(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記入力部が受け付けた複数のランドマークそれぞれを投影した複数のランドマーク投影位置を表示する際、各ランドマークを区別可能とするように表示形態を変えることを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、画像処理システムの実施形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理システム1は、超音波診断装置100と、X線診断装置200と、画像保管装置300と、画像処理装置400とを有する。
図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)500により、直接的、又は、間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、医用画像診断システムにPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0011】
図1に例示する各装置は、DICOM規格のデータを送受信することで、他装置から受信したデータを、自装置で読み出したり、表示したりすることが可能となる。なお、本実施形態は、他装置から受信したデータを自装置で処理可能であるならば、任意の規格に則ったデータが送受信される場合であっても良い。
【0012】
超音波診断装置100は、超音波の2次元走査を行なう超音波プローブの位置を操作者が調整することで、任意の断面の超音波画像データを生成する。また、超音波診断装置100は、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを用いることで、超音波の3次元走査を行なって、3次元超音波画像データを生成する。また、X線診断装置200は、X線管とX線検出器とを支持するCアームの位置を固定した状態で撮影を行なうことで、2次元のX線画像データを生成する。なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置100及びX線診断装置200については、後に詳述する。
【0013】
画像保管装置300は、医用画像データを保管するデータベースである。具体的には、画像保管装置300は、超音波診断装置100やX線診断装置200から送信された医用画像データを自装置の記憶部に格納し、保管する。画像保管装置300に保管された医用画像データは、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等の付帯情報と対応付けて保管される。
【0014】
画像処理装置400は、例えば、病院内に勤務する医師や検査技師が医用画像の読影に用いるワークステーションやPC(Personal Computer)等である。画像処理装置400の操作者は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要な医用画像データを画像保管装置300から取得することができる。或いは、画像処理装置400は、超音波診断装置100やX線診断装置200から直接、画像データを受信する場合であっても良い。また、画像処理装置400は、医用画像を読影用に表示する他に、医用画像データに対して各種画像処理を行なうことが可能である。
【0015】
以下では、超音波診断装置100及びX線診断装置200が、本実施形態に係る画像処理方法を協働して実行する場合について説明する。ただし、後述する超音波診断装置100及びX線診断装置200が行なう各種処理の一部又は全ては、画像処理装置400により実行される場合であっても良い。
【0016】
なお、画像処理システム1は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、画像処理システム1は、医用画像データが添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、画像保管装置300は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、画像処理システム1は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。
【0017】
次に、
図1に示す超音波診断装置100の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ110と、モニタ120と、入力部130と、心電計140と、装置本体150とを有する。
【0018】
超音波プローブ110は、超音波の送受信を行なう。例えば、超音波プローブ110は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体150が有する送受信部151から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ110は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ110は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ110は、装置本体150と着脱自在に接続される。
【0019】
超音波プローブ110から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ110が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0020】
ここで、第1の実施形態に係る超音波プローブ110は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブである。具体的には、第1の実施形態に係る超音波プローブ110は、一列に配置された複数の圧電振動子により、被検体Pを2次元で走査するとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブである。或いは、第1の実施形態に係る超音波プローブ110は、複数の圧電振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2Dアレイプローブである。なお、2Dアレイプローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することも可能である。
【0021】
入力部130は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置100の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体150に対して受け付けた各種設定要求を転送する。なお、第1の実施形態に係る入力部130が操作者から受け付ける設定情報については、後に詳述する。
【0022】
モニタ120は、超音波診断装置の操作者が入力部130を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体150において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
【0023】
心電計140は、被検体Pの生体信号として、被検体Pの心電波形(ECG:Electrocardiogram)を取得する。心電計140は、取得した心電波形を装置本体150に送信する。
【0024】
装置本体150は、超音波プローブ110が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。
図1に示す装置本体150は、超音波プローブ110が受信した2次元の反射波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能な装置である。また、
図1に示す装置本体150は、超音波プローブ110が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。
【0025】
装置本体150は、
図1に示すように、送受信部151と、Bモード処理部152と、ドプラ処理部153と、画像生成部154と、画像メモリ155と、解析部156と、制御部157と、内部記憶部158と、インターフェース部159とを有する。
【0026】
送受信部151は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ110に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ110から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ110に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0027】
なお、送受信部151は、後述する制御部157の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬時にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0028】
また、送受信部151は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ110が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0029】
送受信部151は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ110から2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部151は、超音波プローブ110が受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信部151は、被検体Pを3次元走査する場合、超音波プローブ110から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部151は、超音波プローブ110が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0030】
なお、送受信部151からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0031】
Bモード処理部152は、送受信部151から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0032】
