(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、(F)ヒドロシリル化反応抑制剤を、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.01〜3質量部となる量で含む、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[硬化性シリコーン組成物]
はじめに、本発明の硬化性シリコーン組成物を詳細に説明する。
【0021】
(A)成分は一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する、直鎖状のオルガノポリシロキサンである。(A)成分の分子構造は直鎖状であるが、本発明の目的を損なわない限り、分子鎖の一部が分岐していてもよい。
【0022】
(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、およびドデセニル基等の炭素数が2〜12個のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基等の炭素数が1〜12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基等の炭素数が6〜20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基等の炭素数が7〜20個のアラルキル基;ならびにこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。(A)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基や、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。
【0023】
(A)成分の粘度は特に限定されないが、好ましくは、25℃において10〜100,000mPa・sの範囲内であり、さらに好ましくは、50〜50,000mPa・sの範囲内である。これは、(A)成分の粘度が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的特性が良好となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の取扱作業性が良好であるからである。
【0024】
このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、および分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体が例示される。
【0025】
(B)成分は、下記平均単位式:
(R
1SiO
3/2)
a(R
12SiO
2/2)
b(R
13SiO
1/2)
c(SiO
4/2)
d(XO
1/2)
e
で表されるオルガノポリシロキサンである。
【0026】
式中、R
1は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、またはこれらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した基である。R
1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基が例示される。R
1のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、およびドデセニル基が例示される。R
1のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基が例示される。R
1のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基が例示される。また、R
1のハロゲン置換の基としては、3−クロロプロピル基、および3,3,3−トリフルオロプロピル基が例示される。但し、(B)成分において、一分子中の少なくとも2個のR
1は前記アルケニル基であり、好ましくは、ビニル基である。一分子中、全R
1の0.1〜40モル%は前記アルケニル基であることが好ましい。これは、アルケニル基の含有率が上記範囲の下限以上であると、(C)成分との反応性が向上し、一方、上記範囲の上限以下であると、(C)成分との反応性が向上するからである。本組成物を硬化して得られる硬化物において、光の屈折、反射、散乱等による減衰が小さいことから、一分子中、全R
1の少なくとも10モル%は前記アルキル基であることが好ましく、特に、メチル基であることが好ましい。
【0027】
式中、Xは水素原子またはアルキル基である。Xのアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、およびプロピル基が例示される。
【0028】
式中、aは0〜0.3の数であり、bは0または正数であり、cは正数であり、dは正数であり、eは0〜0.4の数であり、かつ、a+b+c+d=1であり、c/dは0〜10の数であり、b/dは0〜0.5の数である。
【0029】
このような(B)成分の分子量は限定されないが、標準ポリスチレン換算による質量平均分子量(Mw)が500〜100,000の範囲内であることが好ましく、特に、1,000〜30,000の範囲内であることが好ましい。
【0030】
このような(B)成分は、R
1(CH
3)
2SiO
1/2単位およびSiO
4/2単位を含むオルガノポリシロキサンであることが好ましい。(B)成分中には、本発明の目的を損なわない範囲で、R
1SiO
3/2単位やR
1(CH
3)SiO
2/2単位を有してもよい。
【0031】
(B)成分において、R
1(CH
3)
2SiO
1/2単位とSiO
4/2単位の比率は特に限定されないが、SiO
4/2単位に対するR
1(CH
3)
2SiO
1/2単位の比が0.5〜3の範囲内であることが好ましく、さらには、0.8〜2の範囲内であることが好ましい。これは、SiO
4/2単位に対するR
1(CH
3)
2SiO
1/2単位の比が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的特性が良好となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、(A)成分に対する相溶性が向上するからである。
