(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297248
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】自動車の遠隔始動システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60R 25/04 20130101AFI20180312BHJP
B60R 25/06 20060101ALI20180312BHJP
B60R 25/08 20060101ALI20180312BHJP
F02N 11/08 20060101ALI20180312BHJP
F02N 15/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
B60R25/04
B60R25/06
B60R25/08
F02N11/08 T
F02N15/00 F
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-268236(P2011-268236)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-67364(P2013-67364A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年11月28日
【審判番号】不服2016-14352(P2016-14352/J1)
【審判請求日】2016年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0095426
(32)【優先日】2011年9月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 種 浩
【合議体】
【審判長】
島田 信一
【審判官】
氏原 康宏
【審判官】
一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−163295(JP,A)
【文献】
特開2006−274814(JP,A)
【文献】
特開2007−74017(JP,A)
【文献】
特開2008−163935(JP,A)
【文献】
特開2001−270424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/04-25/08
F02N 11/08,15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)自動車の遠隔始動が開始される段階、
(b)前記遠隔始動の開始後に、前記自動車のドアが開けられてタイマーが開始される段階、
(c)前記タイマーの開始後に、自動車の運転席ドアが閉止された場合、ブレーキがオン(ON)された場合、何の操作もなく設定された時間が経過した場合に自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行う段階、及び、
(d)前記フォブ(FOB)が認証される場合には、前記遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、前記遠隔始動を終了する段階、
を含み、
前記(a)段階は、外部端末器から伝送された遠隔始動信号をサーバーで中継して、前記自動車のテレマティックスモジュール(TMU)に伝送し、前記テレマティックスモジュールからボディーコントロールモジュール(BCM)を経て信号処理手段に伝送し、遠隔始動が開始され、
前記ボディーコントロールモジュールは、遠隔始動の開始後に、自動車がロック(lock)状態であるか、ロック解除(unlock)状態であるかを判断し、自動車がロック(lock)状態で自動車のドアが開けられる場合には、警告信号を信号処理手段に伝送して、遠隔始動を終了し、ロック解除(unlock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を維持して、前記タイマーは、時間をチェックし、
前記信号処理手段は、タイマーの開始後に、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなく設定された時間が経過すれば、自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行い、フォブ(FOB)が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、遠隔始動を終了することを特徴とする自動車の遠隔始動方法。
【請求項2】
前記タイマーに設定された時間は、30秒であることを特徴とする請求項1に記載の自動車の遠隔始動方法。
【請求項3】
前記遠隔始動の開始後に、前記自動車の変速レバーがP(Parking)状態を外れる場合や、始動ボタンがオン(ON)される場合、または車速が発生する場合には、前記遠隔始動を終了することを特徴とする請求項1に記載の自動車の遠隔始動方法。
【請求項4】
前記(b)段階で、前記自動車がロック(lock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を終了することを特徴とする請求項1に記載の自動車の遠隔始動方法。
【請求項5】
前記フォブ(FOB)の認証は、前記自動車の信号処理手段が前記フォブ(FOB)から固有ID信号を受信し、前記受信されたID信号を利用して、前記フォブ(FOB)に対する認証を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動車の遠隔始動方法。
