特許第6297181号(P6297181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297181コートされた要素を持つ使い捨て吸収性製品および関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297181
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】コートされた要素を持つ使い捨て吸収性製品および関連方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20180312BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20180312BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   A61F13/53 100
   A61F13/53 300
   A61F13/534 100
   A61F13/15 355A
   A61F13/15 330
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-19346(P2017-19346)
(22)【出願日】2017年2月6日
(62)【分割の表示】特願2015-524685(P2015-524685)の分割
【原出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2017-99930(P2017-99930A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】13/561,513
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・スティーヴン・グローグ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フランクリン・カルモン
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−239261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て吸収性製品(10)であって、
使用中にその着用者に面するように構成された前記使い捨て吸収性製品の内面を画定するトップシート(12)と、
前記トップシートに重なるバックシート(14)であって、使用中に着用者から外側に向くように構成された、前記使い捨て吸収性製品の外面を画定するバックシートと、
前記使い捨て吸収性製品の着用者が分泌した体液を貯蔵するための前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コア(16、46、56)であって、前記吸収性コアが、少なくとも1つの吸収性構造(16a、16b)および前記少なくとも1つの吸収性構造を包んでいるラッピング要素(26)を含み、前記ラッピング要素が、主要基質層(29)および前記主要基質層(29)に接着されたその上の接着コーティング層(30)を有し、前記主要基質層(29)上の不透過性フィルム層を画定している吸収性コアと、
を備え、前記主要基質層(29)が、前記少なくとも1つの吸収性構造(16a、16b)を完全に包み、それによって、前記少なくとも1つの吸収性構造を取り囲む4つの壁を持つラッピング要素を画定し、前記4つの壁が、2つの側壁(35)、前記トップシートに隣接する上部壁(33)、および前記バックシートに隣接する底部壁(34)を含み、かつ前記上部壁(33)が、前記接着コーティング層を持ず、
前記接着コーティング層は前記ラッピング要素をカバーする層であり、かつ前記主要基質層(29)の側方端(31、32)は前記上部壁で互いに重なっていることを特徴とする使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項2】
使い捨て吸収性製品(10)であって、
使用中にその着用者に面するように構成された前記使い捨て吸収性製品の内面を画定するトップシート(12)と、
前記トップシートに重なるバックシート(14)であって、使用中に着用者から外側に向くように構成された、前記使い捨て吸収性製品の外面を画定するバックシートと、
