(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣病の増加に伴い、各人の健康志向が高まってきており、血圧、脈拍、呼吸及び体温等の生体情報を定期的に測定することが多くなってきた。また、医療関係の現場においても、生体情報を測定する機会が年々増えてきている。このような状況により、生体情報を気軽に測定できる生体情報測定装置の要望が益々高まってきている。
【0003】
このような生体情報測定装置の例として、特許文献1(従来例)では、
図15に示すような脈波測定装置900が提案されている。
図15は、脈波測定装置900を説明する図であって、
図15(a)は、脈波測定装置900が被験者999の手に装着された状態を示す図であり、
図15(b)は、脈波測定装置900の電気的構成を示すブロック図である。
図16は、脈波測定装置900における脈波データ解析方法を説明する図であって、
図16(a)は、脈波波形生成部931(
図15(b)を参照)により生成された脈波波形の一例を示すグラフであり、
図16(b)は、移動平均処理された脈波波形におけるボトム値及びピーク値、並びにボトム−ピーク振幅値の検出状況を示すグラフである。
【0004】
図15(a)に示す脈波測定装置900は、表示部(表示手段)912を有し被験者999の手首付近に装着される脈波測定装置本体部921と、脈波測定装置本体部921と信号ケーブル901で電気的に接続され指先に装着されるプローブ922と、から構成されている。更に、脈波測定装置900は、
図15(b)に示すように、脈波測定装置本体部921にデータ解析手段942及び記憶手段925を有しているとともに、プローブ922に発光素子と受光素子を備えた脈波検出手段923を有している。そして、脈波測定装置900は、従来例に記載されている脈波データ解析方法を用いて、被験者999の脈波データから心電
図R−R間隔に相当する情報である脈波P−P間隔を抽出している。
【0005】
また、上述した従来例の脈波測定装置900における具体的な脈波データ解析方法は、先ず、脈波検出手段923により、
図16(a)に示すような脈波波形をサンプリングして、移動平均処理を行い、記憶手段925に順次蓄積するようにしている。
【0006】
次に、
図16(b)に示すように、移動平均処理後の脈波波形からボトム値(B1、B2、B3、B4、B5)及びピーク値(P1、P2、P3、P4、P5)を時間軸に沿って順次比較し、ボトム値からピーク値に遷移するときのボトム値とピーク値をペアリングする。例えば、
図16(b)に示すボトム値B1とピーク値P1のペアやボトム値B2とピーク値P2のペアとなる。
【0007】
次に、ペアリングしたボトム値とピーク値の振幅差(SW1、SW2、SW4、SW5)から、当該ペアの振幅差が前後ペアの振幅差よりも所定の閾値(例えば1/2に設定)より小さい場合、当該ペアを脈拍数の計算に使用しないようにしている。例えば、
図16(b)に示す振幅差SW2及び振幅差SW4は、使用されない。
【0008】
最後に、残ったペアのピーク値を用いて、脈波P−P間隔を抽出するようにしている。例えば、
図16(b)に示すピーク値P1、ピーク値P3、ピーク値P5が計算に用いられる。以上により、切痕ノイズ(リップル)とみられる振幅値が小さいいくつかのピーク値が除かれて、正確な脈波P−P間隔の算出が可能となるとしている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる生体情報測定装置501の動作概要を説明する図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係わる生体情報測定装置501の構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
先ず、本発明の第1実施形態に係わる生体情報測定装置501の動作概要について説明する。本発明の第1実施形態の生体情報測定装置501は、
図1に示すように、検出対象である生体400に対して送信信号TSを放射して、生体400から反射する反射信号RSを検出することで、生体400における脈拍情報及び呼吸情報を含む生体情報を検知するものである。そして、この脈拍情報及び呼吸情報を含んだ生体情報信号から、脈拍値及び呼吸値を含む生体情報値を抽出することができる。
【0031】
次に、生体情報測定装置501の構成について説明する。本発明の第1実施形態の生体情報測定装置501は、
図2に示すように、送信信号TSを放射するとともに反射信号RSを受信するアンテナATと、送信信号TSを生成する送信部2と、送信信号TSの一部と反射信号RSとが入力される検波部3と、検波部3から出力される情報信号を処理する信号処理部S5と、信号処理部S5と送信部2に接続されるコントロール部C6と、コントロール部C6に接続される生体情報データ解析装置101と、を備えて構成される。他に、第1実施形態の生体情報測定装置501には、第1伝送線路17と、第2伝送線路27と、切り換え手段である第1スイッチ18及び第2スイッチ28と、を備えている。また、生体情報測定装置501には、図示しない電源回路を有しており、生体情報測定装置501の各部に動作に必要な電力を供給している。
【0032】
生体情報測定装置501のアンテナATは、
図2に示すように、切り換え手段である第1スイッチ18に接続されており、第1伝送線路17を伝送してきた送信信号TSを放射するとともに、送信信号TSが生体400で反射した反射信号RSを受信し、第2伝送線路27へ送信している。なお、
図2では、第1伝送線路17の一端と接続されているが、
図2の状態から第1スイッチ18を切り換えることにより、第2伝送線路27の一端と接続することができる。
【0033】
また、第1伝送線路17と第2伝送線路27の他端には、
図2に示すように、切り換え手段である第2スイッチ28が接続されており、この第2スイッチ28により、第1伝送線路17或いは第2伝送線路27の一方を選択し、第1伝送線路17或いは第2伝送線路27の他端と接続することができる。また、第2スイッチ28は、送信部2の出力端子2aに接続されている。
【0034】
生体情報測定装置501の送信部2は、送信回路を有して構成されており、
