【文献】
Tedjamulia, Marvin L. et al.,Angular polycyclic thiophenes containing two thiophene rings. Part II,Journal of Heterocyclic Chemistry,1984年,vol.21 no.2,pp.321-325
【文献】
Curiel, David et al.,Synthesis and characterization of new carbazolocarbazoles: Toward π-extended N-fused heteroacenes,Organic Letters,2010年,vol.12 no.14,pp.3164-3167
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A環が、置換または非置換のベンゼン環、置換または非置換のナフタレン環、置換または非置換のアントラセン環、置換または非置換のフェナントレン環、及び置換または非置換のピリジン環からなる群より選択される1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘテロ環化合物。
前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層、バッファ層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含むことを特徴とする、請求項11に記載の有機発光素子。
前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層が、前記ヘテロ環化合物を含むことを特徴とする、請求項11に記載の有機発光素子。
前記有機層が、電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含み、前記電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層が、前記ヘテロ環化合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の有機発光素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より優れた発光特性を有し、有機発光素子の有機層に使用可能なヘテロ環化合物と、当該ヘテロ環化合物を含む有機発光素子及び有機発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、下記化学式1で表示される、ヘテロ環化合物が提供される。
【0011】
【化1】
【0012】
ここで、前記化学式1において、X
1及びX
2は、互いに独立して、C(R
12)−、−N−、−N(R
13)−、−O−及び−S−からなる群より選択される1種であり、X
1及びX
2のうち少なくとも一つは、−N−、−N(R
13)−、−O−又は−S−であり、X
3は、N(R
21)−、−O−又は−S−であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
11、R
12、R
13及びR
21は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換又は非置換のC
1−C
30アルキル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルケニル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルキニル基、置換又は非置換のC
1−C
30アルコキシ基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルケニル基、置換又は非置換のC
6−C
30アリール基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールチオ基、置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロアリール基、及び−N(Q
1)(Q
2)で表示される基からなる群より選択される1種(ここで、Q
1及びQ
2は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換又は非置換のC
1−C
30アルキル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルケニル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルキニル基、置換又は非置換のC
1−C
30アルコキシ基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルケニル基、置換又は非置換のC
6−C
30アリール基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールチオ基、及び置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロアリール基のうち1種である。)であり、Lは、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリーレン基、又は、置換もしくは非置換のC
2−C
30ヘテロアリーレン基であり、nは、0〜3の整数であり、A環は、置換もしくは非置換のC
6−C
30芳香族環、又は、置換もしくは非置換のC
2−C
30ヘテロ芳香族環であり、R
11及びR
12は、選択的に互いに結合し、置換又は非置換のC
6−C
30芳香族環、又は、置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロ芳香族環を形成することができる。
【0013】
前記ヘテロ環化合物は、下記化学式2a〜化学式2tのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0014】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0015】
ここで、前記化学式2a〜化学式2tにおいて、R
1、R
2、R
3、R
4、R
11、R
12、R
13、R
21、L、n及びA環は、前記化学式1で定義された置換基と同一である。
【0016】
前記ヘテロ環化合物は、A環が、置換または非置換のベンゼン環、置換または非置換のナフタレン環、置換または非置換のアントラセン環、置換または非置換のフェナントレン環、及び置換または非置換のピリジン環からなる群より選択される1種であってもよい。
【0017】
前記ヘテロ環化合物は、A環が、下記化学式3a〜化学式3eのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0018】
【化7】
【0019】
ここで、前記化学式3a〜化学式3eにおいて、Z
1及びZ
2は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のフェニル基、及び置換または非置換のビフェニル基からなる群より選択される1種であり、p及びqは、互いに独立して、2〜4の整数であり、*は、A環が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示す。
【0020】
前記ヘテロ環化合物は、A環が、下記化学式4a〜化学式4eのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0021】
【化8】
【0022】
ここで、前記化学式4a〜化学式4eにおいて、*は、A環が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示す。
【0023】
前記ヘテロ環化合物は、R
11及びR
12が互いに結合し、置換または非置換のベンゼン環を形成してもよい。
【0024】
前記ヘテロ環化合物は、R
1、R
2、R
3、R
4、R
11、R
12、R
13及びR
21が、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のアントリル基、置換または非置換のフェナントレニル基、置換または非置換のピレニル基、置換または非置換のクリセニル基、置換または非置換のナフタセニル基、置換または非置換のフルオレニル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のビピリジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のピリダジニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のカルバゾリル基、置換または非置換のベンゾチオフェニル基、置換またはo非置換のジベンゾチオフェニル基、置換または非置換のベンゾフラニル基、置換または非置換のジベンゾフラニル基、及び−N(Q
3)(Q
4)で表示される基(ここで、Q
3及びQ
