(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、
図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。以下では、冷凍サイクル装置の一例として冷凍空調装置を例に挙げて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置1の冷媒回路構成の一例を示す概略構成図である。
図1に基づいて、冷凍空調装置1の冷媒回路構成及び動作について説明する。この冷凍空調装置1は、たとえばビルやマンション等に設置され、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、設置される室内等の空調対象域の冷房や暖房に使用されるものである。
【0017】
<冷凍空調装置1の構成>
冷凍空調装置1は、主として、熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(
図1では2台を図示している)の利用ユニットとしての室内ユニット4(室内ユニット4A、室内ユニット4B)と、を備えている。また、冷凍空調装置1は、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続する冷媒延長配管(液側延長配管6、ガス側延長配管7)を有している。すなわち、冷凍空調装置1は、室外ユニット2と室内ユニット4とが冷媒配管で接続されて冷媒が循環する冷媒回路10を有している。
【0018】
液側延長配管6は、液冷媒が通過する配管であり、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続している。液側延長配管6は、液主管6A、液枝管6a、液枝管6b、及び、分配器51aが接続されて構成されている。
また、ガス側延長配管7は、ガス冷媒が通過する配管であり、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続している。ガス側延長配管7は、ガス主管7A、ガス枝管7a、ガス枝管7b、分配器52aが接続されて構成されている。
【0019】
[冷媒]
冷媒回路10内に充填される冷媒としては、飽和ガス温度と飽和液温度が等しい共沸冷媒、もしくは飽和ガス温度と飽和液温度がほぼ等しい擬似共沸冷媒を用いることができる。
あるいは、冷媒回路10内に充填される冷媒としては、非共沸冷媒を用いるようにしてもよい。
つまり、冷媒回路10内に充填される冷媒を、特に限定するものではない。
【0020】
[室内ユニット4]
室内ユニット4A、室内ユニット4Bは、室外ユニット2からの冷熱又は温熱の供給を受けて空調対象域に冷房空気又は暖房空気を供給するものである。なお、以下の説明においては、室内ユニット4の後の「A」、「B」を省略する場合があるが、その場合には室内ユニット4A、室内ユニット4Bの双方を示しているものとする。また、「室内ユニット4A」系統の各機器(回路の一部も含む)の符号の後に「A(又はa)」を付加し、「室内ユニット4B」系統の各機器(回路の一部も含む)の符号の後に「B(又はb)」を付加して図示している。これらの説明においても、符号の後の「A(又はa)」、「B(又はb)」を省略する場合があるが、双方の機器を示していることは言うまでもない。
【0021】
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込まれたり、吊り下げられたり、室内の壁面に壁掛けられたりする等により設置されている。室内ユニット4Aは、液主管6A、分配器51a、液枝管6a、ガス枝管7a、分配器52a、及び、ガス主管7Aを用いて室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室内ユニット4Bは、液主管6A、分配器51a、液枝管6b、ガス枝管7b、分配器52a、及び、ガス主管7Aを用いて室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0022】
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路(室内ユニット4Aでは室内側冷媒回路10a、室内ユニット4Bでは室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路は、主として、膨張機構としての膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42と、が直列に延長されて構成されている。
【0023】
膨張弁41は、室内側冷媒回路内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に設置され、冷媒を減圧して膨張させるものである。この膨張弁41は、開度が可変に制御可能なもの、たとえば電子式膨張弁等で構成するとよい。
【0024】
室内熱交換器42は、暖房運転時には冷媒の凝縮器(放熱器)として機能して室内空気を加熱し、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、熱媒体(たとえば、空気や水等)と冷媒との間で熱交換を行ない、冷媒を凝縮液化又は蒸発ガス化するものである。室内熱交換器42は、その形式を特に限定するものではないが、たとえば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型の熱交換器で構成するとよい。
【0025】
室内ユニット4は、室内ユニット4内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風機としての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を可変することが可能なものであり、たとえばDCファンモーターによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等で構成するとよい。ただし、室内熱交換器42が、冷媒と空気とは異なる熱媒体(たとえば、水やブライン等)とで熱交換を実行するものであってもよい。
【0026】
また、室内ユニット4には、各種センサが設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度(すなわち、暖房運転時における凝縮温度Tc又は冷房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出するガス側温度センサ(ガス側温度センサ33f(室内ユニット4Aに搭載)、ガス側温度センサ33i(室内ユニット4Bに搭載))が設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度Teoを検出する液側温度センサ(液側温度センサ33e(室内ユニット4Aに搭載)、液側温度センサ33h(室内ユニット4Bに搭載))が設けられている。
【0027】
また、室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、室内ユニット4内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を検出する室内温度センサ(室内温度センサ33g(室内ユニット4Aに搭載)、室内温度センサ33j(室内ユニット4Bに搭載))が設けられている。
【0028】
これらの各種センサで検知された情報(温度情報)は、室内ユニット4に搭載されている各機器の動作を制御する後述の制御部(室内側制御部32)に送られて、各機器の動作制御に利用される。なお、液側温度センサ33e、33h、ガス側温度センサ33f、33i、及び、室内温度センサ33g、33jの種類を特に限定するものではないが、たとえばサーミスター等で構成するとよい。つまり、冷凍空調装置1では、冷媒の温度が、運転状態に応じてそれぞれの温度センサで必要に応じて計測できるようになっている。