図2に示すように、出力端子2aに接続されている。そして、送信部2は、送信信号TSを生成し、
図2では、第2スイッチ28、第1伝送線路17、第1スイッチ18を経由して、アンテナATに送信信号TSを送信している。
【0035】
一方、アンテナATで受信された反射信号RSは、
図2の状態から第1スイッチ18及び第2スイッチ28を切り換えて、アンテナAT、第1スイッチ18、第2伝送線路27、第2スイッチ28を経由して、出力端子2aに入力される。なお、送信信号TSの送信及び反射信号RSの受信において、第1伝送線路17及び第2伝送線路27の何れかを選択するのは、第1スイッチ18及び第2スイッチ28を切り換えることにより、任意に行うことができる。
【0036】
生体情報測定装置501の検波部3は、検波回路を有して構成されており、
図2に示すように、送信部2の出力端子2aに接続されている。そして、検波部3は、送信部2が送信動作中に出力端子2aから出力される送信信号TSの一部と、アンテナATで受信された反射信号RSと、が入力され、送信信号TS及び反射信号RSの検波を行い、情報信号を信号処理部S5に出力している。
【0037】
生体情報測定装置501の信号処理部S5は、
図2に示すように、信号処理回路を有して構成されており、検波部3に接続されている。そして、検波部3から出力される情報信号の信号処理を行い、その結果をコントロール部C6へ出力している。その際に、信号処理部S5の信号処理回路は、検波部3からの情報信号の振幅の変化を増幅し、増幅した増幅信号をアナログ−デジタル変換回路(A/D変換回路)により、アナログ信号からデジタル信号へ変換しており、信号処理部S5は、このAD変換信号(Analog-to-Digital Convertion信号)をコントロール部C6へ出力している。
【0038】
生体情報測定装置501のコントロール部C6は、
図2に示すように、制御回路36と記録部56とを有して構成されており、送信部2と、信号処理部S5と、第1スイッチ18と、第2スイッチ28と、生体情報データ解析装置101と、に接続されている。そして、コントロール部C6は、送信部2の動作状態を制御するとともに、第1スイッチ18及び第2スイッチ28を制御し、第1伝送線路17または第2伝送線路27のどちらか一方を選択して、アンテナATと出力端子2aとを接続するための制御信号を出力している。
【0039】
また、コントロール部C6は、信号処理部S5を制御するとともに、信号処理部S5からの出力信号(AD変換信号)を取得し、順次、記録部56に出力信号(AD変換信号)を格納している。そして、コントロール部C6は、この出力信号(AD変換信号)を処理して生体情報データとし、この生体情報データを生体情報データ解析装置101に送信している。
【0040】
生体情報測定装置501の生体情報データ解析装置101は、
図2に示すように、生体情報データから生体情報を抽出する制御部115と、制御部115で処理したデータが保存できる記憶部155と、を備えて構成され、生体情報測定装置501のコントロール部C6に接続されている。そして、生体情報データ解析装置101の制御部115は、解析回路を有しており、コントロール部C6からの生体情報データを解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出している。
【0041】
以上のような構成により、本発明の第1実施形態の生体情報測定装置501は、送信信号TSを放射して、生体400から反射する反射信号RSを検出することで、生体400の呼吸に伴う体動や、脈拍に伴う体表面の動きを検出して、生体400における脈拍値及び呼吸値を含む生体情報を検知することができる。その際に、生体情報測定装置501のコントロール部C6からの生体情報データの解析に、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置101を用いている。
【0042】
次に、第1実施形態の生体情報測定装置501の制御動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の第1実施形態の生体情報測定装置における制御動作を説明するフローチャートのパートA図である。
【0043】
先ず、第1実施形態の生体情報測定装置501は、
図3のフローチャートに示すように、送信部2から送信信号TSを送信し、
図1に示すアンテナATを介して、
図1に示す生体400に向けて送信信号TSを放射する。そして、生体400から反射してきた反射信号RSをアンテナATで受信する。
【0044】
次に、
図3に示すように、アンテナATを介して受信された反射信号RSと送信信号TSの一部とが、検波部3に入力される。そして、検波部3は、送信信号TS及び反射信号RSの検波を行い、検波部3から情報信号JSを信号処理部S5に送信する。
【0045】
次に、検波部3から情報信号JSが信号処理部S5に入力されると、信号処理部S5は、
図3に示すように、情報信号JSの周波数の違いを用いてフィルタリング処理を行い、所望の生体信号SSを抽出する。そして、信号処理部S5は、この生体信号SSをコントロール部C6へ送信する。
【0046】
次に、信号処理部S5から生体信号SSがコントロール部C6に入力されると、コントロール部C6は、
図3に示すように、生体信号SSを処理して所望の生体情報データSD1を生成する。そして、コントロール部C6は、この生成された生体情報データSD1を、順次、記録部56に格納するとともに、生体情報データSD1を生体情報データ解析装置101に送信する。
【0047】
最後に、生体情報データ解析装置101は、コントロール部C6から入力された生体情報データSD1を受信し、この生体情報データSD1を解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出するようにしている。
【0048】
次に、生体情報データ解析装置101における制御動作について、
図4ないし
図10を用いて、詳細に説明する。なお、
図9及び
図10は、実際の測定データの一例を示しており、これらの例を用いて説明する。
図4は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図3のパートA図に続くパートB図である。