ドプラ処理部153は、送受信部151から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0033】
なお、第1の実施形態に係るBモード処理部152及びドプラ処理部153は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部152は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部153は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0034】
画像生成部154は、Bモード処理部152及びドプラ処理部153が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部154は、Bモード処理部152が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部154は、ドプラ処理部153が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。
【0035】
ここで、画像生成部154は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部154は、超音波プローブ110による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部154は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成部154は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0036】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部154が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0037】
更に、画像生成部154は、Bモード処理部152が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部154は、ドプラ処理部153が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成部154は、「3次元Bモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ」として生成する。
【0038】
更に、画像生成部154は、3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)をモニタ120にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう。画像生成部154が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成部154が行なうレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行なう処理や、ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行なう処理がある。また、画像生成部154が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
【0039】
画像メモリ155は、画像生成部154が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ155は、Bモード処理部152やドプラ処理部153が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ155が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部154を経由して表示用の超音波画像データとなる。なお、画像生成部154は、超音波画像データと当該超音波画像データを生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計140から送信された心電波形に対応付けて画像メモリ155に格納する。後述する解析部156や制御部157は、画像メモリ155に格納されたデータを参照することで、超音波画像データを生成するために行なわれた超音波走査時の心時相を取得することができる。
【0040】
内部記憶部158は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部158は、必要に応じて、画像メモリ155が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶部158が記憶するデータは、後述するインターフェース部159を経由して、外部の装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、
図1に示すX線診断装置200や、画像保管装置300、画像処理装置400等である。
【0041】
解析部156は、コンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis:CAD)を行なうために、装置本体150に設置される。解析部156は、画像メモリ155に格納された超音波画像データを取得して、画像解析処理を行なう。そして、解析部156は、解析結果を、画像メモリ155や内部記憶部158に格納する。
【0042】
具体的には、解析部156は、被検体Pを超音波走査することで生成された時系列に沿った超音波画像データ群を解析して、所定組織における局所的な運動に関する解析画像データを生成する。第1の実施形態では、解析部156は、被検体Pを3次元超音波走査することで生成された時系列に沿った3次元超音波画像データ群を解析して、3次元解析画像データを生成する。
【0043】
ここで、所定組織とは、心臓であり、解析部156は、心壁の各領域の運動に関する情報を生成する。そして、解析部156は、超音波画像データの心筋内膜や、心筋内膜と外膜との間に、心壁運動情報をマッピングされた解析画像データを生成する。第1の実施形態に係る解析部156は、3次元超音波画像データ群を用いて、3次元の心壁運動情報を生成する。
【0044】
以下、第1の実施形態に係る解析部156が行なう解析処理について、
図3〜
図7を用いて説明する。
図3〜
図7は、第1の実施形態に係る解析部を説明するための図である。
【0045】
第1の実施形態では、まず、3次元走査可能な超音波プローブ110を用いて、操作者は、被検体Pの心臓の左心系を、例えば、心尖部アプローチにより1心拍以上の期間で3次元走査する。これにより、画像生成部154は、1心拍以上の期間の時系列に沿った複数の3次元超音波画像データを生成し、画像メモリ155に格納する。画像メモリ155に格納された複数の3次元超音波画像データは、少なくとも左心室を含む心臓を1心拍以上の期間で超音波走査することで生成された3次元超音波画像データ群である。なお、上記の3次元超音波画像データ群は、3次元Bモード画像データ群である。
【0046】
そして、解析部156は、
図3に例示するように、1心拍以上の時系列に沿った複数の3次元超音波画像データを取得する。各3次元超音波画像データには、被検体Pの左心室が含まれている。そして、解析部156は、3次元超音波画像データ群から、左心室における心壁運動情報の時系列データを算出する。具体的には、解析部156は、画像データ間のパターンマッチングを含む処理により後述する追跡点を追跡した結果を用いて、心壁運動情報の算出処理を行なう。
【0047】
より具体的には、解析部156は、3次元心エコー法で得られた3次元動画像データに対して3次元スペックルトラッキング(3D Speckle Tracking、以下「3DT」)を行なった結果を用いて、心壁運動情報を算出する。スペックルトラッキング法は、パターンマッチング処理と共に、例えば、オプティカルフロー法や種々の時空間補間処理を併用することで、正確な動きを推定する方法である。また、スペックルトラッキング法には、パターンマッチング処理を行なわずに、動きを推定する方法もある。
【0048】
例えば、入力部130は、操作者から、3次元超音波画像データ群の第1フレーム(第1ボリューム)の表示要求を受け付ける。表示要求が転送された制御部157は、第1フレームの3次元超音波画像データを画像メモリ155から読み出して、モニタ120に表示させる。例えば、制御部157は、第1フレームの3次元超音波画像データを複数方向の断面にて切断した複数のMPR画像データを画像生成部154に生成させ、モニタ120に表示させる。
【0049】
そして、操作者は、モニタ120に表示された複数のMPR画像データを参照して、3DTを行なう追跡点を複数設定する。一例を挙げると、操作者は、各MPR画像データにおいて、左心室内膜や心筋外膜の位置をトレースし、内膜輪郭及び外膜輪郭を指定する。解析部156は、指定された内膜輪郭及び外膜輪郭から、3次元的な内膜輪郭及び3次元的な外膜輪郭を構成する。そして、解析部156は、
図4に例示するように、第1フレームの3次元内膜輪郭を構成する各点を追跡点として設定する。また、図示しないが、解析部156は、第1フレームの3次元外膜輪郭を構成する各点を追跡点として設定する。そして、解析部156は、第1フレームで設定された複数の追跡点それぞれに対して、テンプレートデータを設定する。テンプレートデータは、追跡点を中心とする複数のボクセルから構成される。
【0050】
そして、解析部156は、2つのフレーム間でテンプレートデータのスペックルパターンと最も一致する領域を探索することで、テンプレートデータが次のフレームでどの位置に移動したかを追跡する。これにより、解析部156は、
図4に示すように、第1フレームの各追跡点が、第nフレームのどの位置に移動したかを追跡する。なお、追跡点を設定するためのメッシュは、解析部156が第1フレームに含まれる左心室の心内膜面や心外膜面を検出することで設定する場合であっても良い。
【0051】
解析部156は、左心室全体(例えば、左心室の心内膜及び左心室の心外膜)を対象として、3次元超音波画像データ群に対する3DTを行なう。そして、解析部156は、3次元超音波画像データ群に対する3DTの結果から、各追跡点にて、心壁運動情報の時系列データを生成する。例えば、解析部156は、心内膜及び心外膜の3DTの結果から、心壁運動情報として歪み(Strain)を算出する。解析部156は、長軸(Longitudinal)方向の歪み(LS)や、円周(Circumferential)方向の歪み(CS)、壁厚(Radial)方向の歪み(RS)を算出する。