4は、互いに独立して、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、及び置換または非置換のナフチル基からなる群より選択される1種である。)からなる群より選択される1種であってもよい。
【0025】
前記ヘテロ環化合物は、R
2が、下記化学式5a〜化学式5iのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0026】
【化9】
【化10】
【0027】
ここで、前記化学式5〜化学式5iにおいて、Z
11〜Z
14は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のメトキシ基、置換または非置換のエトキシ基、置換または非置換のプロポキシ基、置換または非置換のブトキシ基、置換または非置換のフェニル基、及び置換または非置換のビフェニル基からなる群より選択される1種であり、r及びsは、互いに独立して、1〜5の整数であり、*は、R
2が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示す。
【0028】
前記ヘテロ環化合物は、R
2が、化学式6a〜化学式6iのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0029】
【化11】
【化12】
【0030】
ここで、前記化学式6a〜化学式6iにおいて、*は、R
2が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示す。
【0031】
前記ヘテロ環化合物において、Lは、フェニレン基、ナフチレン基又はアントラセニレン基であり、nは、0又は1であってもよい。
【0032】
前記ヘテロ環化合物は、下記化合物1〜化合物56のうち1つであってもよい。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1電極と、前記第1電極に対向した第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在された有機層と、を有し、前記有機層が、上記ヘテロ環化合物を含む有機発光素子が提供される。
【0039】
前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層、バッファ層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含んでもよい。
【0040】
前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層が、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0041】
前記有機層が、電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含み、前記電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層が、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0042】
前記有機層が発光層を含み、前記発光層が、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0043】
前記ヘテロ環化合物が、蛍光ホスト又はリン光ホストとして使用されてもよい。
【0044】
前記ヘテロ環化合物が、蛍光ドーパントとして使用されてもよい。
【0045】
前記有機層が、発光層と、電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層と、を含み、前記発光層と、前記電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層と、のうち少なくとも1層が、前記ヘテロ環化合物を含み、前記発光層は、アリールアミン化合物を含んでもよい。
【0046】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、ソース、ドレイン、ゲート及び活性層を含んだトランジスタ、並びに上記有機発光素子を備え、前記有機発光素子の第1電極が、前記ソース及びドレインのうち一つと電気的に連結された有機発光表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0047】
以上説明したように本発明によれば、より優れた発光特性を有し、有機発光素子の有機層に使用可能なヘテロ環化合物と、当該ヘテロ環化合物を含む有機発光素子及び有機発光表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0050】
本発明の実施形態の一側面によって、下記化学式1で表示されるヘテロ環化合物が提供される。
【0052】
以下、前記化学式1について詳細に説明する。
X
1及びX
2を含む5員環は、共鳴構造を有しており、前記5員環は、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいる。従って、X
1及びX
2いずれも炭素原子である場合は、存在しない。すなわち、X
1及びX
2は、互いに独立して、C(R
12)−、−N−、−N(R
13)−、−O−及び−S−のうち1種である。ただし、X
1及びX
2のうち少なくとも一つは、−N−、−N(R
13)−、−O−または−S−である。
【0053】
X
3を含む5員環は、ヘテロ原子を含む。すなわち、X
3は、N(R
21)−、−O−または−S−である。
【0054】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
11、R
12、R
13及びR
21は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換又は非置換のC
1−C
30アルキル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルケニル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルキニル基、置換又は非置換のC
1−C
30アルコキシ基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルケニル基、置換又は非置換のC
6−C
30アリール基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールチオ基、置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロアリール基、及び−N(Q
1)(Q
2)で表示される基のうち1種である。
【0055】
ここで、Q
1及びQ
2は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換又は非置換のC
1−C
30アルキル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルケニル基、置換又は非置換のC
2−C
30アルキニル基、置換又は非置換のC
1−C
30アルコキシ基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3−C
30シクロアルケニル基、置換又は非置換のC
6−C
30アリール基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換又は非置換のC
6−C
30アリールチオ基、及び、置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロアリール基のうち1種である。例えば、Q
1及びQ
2が互いに独立して、置換又は非置換のC
6−C
30アリール基である場合、−N(Q
1)(Q
2)で表示される基は、アリールアミン基を示す。
【0056】
Lは、連結基であって、置換又は非置換のC
6−C
30アリーレン基、あるいは置換または非置換のC
2−C
30ヘテロアリーレン基である。
【0057】
nは、連結基であるLの個数を示す整数であり、0〜3の値を有することができる。nが0である場合、連結基であるLは、単に単一結合を示し、nが2以上である場合、複数の連結基Lは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
A環は、X
3を含む5員環に融合された(fused)環であり、置換又は非置換のC
6−C
30芳香族環、あるいは、置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロ芳香族環を示す。
【0059】
化学式1でR
11及びR
12は、選択的に互いに結合し、置換又は非置換のC
6−C
30芳香族環、及び、置換又は非置換のC
2−C
30ヘテロ芳香族環を形成することができる。この場合、R
11及びR
12の結合で形成された環は、X
1及びX
2を含む5員環と融合される。
【0060】