【0029】
また、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各機器の動作を制御する室内側制御部32(32a、32b)を有している。そして、室内側制御部32は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピューターやメモリー等を有している。室内側制御部32は、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行なったり、室外ユニット2(詳しくは室外側制御部31)との間で伝送線(無線でもよい)を介して制御信号等のやりとりを行なったりすることができるようになっている。すなわち、室内側制御部32は、室外側制御部31と協働することによって冷凍空調装置1全体の運転制御を行う制御部3として機能するのである(
図2参照)。
【0030】
[室外ユニット2]
室外ユニット2は、室内ユニット4に冷熱又は温熱を供給する機能を有している。室外ユニット2は、たとえばビル等の室外に設置されており、液側延長配管6、ガス側延長配管7で室内ユニット4に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。つまり、室外ユニット2から流出して液主管6Aを流れる冷媒は、分配器51aを介して液枝管6aと液枝管6bとに分流され、室内ユニット4A、室内ユニット4Bのそれぞれに流入するようになっている。同様に、室外ユニット2から流出してガス主管7Aを流れる冷媒は、分配器52aを介してガス枝管7aとガス枝管7bとに分流され、室内ユニット4A、室内ユニット4Bのそれぞれに流入するようになっている。
【0031】
室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、流路切換手段である四方弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、液溜め容器(アキュムレータ)24と、開閉弁28と、開閉弁29と、が直列に延長された構成を有している。
【0032】
圧縮機21は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものである。この圧縮機21は、運転容量を可変することが可能なものであり、たとえばインバーターにより周波数Fが制御されるモーターによって駆動される容積式圧縮機等で構成するとよい。なお、
図1では、圧縮機21が1台である場合を例に図示しているが、これに限定されず、室内ユニット4の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機21を並列又に接続して搭載してもよい。
【0033】
四方弁22は、暖房運転時における冷媒の流れの方向と冷房運転時における熱源側冷媒の流れの方向とを切り換えるものである。四方弁22は、冷房運転時には、実線で示されるように切り替えられ、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに液溜め容器24とガス主管7A側とを接続する。これにより、室外熱交換器23が圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能し、また、室内熱交換器42が蒸発器として機能する。四方弁22は、暖房運転時には、点線で示されるように切り替えられ、圧縮機21の吐出側とガス主管7Aとを延長するとともに液溜め容器24と室外熱交換器23のガス側とを接続する。これにより、室内熱交換器42が圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能し、また、室外熱交換器23が蒸発器として機能する。
【0034】
室外熱交換器23は、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、冷房運転時には冷媒の凝縮器(放熱器)として機能し、熱媒体(たとえば、空気や水等)と冷媒との間で熱交換を行ない、その冷媒を蒸発ガス化又は凝縮液化するものである。室外熱交換器23は、その形式を特に限定するものではないが、たとえば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成するとよい。なお、室外熱交換器23は、そのガス側が四方弁22に接続され、液側が液主管6Aに接続されている。
【0035】
室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風機としての室外ファン27を有している。この室外ファン27は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なものであり、たとえばDCファンモーターからなるモーターによって駆動されるプロペラファン等で構成するとよい。但し、室外熱交換器23が、冷媒と空気とは異なる熱媒体(たとえば、水やブライン等)とで熱交換を実行するものであってもよい。
【0036】
液溜め容器24は、圧縮機21の吸入側に接続されており、室外ユニット2や室内ユニット4、配管の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。液溜め容器24は、炭素鋼等の金属で形成し、しかも法規に則って耐圧強度を考えて設計、製作された圧力容器でなければならない。
【0037】
冷媒回路10からの冷媒漏れを検知するにあたり、液溜め容器24内に貯留されている余剰液冷媒量を検出する必要がある。液溜め容器24の一部に覗き窓のような透明な部分を設けることは可能である。しかし、実用上、液溜め容器24の大部分は不透明な容器であり、光に類するものを用いて液溜め容器24の外部から内部の液面を測定したり、目視によって液溜め容器24の内部全体を透視したりすることは不可能である。また、液溜め容器24の一部に光学的に透明な覗き窓を取り付けたとしても、液溜め容器24内の液面は常時変動しているため、その覗き窓から、液溜め容器24内の冷媒液面の正確な位置を測定又は監視することは困難である。
【0038】
液溜め容器24には、内部の液冷媒量を検知するための液面検知センサ36が設置されている。液面検知センサ36としては、液溜め容器24の表面温度を計測することで液面を検知する温度センサを適用することができる。
【0039】
なお、液面検知センサ36としては、液溜め容器24の外部に設置して液面を検知する超音波センサが適用できる。また、容器表面もしくは容器の内部にセンサ部を設置し、センサを加熱し、気液部の放熱特性の違いにより液面を検知する加熱温度方式を液面検知センサ36として適用することができる。さらに、フロート部分を液溜め容器24の内部に設置してフロートの動作により気液を判別するフロート式を液面検知センサ36として適用することができる。またさらに、容器の重量や重量により変化する計測値を用いて液量を検知する重量方式を液面検知センサ36として適用することができる。
【0040】
開閉弁28及び開閉弁29は、外部の機器・配管(具体的には、液主管6A及びガス主管7A)との接続口に設けられ、開閉されることによって、冷媒を導通したり、しなかったりするものである。
【0041】
また、室外ユニット2には、複数の圧力センサと温度センサとが設けられている。圧力センサとしては、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ34aと、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ34bとが設置されている。
【0042】
温度センサとしては、吸入温度センサ33aと、吐出温度センサ33bと、熱交温度センサ33kと、液側温度センサ33lと、室外温度センサ33cとが設置されている。