【0052】
或いは、例えば、解析部156は、内膜の3DTの結果から、心壁運動情報として、左室心内膜面の面積変化率(Area Change ratio:AC)を算出する。或いは、例えば、解析部156は、心内膜又は心外膜の3DTの結果から、変位(Displacement)を算出しても良い。心壁運動情報として変位を用いる場合、解析部156は、長軸方向の変位(LD)や、壁厚方向の変位(RD)を算出することができる。或いは、解析部156は、基準時相(例えば、R波)での追跡点の位置に対する、基準位相以外の時相での追跡点の移動距離(Absolute Displacement:AD)を算出しても良い。また、解析部156は、心臓の動きの非同期性を捕らえるために、Strain値が一定以上大きくなった時間をマッピングする解析結果や、Strain値が最大値に達する時間をマッピングする解析結果を算出してもよい。
【0053】
ここで、解析部156は、追跡点ごとに、心壁運動情報の時系列データを生成する場合であっても、局所的な領域ごとに、心壁運動情報の時系列データを生成する場合であっても良い。例えば、解析部156は、アメリカ心エコー図学会やアメリカ心臓協会が推奨する16や17分画の分割領域を用いて、局所的な心壁運動情報を算出する。例えば、アメリカ心エコー図学会などが推奨する分画としては、前壁中隔(ant-sept.)、前壁(ant.)、側壁(lat.)、後壁(post.)、下壁(inf.)、中隔(sept.)等が挙げられる。
【0054】
そして、例えば、解析部156は、
図5に示すように、各追跡点で得られた心壁運動情報の値をカラーに変換したうえで、3次元の内膜輪郭のサーフェスレンダリング画像にマッピングした3次元解析画像データを生成する。操作者は、視点位置を移動させることで、
図5に例示する3次元解析画像データを、モニタ120にて様々な方向から観察することができる。或いは、例えば、解析部156は、
図6に示すように、各追跡点で得られた心壁運動情報の値をカラーに変換したうえで、16分画のPolar-mapにマッピングした3次元解析画像データを生成する。
【0055】
なお、
図5及び
図6では、心壁運動情報として面積変化率を用いた場合を例示している。また、
図5及び
図6に例示する3次元解析画像データは、特定の時相における3次元解析画像データであり、解析部156は、各時相における3次元解析画像データを生成する。すなわち、解析部156は、時系列に沿った3次元分布画像データ群を生成する。
【0056】
或いは、解析部156は、例えば、各追跡点で得られた心壁運動情報の値をカラーに変換したうえで、3次元超音波画像データの心内膜面と心外膜面との間にマッピングした3次元解析画像データを生成する。かかる3次元解析画像データの表示形態としては、例えば、
図7に示す表示形態が挙げられる。
【0057】
例えば、画像生成部154は、3次元解析画像データから、複数のMPR画像データを生成する。
図7に示す一例では、画像生成部154は、領域Aに表示される画像データとして、16分画の3次元解析画像データから心尖部四腔像のMPR画像データを生成する。また、
図7に示す一例では、画像生成部154は、領域Bに表示される画像データとして、3次元解析画像データから心尖部二腔像のMPR画像データを生成する。
【0058】
また、
図7に示す一例では、画像生成部154は、領域C3に表示される画像データとして、3次元解析画像データから心尖部に近いレベルの短軸像のMPR画像データを生成する。また、
図7に示す一例では、画像生成部154は、領域C7に表示される画像データとして、3次元解析画像データから心基部に近いレベルの短軸像のMPR画像データを生成する。また、
図7に示す一例では、画像生成部154は、領域C5に表示される画像データとして、3次元解析画像データから心尖部と心基部との中間に位置するレベルの短軸像のMPR画像データを生成する。
【0059】
図2に戻って、制御部157は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、制御部157は、入力部130を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部158から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部151、Bモード処理部152、ドプラ処理部153、画像生成部154及び解析部156の処理を制御する。また、制御部157は、画像メモリ155や内部記憶部158が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ120にて表示するように制御する。また、制御部157は、解析部156の処理結果をモニタ120に表示するように制御する。
【0060】
また、制御部157は、解析部156の処理結果や入力部130が操作者から受け付けた設定情報を、後述するインターフェース部159を経由して、外部の装置へ出力する。外部装置は、例えば、
図1に示すX線診断装置200や、画像保管装置300、画像処理装置400等である。第1の実施形態に係る制御部157は、出力データの出力処理を行なうとともに、出力データのデータ形式を制御するための処理部として、
図1に示す出力部157aを有する。なお、出力部157aが行なう処理については、後に詳述する。
【0061】
インターフェース部159は、入力部130、院内LAN500、X線診断装置200、画像保管装置300及び画像処理装置400に対するインターフェースである。例えば、入力部130が受け付けた操作者からの各種設定情報及び各種指示は、インターフェース部159により、制御部157に転送される。また、例えば、出力部157aが出力した出力データは、インターフェース部159により、院内LAN500を介して、X線診断装置200に送信される。
【0062】
次に、
図1に示すX線診断装置200の構成例について、
図8を用いて説明する。
図8は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図である。
図8に例示するように、第1の実施形態に係るX線診断装置200は、X線高電圧装置211と、X線管212と、X線絞り装置213と、天板214と、Cアーム215と、X線検出器216とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置200は、Cアーム回転・移動機構217と、天板移動機構218と、Cアーム・天板機構制御部219と、絞り制御部220と、システム制御部221と、入力部222と、表示部223とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置200は、画像データ生成部224と、画像データ記憶部225と、画像処理部226とを備える。
【0063】
X線高電圧装置211は、システム制御部221の制御に基づいて、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管212に供給する。X線管212は、X線高電圧装置211から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。
【0064】
X線絞り装置213は、絞り制御部220の制御に基づいて、X線管212が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。例えば、X線絞り装置213は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。X線絞り装置213は、絞り制御部220の制御に基づいて、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線管212が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。天板214は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。
【0065】
X線検出器216は、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器216は、マトリックス状に配列された検出素子を有する。各検出素子は、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を画像データ生成部224に送信する。
【0066】
Cアーム215は、X線管212、X線絞り装置213及びX線検出器216を保持する。X線管212及びX線絞り装置213とX線検出器216とは、Cアーム215により被検体Pを挟んで対向するように配置される。
【0067】
Cアーム回転・移動機構217は、Cアーム215を回転及び移動させるための機構であり、天板移動機構218は、天板214を移動させるための機構である。Cアーム・天板機構制御部219は、システム制御部221の制御に基づいて、Cアーム回転・移動機構217及び天板移動機構218を制御することで、Cアーム215の回転や移動、天板214の移動を調整する。絞り制御部220は、システム制御部221の制御に基づいて、X線絞り装置213が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
【0068】
画像データ生成部224は、X線検出器216によってX線から変換された電気信号を用いてX線画像データを生成し、生成したX線画像データを画像データ記憶部225に格納する。例えば、画像データ生成部224は、X線検出器216から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換を行なって、X線画像データを生成する。
【0069】
画像データ記憶部225は、画像データ生成部224によって生成された画像データを記憶する。画像処理部226は、画像データ記憶部225が記憶する画像データに対して各種画像処理を行う。画像処理部226が行なう画像処理については後に詳述する。
【0070】
入力部222は、X線診断装置200を操作する医師や技師等の操作者から各種指示を受け付ける。例えば、入力部222は、マウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティック等を有する。入力部222は、操作者から受け付けた指示を、システム制御部221に転送する。
【0071】
表示部223は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像データ記憶部225が記憶する画像データ等を表示する。例えば、表示部223は、モニタを有する。なお、表示部223は、複数のモニタを有しても良い。
