(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297267
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】車両の回生ブレーキ装置を運転するための方法および車両の回生ブレーキ装置のための操作装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
B60T8/17 C
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-116640(P2013-116640)
(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公開番号】特開2013-252850(P2013-252850A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】10 2012 209 522.5
(32)【優先日】2012年6月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シュトレンゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クンツ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ドゥロットレフ
【審査官】
谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−196064(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/128652(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0038208(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0122579(US,A1)
【文献】
特開2007−288905(JP,A)
【文献】
特開2007−288904(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0241611(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0118887(US,A1)
【文献】
特開2010−047201(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0187901(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の回生ブレーキ装置を運転するための操作装置による方法であって、
前記操作装置が、
ブレーキ装置のジェネレータのジェネレータブレーキトルク(M_gen)がゼロに等しくなく、しかも車両の運転者および/または自動速度制御装置によってプリセットされた目標全ブレーキトルクの第1のブレーキモードのためにプリセットされた第1の回生部分に等しい第1のブレーキモードでブレーキ装置を運転するステップと、
前記ブレーキ装置を前記第1のブレーキモードから前記第1の回生部分よりも小さい第2の回生部分を有する第2のブレーキモードへ制御し、このために前記ブレーキ装置のブレーキ液圧送装置をブレーキ液が制御された前記ブレーキ液圧送装置によって前記ブレーキ装置のリザーバからホイールブレーキシリンダへおよび/または前記ブレーキ装置のブレーキ回路へポンプ供給されるように制御するステップと
を有している方法において、
前記ブレーキ液圧送装置を時間的に増大する目標圧力上昇を有する目標ブレーキ圧(p_soll)のために設定またはプリセットされた目標圧送量値(n_soll)によって制御するステップと、
制御された前記ブレーキ液圧送装置によって、時間的に増大する実際圧力上昇を有する実際ブレーキ圧(p_ist)を前記ホイールブレーキシリンダおよび/または前記ブレーキ回路内に形成するステップとを有しており、
時間的に一定な目標回転数(n_soll)および/または時間的に一定な運転電流を目標圧送量値(n_soll)として、前記ブレーキ液圧送装置としてのポンプに供給する
ことを特徴とする車両の回生ブレーキ装置を運転するための方法。
【請求項2】
設定またはプリセットされた前記目標圧送量値(n_soll)による前記ブレーキ液圧送装置を制御する場合、
目標全ブレーキトルクを考慮し、かつ前記ホイールブレーキシリンダおよび/または前記ブレーキ回路内で形成された液圧的なブレーキ圧に関連した値を考慮して前記ジェネレータの目標ジェネレータブレーキトルクを設定し、それに応じて前記ジェネレータのジェネレータブレーキトルク(M_gen)を調節する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初期回転数から出発して時間的に一次関数的に目標回転数まで上昇する目標回転数(n_soll)および/または初期運転電流から出発して時間的に一次関数的に目標運転電流まで上昇する運転電流を目標圧送量値(n_soll)として、前記ブレーキ液圧送装置としてのポンプに供給する
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
設定またはプリセットされた前記目標圧送量値(n_soll)による少なくとも1つの前記ブレーキ液圧送装置の制御中に、前記ジェネレータのジェネレータブレーキトルク(M_gen)を、勾配が時間的に増大する、設定またはプリセットされた負の勾配で減少させる
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
設定またはプリセットされた前記目標圧送量値(n_soll)による少なくとも1つの前記ブレーキ液圧送装置の制御中に、前記ジェネレータのジェネレータブレーキトルク(M_gen)を、勾配が時間的に増大する負の勾配で、前記ジェネレータブレーキトルク(M_gen)の時間的な変化が逆行的に減少するブレーキトルクグラフ(M_gen)に相当するように、減少させる
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上昇する圧力上昇グラフ(p_soll)に相当する前記目標圧送量値(n_soll)を、時間的に増大する目標圧力上昇を有する目標ブレーキ圧(p_soll)として設定またはプリセットする