【0032】
(B)成分の含有量は、(A)成分に対する質量比が1/99〜99/1の範囲内となる量であり、好ましくは1/9〜9/1の範囲内となる量である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的特性が良好であるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の取扱作業性が良好であるからである。
【0033】
(C)成分は一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。(C)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹脂状、および環状が挙げられる。
【0034】
(C)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基等の炭素数が1〜12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基等の炭素数が6〜20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基等の炭素数が7〜20個のアラルキル基;ならびにこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。なお、(B)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基や、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。
【0035】
(C)成分の粘度は特に限定されないが、好ましくは、25℃において1〜10,000mPa・sの範囲内であり、さらに好ましくは、5〜1,000mPa・sの範囲内である。これは、(C)成分の粘度が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的特性が良好となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の取扱作業性が良好であるからである。
【0036】
このような(C)成分としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、H(CH
3)
2SiO
1/2単位およびSiO
4/2単位からなるオルガノポリシロキサン、ならびにH(CH
3)
2SiO
1/2単位、(CH
3)
3SiO
1/2単位およびSiO
4/2単位からなるオルガノポリシロキサンが例示される。
【0037】
(C)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.5〜5モルの範囲内となる量である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物が十分に硬化するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物の耐熱性が向上するからである。
【0038】
(D)成分のセリウム含有オルガノポリシロキサンは、本組成物を硬化して得られる硬化物の、熱エージングによるクラックを抑制するための成分である。このような(D)成分は、例えば、塩化セリウムまたはカルボン酸のセリウム塩と、シラノール基含有オルガノポリシロキサンのアルカリ金属塩との反応により調製される。
【0039】
上記のカルボン酸のセリウム塩としては、2−エチルヘキサン酸セリウム、ナフテン酸セリウム、オレイン酸セリウム、ラウリン酸セリウム、およびステアリン酸セリウムが例示される。
【0040】
また、上記のシラノール基含有オルガノポリシロキサンのアルカリ金属塩としては、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのカリウム塩、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのナトリウム塩、分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、一方の分子鎖片末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのカリウム塩、および分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、一方の分子鎖片末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのナトリウム塩が例示される。なお、このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基等の炭素数が1〜12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基等の炭素数が6〜20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基等の炭素数が7〜20個のアラルキル基;ならびにこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。
【0041】
上記の反応は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノール等のアルコール;トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、およびヘプタン等の脂肪族炭化水素;ミネラルスプリット、リグロイン、および石油エーテル等の有機溶媒中で、室温もしくは加熱することにより行われる。また、得られる反応生成物は、必要に応じて有機溶媒や低沸点成分を留去したり、沈析物をろ過することが好ましい。また、この反応を促進するために、ジアルキルホルムアミド、ヘキサアルキルホスホアミド等を添加してもよい。このようにして調製されるセリウム含有オルガノポリシロキサン中のセリウム原子の含有量は、0.1〜5質量%の範囲内であるものが好ましい。
【0042】
