【文献】
浅井 裕介,徹底解剖!802.11ac,日経NETWORK 第168号,2014年 3月28日,pp.48-64
【文献】
Liwen Chu,9.19.2.5 comment resolutions, IEEE 802.11-11/0933r0,2011年 7月 6日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値は、前記主AC情報に対するバックオフタイマー値に、(a)前記補助AC情報に対する現在バックオフタイマー値、(b)0から前記補助AC情報に対する現在バックオフタイマー値までの範囲から選択された任意の整数、又は(c)0から前記補助AC情報に対する現在競合ウィンドウ(CW)までの範囲から選択された任意の整数のいずれか一つを加算することによって得られた値に設定される、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した無線通信システムの性能を向上させるために伝送機会(TXOP)共有技法を導入し、伝送機会共有動作時に再送信を効率的に行うことができる方法及びそのための装置構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述したような課題を解決するための本発明の一側面では、無線LANシステムにおいて伝送機会(TXOP)共有時の再送信を行う方法であって、主アクセスカテゴリー(primary AC)情報及び補助アクセスカテゴリー(secondary AC)情報を含む初期伝送フレームを送信し、前記初期伝送フレームの前記補助AC情報に対する応答がない場合、前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値を再設定し、前記再設定されたバックオフタイマー値によって前記補助AC情報を再送信することを含む、再送信方法を提供する。
【0007】
万一前記初期伝送フレームの前記主AC情報及び前記補助AC情報に対する応答がない場合、前記主AC情報に対するバックオフタイマー値及び前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値を再設定することができる。
【0008】
前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値は、前記主AC情報に対するバックオフ値以上に設定されることが好ましい。そのために、前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値は、前記主AC情報に対するバックオフタイマー値に、(a)前記補助AC情報に対する現在バックオフタイマー値、(b)0から前記補助AC情報に対する現在バックオフタイマー値までの範囲から選択された任意の整数、又は(c)0から前記補助AC情報に対する現在競合ウィンドウ(CW)サイズまでの範囲から選択された任意の整数のいずれか一つを加算した値として決定されてもよい。
【0009】
一方、前記主AC情報伝送に対する第1再試行カウンター(Retry counter)及び前記補助AC情報伝送に対する第2再試行カウンターを独立して運用することが好ましい。
【0010】
このとき、前記第2再試行カウンター値が所定の閾値に到達する場合、前記補助AC情報をそれ以上補助ACの形態で再送信しないことが好ましい。
【0011】
また、前記第2再試行カウンター値は、前記第1再試行カウンター値が所定の整数倍だけ増加する場合に1ずつ増加するように設定することができる。
【0012】
また、前記主AC情報及び前記補助AC情報を送信する前記初期伝送フレームはPPDU(PLCP Protocol Data Unit)形態を含んで送信されてもよい。
【0013】
前記主AC情報及び前記補助AC情報はOFDMA伝送方式において主チャネル(primary channel)及び補助チャネル(secondary channel)で送信されてもよい。
【0014】
このとき、前記主チャネルに対する第1再試行カウンター(Retry counter)及び前記補助チャネルに対する第2再試行カウンターを独立して運用することができる。
【0015】
前記主チャネルのCCAレベルは前記補助チャネルのCCAレベルより低い値に設定されることが好ましい。
【0016】
前記主AC情報は、(a)前記主チャネルを介して、(b)前記主チャネル及び前記補助チャネルの両方を介して送信され、前記補助チャネルだけを介して送信されないように設定されることが好ましい。
【0017】
前記主AC情報及び前記補助AC情報は、特定APが複数のSTAに情報を送信する下りリンク多重ユーザMIMO伝送のために用いられてもよいが、これに制限されない。
【0018】
一方、上述した課題を解決するための本発明の他の側面では、無線LANシステムで動作するステーション装置であって、特定伝送機会(TXOP)に主アクセスカテゴリー(primary AC)情報及び補助アクセスカテゴリー(secondary AC)情報を含む初期伝送フレームを送信するように構成される送受信器と、前記送受信器と接続して、前記初期伝送フレームの前記補助AC情報に対する応答がない場合、前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値を再設定し、前記再設定されたバックオフタイマー値によって前記送受信器が前記補助AC情報を再送信するように構成されるプロセッサとを備える、ステーション装置を提案する。