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレーキ装置を、前記第1の回生部分が100%に等しい前記第1のブレーキモードとしての全回生ブレーキモードで運転する
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレーキ装置の、前記第1の運転モードから前記第2の運転モードへの制御中に、前記ジェネレータブレーキトルク(M_gen)をゼロに減少させ、次いで前記ブレーキ装置を、前記第2の回生部分が0%に等しい前記第2のブレーキモードとしての全液圧ブレーキモードで運転する
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
車両の回生ブレーキ装置のための操作装置(10)であって、
制御装置(12)を有しており、
該制御装置(12)によってジェネレータ制御信号(14)がブレーキ装置のジェネレータにアウトプット可能、かつブレーキ液圧送装置制御信号(16)がブレーキ装置のブレーキ液圧送装置にアウトプット可能であり、それによって、前記ブレーキ装置が第1のブレーキモードに制御可能であり、
該第1のブレーキモードにおいて、
前記ジェネレータ制御信号(14)によってジェネレータのジェネレータブレーキトルク(M_gen)がゼロに等しくなく、しかも車両の運転者および/または自動速度制御装置によってプリセットされた目標全ブレーキトルクの、前記第1のブレーキモードのためにプリセットされた第1の回生部分に等しくなるように調節可能であって、
前記ブレーキ装置が、
前記第1のブレーキモードから前記第1の回生部分より小さい第2の回生部分を有する第2のブレーキモードへ制御可能であり、このために前記ブレーキ液圧送装置がブレーキ液圧送装置制御信号(16)によって制御され、それによってブレーキ液が前記ブレーキ液圧送装置によって前記ブレーキ装置のリザーバからホイールシリンダへおよび/またはブレーキ装置のブレーキ回路へポンプ供給可能である車両の回生ブレーキ装置のための操作装置(10)において、
前記ブレーキ液圧送装置制御信号(16)によって、時間的に増大する目標圧力上昇を有する目標ブレーキ圧(p_soll)のために設定またはプリセットされた目標圧送量値(n_soll)が、前記ブレーキ液圧送装置にアウトプット可能であり、したがって前記ブレーキ液圧送装置制御信号(16)によって制御された前記ブレーキ液圧送装置によって、時間的に増大する実際圧力上昇を有する実際ブレーキ圧(p_ist)が前記ホイールブレーキシリンダ内および/または前記ブレーキ回路内に形成可能であり、
時間的に一定な目標回転数(n_soll)および/または時間的に一定な運転電流を目標圧送量値(n_soll)として、前記ブレーキ液圧送装置としてのポンプに供給する
ことを特徴とする車両の回生ブレーキ装置のための操作装置(10)。
【請求項10】
設定またはプリセットされた前記目標圧送量値(n_soll)による前記ブレーキ液圧送装置の制御中に、前記ジェネレータの目標ジェネレータブレーキトルクが、前記目標全ブレーキトルクを考慮し、かつ前記ホイールブレーキシリンダ内および/または前記ブレーキ回路内に形成された液圧のブレーキ圧を考慮して設定可能であり、前記ジェネレータ制御信号(14)によって前記ジェネレータブレーキトルク(M_gen)が、設定された前記目標ジェネレータブレーキトルクに応じて調節可能である
請求項9に記載の操作装置(10)。
【請求項11】
前記ブレーキ液圧送装置制御信号(16)によって、時間的に一定な目標回転数(n_soll)および/または時間的に一定な運転電流が目標圧送量値(n_soll)として、少なくとも1つの前記ブレーキ液圧送装置としてのポンプにアウトプット可能である
請求項9又は10に記載の操作装置(10)。
【請求項12】
前記ブレーキ液圧送装置制御信号(16)によって、初期回転数から出発して時間的に一次関数的に目標回転数まで上昇する目標回転数(n_soll)および/または初期運転電流から出発して時間的に一次関数的に目標運転電流まで上昇する運転電流が目標圧送量値(n_soll)として、前記ブレーキ液圧送装置としてのポンプにアウトプット可能である
請求項9又は10に記載の操作装置(10)。
【請求項13】
設定またはプリセットされた前記目標圧送量値(n_soll)による前記ブレーキ液圧送装置の制御中に、前記ジェネレータブレーキトルク(M_gen)が、勾配が時間的に増大する、設定またはプリセットされた負の勾配で減少可能となるように、前記ジェネレータが前記ジェネレータ制御信号(14)によって制御可能である
請求項9〜12のいずれか1項に記載の操作装置(10)。
【請求項14】
車両のための回生ブレーキ装置において、請求項9〜13のいずれか1項に記載の操作装置(10)を有する
ことを特徴とする車両のための回生ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の回生ブレーキ装置を運転するための方法に関する。また本発明は、車両の回生ブレーキ装置のための操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジェネレータを装備することができる車両のためのブレーキ装置について記載されている。
図1は、ジェネレータを備えたこのような形式のブレーキ装置の従来の運転形式を説明するための座標系を示す。
図1の座標系の横座標は時間軸tである。
【0003】
時点t0′から、従来の運転形式にしたがって制動された車両の運転者が、ブレーキ操作エレメント例えばブレーキペダルを操作する。したがって、ブレーキ操作エレメントにより移動されるブレーキ操作ストロークs(mm)は、初期ブレーキ操作ストロークs0から出発して時点t0′から増大する。初期ブレーキ操作ストロークs0は例えばゼロに等しい。
【0004】
時点t0′と時点t1′との間(時間間隔A′)で、まず初期速度v0に等しい車両速度v(m/s)で走行する車両は、純粋・回生ブレーキによって制動される。このために、時点t0′と時点t1′との間で、初期ブレーキ操作ストロークs0に等しくないブレーキ操作ストロークsにも拘わらず、車両の少なくとも1つのブレーキ回路内でのブレーキ圧上昇は阻止される。これは例えば、マスタブレーキシリンダから移送されたブレーキ液を少なくとも1つのリザーバ内に一時貯蔵することによって行われる。しかも、ジェネレータは、時点t0′と時点t1′との間で、ゼロに等しくない(好適にはブレーキ操作ストロークsに相当する)ジェネレータ・ブレーキトルクM_gen(Nm)が車両の少なくとも1つのホイールに加えられるように、制御される。