(D)成分の含有量は、本組成物中、セリウム原子が質量単位で20〜2,000ppmの範囲内となる量であり、好ましくは、20〜1,500ppmの範囲内となる量であり、さらに好ましくは、20〜1,000ppmの範囲内となる量であり、さらに好ましくは、20〜500ppmの範囲内となる量であり、特に好ましくは、20〜200ppmの範囲内となる量である。これは、(D)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物の耐熱性を向上することができ、一方、上記範囲の上限以下であると、光半導体装置に用いた場合の発光色度変化を少なくすることができるからである。
【0043】
(E)成分は、本組成物のヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒である。このような(E)成分は、白金族元素触媒、および白金族元素化合物触媒が好ましく、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒、およびパラジウム系触媒等が挙げられる。特に、ヒドロシリル化反応を著しく促進できることから、白金系触媒が好ましい。このような白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とジオレフィンの錯体、白金−オレフィン錯体、白金ビス(アセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)等の白金−カルボニル錯体、塩化白金酸−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、塩化白金酸−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体等の塩化白金酸−アルケニルシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体等の白金−アルケニルシロキサン錯体、および塩化白金酸とアセチレンアルコール類との錯体等が挙げられる。ヒドロシリル化反応の促進効果が高いことから、白金−アルケニルシロキサン錯体が特に好ましい。これらのヒドロシリル化反応用触媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0044】
白金−アルケニルシロキサン錯体に用いられるアルケニルシロキサンは、特に限定されないが、例えば、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのメチル基の一部をエチル基、またはフェニル基等で置換したアルケニルシロキサンオリゴマー、およびこれらのアルケニルシロキサンのビニル基をアリル基、またはヘキセニル基等で置換したアルケニルシロキサンオリゴマー等が挙げられる。特に、生成する白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性が良好であることから、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。
【0045】
また、白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性を向上させるため、これらの白金−アルケニルシロキサン錯体を、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジアリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、および1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のアルケニルシロキサンオリゴマーやジメチルシロキサンオリゴマー等のオルガノシロキサンオリゴマーに溶解していることが好ましく、特にアルケニルシロキサンオリゴマーに溶解していることが好ましい。
【0046】
(E)成分の含有量は触媒量である。具体的には、この含有量は、本組成物に対して、(E)成分中の触媒金属原子が質量単位で、0.01〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましく、0.01〜100ppmの範囲内となる量であることがより好ましく、0.1〜50ppmの範囲内となる量であることが特に好ましい。これは、(E)成分の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の着色を抑えることができるからである。また、(E)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物が十分に硬化し、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物の着色が抑えられるからである。
【0047】
本組成物は、常温での可使時間を延長し、保存安定性を向上させるための任意の成分として、(F)ヒドロシリル化反応抑制剤を含んでもよい。このような(F)成分としては、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、および2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、および3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、および1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のメチルアルケニルシロキサンオリゴマー;ジメチルビス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、およびメチルビニルビス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン等のアルキンオキシシラン、ならびにトリアリルイソシアヌレート系化合物が例示される。
【0048】
(F)成分の含有量は特に限定されないが、(A)成分〜(D)成分の混合時にゲル化を抑制し、または硬化を抑制するのに十分な量であり、さらには長期間保存可能とするために十分な量である。具体的には、(F)成分の含有量としては、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜3質量部の範囲内であることがより好ましい。これは、(F)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、十分なポットライフを確保でき、一方、上記範囲の上限以下であると、加熱によってすみやかな硬化を達成できるからである。
