特許第6297218号(P6297218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6297218
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】共振型電力受信装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20180312BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20180312BHJP
【FI】
   H02J50/70
   H02J50/12
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-521006(P2017-521006)
(86)(22)【出願日】2017年3月10日
(86)【国際出願番号】JP2017009728
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】阿久澤 好幸
(72)【発明者】
【氏名】松盛 裕志
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−120288(JP,A)
【文献】 特開2011−155732(JP,A)
【文献】 特開2015−019576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナから伝送された電力を受信する受信アンテナと、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相互インダクタンスに応じ、入力インピーダンスを制御する受信回路とを備え
前記受信回路は、
前記受信アンテナにより受信された電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路により得られた直流電力における電圧と電流との比を前記相互インダクタンスの2乗に比例した値に制御するインタフェース電源とを有する
ことを特徴とする共振型電力受信装置。
【請求項2】
前記インタフェース電源は、前記直流電力における電圧の変化から前記相互インダクタンスの変化を間接的に検出する
ことを特徴とする請求項1記載の共振型電力受信装置。
【請求項3】
前記受信アンテナと前記受信回路との間に配置され、前記送信アンテナの入力インピーダンスの虚部の成分の補償を行う整合回路を備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の共振型電力受信装置。
【請求項4】
前記整合回路は、インダクタ又はコンデンサのうちの少なくとも一方を有する
ことを特徴とする請求項記載の共振型電力受信装置。
【請求項5】
前記受信アンテナは、磁界共鳴、電界共鳴又は電磁誘導により前記送信アンテナとの間で電力伝送を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の共振型電力受信装置。
【請求項6】
送信アンテナから伝送された電力を受信する受信アンテナと、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相互インダクタンスに応じ、入力インピーダンスを制御する受信回路とを備え
前記受信回路は、
前記受信アンテナにより受信された電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路にて変換された直流電力の電圧と電流を入力電圧と入力電流とするDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータに入力される入力電圧のレベルに応じて前記DC/DCコンバータに入力される入力電流を増減させるシャント回路とを具備するインタフェース電源とを有する
ことを特徴とする共振型電力受信装置。
【請求項7】
送信アンテナから伝送された電力を受信する受信アンテナと、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相互インダクタンスに応じ、入力インピーダンスを制御する受信回路とを備え
前記受信回路は、
前記受信アンテナにより受信された電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路にて変換された直流電力の電圧と電流を入力電圧と入力電流とするDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータに入力される入力電圧のレベルに応じて電圧降下のレベルを可変するシリーズレギュレータ回路とを具備するインタフェース電源とを有する
ことを特徴とする共振型電力受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波数の電力を受信する共振型電力受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の共振型電力伝送システムでは、漏洩電磁界の放射による妨害波と電力伝送効率の低下を抑制するため、送信アンテナ及び受信アンテナをそれぞれ磁気シールド部材で覆っている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−248747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成では、磁気シールド部材を用いて漏洩電磁界の放射を抑制している。この際、磁気シールド部材は、送信アンテナと受信アンテナとの間の磁界を遮ることがないように、アンテナとの間隙を確保してアンテナ全体を覆う必要がある。そのため、送信装置及び受信装置を構造的に小さくできないという課題がある。
