特許第6297054号(P6297054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297054
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】切換可能な光学特性を備えた窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/34 20060101AFI20180312BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20180312BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20180312BHJP
   G02F 1/15 20060101ALI20180312BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   C03C17/34 Z
   C03C27/06 101H
   C03C27/12 N
   G02F1/15 502
   G02B5/28
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-541059(P2015-541059)
(86)(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公表番号】特表2016-503378(P2016-503378A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013070870
(87)【国際公開番号】WO2014072138
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】12191780.1
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512212885
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
【氏名又は名称原語表記】Saint−Gobain Glass France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン オリヤール
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ セル
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−114007(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/161110(WO,A1)
【文献】 特開2009−086659(JP,A)
【文献】 特開昭58−208154(JP,A)
【文献】 特開昭57−144504(JP,A)
【文献】 特開平06−095170(JP,A)
【文献】 特開平06−024806(JP,A)
【文献】 特表2002−509516(JP,A)
【文献】 特開平05−193995(JP,A)
【文献】 特開平02−044046(JP,A)
【文献】 特開2000−214492(JP,A)
【文献】 米国特許第06055088(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00825478(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0085701(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02961609(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 17/00 − 17/44
C03C 27/06 − 27/12
B32B 17/00 − 17/12
G02F 1/15
G02B 5/26 − 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切換可能な光学特性を備えた窓ガラスであって、少なくとも、
−外面(I)及び内面(II)を有する透明な基板(1)、
−前記外面(I)及び前記内面(II)の少なくともいずれか1つに設けられた反射層(2)、及び
−該反射層(2)に対して内室側に配置された切換可能な機能素子(3)、を有しており、
前記反射層(2)は、1つの個別の均質な層であり、複数の個別層から成る層合成体ではなく、
前記反射層(2)は、1.6〜2.55の屈折率nを有する材料を含んでおり、
前記反射層(2)の前記屈折率nと厚さdの積は、以下の選択物i)、ii)、iii)又はiv)に一致し:
i)365nm〜400nm又は730nm〜800nm、当該範囲は、緑色の外側の反射色を生じる、
ii)435nm〜480nm又は870nm〜960nm、当該範囲は、金色の外側の反射色を生じる、
iii)305nm〜365nm又は610nm〜730nm、当該範囲は、青色の外側の反射色を生じる、
iv)270nm〜285nm又は500nm〜600nm、当該範囲は、紫色の外側の反射色を生じる、
前記外側の反射色は、観察角度に左右されない、
ことを特徴とする、切換可能な光学特性を備えた窓ガラス。
【請求項2】
前記基板(1)は前記内面(II)で以て、少なくとも1つの熱可塑性の中間層(5)を介して、外面(III)及び内面(IV)を有する透明なカバーガラス(4)と結合されており、前記機能素子(3)は、前記外面(III)又は前記内面(IV)に配置されているか、前記熱可塑性の中間層(5)内に配置されている、請求項1記載の窓ガラス。
【請求項3】