前記使い捨て吸収性製品の着用者が分泌した体液を貯蔵するための前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コア(16、46、56)であって、前記吸収性コアが、少なくとも1つの吸収性構造(16a、16b)および前記少なくとも1つの吸収性構造を包んでいるラッピング要素(26)を含み、前記ラッピング要素が、主要基質層(29)および前記主要基質層(29)に接着されたその上の接着コーティング層(30)を持ち、前記主要基質層(29)上の不透過性フィルム層を画定している吸収性コアと、
を備え、前記主要基質層(29)が、前記少なくとも1つの吸収性構造(16a、16b)を部分的にのみ包み、それによって、前記少なくとも1つの吸収性構造を取り囲む3つの壁を持つラッピング要素(52)を画定し、前記3つの壁が、2つの側壁(60)、および前記バックシートに隣接する底部壁(58)を含み、前記ラッピング要素(52)が、前記底部壁の反対側にあり、前記トップシートに隣接する壁を持たず、
前記主要基質層(29)および前記接着コーティング層(30)がそれぞれの対の側方端を有し、前記主要基質層の側方端(31、32)が、前記接着コーティング層の側方端(57a、57b)と一致することを特徴とする使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項3】
前記使い捨て吸収性製品が、前記底部壁(34、58)と前記バックシートとの間に配置される追加的な不透過性フィルム層を持たない請求項1または2に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの吸収性構造が、第一および第二の吸収性構造(16a、16b)を備え、かつ
前記第一および第二の吸収性構造(16a、16b)が、着用者が分泌する体液の貯蔵のために構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの吸収性構造が、第一および第二の吸収性構造(16a、16b)を備え、かつ
前記第一の吸収性構造(16a)が、着用者が分泌する体液の捕捉および分配のために構成されており、前記第二の吸収性構造(16b)が、着用者が分泌する体液の貯蔵のために構成されており、
前記着用者が分泌する体液の捕捉および分配のために構成された前記第一の吸収性構造(16a)が、粒状構成要素を少なくとも持たない請求項1から3のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの吸収性構造が、第一および第二の吸収性構造(16a、16b)を備え、かつ
前記第一の吸収性構造(16a)が、着用者が分泌する体液の捕捉および分配のために構成されており、前記第二の吸収性構造(16b)が、着用者が分泌する体液の貯蔵のために構成されており、
前記着用者が分泌する体液の捕捉および分配のために構成された前記第一の吸収性構造(16a)が、高吸水性材料を少なくとも持たない請求項1から3のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項7】
前記接着コーティング層(30)が、ホットメルト接着剤から形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項8】
前記接着コーティング層(30)が、室温で粘着性である請求項1から7のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項9】
前記接着コーティング層(30)が、20g/m未満の坪量を持つ請求項1から8のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項10】
前記接着コーティング層(30)が、10g/m以下の坪量を持ち、かつ
前記接着コーティング層(30)が、好ましくは、少なくとも5g/mであるが、10g/m未満の坪量を持つ請求項9に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項11】
前記バックシート(14)が不織布材料で作られている請求項1から10のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性製品(10)。
【請求項12】
使い捨て吸収性製品(10)で使用するための吸収性コア(16、46、56)を形成する方法であって、前記吸収性コアが、トップシート(12)とバックシート(14)との間に互いに重なって配置されており、前記方法が、
前記使い捨て吸収性製品の着用者が分泌する体液の貯蔵のために構成された吸収性構造を取得する手順と、
主要基質層(29)を取得する手順と、
接着材料のコートを前記主要基質層に塗布し、それによって、前記主要基質層に接着する不透過性フィルム層(30)を画定する手順と、
前記吸収性構造を前記コートされた主要基質層(29)で包み、それによって前記吸収性コアを画定する手順と、