【0019】
ここで、前記ステーション装置はAP、又は特定APに接続して動作するステーションとして動作する場合をいずれも含み、上述した方法を実行するように構成されてもよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
無線LANシステムにおいて伝送機会(TXOP)共有時の再送信を行う方法であって、
主アクセスカテゴリー(primary AC)情報及び補助アクセスカテゴリー(secondary AC)情報を含む初期伝送フレームを送信し、
前記初期伝送フレームの前記補助AC情報に対する応答がない場合、前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値を再設定し、
前記再設定されたバックオフタイマー値によって前記補助AC情報を再送信することを含む、再送信方法。
(項目2)
前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値は、前記主AC情報に対するバックオフ値以上に設定される、項目1に記載の再送信方法。
(項目3)
前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値は、前記主AC情報に対するバックオフタイマー値に、(a)前記補助AC情報に対する現在バックオフタイマー値、(b)0から前記補助AC情報に対する現在バックオフタイマー値までの範囲から選択された任意の整数、又は(c)0から前記補助AC情報に対する現在競合ウィンドウ(CW)サイズまでの範囲から選択された任意の整数のいずれか一つを加算した値として決定される、項目1に記載の再送信方法。
(項目4)
前記主AC情報伝送に対する第1再試行カウンター(Retry counter)及び前記補助AC情報伝送に対する第2再試行カウンターを独立して運用する、項目1に記載の再送信方法。
(項目5)
前記第2再試行カウンター値が所定の閾値に到達する場合、前記補助AC情報をそれ以上補助ACの形態で再送信しない、項目4に記載の再送信方法。
(項目6)
前記第2再試行カウンター値は、前記第1再試行カウンター値が所定の整数倍だけ増加する場合に1ずつ増加する、項目4に記載の再送信方法。
(項目7)
前記主AC情報及び前記補助AC情報を送信する前記初期伝送フレームは、PPDU(PLCP Protocol Data Unit)形態を含んで送信される、項目1に記載の再送信方法。
(項目8)
前記主AC情報及び前記補助AC情報は、OFDMA伝送方式において主チャネル(primary channel)及び補助チャネル(secondary channel)で送信される、項目1に記載の再送信方法。
(項目9)
前記主チャネルに対する第1再試行カウンター(Retry counter)及び前記補助チャネルに対する第2再試行カウンターを独立して運用する、項目8に記載の再送信方法。
(項目10)
前記主チャネルのCCAレベルは、前記補助チャネルのCCAレベルより低い値に設定される、項目8に記載の再送信方法。
(項目11)
前記主AC情報は、(a)前記主チャネルを介して、(b)前記主チャネル及び前記補助チャネルの両方を介して送信され、
前記補助チャネルだけを介して送信されないように設定される、項目8に記載の再送信方法。
(項目12)
前記主AC情報及び前記補助AC情報は、特定APが複数のSTAに情報を送信する下りリンク多重ユーザMIMO伝送のために用いられる、項目1に記載の再送信方法。
(項目13)
無線LANシステムで動作するステーション装置であって、
特定伝送機会(TXOP)に主アクセスカテゴリー(primary AC)情報及び補助アクセスカテゴリー(secondary AC)情報を含む初期伝送フレームを送信するように構成される送受信器と、
前記送受信器と接続して、前記初期伝送フレームの前記補助AC情報に対する応答がない場合、前記補助AC情報に対するバックオフタイマー値を再設定し、前記再設定されたバックオフタイマー値によって前記送受信器が前記補助AC情報を再送信するように構成されるプロセッサと、
を備える、ステーション装置。
(項目14)
前記ステーション装置は、AP、又は特定APに接続して動作するステーションとして動作する、項目13に記載のステーション装置。
(項目15)
前記主AC情報伝送に対する第1再試行カウンター(Retry counter)及び前記補助AC情報伝送に対する第2再試行カウンターを独立して格納するメモリをさらに備える、項目13に記載のステーション装置。
【発明の効果】
【0020】
