特許第6297159号(P6297159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297159最適化された、組織シミュレータ、組織モニタ及び/又は組織モデルを用いて金属の鋼合金及び/又は鉄合金を熱間圧延機及び厚板圧延機において製造するのため方法
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  • 特許6297159-最適化された、組織シミュレータ、組織モニタ及び/又は組織モデルを用いて金属の鋼合金及び/又は鉄合金を熱間圧延機及び厚板圧延機において製造するのため方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297159
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】最適化された、組織シミュレータ、組織モニタ及び/又は組織モデルを用いて金属の鋼合金及び/又は鉄合金を熱間圧延機及び厚板圧延機において製造するのため方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/00 20060101AFI20180312BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20180312BHJP
   C21D 11/00 20060101ALI20180312BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20180312BHJP
   C22C 38/50 20060101ALN20180312BHJP
【FI】
   B21B37/00 300
   B21B37/00BBJ
   G05B19/418 Z
   C21D11/00 104
   !C22C38/00 301A
   !C22C38/00 301W
   !C22C38/50
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-547925(P2016-547925)
(86)(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公表番号】特表2017-511752(P2017-511752A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2015050460
(87)【国際公開番号】WO2015110310
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】102014201086.1
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014224461.7
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュプロック・アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ハセル・クリストフ
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−504355(JP,A)
【文献】 特開2013−066929(JP,A)
【文献】 特開2003−328030(JP,A)
【文献】 特開2011−220708(JP,A)
【文献】 米国特許第06546310(US,B1)
【文献】 国際公開第1998/018970(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の鋼合金及び/又は鉄合金から成る製品の製造のための冶金技術的な生産設備を制御するための方法であって、製造プロセスが少なくとも部分的に組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルを用いて制御され、この組織シミュレータ、組織モニタ又は組織モデルは、金属の前記鋼合金及び/又は前記鉄合金を含有する生成された製品の少なくとも1つの機械的な強度特性を計算するプログラムを含んでおり、該プログラムを用いて、前記少なくとも1つの機械的な強度特性が、各一連のプロセスに依存して、計算された金属相構成要素及び/又は製造される製品の調整される金属的な組織についてのその各割合に基づいて計算され、冶金技術的な前記生産設備の一連のプロセスが最終的な冷却区間を有する圧延機を含み、少なくとも部分的にあらかじめ設定され、適合可能な初期値を有する、得られる少なくとも1つの機械的な強度特性が依存する冶金技術的な前記生産設備のパラメータが、少なくとも1つの機械的な強度特性の計算へ導入される、前記方法において、