【0072】
システム制御部221は、X線診断装置200全体の動作を制御する。例えば、システム制御部221は、入力部222から転送された操作者の指示に従ってX線高電圧装置211を制御し、X線管212に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量や、X線照射のON/OFFを制御する。また、例えば、システム制御部221は、操作者の指示に従ってCアーム・天板機構制御部219を制御し、Cアーム215の回転や移動、天板214の移動を調整する。また、例えば、システム制御部221は、操作者の指示に従って絞り制御部220を制御し、X線絞り装置213が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
【0073】
また、システム制御部221は、操作者の指示に従って、画像データ生成部224による画像データ生成処理や、画像処理部226による画像処理等を制御する。また、システム制御部221は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや画像データ記憶部225が記憶する画像データなどを、表示部223のモニタに表示するように制御する。
【0074】
ここで、システム制御部221は、超音波診断装置100から受信した出力データを用いて各種処理を行なうために、
図8に示すように、取得部221aを有する。なお、取得部221aが行なう処理については後に詳述する。
【0075】
インターフェース部227は、院内LAN500、X線診断装置200、画像保管装置300及び画像処理装置400に対するインターフェースである。例えば、本実施形態に係るインターフェース部227は、超音波診断装置100が出力した出力データを受信し、受信した出力データをシステム制御部221が有する取得部221aに転送する。
【0076】
以上、第1の実施形態に係る画像処理システム1の全体構成について説明した。かかる構成において、第1の実施形態に係る画像処理システム1では、超音波診断装置100を用いた超音波検査により、治療が必要とされる部位が特定される。具体的には、心臓再同期医療法(CRT:Cardiac Resynchronization Therapy)において、ペースメーカの電極を留置する非同期部位が、解析部156が生成した解析画像データから特定される。ここで、CRTでは、医師は、X線診断装置200によって透視撮影されたX線画像を参照しながら、非同期部位に最も近い静脈に電極を留置する。しかし、X線透視下では、心壁の内外膜面が判別困難であることから、X線画像データと解析画像データとの位置合わせ、すなわち、X線画像データと超音波画像データとの位置合わせが困難であった。
【0077】
そこで、第1の実施形態では、超音波診断で特定された部位をX線透視下で判別するために、
図9に示す各部が以下の処理を行なう。
図9は、第1の実施形態に係る画像処理システムが行なう画像処理方法を実行する処理部を示す図である。
【0078】
第1の実施形態では、まず、超音波診断装置100が有する入力部130は、被検体Pの所定組織を撮影した第1の医用画像データにおいて、ランドマークの設定を受け付ける。具体的には、入力部130は、第1の医用画像データにおいて、第2の医用画像データで判別可能な特定組織に対応する位置にランドマークの設定を受け付ける。上記の第1の医用画像データは、所定組織である心臓が描出され、心臓の運動を解析可能な医用画像データである。具体的には、上記の第1の医用画像データは、心臓の運動を解析可能であり、被検体Pの所定組織(心臓)が描出された超音波画像データである。
【0079】
また、上記の第2の医用画像データは、特定組織が映像化された医用画像データである。具体的には、第2の医用画像データは、所定組織を造影撮影して得られた医用画像データであり、造影撮影されたX線画像データである。或いは、具体的には、第2の医用画像データは、器具が挿入された特定組織を撮影して得られた医用画像データであり、非造影で撮影されたX線画像データである。上記の器具は、特定組織に挿入されたガイドワイヤである。ガイドワイヤは、X線不透過性であるため、ガイドワイヤが挿入された状態で撮影されたX線画像データには、造影剤を注入することなく、特定組織に対応する領域が明瞭に描出される。
【0080】
例えば、第1の実施形態では、入力部130は、被検体Pの所定組織(心臓)が描出された超音波画像データにおいて、X線画像データで判別可能な特定組織に対応する位置にランドマークの設定を受け付ける。
【0081】
そして、超音波診断装置100が有する出力部157aは、第1の医用画像データにおけるランドマークの位置の情報を含むデータを出力データとして出力する。第1の実施形態では、出力部157aは、超音波画像データにおけるランドマークの位置の情報を含むデータを出力データとして出力する。例えば、出力部157aは、解析部156が生成した3次元解析画像データにランドマークの位置の情報を付加したデータを出力データとして出力する。
【0082】
そして、X線診断装置200が有する取得部221aは、出力データを受信し、被検体Pの所定組織を複数の撮影方向から撮影して得られた撮影方向に対応する複数の第2の医用画像データと、出力データから読み込んだランドマークの位置とに基づいて、第2の医用画像データの3次元撮影空間におけるランドマークの3次元位置情報を取得する。或いは、取得部221aは、出力データを受信し、被検体Pの所定組織を1つの撮影方向から撮影して得られた撮影方向に対応する1つの第2の医用画像データと、出力データから読み込んだランドマークの位置とに基づいて、第2の医用画像データの3次元撮影空間におけるランドマークの3次元位置情報を取得する。上記の3次元撮影空間は、X線診断装置200の3次元撮影空間である。また、上記の「複数の第2の医用画像データ」は、X線診断装置200の3次元撮影空間において、複数の撮影方向の撮影で得られた「複数のX線画像データ」である。また、上記の「1つの第2の医用画像データ」は、X線診断装置200の3次元撮影空間において、1つの撮影方向の撮影で得られた「1つのX線画像データ」である。
【0083】
具体的には、取得部221aは、「上記の複数の第2の医用画像データにおける特定組織の位置」と、「出力データから読み込んだランドマークの位置を、3次元撮影空間に配置して、上記の複数の第2の医用画像データに投影したランドマーク投影位置」とに基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得する。或いは、取得部221aは、「上記の1つの第2の医用画像データにおける特定組織の位置」と、「出力データから読み込んだランドマークの位置を、3次元撮影空間に配置して上記の1つの第2の医用画像データに投影したランドマーク投影位置」とに基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得する。
【0084】
換言すると、取得部221aは、3次元撮影空間において、「第2の医用画像データに描出された特定組織」と、「ランドマーク」との対応付けを行なう。ここで、後述するように、ランドマークは、3点以上設定される。ランドマークが3点以上あれば、「1方向の撮影で得られた1つの第2の医用画像データ」を用いても、3次元撮影空間での対応付けが可能である。
【0085】
以下では、取得部221aが、「造影撮影で得られた複数のX線画像データ」を用いて、ランドマークの3次元位置情報を取得する場合について説明する。ただし、以下で説明する内容は、取得部221aが、「造影撮影で得られた1つのX線画像データ」を用いて、ランドマークの3次元位置情報を取得する場合でも適用可能である。また、以下で説明する内容は、「複数のX線画像データ」として「ガイドワイヤ挿入時に複数の撮影方向で撮影された複数のX線画像データ」を用いる場合や、「1つのX線画像データ」として「ガイドワイヤ挿入時に1つの撮影方向で撮影された1つのX線画像データ」を用いる場合でも適用可能である。
【0086】
例えば、取得部221aは、出力データを受信し、被検体Pの所定組織(心臓)を複数方向から撮影した複数のX線画像データそれぞれにおける特定組織の位置と、出力データから読み込んだランドマークの位置をX線画像データの3次元撮影空間に配置して複数のX線画像データそれぞれに投影したランドマーク投影位置とに基づいて、3次元撮影空間におけるランドマークの3次元位置情報を取得する。
【0087】
そして、X線診断装置200が有する表示部223は、ランドマークの3次元位置情報に基づいて、第1の医用画像データが、所定組織の第2の医用画像データに重畳された画像データを表示する。或いは、表示部223は、ランドマークの3次元位置情報に基づいて、第1の医用画像データを解析することで生成された解析画像データが、所定組織の第2の医用画像データに重畳された画像データを表示する。
【0088】
第1の実施形態では、表示部223は、ランドマークの3次元位置情報に基づいて、超音波画像データを解析することで生成された解析画像データが、所定組織(心臓)のX線画像データに重畳された画像データを表示する。
【0089】
以下、
図9に示す各部が行なう処理の一例について、説明する。
図10、
図11、
図12A〜
図12Dは、第1の実施形態に係るランドマークを説明するための図である。
【0090】
上述したように、CRTでは、心臓の周囲を走行する静脈に電極が留置される。すなわち、電極は、冠静脈(Coronary Vein)内に留置される。具体的には、電極は、左心室周囲を走行する冠静脈内に留置される。
図10の左図は、心臓を後面から見た場合に観察される冠静脈を示す図であり、
図10の右図は、心臓を前面から見た場合に観察される冠静脈を示す図である。
【0091】
図10に示すように、冠静脈は、左心房と左心室との境界(左房室間溝)に位置する冠状静脈洞(CS:Coronary Sinus)に集まり、右心房へと走行する。また、
図10に示すように、大心臓静脈(GCV:Great Cardiac Vein)は、心臓の前面での左心室と右心室の境界(前室間溝)から始まり、左房室間溝に沿って後方に走行し、CSに合流する。また、
図10に示すように、中心静脈(MCV:Middle Cardiac Vein)は、心臓の後面での左室と右室の境界(後室間溝)に沿って走行し、CSに合流する。
【0092】
また、
図10に示すように、左心室周囲を走行する冠静脈としては、GCVから分岐する左辺縁静脈(LMV:Left Marginal Vein of great cardiac vein)や、左心室後静脈(PV:Posterior Veins of left ventricle)がある。GCV、MCV,LMV及びPVは、