前記基板(1)は前記内面(II)で以て、少なくとも1つのスペーサ(7)を介して、外面(III)及び内面(IV)を有する透明なカバーガラス(4)と結合されており、前記機能素子(3)は、前記外面(III)又は前記内面(IV)に配置されている、請求項1記載の窓ガラス。
【請求項4】
前記反射層(2)は、前記外面(I)に配置されており、前記機能素子(3)は、前記内面(II)に配置されている、請求項1記載の窓ガラス。
【請求項5】
前記反射層(2)は少なくとも、窒化ケイ素、酸化スズ、酸窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、酸化インジウムスズ、酸化スズ亜鉛、酸化チタン亜鉛及び酸化チタンケイ素の少なくともいずれか1つを含んでいる、請求項1から4までのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項6】
前記機能素子(3)は、エレクトロクロミック機能素子、PDLC機能素子、SPD機能素子、サーモクロミック機能素子、ガスクロミック機能素子、フォトクロミック機能素子、フォトエレクトロクロミック機能素子、又はサーモトロピック機能素子である、請求項1から5までのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項7】
前記基板(1)は、プレストレスが加えられていないか、プレストレスが部分的に加えられているか、或いはプレストレスが加えられたガラスを含んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項8】
前記ガラスは、板ガラス、フロートラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスである、請求項7記載の窓ガラス。
【請求項9】
前記基板(1)は、透明プラスチックを含む、請求項7記載の窓ガラス。
【請求項10】
前記透明プラスチックは、剛性の透明プラスチックである、請求項9記載の窓ガラス。
【請求項11】
前記透明プラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチロール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル及びこれらの混合物の少なくともいずれか1つである、請求項9または10記載の窓ガラス。
【請求項12】
前記基板(1)は、20μm〜10mmの厚さを有している、請求項7から11までのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項13】
請求項1、2又は5〜12までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法であって、少なくとも
−前記反射層(2)を、透明な前記基板(1)の外面(I)又は内面(II)に付与し、
−切換可能な前記機能素子(3)を、透明な前記カバーガラス(4)の外面(III)又は内面(IV)に付与するか、又は前記熱可塑性の中間層(5)内に装入し、且つ
−前記基板(1)を、熱、真空及び圧力の少なくともいずれか1つの作用下で、前記熱可塑性の中間層(5)を介して前記カバーガラス(4)と結合する
ことを特徴とする、請求項1、2又は5〜12までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法。
【請求項14】
請求項1、3又は5〜12までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法であって、少なくとも
−前記反射層(2)を透明な前記基板(1)の外面(I)又は内面(II)に付与し、
−切換可能な前記機能素子(3)を、透明な前記カバーガラス(4)の外面(III)又は内面(IV)に付与し、且つ
−前記基板(1)を、前記少なくとも1つのスペーサ(7)を介して前記カバーガラス(4)と結合する
ことを特徴とする、請求項1、3又は5〜12までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法。
【請求項15】
請求項1又は4〜12までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法であって、少なくとも
−前記反射層(2)を、透明な前記基板(1)の外面(I)に付与し、且つ
−切換可能な前記機能素子(3)を、前記基板(1)の内面(II)に付与する
ことを特徴とする、請求項1又は4〜12までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法。
【請求項16】
外側の反射色を調整するための、請求項1から12までのいずれか1項記載の窓ガラスにおける前記反射層(2)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切換可能な光学特性を備えた窓ガラス、該窓ガラスの製造方法及び該窓ガラスの使用に関する。
【0002】
窓ガラスの光学特性を変化させることのできる機能層を有する、複数の窓ガラスが知られている。その一例が、2つの透明な平形電極の間に電気化学的に活性の層を有する、エレクトロクロミック式の窓ガラスである。活性層の透過特性は、平形電極に印加された電圧によって電気的に切り換えることができる。エレクトロクロミック式の窓ガラスは、例えば米国特許出願公開第20120026573号明細書及び国際公開第2012007334号から公知である。
【0003】
切換可能な光学特性を備えた窓ガラスは、例えば建物の窓ガラスとして使用され得る。但し、このような窓ガラスの切換状態は、外部環境へ反射される光の色印象に影響を及ぼす。切換可能な複数の窓ガラスが、それぞれ異なる切換状態にあると、建物の、不均一であまり美的でない外観につながることになる。
【0004】