少なくとも1つの前記強度特性の計算へ導入される冶金技術的な前記生産設備の動作パラメータとして、用いられる金属の前記鋼合金及び/又は前記鉄合金の化学組成において存在する少なくとも1つの合金要素の各質量分率と、別の動作パラメータとして、少なくとも1つの、圧延プロセス後に行われる冷却において生じる冷却率とが検出され、前記合金要素についての検出された前記各質量分率及び検出された前記各冷却率が、評価基準を形成する評価単位の計数可能な数によって評価され、その後、それぞれ考察される強度特性について、計数可能な前記評価単位の数によって評価される合金元素についての質量分率と、計数可能な前記評価単位の数によって評価される冷却率との組合せにおいて生じる、計数可能な前記評価単位の各合計が、前記プログラムを用いて算出され、及び/又は表されることで、少なくともこの冷却率の変更によって達成可能であるか又は達成される、製造される前記製品の考察される強度特性の向上が、用いられる金属の前記鋼合金及び/又は前記鉄合金の化学組成についての1つ又は複数の前記合金要素の質量分率の低減により、少なくとも部分的に補正され、及び/又は調整されること、前記プログラムが、前記評価単位の各数及び/又は算出される様々な合計値を互いに比較する数学的な項及び/又はアルゴリズムを含んでいること、並びに、その後、製造された製品の達成されるべき、考察される強度特性が、冷却率の調整と、この調整に依存してなされる、用いられる金属製の鋼合金及び/又は鉄合金の化学組成への1つ又は複数の前記合金要素の質量分率の適合とによって決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
製造される製品の降伏強さに対する、用いられる金属の前記鋼合金及び/又は鉄合金の化学組成における前記合金要素についての質量分率の影響を反映する数学的な項及びアルゴリズムを前記プログラムが含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記項が方程式
【数1】
を有しており、Cはそれぞれ異なる合金要素iの質量%での割合であり、A及びBは試験による検査によってあらかじめ特定されるそれぞれ対応する回帰係数であり、ΔYSは降伏強さの変化であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記プログラムが、前記降伏強さを形成する項に対する、前記製品の最終的な冷却時に形成されるフェライト組織のフェライト粒径(d)の影響を方程式
【数2】
の形態で含んでおり、dはフェライト粒径であり、Aは回帰パラメータであり、ΔYSは降伏強さの変化であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プログラムが、前記製品の最終的な冷却時に形成されるフェライト組織のフェライト粒径(d)への前記冷却率の影響を方程式
【数3】
の形態で含んでおり、dはフェライト粒径であり、Aは実験的係数(i=1,2,・・・)、Ceqは炭素当量であり、dはオーステナイト粒径であり、εは残留硬化であり、CRは冷却率であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記動作パラメータが、前記プログラムを用いて、少なくとも、達成されるべき少なくとも1つの機械的な強度特性に関して最適化されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
それぞれ計算された少なくとも1つの機械的な強度特性が、オンラインで冶金技術的な生産設備の制御ステーションに表示されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
計算された少なくとも1つの機械的な強度特性を用いて冶金技術的な前記生産設備の複数の動作パラメータが制御され、所望の少なくとも1つの機械的な強度特性が自動的に制御されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
冶金技術的な前記生産設備が、炉、圧延機と、冷却区間とを含む一連のプロセスを備えていること、及び冶金技術的な前記生産設備の前記一連のプロセス全体の動作パラメータが前記プログラムに導入されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
冶金技術的な前記生産設備が、金属の前記鋼合金及び/又は鉄合金が溶融液体状に存在する範囲を含むこと、及び前記範囲を含む冶金技術的な前記生産設備の前記一連のプロセス全体の動作パラメータが前記プログラムに導入されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の鋼合金及び/又は鉄合金から成る製品を製造するための冶金技術的な生産設備の制御のための方法に関するものであり、製造プロセスは、少なくとも部分的に組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルを用いて制御され、この組織シミュレータ、組織モニタ又は組織モデルは、金属の鋼合金及び/又は鉄合金を含有する生成された製品の少なくとも1つの機械的な強度特性を計算するプログラムを含んでおり、該プログラムを用いて、少なくとも1つの機械的な強度特性が、各一連のプロセスに依存して、計算された金属相構成要素及び/又は製造される製品の調整される金属的な組織についてのその各割合に基づいて計算され、冶金技術的な生産設備の一連のプロセスが最終的な冷却区間を有する熱間圧延機及び/又は厚板圧延機を含み、少なくとも部分的にあらかじめ設定され、適合可能な初期値を有する、得られる少なくとも1つの機械的な強度特性が依存する冶金技術的な生産設備のパラメータが、少なくとも1つの機械的な強度特性の計算へ導入される。
【背景技術】
【0002】
