【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係るパイロットノズルの先端部を表す
図3のI−I断面図、
図2は、実施例1のパイロットノズルの先端部を表す
図3のII−II断面図、
図3は、実施例1のパイロットノズルの先端部を表す正面図、
図4は、実施例1のガスタービンを表す概略構成図、
図5は、実施例1のガスタービン燃焼器を表す概略構成図、
図6は、実施例1のガスタービン燃焼器における要部断面図である。
【0026】
実施例1のガスタービンは、
図4に示すように、圧縮機11と燃焼器(ガスタービン燃焼器)12とタービン13により構成されている。このガスタービンには、図示しない発電機が連結されており、発電可能となっている。
【0027】
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口20を有し、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配設されると共に、複数の静翼23と動翼24が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と動翼28が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されている。このタービン車室26の下流側には、排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連続する排気ディフューザ31を有している。
【0028】
また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室30の中心部を貫通するようにロータ(回転軸)32が位置している。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持される一方、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定され、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、排気室30側の端部に図示しない発電機の駆動軸が連結されている。
【0029】
そして、このガスタービンは、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
【0030】
従って、圧縮機11の空気取入口20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された作動流体である高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。一方、排気ガス(燃焼ガス)のエネルギは、排気室30の排気ディフューザ31により圧力に変換され減速されてから大気に放出される。
【0031】
上述した燃焼器12において、
図5に示すように、燃焼器外筒41は、内側に所定間隔をあけて燃焼器内筒(燃焼筒)42が配置され、この燃焼器内筒42の先端部に燃焼器尾筒(燃焼筒)43が連結されて燃焼器ケーシングが構成されている。燃焼器内筒42は、内部の中心部に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置されると共に、燃焼器内筒42の内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ44を取り囲むように複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。また、燃焼器尾筒43はバイパス管46が連結されており、このバイパス管46にバイパス弁47が設けられている。
【0032】
詳細に説明すると、
図6に示すように、燃焼器外筒41は、外筒本体51の基端部に外筒蓋部52が密着し、複数の締結ボルト53により締結されている。また、燃焼器外筒41は、外筒蓋部52の内側にトップハット部54が嵌合し、複数の締結ボルト55により締結されている。燃焼器内筒42は、燃焼器外筒41の内側に所定の間隔をあけて配置されており、トップハット部54の内面と燃焼器内筒42の外面との間に円筒形状をなす空気通路56が形成されている。そして、空気通路56は、一端部が圧縮機で圧縮された圧縮空気の供給通路57に連通し、他端部が燃焼器内筒42のおける基端部側に連通している。この燃焼器内筒42は、基端部側に拡径部42aが形成されることで、空気通路56は、ベルマウス形状をなしている。