【0043】
吸入温度センサ33aは、液溜め容器24と圧縮機21との間の位置に設けられ、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する。
吐出温度センサ33bは、圧縮機21の吐出側に設けられ、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する。
熱交温度センサ33kは、室外熱交換器23に設けられ、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度を検出する。
液側温度センサ33lは、室外熱交換器23の液側に設置され、室外熱交換器23の液側の冷媒温度を検出する。
室外温度センサ33cは、室外ユニット2の室外空気の吸入口側に設置され、室外ユニット2内に流入する室外空気の温度を検出する。
【0044】
これらの各種センサで検出された情報(温度情報)は、室外ユニット2に搭載されている各機器の動作を制御する制御部(室外側制御部31)に送られて、各機器の動作制御に利用される。なお、各温度センサの種類を特に限定するものではないが、たとえばサーミスター等で構成するとよい。
【0045】
また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各要素の動作を制御する室外側制御部31を有している。そして、室外側制御部31は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピューター、メモリー、モーターを制御するインバーター回路等を有している。室外側制御部31は、室内ユニット4の室内側制御部32との間で伝送線(無線でもよい)を介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室外側制御部31は、室内側制御部32と協働することによって冷凍空調装置1全体の運転制御を行う制御部3として機能するのである(
図2参照)。
【0046】
(延長配管)
延長配管(液側延長配管6、ガス側延長配管7)は、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続し、冷凍空調装置1の冷媒回路内の冷媒を循環させるために必要な配管である。
【0047】
延長配管は、液側延長配管6(液主管6A、液枝管6a、6b)と、ガス側延長配管7(ガス主管7A、ガス枝管7a、7b)とで構成され、冷凍空調装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管である。延長配管には、室外ユニット2と室内ユニット4との組み合わせに応じてそれぞれ決められた管径の延長配管が使用される。
【0048】
本実施の形態では、
図1に示すように、1台の室外ユニット2と2台の室内ユニット4A、室内ユニット4Bとの接続に、分配器51a及び分配器52aと、延長配管と、を用いている。液側延長配管6については、室外ユニット2と分配器51aの間を液主管6Aで接続し、分配器51aと各室内ユニット4A、室内ユニット4Bとの間を液枝管6a、液枝管6bで接続する。ガス側延長配管7については、室内ユニット4A、室内ユニット4Bと分配器52aとの間をガス枝管7a、ガス枝管7bで、分配器52aと室外ユニット2との間をガス主管7Aで接続する。
【0049】
なお、本実施の形態では、1台の室外ユニット2と2台の室内ユニット4との接続に分配器51a、分配器52aを加えた延長配管を用いているが、分配器51a及び分配器52aは必ずしも必須のものではない。また、分配器51a及び分配器52aは、T字管を用いた場合を例に示しているが、それに限るものではなく、ヘッダーを用いても構わない。また、複数台(3台以上)の室内ユニット4が接続される場合には、T字管を複数個使用して分配させてもよいし、ヘッダーを用いてもよい。
【0050】
以上のように、室内側冷媒回路10a、室内側冷媒回路10bと、室外側冷媒回路10cと、延長配管(液側延長配管6とガス側延長配管7)とが接続されて冷媒回路10が構成されている。そして、冷凍空調装置1は、室内側制御部32a、室内側制御部32bと室外側制御部31とから構成される制御部3によって、四方弁22により冷房運転および暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット4A、室内ユニット4Bの運転負荷に応じて、室外ユニット2および室内ユニット4A、室内ユニット4Bの各機器の制御を行なっている。
【0051】
<冷凍空調装置1の制御ブロック構成>
図2は、冷凍空調装置1の制御ブロック図である。冷凍空調装置1は、液溜め容器24の液面を検知する液面検知装置と、冷媒回路10内の冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知装置を備えている。
図2には、液面検知装置及び冷媒漏洩検知装置の機能的な構成を展開した状態のブロック図を示している。
【0052】
制御部3は、圧力センサ(吸入圧力センサ34a、吐出圧力センサ34b)、温度センサ(液側温度センサ33e,33h、ガス側温度センサ33f,33i、室内温度センサ33g,33j、吸入温度センサ33a、吐出温度センサ33b、熱交温度センサ33k、液側温度センサ33l、室外温度センサ33c)の検出信号を受けることができるように接続されている。また、制御部3は、これらの検出信号等に基づいて各種機器(圧縮機21、室外ファン27、室内ファン43、弁装置(四方弁22、流量調整弁(開閉弁28、開閉弁29、膨張弁41))を制御することができるように接続されている。さらに、制御部3は、液溜め容器24に設置された液面検知センサ36a〜36cの検出信号を受信できるように接続されている。
【0053】
また、制御部3は、測定部3a、余剰液冷媒量算出部3c、判定部3d、記憶部3e及び駆動部3fを備えている。なお、制御部3には、入力部3g、出力部3hも接続されている。
【0054】
測定部3aは、圧力センサ(34a,34b)や温度センサ(33a〜33l、36a〜36c)から送られる情報を基に冷媒回路10を循環している冷媒の圧力や温度(つまり、運転状態量)を測定する機能を有している。また、測定部3aは、圧力センサ(34a,34b)や温度センサ(33a〜33l、36a〜36c)とともに本発明の「計測部」を構成するものである。
【0055】
余剰液冷媒量算出部3cは、液面検知センサ36a〜36cで計測した温度データと、圧力センサ等を用いることで液溜め容器24の液面位置を検知して、検知した液面位置から記憶部3eに記憶された液面位置と液量の関係式に基づいて液溜め容器24の余剰液冷媒量を算出する機能を有している。
【0056】
判定部3dは、余剰液冷媒量算出部3cの算出結果に基づいて、冷媒漏洩の有無を判定する機能を有している。判定部3dは、更に、冷媒漏洩有りと判定した場合、初期冷媒量と算出冷媒量との差分を取ることにより冷媒漏洩量を算出することもできる。
【0057】
記憶部3eは、測定部3aで測定した値を記憶したり、余剰液冷媒量算出部3cで算出した値を記憶したり、後述の内容積データや初期冷媒量を記憶したり、外部からの情報を記憶したり、余剰液冷媒量の算出時に使用する後述の関係式を記憶したりする機能を有する。
【0058】
駆動部3fは、測定部3aで測定した情報等に基づいて、冷凍空調装置1の駆動する各要素(具体的には、圧縮機モーター(圧縮機21)や、弁機構(四方弁22、流量調整弁(開閉弁28、開閉弁29、膨張弁41))、ファンモーター(室外ファン27、室内ファン43)等)の制御を行う機能を有している。
【0059】
入力部3gは、各種制御用の設定値の入力や変更を行う機能を有している。入力部3gは、たとえば使用者や作業者が操作可能なリモコンや、操作パネル、操作スイッチの1つ又はそれらの組み合わせによって構成するとよい。