【0049】
また、本組成物は、硬化中に接触している基材への接着性を更に向上させるために、(G)接着促進剤を含んでもよい。このような(G)成分としては、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を一分子中に1個または2個以上有する有機ケイ素化合物が好ましい。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、およびメトキシエトキシ基が例示され、特に、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。また、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、およびハロゲン化アルキル基等の置換もしくは非置換の一価炭化水素基;3−グリシドキシプロピル基、および4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、および3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;4−オキシラニルブチル基、および8−オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基等のエポキシ基含有一価有機基;3−メタクリロキシプロピル基等のアクリル基含有一価有機基;イソシアネート基;イソシアヌレート基;ならびに水素原子が例示される。この有機ケイ素化合物は、本組成物中の脂肪族不飽和炭化水素基またはケイ素原子結合水素原子と反応し得る基を有することが好ましい。具体的には、この有機ケイ素化合物はケイ素原子結合脂肪族不飽和炭化水素基またはケイ素原子結合水素原子を有することが好ましい。
【0050】
(G)成分の含有量は限定されないが、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜3質量部の範囲内であることがより好ましい。これは、(G)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、接着性が良好であり、一方、上記範囲の上限以下であると、保存安定性が良好であるからである。
【0051】
また、本組成物は、その他任意の成分として、(H)蛍光体を含むことができる。このような(H)成分としては、例えば、発光ダイオード(LED)に広く利用されている、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体等からなる黄色、赤色、緑色、および青色発光蛍光体が挙げられる。酸化物系蛍光体としては、セリウムイオンを包含するイットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系緑色〜黄色発光蛍光体、セリウムイオンを包含するテルビウム、アルミニウム、ガーネット系のTAG系黄色発光蛍光体、および、セリウムやユーロピウムイオンを包含するシリケート系緑色〜黄色発光蛍光体が例示される。酸窒化物蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するケイ素、アルミニウム、酸素、窒素系のサイアロン系赤色〜緑色発光蛍光体が例示される。窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、ケイ素、窒素系のカズン系赤色発光蛍光体が例示される。硫化物系としては、銅イオンやアルミニウムイオンを包含するZnS系緑色発色蛍光体が例示される。酸硫化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するY
2O
2S系赤色発光蛍光体が例示される。これらの蛍光体は、1種または2種以上の混合物を用いてもよい。
【0052】
(H)成分の粒径は特に限定されないが、好ましくは、1〜50μmの範囲内であり、より好ましくは、5〜20μmの範囲内である。これは、(H)成分の粒径が上記範囲の下限以上であると、混合時の粘度上昇が抑えられ、一方、上記範囲の上限以下であると、光透過性が良好となるからである。
【0053】
(H)成分の含有量は特に限定されないが、本組成物の全質量に対して、0.1〜70質量%の範囲内である。その含有量は、取り扱い作業性から70質量%以下が好ましく、白色への光変換性を考慮すると5質量%以上であることが好ましい。
【0054】
また、本組成物は、本発明の目的を損なわない限り、その他の任意の成分として、シリカ、ガラス、およびアルミナ等から選択される1種又は2種以上の無機質充填剤;シリコーンゴム粉末;シリコーン樹脂、およびポリメタクリレート樹脂等の樹脂粉末;耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤、ならびに溶剤等から選択される1種又は2種以上の成分を含んでもよい。
【0055】
本組成物は、室温放置や、加熱により硬化が進行するが、迅速に硬化させるためには加熱することが好ましい。加熱温度は、50〜200℃の範囲内であることが好ましい。
【0056】
本組成物は、硬化して、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ硬さが、30〜99である硬化物を形成することが好ましく、特に、35〜95である硬化物を形成することが好ましい。これは、硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さが上記範囲の下限以上であると、強度を有し、保護性が十分となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、硬化物が柔軟となり、耐久性が十分となるからである。
【0057】
また、本組成物は、硬化して、450nmでの光透過率が少なくとも90%である硬化物を形成することが好ましい。この光透過率は、例えば、硬化物について光路長0.1cmで波長450nmにおける光透過率(25℃)分光光度計により測定することにより求めることができる。
【0058】
本組成物は、240℃、500時間の加熱前後で、JIS Z8730におけるCIE L
*a
*b
*表色系におけるb