ホットストリップミル及び/又は板圧延機の動作時には、圧延機における変形のほかに、本質的な目標値として巻取り温度又は冷却停止温度及び冷却率が設定される。なぜなら、これにより、得られる製品の機械的な強度特性が大部分調整されることができるためである。したがって、これらパラメータにおける変化により、機械的な強度特性の変化も必然的に表面化するが、この機械的な強度特性は、製造された製品から取り出される引張サンプルについての引張試験に基づいて事後的に検出され得る。所望の大きさに調整されるべきそれぞれの所望の機械的な強度特性は、圧延プロセスの本質的な目標のうちの1つである。なぜなら、これら特性は、製造される製品について市場で得られ得る価格を本質的に(共に)決定するものであるためである。冶金技術的な生産設備において金属の鋼合金及び/又は鉄合金から製品を製造する場合には、この製品の機械的な強度特性は、例えば圧延速度又は最終圧延温度のような他の(動作)パラメータの影響を受ける。したがって、一定の巻取り温度は、それぞれ所望の種類の一定の機械的な強度特性をも必ずしも保証するものではない。製造される製品の温度は、圧延直後あるいは巻取り直前に、例えば高温計又は他の温度測定装置を用いてオンラインで直接測定され、したがって直接制御に用いることが可能である。しかし、機械的な強度特性は、通常、大きな時間のずれを伴って初めて引張試験を用いて測定され、したがって各冶金技術的なプロセスの制御には直接用いられることができない。したがって、圧延機における金属加工ライン及びこれにつづく冷却区間のあらかじめ設定されたプロセスパラメータ又は方法パラメータのセットにより、必ずしも所望の機械的な(強度)特性の目標値の順守に至らない。加えて、これら機械的な(強度)特性を直接的に又は直接測定することができないため、冶金技術的な設備のプロセスパラメータ、方法パラメータ又は動作パラメータの即時の補正が不可能である。
【0003】
したがって、従来技術にいては、得られる機械的な強度値の計算をオンラインで金属加工設備の動作パラメータに即時に影響を与えることで可能とするモデル及び組織モデルも開発された。
【0004】
特許文献1には、特に圧延機の、鋼又はアルミニウムの冶金技術的な設備の制御のための同種の方法が開示されている。ここでは、冶金技術的な設備において、投入原料でから、鋼又はアルミニウムの組織に依存する材料特性を有する鋼又はアルミニウムが製造され、これら材料特性は動作パラメータに依存するとともに、これら動作パラメータによって冶金技術的な設備が動作される。ここで、動作パラメータは、組織最適化媒体を用いて、鋼又はアルミニウムの所望の材料特性に依存して決定され、このとき、材料特性は、鋼又はアルミニウムの降伏強さ、ひずみ限界、引張強さ、破壊ひずみ、硬さ、転移温度、異方性又はひずみ硬化指数であり得る。
【0005】
特許文献2からは、ストリップ状若しくはスラブ状又はあらかじめ輪郭付けされた材料が加工される金属加工ラインの少なくとも部分的に手動の制御を補助するための方法が知られている。ここでは、金属加工ラインの所定の箇所に関して、金属の少なくとも1つの冶金的な相の割合が、相状態に影響を与える金属加工ラインの動作パラメータ及び/又は金属の状態パラメータを考慮して、相状態の算出のためのモデルを含むモデルに基づいて計算によって連続的に算出され、金属加工ラインの所定の箇所に関して、少なくとも1つの相の割合が操作者へ表示される。したがって、例えば、フェライト、オーステナイト、パーライト及びセメンタイトについての割合が表示される。
【0006】
特許文献3には、鋼の製造時に、更に鋼の温度及び鋼帯に沿ったその冶金的な相割合についての転移モデルがリアルタイムで計算される、圧延ラインの冷却区間についての転移モデルを用いることが開示されている。巻取り装置において巻き付けられる鋼帯の相割合を一定に保持する制御システムが記載されている。さらに、以下のステップが設定されている:第1のステップでは、データに基づき転移度、すなわち所定の相割合が算出される。第2のステップでは、圧延ラインの冷却区間へのストリップ導入時に、制御のために、冷却ストラテジの1つ又は複数のパラメータ(制御変数)が、冷却された鋼の所望の相割合が巻取り装置において一定に保持されるように、オンラインで適合される。目的は、生産される金属の要求される特性又は材料特性をできる限り正確に順守することである。
【0007】
適切なモデルにおける機械的な特性の直接的な計算によって、これに必要な、最大の精度を有するプロセスパラメータを設定することが可能である。このとき、鋼においては、本質的にオーステナイト、フェライト、パーライト、ベーナイト及びマルテンサイトについての相割合が、得られる機械的な強度特性にとって決定的である。
【0008】
鋼材料には、それぞれ所定のプロセス条件及び方法条件の下でこれに基づき製造された製品の最適な機械的な強度特性を得るために、合金要素が添加される。各鋼材料へ添加すべき合金要素の量は、とりわけ、それぞれの用途において所望の機械的な強度特性へ向けられている。合金要素の添加によって得られるべき各鋼製品の機械的な強度特性に関する結果についてのそれぞれ具体的な予測が今までは不可能であるため、実験的な試験に基づいて、どのような各合金要素についての量がどのような影響を各羽金製品の機械的な特性又は機械的な強度特性に与えるかが算出される必要がある。
【0009】