【請求項6】
自動車の遠隔始動信号を受信するテレマティックスモジュール(TMU)、
前記自動車の状態を確認して、前記テレマティックスモジュールから前記遠隔始動信号を受信し、この遠隔始動信号が前記自動車に適した信号である場合に、この遠隔始動信号を伝送するボディーコントロールモジュール(BCM)、
前記ボディーコントロールモジュールから伝送された前記遠隔始動信号を受信して、前記自動車の状態をチェックし、正常である場合に、遠隔始動を開始する信号処理手段、及び、
前記遠隔始動の開始後に、自動車のドアが開となれば、時間をチェックするタイマー、を含み、
前記信号処理手段は、
前記タイマーの開始後に、自動車の運転席ドアが閉じられた場合、ブレーキがオン(ON)された場合、または何の操作もなく設定された時間が経過した場合には、前記自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行い、前記フォブ(FOB)が認証される場合には、前記遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、前記遠隔始動を終了し、
前記ボディーコントロールモジュールは、遠隔始動の開始後に、自動車がロック(lock)状態であるか、ロック解除(unlock)状態であるかを判断し、自動車がロック(lock)状態で自動車のドアが開けられる場合には、警告信号を信号処理手段に伝送して、遠隔始動を終了し、ロック解除(unlock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を維持して、前記タイマーは、時間をチェックし、
前記信号処理手段は、タイマーの開始後に、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなく設定された時間が経過すれば、自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行い、フォブ(FOB)が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、遠隔始動を終了することを特徴とする自動車の遠隔始動システム。
【請求項7】
前記ボディーコントロールモジュールは、
前記遠隔始動の開始後に、前記自動車がロック(lock)状態で前記ドアが開けられれば、警告信号を前記信号処理手段に伝送し、
前記信号処理手段は、前記警告信号を受信して、前記遠隔始動を終了することを特徴とする請求項6に記載の自動車の遠隔始動システム。
【請求項8】
前記タイマーに設定された時間は、30秒であることを特徴とする請求項6に記載の自動車の遠隔始動システム。
【請求項9】
前記遠隔始動の開始後に、前記自動車の変速レバーがP(Parking)状態を外れる場合や、始動ボタンがオン(ON)される場合、または車速が発生する場合には、前記信号処理手段は、前記遠隔始動を終了することを特徴とする請求項6に記載の自動車の遠隔 始動システム。
【請求項10】
前記フォブ(FOB)の認証は、
前記信号処理手段が前記フォブ(FOB)から固有ID信号を受信し、前記受信されたID信号を利用して、前記フォブ(FOB)に対する認証を行うことを特徴とする請求項6に記載の自動車の遠隔始動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の遠隔始動システム及び方法に係り、より詳しくは、自動車の運転者の利便性を確保すると同時に、自動車の盗難を防止することができる自動車の遠隔始動システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遠隔始動とは、自動車のエンジン予熱や車室内を快適な状態にして搭乗するために、使用者が携帯電話機やスマートホンのアプリケーションを利用し、通信サーバーを通して自動車の始動をかけるものであって、これは、自動車のスタート出力する一般始動とは異なる使用者の便宜のための始動システムである。
自動車の始動装置として、スマートキーやドアロック装置リモコン(Remote Keyless Entry、RKE)などの始動装置があるが、このような始動装置は、無線信号を送出する携帯用送信機、自動車の内部に装着されて、携帯用送信機から無線信号を受信する受信機から構成され、受信機は、自動車のドア開閉装置や始動のためのエンジン駆動装置と連通(communicate)する。
【0003】
このような従来の始動装置で自動車の始動をかけると、遠隔始動状態でなく、自動車を運行することができる一般始動状態になるので、自動車の始動がかけられた状態で、運転者以外の他人が自動車を運行することができ、盗難事故につながる恐れがあった。
即ち、遠隔で自動車の始動をかけておいて、運転者が直ちに自動車を運行しないで状態で放置すれば、窃盗者が容易に自動車を盗むことができる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−241359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、遠隔始動によって自動車の運転者の利便性を確保すると同時に、自動車の盗難が防止できる、自動車の遠隔始動システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明の実施例による自動車の遠隔始動方法は、
(a)自動車の遠隔始動が開始される段階、
(b)前記遠隔始動の開始後に、前記自動車のドアが開けられてタイマーが開始される段階、