上述したような本発明によれば、TXOP共有モードで再送信を行う時に補助ACが主ACより前に送信されることから発生する伝送失敗及び頻繁なグループIDの再設定による非効率を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る好ましい実施の形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示する詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明が実施され得る唯一の実施の形態を示すためのものではない。
【0029】
以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者には本発明がこのような具体的な細部事項無しにも実施可能であることが理解される。いくつかの場合、本発明の概念が曖昧になることを避けるために公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示される。
【0030】
上述したように、以下の説明は、伝送機会共有を提供する無線LANシステムにおいて再送信を行う方法及びそのための装置に関する。そのために、まず、本発明が適用される無線LANシステムについて具体的に説明する。
【0031】
図1は、無線LANシステムの構成の一例を示す図である。
【0032】
図1に示すように、無線LANシステムは一つ以上の基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)を含む。BSSは同期化に成功して互いに通信し得るステーション(Station;STA)の集合である。
【0033】
STAは媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)層と無線媒体に対する物理層(Physical Layer)とのインターフェースを含む論理個体であり、アクセスポイント(access point;AP)と非AP STA(Non−AP Station)を含む。STAのうち、ユーザの操作する携帯用端末はNon−AP STAであり、単にSTAと呼ばれとき、それはNon−AP STAを指してもよい。Non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装備(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、携帯用端末(Mobile Terminal)、又は移動加入者ユニット(Mobile Subscriber Unit)などの別の名称とすることもできる。
【0034】
そして、APは自身に結合されたSTA(Associated Station)に無線媒体を介して分配システム(Distribution System;DS)への接続を提供する個体である。APは、集中制御機、基地局(Base Station;BS)、Node−B、BTS(Base Transceiver System)、又はサイト制御機などと呼ぶこともできる。
【0035】
BSSは、インフラストラクチャー(infrastructure)BSSと独立した(Independent)BSS(IBSS)とに区別することがきる。
【0036】
図1に示すBBSはIBSSである。IBSSは、APを含まないBSSを意味し、APを含まないため、DSへの接続が許容されず、自己完備的ネットワーク(self−contained network)をなす。
【0037】
図2は、無線LANシステムの構成の他の例を示す図である。
【0038】
図2に示すBSSは、インフラストラクチャーBSSである。インフラストラクチャーBSSは一つ以上のSTA及びAPを含む。インフラストラクチャーBSSにおいて非AP STA間の通信はAPを経由してなされることが原則であるが、非AP STA間に直接リンク(link)が設定されている場合には非AP STAの間に直接通信も可能である。
【0039】
図2に示すように、複数のインフラストラクチャーBSSをDSを介して相互接続することができる。DSを介して接続された複数のBSSを拡張サービスセット(Extended Service Set;ESS)という。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、同じESS内で非AP STAはシームレスに通信しながら一つのBSSから他のBSSへ移動することができる。
【0040】
DSは、複数のAPを接続させるメカニズム(mechanism)であり、必ずしもネットワークである必要はなく、所定の分配サービスを提供できればその形態には何ら制限もない。例えば、DSは、メッシュ(mesh)ネットワークのような無線ネットワークであってもよく、APを互いに接続させる物理的な構造物であってもよい。
【0041】
以上に基づいて無線LANシステムにおいてバックオフ手続き及び衝突検出技術について説明する。
【0042】
無線環境では様々な要素がチャネルに影響を与えるため、送信端が正確に衝突検出を行うことができない問題がある。そこで、802.11ではCSMA/CA(carrier sense multiple access/collision avoidance)メカニズムであるDCF(distributed coordination function)を導入した。