熱間圧延プロセスに基づく圧延製品の品質を監視及び制御する方法が特許文献4から知られており、この熱間圧延プロセスにおいては、温度、パス削減などのような形成条件が圧延プロセス全体においてオンラインで検出され、これに基づき、互いに上下に結合された、圧延プロセス全体を記述する物理的な/冶金的なモデル及び/又は統計的なモデルを用いて、期待される圧延製品の機械的な/技術的な材料特性、特に降伏強さ、引張強さ及び破壊ひずみが算定される。実際の、及び目下の材料特性のオンライン検出により、期待される材料特性をこの方法によって算定することが可能である。このとき、各原材料についてとりわけその化学的な分析も、識別され、物理的な/冶金的なオーステナイト化モデル及び析出モデルへ導入される。加えて、要求される機械的な/技術的な材料特性の順守に必要な、加熱についての時間−温度経過の変更、圧延時の時間−温度経過の変更及び冷却時の時間−温度経過の変更が計算され、加熱設備、圧延設備及び冷却設備の制御システムへ伝達される。これにより、圧延プロセスの要求される機械的−技術的な材料特性の順守が保証される。この文献から公知の方法により、物理的な/冶金的なオーステナイト化モデル、変形モデル、再結晶モデル、転移モデル、析出モデル、冷却モデル及び材料モデルの応用の下で原材料の化学的な目標分析及び生産条件が最適化され、これらが新たに用いられる生産品質に対して設定される。この方法においては、例えば用いられる材料の炭素含有量又はマンガン含有量が強度特性の計算時に考慮され、その結果、このモデルに基づき、得られる製品の機械的な強度特性への合金要素の影響もあらかじめ明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許発明第19881711号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007007560号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/099923号
【特許文献4】国際公開第98/18970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の基礎をなす課題は、これまでの方法に比べて有利な、金属の鋼合金又は鉄合金から成る製品の所望の機械的な強度特性を得るための動作パラメータの、圧延ラインにおけるその製造時の製品における冶金的な相割合の調整を可能とする解決手段を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、本発明により、冒頭に詳細に記載した種類の方法において、少なくとも1つの強度特性の計算へ導入される冶金技術的な生産設備の動作パラメータとして、用いられる金属の鋼合金及び/又は鉄合金の化学組成において存在する少なくとも1つの合金要素、好ましくは全ての合金要素の各質量分率と、別の動作パラメータは、特に製品の製造時に該製品に作用する冷却率で、好ましくは圧延プロセス後に行われる冷却において調整される冷却率とが検出され、少なくとも1つの別の動作パラメータを変更によって、特に冷却率の上昇によって達成可能であるか又は達成される、製造される製品の考察される強度特性の向上が、用いられる金属の鋼合金及び/又は前記鉄合金の化学組成についての1つ又は複数の合金要素の質量分率の低減により、少なくとも部分的に補正され、及び/又は調整されることによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】より高強度な鋼種への降伏強さの変化に対してそれぞれ必要な金銭的な追加コストを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
したがって、本発明によれば、達成された冷却率又は別の動作パラメータの他のものにおいてそれぞれ少なくとも考察される強度特性に必須の合金媒体についての質量割合のみが各鋼合金及び/又は鉄合金の化学組成において存在しているように合金媒体についての使用を最適化することが可能である。したがって、製造される製品の、考察され、達成されるべき強度特性は、例えば可能な冷却率又は調整された冷却率によって設定され、決定され、調整され、その一方、化学組成はこれに依存して適合される。
【0015】
したがって、本発明によれば、製造される製品の機械的な強度特性へのそれぞれ存在する合金要素の影響及び寄与は、これらによって生じるか、又は影響を受ける混晶析出硬化に基づき、複数の機械的な強度特性あるいは少なくとも1つの機械的な強度特性の計算時に考慮される。本発明による方法により、機械的な強度特性への合金要素の影響を正確に算出することが可能である。例えば、マンガンがいくらか添加されると、この変化は、組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルにメモリされたプログラムによって即座に算出され、その結果、製造される製品の複数の機械的な強度特性あるいは少なくとも1つの機械的な強度特性へのこの変化の影響を特定することが可能である。
【0016】
この知識により、オペレータは、例えば冷却率を向上させるために、圧延機の冷却区間の刷新を行うことが可能である。この高い冷却率は、機械的な強度特性への影響を有するとともに、機械的な強度特性を変更するために目的をもって用いられることができる。このために、組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルは、これにメモリされたプログラムによって必要な情報を提供する。このプログラムは、より高い冷却率を考慮するとともに、これに基づき得られる強度特性の変化を算出する。したがって、用いられる合金の化学的な分析あるいは組成が同一であり、冷却率がより高ければ、他の機械的な強度特性が生じるか、又はよりわずかな合金要素すなわちより少ない合金要素についての質量分率若しくは重量割合をもった同一の機械的な強度特性が得られ、その結果、コストが削減される。このコストは、組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルにメモリされたプログラムによって定量化され、このプログラムは、製造される製品の少なくとも1つの機械的な強度特性を圧延機の各一連のプロセスに依存して、計算された冶金的な相構成要素及び/又は製造される製品の調整される冶金的な組織についてのそのそれぞれの割合に基づいて計算するものである。