(c)前記タイマーの開始後に、自動車の運転席ドアが閉止された場合、ブレーキがオン(ON)された場合、何の操作もなく設定された時間が経過した場合に自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行う段階、及び、
(d)前記フォブ(FOB)が認証される場合には、前記遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、前記遠隔始動を終了する段階、
を含み、
前記(a)段階は、外部端末器から伝送された遠隔始動信号をサーバーで中継して、前記自動車のテレマティックスモジュール(TMU)に伝送し、前記テレマティックスモジュールからボディーコントロールモジュール(BCM)を経て信号処理手段に伝送し、遠隔始動が開始され、
前記ボディーコントロールモジュールは、遠隔始動の開始後に、自動車がロック(lock)状態であるか、ロック解除(unlock)状態であるかを判断し、自動車がロック(lock)状態で自動車のドアが開けられる場合には、警告信号を信号処理手段に伝送して、遠隔始動を終了し、ロック解除(unlock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を維持して、前記タイマーは、時間をチェックし、
前記信号処理手段は、タイマーの開始後に、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなく設定された時間が経過すれば、自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行い、フォブ(FOB)が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、遠隔始動を終了することを特徴とする。
【0008】
前記タイマーに設定された時間は、30秒であることを特徴とする。
【0009】
前記遠隔始動の開始後に、前記自動車の変速レバーがP(Parking)状態を外れる場合や、始動ボタンがオン(ON)される場合、または車速が発生する場合には、前記遠隔始動を終了することを特徴とする。
また、前記(b)段階で、前記自動車がロック(lock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を終了することを特徴とする。
【0010】
前記フォブ(FOB)の認証は、前記自動車の信号処理手段が前記フォブ(FOB)から固有ID信号を受信し、前記受信されたID信号を利用して、前記フォブ(FOB)に対する認証を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の実施例による自動車の遠隔始動システムは、
自動車の遠隔始動信号を受信するテレマティックスモジュール(TMU)、
前記自動車の状態を確認して、前記テレマティックスモジュールから前記遠隔始動信号を受信し、この遠隔始動信号が前記自動車に適した信号である場合に、この遠隔始動信号を伝送するボディーコントロールモジュール(BCM)、
前記ボディーコントロールモジュールから伝送された前記遠隔始動信号を受信して、前記自動車の状態をチェックし、正常である場合に、遠隔始動を開始する信号処理手段、及び、
前記遠隔始動の開始後に、自動車のドアが開となれば、時間をチェックするタイマー、を含み、
前記信号処理手段は、
前記タイマーの開始後に、自動車の運転席ドアが閉じられた場合、ブレーキがオン(ON)された場合、または何の操作もなく設定された時間が経過した場合には、前記自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行い、前記フォブ(FOB)が認証される場合には、前記遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、前記遠隔始動を終了し、
前記ボディーコントロールモジュールは、遠隔始動の開始後に、自動車がロック(lock)状態であるか、ロック解除(unlock)状態であるかを判断し、自動車がロック(lock)状態で自動車のドアが開けられる場合には、警告信号を信号処理手段に伝送して、遠隔始動を終了し、ロック解除(unlock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を維持して、前記タイマーは、時間をチェックし、
前記信号処理手段は、タイマーの開始後に、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなく設定された時間が経過すれば、自動車のフォブ(FOB)を検索して、認証を行い、フォブ(FOB)が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、遠隔始動を終了することを特徴とする。
【0012】
前記ボディーコントロールモジュールは、前記遠隔始動の開始後に、前記自動車がロック(lock)状態で前記ドアが開けられれば、警告信号を前記信号処理手段に伝送し、前記信号処理手段は、前記警告信号を受信して、前記遠隔始動を終了することを特徴とする。
【0013】
前記遠隔始動の開始後に、前記自動車の変速レバーがP(Parking)状態を外れる場合や、始動ボタンがオン(ON)される場合、または車速が発生する場合には、前記信号処理手段は、前記遠隔始動を終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による自動車の遠隔始動システム及び方法によれば、自動車の遠隔始動状態で自動車の盗難事故の発生の危険性を減少させることができる。