*値が2.0以下である硬化物を形成することが好ましく、特に好ましくは1.0以下である硬化物を形成することが好ましい。なお、本組成物の硬化物のJIS Z8730におけるCIE L
*a
*b
*表色系におけるb
*値は、例えば、色差計を用いて測定することができる。
【0059】
[硬化物]
次に、本発明の硬化物を詳細に説明する。
本発明の硬化物は、上記の硬化性シリコーン組成物を硬化することにより形成される。本発明の硬化物は、上記のような特性を有するものであることが好ましい。本発明の硬化物は、シート状またはフィルム状の硬化物、あるいはガラス基板等の透明基板上を被覆した硬化物であってもよい。さらに、本発明の硬化物は、レンズ、光導体(light pipe)、光導波路(light guide)、またはリモート・フォスファー部材の形態であってもよい。硬化物を形成する方法としては、圧縮成型、トランスファー成型、射出成形、および透明基板上への成膜等が挙げられる。上記の硬化性シリコーン組成物を、スタティックミキサー、スクリューミキサーなどの混合装置を用いて混合し、成形装置に注入して成形することができる。成形条件は、特に制限されないが、硬化性シリコーン組成物を50〜200℃、好ましくは、70℃〜180℃の温度で、30秒〜30分、好ましくは、1〜10分で硬化させることができる。また、50℃〜200℃、好ましくは、70℃〜180℃で、0.1〜10時間、好ましくは、1〜4時間程度のポストキュア(二次硬化)を行うことができる。
【0060】
本発明の硬化物が蛍光体を含有する場合、これをLEDや照明装置におけるリモート・フォスファーあるいは蛍光体シートとして使用することができる。リモート・フォスファーとは、LEDチップから発光する青色の光を、LEDチップまたはLEDデバイスから離れた所で白色や電球色を得るために用いられる、蛍光体を含有する硬化物である。このリモート・フォスファーは、LEDチップから発光する指向性の高い光を拡散するために使用される。蛍光体を含有する本発明の硬化物をリモート・フォスファーとして使用したLEDの断面図を
図5に示した。
図5で示されるLEDは、光半導体素子1がリードフレーム2上にダイボンドされ、この光半導体素子1とリードフレーム3とがボンディングワイヤ4によりワイヤボンディングされている。この光半導体素子1は、上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止されていてもよい。この光半導体素子1の周囲には、光反射材5が形成され、この光反射材5の、半導体素子1の上部に空間を隔てて、蛍光体を含有する上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物7がリモート・フォスファーとして設置されている。
【0061】
さらに、蛍光体を含有する本発明の硬化物をリモート・フォスファーとして使用した照明装置の断面図を
図6に示した。
図6で示される照明装置は、光半導体素子1が基板8上にダイボンドされ、基板上の回路(図示せず)と電気的に接続されている。この光半導体素子1は、上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止されていてもよい。この光半導体素子1を複数有する基板8の周囲には、光反射材5が形成され、この光反射材5の、半導体素子1の上部に空間を隔てて、蛍光体を含有する上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物7がリモート・フォスファーとして設置されている。基板8としては、例えば、銀、金、および銅等の高導電性金属;アルミニウム、およびニッケル等の低導電性の金属;PPA、およびLCP等の白色顔料を混合した熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、BT樹脂、ポリイミド樹脂、およびシリコーン樹脂等の白色顔料を含有する熱硬化性樹脂;ならびにアルミナ、および窒化アルミナ等のセラミックスが例示される。
【0062】
また、本発明の硬化物が蛍光体を含有しない場合、これをレンズ材料として使用することができる。
【0063】
[光半導体装置]
本発明の光半導体装置を詳細に説明する。
本発明の光半導体装置は、光半導体素子が上記組成物により封止、被覆、または接着されていることを特徴とする。この光半導体素子としては、具体的には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、およびフォトカプラー用発光体と受光体が例示され、特に、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。
【0064】
発光ダイオード(LED)は、半導体の上下左右から発光が起きるので、発光ダイオード(LED)を構成する部品は、光を吸収するものは好ましくなく、光透過率が高いか、反射率の高い材料が好ましい。そのため、光半導体素子が搭載される基板も、光透過率が高いか、反射率の高い材料が好ましい。こうした光半導体素子が搭載される基板としては、例えば、銀、金、および銅等の高導電性金属;アルミニウム、およびニッケル等の低導電性の金属;PPA、およびLCP等の白色顔料を混合した熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、BT樹脂、ポリイミド樹脂、およびシリコーン樹脂等の白色顔料を含有する熱硬化性樹脂;ならびにアルミナ、および窒化アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。硬化性シリコーン組成物は、光半導体素子および基板に対して耐熱衝撃性が良好であるので、得られる光半導体装置は、良好な信頼性を示すことができる。
【0065】
本発明の光半導体装置の一例である表面実装型LEDの断面図を
図1〜
図4に示した。
図1で示されるLEDは、光半導体素子1がリードフレーム2上にダイボンドされ、この光半導体素子1とリードフレーム3とがボンディングワイヤ4によりワイヤボンディングされている。この光半導体素子1の周囲には、光反射材5が形成され、この光反射材5の内側の光半導体素子1は上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止されている。
【0066】