【0005】
もちろん、ジェネレータを保護するために、一般的に、加えられたジェネレータ・ブレーキトルクM_genを、車両停止状態の前にゼロに減少させる必要がある。このために、
図1に示されたブレーキ装置の従来の運転形式において、時点t1′と時点t2′との間(時間間隔B′)で、ジェネレータに時間的に(ほぼ)一次関数的に減少する(図示していない)目標・ジェネレータ・ブレーキトルクがプリセットされる。ジェネレータ・ブレーキトルクM_genの減少に基づいて省略されたジェネレータの制動作用を補うために、時点t1′と時点t2′との間に(ほぼ)一次関数的に上昇する目標・ブレーキ圧/目標圧p_soll(bar)(初期ブレーキ圧p0から出発して)が、ブレーキ装置の少なくとも1つのブレーキ回路および/または少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内に形成されなければならない。このために一般的な形式で少なくとも1つのポンプが使用され、このポンプによって、時点t1′と時点t2′との間にブレーキ液がブレーキ装置の少なくとも1つのリザーバから少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内へおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路内へポンプ供給される。
【0006】
少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内および/または少なくとも1つのブレーキ回路内でのブレーキ圧上昇の開始時に、まず液圧式のブレーキ装置のデッドボリュームを頻繁に克服しなければならない。しかも、ブレーキ装置は、少なくとも1つのブレーキ回路内に比較的低いブレーキ圧が存在する場合、しばしば比較的高い弾性を有している。したがって、ブレーキ装置内でのブレーキ圧上昇の開始時において、一般的に圧力増大に対して比較的大きいブレーキ液体積を、少なくとも1つのブレーキ回路内および/または少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内へ移送/ポンプ供給する必要がある。
【0007】
プリセットされた目標・ブレーキ圧/目標圧p_sollに相当する実際・ブレーキ圧p_ist(bar)を生ぜしめるために、少なくとも1つのポンプが、ブレーキ圧上昇の開始段階が存在する、時点t1′と時点t2′との間で、比較的大きいブレーキ液体積を少なくとも1つのブレーキ回路内へおよび/または少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内へポンプ供給する必要がある。
図1で分かるように、これによって比較的大きい目標・回転数n_soll(1/分)が少なくとも1つのポンプによって実行されて、目標・ブレーキ圧p_sollに近づけられた実際・ブレーキ圧p_istが少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内および/または少なくとも1つのブレーキ回路内で生ぜしめられる。時点t1a′と時点t1b′との間においても、少なくとも1つのポンプによって実行しようとする目標・回転数n_sollは比較的大きい。目標・回転数n_solは、例えば時点t1′と時点t1a′との間および/または時点t1a′と時点t1b′との間で、1000回転/分以上、特に1500回転/分以上である。このことはつまり、少なくとも1つのポンプのためのポンプ出力が比較的大きいということである。ブレーキ装置の体積・圧力特性曲線の一次関数的な範囲が得られる、時点t1b′とt2′との間で初めて、目標・回転数n_sollは定常の値に減衰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102009001401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、車両の回生ブレーキ装置を運転するための改良された方法、および車両の回生ブレーキ装置のための改良された操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、請求項1に記載した特徴を有する車両の回生ブレーキ装置を運転するための方法、請求項10に記載した特徴を有する車両の回生ブレーキ装置のための操作装置、並びに請求項15に記載した特徴を有する車両のための回生ブレーキ装置が提供されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ブレーキ装置を第1のブレーキモードから第2のブレーキモードへ操作する際に、省略されたジェネレータ・制動作用を補正するために、比較的低い圧送回転数を有する少なくとも1つのブレーキ液圧送装置を作動させるだけで、少なくとも1つのブレーキ回路および/または少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内のブレーキ圧を上昇させることができる。比較的低い圧送回転数例えば低いポンプ回転数を有する少なくとも1つのブレーキ液圧送装置を作動させることに基づいて、低騒音および低振動の圧力上昇が実現可能である。これによって、圧力上昇中にブレーキ液圧送装置の騒音負荷および/または振動負荷を遮断するために、搭乗者を遮蔽するための防音手段を車両に設ける必要はない。さらに、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置の実行された圧送回転数は、本発明によれば、遮断された/低い騒音に関連して、また所望の高い動力学的要求および効果要求に関連して、最適化される。
【0012】
しかも本発明によって実行可能な、少なくとも1つのブレーキ回路/ホイールブレーキシリンダ内における実際・ブレーキ圧は、比較短い時間間隔内で実行可能であるので、純粋な回生ブレーキ段階を中断する時点を延期することができる。本発明によって実行可能な、車両の比較的長い回生制動によって、有利にも高い回生効果が得られる。
【0013】