欧州特許第0645352号明細書から公知のコーティングにより、窓ガラスの均一な外観が保証される。主要な役割が熱線の反射であるこの公知のコーティングは、異なる複数の個別層の合成体から成っていることにより、手間と費用のかかる製造方法が必要である。米国特許第6746775号明細書から公知の、反射防止コーティングを備えた電気的に切換可能な窓ガラスによって、窓ガラスの色印象は適合され得る。しかしながら、このような反射防止コーティングは、観察角度に応じて異なる色印象を招くことがあり、このことは美的な理由から望ましくないことが多い。
【0005】
本発明の課題は、切換可能な光学特性を備えた、改良された窓ガラスを提供することにある。この窓ガラスは簡単且つ廉価に製造可能であり、且つ切換状態や観察角度に左右されない、外部環境へ反射される光の色印象を有していることが望ましい。
【0006】
本発明の課題は、本発明に基づき独立請求項1記載の切換可能な光学特性を備えた窓ガラスによって解決される。好適な構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスは、少なくとも以下の特徴を有している。即ち:
−外面及び内面を有する透明な基板、
−該基板の外面及び/又は内面に設けられた反射層、及び
−該反射層に対して内室側に配置された切換可能な機能素子、を有しており、
前記反射層は、1.6〜2.55の屈折率nを有する材料を含んでおり、前記反射層の前記屈折率nと厚さdの積は、250nm〜960nmである。
【0008】
反射層は、本発明の意味では1つの個別の均質な層である。この反射層は特に、複数の個別層から成る層合成体ではない。
【0009】
本発明による窓ガラスは、例えば車両又は建物の開口部において、内室を外部環境に対して隔離することを想定したものである。外面とは、本発明の意味では窓ガラスの取付け状態において外部環境に面した基板の表面を意味する。内面とは、本発明の意味では窓ガラスの取付け状態において内室に面した基板の表面を意味する。
【0010】
屈折率nに関して記載した前記値は、550nmの波長において測定されたものである。
【0011】
1つの素子が少なくとも1つの材料を含んでいる場合、このことには本発明の意味では前記素子が前記材料から成るケースが含まれる。
【0012】
切換可能な光学特性を備えた窓ガラスとは、本発明の意味ではその光学特性、例えば可視光の透過率が、2つの別個の状態、例えば不透明な状態と透明な状態との間で切り換えられる窓ガラスだけを意味するものではなく、その光学特性が無段階に調整可能な窓ガラスをも意味している。
【0013】
切換可能な機能素子は、本発明では反射層の内室側に配置されている。即ち、機能素子は内室に対して、反射層よりも小さな間隔を有している。つまり、外部環境から窓ガラスを通って入射する光は、まず最初に反射コーティングに当たり、次いで機能素子に当たる。本発明による反射層によって、外部環境に向かって反射される光の色印象(本発明の意味では外側の反射色とも云う)に影響を及ぼすことができる。屈折率nと厚さdとにより、外側の反射色を意図的に所望のように調整することができる。当該反射層は、機能素子の切換状態を、外部からは認識することができないようにする。要するに、本発明による窓ガラスを複数備える建物のファサードは、個々の窓ガラスの切換状態とは関係なく、常に均一な外観を有している。外側の反射色は更に、観察角度にも左右されないので、例えば建物を通過する観察者にとっても、外観が変化することはない。反射層は更に、1つの個別の層しか有していないので、窓ガラスは簡単且つ廉価に製造可能である。これは本発明の大きな利点である。
【0014】
複数の切換可能な機能素子が、反射コーティングの内室側に配置されていてもよい。当然、窓ガラスは2つ以上の本発明による反射層を有していてもよく、この場合、機能素子は、少なくとも1つの反射層の内室側に配置されていなければならない。
【0015】
反射層の材料の屈折率nは、本発明では1.6〜2.55である。屈折率は、好適には1.9〜2.3である。これにより特に良好な結果が得られる。
【0016】
反射層は多孔質であってよい。適切に選択された多孔度に基づき、反射層の材料の屈折率に有利に影響を及ぼすことができる。
【0017】
反射層は、基板の表面に対して全面的に付与されていていよい。これは均一な外側の反射色に関して特に有利である。しかしまた、基板は例えば、コーティングされていない縁部領域が取付け状態において例えばフレーム又は取付け部材によって隠されている場合には、コーティングされていない縁部領域を有していてもよい。
【0018】
反射層は、好適には少なくとも、窒化ケイ素、酸化スズ、酸窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、酸化インジウムスズ、酸化スズ亜鉛、酸化チタン亜鉛及び/又は酸化チタンケイ素を含んでいる。反射層は、特に好適には、窒化ケイ素を含んでいる。このことは、反射層の安定性及び付与に関して、並びに外側の反射色の調整に関して特に有利である。
【0019】
本発明の好適な構成では、外部環境に向かって反射される光は、緑色の色印象を有している。緑色の色印象は、反射層の屈折率nと厚さdの積が、365nm〜400nm、好適には375nm〜390nm、特に約385nmである場合に達成される。緑色の色印象は択一的に、反射層の屈折率nと厚さdの積が、730nm〜800nm、好適には750nm〜780nm、特に約770nmである場合に達成される。
【0020】
本発明の択一的な好適な構成では、外部環境に向かって反射される光は、金色の色印象を有している。金色の色印象は、反射層の屈折率nと厚さdの積が、435nm〜480nm、好適には440nm〜475nm、特に約450nmである場合に達成される。金色の色印象は択一的に、反射層の屈折率nと厚さdの積が、870nm〜960nm、好適には880nm〜950nm、特に約900nmである場合に達成される。