【0060】
出力部3hは、測定部3aで測定した測定値や判定部3dによる判定結果等を、LEDやモニターなどにより表示したり、外部に出力したりする機能を有している。出力部3hは、外部装置と、電話回線、LAN回線、無線通信等により通信するための通信部として機能させてもよい。このようにすれば、冷凍空調装置1は、冷媒漏洩の判定結果を示す冷媒漏洩有無データ等を通信線等により遠方の管理センター等に送信することが可能になる。これにより、遠隔にある管理センターで常に異常を検知し、異常が発生した場合には直ぐにメンテナンスを実施する遠隔監視機能を付加することができる。
【0061】
測定部3a、余剰液冷媒量算出部3cにより本発明の液面検知装置を構成している。また、測定部3a、余剰液冷媒量算出部3c、判定部3d及び記憶部3e、出力部3hにより本発明の冷媒漏洩検知装置を構成している。なお、本実施の形態では、液面検知装置、冷媒漏洩検知装置を冷凍空調装置1内に組み込んだ構成としているが、これに限定するものではなく、それぞれを独立させて単体構成としてもよい。
【0062】
<冷凍空調装置1の動作>
次に、冷凍空調装置1の通常運転時の各構成要素の動作について説明する。
冷凍空調装置1は、各室内ユニット4A,4Bの運転負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4A,4Bの各構成機器の制御を行い、冷暖房運転を行う。
【0063】
(冷房運転)
冷凍空調装置1が実行する冷房運転について、
図1及び
図3を用いて説明する。
図3は、冷凍空調装置1の冷房運転時のp−h線図である。なお、
図1では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で表している。
【0064】
冷房運転時は、四方弁22が
図1の実線で示される状態、すなわち圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が開閉弁29及びガス側延長配管7(ガス主管7A、ガス枝管7a,7b)を介して室内熱交換器42A,42Bのガス側に接続されるように制御される。なお、開閉弁28及び開閉弁29は、開状態にされている。また、
図1では、全部の室内ユニット4で冷房運転が実行される場合を例に説明する。
【0065】
低温・低圧の冷媒が圧縮機21によって圧縮され、高温・高圧のガス冷媒となって吐出される(
図3に示す点「A」)。圧縮機21から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁22を介して室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン27の送風作用により室外空気に放熱しながら凝縮・液化する(
図3に示す点「C」)。このときの凝縮温度は、液側温度センサ33lにより計測されるか、又は吐出圧力センサ34bで検出される圧力を飽和温度換算することにより求められる。
【0066】
その後、室外熱交換器23から流出した高圧液冷媒は、開閉弁28を介して室外ユニット2から流出する。室外ユニット2から流出した高圧液冷媒は、液主管6A、液枝管6a、液枝管6bにおいて管壁面摩擦によって圧力が降下する(
図3に示す点「D」)。この冷媒は、室内ユニット4A,4Bに流入し、膨張弁41A,41Bにより減圧されて低圧の気液二相冷媒となる(
図3に示す点「E」)。この気液二相冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器42A,42Bに流入し、室内ファン43A,43Bの送風作用により空気から吸熱することで蒸発ガス化する(
図3に示す点「F」)。このとき、空調対象域の冷房が実行されることになる。
【0067】
このときの蒸発温度は、液側温度センサ33e、液側温度センサ33hにて計測される。そして、室内熱交換器42A,42Bの出口における冷媒の過熱度SHは、ガス側温度センサ33f、ガス側温度センサ33iにより検出される冷媒温度値から液側温度センサ33e、液側温度センサ33hにより検出される冷媒温度を差し引くことによって求められる。
【0068】
また、冷房運転中、膨張弁41A、41Bは、室内熱交換器42A、41Bの出口(すなわち、室内熱交換器42A,42Bのガス側)における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHmとなるように開度調節されている。
【0069】
室内熱交換器42A,42Bを通過したガス冷媒(
図3に示す点「F」)は、ガス側延長配管7であるガス枝管7a、ガス枝管7b、ガス主管7Aを通り、ガス枝管7a、ガス枝管7b、ガス主管7Aを通過するときの管壁面摩擦によって圧力が降下する(
図3に示す点「G」)。この冷媒は、開閉弁29を介して室外ユニット2に流入する。室外ユニット2に流入した冷媒は、四方弁22及び液溜め容器24を経て、圧縮機21に再度吸入される。以上の流れで、冷凍空調装置1は冷房運転を実行する。
【0070】
(暖房運転)
冷凍空調装置1が実行する暖房運転について、
図1及び
図4を用いて説明する。
図4は、冷凍空調装置1の暖房運転時のp−h線図である。なお、
図1では、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で表している。
【0071】
暖房運転時は、四方弁22が
図1の破線で示される状態、すなわち圧縮機21の吐出側が開閉弁29及びガス側延長配管7(ガス主管7A、ガス枝管7a、ガス枝管7b)を介して室内熱交換器42A,42Bのガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続されるように制御される。なお、開閉弁28及び開閉弁29は開状態にされている。また、
図1では、全部の室内ユニット4で暖房運転が実行される場合を例に説明する。
【0072】
低温・低圧の冷媒が圧縮機21によって圧縮され、高温・高圧のガス冷媒となって吐出される(
図4に示す点「A」)。圧縮機21から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、ガス側延長配管7を通過し、四方弁22及び開閉弁29を介して室外ユニット2から流出する。圧縮機21から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、ガス主管7A、ガス枝管7a、ガス枝管7bを通過するときの管壁面摩擦により圧力が降下する(
図4に示す点「B」)。この冷媒は、室内ユニット4A,4Bの室内熱交換器42A,42Bに流入する。室内熱交換器42A,42Bに流入した冷媒は、室内ファン43A,43Bの送風作用により室内空気に放熱しながら凝縮・液化する(
図4に示す点「C」)。このとき、空調対象域の暖房が実行されることになる。
【0073】
室内熱交換器42A,42Bから流出した冷媒は、膨張弁41A,41Bにより減圧されて低圧の気液二相冷媒となる(
図4に示す点「D」)。このとき膨張弁41A,41Bは、室内熱交換器42A,42Bの出口における冷媒の過冷却度SCが過冷却度目標値SCmとなるように開度調節されている。
【0074】
過冷却度目標値SCmは、室内設定温度と室内温度の温度差が小さい場合には大きく、室内設定温度と室内温度との温度差が大きい場合には小さく設定される。これは、過冷却度目標値SCmの設定を変更することによる室内ユニット4A,4Bの能力を調整するためである。過冷却度目標値SCmが大きい場合には、過冷却度SCを大きくするために膨張弁41A,41Bが絞る方向に動作するため冷媒循環量が減少し、能力が出ない。これに対し、過冷却度目標値SCmが小さい場合には、過冷却度SCを小さくするために膨張弁41A,41Bが開度を大きくする方向に動作するため冷媒循環量が多く、また室内熱交換器42A,42Bを有効に使うことができるため熱交換能力が多くなる。