以下に詳しく記載されているように、本発明によれば、均一な減速経過も実現可能である。特に回生減速は、優勢的な液圧減速に応じて調整することができる。
【0014】
本発明による方法の好適な実施態様によれば、設定またはプリセットされた目標・圧送量値による少なくとも1つの前記ブレーキ液圧送装置の制御中に、ジェネレータの目標・ジェネレータ・ブレーキトルクが、目標・全ブレーキトルクを考慮し、かつ少なくとも1つのホイールブレーキシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路内で形成された液圧的なブレーキ圧に関連した値を考慮して設定される。次いで、それに応じてジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクが調節される。これによって、運転されたブレーキ装置の液圧式の構成要素の特性に対して高いダイナミックスおよびジェネレータの良好な調節可能性を、目標・全ブレーキトルクを確実に維持するために利用することができる。特にこのような形式で、比較的低いポンプ回転数、特に一定な低いポンプ回転数で、省略されたジェネレータ・制動作用を所望に消費するために、少なくとも1つのブレーキ回路内および/または少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内で液圧を体積的に増大させることができる。この場合、ジェネレータは簡単な形式で、既に形成されているブレーキ圧に応じて若しくはこのような形式で作用する液圧のブレーキトルクに応じてジェネレータ・ブレーキトルクが減少されるように、制御/調整される。
【0015】
例えば、時間的に一定な目標・回転数および/または時間的に一定な運転電流が、目標・圧送量値として、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置としての少なくとも1つのポンプに供給される。これによって、本発明は、特に、このために克服すべきエアギャップ/公差が存在するにも拘わらず、またブレーキ圧上昇の開始時におけるブレーキ装置の高い弾性にも拘わらず、一定なポンプ回転数を有する少なくとも1つのポンプを作動させることによって、有利な実際・ブレーキ圧を形成することができる。この場合、一定に維持することができるポンプ回転数は、騒音/振動の発生が確実に遮断されるように設定することができる。
【0016】
選択的な実施態様として、初期・回転数から出発して時間的に一次関数的に目標・回転数まで上昇する目標・回転数および/または初期・運転電流から出発して時間的に一次関数的に目標・運転電流まで上昇する運転電流を、目標・圧送量値として、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置としての少なくとも1つのポンプに供給するようにしてもよい。これによって、省略されたジェネレータ・制動作用を消費するための所望の実際・ブレーキ圧を得るために、始動時において最適化された制御プロフィールを少なくとも1つのポンプによって実行/模倣することもできる。
【0017】
好適な形式で、設定またはプリセットされた目標・圧送量値による少なくとも1つのブレーキ液圧送装置の制御中に、ジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクは、勾配が時間的に増大する、設定またはプリセットされた負の勾配で減少せしめられる。これによって、ジェネレータ・ブレーキトルクの時間的な減少は、実行された実際ブレーキ圧によって生ぜしめられた、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダの液圧のブレーキトルクの時間的な上昇に、好適に適合される。
【0018】
好適な実施態様によれば、設定またはプリセットされた目標・圧送量値による少なくとも1つのブレーキ液圧送装置の制御中に、ジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクが、勾配が時間的に増大する負の勾配で、ジェネレータ・ブレーキトルクの時間的な変化が逆行的に減少するブレーキトルク・グラフに相当するように、減少せしめられる。さらに、プログレッシブに上昇する圧力上昇・グラフに相当する目標・圧送量値は、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧として設定またはプリセットされる。これによって、実際・ブレーキ圧の時間的な増大と、ジェネレータ・ブレーキトルクの時間的な減少とは、容易に実行可能な方法ステップによって、好適な形式で互いに適合せしめられる。これによって、消費が実行されたにも拘わらず、プリセットされた目標・全ブレーキトルクを確実に維持することが保証される。
【0019】
例えば、このブレーキ装置は、第1の回生・部分が100%に等しい第1のブレーキモードとしての全・回生ブレーキモードで運転することができる。さらに、ブレーキ装置の、第1の運転モードから第2の運転モードへの制御中に、前記ジェネレータ・ブレーキトルクはゼロに減少され、次いで前記ブレーキ装置は、第2の回生・部分が0%に等しい第2のブレーキモードとしての全・液圧ブレーキモードで運転される。これによって、本発明は、プリセットされた目標・全ブレーキトルクが確実に維持されると同時に、全・回生ブレーキモードから全・液圧ブレーキモードへの好適な移行が可能である。
【0020】
以上述べた利点は、車両の回生ブレーキ装置のための、以上のような形式の操作装置においても確実に保証される。
【0021】
さらに、上記利点は、対応する操作装置を備えた回生ブレーキ装置によっても得ることができる。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点を、以下に図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ジェネレータを有するブレーキ装置の、従来の運転形式を説明するための座標系である。
【
図2a】車両の回生ブレーキ装置を運転するための方法を説明するための座標系である。
【
図2b】車両の回生ブレーキ装置を運転するための方法を説明するための座標系である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2aおよび
図2bは、車両の液圧ブレーキ装置を運転するための方法を説明するための座標系を示す。