【0043】
図3は、無線LANシステムにおけるバックオフ手続き及びDCFメカニズムを説明するための図である。
【0044】
DCFは、送信するデータを有するSTAが、データを送信する前に特定の期間(例えば、DIFS(DCF inter−frame space))に媒体をセンスするCCA(clear channel assessment)を行う。このとき、媒体がアイドル(idle)であれば、STAはその媒体を用いて信号を送信することができる。しかし、媒体がビジー(busy)であれば、既に複数のSTAがその媒体を用いるために待機しているという仮定の下に、DIFSに加えてランダムバックオフ周期(random backoff period)だけをさらに待った後にデータを送信することができる。このとき、ランダムバックオフ周期は衝突を回避可能にさせるが、これは、データを送信するための複数のSTAが存在すると仮定するとき、各STAは確率的にそれぞれ異なるバックオフ間隔値を有するようになり、結局としてそれぞれ別個の伝送タイムを有するためである。一つのSTAが伝送を始めると、他のSTAはその媒体を用いることができない。
【0045】
次に、ランダムバックオフ時間及びプロシージャについて簡単に説明する。
【0046】
特定の媒体がビジーからアイドルに変わると、複数のSTAはデータを送るために準備を始める。このとき、衝突を最小化させるために、データを送信しようとするSTAはそれぞれランダムバックオフカウントを選択し、そのスロット時間だけ待つ。ランダムバックオフカウントは疑似ランダム整数(pseudo−random integer)値であり、[0 CW]範囲で均一分布した値の中から一つを選択する。CWは‘contention window’を意味する。
【0047】
CWパラメータは、初期値としてCWmin値を取るが、伝送に失敗すると、値を2倍に増やす。例えば、送信したデータフレームに対するACK応答を受信できないと、衝突が起きたと見なすことができる。CW値としてCWmax値を有すると、データ伝送に成功するまでCWmax値を維持し、デ−タ伝送に成功すると、CWmin値に再設定する。このとき、CW、CWmin、CWmaxは具現及び動作の便宜のために2
n−1を維持することが好ましい。
【0048】
一方、ランダムバックオフ手続きが始まると、STAは[0 CW]範囲内でランダムバックオフカウントを選択した後、バックオフスロットがカウントダウンされる間に媒体をモニタリングし続ける。その間に媒体がビジー状態になるとカウントダウンを止めるが、媒体が再びアイドルになると、残りのバックオフスロットのカウントダウンを再開する。
【0049】
図3を参照すると、複数のSTAが送りたいデータを有するとき、STA3は、DIFSだけ媒体がアイドルしたため、直ちにデータフレームを送信し、残りのSTAはその媒体がアイドルになることを待つ。しばらく媒体がビジー状態だったため、複数のSTAがその媒体を用いる機会をうかがっているだろう。そこで、各STAはランダムバックオフカウントを選択するが、
図3では、そのとき、最小のバックオフカウントを選択したSTA2がデータフレームを送信することを示している。
【0050】
STA2の伝送が終わると媒体は再びアイドル状態になり、STAは、止めていたバックオフ間隔に対するカウントダウンを再開する。
図3は、STA2の次に小さいランダムバックオフカウント値を有し、媒体がビジーであった時にしばらくカウントダウンを止めたSTA5が、残りのバックオフスロットをカウントダウンしてデータフレーム伝送を始めたが、偶然にSTA4のランダムバックオフカウント値と重なって衝突が起きることを示している。このとき、両STAのデータ伝送後にいずれもACK応答を受信できなかったため、CWを2倍に増やした後、再びランダムバックオフカウント値を選択する。
【0051】
図4は、本発明の一側面で適用される伝送機会共有概念を説明するための図である。
【0052】
IEEE 802.11ac標準技術では、APがDL−MU−MIMOを支援するためにこの伝送機会共有モードを用いることができる。ただし、本発明では、後述する伝送機会共有モードをAPのMU−MIMO動作だけでなくSTAのデータ伝送にも適用することを排除しない。
【0053】
このモードで、EDCA伝送機会(TXOP)を獲得したEDCFと接続されたアクセスカテゴリー(AC)を主ACにすることができる。伝送機会(TXOP)共有は、主ACトラフィックがMU PPDUで送信される時、補助ACからトラフィックが追加的に含まれることをリソースが許容する場合に適用することができ、最大4個のSTAまで支援可能である。
【0054】
補助ACトラフィックの追加は、主ACトラフィック伝送に要求される時間区間以上へと時間区間を増加させない。主AC及び一つ以上の補助ACのそれぞれのキュー(queue)内のフレームの目的地が設定される場合、該当のTXOP内の一連のダウンリンク伝送のうち、主ACキューのフレームをまず目的地に送信することができる。TXOP共有のために選択される補助AC、目的地及び伝送の順序は具現課題である。共有される場合、主ACのTXOP制限がTXOP区間に適用される。