【0033】
燃焼器内筒42は、中心部に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置され、その周囲に複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。パイロット燃焼バーナ44は、燃焼器内筒42に支持されたパイロットコーン58と、パイロットコーン58の内部に配置されたパイロットノズル59と、パイロットノズル59の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)60とから構成されている。また、メイン燃焼バーナ45は、バーナ筒61と、バーナ筒61の内部に配置されたメインノズル62と、メインノズル62の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)63とから構成されている。
【0034】
そして、トップハット部54は、燃料ポート64,65が設けられている。そして、図示しないパイロット燃料ラインがパイロットノズル59の燃料ポート64に連結され、図示しないメイン燃焼ラインが各メインノズル62の燃料ポート65に連結されている。
【0035】
従って、
図5及び
図6に示すように、高温・高圧の圧縮空気は、供給通路57から空気通路56に流れ込み、この空気通路56から燃焼器内筒42内に流れ込む。そして、この燃焼器内筒42内にて、圧縮空気がメイン燃焼バーナ45から噴射された燃料と混合し、予混合気の旋回流となって燃焼器尾筒43内に流れ込む。また、燃焼器内筒42内にて、圧縮空気がパイロット燃焼バーナ44から噴射された燃料と混合し、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスとなって燃焼器尾筒43内に噴出する。このとき、燃焼ガスの一部が燃焼器尾筒43内に火炎を伴って周囲に拡散するように噴出することで、各メイン燃焼バーナ45から燃焼器尾筒43内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。即ち、パイロット燃焼バーナ44から噴射されたパイロット燃料による拡散火炎により、メイン燃焼バーナ45からの希薄予混合燃料の安定燃焼を行うための保炎を行うことができる。
【0036】
ここで、実施例1のパイロットノズル59について詳細に説明する。このパイロットノズル59の先端部において、
図1から
図3に示すように、ノズル本体71は、中空円筒形状をなし、内部に燃料と圧縮空気との混合気(パイロット燃料)が先端側に向けて流れる燃料通路72が形成されており、この燃料通路72は、基端部側が燃料ポート64(
図6参照)に連通する一方、先端部側が閉塞されている。そして、ノズル本体71は、外側に円筒形状をなすスリーブ73が同心上に配置されている。
【0037】
このノズル本体71は、円筒部71aと、この円筒部71aの先端部からその内側に向って所定角度をもって屈曲傾斜する円錐部71bと、この円錐部71bの先端部を閉塞する円盤部71cを有している。スリーブ73は、燃料通路72の外側に位置して複数の第1空気通路74が周方向に所定間隔(均等間隔)をあけて設けられると共に、この複数の第1空気通路74の外側に複数の第2空気通路75が周方向に所定間隔(均等間隔)をあけて設けられている。そして、第2空気通路75は、先端部側に旋回翼(スワラーベーン)76が設けられている。
【0038】
そして、複数の第1空気通路74は、基端部が空気供給通路77を介して空気供給源78に連結され、空気供給通路77に流量調整弁(空気量調整装置)79が設けられている。そして、複数の第1空気通路74は、先端部の噴射開口(第1空気噴射ノズル)74aがノズル本体71の円錐部71b内側に開放されている。そのため、第1空気通路74に供給された圧縮空気を噴射開口74aからノズル本体71の前方の内側に向かって噴出することができる。この場合、空気供給源78は、例えば、タービン車室26(
図4参照)であり、このタービン車室26から抽気した圧縮空気が空気供給通路77を介して各第1空気通路74に送られる。
【0039】
また、複数の第2空気通路75は、基端部が空気通路56(
図6参照)に連通する一方、先端部の噴射開口(第2空気噴射ノズル)75aがノズル本体71の円錐部71b外側に開放されている。そのため、第2空気通路75に供給された圧縮空気を噴射開口75aからノズル本体71の前方の外側に向かって噴出することができる。