【0025】
図2aを用いて概略的に示された方法は、種々異なる型式の多くのブレーキ装置によって実行可能である。したがって、この方法の実行可能性は、このために用いられたブレーキ装置の特定の構成に限定されるものではない。
図2bの座標系には、特に、この方法を実行するために特に有利であるブレーキ装置の圧力・体積特性曲線kだけが示されている。しかしながらこの方法の実行可能性は、このために利用されたブレーキ装置の、このような形式の圧力・体積特性曲線kに限定されるものではない。
【0026】
図2bは、後述されている方法の利用/実行のために特に有利である回生ブレーキ装置の圧力・体積特性曲線kを示す。
図2bの座標系の縦座標は、ブレーキ液体積V(立方センチメートル/cm
3)を示す。このブレーキ液体積Vは、マスタブレーキシリンダおよび/またはリザーバ、例えばブレーキ液リザーバおよび/またはブレーキ回路内部のリザーブチャンバ(例えば低圧リザーブチャンバ)から、少なくとも1つのブレーキ回路内および/または少なくとも1つの、ブレーキ回路に接続されたホイールブレーキシリンダ内のブレーキ圧pbを上昇させるために、回生ブレーキ装置の少なくとも1つのブレーキ回路内に移送せしめられる。
図2bの座標系の横座標は、結果として得られたブレーキ圧pb(bar)に相当する。
【0027】
図2bの座標系の圧力・体積特性曲線kを用いて、所望のブレーキ圧上昇時に、ブレーキ圧pbが、例えば(ほぼ)雰囲気圧に等しい初期・ブレーキ圧p0と等しくなくなる前に、まずいわゆるデッドボリュームVtが少なくとも1つのブレーキ回路に移動されなければならないことが分かる。この移動させるべきデッドボリュームVtは、大抵はブレーキ装置の公差およびエアギャップを克服するために必要である。したがって、移動させられるブレーキ液体積Vにおいて、ゼロとデッドボリュームVtとの間に、初期・ブレーキ圧p0に(ほぼ)等しいブレーキ圧pbが常に存在する。
【0028】
ブレーキ液体積VをデッドボリュームVtと限界体積Vgとの間で移動させることによって、移動したブレーキ液量に関連して比較的僅かなブレーキ圧上昇が得られる。これは、ブレーキ装置が、比較的低いブレーキ圧pbにおいてしばしば小さい体積・圧力・伝達比を有することに起因する。これは言い換えれば、ブレーキ装置が、少なくとも1つのブレーキ回路内に比較的低いブレーキ圧pbが存在するときに、しばしば比較的高い弾性を有しているということである。したがって、ブレーキ圧上昇時においてブレーキ装置の初期領域が「柔軟」であるということでもある。少なくとも1つのブレーキ回路内に移動せしめられたブレーキ液体積Vが限界体積Vgになってから、移動せしめられたブレーキ液体積Vがさらに増大すると、ブレーキ圧pbはより迅速に上昇せしめられる。
【0029】
しかしながら以下に記載した方法によって、
図2bに示された圧力・体積特性曲線kの特性にも拘わらず、時間的に縮小されたジェネレータ・ブレーキトルクM_genの有利な消費を実行することができる。この方法を、以下に
図2aの座標系を参照して説明する。
図2aの横座標は時間軸tである。
【0030】
車両が初期速度v0に等しい車両速度v(m/s)で走行する時点t0から、ここに記載した方法を用いて制動される車両の運転者が、ブレーキ操作エレメント例えばブレーキペダルを操作する。これによって、時点t0からブレーキ操作ストロークs(mm)が増大する。このブレーキ操作ストロークsの分だけ、ブレーキ操作エレメントがその(操作されない)初期位置から移動せしめられる。(時点t0の前では、操作ストロークsは初期ブレーキ操作ストロークs0、有利にはゼロと(ほぼ)同じである。)
【0031】
時点t0とt1との間(時間間隔A)において、ブレーキ装置を第1のブレーキモードで運転するための比較的高い初期速度v0が用いられる。この第1のブレーキモードにおいて、車両を制動させるために、ブレーキ装置のジェネレータの、ゼロに等しくないジェネレータ・ブレーキトルクM_gen(Nm)が使用される。車両の少なくとも1つのホイールおよび/または少なくとも1つのアクスルに加えられたジェネレータ・ブレーキトルクM_genは、運転者(若しくは自動速度制御装置)によってプリセットされた目標・全ブレーキトルクの、第1のブレーキモードのためにプリセットされた第1の回生・部分に等しい。
図2aに示されているように、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genは、ブレーキ操作エレメントのブレーキ操作ストロークsに関連しており、例えばブレーキ操作ストロークsに比例している。有利な形式でブレーキ装置は、時点t0と時点t1との間で第1のブレーキモードとして全・回生ブレーキモードで運転される。この全・回生ブレーキモードにおいて、第1の回生・部分は100%に等しい。この場合、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genは、運転者(若しくは自動速度制御装置)によって要求された目標・全ブレーキトルクに相当する。
【0032】
第1のブレーキモードとしての全・回生ブレーキモードにおける回生ブレーキ装置の開始時の運転は、回収された電気エネルギの比較的多くをバッテリーに蓄電することができる、という利点を伴う。この回収されたエネルギは、例えば車両を新たに加速するために後で利用することができる。したがって、ここに記載された方法の好適な実施例は、車両のエネルギ消費および/または有害物質発生を著しく低減させることができる。しかしながら、ここに記載された方法の実行可能性は、第1のブレーキモードとしての全・回生ブレーキモードの実行に限定されるものではない、ということを指摘しておく。
【0033】
ここに記載した方法の好適な実施例によれば、マスタブレーキシリンダから移送されたブレーキ液が少なくとも1つのリザーバ例えば低圧リザーブチャンバ内に一時貯蔵されることによって、時点t0と時点t1との間で、ブレーキ操作ストロークsが初期操作ストロークs0と等しくないにも拘わらず車両の少なくとも1つのブレーキ回路内でのブレーキ圧上昇は避けられる。このような形式によって、時点t0と時点t1との間で、少なくとも1つのブレーキ回路内において初期・ブレーキ圧p0が(ほぼ)維持される。しかしながら、この方法ステップの実行可能性は選択的である。
【0034】