【0055】
図4の例では、AC−VO、AC_VI、AC−BE、AC_BKの4つのACが定義されている中で、AC_VIが主ACとしてTXOPを獲得し、AC_VO及びAC_BEが補助ACとして選択される例を示している。そして、それらのフレームはそれぞれSTA1、STA2及びSTA3に送信される例を示している。以下では、上述したようなTXOP共有の場合を取り上げて説明する。
【0056】
図5は、TXOP共有モードにおいて再送信動作の問題点を説明するための図である。具体的に、
図5は、従来のIEEE 802.11ac標準にしたがう場合、再送信動作の問題点を説明する。
【0057】
MU NIMI TXOP共有は、複数の補助ACが主ACにピギーバックされることを許容する。TXOPは、主ACのEDCAパラメータを用いて獲得することができる。
図5でも
図4と同様に、AC_VIが主AC、AC_VO及びAC_BEが補助ACとして選択された場合を仮定する。
【0058】
従来のIEEE 802.11ac標準技術にしたがう場合、TXOPで初期送信されたフレームに対して有効な応答が受信されない場合、APは主ACに対してはエクスポネンシャルバックオフ(exponential backoff)手続きを開始するが、補助ACに対してはCWの変動無しでバックオフ手続きを再開するように規定されている。
【0059】
このように補助ACに対してCWの変動無しで及び/又はバックオフタイマー値(バックオフカウンター)に対する再設定無しでバックオフ手続きを行う場合、再送信においては補助ACのトラフィックが主ACトラフィックより早く送信される問題が発生しうる。そのうえ、このような状況は、補助ACトラフィック伝送において継続したエラーが発生する余地を残すため、特に高密度無線LAN環境でシステム性能を低減させることもある。
【0060】
図5の例を挙げて具体的に説明すると、初期伝送において各ACのCWとBC(Backoff Counter)の値を下記のように仮定しよう。
【0061】
1段階:AC_VI(CW=4,BC=0)、AC_VO(CW=4,BC=2)、AC_BE(CW=8,BC=4)
【0062】
このような初期伝送に失敗する場合、従来の11ac標準にしたがう場合、次のような設定下にバックオフ手続きを行うことができる。
【0063】
2段階:AC_VI(CW=8,BC=6)、AC_VO(CW=4,BC=2)、AC_BE(CW=8,BC=4)
【0064】
すなわち、主ACであるAC_VIに対してはCWを1段階4から2段階8へと増加させ、[0,8]間の任意の値をBCとして選択し、6を選択することができる。一方、補助ACであるAC_VO及びAC_BEに対してはCW及びBCの値に対する再設定がないため、1段階のBC値をそのまま含むこととなり、このため、再送信においてはAC_VOがAC_VIより前に送信されうる。
【0065】
このような設定は、主ACに伝送優先順位を与える伝送に反することがあり、補助ACの持続的な伝送失敗を引き起こす恐れがある。
【0066】
しかも、上述したような主ACの頻繁な変更はグループID変更回数を増加させ、効率性を低下させうる。
【0067】
表1は、グループID管理に関連したメンバーシップ状態及びユーザ位置を示す方式を表す。
【表1】
【0068】
無線LANシステムにおいてSTAには複数のグループIDを割り当てることができる。また、各グループIDに対して、APは複数のSTAに同じユーザ位置を割り当てることができる。STAは、該当のSTAがメンバーである各グループ内に只一つのユーザ位置を有することができる。グループIDはメンバーシップ状態によって割り当てられてもよく、ユーザ位置によって割り当てられてもよい。
【0069】
図6は、本発明の一実施の形態によって伝送機会共有モードで再送信を行う方法を説明するための図である。
【0070】
図5と関連して上述した問題を解決するために、本発明の第1の実施の形態では、TXOP共有モードで補助ACに対して有効な応答を受信できない場合、補助ACのBC(Backoff counter/timer)を、下記の方法のいずれか一つで再設定することを提案する。
【0071】
(1)オプション1:[0,現在CW値](境界含む)の範囲内の均等分配を仮定して任意に選択された整数値をBCに設定
【0072】
(2)オプション2:[現在BC値,現在CW値](境界含む)の範囲内の均等分配を仮定して任意に選択された整数値をBCに設定
【0073】
(3)オプション3:[現在BC値,現在CW値の2倍](境界含む)の範囲内の均等分配を仮定して任意に選択された整数値をBCに設定
【0074】
(4)オプション4:[現在BC値,現在CW値+CWmin](境界含む)の範囲内の均等分配を仮定して任意に選択された整数値をBCに設定。すなわち、CWがcurrent CW+CWminに設定される。
【0075】
(5)オプション5:[0,現在CW値+CWmin](境界含む)の範囲内の均等分配を仮定して任意に選択された整数値をBCに設定。すなわち、CWがcurrent CW+CWminに設定される。