また、自動車の遠隔始動状態でフォブ(FOB)認証を通過した場合には、遠隔始動から一般始動に自動的に転換されるので、別の始動のための動作が不要となり、運転者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例による自動車の遠隔始動システムの概念図である。
【
図2】本発明の実施例による自動車の遠隔始動システムのブロック図である。
【
図3】本発明の実施例による自動車の遠隔始動方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例による自動車の遠隔始動の開始段階のフローチャートである。
【
図5】本発明の変形された実施例による自動車の遠隔始動方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施例による自動車の遠隔始動システムは、
図1及び
図2に示すように、テレマティックスモジュール(TMU)100、ボディーコントロールモジュール(BCM)200、信号処理手段300、及びタイマー500を含む。
テレマティックスモジュール(TMU)100は、自動車の遠隔始動信号を受信して、これをボディーコントロールモジュール(BCM)200に伝送し、ボディーコントロールモジュール(BCM)200は、自動車の状態を確認して、遠隔始動信号が自動車に適した信号である場合に、信号処理手段300に伝送する。
【0017】
信号処理手段300は、遠隔始動信号を受信して、自動車の状態をチェックし、正常である場合に、遠隔始動を開始し、タイマー500は、遠隔始動の開始後に、自動車のドアが開けられれば、時間をチェックする。
ここで、テレマティックスモジュール(Telematics Module、TMU)100は、通信網に連結され、外部から送信される自動車の遠隔始動信号を中継して、自動車のボディーコントロールモジュール(Body Controll Module、BCM)200に伝送する。
【0018】
即ち、
図2に示す通り、使用者の携帯電話機やスマートホンなどの端末器10から伝送された遠隔始動信号が所定のサーバー20を経てテレマティックスモジュール100に伝送されれば、これを中継して、ボディーコントロールモジュール200に伝送する。
一方、本発明で、遠隔始動は、自動車の予熱や快適な状態での搭乗のために、使用者が携帯電話機やスマートホンのアプリケーションを利用して、通信サーバー20を通して自動車に始動をかけるものであって、自動車のスタート出力を出力する一般始動とは異なる使用者の便宜のための始動として定義される。一般始動は、通常のキーまたはスマートキーなどによって自動車にスタート出力を提供する始動として定義される。
【0019】
一般に、ボディーコントロールモジュール200は、自動車のドアロック、ドアロック解除、トランクオープン、アラーム制御などを統制する役割を有するもので、自動車の多様な状態をチェックし、遠隔始動信号と連係して、自動車に適した遠隔始動信号である場合に限って信号処理手段300に遠隔始動信号を伝送する。
一方、ボディーコントロールモジュール200は、遠隔始動の開始後に、自動車がロック(lock)状態であるか、ロック解除(unlock)状態であるかを判断し、自動車がロック(lock)状態で自動車のドアが開けられる場合には、警告信号を信号処理手段300に伝送して、遠隔始動を終了し、ロック解除(unlock)状態でドアが開けられる場合には、遠隔始動を維持して、前記タイマー500は、時間をチェックする。
【0020】
遠隔始動の開始後に、自動車がロック(lock)状態でドアが開けられるのは、自動車の窃盗である可能性が高いので、このような場合、直ちに遠隔始動を終了することによって、自動車の盗難を防止する効果がある。
信号処理手段300は、ボディーコントロールモジュール200から遠隔始動信号を受信して、自動車の状態をチェックし、自動車が正常な状態である場合に、遠隔始動が開始されるようにするものであって、自動車のスマートキーモジュール(SMK)がこれに該当する。
【0021】
また、信号処理手段300は、タイマー500の開始後に、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなく設定された時間が経過すれば、自動車のフォブ(FOB)400を検索して、認証を行い、フォブ(FOB)400が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、遠隔始動を終了する。
【0022】
自動車の運転席のドアが閉じられる場合や、ブレーキがオン(ON)される場合は、自動車の窃盗である危険性が高いので、直ちにフォブ(FOB)400の検索及び認証を行って、盗難を防止する効果がある。たとえ自動車の窃盗でないとしても、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)される場合は、運転者が自動車を運行しようとする意図をもつとみなされるため、直ちにフォブ(FOB)400を認証して、一般始動状態に転換する。これにより、別に始動をかけなくても、自動車を運行することができるので、運転者の利便性が向上する。
【0023】
そして、自動車の運転席以外のドアが閉じられた場合や、タイマー500の開始後に、何の操作もない場合には、遠隔始動が維持される状態であって、タイマー500は、時間の経過をチェックして、設定された時間が経過すれば、同様にフォブ(FOB)400の検索及び認証を行う。
また、信号処理手段300は、盗難の防止のために、自動車の遠隔始動の開始後に、自動車の変速レバーがP(Parking)状態を外れる場合や、始動ボタンがオン(ON)される場合、または車速が発生する場合には、遠隔始動が終了するように設定することができる。