図2で示されるLEDでは、光半導体素子1が蛍光体を含有する上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物7により封止されている。また、
図3で示されるLEDでは、光半導体素子1が蛍光体を含有する上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物7により封止され、さらに、その硬化物7の表面は上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止されている。また、
図4で示されるLEDでは、光半導体素子1が上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止され、さらに、その硬化物6の表面は、蛍光体を含有する上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物7により封止されている。
【0067】
図1で示される表面実装型LEDを製造する方法としては、光半導体素子1をリードフレーム2にダイボンドし、この光半導体素子1とリードフレーム3とを金製のボンディングワイヤ4によりワイヤボンドし、次いで、硬化性シリコーン組成物をトランスファー成形または圧縮成形により成形し、半導体素子1の周囲に光反射材5を形成する方法が例示される。また、光反射材5を形成した後、該光反射材5の内側の光半導体素子1を、上記の硬化性シリコーン組成物で樹脂封止する方法が例示される。
【0068】
さらに、
図7で示される蛍光体を用いた他のLEDは、蛍光体を含有する硬化物7が光半導体素子1の回りの容積を充填し、二つの白色反射材5の間に配置されている。
【実施例】
【0069】
本発明の硬化性シリコーン組成物、硬化物、および光半導体装置を、実施例および比較例により詳細に説明する。硬化性シリコーン組成物の硬化物の特性を次のようにして測定した。
【0070】
[硬さの変化]
硬化性シリコーン組成物を150℃で10分間、プレス成形した後、さらに150℃で3時間ポストキュアすることにより厚さ2mmのシート状硬化物を作製した。このシート状硬化物を3枚重ねたときの硬さをJIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定した。また、上記と同様にして作製したシート状硬化物を240℃のオーブン中で500時間加熱エージングした後、上記と同様にして硬さを測定した。
【0071】
[透過率およびCIE b
*の変化]
純水を入れたディスポーザブル液体セルの透過率を測定してこれを透過率100%とした後に、短冊状に切断した厚さ2mmのシート状硬化物を液体セルに入れて透過率(%)の測定を行った。測定にはコニカミノルタ製色差計CM−5を用い、D65の基準光を照射したときの450nmの透過率およびJIS Z8730に規定されるCIE L
*a
*b
*表色系におけるb
*値を光電色彩計により測定した。また、上記と同様にして作製したシート状硬化物を240℃のオーブン中で500時間加熱エージングした後、上記と同様にして透過率(%)、およびCIE L
*a
*b
*表色系におけるb
*値を測定した。
【0072】
[CIE u’およびv’の変化]
図7で示される形状の硬化物の1976 CIE u’v’色空間におけるu’およびv’の値は、ポンプソース(pump source)として主ピークが450nmの青色LEDを使用し、分光光度計により測定した。この形状は、参照によって本明細書に取り込まれる米国特許出願公開第2011/0215707A1(
図1および2)により詳しく記載されている。さらに、硬化部品を200℃のオーブンで18時間熱エージングし、上記と同様にして、CIE u’v’色空間におけるu’およびv’の値を測定した。計20個の部品(実施例12によって調製された10個と比較例5で調製した参照の10個)について測定した。経時の色ずれは、下式により、各部品について計算した。
Δu’v’=[(u’−u’
0)
2+(v’−v’
0)
2]
1/2,
ここで、u’
0およびv’
0は、それぞれ、u’およびv’の初期の値である。
【0073】
表3に示した平均の値は、本発明によるサンプルは熱処理によっても平均的な色変化が少ないことを示している。それらは、比較例に対して実施例について、光束維持についても向上していることを示している。
【0074】
[伸びの変化]
厚さ2mmのシート状硬化物を作製し、これを3号形状に打ち抜いた。島津製作所製オートグラフを用いて破断時の伸び(%)を測定した。また、上記と同様にして作製したシート状硬化物を240℃のオーブン中で500時間加熱エージングした後、上記と同様にして伸び(%)を測定した。
【0075】
[接着強度の変化]
フロートガラス上に8mmφの大きさになるよう未硬化シリコーン組成物を滴下し、この上に10mm角のアルミニウム片をのせた。一定圧力で抑えながら、150℃/1時間で硬化させて接着試験体を作製した。室温冷却後、セイシン製ボンドテスターSS−30WDを用いて横方向からせん断力を加えたときの接着強度(N/cm
2)を測定した。また、上記と同様にして作製した接着試験体を240℃のオーブン中で500時間加熱エージングした後、上記と同様にして接着強度(N/cm
2)を測定した。
【0076】
[体積変化率]
厚さ2mmの硬化物を東洋精機製作所製D−H100自動比重計を用いて質量と密度を測定し、これらデータから体積を換算した。次に、この硬化物を240℃のオーブン中で500時間加熱エージングした後、上記と同様にして体積を測定し、初期に対する耐熱試験後の体積の変化率(%)を示した。
【0077】
[平均燃焼速度]
燃焼性試験は、参照によって本明細書に取り込まれるアンダーライターズ・ラボラトリーズ報告94「プラスチック材料の燃焼性試験」の手続に従って実施した。実施例13〜15および比較例6について、(試験によって規定されたサンプル寸法に従って)1グループ当り15サンプルを94HB材料に分類された水平燃焼試験により、水平燃焼速度(mm/分)を求めた。硬化物の各平均燃焼速度を計算し、表4に示した。
【0078】
[LEDデバイスの信頼性試験]