【0076】
(6)オプション6:[現在CW値,現在CW値+CWmin](境界含む)の範囲内の均等分配を仮定して任意に選択された整数値をBCに設定。すなわち、CWがcurrent CW+CWminに設定される。
【0077】
オプション1の場合、再設定される値が0からの範囲を有するので、確率的に主ACのBC値より小さい値に再設定される可能性を含むが、任意の確率で当該範囲内でBCを再設定する場合、持続して伝送誤りが発生する確率を低減させることができる。一方、上のオプション2及び3は、現在BC値に比べて増加したBCに設定させることができるという長所を有する。
【0078】
一方、本発明の第2の実施の形態では、補助ACのBCを独立して決定するのではなく、主ACのBC値に従属して再設定することを提案する。そのための一例として、次のようなオプションのいずれか一つを用いて補助ACのBC値を設定することができる。
【0079】
(1)オプション1:主ACのバックオフタイマー値+現在補助ACのバックオフタイマー値
【0080】
(2)オプション2:主ACバックオフタイマー値+[0,現在補助ACのバックオフタイマー値]の範囲から選択された任意の整数
【0081】
(3)オプション3:主ACのバックオフタイマー値+[0,現在補助ACのCW]の範囲から選択された任意の整数
【0082】
(4)オプション4:主ACのバックオフタイマー値+[0,現在補助ACのCW+CWmin]の範囲から選択された任意の整数
【0083】
(5)オプション5:主ACのバックオフタイマー値+[0,現在補助ACのCW値の2倍]の範囲から選択された任意の整数
【0084】
(6)オプション6:主ACのバックオフタイマー値+[現在BC,現在補助ACのCW]の範囲から選択された任意の整数
【0085】
(7)オプション7:主ACのバックオフタイマー値+[現在BC,現在補助ACのCW+CWmin]の範囲から選択された任意の整数
【0086】
(8)オプション8:主ACバックオフタイマー値+[現在BC,現在補助ACのCW値の2倍]の範囲から選択された任意の整数
【0087】
(9)オプション9:主ACのバックオフタイマー値+[現在CW,現在補助ACのCW+CWmin]の範囲から選択された任意の整数
【0088】
(10)オプション10:主ACバックオフタイマー値+[現在CW,現在補助ACのCW値の2倍]の範囲から選択された任意の整数
【0089】
一方、本発明の第3の実施の形態では、現在補助ACのBCが主ACの新しく設定されたBC値より大きいとBCの再設定を行わず、現在補助ACのBCが主ACの新しく設定されたBC値より小さい場合に限って上記第1の実施の形態又は第2の実施の形態によって補助ACのBC値を再設定することを提案する。
【0090】
上述したような本発明の実施の形態によれば、一つの端末に割り当てられるグループの数を最小化し、制限されたグループID(例えば、最大63個)使用の効率性を高めることができ、不要なグループID変更回数を制限することができる。
【0091】
一方、本発明の他の側面では、上述したようなTXOP共有モード動作時に主ACと補助ACに再試行カウンターが共通に運用される場合の問題を解決しようとする。
【0092】
TXOP共有により、補助ACトラフィックが再送信される度に、再試行カウンターを増加させると、状況によっては、主AC伝送はできないまま、補助AC送信のみをしているうちにトラフィック伝送が終了する場合が発生しうる。具体的に、
図5と関連して上述したような従来TXOP共有モード動作時に、AC_VO又はAC_BEのBCが再設定されないことからAC_VIより早く再送信される場合、AC_VO/AC_BEの連続した再送信失敗によって主ACであるAC_VIの再送信を行うことができない場合もある。
【0093】
したがって、本発明の一実施の形態では、主AC用再試行カウンターと補助AC用再試行カウンターを別々に管理することを提案する。
【0094】
具体的に、補助AC再試行カウンターを定義した後、補助ACで再送信する度に、当該カウンターを1ずつ増加させる。仮に、当該カウンターが特定の閾値(例えば、2又は4)に到達すると、APは、当該ACに該当するトラフィックを、補助ACの形態でそれ以上送信し試みなくてもよい。すなわち、補助ACに対する再試行カウンターが特定の閾値以上になる場合、主ACに対する再送信を試みるために補助ACの再送信を中断することができる。
【0095】
他の例として、主ACで再送信される度に再試行カウンターが1ずつ増加したとき、補助ACで再送信された場合には当該PDUに対する再試行カウンターをスケーリングされた値だけ増加させることができる。例えば、補助ACで2回(又は3回)再送信が発生した場合に再試行カウンターを1ずつ増加させることができる。
【0096】
一方、以下では、上述したようなTXOP共有モードで再送信方式をOFDMA方式に適用することについて説明する。上記でDL MU−MIMOのために定義された再送信方法をOFDMAでも類似に適用することができる。
【0097】