ここに記載された方法の実行可能性は、使用されたジェネレータの特定の型式に限定されるものではない。ジェネレータとして、例えば車両を電気的に運転するために使用される電動モータを使用してもよい。
【0035】
一般的に、車両の制動時にジェネレータを保護するために、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genを車両停止状態の前にゼロに減少させれば、有利である。それと同時に、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genの減少にも拘わらず、運転者(若しくは自動速度制御装置)によって要求された目標・全ブレーキトルクを(ほぼ)維持することが望まれている。したがって、運転者のための制動快適性を保証するために、減少されたジェネレータ・ブレーキトルクM_genが少なくとも部分的にブレーキ装置の少なくとも1つのホイールブレーキシリンダの液圧ブレーキトルクによって補正されるようになっていれば、有利である。
【0036】
ここに記載した方法において、ブレーキ装置は時点t1と時点t2との間(時間間隔B)で、第1のブレーキモードから、第1の回生・部分よりも小さい第2の回生・部分を有する第2のブレーキモードに制御される。特に、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genは、第1のブレーキモードから第2のブレーキモードへのブレーキ装置の制御中にゼロに減少される。次いで、ブレーキ装置は全・液圧ブレーキモードにおいて第2のブレーキモードとして運転される。この第2のブレーキモードにおいて第2の回生・部分は0%に等しい。しかしながら以下に記載する方法は、第2のブレーキモードにおける回生・部分の、以上のような著しい減少に限定されるものではない。
【0037】
ブレーキ装置を第1のブレーキモードから第2のブレーキモードへ移行させるために、少なくとも1つのポンプがブレーキ装置のブレーキ液圧送装置として制御され、ブレーキ液が少なくとも1つの制御されたポンプによりブレーキ装置のリザーバからブレーキ装置の少なくとも1つのブレーキ回路および/または少なくとも1つのホイールブレーキシリンダへポンプ供給される。このために制御される少なくとも1つのポンプは、例えば少なくとも1つのブレーキ回路内に配置されたポンプ、特にピストンポンプであってよい。このピストンポンプによって、ブレーキ液が、少なくとも1つの所属のブレーキ回路のリザーブチャンバ(例えば低圧リザーブチャンバ)から、少なくとも1つのワイヤ接続されたホイールブレーキシリンダへ向かってポンプ供給可能である。少なくとも1つのピストンポンプを利用することによって、このポンプ型式において圧送体積流量がポンプ回転数に比例するという利点が得られる。しかしながらこの方法の実行可能性は、このために用いられたポンプおよび/またはリザーバの特定の型式に限定されるものではない。ブレーキ液圧送装置として、圧力を上昇させるための別の可能性、例えば少なくとも1つの弁および/または蓄圧器を使用してもよい。
【0038】
時点t1と時点t2との間で少なくとも1つのブレーキ液圧送装置を制御することは、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_soll(bar)のために設定またはプリセットされたポンプ出力値によって行われる。
図2aは、時点t1と時点t2との間で時間的に増大する目標・圧力上昇を有する、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置を制御するために設定された目標・ブレーキ圧p_sollを示す。この目標・圧力上昇を考慮して、目標・圧送量値が設定可能またはプリセット可能である。目標・圧送量値は、例えば目標・回転数n_soll(回転数/分)および/または少なくとも1つのポンプの供給された運転電流であってよい。
図2aには、目標・回転数n_sollは少なくとも1つの目標・圧送量値として示されている。しかし、少なくとも1つのポンプの制御は、このような形式の目標・パラメータを使用することに限定されるものではないことを指摘しておく。
【0039】
前記段落において記載した有利な制御によって、時点t1と時点t2との間に、少なくとも1つの制御されたポンプによって、時間的に増大する実際・圧力上昇を有する(図示していない)実際・ブレーキ圧が、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内および/または少なくとも1つのブレーキ回路内に生ぜしめられる。(時間的に増大する実際・圧力上昇を有する実際・ブレーキ圧は、ここに記載した方法において特に
図2aに示した目標・ブレーキ圧p_sollであってよい。)したがって、少なくとも1つのポンプを制御することによって、少なくとも1つのポンプによって実行されたポンプ回転数/ポンプ出力に応じて体積流量が少なくとも1つのブレーキ回路内に圧送され、このブレーキ回路の体積増加は時間的に増大する。このような形式で得られたブレーキ圧上昇によって、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダの液圧式のブレーキトルクの時間的に増大する実際・ブレーキトルク上昇も生ぜしめられる。
【0040】
少なくとも1つのポンプを制御する前に、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_sollは直接的に設定することができる。直接的な設定の代わりに、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_sollは、少なくとも1つのポンプによって時点t1と時点t2との間で実行されるポンプ出力値の設定/プリセットを介して間接的に、プリセットされてもよい。
【0041】
時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_sollとは、次のような圧力、つまり時点t1と時点t2との間の時間微分が増大している圧力のことである。時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_sollの時間微分の増大は、時点t1と時点t2との間で特に一次関数的である。したがって、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_sollとは、時点t1と時点t2との間でプログレッシブ(漸進的)に上昇/増大する(液圧)目標・ブレーキ圧p_sollのことである。相応に、時間的に増大する実際・圧力上昇を有する実際・ブレーキ圧も、時点t1と時点t2との間でプログレッシブに上昇/増大する(液圧)目標・ブレーキ圧p_sollであると言い換えることができる。