また、従来構成では、送受信アンテナから発生した漏洩電磁界の放射を抑制しており、漏洩電磁界の発生を抑制するものではない。また、送信アンテナと受信アンテナとの間の空隙に対しては磁気シールド部材を設けることができない。そのため、この空隙部分から漏洩電磁界が放射されるという課題がある。この漏洩電磁界は、電力伝送を行う際の基本波の高調波であり、約1GHzまでの広帯域に渡って妨害波としても作用し、ラジオ、無線機又は携帯電話等における通信周波数帯へ悪影響を及ぼす。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、磁気シールド部材を用いずに妨害波の発生を抑制できる共振型電力受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る共振型電力受信装置は、送信アンテナから伝送された電力を受信する受信アンテナと、送信アンテナと受信アンテナとの間の相互インダクタンスに応じ、入力インピーダンスを制御する受信回路とを備え、受信回路は、受信アンテナにより受信された電力を直流電力に変換する整流回路と、整流回路により得られた直流電力における電圧と電流との比を相互インダクタンスの2乗に比例した値に制御するインタフェース電源とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、磁気シールド部材を用いずに妨害波の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る共振型電力伝送システムの構成例を示す図である。
図2図2A図2Cは、この発明の実施の形態1におけるインタフェース電源(V−I/F)の動作例を説明する図であって、図2Aは相互インダクタンスMと入力電圧Vinとの関係を示す図であり、図2Bは入力電流Iinの制御例を示す図であり、図2Cは通常のDC/DCコンバータを用いた場合での入力電流Iin’の制御例を示す図である。
図3】この発明の実施の形態2に係る共振型電力受信装置の一部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る共振型電力伝送システムの構成例を示す図である。
共振型電力伝送システムは、図1に示すように、共振型送信電源装置1、送信アンテナ(TX−ANT)2、受信アンテナ(RX−ANT)3、受信回路4及び負荷5を備えている。共振型送信電源装置1は、インタフェース電源(V−I/F)6及びインバータ回路7を有している。また、受信回路4は、整流回路(REC)8及びインタフェース電源(V−I/F)9を有している。また、共振型送信電源装置1及び送信アンテナ2は共振型電力送信装置を構成し、受信アンテナ3及び受信回路4は共振型電力受信装置を構成する。
【0010】
インタフェース電源6は、共振型送信電源装置1に入力された電圧を増減して直流出力するコンバータの機能を有する。インタフェース電源6は、共振型送信電源装置1に直流電力が入力される場合にはDC/DCコンバータの機能を有し、共振型送信電源装置1に交流電力が入力される場合にはAC/DCコンバータの機能を有する。このインタフェース電源6により得られた電力は、インバータ回路7へ出力される。
【0011】
インバータ回路7は、インタフェース電源6から出力された電力を送信アンテナ2が有する共振周波数と同一(略同一の意味を含む)の周波数を有する高周波電力に変換して出力する。このインバータ回路7は、E級インバータ回路等の共振型スイッチング方式のインバータ回路である。
【0012】
送信アンテナ2は、インバータ回路7から出力された高周波電力が有する周波数と同一(略同一の意味を含む)の周波数で共振することで、電力伝送を行う。
【0013】
受信アンテナ3は、送信アンテナ2が有する共振周波数と同一(略同一の意味を含む)の周波数で共振することで、送信アンテナ2から伝送された高周波電力を受信する。この受信アンテナ3により受信された高周波電力(交流電力)は、整流回路8へ出力される。
【0014】
なお、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の電力伝送方式は特に限定されず、磁界共鳴による方式、電界共鳴による方式、又は、電磁誘導による方式の何れでもよい。また、送信アンテナ2と受信アンテナ3は、図1に示すような非接触に限らない。
【0015】
整流回路8は、受信アンテナ3から出力された交流電力を直流電力に変換する。この整流回路8により得られた直流電力は、インタフェース電源9へ出力される。
【0016】
インタフェース電源9は、整流回路8から出力された直流電圧を増減するDC/DCコンバータの機能を有する。このインタフェース電源9により得られた直流電力は、負荷5へ出力される。
また、インタフェース電源9は、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の相互インダクタンスMに応じ、整流回路8(受信回路4)の入力インピーダンスRoを制御することで送信アンテナ2の入力インピーダンスZinを制御する機能を有している。具体的には、インタフェース電源9は、上記直流電力における電圧(入力電圧)Vinと電流(入力電流)Iinとの比を上記相互インダクタンスMの2乗に比例した値に制御する。なお、インタフェース電源9は、上記入力電圧Vinの変化から上記相互インダクタンスMの変化を間接的に検出する。
【0017】
負荷5は、インタフェース電源9から出力された直流電力により機能する回路又は機器である。
【0018】
次に、実施の形態1におけるインタフェース電源9の機能について説明する。