前記ヘテロ環化合物は、X
1、X
2及びX
3をいかように選択するかによって、下記化学式2a〜化学式2tのうち1種で表示されもする。
【0066】
ここで、前記化学式2a〜化学式2tにおいて、R
1、R
2、R
3、R
4、R
11、R
12、R
13、R
21、L、n及びA環は、前記化学式1で定義されたところと同一である。
【0067】
前記化学式1で、A環は、例えば、置換又は非置換のベンゼン環、置換又は非置換のナフタリン環、置換又は非置換のアントラセン環、置換又は非置換のフェナントレン環、及び、置換又は非置換のピリジン環(pyridine ring)のうち一つである。
【0068】
また、A環は、具体的に、下記化学式3a〜化学式3eのうち1種で表示されたものであってもよい。
【0070】
ここで、前記化学式3a〜化学式3eにおいて、Z
1及びZ
2は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のプロピル記、置換又は非置換のブチル基、置換又は非置換のフェニル基、及び、置換又は非置換のビフェニル基のうち1種であり、p及びqは、互いに独立して、2〜4の整数である。ただし、*は、A環が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示すが、2個の*で表示された部位で、2個の炭素原子が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と融合を形成する。
【0071】
例えば、A環は、下記化学式4a〜化学式4eのうち1種で表示されたものであってもよい。
【0073】
ここで、前記化学式4a〜化学式4eにおいて、*は、A環が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示し、2個の*で表示された部位で、2個の炭素原子が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と融合を形成する。
【0074】
前記化学式1において、R
11及びR
12は、選択的に互いに結合し、置換又は非置換のベンゼン環を形成し、X
1及びX
2を含む5員環と融合されてもよい。
【0075】
前記化学式1において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
11、R
12、R
13及びR
21は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のプロピル基、置換又は非置換のブチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のビフェニル基(biphenyl)、置換又は非置換のナフチル基(naphthyl)、置換又は非置換のアントリル基(anthryl)、置換又は非置換のフェナントレニル基(phenanthrenyl)、置換又は非置換のピレニル基(pyrenyl)、置換又は非置換のクリセニル基(chrysenyl)、置換又は非置換のナフタセニル基(naphthacenyl)、置換又は非置換のフルオレニル基(fluorenyl)、置換又は非置換のピリジニル基(pyridinyl)、置換又は非置換のビピリジニル基(bipyridinyl)、置換又は非置換のピラジニル基(pyrazinyl)、置換又は非置換のピリミジニル基(pyrimidinyl)、置換又は非置換のピリダジニル基(pyridazinyl)、置換又は非置換のキノリニル基(quinolinyl)、置換又は非置換のイソキノリニル基(isoquinolinyl)、置換又は非置換のカルバゾリル基(carbazolyl)、置換又は非置換のベンゾチオフェニル基(benzothiophenyl)、置換又は非置換のジベンゾチオフェニル基(dibenzothiophenyl)、置換又は非置換のベンゾフラニル基(benzofuranyl)、置換又は非置換のジベンゾフラニル基(dibenzofuranyl)、及び−N(Q
3)(Q
4)で表示される基のうち一つである。ここで、−N(Q
3)(Q
4)は、アリールアミン基を示し、Q
3及びQ
4は、互いに独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のビフェニル基、及び、置換又は非置換のナフチル基のうち1種を示す。
【0076】
前記化学式1において、R
2は、下記化学式5a〜化学式5iのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0079】
ここで、前記化学式5a〜化学式5iにおいて、Z
11〜Z
14は、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換のエチル基、置換又は非置換のプロピル基、置換又は非置換のブチル基、置換又は非置換のメトキシ基、置換又は非置換のエトキシ基、置換又は非置換のプロポキシ基、置換又は非置換のブトキシ基、置換又は非置換のフェニル基、及び、置換又は非置換のビフェニル基のうち1種であり、r及びsは、互いに独立して、1〜5の整数である。ただし、*は、R
2が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示す。
【0080】
例えば、R
2は、下記化学式6a〜化学式6iのうち1種で表示されるものであってもよい。
【0083】
ここで、前記化学式6a〜化学式6iにおいて、*は、R
2が、前記ヘテロ環化合物の残りの部分と結合される部位を示す。
【0084】
前記化学式1において、nが0であれば、連結基Lが単に単一結合を示し、nが1であれば、Lは、フェニレン基、ナフチレン基又はアントラセニレン基でもある。
【0085】
前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、下記化合物1〜化合物56のうち一つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0091】
前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、分子内にヘテロ原子を含む5員環の共鳴構造、及び、カルバゾール、ジベンゾチオフェン又はジベンゾフランの誘導体に、芳香族環又はヘテロ芳香族環が融合された構造、を有し、剛直な骨格を形成し、高いガラス転移温度と融点を有する。
【0092】
前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、有機発光素子に使用するとき、優秀な電気的安定性、高い電荷輸送能及び発光能を有する。前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を採用した有機発光素子は、保管時及び/又は駆動時に、有機層間、有機層内部、及び/又は発光層と金属電極との間で発生するジュール熱に対して優秀な耐熱性を有する。
【0093】
前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、公知の有機合成方法を利用して合成することが可能である。前記ヘテロ環化合物の合成方法は、後述する実施例を参照し、本発明が属する技術分野における当業者に容易に認識されるであろう。
【0094】
前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、有機発光素子の1対の電極間で使用される。例えば、前記ヘテロ環化合物は、発光層、カソードと発光層との間の層(例えば、電子注入層、電子輸送層、又は、電子注入能及び電子輸送能を同時にする機能層)で使用されてもよい。
【0095】
以下、
図1を参照し、本発明の実施形態の他の一側面による有機発光素子について説明するが、有機発光素子の構造がそれらに限定されるものではない。
【0096】
図1を参照すれば、基板11と、前記基板上に位置した第1電極13と、前記第1電極13に対向した第2電極19と、前記第1電極13と前記第2電極19との間に介在された有機層15と、を含む有機発光素子10が提供される。ここで、前記有機層15は、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を含む。
【0097】
本明細書において、「有機層」は、有機発光素子において、第1電極と第2電極との間に介在された単一及び/又は複数の層を示すものであると解釈される。
【0098】
本明細書で、「(有機層が)前記化学式1で表示されたヘテロ環化合物を含む」とは、「(有機層が)前記化学式1の範疇に属する1種のヘテロ環化合物、又は、前記化学式1の範疇に属する互いに異なる2種以上のヘテロ環化合物を含む」と解釈される。
【0099】
化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、有機発光素子10の保管時及び/又は駆動時に、有機層15を構成する複数層間、有機層15内部、及び/又は発光層16と金属電極13,19との間で発生するジュール熱に対して優秀な耐熱性を有するので、前記ヘテロ環化合物を採用した有機発光素子10は、経時的にも高温環境下で、熱的安定性が維持され、高い耐久性と長寿命とを有する。