【0017】
さらに、変更されたプロセスパラメータの作用をメモリされたプログラムによって計算することが可能である。例えば、圧延ライン温度又は仕上げライン温度が上昇し、同時に巻取り温度が低下すると、メモリされたプログラムがプロセスパラメータ又は動作パラメータの必要な変化を算出し、それに対応してこの変化によって生じる機械的な強度特性を計算する。冷却区間を有する圧延機を含む冶金技術的な設備の一連のプロセスのプロセスパラメータ、方法パラメータ及び/又は動作パラメータの最適な調整によって材料開発を実行し、材料の所望の機械的な強度特性を得るために、組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデル並びにこれにメモリされたプログラムによって、オペレータに新たな道具が提供される。
【0018】
1つの実施形態では、本発明は、合金要素についての検出された各質量分率及び/又は検出された少なくとも1つの各別の動作パラメータ、特に検出された各冷却率が、評価基準を形成する評価単位の計数可能な数によって評価されるようになっている。そして、これにより、合金組成の変化によって与えられる影響にも、また製造される製品の考察される機械的な強度特性の変化への別の動作パラメータ、特に冷却率により生じる影響にも、1つの一定値を割り当てることが可能である。
【0019】
用いられる鋼合金材料及び/又は鉄合金材料の化学組成の変化の異なる組合せと冷却率の変化の間の実施される比較を直接行うことができるように、別の実施形態において、本発明は、それぞれ考察される強度特性について、計数可能な評価単位の数によって評価される合金元素についての質量分率と、計数可能な評価単位の数によって評価される別の動作パラメータ、特に冷却率との組合せにおいて生じる、計数可能な評価単位の各合計が、プログラムを用いて算出され、及び/又は表されるようになっている。
【0020】
比較する評価を実行することができるように、プログラムが、評価単位の各数及び/又は算出される様々な合計値を互いに比較する数学的な項及び/又はアルゴリズムを含んでいれば合理的である。
【0021】
加えて、本発明による方法は、それぞれ得られる所望の機械的な強度特性に関する合金組成及び冷却率の影響の評価も含んでいる。評価は、評価基準を反映する評価単位によってなされ、この評価単位によって、合金組成及び冷却率が評価される。評価単位は、例えばΔ強度向上/Δ質量分率に対する合金要素の合計のΔ強度向上/Δ質量分率のような技術的に定量的な種類であり得る。しかし、この評価単位には、図1から分かるように、コスト、すなわち金銭的な値を割り当てることも可能である。ここでは、より高強度な鋼種(S315MCからS650MC)への降伏強さの変化に対してそれぞれ必要な金銭的な追加コスト(40.00ユーロ〜250.00ユーロ)が記載されている。つづいて、合金組成の様々な異なる組合せと冷却率を、それぞれ割り当てられたこの評価単位に基づいて互いに比較することが可能である。そして、比較値としてそれぞれ形成された計数可能な評価単位についての合計値は、合金組成と冷却率に基づく所定の組合せを生産プロセスの実行に対して特に(コスト的に)好都合に又は適切に選択するために使用されることが可能である。評価基準を反映する評価単位は、例えば通貨単位又は評価単位に割り当てられた評価単位であり得る。そして、異なる冷却率及び異なる合金組成にそれぞれ個々に又は合計して原価を割り当てることが可能である。これにより、本発明による方法で、合金のコストの影響を、所定の冷却率の実現のためのコストから生じ、それぞれ所望の機械的な強度特性の達成のために生じるコストと比較することが可能である。したがって、本発明による方法によれば、所定の所望の機械的な特性の調整のための合金コストを定量化することが可能である。同様に、所望の機械的な強度特性の調整のために必要な冷却率の実行のためのコストも定量化することが可能である。より高い冷却率が鋼合金又は鉄合金の合金要素と同様に得られる製品の機械的な特性に強く影響するため、本発明による方法で比較することにより、機械的な仕上げ特性の変更に関する合金変更のコストを定量化することが可能である。したがって、存在する冷却区間を、より高い、調整された冷却率によって改変したのちに、所望の機械的な仕上げ特性の値を向上させることができる。この向上は、用いられる鋼材料及び/又は鉄材料の合金組成の個々の合金要素の低減に対して用いられることができ、これにより、方法全体についてのコスト削減が達成され、このコスト削減は、1つ又は複数の合金要素についての削減された量の使用によるものである。本発明によれは、このような評定及び評価が可能である。
【0022】
