【文献】
ROWE, D. J. et al,Chemistry and Technology of Flavors and Fragrances,Blackwell Publishing Ltd.,2005年,pp. 261-273
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記式(I)の化合物が、前記組成物の総質量の少なくとも85%を示し、かつ前記式(II)の化合物が、前記組成物の総質量の最大で15%を示すことを特徴とする、請求項2に記載の使用。
前記組成物が、88%の4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド及び12%の5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒドを含むことを特徴とする、請求項2に記載の使用。
ファイン香水、コロン、アフターシェービングローション、液体又は固形洗剤、織物柔軟剤、織物リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、シャンプー、染毛料、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラント又は発汗抑制剤、着香石鹸、シャワー又はバスムース、オイル又はゲル、衛生製品、エアフレッシュナー、“すぐに使用できる”粉末エアフレッシュナー、ワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤である、香料消費者製品であることを特徴とする、請求項8に記載の付香消費者製品。
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。より詳述すれば、本発明は、フローラルなスズラン(ドイツスズラン)タイプの有用な付香成分である、以下で定義された式(I)及び/又は(II)の誘導体を含有する組成物の付香成分としての使用に関する。従って、本明細書において以下で言及されるように、本発明は、付香組成物の又は付香消費者製品の一部として本発明の化合物も含む。
【0002】
先行技術
我々の知る限り、本発明の式(I)の化合物は、新規である。
【0003】
我々の知る限り、香料において公知の最も近い類似物は、US 2947780号において記載されたLyral(登録商標)(4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキサン−1−カルボキサルデヒド及び少量の生成物として異性体3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキサルデヒド;出所:International Flavors & Fragrances, Inc.、New York、USA)として公知の化学物質である。さらに、US 4007137号は、異性体3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキサルデヒドが所望でない成分であることを明らかに指摘している(US 4007137号、5段落、45行目を参照)。
【0004】
これらの先行文献は、式(I)又は(II)の化合物の任意の感覚刺激性を報告又は示唆しておらず、かつ香料の分野における該化合物の任意の使用を報告又は示唆していない。
【0005】
発明の詳細
驚くべきことに、以下、
1)少なくとも70%の少なくとも1つの式
【化1】
[式中、Rは、
− 水素原子を示し、かつ点線は、炭素−炭素の単結合又は二重結合を示すか、又は
− C4及びC5と結合したCH
2基を示し、かつ点線は炭素−炭素の単結合を示す]のその立体異性体のいずれか1つの形での化合物、又はそれらの混合物、
2)最大で30%の少なくとも1つの式
【化2】
[式中、Rは、
− 水素原子を示し、かつ点線は、炭素−炭素の単結合又は二重結合を示すか、又は
− C4及びC5と結合したCH
2基を示し、かつ点線は炭素−炭素の単結合を示す]のその立体異性体のいずれか1つの形での化合物、又はそれらの混合物
を含む組成物(ここで、パーセンテージは、組成物の総質量に対するw/wのパーセンテージである)を、例えばフローラルなスズラン(ドイツスズラン)タイプのにおいノートを付与するための付香成分として使用できることを発見している。
【0006】
明確性の理由から、“その立体異性体のいずれか1つ”の表現又は同様の表現に関しては、当業者によって理解される通常の意味、すなわち化合物が、純粋なエナンチオマー(キラルの場合)又はジアステレオマー(点線が単結合を示す場合)であってよいことを意味する。
【0007】
明確性の理由から、“点線は、炭素−炭素の単結合/二重結合を示す”の表現又は同様の表現に関しては、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、該点線によって連結されている炭素原子、例えば炭素4及び5の間の全体の結合(実線及び点線)が、炭素−炭素の単結合又は二重結合であることを意味する。
【0008】
本発明の特定の一実施態様に従って、前記点線及びRは、式(I)及び(II)において、同時に同様の意味を有する。
【0009】
本発明の前記実施態様のいずれか1つに従って、Rは水素原子を示し、かつ点線は、炭素−炭素の単結合又は二重結合を示す。
【0010】
本発明の前記実施態様のいずれか1つに従って、Rは水素原子を示し、かつ点線は、炭素−炭素の二重結合を示す。
【0011】
本発明の前記実施態様のいずれか1つに従って、前記組成物において、式(I)の化合物は、前記組成物の総質量の少なくとも75%を示し、かつ式(II)の化合物は、前記組成物の総質量の最大で25%を示す。
【0012】