【0075】
室内熱交換器42A、42Bの出口における冷媒の過冷却度SCは、吐出圧力センサ34bにより検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ33e、33hにより検出される冷媒温度値をそれぞれ差し引くことによって求められる。なお、室内熱交換器42A,42B内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを別途設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ33e、液側温度センサ33hにより検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42A,42Bの出口における冷媒の過冷却度SCを求めるようにしてもよい。
【0076】
その後、低圧の気液二相冷媒は、液側延長配管6である液主管6A、液枝管6a、液枝管6bを通り、液主管6A、液枝管6a、液枝管6bを通過するときの管壁面摩擦によって圧力が降下した後(
図4に示す点「E」)、開閉弁28を介して室外ユニット2に流入する。室外ユニット2に流入した冷媒は、室外熱交換器23に流入し、室外ファン27の送風作用により室外空気から吸熱することで蒸発ガス化する(
図4に示す点「F」)。それから、この冷媒は、四方弁22及び液溜め容器24を経て、圧縮機21に再度吸入される。以上の流れで、冷凍空調装置1は暖房運転を実行する。
【0077】
<冷凍空調装置1の冷媒量>
次に、冷凍空調装置1の冷媒量について詳細に説明する。
冷凍空調装置1の冷媒回路10の各要素機器が所定の性能を発揮するためには、各要素機器の内容積に適した冷媒量が必要であり、室内ユニット4A,4Bの内容積や延長配管の長さが異なると冷媒回路10の全体で必要とする冷媒量も異なってくる。よって、冷凍空調装置1を設置した現地で冷媒回路10を構成した後に、必要とされる量の冷媒が充填される。
【0078】
また、冷媒回路10での必要冷媒量は、冷媒回路10の状態によっても異なる。すなわち、冷媒回路10の状態は、冷房、暖房の運転状態や外気温度や室内温度等の周囲環境によって異なり、それに応じて冷媒回路10での必要冷媒量も変わってくる。このため、通常、冷媒を充填する時は、冷媒量を多く必要とする運転状態に合わせて充填する。よって、冷媒を多く必要としない運転状態の時には、余剰液冷媒が液溜め容器24に貯留されることになる。
【0079】
冷媒回路10の冷媒量は、冷房運転時の方が暖房運転時に比べて多く必要とする。これは、膨張弁41A,41Bが室内ユニット4A,4B側に設けられているため、延長配管の冷媒状態が、冷房運転時には液側延長配管6が液相、ガス側延長配管7がガス相となるのに対し、暖房運転時には液側延長配管6が二相、ガス側延長配管7がガス相となるためである。つまり、液側延長配管6では、冷房運転時は液相状態、暖房運転時は二相状態となり、液相状態と二相状態との違いから、液相状態の方が冷媒を多く必要とするため、冷房運転時の方が冷媒量を多く必要とするからである。
【0080】
また、凝縮器と蒸発器との内容積の違いと、凝縮密度と蒸発密度との密度の違いも、必要冷媒量に大きく影響する。通常、室外熱交換器23の内容積は、室内熱交換器42A,42Bに比べて大きく、また、平均密度は蒸発器に比べて凝縮器の方が大きい。よって、冷房運転時には、内容積が大きい室外熱交換器23側が平均密度が大きい凝縮器となるため、暖房運転時に比べて冷媒量を多く必要とすることになる。
【0081】
以上から、四方弁22を切り替えて冷房運転又は暖房運転を行う場合においては、冷房運転と暖房運転で必要な冷媒量が異なるということになる。このような場合には、冷媒量を多く必要とする運転状態に合わせて冷媒を充填し、冷媒を多く必要としない運転状態の時には、余剰液冷媒を液溜め容器24などに貯留することとなる。
【0082】
[冷媒が低圧の液溜め容器24に貯留する現象の説明]
冷凍空調装置1が停止してから所定の時間経過した後、低圧の液溜め容器に溜まる現象について、冷房運転を例に説明する。各要素の冷媒量が冷凍空調装置1の停止後の変化の様子を、要素毎に
図5〜
図9に示す。
図5〜
図9では、冷媒が正常量封入されている場合(線a1〜線a5)と、30%正常量よりも少ない場合(線b1〜線b5)と、を併せて図示している。
【0083】
図5は、ある所定の時間で、圧縮機21を停止させたときの液溜め容器24の冷媒量の時間経過データを示した図である。
図6は、ある所定の時間で、圧縮機21を停止させたときの室外熱交換器23の冷媒量の時間経過データを示した図である。
図7は、ある所定の時間で、圧縮機21を停止させたときの液管の冷媒量の時間経過データを示した図である。
図8は、ある所定の時間で、圧縮機21を停止させたときのガス管の冷媒量の時間経過データを示した図である。
図9は、ある所定の時間で、圧縮機21を停止させたときの室内熱交換器42の冷媒量の時間経過データを示した図である。
【0084】
圧縮機21の停止時前(例えば、10秒前)には、室内熱交換器42A,42Bと液側延長配管6に液冷媒が多量に存在し、液溜め容器24、ガス側延長配管7の冷媒量は僅かである。
【0085】
圧縮機21の停止後、高圧側にあった液冷媒が低圧側に急速に移動する。まず室内熱交換器42A,42Bの冷媒量が増大し、僅かに遅れてガス側延長配管7の冷媒量が増大する。
【0086】
室内熱交換器42A,42Bとガス側延長配管7の冷媒量は、一旦増大するが、すぐに減少に転じ、最終的には液溜め容器24に液冷媒が集中する。
【0087】
以上から、高圧側にあった液冷媒が室内熱交換器42A,42B、ガス側延長配管7を通過して、液溜め容器24に溜まっていくことが分かる。運転中、封入冷媒量が不足している場合には、液側延長配管6が二相状態となって、正常量封入されている場合と比較して、液側延長配管6の冷媒量差が大きくなっている。それに対し、低圧側の冷媒量差はほとんどないことが分かる。
【0088】
冷凍空調装置1の停止後の挙動に封入冷媒量差の影響は見られず、停止してから安定状態となったときの冷媒量に差が生じるのは液溜め容器24のみである。このことから、冷凍空調装置1が停止してから所定の時間が経過して安定状態となったときに液溜め容器24の液冷媒量を検知できれば、封入冷媒量変化、つまり冷媒漏洩有無を検知することができる。
【0089】
(外気温度の影響)
外気温度を3通り変化させた場合の液溜め容器24の冷媒量変化を
図10に、室外熱交換器23の冷媒量変化を
図11に、それぞれ示す。なお、
図10、
図11では、外気温度を22℃(線c1,線c2)、27℃(線d1,線d2)、32℃(線e1,線e2)と変化させた場合の液溜め容器24、室外熱交換器23の冷媒量の変化を示している。
【0090】
外気温度が室内温度よりも高いと、室外熱交換器23に溜まる冷媒量が減少し、液溜め容器24に溜まる量は僅かに(3%程度)増加する。
【0091】
このことから、外気温度と室内温度の温度差を考慮することで更に封入冷媒量の変化を高精度に検知することが可能となる。
【0092】
(高低差の影響)
室内ユニット4の設置位置を室外ユニット2に対して±30m変化させ、液側延長配管6の圧力ヘッドの影響を検討した。液溜め容器24の冷媒量変化を
図12に、室外熱交換器23の冷媒量変化を
図13に、それぞれ示す。なお、
図12、
図13では、室内ユニット4と室外ユニット2との高低差が0mの場合(線f1,線f2)、+30mの場合(線g1,線g2)、−30mの場合(線h1,線h2)と変化させた場合の液溜め容器24、室外熱交換器23の冷媒量の変化を示している。
【0093】
液管ヘッドを変化させても、冷凍空調装置1の停止後に安定する冷媒量に変化はみられない。このことから、冷凍空調装置1が停止してからの安定状態での液溜め容器24内の冷媒量は設置条件に依存しないということが分かる。