APはOFDMAを主チャネル(Primary channel)と一つ以上の補助チャネル(secondary channel)で用いることができる。主チャネルのCCAレベル値は補助チャネルのCCAレベル値よりも低い値を用いることができる。EDCAバックオフメカニズム/プロトコルは主チャネルにのみ適用されると仮定する。
【0098】
本発明の一実施の形態に係るAPは、補助CHに対する再試行カウンターを定義した後、補助チャネルで再送信する度に、当該カウンターを1ずつ増加させることができる。仮に、当該カウンターが特定の閾値(例えば、2又は4)に到達すると、APは当該STAのトラフィックを補助チャネルでそれ以上送信し試みないように設定することができる。
【0099】
他の実施の形態として、主チャネルで再送信される度に、再試行カウンターが1ずつ増加したとき、補助チャネルで再送信された場合には、当該PDUに対する再試行カウンターをあらかじめ定義されたスケーリング値だけ増加させることができる。例えば、補助チャネルで2回(又は3回)再送信が発生した場合に補助チャネルに対する再試行カウンターを1ずつ増加させることができる。
【0100】
一方、OFDMA方式に上述のTXOP共有方式を適用する場合、チャネルとAC間のマッピング関係を説明すると、次のとおりである。
【0101】
APは、OFDMAを一つの主チャネルと一つ以上(例えば、3個)の補助チャネルで用いることができる。また、主チャネルのCCAレベル値は、補助チャネルのCCAレベル値より低い値を用いることが好ましい。
【0102】
一方、11ac TXOP共有の一部の概念を用いて、主AC、補助ACをTXOP共有におけると同じ方法で選択することができる。このとき、補助ACでデータが送信されるSTAの数は補助チャネルの数より大きい値を選択しないだろう。例えば、補助チャネルの数が3であるとき、補助ACでデータが送信されるSTAの最大数は3になるだろう。
【0103】
一方、上述したように、選択された主/補助ACトラフィックをOFDMAを用いて、主/補助チャネルで送信することができる。このとき、主ACトラフィックは、主チャネルだけを介して、又は主チャネル及び補助チャネルを介して送信することができる。すなわち、主ACトラフィックが補助チャネルだけを介して送信されないことが好ましい。
【0104】
一方、主チャネルのCCAレベル値が補助チャネルのCCAレベル値より低い値を用いるので、チャネルのクリアネス(clearness)が相対的に一層保障されるチャネルを選択して送信するようにして優先順位を与えるという設計の基準があると同時に、少なくとも主チャネルは常時含んで送信する必要があるため、このようなチャネルに主ACのトラフィックを割り当てることが好ましい。
【0105】
図7は、上述したような伝送機会共有モードでの再送信方式を具現するための装置を説明するための図である。
【0106】
図7の無線装置800は、上述した説明の特定STAに対応し、無線装置850は、上述した説明のAPに対応し得る。
【0107】
STAは、プロセッサ810、メモリ820、送受信部830を備えることができ、AP850はプロセッサ860、メモリ870及び送受信部880を備えることができる。送受信部830,880は無線信号を送信/受信し、IEEE 802.11/3GPPなどの物理層で実行され得る。プロセッサ810,860は物理層及び/又はMAC層で実行され、送受信部830,880と接続されている。プロセッサ810,860は上述の干渉制御手続きを行うことができる。
【0108】
プロセッサ810,860及び/又は送受信部830,880は、特定集積回路(application−specific integrated circuit;ASIC)、他のチップセット、論理回路及び/又はデータプロセッサを含むことができる。メモリ820,870は、ROM(read−only memory)、RAM(random access memory)、フラッシュメモリ、メモリカード、記憶媒体及び/又は他の記憶ユニットを含むことができる。一実施例をソフトウェアによって実行するとき、上述の方法を上述の機能を行うモジュール(例えば、プロセス、機能)として実行することができる。上記モジュールは、メモリ820,870に格納することができ、プロセッサ810,860で実行することができる。メモリ820,870は、プロセス810,860の内部又は外部に配置し、周知の手段によってプロセス810,860に接続させることができる。
【0109】
以上開示された本発明の好ましい実施の形態に関する詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供されている。上記では本発明の好ましい実施の形態を参照して本発明を説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者にとっては上述の説明から本発明を様々に修正及び変更可能であることが理解できる。したがって、本発明は、ここに開示された実施の形態に制限されるものではなく、ここに開示された原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。