【0100】
前記有機層15は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層、バッファ層、発光層16、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含んでもよい。その場合、化学式1で表示されるヘテロ環化合物は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層、バッファ層、発光層16、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層に含まれる。
【0101】
前記有機層15は、発光層16と、第1電極13との間に、正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含んでもよく、前記正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層には、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物が含まれる。
【0102】
前記正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層は、電荷生成物質をさらに含んでもよく、前記電荷生成物質は、キノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうち少なくとも1種である。金属酸化物の例としては、酸化モリブデンや酸化バナジウムなどがある。このような電荷生成物質は、強い受容性を有し、正孔の注入及び輸送を円滑に行うことができる。
【0103】
前記有機層15は、発光層16と第2電極19との間に、電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層を含んでもよく、前記電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層には、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物が含まれる。
【0104】
前記有機層15は、発光層16を含んでもよく、前記発光層16には、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物が含まれる。
【0105】
発光層16に含まれた前記ヘテロ環化合物は、蛍光ホスト又はリン光ホストとして使用されてもよい。発光層16に含まれた前記ヘテロ環化合物は、赤色、緑色又は青色の発光を放出する蛍光ホスト又はリン光ホストとして使用され、特に、青色蛍光ホストに有用に使用される。又は、発光層16に含まれた前記ヘテロ環化合物は、蛍光ドーパントとして使用されてもよい。
【0106】
前記有機層15は、発光層16と、電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層と、を含んでもよく、前記発光層16と、前記電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層と、のうち少なくとも1層は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよく、前記発光層は、アリールアミン化合物を含んでもよい。前記アリールアミン化合物は、発光層として使用される公知の化合物であるならば、特別に制限されるものではない。
【0107】
以下、
図1を参照し、本発明の実施形態の一具現例に係る有機発光素子10の製造方法について説明する。
【0108】
基板11としては、一般的な有機発光素子に使用される基板を使用することができ、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性及び防水性にすぐれるガラス基板又は透明プラスチック基板を使用することができる。
【0109】
第1電極13は、基板11の上部に、第1電極形成物質を用い、蒸着法又はスパッタリング法などを利用して形成する。第1電極13がアノードである場合、正孔注入が容易なように、第1電極形成物質は、大きい仕事関数を有する物質から選択される。第1電極13は、反射型電極又は透過型電極である。第1電極形成物質としては、透明であって伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO
2)又は酸化亜鉛(ZnO)などを利用することができる。また、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム:リチウム(Al:Li)、カルシウム(Ca)、銀:酸化インジウムスズ(Ag:ITO)、マグネシウム:インジウム(Mg:In)又はマグネシウム:銀(Mg:Ag)などを利用して、第1電極13を反射型電極として形成することもできる。第1電極13は、単一層または2以上の多層構造を有することができる。例えば、第1電極13は、ITO:Ag:ITOの3層構造を有することができるが、それに限定されるものではない。
【0110】
第1電極13の上部には、有機層15が設けられる。有機層15は、正孔注入層(図示せず)、正孔輸送層(図示せず)、バッファ層(図示せず)、発光層16、電子輸送層(図示せず)及び電子注入層(図示せず)を含んでもよい。
【0111】
正孔注入層(HIL)は、第1電極13の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir−Blodgett)法のような多様な方法を利用して形成される。真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的と正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるが、例えば、蒸着温度約100℃〜約500℃、真空度約10
−8〜約10
−3torr(1Torrは約133.32Pa)、蒸着速度約0.01〜約100Å/sec(1Å=0.1nm)の範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、約2000rpm〜約5000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃〜200℃の温度範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。正孔注入層形成材料としては、公知の材料を使用することができ、公知の正孔注入層形成材料は、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(DNTPD)、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。正孔注入層の厚さは、約100Å〜約10000Å、例えば、約100Å〜約1000Åでもある。正孔注入層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔注入特性を得ることができる。
【0112】
次に、正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用して、正孔輸送層(HTL)を形成することができる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同一な条件範囲で選択される。正孔輸送層形成材料としては、公知の材料を使用することができる。公知の正孔輸送層形成材料としては、例えば、N−フェニルカルバゾール,ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)またはN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。正孔輸送層の厚みは、約50Å〜約2000Å、例えば、約100Å〜約1500Åでもある。正孔輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性を得ることができる。
【0113】
正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層には、正孔注入層形成材料及び正孔輸送層形成材料のうち少なくとも1種が含まれ、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層の厚みは、約500Å〜約10000Å、例えば、約100Å〜約1000Åであってもよい。正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔注入及び輸送特性を得ることができる。
【0114】
正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層は、公知の正孔注入層形成材料以外に、前記層の導電性などを向上させるために、前述の電荷生成物質を更に含んでもよい。
【0115】