図5は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図4のパートB図に続くパートC図である。
図6は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図5のパートC図に続くパートD図である。
図7は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図6のパートD図に続くパートE図である。
図8は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図7のパートE図の後のパートF図である。
図9は、本発明の第1実施形態の生体情報測定装置による測定データを生体情報データ解析装置で解析した一例を示したグラフであり、
図9(a)は、生体情報データSD1から第1生体値群H1をそれぞれ算出する解析例を示した図であり、
図9(b)は、第1基準外値G1及び第2基準外値G2を仮削除した状態の間隔時間DSを示した図であり、
図9(c)は、第nステップを経て第1仮生体値A1に新規生体値AMが加算された状態の間隔時間DSを示した図である。
図10は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置で解析した結果の一例示した一覧表である。
図9における横軸は、経過時間を示しており、縦軸は、送信信号TSと反射信号RSの位相差を示しており、強度(出力値)で表している。
図10における数値は、特徴点CPで抽出した時刻値Tに対応した脈拍値(1分間における脈拍数)を示しており、算出した脈拍値の単位は、BPM(Beat Per Minute)である。
【0049】
先ず、生体情報データ解析装置101は、
図4のフローチャートに示すように、受信した生体情報データSD1を記憶部155に格納する。この生体情報データSD1は、生体400を所定時間連続計測して得られた生体情報のデータであり、その一例として、
図9では、正負の波形を有した出力値として得られた脈拍情報の生体情報データSD1を示している。
【0050】
次に、生体情報データ解析装置101の制御部115は、
図9に示すような生体情報データSD1の波形から、ある特徴点CPを捉えて、この特徴点CPに対応した時刻値Tを抽出する。そして、この時刻値Tを記憶部155に保存している。本発明の第1実施形態では、ある特徴点CPとして、生体情報データSD1が負から正に反転する際にクロスするゼロクロス点を用いている。このゼロクロス点は、
図9に示すように、最大ピーク或いは最小ボトム近傍で見られる、電磁波ノイズや振動等によるリップルの影響を最も受けないポイントとなっている。これにより、生体情報データSD1を解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出する際に、正確に生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。なお、生体情報データSD1が正から負に反転する際にクロスするゼロクロス点を用いても、同様の効果が得られる。また、このゼロクロス点は、所定レベルを基準にしたゼロクロス点であって、例えばDCバイアスをかけた場合には、DCバイアス分を差し引いたデータでのゼロクロス点となる。
【0051】
次に、制御部115は、
図4に示すように、特徴点CPに対応した時刻値Tを順次抽出して、この時刻値Tを記憶部155に順次保存することを繰り返す。そして、一定以上の時刻値Tのデータが有るか無いかを判断し、データが一定以上有る場合は、次のステップに進むようにしている。例えば、
図10の例では、21個の抽出した時刻値T(10.59秒から24.69秒まで)の場合の例を記載している。なお、この時刻値Tの個数、或いはデータ解析の時間範囲は、予め記憶部155に記憶させることができ、任意に設定することができる。
【0052】
次に、制御部115は、次の第1ステップST1として、
図5に示すように、保存された複数の時刻値Tのそれぞれの間隔時間DS(
図9(a)を参照)から第1仮生体値A1をそれぞれ算出し、算出した複数の第1仮生体値A1である第1生体値群H1を記憶部155に保存する。具体的には、例えば、
図10に示す10.59秒と11.44秒との間隔時間DS1(
図9(a)を参照)が、0.85秒なので、この間隔で脈拍が打たれたとして、脈拍値が71(回/分)であると算出している。例えば、
図10に示す15.04秒と15.74秒との間隔時間DS7(
図9(a)を参照)が、0.85秒なので、脈拍値が86(回/分)であると算出している。なお、
図9(a)では、間隔時間DS1から間隔時間DS20までの20個の間隔が示されている。
【0053】
次に、制御部115は、第1ステップST1以降の第nステップを行う。ここで、第1ステップST1以降のステップを第nステップと設定し、第nステップの直前のステップを第n−1ステップと設定している。但し、nは2以上の整数である。つまり、
図5に示すように、第1ステップST1の次のステップが第nステップである第2ステップST2となり、第2ステップST2の直前のステップである第n−1ステップが第1ステップST1となる。また、同様にして、第2ステップST2の次のステップが
図6に示す第nステップである第3ステップST3となり、第3ステップST3の直前のステップである第n−1ステップが第2ステップST2となる。また、第3ステップST3の次のステップが
図7に示す第nステップである第4ステップST4となり、第4ステップST4の直前のステップである第n−1ステップが第3ステップST3となる。このようにして、第nステップを繰り返して、予め決められたnの数値によりステップが進められる。
【0054】
先ず、制御部115は、第nステップであるnが2の第2ステップST2を行う。第2ステップST2では、
図5に示すように、第1生体値群H1の平均値を算出して、その平均値に第1所定値K1を乗じ、第1上限値L1を算出している。例えば、