を含み
B)前記主要基質層(29)が、前記少なくとも1つの吸収性構造(16a、16b)を部分的にのみ包み、それによって、前記少なくとも1つの吸収性構造を取り囲む3つの壁を持つラッピング要素(52)を画定し、前記3つの壁が、2つの側壁(60)、および前記バックシートに隣接する底部壁(58)を含み、前記ラッピング要素(52)が、前記底部壁の反対側にあり、前記トップシートに隣接する壁を持たず、
前記主要基質層(29)および接着コーティング層(30)がそれぞれの対の側方端を有し、前記主要基質層の側方端(31、32)が、前記接着コーティング層の側方端(57a、57b)と一致する方法。
【請求項13】
非接触スロットコーティング装置からの前記接着材料を、前記主要基質層の上に供給する手順をさらに含む請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に吸収性製品に関し、より具体的には、液体分泌物の封じ込めおよび吸収のために人が着用する使い捨て吸収性製品に関する。
【背景技術】
【0002】
体液の吸収のための使い捨て吸収性製品は、さまざまなタイプ、設計、寸法のものがある。例えば、トレーニングパンツ、赤ちゃん用おむつ、大人用おむつ、および失禁用ガードは、尿および糞便の封じ込めのために設計された製品である。女性の着用者によって分泌される尿および/または月経を封じ込め吸収するために設計された女性用衛生用品(例えば、多量用および少量用の失禁パッド、パンティライナー)などその他のタイプの使い捨て吸収性物品がある。このタイプの既知の製品は、着用者の体に面しているトップシート、着用者が着用している衣類に面しているバックシート、およびトップシートとバックシートの間に挟まれている吸収性コアを一般的に含む。
【0003】
上述のタイプの製品の吸収性コアは、着用者が分泌した体液を分配および貯蔵するよう構成された主要吸収性構造、並びに捕捉構成要素などのその他の構成要素を含む。従来品の主要吸収性構造は、尿または着用者が分泌するその他の体液と接触した時にゲル化する、高吸水性粒子(「SAP」)などの粒状貯蔵構成要素を持つ。しかし、ゲル化前は、これらの粒状構成要素は硬く、これは着用者に不快感を与えるか、または材料の周辺層から突き出ることもありうる。
【0004】
硬い粒状構成要素に関連する問題を最小限に抑えるために、このタイプの使い捨て吸収性製品の製造業者は、しばしば、吸収性コアの主要吸収性構造を紙の薄層で包むが、これはトップシートを通した粒状構成要素の露出を防ぎながら、液体がそれを通過することを可能にする。また薄い紙の層で包むことで、使い捨て吸収性製品内の意図する標的エリアに粒状構成要素を維持し、分泌された体液の封じ込めを強化する。
【0005】
しかし、上述のタイプのコアを包む設計は、製品の包まれたコアとバックシートの間に位置する、不透過性ポリエチレンベース層などの、材料の追加的なバリア層をしばしば必要とする。これは、コアに貯蔵された液体が、バックシートに達する(これは望ましくないことがある)のを防ぐためである。追加的バリア層の存在は、使い捨て吸収性製品の製造の費用および複雑性を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、これらおよび従来の使い捨て吸収性製品のその他の欠点に対処する、使い捨て吸収性製品を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、使用中にその着用者に面するように構成された、使い捨て吸収性製品の内面を画定するトップシートを含む使い捨て吸収性製品が提供される。バックシートはトップシートに重なり、バックシートは、使用中に着用者から外側に向くように構成された、使い捨て吸収性製品の外面を画定する。吸収性コアは、使い捨て吸収性製品の着用者が分泌する体液を貯蔵するために、トップシートとバックシートの間に配置される。吸収性コアは、少なくとも1つの吸収性構造、および前記少なくとも1つの吸収性構造を包むラッピング要素を含む。ラッピング要素は、主要基質層、および基質層に実質的に接着され、基質上の不透過性フィルム層を画定する、その上の接着コーティング層を持つ。
【0008】
特定の実施形態では、主要基質層は、少なくとも1つの吸収性構造を完全に包み、それによって、少なくとも1つの吸収性構造を取り囲む4つの壁を持つラッピング要素を画定する。4つの壁は、2つの側壁、トップシートに隣接する上部壁、およびバックシートに隣接する底部壁を含む。さらに、使い捨て吸収性製品は、底部壁とバックシートの間に配置された追加的な不透過性フィルム層がなくてもよい。少なくとも1つの吸収性構造は、特定の実施形態では、第一および第二の吸収性構造を備える。第一および第二の吸収性構造は、両方とも主として、着用者が分泌する体液の貯蔵のために構成されうる。