【0021】
本発明の別の択一的な好適な構成では、外部環境に向かって反射される光は、青色の色印象を有している。青色の色印象は、反射層の屈折率nと厚さdの積が、305nm〜365nm、好適には320nm〜345nm、特に約330nmである場合に達成される。青色の色印象は択一的に、反射層の屈折率nと厚さdの積が、610nm〜730nm、好適には640nm〜690nm、特に約660nmである場合に達成される。
【0022】
本発明の更に別の択一的な好適な構成では、外部環境に向かって反射される光は、紫色の色印象を有している。紫色の色印象は、反射層の屈折率nと厚さdの積が、250nm〜300nm、好適には270nm〜285nm、特に約280nmである場合に達成される。紫色の色印象は択一的に、反射層の屈折率nと厚さdの積が、500nm〜600nm、好適には540nm〜570nm、特に約560nmである場合に達成される。
【0023】
反射層は、好適には基板の表面に直接に付与されている。反射層の他に、別の層が反射層の上側又は下側において基板に付与されることは、好適には一切ない。これは、窓ガラスの簡単且つ廉価な製造に関して特に有利である。しかしまた、択一的に少なくとも1つの別の層、例えば付着仲介層又はバリア層が、基板と反射層との間に配置されていてもよい。反射層の、基板とは反対の側の表面にも、少なくとも1つの別の層、例えば反射層の損傷に対する保護層が配置されていてよい。
【0024】
機能素子は、切換可能な光学特性を有する、少なくとも1つの機能層を含んでいる。機能層が電気的に切換可能である場合、この機能層は、典型的には第1及び第2の透明な平形電極間に配置されている。平形電極と機能層とは、典型的には基板の表面に対して平行に配置されている。平形電極は、外部電圧源に電気的に接続されている。
【0025】
本発明の1つの構成では、機能素子の機能層は、電気化学的に活性の層である。このような機能素子は、エレクトロクロミック機能素子として知られている。可視光の透過率は、機能層内へのイオンの取込み度に左右され、この場合、イオンは例えば機能層と一方の平形電極との間のイオン蓄積層によって供給される。透過率には、イオンの移動を生ぜしめる、平形電極に印加された電圧によって、影響を及ぼすことができる。適当な機能層は、例えば少なくとも酸化タングステン又は酸化バナジウムを含んでいる。エレクトロクロミック機能素子は、例えば国際公開第2012007334号、米国特許出願公開第20120026573号明細書、国際公開第2010147494号及び欧州特許出願公開第1862849号明細書から公知である。
【0026】
本発明の1つの構成では、機能素子の機能層は、例えばポリマーマトリックス中に装入された液晶を含んでいる。このような機能素子は、PDLC(高分子分散型液晶)機能素子として知られている。平形電極に電圧が印加されない状態では、液晶は不規則に配列しており、このことは、機能層を通って入射する光の大幅な分散を招く。平形電極に電圧が印加されると、液晶は1つの共通の方向に配列し、その結果、光の透過率が機能層によって高められる。このような機能素子は、例えば独国特許出願公開第102008026339号明細書から公知である。
【0027】
本発明の1つの構成では、機能素子の機能層は懸濁粒子を含んでおり、この場合、機能層を通る光の吸収量は、平形電極に対する電圧の印加によって変更可能である。このような機能素子は、SPD機能素子(suspended particle device)として、例えば国際公開第2011033313号から公知である。
【0028】
但し、本発明は電気的に切換可能な機能素子に限定されるものではない。本発明の1つの構成では、機能素子は熱的に切換可能である。このような機能素子は、サーモクロミック材料、例えば酸化バナジウムを含む、少なくとも1つの機能層を有している。サーモクロミック材料は、例えばガラス上に付与されているか、又は例えばポリマー層内に装入されていてもよい。サーモクロミック材料は、所定の移行温度を超過すると、結晶構造の変化に基づき、電気絶縁状態から導電状態に移行し、このときその光学特性、例えば赤外線に対する反射率及び/又は色が変化する。サーモクロミック機能素子は、例えば米国特許出願公開第2005147825号明細書及び米国特許出願公開第6084702号明細書から公知である。
【0029】
本発明による機能素子は、光学特性に関して、別の自体公知の原理に基づき切換可能であってもよい。この機能素子は、例えばガスクロミック機能素子、フォトクロミック機能素子、フォトエレクトロクロミック機能素子、又はサーモトロピック機能素子であってもよい。
【0030】
機能素子の複数の構成に共通して、切換状態は、外部環境にいる観察者から、外側の反射の色に基づいて認識されることがある。大抵は望ましくないこの作用は、本発明による反射層によって有利に阻止される。
【0031】
切換可能な機能素子は、もちろん機能層(及び電気的に切換可能な機能層の場合は平形電極)以外に、別の自体公知の複数の層、例えばバリア層、遮蔽層、反射防止層、保護層及び/又は平滑化層を有していてよい。
【0032】
反射層は、本発明では基板の表面に付与されているのに対して、機能素子は、本発明による窓ガラスの内部において、反射層の内室側に配置されている。本発明の1つの構成では、反射層は基板の外面に配置されており、機能素子は基板の内面に配置されている。この場合、基板はガラスユニットの構成部材であってよい。基板は、例えば内面又は外面で以て、熱可塑性の中間層を介して少なくとも1つの別のガラスに結合されて、複合ガラスを形成していてよい。基板は、例えば内面又は外面で以て、少なくとも1つのスペーサを介して少なくとも1つの別のガラスに結合されて、絶縁窓ガラスを形成していてもよい。基板はもちろん、3枚以上の個別ガラスから成るガラスユニットの構成部材であってもよい。