【0094】
冷凍空調装置1の停止後、液溜め容器24の表面温度を計測することで液面を検知する方法について説明する。
【0095】
冷凍空調装置1に、冷媒として、共沸冷媒、もしくは、擬似共沸冷媒が封入されている場合、液溜め容器24内部の気液の温度は等しく、ただ液溜め容器24に温度センサを設置しても、気液を判別することはできない。しかし、冷凍空調装置1の停止後には、液溜め容器24の圧力が急変し、ガス部の温度が圧力変動に追随するのに対し、液部は熱容量を持っていることから、液部の温度が圧力変動に対して遅れることになり、気液部で温度差が発生する。ただ、液部でも熱容量には限りがあるため、冷凍空調装置1が停止した後、30分以上経つと、ガス部と液部の温度が等しくなり、温度差がなくなる。
【0096】
また、非共沸冷媒を冷媒回路10に充填した場合においても、飽和ガス温度と飽和液温度とが近いときには、気液の温度差が小さいため誤検知の可能性がある。そのため、冷凍空調装置1によれば、気相部と液相部とでの温度差を発生させることができるため、非共沸冷媒を用いたとしても有効に温度センサの設置位置での気液を判別できる。
【0097】
この気液が判定できる温度センサを、複数(たとえば
図1に示すように3つの温度センサ(液面検知センサ36a〜36c))液溜め容器24の鉛直方向に設置し、気液判別させるとよい。このようにすることにより、冷凍空調装置1では、液溜め容器24の内部の液面位置を特定することができ、液溜め容器24内の貯留液冷媒量(以下、余剰液冷媒量という)に換算することができる。すなわち、複数の温度センサが液溜め容器24に設置される液面検知装置のセンサ部として機能する。なお、余剰液冷媒量の換算処理については後で詳述する。
【0098】
図1では、液溜め容器24に設置する液面検知装置のセンサ部の構成としては、温度センサのみを取り付ける最も単純な構成としているが、これに限るものではない。たとえば、外部からの影響を極力排除するため温度センサの外部に断熱材を設置したり、液溜め容器24の表面温度を温度センサに確実に伝えるために液溜め容器24と温度センサとの間に熱伝導シートを設置したりした構成としてもよい。この時使用する断熱材の材料は、ポリスチレンフォームやフェノールフォーム、ウレタンフォームに代表される発泡系断熱材を用いても、グラスウールに代表される繊維系断熱材を用いてもよい。また、熱伝導シートについては、熱伝導のよいシリコーン、銅、アルミ等の熱伝導のよい金属シート、また、均熱シートに限らず、空気層生成防止のため、熱伝導グリース等を用いてもよい。
【0099】
<気液判別原理>
次に、冷媒の気液を判別する原理について、圧縮機21を停止させた場合を例に説明する。まず、
図14に基づいて液溜め容器24の内部での液面位置の判定について説明し、それから、
図15及び
図16に基づいて気液判別方法について説明する。
【0100】
圧縮機21を停止させた場合の液溜め容器24内部の圧力、温度の変化を試験データである
図14を用いて説明する。
図14は、ある所定の時間Aで、圧縮機21を停止させたときの圧縮機21の周波数と液溜め容器24の内部の低圧圧力、飽和温度、気相温度、液相温度の時間経過データを示した図である。なお、
図14の横軸は時間を示している。
【0101】
図1に示すように、液溜め容器24は、圧縮機21の吸入側に設置されている。液溜め容器24は低圧側に接続されていることから、液溜め容器24の内部圧力は圧縮機21を停止させるまでは低い値を示しており、液溜め容器24の内部は下部に液相、上部に気相が存在している状態、つまり2相状態である。
冷凍空調装置1の冷媒として、たとえば、飽和ガス温度と飽和液温度が等しい共沸冷媒、もしくは飽和ガス温度と飽和液温度がほぼ等しい擬似共沸冷媒を用いる場合、気液部での温度差が無い状態である2相状態では、気液の判別が困難であるということがわかる。
また、非共沸冷媒を冷媒回路10に充填した場合においても、飽和ガス温度と飽和液温度とが近いときには、気液の温度差が小さいため誤検知する可能性があるということがわかる。
【0102】
ある所定の時間Aで圧縮機21を停止させると、液溜め容器24での高低圧の圧力差が無くなり、均圧され、液溜め容器24の内部圧力は線x1のように上昇し、冷媒の飽和温度も線x2のように上昇する。この時、液溜め容器24の内部が気相であれば飽和温度の線x2と等しく変化する線x3になるのに対し、液溜め容器24の内部が液相であれば線x4に示すように少しずつ飽和温度(点線x2)に接近する。
【0103】
以上から、圧縮機21を停止させた後の液溜め容器24の表面温度は、液溜め容器24の内部状態、つまり気相か液相かによって違いが発生するということが分かる。そのため、液溜め容器24の表面温度を計測することにより、液溜め容器24の内部での液面位置を判定することができる。
【0104】
(気液判別方法)
次に、圧縮機21を停止させた場合を例として、気液判別方法を
図15を参照しながら説明する。
図15は、ある所定の時間Aで、圧縮機21を停止させ、それから所定時間が経過したときの圧縮機21の周波数と液溜め容器24の内部の低圧圧力、飽和温度、気相温度、液相温度の時間経過データを示した図である。
図16は、
図15に示すデータに外気温度を追加したものである。なお、
図15及び
図16の横軸は時間を示している。
【0105】
気液判別方法としては、要素機器の変化後の所定時間経過した際の温度データから気液判別する方法がある。この方法は、要素機器である圧縮機21を停止させた後、ある所定の時間(たとえば5分)経過後、液溜め容器24の温度を計測し、低圧圧力の飽和温度を閾値として、気液判別する方法である。
【0106】
基本的には、ガス部(気相部)は飽和ガス温度と同一温度となるが、容器の熱伝導、センサ誤差等を考慮して、気液判定は幅αを持たせ、下記の式で気液判別を行う。
|閾値−計測値|<α → ガス部
|閾値−計測値|>α → 液部(液相部)
【0107】
ここで、所定の時間をたとえば5分とした理由は、試験を行なった際、要素機器を変化させた後、圧力が安定するまで(つまり
図15に示す時間A’となるまで)に5分程度の時間がかかっており、所定時間を5分程度とすることで気液温度差が判別し易くなるためである。当然、冷凍空調装置1の機器構成や運転条件によりこの時間は変動する。このことから、それらを加味して、条件ごとに気液判別し易い時間を設定することが必要となる。なお、所定の時間を1分以上30分以内としておき、この範囲内で条件に応じて所定の時間を設定すればよい。
【0108】
以上、飽和ガス温度との温度差から気液を判別した場合を例にしているが、これに限るものではない。ガス部では飽和温度と等しくなるという特性を用いることにより、液面位置の特定が可能となる場合、つまり複数の計測点で温度が等しい場合には、その計測箇所はガス部と判断できる。また、複数の計測点で温度が異なれば、その計測箇所は液部と判断できる。このようにして、ガス部では飽和温度と等しくなるという特性を用いることにより、気液を判別するようにしてもよい。ただし、この際、液溜め容器24が伝熱がよい金属であることから、この液溜め容器24の容器部分での伝熱を考慮した上で気液の判別を行なう必要がある。
【0109】
また、所定時間経過した際の温度データから気液判別する方法について記載したが、これに限るものではなく、たとえば温度を閾値として気液を判別してもよい。これは、たとえば、
図16に示すように冷凍空調装置1が停止した場合には、液溜め容器24の飽和温度が外気温度に漸近することが考えられる。また、飽和温度が外気温度となる部分が気液部での温度差が大きくなり易い。このことから、飽和温度をトリガーとして、飽和温度が外気温度(線y)となる時間A’において気液判別することで、気液部での温度差が大きい状態での気液判別が可能となる。このように、所定時間を設定しなくても、気液の温度差が大きい部分で気液判別を行うことも可能である。