【0009】
上部壁は、接着コーティング層が実質的になくてもよい。その他の実施形態では、主要基質層は、少なくとも1つの吸収性構造を部分的にのみ包み、それによって、少なくとも1つの吸収性構造を取り囲む3つの壁を持つラッピング要素を画定する。これらの3つの壁は、2つの側壁、並びにバックシートに隣接する底部壁を含む。これらの実施形態のラッピング要素は、底部壁の反対側にありトップシートに隣接する壁を実質的に含まない。一部の実施形態では、主要基質層および接着コーティング層は、それぞれ一対の外側端を持ち、主要基質層の外側端は、接着コーティングの外側端とほぼ一致する。
【0010】
第一および第二の吸収性構造を持つ実施形態では、第一の吸収性構造は、着用者が分泌した体液の捕捉および分配のために主に構成されうる一方、第二の吸収性構造は、着用者が分泌した体液の貯蔵のために主に構成されうる。特定の実施形態では、第一の吸収性構造は、粒状構成要素を少なくとも実質的に持たない。追加的または代替的に、第一の吸収性構造は、高吸水性材料を少なくとも実質的に持たない場合がある。
【0011】
一部の実施形態では、接着コーティング層は、ホットメルト接着剤から形成される。追加的または代替的に、接着コーティング層は室温で粘着性であってもよい。接着コーティング層は、約20g/m2未満の基本重量を持ちうる。特定の実施形態では、接着コーティング層は、約10g/m2以下の基本重量を持つ。例えば、接着コーティング層は、少なくとも約5g/m2であるが、約10g/m2未満の基本重量を持ちうる。追加的または代替的に、バックシートは不織布材料で作られる。
【0012】
別の実施形態では、使用中にその着用者に面するように構成された、使い捨て吸収性製品の内面を画定する親水性トップシートを持つ使い捨て吸収性製品が提供される。製品は、トップシートに重なる不織布バックシートも持ち、バックシートは、使用中に着用者から外側に向くように構成された、使い捨て吸収性製品の外面を画定する。吸収性コアは、使い捨て吸収性製品の着用者が分泌する体液を貯蔵するために、トップシートとバックシートの間に配置される。吸収性コアは、少なくとも1つの吸収性構造、および前記少なくとも1つの吸収性構造を包むラッピング要素を含む。ラッピング要素は、主要基質層およびその上に接着コーティング層を持ち、接着コーティング層は、ホットメルト接着剤から形成され、室温で粘着性であり、約20g/m2未満の基本重量を持つ。その実施形態の使い捨て吸収性製品は、底部壁とバックシートの間に配置された追加的な不透過性バリアを持たない。
【0013】
また別の実施形態では、使い捨て吸収性製品で使用するための吸収性コアを形成する方法が提供され、吸収性コアは、バックシートと互いに重なっているトップシートの間に配置される。方法は、使い捨て吸収性製品の着用者が分泌する体液の貯蔵のために主に構成された吸収性構造を取得する手順、および主要基質層を取得する手順を含む。接着材料のコートが主要基質層に塗布され、それによって主要基質層上に不透過性フィルム層が画定され、吸収性構造が、コートされた主要基質層で包まれ、それによって吸収性コアを画定する。方法は、非接触スロットコーティング装置からの接着材料を、主要基質層上に供給する手順を追加的に含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の目的および特徴は、添付の図面と併せて記述される以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【0015】
図1図1は、本発明の1つの実施形態による、使い捨て吸収性製品の斜視図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態による、使い捨て吸収性製品の斜視図である。
図3図3は、図1または図2の使い捨て吸収性製品の概略斜視分解図である。
図4図4は、図3の製品の吸収性コアの斜視図である。
図5図5は、図1の線5-5にほぼ沿って切り取られた断面図である。
図6図6は、本発明の別の実施形態による、図5と同様の断面図である。
図7図7は、本発明のまた別の実施形態による、図5および6と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書における用語のいずれかの意味または定義が、参照により組み込まれた文献の用語の意味または定義と矛盾する場合、本明細書においてその用語に与えられた意味または定義が適用されるものとする。また、本明細書で使用した表現および用語は、説明を目的とするもので、制限としてはみなされるべきでないことが理解される。「含む」、「備える」、または「持つ」およびその変形の本明細書での使用は、その後にリストされる項目およびその相当物、並びに追加項目を包含することが意図されている。