図10に示すように、第1生体値群H1の21個の平均値が103(回/分)となり、その平均値に第1所定値K1である1.15を乗じ、第1上限値L1の118(回/分)を算出している。この例では、第1所定値K1を1.1〜1.2の間の1.15と好適に設定したが、これに限るものではない。
【0055】
次に、制御部115は、
図5に示すように、第n−1ステップの第1ステップST1で算出された第n−1生体値群である第1生体値群H1の中で、第n−1上限値である第1上限値L1より大きい値の第1仮生体値A1(第n−1仮生体値)を抽出し、抽出した第1仮生体値A1を第n−1基準外値である第1基準外値G1として、算出の対象となるデータ群から仮削除する。そして、残った第1仮生体値A1を第n補正生体値群である第2補正生体値群CH2として取り扱い、次に算出の対象となる補正データ群とする。例えば、
図10に示すように、第1基準外値G1は、154、120、400及び146(回/分)となり、残った16個のデータが次に算出の対象となる補正データ群となる。
【0056】
また、第nステップ(ここでは第2ステップST2)では、制御部115は、第nステップの直前の第n−1ステップ(ここでは第1ステップST1)迄で仮削除された第n−1基準外値が連続しているかどうかを確認する。この第2ステップST2では、第1ステップST1で第n−1基準外値(第0基準外値に相当)は抽出されないので、次の工程へと進む。そして、制御部115は、
図5に示すように、残った第1仮生体値A1を第2補正生体値群CH2として確定する。
【0057】
次に、制御部115は、第nステップであるnが3の第3ステップST3を行う。第3ステップST3では、
図6に示すように、第2補正生体値群CH2の平均値を算出して、その平均値に第2所定値K2を乗じ、第2上限値L2を算出する。例えば、
図10に示すように、第2補正生体値群CH2の16個の平均値が78(回/分)となり、その平均値に第2所定値K2の1.15を乗じ、第2上限値L2の90(回/分)を算出している。この例でも、第2所定値K2を1.1〜1.2の間の1.15と好適に設定した。なお、言うまでもないが、上述した方法で算出した第2上限値L2は、第1上限値L1より小さい値になっている。
【0058】
次に、制御部115は、
図6に示すように、第n−1ステップの第2ステップST2で算出された第2補正生体値群CH2(第n−1生体値群であるとともに第n補正生体値群でもある)の中で、第n−1上限値である第2上限値L2より大きい値の第2仮生体値A2(第n−1仮生体値)を抽出し、抽出した第2仮生体値A2を第n−1基準外値である第2基準外値G2として、算出の対象となる補正データ群から仮削除する。そして、残った第2仮生体値A2を第n補正生体値群である第3補正生体値群CH3として取り扱い、次に算出の対象となる再補正データ群とする。例えば、
図10に示すように、第2基準外値G2は、109及び107(回/分)となり、残った14個のデータが次に算出の対象となる補正データ群となる。なお、
図9(b)では、残った14個の第3補正生体値群CH3の元となる、間隔時間DS1〜間隔時間DS18までの15個の間隔が示されている。つまり、
図9(a)に示す間隔時間DS5、間隔時間DS9、間隔時間DS10、間隔時間DS16、間隔時間DS19及び間隔時間DS20が使用されない。
【0059】
また、前述したように、第nステップ(ここでは第3ステップST3)では、制御部115は、第nステップの直前の第n−1ステップ(ここでは第2ステップST2)迄で仮削除された第n−1基準外値(ここでは第1基準外値G1)が連続しているかどうかを確認する。この第3ステップST3では、第2ステップST2のみで基準外値(第1基準外値G1)が抽出されているので、この第1基準外値G1(基準外値)が連続しているかどうか確認する。この基準外値が連続した場合は、基準外値の元となる連続した時刻値Tの内、最も早い時刻値Tと最も遅い時刻値Tとの間隔時間DSから新規生体値AMを算出する。
図10の例では、第1基準外値G1は連続していないので、次の工程へと進む。そして、制御部115は、
図6に示すように、残った第2仮生体値A2を第3補正生体値群CH3として確定する。
【0060】
次に、制御部115は、第nステップであるnが4の第4ステップST4を行う。第4ステップST4では、
図7に示すように、第3補正生体値群CH3の平均値を算出して、その平均値に第3所定値K3を乗じ、第3上限値L3を算出する。例えば、
図10に示すように、第3補正生体値群CH3の14個の平均値が74(回/分)となり、その平均値に第3所定値K3の1.15を乗じ、第3上限値L3の85(回/分)を算出している。この例でも、第3所定値K3を1.1〜1.2の間の1.15と好適に設定した。なお、言うまでもないが、上述した方法で算出した第3上限値L3は、第2上限値L2より小さい値になっている。
【0061】
次に、制御部115は、
図7に示すように、第n−1ステップの第3ステップST3で算出された第3補正生体値群CH3(第n−1生体値群であるとともに第n補正生体値群でもある)の中で、第n−1上限値である第3上限値L3より大きい値の第3仮生体値A3(第n−1仮生体値)を抽出し、抽出した第3仮生体値A3を第n−1基準外値である第3基準外値G3として、算出の対象となる補正データ群から仮削除する。そして、残った第3仮生体値A3を第n補正生体値群である第4補正生体値群CH4として取り扱い、次に算出の対象となる再補正データ群とする。例えば、
図10に示すように、第3基準外値G3は、86及び87(回/分)となり、残った12個のデータが次に算出の対象となる再補正データ群となる。
【0062】
また、前述したように、第nステップ(ここでは第4ステップST4)では、制御部115は、第nステップの直前の第n−1ステップ(ここでは第3ステップST3)迄で仮削除された第n−1基準外値(ここでは第1基準外値G1及び第2基準外値G2)が連続しているかどうかを確認する。この基準外値(第1基準外値G1、第2基準外値G2)が連続した場合は、基準外値の元となる連続した時刻値Tの内、最も早い時刻値Tと最も遅い時刻値Tとの間隔時間DSから新規生体値AMを算出する。そして、この新規生体値AMを記憶部155に保存する。例えば、