これら評定及び評価は、本発明においては組織モデル及び/又は組織モニタ及び/又は組織シミュレータを用いて可能である。そして、特に、各パラメータの影響は、本発明による意味においては、このような経済的な依存性又は通貨的な依存性が図1から分かるように組織モデル及び/又は組織モニタ及び/又は組織シミュレータにメモリされていれば、評価基準を反映する評価単位を用いて通貨的にも定量化可能である。図1からは、約100MPaの降伏強さの向上が約30.00ユーロの追加コストを生じさせることが分かる。例えば、鋼S420MCから鋼S500MCへの降伏強さの向上は、65.00ユーロから85.00ユーロへの20ユーロの差のコスト上昇に結び付く。平均で30.00ユーロであり、上述の例では20.00ユーロのこのコスト上昇を、合金要素の添加の形態で、又は各鋼帯の冷却率の上昇の形態で圧延ラインでの製造時に負う必要があり、上昇した冷却率は、より小さなフェライト粒径及びこれによる強度特性「降伏強さ」の向上を伴うものである。この関係は、本発明による組織モデルにメモリされているとともに、したがって、対応して定式化され、評価された計数可能な評価単位の形態で定量的に特徴付けられることが可能である。
【0023】
したがって、冶金技術的な生産設備のオペレータは、例えば得られた製品の、圧延プロセス後に行われる必要な冷却中に、例えば冷却容量の向上による冷却区間の改変によってより高い冷却率を上昇させることができるようになっている。したがって、これにより、強度向上、すなわち考察される機械的な強度特性の向上を達成することができる。この上昇された冷却率によって現れる強度向上の効果は、用いられる鋼合金及び/又は鉄合金の化学組成の変化によって逆の効果を得ることにも用いることが可能である。本発明による方法及びこのとき用いられるプログラムによって、変化し、削減された合金要素についての量割合を備えた用いられる合金の化学組成の影響を、得られる製品の得るべき及び考察される機械的な強度特性について計算することが可能である。そして、この計算は、上昇された冷却率によって生じる強度向上が0へ低減されるまで繰り返されるため、上昇された冷却率によって生じる強度向上又は機械的な強度特性の値の上昇がもたらされているとともに、機械的な強度特性の元の値が再び存在している。このとき、合金要素の削減によって生じるコスト削減は、高められた冷却率によって必要なコスト上昇を埋め合わせるものである。約0.07%のC、0.7%のMn、0.2%のSi、0.04%のNb、0.084%のNi、0.034%のMo、0.084%のCr、0.0084%のV及び0.0084%のTiを有する、Nbによって合金化された典型的な微粒組織鋼では、このようにして、通常30.00ユーロ/tとなる合金コストの約4%が低減された合金含有量によって削減され、その結果、合金コストがこの例では28.80ユーロ/tへ低減される。したがって、年間100万トンの生産を行う冶金技術的な生産設備の動作時には、このような微粒組織鋼のための合金コストについて年間約120万ユーロを削減することが可能である。
【0024】
本発明による方法により、各材料に対して、用いられる合金要素についての量を低減することで可能な節約量を算出することが可能である。このとき、大きな合金割合を有する材料は、高い節約ポテンシャルと、わずかな合金割合と、対応してわずかなポテンシャルとを提供する。本発明による方法あるいはこれにメモリされたプログラムによって、考察される各材料、すなわち考察される各鋼合金及び/又は鉄合金についての合金コストが既知であれば、考察される冶金技術的な生産設備の年間生産量全体についての節約可能性を計算することが可能である。
【0025】
得られる製品の1つの機械的な強度特性としての降伏強さへの合金要素の影響を考慮するために、本発明は、更に、製造される製品の降伏強さに対する、用いられる金属の鋼合金及び/又は鉄合金の化学組成における前記合金要素についての質量分率の影響を反映する数学的な項及びアルゴリズムをプログラムが含むことを特徴としている。
【0026】
このとき、特に本発明の有利な実施形態では、前記項が方程式
【0027】
【数1】
を有している。この方程式において、Cはそれぞれ異なる合金要素iの質量%での割合であり、A及びBは試験による検査によってあらかじめ特定されるそれぞれ対応する回帰係数であり、YSは降伏強さ(Yield Strength)であり、その変化(Δ)が算出される。回帰係数は一連の試験に基づいて算出され、これら試験においては、鋼合金及び/又は鉄合金の合金要素としての炭素(C)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、窒素(N)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)及びリン(P)の影響が考慮され、試験的な測定データが回帰係数の算出のために存在する/したか、あるいは既知である。
【0028】
さらに、転移後に、製造された製品内に最終的に調整される粒径が、組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルにメモリされたプログラムによって同様に算出されることができれば有利である。なぜなら、粒径は、機械的な強度特性への影響のホールペッチの関係に対応している。したがって、1つの実施形態において、本発明は、プログラムが、降伏強さを形成する項に対する、製品の最終的な冷却時に形成されるフェライト組織のフェライト粒径(d)の影響を方程式
【0029】
【数2】