本発明の前記実施態様のいずれか1つに従って、前記組成物において、式(I)の化合物は、前記組成物の総質量の少なくとも85%を示し、かつ式(II)の化合物は、前記組成物の総質量の最大で15%を示す。
【0013】
本発明の前記実施態様のいずれか1つに従って、前記組成物において、式(I)の化合物は、前記組成物の総質量の少なくとも95%を示す。
【0014】
本発明の化合物の特定の例として、制限されない例として、優れた持続性の滑らかな、柔らかい安定したスズラン(ドイツスズラン)のにおいを有し、組成物に添加されて白い花の側面を高める、88%の4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド及び12%の5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(実施例において組成物1としても挙げられている)を含む組成物を挙げてよい。この化合物の感覚刺激性のプロフィールは、特に、におい並びに持続性及びラジアンスに関して、よく知られている香料成分Lyral(登録商標)(先行技術の段落において前記されている)の1つに非常に類似している。
【0015】
かかるにおい特性の類似は、酸素原子によるCH
2基の置換が、化合物の物理化学特性(例えばlogP又は蒸気圧)及び従って味覚受容体とのその相互作用を劇的に変化させることが公知である理由から、特に驚くべきことである。例えば、先行技術の化合物と比較した本発明の化合物の計算値は、それぞれlogPに関して1.57対3.32、及びVpに関して2.31mPa対3.64mPaである。
【0016】
明確性の理由から、“logP”は、水とオクタノールとの分配係数の対数であり、かつ蒸気圧は、当業者の標準の意味を有する。前記logP及び蒸気圧は、計算値であり、かつプログラムEPI suite(4.0);EPA (US Environmental Protection Agency)及びSyracuse Research Corporation(SRC), 2000に従って得られる。
【0017】
さらに、かかるにおい特性の類似は、先行技術の組成物が、主に、及び単に望ましい異性体として、カルバルデヒド基及び鎖基がパラである化合物を含む一方で、本発明の組成物が、主に、及び最も好ましい異性体として、カルバルデヒド基及び鎖基がメタである化合物を含む理由から、驚くべきことでもある。
【0018】
他の例として、前記のにおいと同様のにおいを有するが、ラクトン、マンダリンノートも有することによりそれ自体区別される、88%の4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド及び12%の5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒドを含む組成物を挙げてよい。
【0019】
本発明の特定の一実施態様に従って、本発明の組成物は、88%の4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド及び12%の5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒドを含む組成物である。
【0020】
前記のように、本発明は、付香成分としての本発明の組成物の使用に関する。言い換えれば、本発明は、付香成分又は着香物品のにおい特性を付与する、高める、改良する又は改質するための方法に関し、該方法は、該組成物又は物品に、本発明の組成物の有効量を付加することを含む。“本発明の組成物”に関しては、本発明の組成物を含む、及び香料産業において有利に使用されてよいあらゆる組成物の使用もここで理解すべきである。
【0021】
実際に付香成分として有利に使用される前記組成物は、本発明の目的でもある。
【0022】
従って、本発明の他の目的は、
i)付香成分として、前記の本発明の組成物、
ii)香料キャリヤー及び香料ベースからなる群から選択される成分の少なくとも1つ、並びに
iii)場合により香料補助剤の少なくとも1つ
を含む付香組成物である。
【0023】
“香料キャリヤー”に関しては、ここでは、香料の観点から事実上中性である、すなわち付香成分の感覚刺激性の特性を著しく変更しない材料を意味する。前記キャリヤーは液体又は固体であってよい。
【0024】
液体キャリヤーとしては、制限のない例として、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又は香料において通常使用される溶剤を挙げてよい。香料において通常使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。しかしながら、制限のない例として、最も通常使用される溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はクエン酸エチルを挙げられる。香料キャリヤー及び香料ベースの双方を含む組成物に関して、前記よりも他の適した香料キャリヤーは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標名Isopar(登録商標)(出所:Exxon Chemical)又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば商標名Dowanol(登録商標)(出所:Dow Chemical Company)で公知のものであってもよい。
【0025】