【0024】
一方、フォブ(FOB)400は、自動車のスマートカ−ドまたはスカートキーと呼ばれ、信号処理手段300などの認証システムと通信を通して自動車のドアの開閉、自動車の始動などを行うためのものであって、通信のための回路、キーレス(KEYLESS)機能、及びイモビライザ−機能などが統合的に備えられている。
フォブ(FOB)400は、実施例として
図1に示す通り、自動車のスマートキーに含まれ、その認証は、自動車の信号処理手段300がフォブ(FOB)400から固有ID信号を受信し、受信されたID信号が当該自動車に適するか否かを判断して行う。
タイマー500は、遠隔始動の開始後に、自動車のドアが開けられれば、予め設定された時間の経過をチェックするものであって、自動車の盗難防止及び運転者の利便性を同時に満たすために、一つまたは多数の実施例で30秒程度にタイマー500の時間を設定するのが好ましい。
【0025】
以下、本実施例による自動車の遠隔始動方法について説明する。
図3に示す通り、本実施例による自動車の遠隔始動方法は、(a)自動車の遠隔始動が開始される段階、(b)自動車のドアが開けられれば、タイマー500が開始される段階、(c)前記タイマー500の開始後に、自動車の運転席のドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなく設定された時間が経過すれば、自動車のフォブ(FOB)400を検索して、認証を行う段階、及び(d)前記フォブ(FOB)400が認証される場合には、前記遠隔始動を一般始動に転換し、認証されない場合には、前記遠隔始動を終了する段階を含んで構成される。
【0026】
(a)段階は、自動車の遠隔始動が開始される段階であって、携帯電話機やスマートホンなどの端末器10から送信された遠隔始動信号が所定の中継サーバー20を経て当該自動車に伝送されることによって、遠隔始動が開始される(S302)。
遠隔始動の開始(S302)段階は、具体的に、
図4に示す通り、自動車のテレマティックスモジュール(TMU)100でサーバー20から伝送された遠隔始動信号を受信し(S401)、これをボディーコントロールモジュール(BCM)200に伝送し(S402)、ボディーコントロールモジュール(BCM)200では、自動車の状態を把握して、遠隔信号が自動車に適した信号である場合に、信号処理手段300に伝送し(S403)、信号処理手段300では、遠隔始動信号を受信して、自動車の状態が正常である場合に、遠隔始動を開始する(S404)。
【0027】
(b)段階は、タイマー500が開始される段階であって、
図3に示すように、遠隔始動の開始後に、自動車のドアが開けられれば(S304)、自動的にタイマー500で設定された時間の経過のチェックを開始する(S306)。この時、自動車の盗難防止及び運転者の便宜のために、一つまたは多数の実施例で、タイマー500の時間は30秒に設定するのが好ましい。
そして、
図3に示すように、(b)段階で、自動車の盗難を防止するために、自動車がロック(lock)状態でドアが開けられる場合には(S308)、直ちに遠隔始動を終了する(S310)ように設定するのが好ましい。
【0028】
ボディーコントロールモジュール200は、自動車がロック(lock)状態であるか否かを判断して、自動車がロック(lock)状態でドアが開けられる場合には、警告信号を信号処理手段300に伝送し、信号処理手段300では、警告信号を受信して、自動車の遠隔始動を終了する(S310)。
(c)段階では、タイマー500の開始後に、自動車の運転席ドアが閉じられたり、ブレーキがオン(ON)されたり、何の操作もなくタイマー500に設定された時間が経過すれば(S312)、自動車のフォブ(FOB)400を検索して、認証を行う(S314)。
フォブ(FOB)400の認証は、自動車の信号処理手段300がフォブ(FOB)400から固有ID信号を受信し、受信されたID信号が当該自動車に適するか否かを判断して行う。
【0029】
(d)段階は、信号処理手段300でフォブ(FOB)400が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換し(S316)、フォブ(FOB)400が認証されない場合には、遠隔始動を終了する(S318)。フォブが認証されない場合は、検索されたフォブ(FOB)400が当該自動車と一致しない場合、及び自動車内でフォブ(FOB)400が全く検索されない場合を含む。
フォブ(FOB)400が認証される場合には、遠隔始動を一般始動に転換して、運転者の便宜を図る効果があり、フォブ(FOB)400が認証されない場合には、遠隔始動が終了されるので、自動車の盗難を防止する効果がある。
【0030】
一方、自動車の盗難をより効果的に防止するために、
図5の変形実施例に示すように、遠隔始動の開始後に、自動車の変速レバーがP(Parking)状態を外れる場合や、始動ボタンがオン(ON)される場合、または車速が発生する場合には(S501)、信号処理手段300で遠隔始動を終了する(S318)ように設定される。
図5では、S501段階がS312段階とS314段階との間に行われると示しているが、これに限定されず、S501段階は、S302段階以降のいかなる段階以降にも多様な形態で行うことができる。
【0031】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0032】
10 端末器
20 サーバー
100 テレマティックスモジュール(TMU)
200 ボディーコントロールモジュール(BCM)
300 信号処理手段
400 フォブ(FOB)
500 タイマー