【0017】
図、より具体的には図1および2を参照すると、おむつ10の形態での模範的な使い捨て吸収性製品が示されている。おむつ10は、例えば、赤ちゃん用おむつまたは大人用おむつ(「ブリーフ」)またはベルト付下着でありうる。これらおよびその他の図は、おむつの形態の使い捨て吸収性製品を指すが、本明細書に記述および/または例示された1つ以上の特徴は、その他のタイプの使い捨て吸収性製品に適用できることが意図されており、そのためこれらは本明細書に記述された模範的おむつに限定されない。例えば、限定はされないが、本明細書に記述されたさまざまな特徴の1つ以上は、図2に示される模範的トレーニングパンツ10aなど、閉じたパンツタイプの製品でも使用されうる。本明細書で意図されるまたその他の製品には、大人用サイズの使い捨てパッド、女性用生理ナプキン、または男性もしくは女性用の軽度失禁パッド、中度失禁パッド、または重度失禁パッドを含むがこれに限定されない。
【0018】
理解しやすくするために、模範的な詳細は「おむつ10」に関連して記述されており、これは図1に示される実施形態であるが、その実施形態で記述された特徴および機能は、図2の実施形態または本明細書に一般的に記述されたタイプのその他の任意の実施形態に同様に適用できることが理解される。おむつ10は、トップシート12とバックシート14が互いに重なる関係になるように、トップシート12、およびトップシート12の反対側に配置されたバックシート14を含む。使用時、トップシート12は、着用者の体に面するおむつ10の内面を少なくとも部分的に画定する。対照的に、バックシート14は着用者の体から見て外側に向き、おむつ10の外面を少なくとも部分的に画定する。トップシート12は、親水性不織布などの透過性親水性素材で作られており、おむつ10の長さおよび/または幅に渡る単一の連続層の形態であるか、またはその他の方法としては、同じ材料もしくはおむつ10の長さおよび/または幅に個別にではなく連帯して広がる異なる材料の2つ以上の層の形態でありうる。
【0019】
バックシート14は、疎水性スパンボンド不織布または不織布材料の1つ以上の層から成るラミネートおよび不透過性ポリプロピレンまたはポリエチレンフィルムの1つ以上の層などの、不透過性疎水性材料を含む。バックシート14は、おむつ10の長さおよび/または幅に渡る単一の連続層の形態であるか、またはその他の方法としては、同じ材料もしくはおむつ10の長さおよび/または幅に個別にではなく連帯して広がる異なる材料の2つ以上の層の形態でありうる。
【0020】
引き続き図1〜2を参照し、さらに図3〜4を参照すると、おむつ10は、トップシート12とバックシート14の間に配置された吸収性コア16も含み、これは、着用者が分泌する尿および/または月経などの体液を吸収・保持するように構成されている。コア16は、単一の主要吸収性構造を持つ場合があるか、またはその代わりに、図3の模範的実施形態にあるように、それぞれが綿毛パルプもしくは綿毛パルプの組み合わせまたはその他の天然もしくは合成の液体管理材料から成る第一および第二の吸収性構造16a、16b、およびSAPなどの液体貯蔵材料またはその他の天然もしくは合成の液体貯蔵材料を持ちうる。図3の実施形態でより具体的には、コア16は、大きな底部吸収性構造16bによって支持されている上部吸収性構造16aを含む。
【0021】
当業者であれば、吸収性構造16a、16bが、図3に示された物とは異なるが、それでも本開示の範囲内に入る相対寸法および形状を持つことを理解するであろう。その実施形態の吸収性構造16a、16bはそれぞれ、使い捨て吸収性製品の着用者が分泌する尿などの液体の貯蔵用に主に構成されている。または、吸収性構造16a、16bの1つは、液体貯蔵のために主に構成されうる一方、吸収性構造16a、16bのもう一方は、液体の迅速な捕捉および液体貯蔵のために主に構成されているコア16のその他の構成要素に向けた液体の分配のために主に構成されている。例えば、限定はされないが、上部吸収性構造16aは、エアレイドベースの材料でありうる一方、下部吸収性構造16bは、綿毛パルプとSAPの混合物、またはその他の粒状液体貯蔵構成要素を持ちうる。または、底部(すなわち、第二の)吸収性構造16bは、エアレイドベースの材料でもありうる。
【0022】