固体キャリヤーとしては、制限のない例として、吸収性ゴム又はポリマー、又はさらに封入材料を挙げてよい。かかる材料の例は、造壁材料及び可塑材料、例えば単糖、二糖又は三糖、天然デンプン又は化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質又はペクチン、又はさらに、参考文献、例えばH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs− und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr's Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996において挙げられている材料を含んでよい。カプセル化は、当業者によく知られた方法であり、かつ例えば噴霧乾燥、凝集又はさらに押し出しのような技術を使用して実施されてよく、又はコアセルベーション及び複合コアセルベーション技術を含む被覆カプセル化からなる。
【0026】
“香料ベース”に関しては、ここでは、少なくとも1つの付香共成分を含む組成物を意味する。
【0027】
前記付香共成分は、式(I)又は式(II)ではない。さらに、“付香共成分”に関しては、ここでは、心地よい効果を付与するための付香調合物又は組成物において使用される化合物を意味する。言い換えれば、付香共成分であると考えられるべきかかる共成分は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができると、及び単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。
【0028】
あらゆる場合において網羅的ではない前記ベースにおいて存在する付香共成分の性質及びタイプは、ここでのより詳細な記載を保証せず、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香共成分は、天然源又は合成源であってよい。これらの共成分の多くは、あらゆる場合において、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記共成分は、制御された方法で種々のタイプの付香成分を放出することが公知の化合物であってもよい。
【0029】
“香料補助剤”に関しては、ここで、追加の付加効果、例えば色、特定の光耐性、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。付香ベースにおいて通常使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅的ではなく、しかし該成分が当業者によく知られていることを挙げるべきである。
【0030】
少なくとも本発明の組成物及び少なくとも1つの香料キャリヤーからなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施態様を示し、及び少なくとも本発明の組成物、少なくとも1つの香料キャリヤー、少なくとも1つの香料ベース、及び場合により少なくとも1つの香料補助剤を含む付香組成物を示す。
【0031】
明確性の理由から、本発明の組成物が出発生成物、中間生成物又は最終生成物として含まれる、化学合成から直接得るあらゆる混合物、例えば十分な精製なしの反応媒体が、該混合物が、香料のための適した形で本発明の組成物を提供しない限りは、本発明に従った付香組成物として考えられないことも理解される。したがって、未精製の反応混合物は、一般に、特に明記されない限り本発明から除外される。
【0032】
さらに、本発明の組成物は、現在の香料、すなわちファイン香水又は機能的香水の全ての分野において、前記本発明の組成物を付加する消費者製品のにおいをポジティブに付与する又は改良するために、有利に使用されてよい。従って、本発明の他の目的は、付香成分として、前記で定義した本発明の組成物を含む付香消費者製品によって示される。
【0033】
本発明の合成物は、本発明の付香組成物自体又は付香組成物の一部を添加してよい。
【0034】
明確性の理由から、“付香消費者製品”に関しては、少なくとも1つの心地よい付香効果を、付香効果が適用される表面(例えば皮膚、髪、織物、又は家の表面)に提供することが期待された消費者製品を意味することに注意すべきである。言い換えれば、本発明による付香消費者製品は、機能的な調合物、並びに場合により所望の消費者製品に対応する追加の有効物質、例えば洗剤又はエアフレッシュナー、及び嗅覚有効量の本発明の組成物を含む、着香消費者製品である。明確性の理由から、前記付香消費者製品は、食用でない生成物である。
【0035】
あらゆる場合において網羅的ではない香料消費者ベースの構成物の性質及びタイプは、ここでのより詳細な記載を保証せず、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び該製品の性質及び所望の効果に従って、前記ベースを選択することができる。
【0036】
適した香料消費者ベースの制限のない例は、香料、例えばファイン香料、コロン、又はアフターシェービングローション;織物ケア製品、例えば液体又は固形洗剤、織物柔軟剤、織物リフレッシャー、アイロン水、紙、又は漂白剤;ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、染毛料又はヘアスプレー)、化粧品調合物(例えばバニシングクリーム又はデオドラント又は発汗抑制剤)、又はスキンケア製品(例えば着香石鹸、シャワー又はバス用のムース、オイルもしくはゲル、又は衛生製品);空気ケア製品、例えばエアフレッシュナー又は“すぐ使用できる”粉末エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えばワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤であってよい。
【0037】