の形態で含んでいる。相構成要素及び合金要素の計算のほかに、転移された金属の粒径を計算することも重要である。フェライト粒径は、得られる機械的な強度特性への決定的な影響を有している。なぜなら、粒径の低減によって、ホールペッチの関係により強度特性「降伏強さ」の上昇ΔYSが期待され得るためである。上記方程式においては、dはフェライト粒径であり、Aは回帰パラメータであり、YSは降伏強さ(Yield Strength)であり、その変化(Δ)が算出される。
【0030】
形成されるフェライト粒径が各冷却率に依存するため、本発明は更に、プログラムが、製品の最終的な冷却時に形成されるフェライト組織のフェライト粒径(d)への冷却率の影響を方程式
【0031】
【数3】
の形態で含むようになっている。ここで、dはフェライト粒径であり、Aは実験的係数(i=1,2,・・・)、Ceqは炭素当量であり、dはオーステナイト粒径であり、εは残留硬化であり、CRは冷却率である。これに基づき、より高い冷却率がより小さなフェライト粒径につながることが明らかである。製造時には、通常、できる限り大きな強度を有する材料を生産すること、及びできる限り小さなフェライト粒径を調整する目的を追求するものである。フェライト粒径は、冷却率あるいは冷却速度によって決定的に影響を受け、この冷却率あるいは冷却速度は、通常、圧延ライン及びこれに伴う製造される製品の圧延プロセスを締めくくる冷却区間において使用可能な冷却容量に応じて調整されることが可能である。
【0032】
通常は機械的な強度特性を現代的には測定できないため、本発明によれば、組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルを含むモデルが用いられ、これら組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルは、製造される、金属の鋼合金及び/又は鉄合金を含む製品の少なくとも1つの機械的な強度特性を計算するプログラムを含んでおり、このプログラムは、冶金技術的な設備の各一連のプロセスに依存して、計算された冶金的な相構成要素及び/又は製造される製品の調整される冶金的な組織についてのその割合に基づき、少なくとも1つの機械的な強度特性を計算するものである。このようなモデルは、いわゆるMPC(Mechanical Property Calculator(機械特性計算機))プログラムであり、このプログラムは、炉、圧延ライン及び冷却区間から成る一連のプロセス全体におけるプロセス条件に依存して機械的な特性を決定するものである。これにより、巻取り温度あるいは冷却率についての新たな目標値の設定が可能となる。加えて、このモデルは、トリムウォーターゾーンにおける制御目的に適している。制御量として、冷却後の降伏強さあるいは引張強さを用いることが可能である。このモデルは、この設定値の設定時に、これに必要なプロセスパラメータを計算する。結果は、即座に視認可能であるとともに、新たな周期的な計算において更新される。MPCプログラムの核心は、冷却後の、生産された材料の機械的な強度特性の計算である。この計算は、半実験的な方程式によって行われる。計算は、ストリップ又は板の様々な堆積要素について行われる。したがって、このストリップ又は板は、小さな複数の要素へ分割される。計算中には、ローラ速度及びローラ温度のようなプロセス量が考慮される。これらは、変更時に即座に新たな計算へ導入される。結果として、ストリップ又は板における機械的な(強度)特性の分布が生じる。
【0033】
機械的な(強度)特性の計算の基礎は、生産される材料の相構成要素の計算である。このために、金属の正確な冷却経過を計算し、再び冶金的な組織転移によって影響を受けるこの冷却曲線に基づいてオーステナイトの崩壊をフェライト、パーライト、ベーナイト及びマルテンサイトである構成要素へモデル化する必要がある。このモデルを機械的な(強度)特性の計算のためのこのモデルに使用するときには、機械的な(強度)特性の良好な予測を保証するために、測定された値との照合を行う必要がある。したがって、モデルを用いて計算された値が引張サンプルに基づき算出された値と比較され、測定値のわずかなばらつきにおいて、算出された値と測定された値の間に著しい相関が存在することが確かめられる。この一致は、様々な設備タイプ(熱間鋼板ライン、厚板ライン及び連続鋳造設備、特にCSP設備)において生じる。
【0034】
MPCモデルにおける計算により、現実に存在する生産状況又はプロセス状況を分析し、最適化することが可能である。したがって、合金コンセプトの改善によって、合金要素についてのコストを低減することが可能である。なぜなら、コスト−使用比率が計算され得るためである。したがって、本発明は、動作パラメータが、プログラムを用いて、少なくとも、達成される少なくとも1つの機械的な強度特性に関して最適化されることも特徴としている。この本発明による方法により、所定の化学組成を有する製造されるべき製品の強度特性を計算することが可能である。例えば仕上げライン(圧延)における負荷分布、最終圧延温度、冷却ストラテジ又は巻取り温度のような動作パラメータが変化すると、得られる機械的な強度特性が変化する。本発明による方法の実行時に用いられるプログラムは、調整された動作パラメータあるいは調整されるべき動作パラメータの最適化を行うものであるとともに、したがって最良の強度特性を決定するものである。
【0035】