図10に示すように、第1基準外値G1の120(回/分)と第2基準外値G2の109(回/分)が連続しているので、最も早い時刻値Tである16.63秒と最も遅い時刻値Tである17.68秒とを用いて、これらの間隔時間DS9n(
図9(c)を参照)から新規生体値AMである57(回/分)を算出している。同様にして、第1基準外値G1の146(回/分)と第2基準外値G2の107(回/分)が連続しているので、最も早い時刻値Tである23.72秒と最も遅い時刻値Tである24.66秒とを用いて、これらの間隔時間DS19n(
図9(c)を参照)から新規生体値AMである62(回/分)を算出している。
【0063】
次に、制御部115は、
図7に示すように、第nステップ(第4ステップST4)で算出した新規生体値AMを第nステップ(第4ステップST4)で残った第4補正生体値群CH4に加算して、第n補正生体値群である第4補正生体値群CH4として確定している。例えば、
図10に示すように、第4補正生体値群CH4の12個のデータに新規生体値AMである、57及び62(回/分)の2個のデータを加算して、14個のデータの第4補正生体値群CH4として確定している。
【0064】
以上に説明したように、第nステップ(ここまでは、nが2〜4)をnの回数行うようにしている。
【0065】
例えば、
図10に示すように、第n−1ステップの第4ステップST4で算出された第4補正生体値群CH4の中で、第n−1上限値である第4上限値L4より大きい値の第4仮生体値、つまり81(回/分)を抽出し、この81(回/分)の第4仮生体値を第n−1基準外値である第4基準外値として、算出の対象となる補正データ群から仮削除する。そして、残った第4仮生体値を第n補正生体値群である第5補正生体値群CH5として取り扱い、次に算出の対象となる再補正データ群とする。更に、第5ステップST5の直前の第n−1ステップ(ここでは第4ステップST4)迄で仮削除された第n−1基準外値(ここでは第1基準外値G1、第2基準外値G2及び第3基準外値G3)が連続しているかどうかを確認する。そして、第3基準外値G3の87(回/分)と第1基準外値G1の400(回/分)が連続しているので、最も早い時刻値Tである21.90秒と最も遅い時刻値Tである22.05秒とを用いて、これらの間隔時間から新規生体値AMである71(回/分)を算出している。そして、第5補正生体値群CH5の13個のデータに新規生体値AMである、71(回/分)のデータを加算して、14個のデータの第5補正生体値群CH5として確定している。
【0066】
例えば、
図10に示すように、nが6の第6ステップST6では、第n−1ステップの第5ステップST5で算出された第5補正生体値群CH5の中で、第n−1上限値である第5上限値L5より大きい値の第5仮生体値を抽出するが、対象となる第5仮生体値が見られなく、第n−1基準外値である第5基準外値は抽出されない。故に、第5仮生体値を第n補正生体値群である第6補正生体値群CH6として取り扱い、次に算出の対象となる再補正データ群とする。更に、第6ステップST6の直前の第n−1ステップ(ここでは第5ステップST5)迄で仮削除された第n−1基準外値(ここでは第1基準外値G1、第2基準外値G2、第3基準外値G3及び第4基準外値)が連続しているかどうかを確認する。そして、第1基準外値G1の154(回/分)、第4基準外値の81(回/分)及び第3基準外値G3の86(回/分)が連続しているので、最も早い時刻値Tである14.30秒と最も遅い時刻値Tである15.74秒とを用いて、これらの間隔時間から新規生体値AMである53(回/分)を算出している。そして、第6補正生体値群CH6の14個のデータに新規生体値AMである、53(回/分)のデータを加算して、15個のデータの第6補正生体値群CH6として確定している。
【0067】
例えば、
図10に示すように、nが7の第7ステップST7では、第n−1ステップの第6ステップST6で算出された第6補正生体値群CH6の中で、第n−1上限値である第6上限値L6より大きい値の第6仮生体値を抽出するが、対象となる第6仮生体値が見られなく、第n−1基準外値である第6基準外値は抽出されない。故に、第6仮生体値を第n補正生体値群である第7補正生体値群CH7として取り扱い、次に算出の対象となる再補正データ群とする。更に、第7ステップST7の直前の第n−1ステップ(ここでは第6ステップST6)迄で仮削除された第n−1基準外値(ここでは第1基準外値G1、第2基準外値G2、第3基準外値G3及び第4基準外値)が連続しているかどうかを確認するが、連続した基準外値が見られないので、第7補正生体値群CH7の15個のデータを第7補正生体値群CH7として確定している。
【0068】
以上に説明した第nステップでは、各ステップの終了時において、制御部115は、
図8に示すように、第nステップでの制御が予め設定されたn回数より多いか少ないかを判断し、少ない場合は上述の制御を繰り返し、多い場合は次の最終ステップSTfに進むようにしている。なお、本発明の第1実施形態では、少なくとも2回以上、具体的には7回、行っている。これにより、各ステップを経て得られる仮削除されなかった第n補正生体値群内のデータを絞り込め、第n−1仮生体値及び新規生体値AMをある範囲に収束させることができる。なお、繰り返しの回数は、予め記憶部155に記憶させることができ、任意に設定することができるが、測定精度と処理速度に鑑み、3回〜9回の間の回数がより好適である。
【0069】
最後に、制御部115は、
図8に示すように、最終ステップSTfを行う。最終ステップSTfでは、制御部115は、
図8に示すように、最後のステップ(第nステップ)における第n補正生体値群を最終補正生体値群として確定する。そして、最終補正生体値群の平均値を算出して、この算出した最終補正生体値群の平均値を生体情報の生体値として確定し、生体情報測定装置501に出力している。例えば、
図10に示すように、最後のステップ(第7ステップST7)における第7補正生体値群CH7の平均値は、68(回/分)となり、この68(回/分)を生体値(ここでは脈拍値)として確定している。
【0070】
以上のように、本発明の生体情報データ解析装置101は、
図4ないし