【0033】
本発明の別の構成では、基板はその内面で以て、少なくとも1つの熱可塑性の中間層を介して、透明なカバーガラスと結合されている。この場合、基板が窓ガラスの取付け状態において外部環境に面しているのに対して、カバーガラスは内室に面している。カバーガラスは外面と内面とを有しており、この場合、外面は基板に面しており且つ内面は内室に面している。反射コーティングは、基板の内面又は外面に配置されている。機能素子は、カバーガラスの内面又は外面に配置されている。機能素子は択一的に、熱可塑性の中間層内で、例えば第1の熱可塑性シートと第2の熱可塑性シートとの間に配置されている。基板と、熱可塑性の中間層と、カバーガラスとを有する複合ガラスは、基板の外面及び/又はカバーガラスの内面で以て、例えば少なくとも1つの別の熱可塑性の中間層及び/又はスペーサを介して、少なくとも1つの別のガラスと結合されていてもよい。
【0034】
本発明の更に別の構成では、基板はその内面で以て、少なくとも1つのスペーサを介して透明なカバーガラスと結合されて、絶縁窓ガラスを形成している。この場合、基板は窓ガラスの取付け状態において外部環境に面しているのに対して、カバーガラスは内室に面している。カバーガラスは、外面と内面とを有しており、この場合、外面は基板に面しており、且つ内面は内室に面している。反射コーティングは、基板の内面又は外面に配置されている。機能素子は、カバーガラスの内面又は外面に配置されている。絶縁窓ガラスの内部の基板及び/又はカバーガラスは、複合ガラスの構成部材であってもよい。少なくとも1つの別のガラスが、複数のスペーサを介して基板の外面及び/又はカバーガラスの内面と結合されていてもよい。
【0035】
機能素子は、カバーガラスの一方の表面に配置されていてもよく、この場合、基板とカバーガラスとの間には、少なくとも1つの別のガラスが配置されている。この別のガラスは、熱可塑性の中間層又は少なくとも1つのスペーサを介して基板と結合されており、且つ中間層又は少なくとも1つのスペーサを介してカバーガラスと結合されていてよい。
【0036】
本発明の更に別の構成では、基板はその内面で以て、透明なカバーガラスと結合されている。この場合、基板は窓ガラスの取付け状態において外部環境に面しているのに対して、カバーガラスは内室に面している。カバーガラスは外面と内面とを有しており、この場合、外面は基板に面しており、且つ内面は内室に面している。反射コーティングは、基板の内面又は外面に配置されている。機能素子は、(場合によっては反射コーティングを介して)基板の内面と、カバーガラスの外面とに配置されており、その結果、基板とカバーガラスとは、機能素子を介して互いに結合されていることになる。
【0037】
基板は、好適にはプレストレスが加えられていないか、プレストレスが部分的に加えられているか、或いはプレストレスが加えられたガラス、特に好適には板ガラス、フロート板ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又は透明プラスチック、好適には剛性の透明プラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチロール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はこれらの混合物を含んでいる。
【0038】
有利な構成では、基板は1.45〜1.55の屈折率を有している。基板は、特に好適にはソーダ石灰ガラスを含んでいる。ソーダ石灰ガラスの屈折率は、約1.52である。
【0039】
窓ガラスが本発明によるカバーガラス及び/又は少なくとも1つの別のガラスを有している場合、このカバーガラス及び/又は別のガラスは、好適にはプレストレスが加えられていないか、プレストレスが部分的に加えられているか、或いはプレストレスが加えられたガラス、特に好適には板ガラス、フロート板ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又は透明プラスチック、好適には剛性の透明プラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチロール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はこれらの混合物を含んでいる。
【0040】
基板及び場合によってはカバーガラスの厚さは大幅に可変であり、これにより個別のケースにおける要求に、それぞれ適合され得る。基板及び場合によってはカバーガラスは、好適には20μm〜10mmの厚さ、例えば0.5mm〜10mmの厚さを有している。しかしまた、基板及び/又はカバーガラスは、例えば20μm〜100μmの極めて小さな厚さを有していてもよい。本発明による窓ガラスの面積は、例えば100cm〜20mまで、大幅に可変であってよい。好適には、当該窓ガラスは、車両の窓ガラスや建物及び建築物の窓ガラスに関して一般的であるように、400cm〜6mの面積を有している。
【0041】
基板及び場合によってはカバーガラス及び/又は別のガラスは、任意の三次元形状を有していてよい。基板及び場合によってはカバーガラス及び/又は別のガラスは、好適には平らであるか、或いは空間の1方向又は複数方向に、軽く又は強く曲げられている。
【0042】
本発明による窓ガラスが、例えば基板をカバーガラスに結合させる、熱可塑性の中間層を有している場合、この熱可塑性の中間層は、好適にはポリビニルブチラール(PVB)及び/又はエチレン酢酸ビニル(EVA)等の、熱可塑性プラスチックを含んでいる。中間層は、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート樹脂、注型用樹脂、アクリレート、フッ化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、エチレン−テトラフルオロエチレン、コポリマー、及び/又はこれらの混合物を含んでいてもよい。熱可塑性の中間層は、1つ又は複数の熱可塑性シートによって形成されてよく、この場合、1つのシートの厚さは、好適には0.3mm〜3mmである。