ここで、インバータ回路7の出力インピーダンスをZoとする。また、送信アンテナ2の入力インピーダンスをZinとする。また、整流回路8の入力インピーダンスをRoとする。また、送信アンテナ2のインダクタンスをLTXとする。また、受信アンテナ3のインダクタンスをLRXとする。また、送信アンテナ2と受信アンテナ3との相互インダクタンスをMとする。また、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の距離をdとする。また、インタフェース電源9の入力電圧をVinとする。また、インタフェース電源9の入力電流をIinとする。
【0019】
ここで、送信アンテナ2の入力インピーダンスZinは下式(1)で表される。式(1)において、ω=2πfであり、fは伝送周波数である。
Zin=(ωM)/Ro (1)
【0020】
また、整流回路8の入力インピーダンスRoは下式(2)で表される。式(2)では、整流回路8での損失がほぼ無いと仮定している。
Ro≒Vin/Iin (2)
【0021】
式(1),(2)から、送信アンテナ2の入力インピーダンスZinは下式(3)となる。
Zin≒(ωM)/(Vin/Iin) (3)
【0022】
また、送信アンテナ2と受信アンテナ3との相互インダクタンスMは下式(4)で表される。式(4)において、Kは、送信アンテナ2のインダクタンスLTXと受信アンテナ3のインダクタンスLRXとの結合係数であり、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の距離dに反比例する。よって、送信アンテナ2と受信アンテナ3との距離dが変化すると、相互インダクタンスMが変化する。
M=K√(LTXRX) (4)
【0023】
そこで、インタフェース電源9が、相互インダクタンスMの2乗に比例するようにVin/Iin(≒Ro)を制御する。その結果、送信アンテナ2の入力インピーダンスZin≒(ωM)/(Vin/Iin)は一定となる。
【0024】
なお、インタフェース電源9では、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の相互インダクタンスMを直接は検出できない。一方、図2Aに示すように、相互インダクタンスM(図2Aに示す実線)が変化することで、入力電圧Vin(図2Aに示す破線)が変化する。なお図2Aにおいて、横軸は送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の距離dを表し、左縦軸は相互インダクタンスMを表し、右縦軸はインタフェース電源9の入力電圧Vinを表している。
そこで、インタフェース電源9は、入力電圧Vinの変化を検出することで相互インダクタンスMの変化を間接的に検出する。そして、図2Bに示すように、インタフェース電源9は、入力電流Iin(図2Bに示す実線)を、検出した入力電圧Vin(図2Bに示す破線)に反比例した動きとなるように制御する。よって、インタフェース電源9は、Vin/Iin(≒Ro)を制御可能となる。なお図2Bにおいて、横軸は送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の距離dを表し、左縦軸はインタフェース電源9の入力電圧Vinを表し、右縦軸はインタフェース電源9の入力電流Iinを表している。
【0025】
これにより、Zo≒Zinの関係を維持でき、共振型電力送信装置と共振型電力受信装置との間のインピーダンス整合が図られるため、妨害波の発生を抑制できる。
【0026】
なお図2Cでは、通常のDC/DCコンバータを用いてインタフェース電源9と同様の制御を行った場合を示している。図2Cにおいて、横軸は送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の距離dを表し、左縦軸は通常のDC/DCコンバータの入力電圧Vin’を表し、右縦軸は通常のDC/DCコンバータの入力電流Iin’を表してる。
この図2Cに示すように、通常のDC/DCコンバータを用いた場合には、入力電流Iin’(図2Cに示す実線)を入力電圧Vin’(図2Cに示す破線)に反比例した動きとなるように制御できない。これは、通常のDC/DCコンバータでは、入力電圧Vin’のレベルによってDC/DCコンバータの入出力変換効率が変化するため、その影響で入力電流Iin’の傾きが変化するためである。
【0027】
これに対し、インタフェース電源9では、通常のDC/DCコンバータの入出力変換効率の変化による入力電流Iin’の変動分(入力電圧Vin’に対する入力電流Iin’の非線形特性)を補償する機能を有している。具体例としては、インタフェース電源9では、通常のDC/DCコンバータが有する機能に加え、入力電圧Vinのレベルに応じて入力電流Iinを増減させるシャント回路が付加される。又は、インタフェース電源9では、通常のDC/DCコンバータが有する機能に加え、入力電圧Vinのレベルに応じて電圧降下のレベルを可変するシリーズレギュレータ回路が付加される。
【0028】
以上のように、この実施の形態1によれば、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の相互インダクタンスMに応じ、整流回路8の入力インピーダンスRoを制御するインタフェース電源9を備えたので、磁気シールド部材を用いずに妨害波の発生を抑制できる。
【0029】
具体的には、共振型電力伝送システムでは、共振型電力送信装置及び共振型電力受信装置を構成する各回路間の入出力インピーダンスの不整合によって、妨害波が発生する。
それに対して、インタフェース電源9で相互インダクタンスMに応じて入力インピーダンスRoを制御することで、上記各回路間の入出力インピーダンスの不整合を解消できるため、妨害波の発生を抑制できる。
【0030】
また、共振型電力伝送システムでは、共振型電力送信装置及び共振型電力受信装置を構成する各回路上の寄生インピーダンスによる共振によっても、妨害波が発生する。