図10の左図に示すように、左心室表面を心基部から心尖部に向かって走行していることから、医師は、これらの静脈から選択した静脈内において、非同期部位に最も近い位置に電極を留置する。
【0093】
造影撮影により生成されたX線画像データ(X線造影画像データ)では、冠静脈を確認することができる。すなわち、
図11に示すように、CSとGCVとの分岐点、及び、CSとMCVとの分岐点は、X線造影画像データで確認することができる。或いは、CSが走行する線は、X線造影画像データで確認することができる。
【0094】
一方、超音波画像データを観察しても、冠静脈を確認することが困難である。しかし、上述したように、CSは、心基部周囲に位置する。また、GCVは、心臓の前面での左心室と右心室との境界でCSから分岐し、MCVは、心臓の後面での左心室と右心室との境界でCSから分岐する。また、Bモードの超音波画像データでは、心基部や、左心室と右心室との境界を観察することができる。
【0095】
すなわち、CSとGCVとの分岐点に対応する位置、及び、CSとMCVとの分岐点に対応する位置は、Bモードの超音波画像データで確認することができる。或いは、CSの走行線に対応する線は、Bモードの超音波画像データで確認することができる。すなわち、上述した特定組織の一例は、左心室周囲を走行する冠静脈(CS、GCV、MCV)である。
【0096】
そこで、入力部130は、解析画像データの生成に用いた超音波画像データ群を構成する超音波画像データにおいて、冠静脈に対応する位置にランドマークの設定を受け付ける。第1の実施形態に係る入力部130は、3次元解析画像データの生成に用いた3次元超音波画像データ群を構成する3次元超音波画像データに基づく2次元画像データにおいて、冠静脈に対応する位置にランドマークの設定を受け付ける。
【0097】
例えば、収縮末期の3次元解析画像データを出力データに含める場合、操作者は、収縮末期の3次元超音波画像データの表示要求を入力部130に入力する。表示要求が転送された制御部157は、対応する3次元超音波画像データを画像メモリ155から読み出して、モニタ120に表示させる。例えば、制御部157は、3次元超音波画像データを複数レベルのC面で切断したMPR画像データを画像生成部154に生成させ、モニタ120に表示させる。操作者は、モニタ120を参照して、心基部レベルとなるように、切断面の調整を行なう。例えば、操作者は、C7レベルの断面を上下に移動させたり、C7レベルの断面を傾けたりすることで、心基部レベルのMPR画像データを表示させる。
【0098】
そして、操作者は、心基部レベルのMPR画像データを参照して、ランドマークを設定する。ランドマークは、X線画像データの3次元撮影空間と超音波画像データの3次元撮影空間との位置合わせに用いられる。このため、入力部130が受け付けるランドマークは、「3つ以上の点」、又は、「線」、又は、「2つ以上の点及び線」となる。
【0099】
例えば、操作者は、心基部レベルのMPR画像データを参照して、左房室間溝の位置、前面での左心室(LV:Left Ventricular)と右心室(RV:Right Ventricular)との境界、及び、後面でのLVとRVとの境界を確認する。
【0100】
そして、例えば、入力部130は、
図12Aに示すように、CSとGCVとの分岐点に対応する位置に点Aの設定を受け付け、CSとMCVとの分岐点に対応する位置に点Bの設定を受け付ける。更に、例えば、入力部130は、
図12Aに示すように、自由壁側の左房室間溝において、点Aと点Bとの略中間点に点Cの設定を受け付ける。
【0101】
或いは、例えば、入力部130は、
図12Bに示すように、自由壁側の左房室間溝において、CSの走行線に対応する線であり、一定の太さを有する線(線D)の設定を受け付ける。
【0102】
或いは、例えば、入力部130は、
図12Cに示すように、上記の点A及び点Bの設定を受け付け上記の線Dの設定を受け付ける。なお、
図12Cに示す場合に設定される線Dは、点A及び点Bを含まない線であっても良い。
【0103】
なお、ランドマークの設定対象となるMPR画像データは、心基部レベルに限定されない。例えば、ランドマークの設定対象となるMPR画像データは、
図12Dに示すように、「心基部レベルに対応する断面E」のMPR画像データ、「心尖部レベルに近いレベルに対応する断面F」のMPR画像データ、及び、「断面Eと断面Fとの中間に位置する断面G」のMPR画像データであっても良い。かかる場合、3つのMRP画像データにおいて、
図12A,
図12B及び
図12Cで説明したいずれかのランドマークが設定される。
【0104】
そして、
図12A〜
図12Cに例示したランドマークの位置は、出力部157aの処理により、MPR画像データが生成された3次元超音波画像データの3次元空間における座標に変換される。そして、出力部157aは、超音波画像データ、又は、解析画像データ、又は、超音波画像データと解析データとの合成データを解析結果データとする。第1の実施形態では、出力部157aは、3次元超音波画像データ、又は、3次元解析画像データ、又は、3次元超音波画像データ及び3次元解析画像データ、又は、3次元超音波画像データと3次元解析画像データとの3次元合成データを解析結果データとする。
【0105】
上記の3次元超音波画像データは、3次元解析画像データの時相に対応する3次元超音波画像データである。例えば、上記の3次元超音波画像データは、収縮末期の3次元解析画像データに対応する収縮末期の3次元超音波画像データである。また、例えば、上記の3次元解析画像データは、
図6を用いて説明した3次元解析画像データである。
【0106】
そして、出力部157aは、解析結果データにおけるランドマークの位置の情報を当該解析結果データに付加したデータを出力データとして出力する。本実施形態では、出力部157aは、出力データをX線診断装置200に出力する。
【0107】
図13A、
図13B及び
図13Cは、第1の実施形態に係る出力データの一例を示す図である。例えば、出力部157aは、
図13Aに示すように、3次元解析画像データにおけるランドマーク(
図12Aに示す3点)の位置の情報を3次元解析画像データに付加したデータを出力する。
【0108】
或いは、例えば、出力部157aは、
図13Bに示すように、3次元解析画像データにおけるランドマーク(
図12Bに示す線)の位置の情報を3次元解析画像データに付加したデータを出力する。或いは、出力部157aは、
図12Dで説明したように、3レベルの断面それぞれで1点のランドマークが設定された場合、
図13Dに示すように、3次元解析画像データにおけるランドマーク(3点)の位置の情報を3次元解析画像データに付加したデータを出力する。
【0109】
これにより、X線診断装置200の取得部221aは、出力データを受信する。そして、取得部221aは、X線画像データの3次元撮影空間と超音波画像データの3次元撮影空間との位置合わせを、出力データを用いて実行する。
図14、
図15、
図16A及び
図16Bは、第1の実施形態に係る取得部を説明するための図である。
【0110】
まず、取得部221aの制御により、X線診断装置200は、被検体Pの心臓を複数方向から造影撮影して、複数のX線画像データを生成する。例えば、取得部221aの制御により、X線管212は、
図14に示すように、第1方向から被検体PにX線を照射し、X線検出器216は、第1方向にて被検体Pを透過したX線を検出する。これにより、画像データ生成部224は、第1方向のX線画像データを生成する。また、例えば、取得部221aの制御により、X線管212は、
図14に示すように、第2方向から被検体PにX線を照射し、X線検出器216は、第2方向にて被検体Pを透過したX線を検出する。これにより、画像データ生成部224は、第2方向のX線画像データを生成する。
【0111】
そして、取得部221aは、第1方向のX線画像データ及び第2方向のX線画像データと、出力データとを用いて、ランドマークの3次元位置情報を取得する。例えば、取得部221aは、
図15に示すように、3次元解析画像データにおける3点のランドマークを、X線造影画像データに描出された冠静脈に対応付けることで、ランドマークの3次元位置情報を取得する。
【0112】
まず、取得部221aは、解析結果データである3次元解析画像データを、X線診断装置200の3次元撮影空間に配置する。そして、取得部221aは、複数のX線画像データそれぞれにおけるランドマーク投影位置を取得する。ここで、解析結果データが配置される位置は、例えば、操作者により設定される。或いは、配置位置は、例えば、予め設定された位置である。例えば、取得部221aは、3次元撮影空間に配置された3次元解析画像データにおける3点のランドマークを第1方向及び第2方向に投影する。
【0113】
そして、取得部221aは、第1方向のX線画像データにおける3点の投影位置を取得し、画像処理部226は、第1方向のX線画像データに、取得部221aが取得した3点の投影位置それぞれに、点(マーク)を描画する。同様に、取得部221aは、第2方向のX線画像データにおける3点の投影位置を取得し、画像処理部226は、第2方向のX線画像データに、取得部221aが取得した3点の投影位置それぞれに、点(マーク)を描画する。
【0114】
そして、表示部223は、取得部221aの制御により、複数のX線画像データそれぞれにランドマーク投影位置を表示する。例えば、
図16Aの左図に示すように、表示部223は、3点のランドマークを第1方向で投影した位置に3つの点が描画された第1方向のX線画像データを表示する。また、例えば、
図16Bの左図に示すように、表示部223は、3点のランドマークを第2方向で投影した位置に3つの点が描画された第2方向のX線画像データを表示する。
【0115】
そして、取得部221aは、表示部223を参照する操作者が、複数のX線画像データそれぞれにおける特定組織(冠静脈)の位置にランドマーク投影位置を対応付ける操作に基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得する。
【0116】
例えば、操作者は、
図16Aの左図に示す画像を参照し、画像に描出されている3つの点それぞれを、対応する冠静脈の位置まで移動させる。これにより、3つのランドマーク投影位置それぞれは、
図16Aの右図に示すように、第1方向のX線画像データに描出されているCSとGCVとの分岐点、CS上の点及びCSとMCVとの分岐点に対応付けられる。
【0117】
また、例えば、操作者は、