図8に示すようなステップを用いて生体400の生体情報データSD1から生体情報の生体値を抽出しているので、電磁波ノイズや振動等によるリップルが大きい生体情報データSD1であっても、このリップルの影響をできるだけ除去できる。このことにより、正確に生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。
【0071】
また、本発明の第1実施形態では、仮削除した第n−1基準外値の元となる時刻値Tから新規生体値AMを算出し、第nステップで残った第n補正生体値群に新規生体値AMを加算するようにしているので、より正確な生体情報データSD1の解析を行うことができる。このことにより、より正確に生体値を算出することができ、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0072】
また、本発明の第1実施形態では、第n−1生体値群を用いて、第n−1上限値(例えば第1上限値L1、第2上限値L2、第3上限値L3、第4上限値L4、第5上限値L5及び第6上限値L6)を決めているので、生体400の状態や測定環境の変化による様々な状態の生体情報データSD1に対して、より的確な第n−1上限値を決めることができる。このため、生体情報データSD1のより的確なデータ解析を行うことができ、より正確に生体値を算出することができる。このことにより、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0073】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置101及び生体情報測定装置501における、効果について、以下に纏めて説明する。
【0074】
本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置101は、各ステップを用いて生体400の生体情報データSD1から生体情報の生体値を抽出しているので、電磁波ノイズや振動等によるリップルが大きい生体情報データSD1であっても、このリップルの影響をできるだけ除去できる。このことにより、正確に生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。
【0075】
また、仮削除した第n−1基準外値の元となる時刻値Tから新規生体値AMを算出し、第nステップで残った第n補正生体値群に新規生体値AMを加算するようにしているので、より正確な生体情報データSD1の解析を行うことができる。このことにより、より正確に生体値を算出することができ、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0076】
また、第n−1生体値群を用いて、第n−1上限値(例えば第1上限値L1、第2上限値L2、第3上限値L3、第4上限値L4、第5上限値L5及び第6上限値L6)を決めているので、生体400の状態や測定環境の変化による様々な状態の生体情報データSD1に対して、より的確な第n−1上限値を決めることができる。このため、生体情報データSD1のより的確なデータ解析を行うことができ、より正確に生体値を算出することができる。このことにより、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0077】
また、特徴点CPが生体情報データSD1の負から正に反転する際にクロスするゼロクロス点であるので、最大ピーク或いは最小ボトム近傍で見られる、電磁波ノイズや振動等によるリップルの影響を最も受けないポイントとなっている。このことにより、生体情報データSD1を解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出する際に、より一層正確に生体値を算出することができ、生体情報をより一層精度良く測定することができる。
【0078】
また、より電磁波ノイズや振動等に影響される生体情報の脈拍情報であって、その生体値が脈拍値であるので、その悪影響によるリップルが大きく発生した生体情報データSD1であっても、このリップルの影響をできるだけ除去することができる。このことにより、より一層正確に生体値を算出することができ、生体情報をより一層精度良く測定することができる。
【0079】
また、本発明の第1実施形態の生体情報測定装置501は、本発明の第1実施形態の生体情報データ解析装置101を備えているので、電磁波ノイズや振動等によるリップルが大きい生体情報データSD1の元となる反射信号RSが入力されても、このリップルの影響をできるだけ除去することができる。このことにより、正確に脈拍値や呼吸値等の生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。
【0080】
[第2実施形態]
図11は、本発明の第2実施形態に係わる生体情報データ解析装置102の構成を示す機能ブロック図である。
図12は、本発明の第2実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートのパートG図である。
図13は、本発明の第2実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図12のパートG図に続くパートH図である。
図14は、本発明の第2実施形態の生体情報データ解析装置における制御動作を説明するフローチャートであって、
図13のパートH図に続くパートJ図である。また、第2実施形態の生体情報データ解析装置102は、第1実施形態の生体情報データ解析装置101に対し、制御動作が主に異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0081】
本発明の第2実施形態の生体情報データ解析装置102は、
図11に示すように、生体情報データSD2から生体情報を抽出する制御部215と、制御部215で処理したデータが保存できる記憶部255と、を備えて構成され、生体情報を測定する測定装置555に接続されている。
【0082】
生体情報データ解析装置102の制御部215は、解析回路を有しており、測定装置555からの生体情報データSD2を解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出している。また、制御部215は、各種電子部品と集積回路(IC、Integrated Circuit)を用いて構成されている。