【0042】
時点t1と時点t2との間で実行される方法ステップは、体積的なブレーキ圧上昇と言い換えることができる。体積的なブレーキ圧上昇によって、有効なブレーキ圧pb自体は、ブレーキ装置内において、
図2bに示した「遅延された」圧力・体積特性曲線kと比較可能な形式で迅速に上昇せしめられることを指摘しておく。それと同時に、体積的なブレーキ圧上昇によって、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダの液圧式のブレーキトルクが上昇せしめられ、それによって、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genの減少中に、運転者(若しくは自動速度制御装置)によって望まれた制動希望が確実に/完全に守られる。
【0043】
さらに、特に時点t1と時点t1aとの間のブレーキ圧上昇段階の開始時における、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧p_sollの直接的または間接的な設定/プリセットによって、少なくとも1つの使用されたポンプが強く負荷されることは避けられる。したがって、ブレーキ装置のデッドボリュームVtの克服中に、要求された急激なブレーキ圧上昇を、少なくとも1つのポンプの比較的高いポンプ出力/ポンプ回転数によってもたらす必要はない。その代わり、少なくとも1つのポンプを比較的低い回転数で作動させるだけで十分である。したがって、ここに記載した方法を用いることによって、少なくとも1つのポンプの損傷リスクは減少される。
【0044】
少なくとも1つのポンプは、ここに記載した方法の有利な制御に基づいて、時点t1と時点t2との間において要求された迅速な液圧ブレーキ圧上昇を、次のようにして、つまり、少なくとも1つのポンプが、全・回生ブレーキモードから全・液圧ブレーキモードへの移行中に、1500回転/分以下、特に1000回転/分以下、有利には800回転/分以下の回転数で作業するようにしても、満たすことができる。
図1に記載した時間間隔B′と、これとは異なる
図2aに記載した時間間隔Bとを比較することによって分かるように、ここに記載した方法によって、全・回生ブレーキモードから全・液圧ブレーキモードへの移行は迅速に実行可能でもある。したがって、
図1に記載した時間間隔A′と、これとは異なる
図2aに記載した時間間隔Aとの比較によって分かるように、有利な全・回生ブレーキモードは、より長く実行することができる。
【0045】
少なくとも1つのポンプは、時間間隔Bの間、比較的高いポンプ出力/ポンプ回転数で駆動されないので、全・回生ブレーキモードから全・液圧ブレーキモードへの移行は、低騒音および低振動で実行可能である。したがって、搭乗者を車両の高価な防音手段によってポンプ騒音および/またはポンプ振動から遮断する必要はない。したがって、ここに記載した方法は、安価な費用で有利な走行快適性を提供する。
【0046】
図2aおよび
図2bの実施例によれば、時間的に一定な目標・回転数n_sollは、少なくとも1つのポンプに供給される。時間的に既知である目標・回転数n_sollの代わりに、時間的に一定な運転電流が目標・圧送量値として、少なくとも1つのポンプにアウトプットされてもよい。しかしながら、ここに記載した方法の実行可能性は、第1のブレーキモードから第2のブレーキモードへの移行中に一定な回転数またはこのような形式の回転数プロフィールで少なくとも1つのポンプを運転することに限定されるものではない。例えば、初期・回転数から時間的に一次関数的に目標・回転数まで上昇する目標・回転数n_sollおよび/または初期・運転電流から時間的に一次関数的に目標・運転電流まで上昇する運転電流が、第1のブレーキモードから第2のブレーキモードへの移行中に目標・圧送量として少なくとも1つのポンプに供給されてもよい。ここに記載された手順は、上昇したパラメータの一次関数的な上昇に限定されるものでもない。したがって、始動時において最適化された制御プロフィールを、ここに記載した方法を実行するために使用してもよい。
【0047】
設定またはプリセットされた目標・圧送量値による少なくとも1つのポンプの制御中に、ジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクM_genが、有利には時点t1と時点t2との間において、設定またはプリセットされた、勾配の大きさが時間的に増大する負の勾配で減少される。これによって、時点t1と時点t2との間でポンプを制御することによって生ぜしめられるプログレッシブに上昇する(液圧)圧力変化に、相応に逆方向にプログレッシブに下降する(逆行的に低下する)ジェネレータ・ブレーキトルク変化で応答することができる。
【0048】
好適な実施例によれば、時点t1と時点t2との間において、目標・圧送量値が、プログレッシブに上昇する圧力上昇・グラフにしたがって設定またはプリセットされる。さらに、ジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクM_genは、勾配の大きさが時間的に増大する負の勾配で減少され、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genの時間的な変化は、プログレッシブに増大する圧力上昇・グラフとは逆方向にプログレッシブに減少する(逆行的に減少する)ブレーキトルク・グラフに相当する。これは、
図2aに、時点t1と時点t2との間に示されたジェネレータ・ブレーキトルクM_genによって示されている。
【0049】