【0040】
ノズル本体71は、円錐部71bに複数のノズルチップ80が周方向に所定間隔(均等間隔)をあけて固定されている。そして、ノズル本体71は、円錐部71bから各ノズルチップ80を貫通するように複数の燃料噴射ノズル81が設けられており、この各燃料噴射ノズル81は、基端部が燃料通路72に連通し、先端部が燃焼器内筒42内に開放されている。
【0041】
そのため、パイロットノズル59は、ノズル本体71の先端部に周方向に所定間隔をあけて複数のノズルチップ80を装着すると共に、燃料通路72と連通する燃料噴射ノズル81を形成することで、ノズル本体71の前方に燃料を噴射可能となっている。また、パイロットノズル59は、ノズル本体71の外側にスリーブ73を配置すると共に、複数の第1空気通路74を周方向に所定間隔をあけて設けることで、ノズル本体71の前方であって、燃料噴射ノズル81からの噴射燃料の外側に向けて空気を噴射可能となっている。更に、パイロットノズル59は、複数の第2空気通路75を周方向に所定間隔をあけて設けると共に、噴射開口74aがノズル本体71内側に向けられることで、ノズル本体71の前方であって、燃料噴射ノズル81からの噴射燃料の内側に向けて空気を噴射可能となっている。
【0042】
上述したように、第1空気通路74は、基端部が空気供給通路77を介して空気供給源78に連結され、空気供給通路77に流量調整弁79が設けられている。制御装置91は、この流量調整弁79をガスタービンの運転状態に応じて制御することで、空気供給通路77から第1空気通路74を介して噴射開口74aから噴射される空気量を調整することができる。即ち、制御装置91は、ガスタービンの運転状態に応じて流量調整弁79の開度を大きくすることで、噴射開口74aから燃焼器内筒42に噴射する空気噴射量を増加させることができる。また、制御装置91は、ガスタービンの運転状態に応じて流量調整弁79の開度を小さくすることで、噴射開口74aから燃焼器内筒42に噴射する空気噴射量を減少させることができる。
【0043】
本実施例では、ノズル本体71の先端部にその温度を計測する温度センサ(温度計測推定装置)92が設けられている。制御装置91は、この温度センサ92により計測された温度の上昇に伴って、流量調整弁79の開度を大きくして噴射開口74aから燃焼器内筒42へ噴射される空気噴射量を増加させる。一方、制御装置91は、この温度センサ92により計測された温度の低下に伴って、流量調整弁79の開度を小さくして噴射開口74aから燃焼器内筒42へ噴射される空気噴射量を減少させる。この場合、ノズル本体71が焼損を受けにくい適正温度領域が設定されており、制御装置91は、温度センサ92による計測温度がこの適正温度領域より上昇したら、流量調整弁79の開度を大きく変更する一方、計測温度が適正温度領域より低下したら、流量調整弁79の開度を小さく変更する。
【0044】
また、ノズル本体71の先端部にその温度を計測する温度センサ92を設けずに、ガスタービンの運転状態に対応する各種のパラメータに基づいてノズル本体71の先端部の温度を推定するようにしてもよい。制御装置91は、常時、ガスタービン運転データ93が入力されており、例えば、負荷、燃料量(メイン燃料量、パイロット燃料量)、空気量、タービン回転数などに基づいてノズル本体71の先端部の温度を推定することができる。
【0045】
また、制御装置91は、燃料噴射ノズル81からのパイロット燃料噴射量の増加に伴って、流量調整弁79の開度を大きくして噴射開口74aから燃焼器内筒42へ噴射される空気噴射量を増加させる。一方、制御装置91は、パイロット燃料噴射量の低下に伴って、流量調整弁79の開度を小さくして噴射開口74aから燃焼器内筒42へ噴射される空気噴射量を減少させる。この場合、ノズル本体71が焼損を受けにくい適正パイロット燃料噴射量が設定されており、制御装置91は、パイロット燃料噴射量がこの適正パイロット燃料噴射量領域より増加したら、流量調整弁79の開度を大きく変更する一方、パイロット燃料噴射量が適正パイロット燃料噴射量領域より減少したら、流量調整弁79の開度を小さく変更する。
【0046】
なお、制御装置91が流量調整弁79の開度を調整するパラメータは、ノズル本体71の先端部の温度やパイロット燃料噴射量に限るものではない。例えば、ガスタービン運転データ93としての負荷、メイン燃料とパイロット燃料との燃料比率、タービン回転数などとしてもよい。