【0043】
窓ガラスの基板と、場合によってはカバーガラスと、場合によっては別のガラスとは、自体公知の適当なコーティング、例えば反射防止コーティング、付着防止コーティング、傷防止コーティング、光触媒コーティング、又は熱線反射コーティング(Low−Eコーティング)を有していてよい。
【0044】
本発明の課題は更に、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの製造方法によって解決される。この場合少なくとも、
−反射層を、透明な基板の外面又は内面に付与し、
−機能素子を、透明なカバーガラスの外面又は内面に付与するか、又は熱可塑性の中間層内に装入し、且つ
−基板を、熱、真空及び/又は圧力の作用下で、熱可塑性の中間層を介してカバーガラスと結合する。
【0045】
基板に対する反射層の付与は、時間的に、カバーガラスに対する機能素子の付与、若しくは中間層内に機能素子を装入する前、後、又はそれと同時に行われてよい。基板とカバーガラスとは、結合に際して、基板の内面とカバーガラスの外面とが互いに面しているように配置される。基板とカバーガラスとの結合は、好適には時間的に反射層及び機能素子の付与若しくは装入の後で行われる。反射層及び/又は機能素子を、例えば基板の外面又はカバーガラスの内面のような、基板とカバーガラスとの結合後でもまだアプローチ可能な表面に付与しようとする場合には、当然、反射層及び/又は機能素子の付与を、時間的に基板とカバーガラスとの結合の後に行うこともできる。
【0046】
機能素子が、電気的に切換可能な機能素子である場合、平形電極の電気的な接触接続は、好適には基板とカバーガラスとの結合の前に行われる。
【0047】
機能素子を熱可塑性の中間層内へ装入ことには、好適には機能素子を、少なくとも1つの第1の熱可塑性シートと、少なくとも1つの第2の熱可塑性シートとの間に装入することが含まれる。
【0048】
基板とカバーガラスとの結合は、自体公知の方法によって、例えばオートクレーブ法、真空袋法、真空リング法、カレンダ法、真空ラミネータ、又はこれらの組み合わせによって行われる。
【0049】
本発明の課題は更に、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの製造方法によって解決される。この場合少なくとも、
−反射層を透明な基板の外面又は内面に付与し、
−機能素子を、透明なカバーガラスの外面又は内面に付与し、且つ
−基板を、少なくとも1つのスペーサを介してカバーガラスと結合する。
【0050】
基板に対する反射層の付与は、時間的に、カバーガラスに対する機能素子の付与の前、後、又はそれと同時に行われてよい。基板とカバーガラスとは、結合に際して、基板の内面とカバーガラスの外面とが互いに面しているように配置される。基板とカバーガラスとの結合は、好適には時間的に反射層及び機能素子の付与若しくは装入の後で行われる。反射層及び/又は機能素子を、例えば基板の外面又はカバーガラスの内面のような、基板とカバーガラスとの結合後でもまだアプローチ可能な表面に付与しようとする場合には、当然、反射層及び/又は機能素子の付与を、時間的に基板とカバーガラスとの結合の後に行うこともできる。
【0051】
機能素子が、電気的に切換可能な機能素子である場合、平形電極の電気的な接触接続は、好適には基板とカバーガラスとの結合の前に行われる。
【0052】
本発明の課題は更に、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの製造方法によって解決される。この場合少なくとも、
−反射層を、透明な基板の外面に付与し、且つ
−機能素子を、基板の内面に付与する。
【0053】
基板に対する反射層の付与は、時間的に、基板に対する機能素子の付与の前、後、又はそれと同時に行われてよい。
【0054】
基板は、反射層及び機能素子を付与した後で、好適には少なくとも1つのガラスと結合されて、絶縁窓ガラス及び/又は複合ガラスを形成する。
【0055】
本発明による複数の方法において反射層は、自体公知の方法によって、好適には磁界援用式の陰極スパッタリングによって成膜される。これは、基板の簡単、迅速、廉価で且つ一様なコーティングに関して特に有利である。陰極スパッタリングは、例えばアルゴンから成る保護ガス雰囲気中で、若しくは例えば酸素又は窒素の添加により反応ガス雰囲気中で行われる。
【0056】
しかしまた、反射層は当業者に公知の別の方法、例えば蒸着又は化学気相成長(chemical vapour deposition, CVD)、プラズマ援用式気相成長(PECVD)又は湿式化学法によっても付与され得る。
【0057】
本発明による窓ガラスは、好適には建物において、特に好適にはファサード用窓ガラスとして用いられるか、或いは陸上、航空又は水上交通用の移動手段において用いられる。
【0058】
本発明には更に、外側の反射色を調整するための本発明による窓ガラスにおける、本発明による反射層の使用が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの第1の実施形態の横断面図である。
図2】本発明による窓ガラスの別の実施形態の横断面図である。
図3】本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図である。
図4】本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図である。