正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層と、発光層16との間には、バッファ層が介在されてもよい。バッファ層は、発光層16で放出される光の波長による光学的共振距離を補償し、効率を上昇させる役割を行うことができる。バッファ層は、公知の正孔注入層形成材料、正孔輸送層形成材料を含んでもよい。
【0116】
次に、正孔輸送層、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層、又は、バッファ層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して、発光層16を形成することができる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって、発光層16を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同一な条件範囲で選択される。
【0117】
発光層16の蛍光ホスト又はリン光ホストの材料としては、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を使用することができる。また、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物と共に、公知のホスト材料を更に使用することができる。公知のホスト材料としては、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)、4,4’−N,N’−ジカバゾール−ビフェニル(CBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(DNA)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3、ジスチリルアリーレン(DSA)または4,4’−ビス(9−カルバゾール)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(dmCBP)などを使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0118】
有機発光素子10が、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層のうち少なくとも1層を含む場合に、発光層16に、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を使用することができる。また、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物以外に、公知のドーパントを使用することができる。公知のドーパントとしては、例えば、次の通りである(ppy=フェニルピリジン)。
【0119】
青色ドーパントとしては、下記化合物使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0121】
赤色ドーパントとしては、下記化合物を使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0123】
緑色ドーパントとしては、下記化合物使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0125】
また、発光層16のドーパントに、公知のPt−錯体、Os−錯体などを使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0126】
一方、発光層16の蛍光ドーパントとして、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を使用することができる。すなわち、発光層16に、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物と共に、公知のホストを使用することができる。例えば、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を、青色蛍光ドーパントとして使用することができる。
【0127】
有機発光素子10の発光層16と、電子注入層、電子輸送層、並びに電子注入能及び電子輸送能を同時に有する機能層のうち少なくとも1層と、のうち少なくとも1層が、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物を含む場合、発光層16は、公知のアリールアミン化合物を含んでもよい。
【0128】
発光層16がホスト及びドーパントを含む場合、ドーパントの含量は、一般的に、ホスト約100質量部を基準にして、約0.01〜約15質量部の範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0129】
発光層16の厚みは、約100Å〜約1000Å、例えば、約200Å〜約600Åであってもよい。発光層16の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性を示すことができる。
【0130】
次に、発光層16の上部に、電子輸送層(ETL)を、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同一な条件範囲で選択される。電子輸送層形成材料としては、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物及び公知の電子輸送層形成材料のうち少なくとも1種を使用することができる。公知の電子輸送層形成材料としては、例えば、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−4−フェニルフェノレート(BAlq)、ベリリウムビス(ベンゾキノリン−10−オラート)(Bebq2)のようなキノリン誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)、9,10−ジ(ナフタリン−2−イル)アントラセン(ADN)、下記化合物201又は化合物202のような材料を使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0132】
電子輸送層の厚みは、約100Å〜約1000Å、例えば、約150Å〜約500Åであってもよい。電子輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子輸送特性を得ることができる。
【0133】
電子輸送層は、前記化学式1で表示されるヘテロ環化合物及び公知の電子輸送層形成材料のうち少なくとも1種以外に、金属錯体を更に含んでもよい。前記金属錯体は、Li錯体を含んでもよい。Li錯体としては、例えば、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)、又は、下記化合物203などを挙げることができる。
【0135】
電子輸送層の上部に、カソードから電子の注入を容易にする機能を有する電子注入層(EIL)が積層される。電子注入層形成材料としては、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li
2OまたはBaOのような公知の電子注入層形成材料を使用することができる。電子注入層の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同一な条件範囲で選択される。電子注入層の厚みは、約1Å〜約100Å、約3Å〜約90Åであってもよい。電子注入層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子注入特性を得ることができる。
【0136】
有機層15の上部には、第2電極19が設けられる。前記第2電極は、電子注入電極であるカソードでもあり、そのとき、第2電極形成物質としては、小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を使用することができる。例えば、第2電極は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム:リチウム(Al:Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム:インジウム(Mg:In)又はマグネシウム:銀(Mg:Ag)などを薄膜に形成し、透過型電極を得ることができる。一方、前面発光素子を得るために、ITO又はIZOを利用して透過型電極を形成することができるなど、多様な変形が可能である。
【0137】