さらに、改善された設備技術の作用、すなわち例えば高められた最大の圧延荷重又は高められた最大の冷却率若しくはこれに類するものを考慮することができる。この改善された生産条件により、材料の改善された(強度)特性の達成あるいはその製造時の低減されたコストが可能となる。したがって、圧延機及び冷却区間におけるプロセスパラメータの調整をそれぞれ設定された要求に関して最適に行うことで、材料開発を促進することが可能である。
【0036】
製鋼所、圧延機及び冷却区間での一連のプロセスの個々の処理ステップにおける動作パラメータは、それぞれ所望の機械的な強度特性に関して、本発明による方法において用いられるプログラムによって、個々の処理ステップにおいて個々の組織変化が算出され、これに基づき最適な特性を有する組織が反復して特定されることで最適化され得る。これにより、従来のプロセスを最適化することができるか、又は新たな材料の開発及び製造を加速することが可能である。これにより、材料開発におけるかなりのコストを節約することができる。
【0037】
加えて、大きな転炉により、小さな発注量又は小さなロットサイズの観点から部分的に(中間)貯蔵される必要がある原材料又はスラブがしばしば生じる。これは、対応する貯蔵コストを伴う大きな在庫に結び付くものである。本発明による方法により、同一の分析のスラブ、すなわち同一の化学組成であるが異なる製造パラメータのスラブを処理し、異なる製造パラメータあるいは動作パラメータに基づき様々な強度特性へ調整することが可能である。このことは、達成可能なあり得る機械的な強度特性が本発明による方法において用いられるプログラムによって算出されるか、又は算出可能な対応する反復方法の適用によって可能である。このようにして、在庫の削減を行うことが可能であるか、あるいは貯蔵コストを低減し、経済性を高めることが可能である。
【0038】
さらに、本発明によれば、それぞれ計算された少なくとも1つの機械的な強度特性が、オンラインで冶金技術的な生産設備の制御ステーションに表示されるようにすることで、それぞれ現に調整される機械的な(強度)特性のオンライン−可視化が可能となる。これにより、情報通知及び状況通知による手動での介入が可能であるとともにわずかな生産ロスにつながる。
【0039】
加えて、目標強度特性の自動的な制御も用いることが可能である。これにより、該欄に対してリアルタイムに対応することができるとともに、別の生産経過を、少なくとも1つの所望の機械的な強度特性が得られるように最適化されることが可能である。このことは、圧延機及び冷却区間における少なくとも複数のあるいはいくつかの方法パラメータの自動的な補正によって行われる。したがって、ストリップ長さあるいは板長さにわたって均一な特性分布となるようになっている。したがって、本発明は、更に、計算された少なくとも1つの機械的な強度特性を用いて冶金技術的な生産設備の複数の動作パラメータが制御され、所望の少なくとも1つの機械的な強度特性が自動的に作動されることを特徴としている。あらかじめ設定された目標動作パラメータ(例えばあらかじめ設定された最終圧延温度)が例えば動作外乱により順守されない場合には、設定された機械的な強度特性ももはや達成されないことがある。このような場合には、本発明による方法においては、プログラムが、それぞれ現在測定される値/データによって計算を実行し、それでも所望の機械的な目標強度特性が達成されるようにその他のパラメータ(例えば冷却ストラテジ及び巻取り温度)を変更する。したがって、機械的な強度特性が自動的に制御される。
【0040】
本発明を、圧延機、例えば熱間圧延機及び厚板圧延機において、鋼合金及び鉄合金から成る金属のストリップ及び板の製造時に、並びに鋼又は鉄を含有する材料が冷却される生産プロセス、特に熱間圧延ライン及び厚板ラインの全ての箇所において使用あるいは応用することが可能である。好ましくは、本発明による方法の実行のための冶金技術的な設備は、熱間圧延機及び/又は厚板圧延機を含んでおり、この熱間圧延機及び/又は厚板圧延機においては、1つ又は複数の予備フレームワーク及び1つ又は複数の仕上げフレームワークへ分割可能なフレームワークについて任意の数において炉に基づき変形が行われ、つづいて、変形された材料が冷却区間において巻取り温度あるいは冷却停止温度へ冷却される。本発明は、更に、冶金技術的な生産設備が、炉、圧延機、特に熱間圧延機及び/又は厚板圧延機と、冷却区間とを含む一連のプロセスを備えていること、及び冶金技術的な生産設備の一連のプロセス全体の動作パラメータがプログラムに導入されることを特徴としている。
【0041】
しかし、冶金技術による生産設備が、いわゆるレベル3工具を形成する組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルによって同様に含まれる製鋼機及び/又は連続鋳造設備を含むことも可能である。最後に、本発明は、冶金技術的な生産設備が、金属の鋼合金及び/又は鉄合金が溶融液体状に存在する範囲、特に製鋼機及び/又は連続鋳造設備を含み、及び範囲を含む冶金技術的な生産設備の一連のプロセス全体の動作パラメータがプログラムに導入されるようにもなっている。
【0042】
本発明により、全体的に以下の利点が得られる:
・改善された合金コンセプトによる合金コストの最適化
・プロセスパラメータの最適な調整による材料開発
・機械的な特性のリアルタイム−可視化及び情報通知の表示
・複数又は少なくとも1つの機械的な強度特性の全自動のリアルタイム制御
・組織シミュレータ及び/又は組織モニタ及び/又は組織モデルの使用により、ランニングコストの低減可能、かつ、投資コストの利益を定量的に判断可能。
図1