図5】本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図である。
図6】本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図である。
図7】本発明による方法の実施形態をフローチャートに基づき示した図である。
図8】本発明による方法の別の実施形態をフローチャートに基づき示した図である。
【0060】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。図面は概略的に描かれたものであって、縮尺に忠実ではない。図面は本発明を限定するものではない。
【0061】
図1には、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの1つの実施形態の横断面図が示されている。この窓ガラスは基板1を有しており、基板1は、その内面(II)で以てカバーガラス4の外面(III)と、熱可塑性の中間層5を介して結合されていて、複合ガラスを形成している。当該窓ガラスは更に、別のガラス6を有しており、別のガラス6は、スペーサ7を介してカバーガラス4の内面(IV)に結合されていて、絶縁窓ガラスを形成している。当該窓ガラスは、建物のファサードの窓ガラスとして想定されており、取付け状態では、基板1の外面(I)が外部環境に面し、且つ別のガラス6が内室に面するように配置されている。基板1、カバーガラス4及び別のガラス6は、ソーダ石灰ガラスから成っており且つ6mmの厚さを有している。ポリビニルブチラール(PVB)から成る熱可塑性の中間層5は、0.76mmの厚さを有している。環状のスペーサ7によって規定される、カバーガラス4と別のガラス6との間の間隔は、12mmである。
【0062】
基板1の内面(II)には、190nmの厚さdを有する、窒化ケイ素から成る反射層2が配置されている。窒化ケイ素の屈折率nは、2.02である。反射層2の屈折率nと、厚さdとの積は、約384nmである。反射層2によって、この実施形態では外部環境へ反射される緑色の光が達成される。
【0063】
カバーガラス4の外面(III)には、機能素子3が配置されている。この機能素子3は窓ガラスの取付け状態において、内室に対して反射層2よりも小さな間隔を有している。したがって機能素子3は、本発明の意味では反射層2の内室側に配置されている。機能素子3は、電気的に切換可能なエレクトロクロミック機能素子である。機能素子3の周りを円で取り囲んだ領域が、右側に拡大されて図示されている。機能素子3は、この実施例では、カバーガラス4から遠ざかる順に、フッ素ドープ酸化スズから成る第1の平形電極9と、リチウムドープ酸化タングステンから成るエレクトロクロミック機能層11と、Taから成る電解層14と、リチウムドープCeOから成るイオン蓄積層13と、酸化インジウムスズ(ITO)から成る第2の平形電極10とを有している。第1の平形電極9と第2の平形電極10とは、導体(図示せず)を介して外部電圧供給部に接続されている。機能層11を通る可視光の透過率は、リチウムイオンの取込み度に依存しており、且つ平形電極9,10に印加される電圧に基づいて切り換えられる。なぜならば、印加される電圧に応じて、リチウムイオンが機能層11とイオン蓄積層13との間で電解層14を通って移動することができるようになっているからである。
【0064】
反射層2無しでも、機能素子3の切換状態は、反射光の色に基づき、外部環境にいる観察者に認められる。このことは、建物のファサードに各1つの機能素子を備える複数の窓ガラスが設けられている場合に、個々の機能素子3がそれぞれ異なる切換状態を有していると、ファサードの、不均一であまり美的でない色印象を招く恐れがある。反射コーティング2によって、機能素子の切換状態に左右されない、均一な外側反射色が達成される。反射層2の屈折率nと厚さdとにより調整可能な前記外側反射色は更に、観察角度にも左右されない。よって観察者が移動しても、観察位置に応じて色が変化することはない。反射層2は更に、1つの個別の層しか有していないので、窓ガラスは簡単且つ廉価に製造され得る。これは本発明の大きな利点である。
【0065】
図2には、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの別の実施形態の横断面図が示されている。基板1は、その内面(II)で以てカバーガラス4の外面(III)と、熱可塑性の中間層5を介して結合されている。カバーガラス4の内面(IV)は、第2の熱可塑性の中間層12を介して、別のガラス6に結合されている。基板1と、カバーガラス4と、熱可塑性の中間層5とは、図1の場合と同様に構成されている。第2の熱可塑性の中間層12は、PVBから成っており且つ0.76mmの厚さを有している。
【0066】
カバーガラス4の内面(IV)には機能素子3が配置されている。この機能素子3は、ドープVOから成るサーモクロミック層である。この機能素子3は、熱に基づき切換可能である。VOは、約68℃の温度を超過すると、高い可視光透過率を有する半導体状態から、可視光透過率が低下した導体状態へと変化する。これらの切換状態の間の移行温度は、ドーピング、例えばタングステンによって、例えば約29℃に低下され得る。
【0067】
基板1の外面(I)には、酸化ジルコニウム(ZrO)から成る、200nmの厚さdを有する反射層2が配置されている。酸化ジルコニウムの屈折率nは、約2.22である。反射層2の屈折率nと厚さdの積は、444nmである。反射層2により、この実施形態では外部環境へ反射される金色の光が達成される。
【0068】
サーモクロミック材料は択一的に、例えば熱可塑性の中間層5,12の一方に装入されていて、一方の熱可塑性の中間層5;12が、切換可能な機能素子3を形成していてもよい。
【0069】