【0110】
その他、要素機器を変化させてからある所定の時間までの計測値を積算し、その積算値の違いから気液判別してもよい。
【0111】
(液面判別方法)
以上説明したように、液溜め容器24の内部圧力もしくは温度を変化させることにより、液溜め容器24の表面温度を計測することから、温度センサの設置高さが気相であるか、液相であるか判別が可能となる。よって、冷凍空調装置1によれば、複数の温度センサ(液面検知センサ36a〜36c)を液溜め容器24の側面に鉛直方向に設置することにより、液溜め容器24の液面位置を検知することが可能となる。
【0112】
(冷媒漏洩検知の流れ)
次に、冷凍空調装置1における冷媒漏洩検知方法の流れについて説明する。なお、冷媒漏洩検知は、冷凍空調装置1が運転中、常時実施している。また、冷凍空調装置1は、冷媒漏洩の検知結果を示す冷媒漏洩有無データを、通信線を介して管理センター(図示せず)等に送信し、遠隔監視が可能な構成とする。
【0113】
冷凍空調装置1は、停止後の液溜め容器24の冷媒量を液面検知センサ36a〜36cで検知し、冷媒量の変化を監視することで冷媒漏洩を検知している。以下、冷凍空調装置1が実行する冷媒漏洩検知方法について、
図17を用いて説明する。ここで、
図17は、冷凍空調装置1における冷媒漏洩検知処理の流れを示すフローチャートである。冷媒漏洩検知は、冷凍空調装置1が停止してから所定時間経過後(図中では5分)に行う。
【0114】
まず、制御部3は、冷凍空調装置1が停止してから所定時間経過したかを判定する(ステップS001)。停止していない場合、または所定時間経過していない場合は、冷媒漏洩検知を実施しない。
【0115】
次に、制御部3は、液溜め容器24の内部の冷媒量を計測する(ステップS002)。なお、余剰液冷媒量の算出の流れは、
図18を参照しながら後段で説明する。
【0116】
次に、制御部3は、予め計測された所定の基準値(初期冷媒量)と計測値とを算出し、これらを比較する(ステップS003)。この時、計測値(算出冷媒量)が所定の基準値よりも少なければステップS004へ、計測値が所定の基準値と等しければステップS005へ、移行する。
【0117】
次に、ステップS004では、制御部3は、ステップS003で全冷媒量が初期冷媒量よりも少ないと判断されたことから、冷媒が漏洩していると判断して、冷媒漏洩発報をする。
【0118】
一方、ステップS005では、制御部3は、ステップS003で全冷媒量が初期冷媒量と等しいと判断されたことから、冷媒が漏洩していないと判断して、正常であることを連絡する。
【0119】
(余剰液冷媒量の算出の流れ)
次に、
図17のステップS002の液溜め容器内の液冷媒量の算出の流れについて、
図18を参照しながら説明する。
図18は、冷凍空調装置1における冷媒漏洩検知処理の
図17のステップS002の液溜め容器内の液冷媒量の算出の流れを示すフローチャートである。
【0120】
まず、ステップS201で、制御部3は、圧縮機21の停止を確認する。
【0121】
次に、ステップS202で、制御部3は、所定時間が経過したかを判別する。所定時間が経過した場合には、ステップS203へ移行し、圧力を計測する。本実施の形態では、液溜め容器24は低圧側に設置されていることから、低圧圧力を計測する。
【0122】
ステップS204では、制御部3は、ステップS203で計測した圧力から飽和温度を計算し、閾値として記憶部3eに記憶させる。その後、制御部3は、液溜め容器24の表面に設置した液面検知センサ36a〜36cからの情報に基づいて、液溜め容器24の表面温度を計測する(ステップS205〜ステップS208)。
【0123】
まず、ステップS205では、制御部3は、n=1を設定する。
【0124】
そして、ステップS206で、制御部3は、n番目の液面検知センサ(たとえば、液面検知センサ36a)からの情報基づいて、その液面検知センサの設置位置における液溜め容器24の表面温度を計測、記憶する。
【0125】
ステップS207では、制御部3は、n=センサ数であるかどうかを判断する。
【0126】
n=センサ数でなければ、ステップS208で、制御部3は、nに1を足し、ステップS206の処理を再度実行する。
【0127】
制御部3は、全ての液面検知センサからの情報に基づいて、液溜め容器24の表面温度を計測、記憶したら(ステップS207;Yes)、ステップS209でn=1を再度設定する。
【0128】
ステップS210〜ステップS218では、液面位置を特定する流れを示している。
ステップS210で、制御部3は、閾値である飽和温度との差を算出し、その差の絶対値がα以内となるかどうかの判別を行なう。つまり、ステップS210では、制御部3は気液判別を行なう。
【0129】
差がαよりも大きければ、飽和温度と温度差が大きな液部と判断できることから、制御部3は、ステップS211へ移行し、ステップS210を通過したセンサ番号をmとし(S211)、次の液面検知センサに移行する。液溜め容器24の液部に液面検知センサがある場合は、制御部3は、ステップS210〜ステップS213を繰り返し、液部で最も位置が高いセンサ番号をmとして記憶させる(ステップS218)。
【0130】
差がα以内であれば、飽和温度にほぼ等しいことからガス部と判断され、制御部3は、ステップS214へ移行する。一度ステップS210でガス部と判断された場合には、センサ不具合が発生しない限り、その後液部と判断されることは本実施の形態での気液判別原理上考えられない。よって、制御部3は、ステップS215でnに1を足した上で、ステップS216の判断に移行する。ステップS216で液部と判断される場合(αより大きくなる場合)には、制御部3は、ステップS217に移行し、液面検知不可で、余剰液冷媒量を算出できないことを発報する。
【0131】
一方、ステップS216でガス部と判断される場合(α以内となる場合)には、制御部3は、ガス部であると判断された液面検知センサのうちガス部であるとの計測が維持された液面検知センサになるまで、ステップS214〜ステップS216を繰り返す。
【0132】
以上、ステップS210〜ステップS218の流れで、制御部3は、液部で最も高い位置にあるセンサ番号mを明確化することができる。
【0133】
次に、ステップS219では、制御部3は、液部で最も高い位置にあると判定されたセンサ番号から、液溜め容器24内の余剰液冷媒容積を算出する。余剰液冷媒容積は、予め記憶部3eに記憶させたセンサ番号と余剰液冷媒容積の関係から算出する。
【0134】
次に、ステップS220では、制御部3は、液溜め容器24内部の圧力から、飽和ガス密度、飽和液密度を算出する。
【0135】
次に、ステップS221では、制御部3は、ステップS219とステップS220で算出された余剰液冷媒容積と、液溜め容器24の飽和ガス密度、飽和液密度から、液溜め容器24内の液冷媒量を算出する。
【0136】
以上、液溜め容器24の表面に設置した液面検知センサ36a〜液面検知センサ36cの位置と液量の関係が既知であるということを想定した上で説明したが、これに限るものではない。たとえば、既存の冷凍空調装置に温度センサを後付けするような場合等は、温度センサの位置と液量の関係が不明である。このような場合には、温度センサを設置した後に、複数の余剰液冷媒量が変化する複数条件で、液部で最も高い位置にある温度センサの番号と液容積の関係を検知し、データベースとして記憶させる初期学習工程を追加することにより、余剰液冷媒量検知が可能となる。
【0137】
以上説明したように、冷凍空調装置1は、液溜め容器24の表面に気相部と液相部とで温度が異なる状況で、この温度を計測することにより液面位置を特定するようにしている。こうすることにより、冷凍空調装置1によれば、液面検知センサとしては温度センサのみの単純な構成とすることができ、安価、計測値ばらつき低減、センサ設置容易、という有利な効果を奏する。