上述のタイプの模範的なエアレイドベースの材料は、「VH600.101.B6001」および「VH460.103.B6001」として知られており、いずれもGlatfelter Falkenhagen GmbH(ドイツ、ファルケンハーゲン)から市販されている。上部吸収性構造16a用の他の模範的材料は、例えば米国特許第5,387,207、5,260,345、5,650,222、および5,849,805号に記述されているタイプの高内相エマルション(HIPE)フォームなどのフォームベース材料で、それぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0023】
コア16、並びにコア16がその一部を形成するおむつ10は、縦軸10x(縦寸法)、および縦軸10xに直交する横軸10y(幅寸法)に沿って延長する。コア16は、概して長方形であるか、または砂時計の形状を持つか、またはその他の任意の規則的もしくは不規則的な、対称または非対称の形状を持つことがあり、それでも本開示の範囲内に入る。
【0024】
図1〜4を引き続き参照すると、例示実施形態のコア16は、紙または親水性不織布などの、透過性親水性素材の薄いラッピング要素26を含む。ラッピング要素26は、粒状SAPなどの、コア16の粒状構成要素の周囲層への露出を防ぐように、吸収性構造16a、16bを包む。さらに、ラッピング要素26は、吸収性構造16a、16bの異なる構成要素を一緒に維持し、これはコア16の乾燥および湿性の完全性を強化し、それによって液体の封じ込めを強化する。
【0025】
図1〜4を引き続き参照し、さらに図5を参照すると、ラッピング要素26は、主要基質層29、および主要基質層29の内面上に形成されたフィルムバリア接着材料の連続コーティング30を含む。より具体的には、ラッピング要素26は、これも不透過性の接着材料のコーティング30を含むが、この不透過性のために、着用者が分泌する体液の、吸収性構造16a、16bからおむつ10のバックシート14への移動が防止される。コーティング30の不透過性のために、バックシート14に隣接して追加的バリア層を提供する必要がなくなり、これによっておむつ10の製造が単純化される。さらに、SAP、綿毛パルプおよび/またはコア16のその他の任意の構成要素の接着コーティング30によるかみ合い(これは、これらの構成要素を定位置に固定する)のために、コーティング30の接着機能は、コア16の乾燥および湿性の完全性も強化する。
【0026】
コーティング30は、適切に選択されたレベルの粘着性および不透過性を持つ。例えば、限定はされないが、コーティング30は、室温(すなわち、約18°C〜約23°C)で一般に粘着性であるホットメルト接着剤でありうる。同様に、コーティング30は、約20g/m2未満の基本重量において、実質的または完全にピンホールがないので、実質的に不透過性でありうる。特定の実施形態では、コーティング30は、約10g/m2〜約20g/m2の基本重量、または約5g/m2〜約10g/m2の基本重要など、約10g/m2未満の基本重量でさえも、実質的または完全にピンホールがない。コーティング30のための模範的材料は、Lunatack(登録商標) NW 1192 ZP(登録商標)、Lunatack(登録商標) D-8370、Lunatack(登録商標) D-9105、およびLunatack(登録商標) D-3964という名称で知られている材料であり、これらはすべて、H.B. Fuller Company(米国ミネソタ州セントポール)から市販されているホットメルト接着剤である。コーティング30に適した模範的ホットメルト接着剤は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(約40重量%まで)、少なくとも1つの可塑剤(約40重量%まで)、および少なくとも1つの粘着付与樹脂(約70重量%まで)を含む。
【0027】
ホットメルト接着剤のこれらの非限定の例は、約60°C〜約110°Cの範囲など、低い融点を持ちうる。これらの比較的低い融点によって、高温に曝された時に損傷の影響を受けやすい紙および薄い不織布基質などの材料への、コーティング30の塗布が容易になる。さらに、これらのホットメルト接着剤の一部のレオロジー特性によって、低い基本重量での、連続的な水分および/または液体不透過性コーティングの塗布が容易になる。より具体的には、ホットメルト接着剤は、高いずり速度(1,000 rad/秒)での複素粘度が約500ポアズ未満であり、低いずり速度(<1 rad/秒)での複素粘度が約100〜約1,000ポアズであるコーティング30に対して意図されている。従って、このタイプの熱可塑性物質含有ホットメルト接着剤は、低いずり速度でニュートン領域を、高いずり速度でずり流動化を呈する。これらのホットメルト接着剤は、主要基質層29に深く浸透し、主要基質層29上に流体(すなわち、液体)および/または水分不透過性フィルムバリア層を形成することなく、主要基質層29の表面に実質的に接着する。