一方、発光層16に、リン光ドーパントを使用する場合には、三重項励起子又は正孔が電子輸送層に拡散する現象を防止するために、正孔輸送層と発光層16との間、又は、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層と発光層との間に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して、正孔阻止層(HBL)を形成することができる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔阻止層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同一な条件範囲で選択される。正孔阻止層は、公知の正孔阻止層形成材料を用いて形成することができ、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体又はフェナントロリン誘導体などを使用することができるが、それらに限定されるものではない。例えば、下記のような2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いて、正孔阻止層を形成することができる。
【0139】
正孔阻止層の厚みは、約20Å〜約1000Å、例えば、約30Å〜約300Åであってもよい。正孔阻止層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔阻止特性を得ることができる。
【0140】
本発明の実施形態の他の一側面によって、ソース、ドレイン、ゲート及び活性層を含んだトランジスタ、並びに、上記のような有機発光素子を備え、前記有機発光素子の第1電極が、前記ソース及びドレインのうち一つと電気的に連結された有機発光表示装置が提供される。
【0141】
前記トランジスタの活性層は、非晶質シリコン層、結晶質シリコン層、有機半導体層又は酸化物半導体層などのように、多様な変形が可能である。
【0142】
本明細書で、「非置換のC
1−C
30アルキル基」(又は「C
1−C
30アルキル基」)の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、iso−アミル基及びヘキシル基のようなC
1−C
30直線型又は分枝型アルキル基を挙げることができ、置換されたC
1−C
30アルキル基は、前記非置換のC
1−C
30アルキル基のうち少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸基やその塩、C
1−C
30アルキル基、C
2−C
30アルケニル基、C
2−C
30アルキニル基、C
1−C
30アルコキシ基、C
3−C
30シクロアルキル基、C
3−C
30シクロアルケニル基、C
6−C
30アリール基、非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、C
6−C
30アリールチオ基、C
2−C
30ヘテロアリール基、−N(Q
101)(Q
102)、及び−Si(Q
103)(Q
104)(Q
105)(Q
106)(ここで、Q
101〜Q
106は、互いに独立して、水素、C
1−C
30アルキル基、C
2−C
30アルケニル基、C
2−C
30アルキニル基、C
6−C
30アリール基、及びC
2−C
30ヘテロアリール基のうち1種)のうち1種で置換されたものである。
【0143】
本明細書において、非置換のC
2−C
30アルケニル基(又は、C
2−C
30アルケニル基)は、前記非置換のC
2−C
30アルキル基の中間や最末端に、一つ以上の炭素二重結合を含んでいるものを意味し、その例としては、エテニル基、プロペニル基及びブテニル基などがある。置換されたC
2−C
30アルケニル基は、C
2−C
30アルケニル基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0144】
本明細書において、非置換のC
2−C
30アルキニル基(又は、C
2−C
30アルキニル基)は、前記定義されたようなC
2−C
30アルキル基の中間や最末端に、一つ以上の炭素三重結合を含んでいるものを意味し、その例としては、エチニル基(ethynyl)及びプロピニル基(propynyl)などがある。置換されたC
2−C
30アルキニル基は、C
2−C
30アルキニル基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような置換基で置換されたものである。
【0145】
本明細書で、非置換のC
1−C
30アルコキシ基(又は、C
1−C
30アルコキシ基)は、−OA(ただし、Aは、前述のような非置換のC
1−C
30アルキル基)の化学式を有し、その具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基及びイソプロピルオキシ基などがある。置換されたC
1−C
30アルコキシ基は、C
1−C
30アルコキシ基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0146】
本明細書で、非置換のC
3−C
30シクロアルキル基(又は、C
3−C
30シクロアルキル基)は、C
3−C
30飽和された非芳香族一価の単環式、二環式または三環式の炭化水素基を意味し、その例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びデカヒドロナフタレニル基などを挙げることができる。置換されたC
3−C
30シクロアルキル基は、C
3−C
30シクロアルキル基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0147】
本明細書で、非置換のC
3−C
30シクロアルケニル基(又は、C
3−C
30シクロアルケニル基)は、C
3−C
30不飽和非芳香族一価の単環式、二環式又は三環式の炭化水素基を意味し、その例としては、シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基などを挙げることができる。置換されたC
3−C
30シクロアルケニル基は、C
3−C
30シクロアルケニル基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0148】
本明細書において、非置換のC
6−C
30アリール基は、一つ以上の芳香族環を含むC
6−C
30炭素環芳香族系を有する一価(monovalent)基を意味し、非置換のC
6−C
30アリーレン基は、一つ以上の芳香族環を含むC
6−C
30炭素環芳香族系を有する二価(divalent)基を意味する。前記アリール基及びアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合してもよい。置換されたC
6−C
30アリール基は、C
6−C
30アリール基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような置換基で置換されたものであり、置換されたC
6−C
30アリーレン基は、C
6−C
30アリーレン基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0149】
本明細書において、非置換のC
6−C
30アリールオキシ基は、OA
2(ここで、A
2は、前記置換又は非置換のC
6−C
30アリール基)を示し、置換されたC
6−C
30アリールオキシ基は、C
6−C
30アリールオキシ基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0150】
本明細書において、非置換のC
6−C
30アリールチオ基は、SA
3(ここで、A
3は、前記置換又は非置換のC
3−C
30アリール基)を示し、置換されたC
6−C
30アリールチオ基は、C
6−C
30アリールチオ基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0151】
本明細書において、非置換のC
2−C
30ヘテロアリール基は、N、O、P又はSから選択された1個以上のヘテロ原子と、1個以上の炭素原子とで構成される一つ以上の芳香族環からなる系を有する一価基を意味し、非置換のC
2−C
30ヘテロアリーレン基は、N、O、P又はSから選択された1個以上のヘテロ原子と、1個以上の炭素原子とから構成される一つ以上の芳香族環からなる系を有する二価基を意味する。ここで、ヘテロアリール基及びヘテロアリーレン基が、2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合してもよい。置換されたC
2−C
30ヘテロアリール基は、C
2−C
30ヘテロアリール基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものであり、置換されたC
2−C
30ヘテロアリーレン基は、C
2−C
30ヘテロアリーレン基のうち少なくとも1つの水素が、前述の置換されたC
1−C
30アルキル基の場合のような部類の置換基で置換されたものである。
【0152】