それに対して、インタフェース電源9で相互インダクタンスMに応じて入力インピーダンスRoを制御することで、上記各回路間の入出力インピーダンスの不整合を解消できるため、各回路に入る高調波のレベルを限りなく低くできる。その結果、回路上に寄生インピーダンスが存在しても、高調波を増幅してしまう共振現象は少なくなる。よって、妨害波の発生を抑制できる。
【0031】
また、共振型電力伝送システムでは、共振型電力受信装置の位置が変化して送受信アンテナ2,3に位置ずれが生じた場合、共振型電力送信装置と共振型電力受信装置との間のインピーダンスが不整合となるため、妨害波が発生する。
それに対して、インタフェース電源9では、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の距離dにより変化する相互インダクタンスMに応じて入力インピーダンスRoを制御する。そのため、共振型電力受信装置の位置が変化して送受信アンテナ2,3に位置ずれが生じたとしても、共振型電力送信装置と共振型電力受信装置との間のインピーダンス整合を維持でき、妨害波の発生を抑制できる。
【0032】
また、実施の形態1に係る共振型電力受信装置では、回路設計により妨害波の発生を抑制している。そのため、電力損失が少なく電力伝送効率の高いシステムを構成できる。また、磁気シールド部材を使用せずに装置を構成できるため、低コスト化、小型化及び軽量化を図れる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1では、インタフェース電源9が、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の相互インダクタンスMに応じ、整流回路8の入力インピーダンスRoを制御することで送信アンテナ2の入力インピーダンスZinを制御する場合を示した。一方、送信アンテナ2の入力インピーダンスZinには、純抵抗による実部の成分Rだけではなく、キャパシタンスC又はインダクタンスLによる虚部(リアクタンス)の成分Xも含まれる。しかしながら、実施の形態1におけるインタフェース電源9では、上記虚部の成分Xの補償を行うことができない。そこで、実施の形態2に係る共振型電力受信装置では、インバータ回路7の出力インピーダンスZoと送信アンテナ2の入力インピーダンスZinとを合わせるために、入力インピーダンスZinのうちの虚部の成分Xの補償を行う。
図3はこの発明の実施の形態2に係る共振型電力受信装置の一部の構成例を示す図である。この図3に示す実施の形態2に係る共振型電力受信装置では、図1に示す実施の形態1に係る共振型電力受信装置に対し、整合回路10(コンデンサC1,C2及びインダクタL1,L2)を追加している。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
整合回路10(コンデンサC1,C2及びインダクタL1,L2)は、受信アンテナ3と整流回路8との間に配置され、送信アンテナ2の入力インピーダンスZinの虚部の成分Xの補償を行う。整合回路10は、整合回路10を構成する素子の定数が固定である固定整合型、素子の定数が可変である可変整合型、素子の定数が自動で可変されて整合を取る自動整合型の何れでもよい。
【0035】
コンデンサC1は、受信アンテナ3に接続される一対の入力端子のうちの一方の端子に一端が接続され、当該一対の入力端子のうちの他方の端子に他端が接続されている。
インダクタL1は、一端がコンデンサC1の一端に接続されている。
インダクタL2は、一端がコンデンサC1の他端に接続されている。
コンデンサC2は、インダクタL1の他端及び整流回路8が有する一対の入力端子のうちの一方の端子に一端が接続され、インダクタL2の他端及び当該一対の入力端子のうちの他方の端子に他端が接続されている。
【0036】
ここで、送信アンテナ2の入力インピーダンスZinは下式(5)で表される。
Zin=R+X=√(R+(ωL−(1/ωC))) (5)
【0037】
そして、整合回路10では、送信アンテナ2の入力インピーダンスZinの虚部の成分Xに対して、コンデンサC1,C2及びインダクタL1,L2の組み合わせで補償を行う。これにより、実施の形態1に対し、妨害波の発生の抑制効果が高まる。
【0038】
なお上記では、整合回路10が、コンデンサC1,C2及びインダクタL1,L2を全て有する場合を示した。しかしながら、これに限らず、整合回路10は、コンデンサC1,C2及びインダクタL1,L2のうちの何れか1つ以上有していればよい。例えば、整合回路10として、コンデンサC1のみから構成してもよいし、コンデンサC2及びインダクタL1,L2のみから構成してもよいし、コンデンサC1及びインダクタL1,L2のみから構成してもよい。
整合回路10を構成する素子の設計は、例えば、システムを設計する際に入力インピーダンスZinの値をシミュレーションして、又は、システム設計後に入力インピーダンスZinを実測する等して決定する。
【0039】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明に係る共振型電力受信装置は、磁気シールド部材を用いずに妨害波の発生を抑制でき、高周波数の電力を受信する共振型電力受信装置等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0041】
1 共振型送信電源装置、2 送信アンテナ(TX−ANT)、3 受信アンテナ(RX−ANT)、4 受信回路、5 負荷、6 インタフェース電源(V−I/F)、7 インバータ回路、8 整流回路(REC)、9 インタフェース電源(V−I/F)、10 整合回路。
【要約】
送信アンテナ(2)から伝送された電力を受信する受信アンテナ(3)と、送信アンテナと受信アンテナとの間の相互インダクタンスに応じ、入力インピーダンスを制御する受信回路(4)とを備えた。
図1
図2
図3