【0083】
生体情報データ解析装置102の記憶部255は、測定装置555からの生体情報データSD2や制御部215で処理したデータを保存している。また、記憶部255は、集積回路(IC、Integrated Circuit)等の内部記憶媒体を用いている。なお、記憶部255として、メモリーカード等の外部記憶媒体を用いても良い。
【0084】
次に、生体情報データ解析装置102における制御動作について、
図12ないし
図14を用いて、詳細に説明する。
【0085】
先ず、生体情報データ解析装置102は、
図12のフローチャートに示すように、測定装置555から生体情報データSD2を受信し、受信した生体情報データSD2を記憶部255に格納する。この生体情報データSD2は、生体400を所定時間連続計測して得られたデータである。
【0086】
次に、生体情報データ解析装置102の制御部215は、第1実施形態の
図9に示すような生体情報データSD2の波形から、ある特徴点CPを捉えて、この特徴点CPに対応した時刻値Tを抽出する。そして、この時刻値Tを記憶部255に保存している。本発明の第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ある特徴点CPとして、生体情報データSD2が負から正に反転する際にクロスするゼロクロス点を用いている。このゼロクロス点は、最大ピーク或いは最小ボトム近傍で見られる、電磁波ノイズや振動等によるリップルの影響を最も受けないポイントとなっている。これにより、生体情報データSD2を解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出する際に、正確に生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。なお、生体情報データSD2が正から負に反転する際にクロスするゼロクロス点を用いても、同様の効果が得られる。
【0087】
次に、制御部215は、
図12に示すように、特徴点CPに対応した時刻値Tを順次抽出して、この時刻値Tを記憶部255に順次保存することを繰り返す。そして、一定以上の時刻値Tのデータが有るか無いかを判断し、データが一定以上有る場合は、次のステップに進むようにしている。なお、この時刻値Tの個数、或いはデータ解析の時間範囲は、予め記憶部255に記憶させることができ、任意に設定することができる。
【0088】
次に、制御部215は、次の第1ステップST1として、
図12に示すように、保存された複数の時刻値Tのそれぞれの間隔時間DSから第1仮生体値Q1をそれぞれ算出し、算出した複数の第1仮生体値Q1である第1生体値群H21を記憶部255に保存する。
【0089】
次に、制御部215は、
図12に示すように、第1生体値群H21の中で、予め決められた下限値M1より小さい値の第1仮生体値Q1を抽出し、この抽出した第1仮生体値Q1を下限基準外値GL1として、第1生体値群H21から仮削除し、新規の第1生体値群H21として確定している。これにより、何らかの影響で下限の特異点が存在したとしても、この影響を除くことができる。
【0090】
次に、制御部215は、
図13に示すように、第1ステップST1以降の第nステップを行う。先ず、制御部215は、第nステップであるnが2の第2ステップST2を行う。第2ステップST2では、制御部215は、
図13に示すように、第n−1生体値群である新規の第1生体値群H21(
図12を参照)の平均値を算出して、その平均値に第n−1所定値を乗じ、第n−1上限値を算出している。なお、本発明の第2実施形態では、第1実施形態と同様に、第n−1所定値を1.1〜1.2の間の1.15と好適に設定している。
【0091】
次に、制御部215は、
図13に示すように、第n−1ステップの第1ステップST1で算出された第1生体値群H21の中で、第n−1上限値より大きい値の第n−1仮生体値(第1仮生体値Q1)を抽出し、抽出した第1仮生体値Q1を第n−1基準外値として、算出の対象となるデータ群から仮削除する。そして、残った第1仮生体値Q1を第n補正生体値群として取り扱い、次に算出の対象となる補正データ群とする。
【0092】
また、第nステップでは、制御部215は、第nステップの直前の第n−1ステップ(ここでは第1ステップST1)迄で仮削除された第n−1基準外値が連続しているかどうかを確認する。具体的には、第n−1基準外値は、第n−1ステップで仮削除された下限基準外値GL1である。この第n−1基準外値が連続した場合は、第n−1基準外値の元となる連続した時刻値Tの内、最も早い時刻値Tと最も遅い時刻値Tとの間隔時間から新規生体値BMを算出する。そして、この新規生体値BMが予め決められた下限値M2より小さい値の場合は、この小さい値の新規生体値BMを下限基準外値GL2として、仮削除する。また、この新規生体値BMが予め決められた下限値M2より大きい値の場合は、この大きい値の新規生体値BMを記憶部255に保存する。
【0093】
次に、制御部215は、
図13に示すように、第nステップ(第2ステップST2)で算出した新規生体値BMを第nステップ(第2ステップST2)で残った第n補正生体値群に加算して、第n補正生体値群として確定している。一方、第n−1基準外値が連続していない場合は、新規生体値BMを算出しないので、残った第n補正生体値群をそのまま用い、第n補正生体値群として確定している。
【0094】
次に、制御部215は、各ステップの終了時において、
図13に示すように、第nステップでの制御が予め設定されたn回数より多いか少ないかを判断し、少ない場合は次のステップに進み、同様な制御を繰り返し、多い場合は次の最終ステップSTfに進むようにしている。なお、本発明の第2実施形態では、少なくとも2回以上行っている。これにより、これにより、各ステップを経て得られる仮削除されなかった第n補正生体値群内のデータを絞り込め、第n−1仮生体値及び新規生体値BMをある範囲に収束させることができる。なお、繰り返しの回数は、予め記憶部255に記憶させることができ、任意に設定することができるが、測定精度と処理速度に鑑み、3回〜9回の間の回数がより好適である。