いくつかの前記消費者製品ベースは、本発明の組成物のアグレッシブな媒体を示してよく、その結果、適した外部刺激、例えば酵素、光、熱又はpHの変化に対して、例えばカプセル化によって、又は本発明の組成物の放出に適した他の化学物質との化学的結合によって後者を成熟前の分解から保護する必要があってよい。
【0038】
種々の前記物品又は組成物中に組込まれてよい本発明による組成物における割合は、広い範囲の値で変動する。これらの値は、着香されるべき物品の性質に、並びに所望の感覚受容性効果及び本発明による組成物が、付香共成分、溶剤又は先行技術において通常使用される添加剤と混合される場合に、与えられたベースにおける共成分の性質に依存する。
【0039】
例えば、付香組成物の場合において、典型的に濃度は、組込まれてよい組成物の質量に対して、本発明の合成物の0.5質量%〜25質量%、又はそれ以上の範囲である。これらより低い濃度、例えば0.1質量%〜10質量%の範囲が、前記本発明の合成物が着香された物品中に組込まれる場合に使用されてよく、その際パーセンテージは物品の質量に対する。
【0040】
本発明の組成物を、式
【化3】
[式中、点線及びRは、式(I)についての意味と同様の意味を有し、かつR
1は、C
1-4アルキル基である]のエステル、又はエステルの混合物を得るための、アルキルグリオキシレートとミリセノールとの間のディールス・アルダー反応を含む方法に従って製造できる。
【0041】
前記エステル(III)を、当業者によく知られている標準的な方法に従って所望の生成物又は組成物に還元することができる。
【0042】
式(I)、(II)、(III)及び(III’)の化合物は新規の化合物である。従って、本発明の他の目的は、式
【化4】
[式中、Xは、水素原子、又はOR
1基を示し、R
1はC
1-4アルキル基であり、かつRは、
− 水素原子を示し、かつ点線は、炭素−炭素の単結合又は二重結合を示すか、又は
− C4及びC5と結合したCH
2基を示し、かつ点線は、炭素−炭素の単結合を示す]の化合物であり、該化合物(IV’)又は(IV”)は、その立体異性体のいずれか1つの形又はそれらの混合物である。
【0043】
実施例
本発明を以下の例に基づいてさらに詳細に記載するが、ここで略号は当業界で通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示されている。NMRスペクトルのデータは、CDCl
3(その他の記載がない限り)で
1Hおよび
13Cに関して360MHz又は400MHzの機器で記録し、ケミカルシフトδは、TMSを標準液としてppmで記載し、結合定数Jは、Hzで記載されている。
【0044】
実施例1
式(I)の化合物の合成
・88%の4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド及び12%の5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒドを含む組成物(組成物1とも言う)
a) エチル4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキシレート(主な化合物として)及び5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキシレート(少量の化合物として)
エチルグリオキシレート(トルエン中で50%溶液)(38.6mL、194mmol)及びミリセノール(20g、130mmol)を加熱して29時間還流した。過剰なエチルグリオキシレート及びトルエンを蒸発させ、そして残りを、シリカゲル上でヘプタンとエチルの勾配混合物(85:15〜60:40)を使用してフラッシュカラムクロマトグラフィー二より精製して、無色の油状物及び88:12の位置異性体として純粋なエステルを得た(収率80%)。
【0045】
主な異性体:
【0046】
b) 4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(主な化合物として)及び5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(少量の化合物として)
ジクロロメタン中で−78℃で4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキシレート(5.00g、19.5mmol)の溶液に、DIBAL(ジクロロメタン中で1M、48.8mL、48.8mmol)を、45分間にわたって添加し、そしてその反応物を、さらに1時間−78℃で撹拌させた。その反応物を50mLのメタノールで、続いて100mLの水及び100mLの5%HCl水溶液で急冷させた。水性層をジエチルエーテルで3回抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてその溶媒を蒸発させた。残りをバルブツーバルブ蒸留(155〜160℃、10
-3mbar)により精製して、無力の油状物として及び位置異性体の88:12の混合物の形で所望の生成物を得た(収率51%)。
【0047】
4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド:
【0048】
・88%の4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド及び12%の5−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒドを含有する組成物
70mLオートクレーブ中に、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(1.75g、8.24mmol)及び20mL酢酸エチル中で5%のPd/C(114mg)を置いた。オートクレーブを密封し、アルゴンでパージし、そして室温で、45barのH