【0047】
以下、実施例1のパイロット燃焼バーナ44(パイロットノズル59)の作用について説明する。
【0048】
パイロットノズル59にて、
図1から
図3に示すように、燃料噴射ノズル81から噴射された混合気(燃料)Fは、図示しない種火により着火されて燃焼し、高温の燃焼ガスとなって火炎を伴って周囲に拡散するように噴出する。一方、第1空気通路74を通る空気は、混合気Fの内側に冷却空気A1として噴射されることとなり、この冷却空気A1により燃料噴射ノズル81が冷却される。また、第2空気通路75を通る空気は、旋回翼76により旋回流となり、混合気Fの外側に冷却空気A2として噴射される。
【0049】
このとき、温度センサ92がノズル本体71の先端部の温度を計測し、計測結果を制御装置91に出力している。そのため、制御装置91は、温度センサ92により計測された温度に応じて流量調整弁79の開度を調整し、噴射開口74aから燃焼器内筒42へ噴射される空気噴射量を調整する。即ち、制御装置91は、温度センサ92による計測温度が適正温度領域より上昇したら、流量調整弁79の開度を大きく変更する一方、計測温度が適正温度領域より低下したら、流量調整弁79の開度を小さく変更する。
【0050】
そのため、ノズル本体71の先端部の温度が高くなったら、第1空気通路74から噴射される冷却空気A1の噴射量を増加することで、この増加した冷却空気A1によりノズル本体71の前方に発生する燃焼場の位置を遠ざけることができる。その結果、燃焼場による燃料噴射ノズル81の焼損が抑制される。
【0051】
このように実施例1のパイロットノズルにあっては、ノズル本体71と、ノズル本体71の先端部に周方向に所定間隔をあけて設けられて燃料を噴射可能な複数の燃料噴射ノズル81と、ノズル本体71の先端部に燃料噴射ノズル81より内側に周方向に所定間隔をあけて設けられて空気を噴射可能な複数の第1空気通路74と、ノズル本体71の先端部に燃料噴射ノズル81より外側に周方向に所定間隔をあけて設けられて空気を噴射可能な複数の第2空気通路75と、第1空気通路74から噴射される空気量を調整可能な流量調整弁79とを設けている。
【0052】
従って、燃料噴射ノズル81が燃料を噴射し、第1空気通路74が噴射燃料より内側に空気を噴射し、第2空気通路75が噴射燃料より外側に空気を噴射する。そのため、燃料噴射ノズル81は、第1空気通路74からの空気により適正に冷却される。このとき、流量調整弁79が第1空気通路74から噴射される空気量を調整するため、ノズル本体71の近傍の温度上昇を抑制することができ、その結果、燃料噴射ノズル81への煤の堆積や損傷を抑制することができる。
【0053】
実施例1のパイロットノズルでは、流量調整弁79を制御可能な制御装置91が設けられ、制御装置91は、燃料噴射ノズル81からの燃料噴射量の増加に伴って流量調整弁79により空気噴射量を増加させている。従って、ノズル本体71の前方に形成される燃焼場の接近を抑制することができ、燃料噴射ノズル81の温度上昇を抑制することができる。
【0054】
実施例1のパイロットノズルでは、流量調整弁79を制御可能な制御装置91と、ノズル本体71の先端部の温度を計測する温度センサ92が設けられ、制御装置91は、温度センサ92により計測された温度の上昇に伴って流量調整弁79により空気噴射量を増加させている。従って、ノズル本体71の前方に形成される燃焼場の接近を抑制することができ、燃料噴射ノズル81の温度上昇を抑制することができる。
【0055】
実施例1のガスタービン燃焼器及びガスタービンにあっては、高圧空気と燃料とが内部で燃焼して燃焼ガスを発生させる燃焼器内筒42及燃焼器尾筒43と、その中央部に配置されるパイロット燃焼バーナ44と、パイロット燃焼バーナ44を取り囲むように配置される複数のメイン燃焼バーナ45とを有して構成している。従って、パイロット燃焼バーナ44にて、燃料噴射ノズル81が燃料を噴射し、第1空気通路74が噴射燃料より内側に空気を噴射し、第2空気通路75が噴射燃料より外側に空気を噴射する。そのため、燃料噴射ノズル81は、第1空気通路74からの空気により適正に冷却される。このとき、流量調整弁79が第1空気通路74から噴射される空気量を調整するため、ノズル本体71の近傍の温度上昇を抑制することができ、その結果、燃料噴射ノズル81の損傷を抑制することができ、安定した燃焼を可能としてタービン効率を向上することができる。
【実施例3】
【0062】