【0095】
最後に、制御部215は、
図14に示すように、最終ステップSTfを行う。最終ステップSTfでは、制御部215は、
図14に示すように、最後のステップ(第nステップ)における第n補正生体値群を最終補正生体値群として確定する。そして、最終補正生体値群の平均値を算出して、この算出した最終補正生体値群の平均値を生体情報の生体値として確定し、測定装置555に出力している。
【0096】
以上のように、本発明の生体情報データ解析装置102は、
図12ないし
図14に示すようなステップを用いて生体400の生体情報データSD2から生体情報の生体値を抽出しているので、電磁波ノイズや振動等によるリップルが大きい生体情報データSD2であっても、このリップルの影響をできるだけ除去できる。このことにより、正確に生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。
【0097】
また、本発明の第2実施形態では、仮削除した第n−1基準外値の元となる時刻値Tから新規生体値BMを算出し、第nステップで残った第n補正生体値群に新規生体値BMを加算するようにしているので、より正確な生体情報データSD2の解析を行うことができる。このことにより、より正確に生体値を算出することができ、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0098】
また、本発明の第2実施形態では、第n−1生体値群を用いて、第n−1上限値を決めているので、生体400の状態や測定環境の変化による様々な状態の生体情報データSD2に対して、より的確な第n−1上限値を決めることができる。このため、生体情報データSD2のより的確なデータ解析を行うことができ、より正確に生体値を算出することができる。このことにより、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0099】
以上のように構成された本発明の第2実施形態の生体情報データ解析装置102における、効果について、以下に纏めて説明する。
【0100】
本発明の第2実施形態の生体情報データ解析装置102は、各ステップを用いて生体400の生体情報データSD2から生体情報の生体値を抽出しているので、電磁波ノイズや振動等によるリップルが大きい生体情報データSD2であっても、このリップルの影響をできるだけ除去できる。このことにより、正確に生体値を算出することができ、生体情報を精度良く測定することができる。
【0101】
また、仮削除した第n−1基準外値の元となる時刻値Tから新規生体値BMを算出し、第nステップで残った第n補正生体値群に新規生体値BMを加算するようにしているので、より正確な生体情報データSD2の解析を行うことができる。このことにより、より正確に生体値を算出することができ、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0102】
また、生体値が予め決められた下限値(M1、M2)より小さい場合には、算出するデータから除かれるので、何らかの影響で下限の特異点が存在したとしても、この影響を除くことができる。このことにより、より一層益々正確に生体値を算出することができ、生体情報をより一層益々精度良く測定することができる。
【0103】
また、第n−1生体値群を用いて、第n−1上限値を決めているので、生体400の状態や測定環境の変化による様々な状態の生体情報データSD2に対して、より的確な第n−1上限値を決めることができる。このため、生体情報データSD2のより的確なデータ解析を行うことができ、より正確に生体値を算出することができる。このことにより、生体情報をより精度良く測定することができる。
【0104】
また、特徴点CPが生体情報データSD2の負から正に反転する際にクロスするゼロクロス点であるので、最大ピーク或いは最小ボトム近傍で見られる、電磁波ノイズや振動等によるリップルの影響を最も受けないポイントとなっている。このことにより、生体情報データSD2を解析して、脈拍値や呼吸値等の生体情報の生体値を抽出する際に、より一層正確に生体値を算出することができ、生体情報をより一層精度良く測定することができる。
【0105】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0106】
<変形例1>
上記第1実施形態では、生体情報測定装置501が生体400から離れている図(
図1を参照)を示して説明を行ったが、これに限るものではなく、例えば生体400が携帯するか或いは生体400に装着されていても良い。
【0107】
<変形例2>
上記第1実施形態においても、上記第2実施形態と同様、第1仮生体値A1及び新規生体値AMを含む生体値が予め決められた下限値より小さい場合には、この小さい生体値を、第n−1生体値群から除くように構成しても良い。
【0108】
<変形例3>
上記実施形態では、第n−1生体値群の平均値に第n−1所定値を乗じて、第n−1上限値を算出し、予め決められた第n−1上限値としたが、これに限るものではない。例えば、予め記憶部(155、255)に値を記憶させて、第n−1上限値を任意に設定することもできる。
【0109】
<変形例4>
上記実施形態では、第nステップでの繰り返し制御の回数を予め記憶部155に記憶させていたが、これに限るものではない。例えば、第nステップでの第n補正生体値群の平均値の値が同じ値で連続した場合は、次の最終ステップSTfに進むようにしても良い。
【0110】
<変形例5>
上記実施形態では、脈拍情報の生体情報データ(SD1、SD2)を例にして説明を行ったが、これに限らず、呼吸情報の生体情報データでも良い。その際には、第n−1所定値は、1.4〜1.6の間が好適である。
【0111】
<変形例6>
上記実施形態では、特徴点CPとして、生体情報データ(SD1、SD2)が負から正に反転する際にクロスするゼロクロス点、或いは正から負に反転する際にクロスするゼロクロス点を用いたが、これに限らず、例えば、ある出力値の一定点を特徴点としても良い。
【0112】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。