以上説明したように、本発明の実施形態の一側面によるヘテロ環化合物は、ガラス転移温度が高く、結晶化を防止することができ、優秀な電気的安定性、高い電荷輸送能及び発光能を有する。前記ヘテロ環化合物は、赤色、緑色、青色及び白色などの全てのカラーの蛍光有機発光素子及びリン光有機発光素子の発光材料または電子輸送材料として使用可能であり、優秀な発光特性を示す。また、本発明の実施形態の他の一側面による有機発光素子は、前記ヘテロ環化合物を、発光材料または電子輸送材料として含み、低電圧、高輝度、高効率及び長寿命特性を有する。更に、本発明の実施形態の他の一側面による有機発光表示装置は、前記有機発光素子を含み、寿命が延長し、電力効率が上昇して消費電力が改善される。
【実施例】
【0153】
以下、合成例及び実施例を挙げながら、本発明の一具現例によるヘテロ環化合物及び有機発光素子について、更に具体的に説明する。しかしながら、本発明が下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。
【0154】
○合成例1
【化41】
【0155】
[中間体1(1)の合成<反応式1>]
ヨードベンゼン22.0g(107.84mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(PdCl
2(PPh
3)
2)3.0g(4.31mmol)及びCuI 1.6g(8.63mmol)を、無水トルエンとジイソプロピルアミンとの混合物(無水トルエン:ジイソプロピルアミンとの体積比は5:1である)200mLに入れて常温で5分間撹拌した。その後、エチニルトリメチルシラン9.1ml(92.99mmol)を徐々に入れ、80℃で18時間撹拌した。反応が完了すると、蒸溜水150mLを入れ、塩化メチレン80mLずつで3回抽出して得た有機層を、硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた後、溶媒を蒸発させて得た残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体1(1)17.86g(102.46mmol、収率95.0%)を得た。生成された化合物をLC−MS(chromatography−mass spectroscopy)で確認した。
C
11H
14Si:M+175.09
【0156】
[中間体1(2)の合成<反応式2>]
中間体1(1)5.0g(28.7mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mLと混合し、THF中のフッ化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium fluoride)(1.0M)40mLを滴加した後で30分間撹拌した。前記反応液に水500mLを添加し、エチルエーテル30mLで3回抽出した。それによって得た有機層を、硫酸マグネシウムを利用して乾燥させ、溶媒を蒸発させて得た残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体1(2)2.8g(収率93%)を得た。生成された化合物をLC−MSで確認した。
C
8H
6:M+103.05
【0157】
[中間体1(3)の合成<反応式3>]
3−ブロモ−2−ヨード−フラン5.0g(18.39mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)((Pd(PPh
3)
4)1.1g(0.92mmol)、CuI 130mg(0.92mmol)を入れて真空環境にした後、N
2雰囲気を作り、THF 50mLを入れて撹拌する。トリエチルアミン7.69mL(55.18mmol)と、中間体1(2)2.25g(22.07mmol)とを徐々に滴加した後、N
2、室温条件で2時間撹拌した。溶媒を、回転蒸発器を利用して除去し、反応液に水50mLを加えてエチルエーテル50mLで3回抽出した。集められた有機層を、硫酸マグネシウムを利用して乾燥させ、溶媒を蒸発して得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体1(3)2.8g(収率61%)を得た。生成された化合物をLC−MSで確認した。
C
12H
7BrO:M+246.95
【0158】
[中間体1(4)の合成<反応式4>]
中間体1(3)3.0g(12.14mmol)、ジベンゾフランボロン酸3.86g(18.21mmol)、Pd(PPh
3)
4 700mg(0.61mmol)、K
2CO
3 5.03g(36.42mmol)を、THF 30.0mLと蒸溜水10.0mLとに溶解させた。120℃に温度を高めて還流しながら24hr撹拌した。反応液を室温に冷やした後、水50mLとジエチルエーテル50mLとで3回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムを利用して乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体1(4)2.1g(収率49%)を得た。生成された化合物をLC−MSで確認した。
C
24H
14O
2:M+335.10
【0159】
[化合物1の合成<反応式5>]
中間体1(4)2.0g(5.98mmol)を塩化メチレン20.0mLに溶かし、トリフルオロ酢酸16.5mL(215.33mmol)を徐々に滴加して1時間室温で撹拌した。反応が終わると、水15.0mLとジエチルエーテル20.0mLとを反応液に添加して3回抽出した。集められた有機層を、硫酸マグネシウムを利用して乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、化合物11.9g(収率95%)を得た。生成された化合物をLC−MS及びNMRで確認した。
【0160】
○合成例2
【化42】
【0161】
中間体2(1)の合成時、ヨードベンゼンの代わりに、2−ヨードナフタレンを使用し、中間体2(3)の合成時、出発物質を、3−ブロモ−2−ヨード−フランの代わりに、2−ブロモ−3−ヨード−ベンゾフランを使用し、中間体2(4)の合成時、ジベンゾフランボロン酸の代わりに、9−フェニル−9H−カルバゾールボロン酸を使用した点を除き、前記合成例1と同一の過程を経て化合物2を合成した。生成された化合物を、LC−MSとNMRとを介して確認した。
【0162】
○合成例3
【化43】
【0163】
中間体3(1)の合成時、ヨードベンゼンの代わりに、4−ヨードピリジンを使用し、中間体3(3)の合成時、出発物質を、3−ブロモ−2−ヨード−フランの代わりに、2−ブロモ−3−ヨード−フランを使用し、中間体3(4)の合成時、ジベンゾフランボロン酸の代わりに、ベンゾ[b]ナフト[2,1−d]フランボロン酸を使用した点を除き、前記合成例1と同一の過程を経て化合物3を合成した。生成された化合物を、LC−MSとNMRとを介して確認した。
【0164】
○合成例4
【化44】
【0165】
中間体4(1)の合成時、ヨードベンゼンの代わりに、2−ヨード−9,9−ジメチル−9H−フルオレンを使用し、中間体4(3)の合成時、出発物質を、3−ブロモ−2−ヨード−フランの代わりに、3−ブロモ−2−ヨード−ベンゾフランを使用し、中間体4(4)の合成時、ジベンゾフランボロン酸の代わりに、9−フェニル−9H−カルバゾールボロン酸を使用した点を除き、前記合成例1と同一の過程を経て化合物4を合成した。生成された化合物を、LC−MSとNMRとを介して確認した。
【0166】
○中間体A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lの合成
【化45】
【0167】
前記代表合成例の反応式1、反応式2と同一の当量及び方法により、中間体A〜Lを合成した。
【0168】
【表1】
【0169】
○化合物5,12,13,19,20,21,25,26,27,28,29,36,39,45,51,54の合成
前記代表合成例の反応式3、反応式4、反応式5と同一の当量及び方法により、上記の化合物17種を合成した。
【0170】
【表2】
【0171】
【表3】
【0172】
【表4】
【0173】
【表5】
【0174】
【表6】
【0175】
[実施例1]
アノードとして、コーニング(Corning)社の15Ω/cm
2(1,200Å)ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水とを利用して、各5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射してオゾンに露出させて洗浄した後、それを真空蒸着装置に装着した。
【0176】
前記ガラス基板の上部に、4,4’,4”−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を真空蒸着して600Å厚の正孔注入層を形成した後、前記正孔注入層の上部に、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)を真空蒸着し、300Å厚の正孔輸送層を形成した。
【0177】
前記ガラス基板の上部に、2−TNATAを真空蒸着し、600Å厚の正孔注入層を形成した後、前記正孔注入層の上部に、NPBを真空蒸着し、300Å厚の正孔輸送層を形成した。
【0178】
