施例に例証された方法は、宿主タンパク質、DNAおよびエンドトキシン夾雑物を99%超減少させることができることを示している。ウイルス夾雑物は、99.9%超減少され得、凝集物は、通常、0.05%未満にまで減少され得る。広範囲のサンプル条件に対する許容度と、高度の夾雑物除去と同時に緩衝液交換を達成することとの組み合わせは、リガンドがグラフトされた陰イオン交換クロマトグラフィー媒体の、抗体精製用のツールとしての汎用性および有用性を高める。
【0241】
本発明は、より高いレベルの精製を達成するために、他の精製方法と組み合わされてもよい。そのような他の精製方法の例としては、IgGの精製に通常使用される他の方法(例えば、プロテインAおよび他の形態のアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーおよびさらなる混合モードのクロマトグラフィー法)が挙げられるが、これらに限定されず;沈殿、結晶化および液液抽出の方法も挙げられる。様々な方法にとって適切な条件を開発すること、および特定の抗体の必要な精製を達成するためにそれらを本明細書中の本発明と統合することは、当業者の範囲内である。
【0242】
本明細書に引用されたすべての参考文献は、各個別の刊行物または特許または特許出願が、明確におよび個別に、それらの全体がすべての目的のために参照により援用されると示されたとの同程度に、それらの全体がすべての目的のために参照により援用される。参照により援用される刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲について、本明細書が、そのような任意の矛盾する材料に取って代わるおよび/またはそれらに優先すると意図される。
【0243】
本明細書および請求項において使用される、成分の量、クロマトグラフィー条件などを表すすべての数は、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書および添付の請求項に示される数値パラメータは、本発明によって得ようとされる所望の性能に応じて変動し得る近似値である。
【0244】
本発明の多くの改変およびバリエーションは、当業者に明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなく、もたらされ得る。本明細書中に記載される特定の実施形態は、単なる例として提供されるものであって、決して限定するものと意味されない。本明細書および実施例は、単なる例示と考えられると意図されており、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6