表2に示す配合量になるようセリウムシラノレート化合物を添加した。銀めっきされたリードフレーム付きポリフタルアミド製ケースハウジング材上に、ダイアタッチ材によって主発光中心ピークが470nmの発光チップが実装した。リード電極と発光チップとが金ワイヤーで接続されているLEDデバイスのケース内に、実施例8および比較例3で調製した硬化性シリコーン組成物を封止剤として注入し、150℃で4時間加熱して硬化させ、光半導体装置を作製した。このLEDデバイスを85℃環境下で700mAを通電することにより発光させ、初期および300時間発光後の放射束(mW)を測定した。
【0079】
[実施例1〜15、および比較例1〜6]
次の成分を表1および2に示す組成(質量部)で均一に混合して、実施例1〜11、および比較例1〜4の硬化性シリコーン組成物を調製した。また、表1および2において、SiH/Viは、硬化性シリコーン組成物において、(A)成分および(B)成分中のビニル基の合計1モルに対する、(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計モル数を示す。
【0080】
(A)成分として、次の成分を用いた。なお、粘度は25℃における値であり、JIS K7117−1に準拠してB型粘度計を用いて測定した。
(A−1)成分:粘度360mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.44質量%)
(A−2)成分:粘度11,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.14質量%)
(A−3)成分:粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.08質量%)
【0081】
(B)成分として、次の成分を用いた。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した標準ポリスチレン換算の分子量で示した。
(B−1)成分:下記平均単位式:
[(CH
3)
2CH
2=CHSiO
1/2]
0.05[(CH
3)
3SiO
1/2]
0.47(SiO
4/2)
0.48
で表され、重量平均分子量がおよそ20,000のオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=3.2質量%)
(B−2)成分:下記平均単位式:
[(CH
3)
2CH
2=CHSiO
1/2]
0.13[(CH
3)
3SiO
1/2]
0.45(SiO
4/2)
0.42
で表され、重量平均分子量がおよそ5,500のオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=3.4質量%)
(B−3)成分:下記平均単位式:
[(CH
3)
2CH
2=CHSiO
1/2]
0.15[(CH
3)
3SiO
1/2]
0.38(SiO
4/2)
0.47
で表され、重量平均分子量がおよそ20,000のオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=4.2質量%)
【0082】
(C)成分として、次の成分を用いた。なお、粘度は、25℃における値であり、JIS Z8803に準拠したウベローデ型粘度計によって測定した。
(C−1)成分:下記平均単位式:
[H(CH
3)
2SiO
1/2]
0.68(SiO
4/2)
0.32
で表され、動粘度18mm
2/sのオルガノポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.97質量%)
(C−2)成分:動粘度5mm
2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子含有の量=約1.4質量%)
【0083】
(D)成分として、次の成分を用いた。
(D−1)成分:セリウムの含有率が1.4質量%であるセリウム含有ジメチルポリシロキサン
【0084】
(E)成分として、次の成分を用いた。
(E−1)成分:白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属の含有量=約6,800ppm)
(E−2)成分:白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液の8質量%−ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(白金金属の含有量=約5,200ppm)
【0085】
(F)成分として、次の成分を用いた。
(F−1)成分:1−エチニルシクロヘキサン−1−オール
(F−2)成分:3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール
【0086】
(G)成分として、次の成分を用いた。
(G−1)成分:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0087】
(H)成分として、次の成分を用いた。
(H−1)成分:平均粒径9μmのYAG系蛍光体(Phosphor Tech社製の製品名:BYW01A)
(H−2)成分:平均粒径11μmのYAG系蛍光体(Intematix社製の製品名:NYAG−4156L)
(H−3)成分:平均粒径17μmの赤色窒化物系蛍光体(Intematix社製の製品名:ER−6535)
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
※ 比較例4では、耐熱試験後の硬化物は、蛍光体のフィラー補強効果によりクラックが発生しなかったものの、硬度の著しい上昇が見られた。
【0091】
表1および表2に示す結果から、実施例1〜11の硬化性シリコーン組成物の硬化物は、熱エージングによってもクラックを発生しなかった。また、実施例10及び11の硬化性シリコーン組成物の硬化物は、300時間後のLEDデバイスの信頼性試験においても優れた発光を示した。
【0092】
[実施例12〜15、および比較例5、6]
上記の成分を表3および4に示す組成(質量部)で均一に混合して、実施例12〜15、および比較例5、6の硬化性シリコーン組成物を調製した。また、表3および4において、SiH/Viは、硬化性シリコーン組成物において、(A)成分および(B)成分中のビニル基の合計1モルに対する、(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計モル数を示す。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】