【0138】
<検知精度向上方法>
次に、冷媒漏洩検知精度を向上させるための方法について説明する。
【0139】
冷媒漏洩検知精度を向上させるためには、環境状態によらず、液溜め量を計測する所定のタイミングで液溜め容器24に溜まる量が一定量となるようにすることが望ましい。これを実現するには、停止前の冷凍サイクル状態を等しくすること、停止時の各要素機器の状態を等しくすること、冷房/暖房など運転状態が大きく変化する場合にはそれぞれの運転状態で所定の基準値を設定すること、適正なタイミングで液溜め量計測すること、などが必要である。
【0140】
具体的な方法を下記に示す。まず、停止前の冷凍サイクル状態を等しくする方法について記載する。停止後、冷媒が移動するために必要な駆動力は、冷凍サイクル(冷媒回路10)の停止前の高低圧差である。停止前の高低圧差が小さいと液冷媒が液溜め容器24まで移動できずに途中の熱交換器や配管などで留まってしまう。冷媒漏洩の有無は液溜め容器24の液量で検知するため、途中で冷媒が留まってしまうと、冷媒漏洩を正確に判断することができない。以上から、冷凍サイクルの停止前の高低差を所定の値以上とする必要がある。必要な冷凍サイクルの高低差は室外ユニット2と室内ユニット4の設置環境や配管長さにより異なってくるが、冷凍サイクルの高低圧差が1MPa以上であれば、室外ユニット2と室内ユニット4に高低差が10m程度あっても、停止後に液冷媒が液溜め容器24に戻ってくることを確認している。
【0141】
さらに、冷媒漏洩検知精度を向上させるには、停止前の冷凍サイクルの高低圧差を一定値とすることが望ましい。圧縮機21や室外ファン27、膨張弁41を制御させ、外気温度が変化するなど環境条件が変化しても、冷凍サイクルの運転状態を停止前に等しくすることで、液溜め容器24内の液冷媒量のばらつきが減少する。そのため、こうすることにより、誤検知を減少させ、検知精度を向上させることができる。
【0142】
次に、停止時の各要素機器の状態を等しくすることで冷媒漏洩検知精度を向上させる方法について記載する。圧縮機21の停止後、冷媒の移動に影響を与える要素機器は膨張弁41や電磁弁(開閉弁28、開閉弁29)などの弁である。弁の開度が大きければ冷媒移動しやすい。それに対し、弁の開度が小さいと冷媒移動の妨げとなり、冷媒移動しにくくなり、駆動力が弱まり、熱交換機や配管などに貯留してしまう。このことから、停止後の弁の開度状態が異なると、液溜め容器24に溜まる量が異なってしまう。以上から、停止時の弁の開度状態を等しく(一定値に固定)し、圧力損失を等しくすることで、液溜め容器24内の液冷媒量のばらつきが減少するため、誤検知を減少させ検知精度を向上させることができる。
【0143】
さらに、冷媒漏洩検知精度を向上させるには、圧縮機21の停止後の弁開度を運転時よりも大きな開度(最善の方法としては全開)となるようにする。弁の開度を運転時よりも大きな開度とする、あるいは全開とすることにより、駆動力の減少を抑えることができるため、液溜め容器24内の液冷媒量のばらつきを減少させ、誤検知の減少、検知精度向上を図ることができる。なお、「全開」とは、厳密な「全開」に限定するものではなく、「全開」には、全開に近い開度(全開近傍の開度)も含んでいるものとする。
【0144】
逆に、弁の開度が所定値よりも小さい場合には、停止前の液溜め容器24以外の各要素機器の冷媒量と、停止後の液溜め容器24の冷媒量と、をそれぞれ算出、合計してシステム全体(冷媒回路10の全体)の冷媒量を算出し、これを所定の基準値と比較することで冷媒漏洩検知を行う。これは、弁の開度が所定値よりも小さい場合には、冷媒移動のための駆動力が小さく、停止後の各要素の冷媒量分布は運転中の冷媒分布に依存するためである。このように弁の開度が所定値よりも小さい場合には、前記のように停止後の液溜め容器24の冷媒量だけ推算しても、誤検知や検知精度が悪化する。以上のことから、運転中の各要素機器の冷媒量を圧力、温度データから算出し、停止後の液溜め容器24の冷媒量を液面検知センサ36から算出し、これらを合計したシステム全体の冷媒量を算出し、これを所定の基準値と比較することで冷媒漏洩検知を行う。
【0145】
本実施の形態では、冷房運転と暖房運転で冷媒の流れが異なっている。このように運転状態により流れが異なる場合には、熱交換器や配管などで、冷媒が溜まる箇所や、溜まる量が異なる。よって、それぞれの運転状態で別々に所定の基準値を持たせることで、液溜め容器24以外の要素に溜まる量を考慮して、冷媒漏洩を判定することができ、これにより誤検知を減少させ検知精度を向上させることができる。
【0146】
停止後の液溜め容器24内部の液冷媒量を計測することで冷媒漏洩検知する場合に、検知精度を高めるためには適切な時間が存在する。液冷媒量を計測するタイミングが早いと、冷媒が各要素から液溜め容器24に移動する前に液量を計測することになり、ばらつきが大きくなってしまう。逆に液冷媒量を計測するタイミングが遅いと、外気温度の影響を受け熱交換機や配管などに貯留する量が変化してしまい、液溜め容器24の冷媒量のばらつきが大きくなってしまう。
【0147】
配管の長短、室外ユニット2と室内ユニット4の設置位置など機器の設置状態や、運転状態により適正な検知タイミングは異なるが、停止後1分〜30分の範囲で液溜め容器24の液量を計測することで、液溜め容器24内の液冷媒量のばらつきを抑制し、誤検知減少、検知精度向上を図ることができる。
【0148】
また、冷凍空調装置1によれば、液溜め容器24の液冷媒の貯留量を初期値と比較することで冷媒漏洩量の算出も可能であるため、メンテナンス前に事前に冷媒漏洩の程度やメンテナンス作業の工程等を検知でき、メンテナンス作業効率が向上する。
【0149】
なお、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0150】
たとえば、本実施の形態では
図1に示すようにビル用マルチエアコンについて記載したが、これに限るものではない。たとえば、冷凍機など、四方弁22がなく、高圧部の室外熱交換器出口に液溜め容器を設置した冷凍空調装置においても適応が可能である。つまり、高圧側の液溜め容器内部の余剰液冷媒の検知、及び冷媒漏洩の検知も可能である。
【0151】
また、膨張弁41A,41Bが室内ユニット4A,4Bに設置してある構成としたが、これに限らず、膨張弁41A,41Bを室外ユニット2に設置した構成としてもよい。何れの場合も、本発明を適用可能である。
【0152】
以上の接続構成を構築し、冷媒漏洩有無の検知データを管理センター等に送信することで、常時遠隔で冷媒漏洩検知を行なうことができる。したがって、突然の冷媒漏洩に対しても機器の損傷や能力低下などの異常が生じる前にすぐに対応することが可能であり、冷媒漏洩が進行するのを極力抑えることができる。これにより、冷凍空調装置1の信頼性も向上し、かつ冷媒が流出による環境状態悪化も極力防ぐことができる。
【0153】
更に、冷媒漏洩により少ない冷媒量で無理な運転が続く不都合を回避できるため、冷凍空調装置1の長寿命化も可能である。なお、冷媒漏洩有りの場合、判定部3dにて冷媒漏洩量を算出し、判定結果と併せて出力部3hから管理センター等の外部に通知するようにしてもよい。
【0154】
また、上記の実施の形態では、冷媒漏洩の有無を判定する場合について説明したが、冷媒充填時等において、冷媒量が過多になっていないかどうかの判定にも本発明を適用可能である。
【0155】
また、上述の実施の形態では、それぞれ1台の室外ユニット2及び2台の室内ユニット4を備えた冷凍空調装置1を例としたが、これに限定されず、1台の室外ユニット2及び1台の室内ユニット4を備えた冷凍空調装置1としてもよいし、複数台の室外ユニット2及び複数台の室内ユニット4を備えた冷凍空調装置1としてもよい。