前記正孔輸送層の上部に、青色蛍光ホストとして、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(DNA)、及び青色蛍光ドーパントとして、前記化合物1を、98:2の質量比で同時蒸着することにより、300Å厚の発光層を形成した。
【0179】
次に、前記発光層の上部に、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を蒸着し、300Å厚の電子輸送層を形成した。
【0180】
前記電子輸送層の上部に、LiFを蒸着し、10Å厚の電子注入層を形成した後、Alを真空蒸着し、3000Å厚のカソードを形成し、LiF/Al電極を形成することにより、有機発光素子を製造した。
【0181】
[実施例2]
正孔輸送層の形成時、NPBの代わりに、前記化合物2を使用し、発光層の形成時、青色蛍光ホストとして、DNAを使用し、青色蛍光ドーパントとして、4,4’‐ビス(2,2‐ジフェニルエテニル)‐1,1’‐ビフェニル(DPVBi)を使用したことを除き、実施例1と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0182】
[実施例3]
正孔輸送層の形成時、NPBの代わりに、前記化合物3を使用し、発光層の形成時、青色蛍光ホストとして、DNAを使用し、青色蛍光ドーパントとして、DPVBiを使用したことを除き、実施例1と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0183】
[実施例4]
正孔輸送層の形成時、NPBの代わりに、前記化合物4を使用し、発光層の形成時、青色蛍光ホストとして、DNAを使用し、青色蛍光ドーパントとして、DPVBiを使用したことを除き、実施例1と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0184】
[実施例5]
発光層の形成時、青色蛍光ホストとして、DNA、及び青色蛍光ドーパントとして、前記化合物5を、98:2の質量比で同時蒸着することにより、300Å厚の発光層を形成したことを除き、前記実施例1と同一の方法を利用して有機発光素子を製造した。
【0185】
[実施例6]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、前記化合物12、及び緑色リン光ドーパントとして、Irppyを、91:9の質量比で同時蒸着することにより、300Å厚の発光層を形成し、前記発光層の上部に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を蒸着し、50Å厚の正孔阻止層を形成したことを除き、前記実施例1と同一の方法を利用して有機発光素子を製造した。
【0186】
[実施例7]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、前記化合物13を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0187】
[実施例8]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、前記化合物19を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0188】
[実施例9]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、前記化合物20を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0189】
[実施例10]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、前記化合物21を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0190】
[実施例11]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物25を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0191】
[実施例12]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物26を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0192】
[実施例13]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物27を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0193】
[実施例14]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物28を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0194】
[実施例15]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物29を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0195】
[実施例16]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物36を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0196】
[実施例17]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物39を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0197】
[実施例18]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物45を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0198】
[実施例19]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物51を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0199】
[実施例20]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、化合物54を使用したことを除き、実施例6と同一に行い、有機発光素子を製作した。
【0200】
【化46】
【0201】
[比較例1]
発光層の形成時、青色蛍光ホストとして、DNA、及び青色蛍光ドーパントとして、DPVBiを、98:2の質量比で同時蒸着することにより、300Å厚の発光層を形成したことを除き、実施例5と同一の方法を利用して有機発光素子を製造した。
【0202】
[比較例2]
発光層の形成時、緑色リン光ホストとして、CBP、及び緑色リン光ドーパントとして、Irppyを、91:9の質量比で同時蒸着することにより、300Å厚の発光層を形成したことを除き、前記実施例6と同一の方法を利用して有機発光素子を製造した。
【0203】
[評価例]
実施例1〜20による有機発光素子と、比較例1,2による有機発光素子とについて、PR650(Spectroscan)Source Measurement Unit(PhotoResearch社製)を利用して駆動電圧、発光輝度、発光効率及び寿命を評価し、その結果を下記表1に示した。
【0204】
【表7】
【0205】
表1を参照すれば、実施例1〜5による有機発光素子は、比較例1による有機発光素子に比べ、駆動電圧が改善され、発光効率が大幅に向上した優秀なI−V−L特性を示し、特に、輝度及び寿命向上効果に優れていることがわかる。特に、実施例5による有機発光素子は、比較例1による有機発光素子対比で、駆動電圧が1.2Vほど低くなり、効率は、60%ほど上昇し、寿命(LT
97)は、2倍以上延長した。
【0206】
実施例6〜20による有機発光素子は、比較例2による有機発光素子に比べ、駆動電圧が改善され、発光効率が大幅に向上した優秀なI−V−L特性を示し、そのうち、輝度及び寿命向上効果に優れていることがわかる。特に、実施例6による有機発光素子は、比較例1による有機発光素子対比で、駆動電圧が1.2Vほど低くなり、効率は、1000%ほど上昇し、寿命(LT
97)は400%ほど延長した。
【0207】
これにより、実施例1〜20による有機発光素子は、従来の有機発光素子に比べ、高効率、低電圧、高輝度及び長寿命の特性を有するということが分かる。
【0208】
本発明について、前記実施例を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本発明に属する技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的事項によって決まらなければならないのである。
【0209】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。