【0028】
コーティング30は、約5g/m2〜約20g/m2の範囲のいずれかの基本重量、またはその他の任意の基本重量に対応するものなど、適切に選択された厚さで、ラッピング要素26の主要基質層29に塗布される。特定の実施形態では、基本重量は約15g/m2である。主要基質層29へのコーティング30の塗布は、主要基質層29に実質的に接着した不透過性フィルムコーティングを画定するために、ホットメルト接着剤など、液体形状でコーティングを塗布するために適切に選択されたプロセスで実行される。例えば、限定はされないが、コーティング30は、コーティング材料は供給するが主要基質層29とは接触しないスロット塗布機で、主要基質層29上に塗布されうる。これにより、主要基質層29上に、コーティング材料(例えば、ホットメルト接着剤)の実質的に均一で連続したコーティングがもたらされる。コーティング30を塗布するために適切な模範的プロセスは、米国特許第7,078,075号に記述されており、その内容全体は、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0029】
主要基質層29も、適切に選択され、例えば、約18g/m2の基本重量を持つティッシュペーパーの層の形態でありうる。主要基質層29は、代替的に、不織布材料の層の形態でもよく、それでも本開示の範囲内に入る。主要基質層29のための模範的材料は、「グレード3253」のティッシュとして知られており、Cellu Tissue Holdings, Inc.(米国コネチカット州イーストハートフォード)から市販されている。
【0030】
図5を特に参照すると、主要基質層29およびコーティング30の側面範囲は、コア16への液体の流れを妨げないように選択される。具体的には、その図で示された実施形態では、図5の上部で示されるように、主要基質層29の側面範囲は、互いに重なっている主要基質層29の側方端31、32で、吸収性構造16a、16bを完全に包むようになっている。本明細書で使用される場合、「側面範囲」という用語は、おむつ10の幅方向に、特定の折り畳まれた構成要素(例えば、層)が、折り畳まれた構成ではなく平らに広げられた場合に延長する範囲を指す。従って、ラッピング要素26は、吸収性構造16a、16bをその中に含む、上部と底部の壁33、34および側壁35を画定する。コーティング30は、おむつ10の幅方向に部分的にのみ延長する。より具体的には、例示実施形態のコーティング30は、上部壁を実質的にコーティング30のない状態にしたまま、底部壁34および側壁35をカバーするように横方向に延長する。この設計により、液体が底部壁34または側壁35から漏れ出るのを防ぎながら、トップシート12を通して受け入れられた液体が、コア16の内部37へと容易に通過することが可能になる。さらに、コーティング30の接着特性は、吸収性構造16a、16bの一部をその中にかみ合わせ、これはコア16の完全性を強化し、それによって製品外観および液体の封じ込めを強化する。
【0031】
図6を参照すると、先行の図のコア16とほとんどの観点で類似しているが、2つの吸収性構造ではなく、単一の吸収性構造16bを持つコア46の別の実施形態が示されている。図6では、参照番号が先行の図の同様の特徴を指すように、その説明も、この図の実施形態の構造および機能面を理解するために言及されることがある。
【0032】
ここで図7を参照すると、コア56のまた別の実施形態が示されている。その図の参照番号が先行の図の同様の特徴を指すように、その説明も、この図の実施形態の構造および機能面を理解するために言及されることがある。図7に示される実施形態では、主要基質層29の側方端31、32が、コーティング30の側方端57a、57bとほぼ一致するように、主要基質層29およびコーティング30の側面範囲は、同じまたは少なくとも実質的に同じである。特にこの実施形態では、主要基質層29およびコーティング30の側面範囲は、図5および6の実施形態とは異なり、上部壁が実質的にないコア56の覆いを画定する。より具体的には、コア56は、底部壁58および側壁60を画定するラッピング要素52を持ち、そのすべてが、主要基質層29およびコーティング30の部分を含む。この実施形態では、底部壁58および側壁60でのコーティング30の存在がこれらの壁を通る液体の流れを防ぐが、トップシート12を通ってコア56の内部61に流れ込む液体の流れは、全く妨げられない。