図3には、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図が示されている。基板1は、その内面(II)で以てカバーガラス4の外面(III)と、熱可塑性の中間層5を介して結合されている。基板1とカバーガラス4とは、図1の場合と同様に構成されている。熱可塑性の中間層5は、第1の熱可塑性シート5.1と、第2の熱可塑性シート5.2とを有している。これらの熱可塑性シート5.1及び5.2は、PVBから成っており、それぞれ0.76mmの厚さを有している。
【0070】
第1の熱可塑性シート5.1と、第2の熱可塑性シート5.2との間には、機能素子3が配置されている。この機能素子3は、本発明の意味では熱可塑性の中間層5内に配置されている。機能素子3を円で取り囲んだ領域が、右側に拡大されて図示されている。この機能素子3は、PDLC機能素子であって、第1の平形電極9と第2の平形電極10との間に機能層11を有している。平形電極9,10は、導体(図示せず)を介して外部電圧供給部に接続されている。機能層11は、ポリマーネットワーク中に装入された液晶を含んでいる。平形電極9,10に電圧が印加されると、液晶は1つの共通の方向に沿って配列され、これにより機能層11を通る可視光の透過率が高められる。
【0071】
基板1の内面(II)には、酸化スズ(SnO)から成る、約165nmの厚さdを有する反射層2が配置されている。酸化スズの屈折率nは、約2.00である。この反射層2の屈折率nと厚さdの積は、約330nmである。反射層2により、この実施形態では外部環境へ反射される青色の光が達成される。
【0072】
図4には、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図が示されている。基板1の外面(I)には反射層2が配置されている。基板1の内面(II)には機能素子3が配置されている。機能素子3を円で取り囲んだ領域が、右側に拡大されて図示されている。
【0073】
酸化インジウムスズ(ITO)から成る反射層2は、145nmの厚さdを有している。酸化インジウムスズの屈折率nは、1.92である。この反射層2の屈折率nと厚さdの積は、約278nmである。反射層2により、この実施形態では外部環境へ反射される紫色の光が達成される。
【0074】
基板1は、その内面(II)で以て別のガラス6に、環状のスペーサ7を介して結合されて、絶縁窓ガラスを形成している。別のガラス6の、基板1に面した表面には、断熱コーティング8が配置されている。断熱コーティング(Low−Eコーティングとも云う)は自体公知であり、内室における温度快適性を改善する。このような断熱コーティングは例えば、夏は太陽光線の特にIR領域の部分を反射し、且つ冬は窓ガラスを介した熱線の放出を低減させる、銀を基礎とした複数の機能層を有している。
【0075】
図5には、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図が示されている。基板1は、その内面(II)で以てカバーガラス4の外面(III)に、環状のスペーサ7を介して結合されている。基板1とカバーガラス4とは、図1の場合と同様に構成されている。
【0076】
カバーガラス4の外面(III)には、サーモクロミック機能素子3が配置されている。基板1の外面(I)には、反射層2が配置されている。機能素子3と反射層2とは、図2の場合と同様に構成されている。
【0077】
図6には、切換可能な光学特性を備えた本発明による窓ガラスの更に別の実施形態の横断面図が示されている。基板1はその内面(II)を介して、カバーガラス4の外面(III)に結合されている。基板1とカバーガラス4との間には、機能素子3が配置されている。この機能素子3は、基板の内面(II)と、カバーガラス4の外面(III)とに配置されているので、基板1とカバーガラス4とは、機能素子3を介して結合されていることになる。機能素子3を円で取り囲んだ領域が、右側に拡大されて図示されている。この機能素子3は、電気的に切換可能な機能素子であり、且つ第1の平形電極9と第2の平形電極10との間に機能層11を有しており、この場合、第1の平形電極は外面(III)に、且つ第2の平形電極は内面(II)に取り付けられている。平形電極9,10は、導体(図示せず)を介して外部電圧供給部に接続されている。基板1の外面(I)には反射層2が配置されている。
【0078】
図7には、切換可能な光学特性を備えた窓ガラスを製造する、本発明による方法の1つの実施形態が示されている。
【0079】
カバーガラスと基板との結合は、択一的な方法では、少なくとも1つのスペーサを介して行うこともできる。
【0080】
図8には、切換可能な光学特性を備えた窓ガラスを製造する、本発明による方法の別の実施形態が示されている。
【0081】
当業者にとって、簡単且つ廉価に付与し得る本発明に基づく反射層により、切換可能な光学特性を備えた窓ガラスの外側の反射色の効果的な調整が達成され得るということは、予期せぬ驚くべきことであった。この場合、外側の反射色は、窓ガラスの切換状態及び観察角度には左右されず、反射層の材料及び厚さの選択に基づいて自由に選択され得る。
【符号の説明】
【0082】
1 透明な基板、 2 反射層、 3 切換可能な機能素子、 4 透明なカバーガラス、 5 熱可塑性の中間層、 5.1 第1の熱可塑性シート、 5.2 第2の熱可塑性シート、 6 別のガラス、 7 スペーサ、 8 断熱コーティング、 9 機能素子3の第1の平形電極、 10 機能素子3の第2の平形電極、 11 機能素子の機能層、 12 第2の熱可塑性の中間層、 13 機能素子3のイオン蓄積層、 14 機能素子3の電解層、 I 透明な基板1の外面、 II 透明な基板1の内面、 III カバーガラス4の外面、 IV カバーガラス4の内面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8