図8は、本発明の実施例3に係るパイロットノズルの先端部を表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
実施例3において、
図8に示すように、ノズル本体71は、内部に燃料と圧縮空気との混合気(パイロット燃料)が先端側に向けて流れる燃料通路72が形成されている。また、ノズル本体71は、外側に円筒形状をなすスリーブ73が配置されており、スリーブ73は、燃料通路72の外側に位置して複数の第1空気通路74が周方向に所定間隔をあけて設けられると共に、この複数の第1空気通路74の外側に複数の第2空気通路75が周方向に所定間隔をあけて設けられている。
【0064】
また、ノズル本体71は、先端部に複数のノズルチップ80が周方向に所定間隔をあけて固定され、各ノズルチップ80を貫通するように複数の燃料噴射ノズル81が設けられ、各燃料噴射ノズル81は、基端部が燃料通路72に連通し、先端部が燃焼器内筒42内に開放されている。一方、複数の第1空気通路74は、先端部に複数の噴射開口74aが形成され、複数の第2空気通路75は、先端部に複数の噴射開口75aが形成されている。
【0065】
そして、複数の第1空気通路74は、基端部が空気供給通路77を介して空気供給源78に連結され、空気供給通路77に流量調整弁79が設けられている。また、複数の第1空気通路74(空気供給通路77)は、燃料供給通路(燃料付与装置)111を介して燃料供給源112に連結され、燃料供給通路111に流量調整弁(燃料量調整装置)113が設けられている。
【0066】
制御装置91は、この流量調整弁113をガスタービンの運転状態に応じて制御することで、空気供給通路77から第1空気通路74を介して噴射開口74aから噴射される空気に対して燃料を付与することができると共に、その燃料付与量を調整することができる。即ち、制御装置91は、ガスタービンの運転状態に応じて流量調整弁113の開度を大きくすることで、噴射開口74aから燃焼器内筒42に噴射する空気噴射量に対する燃料量を増加させることができる。また、制御装置91は、ガスタービンの運転状態に応じて流量調整弁113の開度を小さくすることで、噴射開口74aから燃焼器内筒42に噴射する空気噴射量に対する燃料量を減少させることができる。
【0067】
従って、燃料噴射ノズル81から噴射された混合気(燃料)Fは、図示しない種火により着火されて燃焼し、高温の燃焼ガスとなって火炎を伴って周囲に拡散するように噴出する。一方、第1空気通路74を通る空気は、混合気Fの内側に冷却空気A1として噴射されることとなり、この冷却空気A1により燃料噴射ノズル81が冷却される。また、第2空気通路75を通る空気は、旋回翼76により旋回流となり、混合気Fの外側に冷却空気A2として噴射される。
【0068】
このとき、制御装置91は、ガスタービンの運転状態に応じて流量調整弁113の開度を調整することで、噴射開口74aから燃焼器内筒42に噴射する空気噴射量に対する燃料量を増減することで、第1空気通路74から混合気Fの内側に噴射された冷却空気A1は、燃料噴射ノズル81を冷却した後、混合気と混合して燃焼することとなり、この燃焼を安定させることができる。
【0069】
このように実施例3のパイロットノズルにあっては、第1空気通路74から噴射される空気に燃料を付与する燃料供給通路111を設けている。従って、第1空気通路74から噴射される空気は、燃料供給通路111からの燃料が付与されるため、燃焼場での燃焼を安定させることができる。
【0070】
なお、上述した実施例にて、空気量調整装置を流量調整弁79としたが、この構成に限定されるものではなく、例えば、オリフィスなどであってもよい。また、空気供給源78をタービン車室26とし、このタービン車室26から抽気した圧縮空気を空気供給通路77から第1空気通路74に送るように構成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、圧縮機12からの圧縮空気であってもよい。
【0071】
また、上述した各実施例にて、燃料は、天然ガスに限らず、油であってもよく、燃料として油を適用した場合であっても、第1空気通路74から噴射される空気により燃焼場の位置を調整し、燃焼を安定させることができる。
【0072】
また、上述した実施例では、本発明のノズルをパイロットノズルに適用して説明したが、この構成に限らず、燃料噴射ノズルと2個の空気噴射ノズルを有するものであれば、いずれのノズルにも適用することができる。