【0033】
図7の実施形態をなおも参照すると、コーティング30の接着特性により、ラッピング要素52の側方端部分63が、上部吸収性構造16aの上面65(すなわち、トップシート12に隣接する)に接着することが可能になる。特定の実施形態では、上部吸収性構造16aは、SAPまたはその他の粒状構成要素を含まないように設計されており、従って、上部および下部吸収性構造16a、16bを完全に包む必要性がなくなる。その点に関しては、上記で説明したように、上部吸収性構造16aは、完全でない場合は少なくとも実質的にSAPを含まない、例えばSAPを含まないエアレイドベース捕捉層などの、液体の迅速な捕捉および/または分配を主に目的とする材料の層の形態でありうる。代替的に、別の非制限的例では、上部吸収性構造16aは、トップシート12に曝されている上面65の任意の部分が、完全でない場合は少なくとも実質的に、粒状構成要素を含まないように、SAPまたはその他の粒状材料のゾーン分配を有しうる。例えば、例示した実施形態では、上面65のむきだしの部分は、粒状構成要素を全く含まない場合がある一方、むきだしになっていない部分、すなわちラッピング要素52の末端部分63の真下の部分は、粒状構成要素を含む。
【0034】
図1〜7の実施形態を一般に参照すると、液体コーティング30の形態での不透過性フィルムバリア層の、ラッピング要素26、52の主要基質層29との一体化は、いくつかの異なる側面において有利である。まず、この一体化によって、例えば、フィルム材料の形成の後に、主要基質層29が代わりに不透過性フィルム材料の固体層に接着された場合、起こるであろうパチパチ音なしに、主要ラッピング要素26、52に対して液体および/または水分不透過性が提供される。おむつおよびその他の使い捨て吸収性製品のパチパチ音は、着用者および/または着用者の周りにいる人が、着用者が使い捨て製品を着用していることに気付くことにつながりうるので、望ましくないことが知られている。さらに、フィルムバリア層と主要基質層29の完全な一体化によって、フィルムバリア層がその材料のひび割れの影響を受けにくくなり、それにより製品使用中のコア完全性の強化に寄与する。フィルムのひび割れは、使い捨て製品の液体(例えば、尿)の漏れの可能性を高くする溝を画定することが観察されているので、フィルムのひび割れの形成を避けることも有利である。コア完全性は、主要基質層29上に結果的にできるフィルムバリア層の弾性のために、弾性特性を持つ接着材料の液体コーティング30を使用することによってさらに強化されうる。
【0035】
また、コートされた不透過性フィルムバリアの使用は、ラッピング要素26、52に対して不透過性ゾーンを簡単に塗布、制御し、レベルと場所を調節する柔軟性を、製造業者に提供するという利点もある。より具体的には、液体形状のコーティング30の流れは、例えば、ホットメルト接着剤の供給で典型的なように、塗布中に簡単に制御・調節できる。これは、例えば、主要基質層29に使用される材料のタイプまたは厚さによって決まりうる、不透過性の望ましいレベルの調節を容易にする。これにより、コーティング30の長さおよび/または幅寸法も簡単に調節できるようになる。さらに、この一体化は、例えば、フィルムバリア材料の固体層を固体主要基質層29に接着するなどの、追加的で複雑なプロセスおよび機器を必要とすることなく、ラッピング要素26、52に不透過性フィルム層を塗布する方法を提供する。また別の利点は、コーティング30の一部の実施形態の接着性によって提供され、これによりラッピング要素26、52が、コア16、46、56を構成している構成要素を定位置に保持できるようになる。
【0036】
本発明の一般的原理の上記の開示および前述の模範的実施形態の説明から、当業者であれば、本発明が受け入れる余地のあるさまざまな変更を容易に理解するであろう。従って、本発明は以下の請求項およびその同等物の範囲によってのみ制限されることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
10 吸収性製品
12 トップシート
14 バックシート
16 コア
16a 吸収性構造(第一の吸収性構造)
16b 吸収性構造(第二の吸収性構造)
26 ラッピング要素
29 主要基質層
30 接着コーティング層
31 側方端
32 側方端
33 上部壁
34 底部壁
35 側壁
46 コア
52 ラッピング要素
56 コア
57a 側方端
57b 側方端
58 底部壁
60 側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7