2の圧力下で反応させた。1時間後に、オートクレーブをアルゴンでパージし、開け、触媒を濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残りをシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 4:6)及びバルブツーバルブ蒸留(10
-3mbar、130℃)で精製して、無色の油状物として、及び異性体の73:15:12の混合物の形で所望の生成物を得た(収率95%)。
【0049】
主な異性体:
【0050】
実施例2
付香組成物の製造
ウッディー−シトラスタイプの男性用オーデコロンを、次の成分を混合することにより製造した:
1) ペンタデカノリド;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
2) 配合した香料ベース;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
3) メチル(1R)−シス−3−オキソ−2−ペンチル−1−シクロペンタンアセテート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
4) 5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルオエンタン−2−オール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
5) プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロパノエート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
6) メチルセドリルケトン;出所:International Flavors & Fragrances、USA
7) (1S,2S,3S)−2,6,6−トリメチル−ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−3−スピロ−2’−シクロヘキセン−4’−オン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland。
【0051】
400質量部の組成物1(実施例1において記載されている)の前記組成物への添加は、本発明の組成物の代わりにLyral(登録商標)を添加した場合に提供される効果と大いに比較できる、組成物の白い花の側面で関連づけられる、後に拡散性であり“湿った”効果を付与した。
【0052】
実施例3
付香組成物の製造
フローラル、フルーティー、バイオレットタイプの付香組成物を、次の成分を混合することによって製造した:
1) 16−ヘキサデカノリド;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
2) ペンタデカノリド;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
3) テトラヒドロ−2−イソブチル−4−メチル−4(2H)−ピラノール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
4) 1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−g−2−ベンゾピラン;出所:International Flavors & Fragrances、USA
5) ペンタデカノリド;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
6) シスメチルジヒドロジャスモネート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
7) (1S,1’R)−2−[1−(3’,3’−ジメチル−1’−シクロヘキシル)エトキシ]−2−メチルプロピルプロパノエート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
8) 3−(3,3/1,1−ジメチル−5−インダニル)プロパナール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
9) メチルイオノン異性体の混合物;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
10) 3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール;出所:Givaudan SA、Vernier、Switzerland
11) 3−メチル−(5)−シクロペンタデセノン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
12) プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロパノエート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
13) 3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
14) メチルセドリルケトン;出所:International Flavors & Fragrances、USA。
【0053】
1500質量部の組成物1(実施例1において記載されている)の前記組成物への添加は、前記組成物に優れた持続性及び優れた粉状の甘味を有する、フローラルなスズラン(ドイツスズラン)のコノテーションを付与した。
【0054】
本発明の組成物の代わりに、前記付香組成物へのLyral(登録商標)の添加は、2つの化合物間のいくつかの物理化学的差異にも関わらず、同様の効果を提供した。