図16Bの左図に示す画像を参照し、画像に描出されている3つの点それぞれを、対応する冠静脈の位置まで移動させる。これにより、3つのランドマーク投影位置それぞれは、
図16Bの右図に示すように、第2方向のX線画像データに描出されているCSとGCVとの分岐点、CS上の点及びCSとMCVとの分岐点に対応付けられる。
【0118】
なお、操作者は、投影したランドマークとX線画像データに描出されているランドマークとが略同じ位置となるように、移動操作を行なう。また、ランドマークが線である場合、操作者は、投影した線の大部分がCSの走行線と重なるように、移動操作を行なう。なお、投影方向によっては、投影したランドマークの点がX線画像データ上で確認できない場合がある。かかる場合を考慮すると、ランドマークは、太さを有する線として設定されたり、
図12Dで説明したように、複数断面それぞれで、2つ以上の点として設定されたりすることが好適である。或いは、投影したランドマークの点がX線画像データ上で確認できるように、X線画像データの投影方向を調整しても良い。
【0119】
なお、本実施形態は、ランドマークだけでなく、解析結果データを投影させても良い。すなわち、解析結果データである3次元超音波画像データや、3次元解析画像データや、これらの合成データを、複数のX線画像データそれぞれに投影させても良い。かかる処理を行なうことで、操作者は、左房室間溝や、前室間溝、後室間溝等も確認しながら、ランドマーク投影位置の対応付けを行なうことができる。なお、上述したように、ランドマーク投影位置の対応付けは、1方向のX線画像データを用いて行なわれても良い。
【0120】
取得部221aは、上記のランドマーク投影位置の移動量及び移動方向に応じて、3次元撮影空間に配置したランドマークの平行移動や、回転移動を行ない、これらの処理を行なった後のランドマークの位置を、ランドマークの3次元位置情報として取得する。なお、ランドマークの平行移動や、回転移動にともない、3次元解析画像データも、3次元撮影空間にて平行移動や、回転移動される。また、移動操作により、ランドマーク間の距離が変更される場合もある。かかる場合、取得部221aは、3次元撮影空間に配置したランドマーク間の距離の変更処理を行なう。かかる処理が行なわれる場合、3次元解析画像データは、3次元撮影空間にて拡大されたり、縮小されたり、変形される。
【0121】
そして、画像処理部226は、ランドマークの3次元位置情報に基づいて3次元撮影空間に再配置した3次元解析画像データ、或いは、ランドマークの3次元位置情報に基づいて3次元撮影空間に再配置して「拡大、縮小、又は、変形」した3次元解析画像データを、医師が所望する方向でリアルタイム撮影されている被検体Pの心臓のX線画像データに投影する。すなわち、画像処理部226は、3次元撮影空間で位置合わせされた3次元解析画像データの投影像を、心臓のX線画像データに重畳した画像データを生成する。なお、医師が所望する方向とは、電極の留置に適したX線画像データを撮影するための方向である。また、医師が所望する方向は、術中任意に変更可能であり、画像処理部226は、3次元解析画像データを、変更後の方向でリアルタイム撮影されている被検体Pの心臓のX線画像データに投影する。
【0122】
図17は、第1の実施形態で表示される画像データの一例を示す図である。医師は、
図17に例示する画像データを参照して、3次元解析画像データの投影像で非同期部位を確認しながら、非同期部位の最も近い位置の静脈内に、電極を留置することができる。なお、3次元解析画像データの投影像は、重畳された画像であることから、操作者の要求に応じて、表示及び非表示の切り替えが可能である。なお、本実施形態は、X線画像データに重畳される3次元解析画像データの投影対象を、非同期部位のみとしても良い。また、重畳される3次元解析画像データの投影像は、任意の不透明度に変更可能である。なお、3次元解析画像データの投影像が重畳されるX線画像データは、X線造影画像データであっても、非造影のX線画像データであっても良い。
【0123】
ここで、解析結果データが3次元超音波画像データである場合には、取得部221aは、ランドマークの3次元位置情報を取得後、超音波診断装置100から対応する3次元解析画像データを取得する。或いは、解析結果データが3次元超音波画像データである場合には、医師が所望する方向で撮影されたX線画像データに重畳される画像データは、3次元解析画像データの投影像以外にも、3次元超音波画像データに基づく画像データであっても良い。かかる3次元超音波画像データに基づく画像データは、例えば、非同期部位の短軸面を含む複数の短軸面の超音波画像データである。
【0124】
また、本実施形態は、ランドマークの3次元位置情報を取得するために、操作者が設定したランドマーク以外の情報を用いても良い。
図18は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図である。すなわち、出力部157aは、更に、所定組織である心臓の形状情報として、少なくとも心外膜位置情報を出力データに含めて出力しても良い。かかる場合、出力部157aは、形状情報として、心外膜位置情報を出力データに含めて出力する。具体的には、心外膜位置情報は、3DT処理で得られた心外膜の3次元ワイヤーフレームデータである。また、心内膜位置情報は、3DT処理で得られた心内膜の3次元ワイヤーフレームデータである。なお、本実施形態は、心内膜位置情報を出力データに含めても良い。
【0125】
そして、表示部223は、ランドマーク投影位置とともに、心外膜位置情報を複数のX線画像データそれぞれに投影した心外膜投影位置を表示する。例えば、表示部223は、
図18に示すように、心外膜の3次元ワイヤーフレームデータを第1方向に投影したデータを、第1方向のX線画像データに重畳表示する。
【0126】
そして、取得部221aは、更に、表示部223を参照する操作者が心外膜投影位置を、複数のX線画像データそれぞれの心外膜の所定位置に対応付ける操作に基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得する。ここで、心外膜の所定位置は、左心室の心尖部である。心尖部は、X線画像データに明瞭に描出されていないものの、操作者が目視で判別することが可能である。本変形例では、操作者は、心外膜の3次元ワイヤーフレームデータの投影像で確認した心尖部を、X線画像データで確認した心尖部まで移動させる。これにより、本変形例では、ランドマークの3次元位置情報をより精度よく取得することができる。なお、心内膜の3次元ワイヤーフレームデータの投影像は、左房室間溝や、前室間溝、後室間溝等の確認作業を行なう際に、補助的な情報として利用することができる。
【0127】
この変形例では、出力部157aは、心外膜位置情報を、表示及び非表示を切り替え可能な特定情報として出力する。具体的には、出力部157aは、特定情報を所定の輝度値で構成した情報として出力する。例えば、出力部157aは、解析結果データを、512階調のうち、511階調の輝度値で構成されるデータとし、心外膜位置情報を、512階調のうち、1階調の輝度値で構成されるデータとして出力する。これにより、心外膜位置情報の表示及び非表示を簡便に切り替えることができる。心外膜投影位置が表示されていると、ランドマーク投影位置の位置合わせが困難になることが想定される。上記の構成で心外膜位置情報を出力データに含めることで、ランドマーク投影位置の位置合わせを円滑の行なうことができる。
【0128】
なお、心外膜位置情報を用いない場合であり、3次元合成データを解析結果データとする場合、出力部157aは、3次元解析画像データを、512階調のうち、511階調の輝度値で構成されるデータとし、3次元超音波画像データを、512階調のうち、1階調の輝度値で構成されるデータとして出力しても良い。これにより、3次元超音波画像データの表示及び非表示を簡便に切り替えることができる。
【0129】
続いて、
図19及び
図20を用いて、第1の実施形態に係る画像処理システム1の処理の流れについて説明する。
図19は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例を説明するためのフローチャートであり、
図20は、第1の実施形態に係るX線診断装置が行なう処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、
図19は、3次元超音波画像データのMPR画像データが表示され、かつ、3次元解析画像データが生成された後に行なわれる処理の一例を示している。
【0130】
図19に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100が有する入力部130は、操作者からランドマークの設定を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、ランドマークの設定を受け付けない場合(ステップS101否定)、入力部130は、ランドマークの設定を受け付けるまで待機する。
【0131】
一方、ランドマークの設定を受け付けた場合(ステップS101肯定)、出力部157aは、解析結果データとランドマークの位置の情報とを出力データとして出力し(ステップS102)、処理を終了する。
【0132】
そして、
図20に例示するように、第1の実施形態に係るX線診断装置200が有する取得部221aは、超音波診断装置100から出力データを受信したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、出力データを受信していない場合(ステップS201否定)、取得部221aは、出力データを受信するまで待機する。
【0133】
一方、出力データを受信した場合(ステップS201肯定)、取得部221aは、X線診断装置200の各部を制御して、複数方向のX線画像データを生成させる(ステップS202)。具体的には、X線診断装置200は、造影剤が注入された被検体Pの心臓を、複数方向から撮影する。
【0134】
そして、取得部221aの制御により、表示部223は、複数のX線画像データそれぞれに、ランドマーク投影位置を重畳表示する(ステップS203)。そして、取得部221aは、操作者からランドマーク投影位置と、複数のX線画像データそれぞれにおける特定組織の位置とを対応付ける対応付け操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。ここで、対応付け操作を受け付けない場合(ステップS204否定)、取得部221aは、対応付け操作を受け付けるまで待機する。
【0135】