このために、有利な形式で、設定またはプリセットされた目標・圧送量値による少なくとも1つのポンプの制御中に、ジェネレータの目標・ジェネレータ・ブレーキトルクが、目標・全ブレーキトルクを考慮して、および少なくとも1つのホイールブレーキシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路内に形成された液圧的なブレーキ圧に関連した値を考慮して設定される。少なくとも1つの考慮された値は、例えば、測定され、評価されかつ/または論理的なモデルを用いて導き出された液圧的なブレーキ圧であってよい。次いで、ジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクM_genが、設定された目標・ジェネレータ・ブレーキトルクに応じて調節される。この場合、好適な形式で、ジェネレータ・ブレーキトルクM_genは、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダの形成された/上昇した液圧的なブレーキトルクと、時点t1と時点t2との間の減少されたジェネレータ・ブレーキトルクM_genとの合計が目標・ジェネレータ・ブレーキトルクに相当するように、調整/減少される。
【0050】
図3は、操作装置の実施例の概略図である。
【0051】
図3に概略的に示された操作装置10によって、車両の回生ブレーキ装置は、上述した方法が実行できるように、制御可能である。この操作装置の適用可能性は、回生ブレーキ装置の特定の型式に限定されるものではないことを指摘しておく。この操作装置によって、
図2aおよび
図2bによって示された方法とは異なる回生ブレーキ装置を運転するための方法も実行可能である。
【0052】
操作装置10は制御装置12を有しており、該制御装置12によって、少なくとも1つのジェネレータ・制御信号14がブレーキ装置の(図示していない)ジェネレータにアウトプット可能であり、またブレーキ液圧送装置・制御信号16がブレーキ装置の少なくとも1つの(図示していない)ブレーキ液圧送装置にアウトプット可能である。制御信号14および16によって、ブレーキ装置は、少なくとも第1のブレーキモードと第2のブレーキモードとの間で制御可能である。
【0053】
第1のブレーキモードにおいて、少なくとも1つのホイールおよび/またはアクスルに作用する、ジェネレータのジェネレータ・ブレーキトルクが、ジェネレータ・制御信号14によって、ゼロに等しくなく、しかも車両の運転者によっておよび/または自動速度制御装置によってプリセットされた目標・全ブレーキトルクの、第1のブレーキモードのためにプリセットされた第1の回生・部分に等しくなるように調節可能である。ブレーキ装置を、第1のブレーキモードから、第1の回生・部分よりも小さい第2の回生・部分を有する第2のブレーキモードへ制御するために、少なくとも1つブレーキ液圧送装置がブレーキ液圧送装置・制御信号16によって次のように制御可能、つまり、ブレーキ液が少なくとも1つのブレーキ液圧送装置によってブレーキ装置のリザーバから少なくとも1つのホイールブレーキシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路にポンプ供給可能となるように、制御可能である。特に、ブレーキ液圧送装置・制御信号16によって、時間的に増大する目標・圧力上昇を有する目標・ブレーキ圧のために設定またはプリセットされた目標・圧送量値がブレーキ液圧送装置にアウトプット可能である。このような形式で、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置・制御信号16により制御されたブレーキ液圧送装置によって、時間的に増大する実際・圧力上昇を有する実際・ブレーキ圧が、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路内に形成される。
【0054】
例えば、ブレーキ液圧送装置・制御信号16によって時間的に一定な目標・回転数が、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置としての少なくとも1つのポンプにアウトプット可能である。このために、選択的にまたは補足的に、時間的に一定な運転電流が目標・圧送量値としてブレーキ液圧送装置・制御信号16によって、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置としての少なくとも1つのポンプにアウトプット可能である。同様に、ブレーキ液圧送装置・制御信号16によって、初期・回転数から出発して時間的に一次関数的に目標・回転数まで上昇する目標・回転数および/または初期・運転電流から出発して時間的に一次関数的に目標・運転電流まで上昇する運転電流が、目標・圧送量値として少なくとも1つのポンプにアウトプット可能である。ブレーキ液圧送装置・制御信号16は、この実施例で挙げられた値のほかに、別の目標・圧送量値を有していてもよい。
【0055】
好適には、少なくとも1つのブレーキ液圧送装置の制御中(設定またはプリセットされた目標・圧送量値による)に、ジェネレータの目標・ジェネレータ・ブレーキトルクが、目標・全ブレーキトルクを考慮して、かつ少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内および/または少なくとも1つのブレーキ回路内に形成された液圧のブレーキ圧に関連して提供された値を考慮して、設定可能であり、この場合、ジェネレータ・ブレーキトルクはジェネレータ・制御信号14によって、設定された目標・ジェネレータ・ブレーキトルクに応じて調節可能である。特に(設定またはプリセットされた目標・圧送量値による少なくとも1つのブレーキ液圧送装置の制御中に)、ジェネレータはジェネレータ・制御信号14によって、ジェネレータ・ブレーキトルクが、設定またはプリセットされた、勾配の大きさが時間的に増大する負の勾配で減少されるように、制御可能である。
【0056】
この操作装置10は、前記において既に列挙した複数の利点(これらの利点を新たに説明することは省く)を実現する。これらの利点は、この操作装置10を備えた車両のための回生ブレーキ装置によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 操作装置
12 制御装置
14 ジェネレータ・制御信号
16 ブレーキ液圧送装置・制御信号
A,A′,B、B′ 時間間隔
k 圧力・体積特性曲線
n_soll 目標・回転数、目標・圧送量値
pb ブレーキ圧
p_ist 実際・ブレーキ圧
p0 初期・ブレーキ圧
p_soll 目標・ブレーキ圧
s ブレーキ操作ストローク
s0 初期ブレーキ操作ストローク
t 時間軸
t0,t1,t2 時点
V ブレーキ液体積
Vg 限界体積
v0 初期速度
Vt デッドボリューム
M_gen ジェネレータ・ブレーキトルク