一方、対応付け操作を受け付けた場合(ステップS204肯定)、取得部221aは、対応付け操作に基づいて、3次元撮影空間におけるランドマークの3次元位置情報を取得する(ステップS205)。そして、取得部221aの制御により、表示部223は、解析画像データが、X線画像データに位置合わせされた画像データを表示し(ステップS206)、処理を終了する。
【0136】
上述したように、第1の実施形態では、造影撮影により容易にX線画像データで判別可能な特定組織であり、超音波画像データには描出されないが、存在する位置が組織形態から判別可能な特定組織である冠静脈を用いて、超音波画像データとX線画像データとの位置合わせを行なう。これにより、第1の実施形態では、超音波診断で特定された部位をX線透視下で判別することができる。また、第1の実施形態では、位置合わせにより重畳表示可能となった3次元解析画像データの投影像を参照しながら、医師は、非同期部位近くに、電極を留置することが可能となる。
【0138】
第2の実施形態に係る画像処理システム1は、
図1を用いて説明した第1の実施形態に係る画像処理システム1と同様に構成される。ただし、第2の実施形態は、超音波診断装置100が2次元走査専用の装置であっても適用可能である。
【0139】
すなわち、第2の実施形態に係る解析部156は、被検体Pを2次元超音波走査することで生成された時系列に沿った2次元超音波画像データ群を解析して、2次元解析画像データを生成する。第2の実施形態では、まず、操作者は、被検体Pの心臓の左心系の短軸断面を、1心拍以上の期間で2次元走査する。これにより、画像生成部154は、
図21Aに示すように、1心拍以上の期間の時系列に沿った複数の2次元超音波画像データを生成し、画像メモリ155に格納する。画像メモリ155に格納された複数の2次元超音波画像データは、少なくとも左心室を含む心臓の短軸断面を1心拍以上の期間で超音波走査することで生成された2次元超音波画像データ群である。なお、第2の実施形態に係る2次元超音波画像データは、2次元Bモード画像データである。また、第2の実施形態は、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブである超音波プローブ110を用いて、2次元走査を行なう場合であっても良いし、2次元走査専用の超音波プローブ110を用いる場合であっても良い。
【0140】
そして、解析部156は、2次元超音波画像データ群から、心壁運動情報の時系列データを算出する。具体的には、解析部156は、2次元超音波画像データ間のパターンマッチングを含む処理により各追跡点を追跡した結果を用いて、心壁運動情報の算出処理を行なう。第2の実施形態では、2次元スペックルトラッキング処理(2D Speckle Tracking、以下「2DT」)が行なわれる。
【0141】
例えば、入力部130は、操作者から、2次元超音波画像データ群の第1フレームの表示要求を受け付ける。表示要求が転送された制御部157は、第1フレームの2次元超音波画像データを画像メモリ155から読み出して、モニタ120に表示させる。
【0142】
そして、操作者は、モニタ120に表示された2次元超音波画像データを参照して、2DTを行なう追跡点を複数設定する。一例を挙げると、操作者は、2次元超音波画像データにおいて、左室内膜や心筋外膜の位置をトレースする。解析部156は、トレースされた内膜面や外膜面から2次元的な境界面を再構成する。そして、解析部156は、
図21Bに例示するように、第1フレームの内膜面及び外膜面それぞれにおいて、ペアとなる複数の追跡点を設定する。解析部156は、第1フレームで設定された複数の追跡点それぞれに対して、テンプレートデータを設定する。テンプレートデータは、追跡点を中心とする複数のピクセルから構成される。
【0143】
そして、解析部156は、2つのフレーム間でテンプレートデータのスペックルパターンと最も一致する領域を探索することで、テンプレートデータが次のフレームでどの位置に移動したかを追跡する。なお、追跡点は、解析部156が第1フレームに含まれる左心室の内膜面や外膜面を検出することで設定する場合であっても良い。
【0144】
これにより、解析部156は、歪みや変位等の心壁運動情報の時系列データを算出する。例えば、解析部156は、心内膜及び心外膜の2DTの結果から、心壁運動情報として歪み(Strain)を算出する。解析部156は、円周方向の歪みや、壁厚方向の歪みを算出する。或いは、解析部156は、心内膜又は心外膜の2DTの結果から、変位を算出する。解析部156は、円周方向の変位や、壁厚方向の円周方向の歪みや、壁厚方向の歪みを算出する。
【0145】
そして、例えば、解析部156は、16分画それぞれの心壁運動情報の値をカラーに変換したうえで、2次元超音波画像データの心内膜面と心外膜面との間にマッピングした2次元解析画像データを生成する。すなわち、第2の実施形態に係る解析部156が生成する2次元解析画像データは、
図7に例示したC面の解析画像データに対応するデータである。
【0146】
そして、第2の実施形態に係る入力部130は、2次元超音波画像データ群を構成する2次元超音波画像データにおいて、ランドマークの設定を受け付ける。例えば、収縮末期の2次元解析画像データが選択された場合、ランドマークは、収縮末期の2次元超音波画像データにて設定される。例えば、入力部130は、第1の実施形態で
図12Cを用いて説明した2点と太さを有する線とで構成されるランドマークを受け付ける(
図22の左図を参照)。
【0147】
そして、第2の実施形態に係る出力部157aは、2次元超音波画像データ、又は、2次元解析画像データ、又は、2次元超音波画像データ及び2次元解析画像データ、又は、2次元超音波画像データと2次元解析画像データとの2次元合成データを解析結果データとする。そして、出力部157aは、解析結果データにおけるランドマークの位置の情報を当該解析結果データに付加したデータを出力データとして出力する。以下では、2次元超音波画像データと、当該2次元超音波画像データの心内膜面と心外膜面との間に心壁運動情報の値をカラーマッピングした2次元解析画像データとの2次元合成データを、解析結果データとする場合について説明する。
【0148】
そして、第2の実施形態に係る取得部221aは、第1の実施形態で説明したように、複数方向で撮影した複数のX線画像データと、ランドマーク投影位置とに基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得する。すなわち、取得部221aは、
図22に示すように、2次元解析画像データにおける2点及び線のランドマークを、X線造影画像データに描出された冠静脈に対応付けることで、ランドマークの3次元位置情報を取得する。なお、第2の実施形態においても、取得部221aは、1方向で撮影した1つのX線画像データと、ランドマーク投影位置とに基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得しても良い。
【0149】
例えば、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、2次元解析画像データを3次元撮影空間に配置したうえで、ランドマークを、第1方向のX線画像データと第2方向のX線画像データとに投影する。そして、第2の実施形態でも、操作者は、
図23の左図に示すように、ランドマーク投影位置が、X線造影画像データに描出された冠静脈に一致するように、操作を行なう。これにより、ランドマークの3次元撮影空間における位置が修正され、2次元解析画像データの3次元撮影空間における位置が修正される。なお、第2の実施形態においても、操作者の操作によっては、2次元解析画像データが変形される。
【0150】
そして、第2の実施形態においても、3次元撮影空間に再配置された2次元解析画像データを医師が所望する方向へ投影することで、
図23の右図に示すように、2次元解析画像データが、心臓のX線画像データに重畳された画像データが表示部223にて表示される。なお、
図23の右図に示す一例では、2次元合成データの投影像がX線画像データに位置合わせされた状態で重畳表示されている。なお、第2の実施形態において、X線画像データに位置合わせされた状態で重畳表示される画像データは、例えば、非同期部位の短軸面の超音波画像データであっても良い。
【0151】
なお、第2の実施形態に係る処理の流れは、解析画像データが2次元である以外、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、第1の実施形態で説明した内容は、解析画像データが2次元である以外、可能な範囲で、第2の実施形態でも同様に適用される。
【0152】
上述したように、第2の実施形態では、2次元データの処理のみ可能である超音波診断装置100を用いる場合であっても、超音波画像データとX線画像データとの位置合わせを行なうことができる。なお、第2の実施形態では、位置合わせにより重畳表示可能となる投影像が、2次元解析画像データの投影像であることから、非同期部位を広範囲で確認することはできないが、医師は、非同期部位に近い静脈を確認することができるので、従来と比較して、治療効果が高い位置に電極を留置することができる。
【0154】
第3の実施形態に係る画像処理システム1は、
図1を用いて説明した第1の実施形態に係る画像処理システム1と同様に構成される。ただし、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100とは異なり、
図24に示すように、超音波プローブ110に位置センサ160が取り付けられ、更に、トランスミッター161が設置される。
【0155】
位置センサ160及びトランスミッター161は、超音波プローブ110の位置情報を取得するための装置である。例えば、位置センサ160は、超音波プローブ110に取り付けられる磁気センサである。また、例えば、トランスミッター161は、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。
【0156】
位置センサ160は、トランスミッター161によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、位置センサ160は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッター161を原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を装置本体150に送信する。ここで、位置センサ160は、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、超音波プローブ110の3次元位置情報として、装置本体150に送信する。具体的には、位置センサ160は、超音波プローブ110の3次元位置情報を、出力部157aに送信する。
【0157】
なお、本実施形態は、位置センサ160及びトランスミッター161を用いた位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ110の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、超音波プローブ110の位置情報を取得する場合であっても良い。
【0158】
そして、第3の実施形態では、解析部156は、被検体Pを複数の走査断面それぞれを走査することで生成された複数の時系列に沿った2次元超音波画像データ群を解析して、複数の2次元解析画像データを生成する。そして、入力部130は、複数の2次元超音波画像データ群それぞれを構成する複数の2次元超音波画像データそれぞれにおいて、ランドマークの設定を受け付ける。
【0159】
例えば、入力部130は、「C3レベルの収縮末期の2次元解析画像データに対応する2次元超音波画像データ」、「C5レベルの収縮末期の2次元解析画像データに対応する2次元超音波画像データ」及び「C7レベルの収縮末期の2次元解析画像データに対応する2次元超音波画像データ」それぞれで、
図25Aに示すように、2点と線とで構成されるランドマークの設定を受け付ける。
【0160】
そして、出力部157aは、ランドマークの設定に用いた複数の2次元解析画像データそれぞれに対応する複数の2次元解析結果データそれぞれにランドマークの位置の情報を付加する。更に、出力部157aは、位置センサ160が取得した位置情報(3次元位置情報)から定まる複数の2次元解析結果データ間の相対的位置関係を示す相対位置情報を付加する。そして、複数の2次元解析結果データそれぞれにランドマークの位置の情報が付加され、更に、相対位置情報が付加されたデータを出力データとして出力する。
【0161】
そして、第3の実施形態に係る取得部221aは、出力データから読み込んだ相対位置情報に基づいて、
図25Bに示すように、3次元撮影空間に複数の2次元解析結果データを配置する。例えば、第3の実施形態では、各2次元解析結果データにおけるランドマークを、第1方向のX線画像データと第2方向のX線画像データとに投影する。そして、第3の実施形態でも、操作者は、ランドマーク投影位置が、X線造影画像データに描出された冠静脈に一致するように、操作を行なう。これにより、
図25Cに示すように、3断面それぞれのランドマークの3次元撮影空間における位置が修正される。また、これにともない、各2次元解析画像データの3次元撮影空間における位置が修正される。なお、第3の実施形態においても、操作者の操作によっては、各2次元解析画像データが変形される。ここで、第3の実施形態においても、取得部221aは、1方向で撮影した1つのX線画像データと、3断面それぞれのランドマーク投影位置とに基づいて、ランドマークの3次元位置情報を取得しても良い。
【0162】
そして、第3の実施形態においても、3次元撮影空間に再配置された複数の2次元解析画像データを医師が所望する方向へ投影することで、複数の2次元解析画像データそれぞれが、心臓のX線画像データに重畳された画像データが表示部223にて表示される。例えば、第3の実施形態においては、複数の2次元合成データの投影像それぞれがX線画像データに位置合わせされた状態で重畳表示される。なお、第2の実施形態において、X線画像データに位置合わせされた状態で重畳表示される画像データは、例えば、非同期部位の短軸面を含む複数の短軸面の超音波画像データであっても良い。
【0163】
ここで、第3の実施形態は、以下に説明する変形例により行なわれても良い。本変形例では、出力部157aは、複数の2次元解析データそれぞれに対応する複数の2次元解析結果データを、位置センサ160が取得した位置情報に基づいて3次元空間に配置することで、3次元解析結果データとする。そして、出力部157aは、3次元解析結果データにおけるランドマークの位置の情報を当該3次元解析結果データに付加したデータを出力データとして出力する。そして、取得部221aは、3次元撮影空間に3次元解析結果データを配置する。この変形例では、3次元解析結果データを配置した後の処理は、第1の実施形態と同様の処理となる。
【0164】
なお、上記の第3の実施形態において、2次元超音波走査が行なわれる断面は、短軸断面に限定されるものではない。例えば、第3の実施形態において、2次元超音波走査が行なわれる断面は、
図26に示すように、3つの短軸断面及び心尖部を含む長軸断面であっても良い。かかる場合、長軸断面の2次元超音波画像データには、心尖部に対応する1点がランドマークとして設定可能である。また、第1の実施形態で説明した内容は、解析画像データが複数の2次元データである以外、可能な範囲で、第3の実施形態でも同様に適用される。
【0165】
上述したように、第3の実施形態では、複数の2次元解析画像データを用いることで、1つの2次元解析画像データを用いる場合と比較して、医師は、非同期部位を広範囲で確認することができる。従って、第3の実施形態では、第2の実施形態と比較して、治療効果が高い位置に電極を留置することができる。
【0166】
なお、上記の第1〜第3の実施形態では、入力部130が点や線により示される複数のランドマークを受け付けて、表示部223が複数のランドマークを示す点や線を、X線画像データに投影して表示する場合について説明した。しかし、上記の第1〜第3の実施形態では、表示部223は、入力部130が受け付けた複数のランドマークそれぞれを投影した複数のランドマーク投影位置を表示する際、各ランドマークを区別可能とするように表示形態を変える場合であっても良い。
【0167】
例えば、表示部223は、取得部221aの制御により、各ランドマークを区別可能とするように、点や線として表示される複数のランドマークそれぞれの脇に、ランドマークごとに異なる文字や、記号、マーク、添え字の少なくとも1つを表示する。或いは、又は、更に、例えば、表示部223は、取得部221aの制御により、各ランドマークを区別可能とするように、複数のランドマークそれぞれの大きさや、形、濃度、色の少なくとも1つを変更して表示する。例えば、表示部223は、複数の点を投影表示する際、各点の大きさ、各点の形、各点の濃さ、各点の色の少なくとも1つを変更して表示する。
【0168】
これにより、操作者は、表示形態の違いにより、ランドマーク同士を区別して、各ランドマーク投影位置を対応付ける操作を容易に行なうことができる。なお、上記の表示形態の変更処理は、取得部221aの制御により自動的に行なわれる場合の他に、操作者が入力部130を用いて点や線を複数のランドマークとして入力する際に、「T」が「L」等の文字や、記号、マーク等を、各ランドマークの脇に入力したり、複数のランドマークそれぞれを区別可能なように各ランドマークを描画したりすることで実行される場合であっても良い。
【0169】
また、上記の第1〜第3の実施形態で説明した各部の処理は、画像処理装置400が実行する場合であっても良い。例えば、解析画像データの生成処理、ランドマークの設定受け付け処理、出力データの出力処理、ランドマークの3次元位置情報の取得処理の一部又は全ては、画像処理装置400が実行する場合であっても良い。位置合わせされた解析画像データとX線画像データとの重畳画像も、画像処理装置400が生成する場合であっても良い。すなわち、上記の第1〜第3の実施形態で説明した各処理部の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0170】
また、上記の第1〜第3の実施形態では、第1の医用画像データが、超音波画像データである場合について説明した。しかし、上記の第1〜第3の実施形態で説明した内容は、第1の3次元医用画像データが、所定組織である心臓が描出され、心臓の運動を解析可能な医用画像データであるならば、適用可能である。例えば、第1〜第3の実施形態で説明した内容は、第1の医用画像データが、心筋が染影された時相のX線CT画像データ、又は、心筋が染影された時相のMRI画像データである場合であっても適用可能である。
【0171】
また、上記の第1〜第3の実施形態では、X線画像データで判別可能な特定組織に対応する位置にランドマークを超音波画像データに設定して、X線画像データと超音波画像データとの位置合わせを行なう場合について説明した。すなわち、上記の第1〜第3の実施形態では、第2の医用画像データが、X線画像データである場合について説明した。しかし、上記の第1〜第3の実施形態で説明した画像処理方法は、第1の医用画像データと位置合わせを行なう対象が、X線画像データとは異なる種類の医用画像データであっても適用可能である。すなわち、第1〜第3の実施形態で説明した画像処理方法は、第2の医用画像データが、特定組織が映像化された医用画像データであるならば、適用可能である。例えば、第2の医用画像データは、X線CT(Computed Tomography)画像データや、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像データ等である。かかる場合、画像処理システムは、被検体の所定組織が描出された超音波画像データにおいて、他種医用画像データで判別可能な特定組織に対応する位置にランドマークの設定を受け付ける。そして、画像処理システムは、超音波画像データにおけるランドマークの位置の情報を含むデータを出力データとして出力する。そして、画像処理システムは、被検体の所定組織を複数方向から撮影した複数の他種医用画像データそれぞれにおける特定組織の位置と、出力データから読み込んだランドマークの位置を他種医用画像データの3次元撮影空間に配置して複数の他種医用画像データそれぞれに投影したランドマーク投影位置とに基づいて、3次元撮影空間における前記ランドマークの3次元位置情報を取得する。そして、画像処理システムは、ランドマークの3次元位置情報に基づいて、超音波画像データを解析することで生成された解析画像データが、所定組織の他種医用画像データに重畳された画像データを表示する。かかる処理により、超音波診断で特定された部位を他種の医用画像データにおいても判別することができる。
【0172】
また、上記の第1〜第3の実施形態で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0173】
以上、説明したとおり、第1の実施形態〜第3の実施形態によれば、超音波診断で特定された部位をX線透視下で判別することができる。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。