特許第6297295号(P6297295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297295
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20180312BHJP
   B43M 11/06 20060101ALI20180312BHJP
   B65H 35/07 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   B43L19/00 H
   B43M11/06
   B65H35/07 D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-213627(P2013-213627)
(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公開番号】特開2015-74211(P2015-74211A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100116344
【弁理士】
【氏名又は名称】岩原 義則
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】福江 真弥
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−073182(JP,A)
【文献】 特開2001−310860(JP,A)
【文献】 特開平08−187996(JP,A)
【文献】 特開2000−355192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B43M 11/06
B65H 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープの基材を巻き取る巻取軸部、転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備え、転写テープを前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸と直交するように捻って搬送する経路を有すると共に前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸と直交する対向面を被転写体に対して寝かして使用する転写具において、前記送出軸部及び前記巻取軸部を積層すると共に前記筐体を前記転写部の転写テープの搬送面幅中央から前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸を結んだ線を対称軸として使用者の手前と反手前側で略対称に形成し、かつ該対称軸の同一線上で転写部と前記送出軸部及び前記巻取軸部との間に1本のガイドピンを設けると共に該ガイドピンにおける一方端側と他方端側の各々の中央に、外径が拡大又は縮小した部位を形成して該ガイドピンの一方端側と他方端側で送出側と巻取側の基材の搬送を案内するよう構成し、さらに前記ガイドピンに柔軟性の高い離型性材料で形成されたローラを設けたことを特徴とする転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出軸部及び巻取軸部の軸と直交する面を被転写体に対して水平状にして使用するいわゆる横引タイプの転写具において、小型化を図りつつ、転写時の視認性や持ちやすさを損なうことなく、右利き、左利きに関係なく搬送が良好で使用しやすい転写具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写媒体を紙などの被転写体に転写する転写具は、主要構成として、筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取軸部、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備えている。なお、以下、特別に転写テープ、転写媒体を説明しない限り、送出側における転写テープ、巻取側における基材、を総称して「基材」と言うこととする。
【0003】
転写具は、筐体から露出した転写部を被転写体に向けて押しつけたまま、被転写体上で全体を移動させることにより、基材と被転写体との相対移動が送出軸部の送出駆動力(及び巻取軸部の巻取駆動力)となって、送出軸部から基材が引き出され(巻取軸部で基材が巻き取られ)、この基材の搬送時に転写部において基材上の転写媒体が被転写体へ転写される。
【0004】
転写具は、使い勝手の多様化に応えるべく、筐体における、送出軸部及び巻取軸部の軸と直交する面(以下、「対向面」という)を被転写体に対して、斜め、つまり該対向面を被転写体に面するように寝かして、転写部における基材の搬送面と平行となるようにして使用する種類(以下、これを「横引タイプ」という)と、直交、つまり該対向面を被転写体に対して立てて、転写部における基材の搬送面と直交となるように使用する種類(以下、これを「縦引タイプ」という)と、が存在する。
【0005】
縦引タイプの転写具は、筐体全体において前記対向面のそれぞれの外側を押さえて(掴んで)使用する。一方、横引タイプの転写具は、筐体全体において前記対向面を被転写体に対して寝かせるようにし、該筐体の一方及び他方の対向面の辺縁に連続して直交状に形成された筐体としての厚みとなる部位(以下、「側面」という)を把持して使用する。
【0006】
本願において前提とする横引タイプの転写具は、一般的に、筐体を寝かして該筐体の側面を把持して使用するので、筐体を手が被転写体を転写部位の邪魔にならず、視認性に優れて使いやすいという利点と、比較的幅の広い側面を把持することから持ちやすく使いやすいという利点と、を有している。
【0007】
転写具は、基材の、特に送出軸部から転写部までの搬送経路を直線化することで、搬送不良を予防できる関係上、巻取軸部と送出軸部とを筐体の側面方向の一方に大きく張り出し、他方の側面形状を直線状するようにすることが一般的である。
【0008】
例えば縦引タイプでは、被転写体側の側面形状を直線状にして、送出軸部からの基材の搬送経路を直線化している。この関係で横引タイプも右利きの場合の使用者の手前又は反手前における側面を張り出し、送出軸部からの基材の搬送経路を直線化するようにしている。
【0009】
ここで、縦引タイプでは、右手で転写具を把持し、横書き文書の場合、左から右へ該転写具を移動させる(引く)右利き使用であっても、左手で転写具を把持して横書き文書の場合、右から左へ該転写具を移動させる(引く)、あるいは左から右へ該転写具を移動させる(押す)左利き使用であっても、上記した側面形状の張り出しは、右利き、左利きを問わず、把持する位置(対向面)ではないので、特段、気になることはない。
【0010】
ところが、例えば特許文献1に示すような一般的な横引タイプの転写具では、上記した側面形状の張り出しは使用者の手前側に位置する場合と反手前側に位置する場合とがあり、右利き使用の場合と、左利き使用の場合とで、この手指に対する張り出し位置が異なって、使用感も異なる場合がある。
【0011】
そこで、こうした横引タイプの転写具の利き手の使用感の相違を解消するには、側面形状の張り出しを使用者の手前と反手前とで均一的に、つまり横引タイプにおける転写部の基材搬送幅中央を軸に側面両方向に同じだけ張り出すように構成することが考えられる。
【0012】
横引タイプの転写具は、送出軸部と巻取軸部の軸方向に対して転写部における基材の搬送面が直交している。つまり送出軸部と巻取軸部では基材はその面が軸周面と平行とされるが、転写部においてはその面が直交となる。したがって、基材は送出軸部から転写部、転写部から巻取軸部、の各搬送経路において基材の面が90°捻られている。
【0013】
基材を90°捻るには、上記特許文献1にも示されるとおり、基材の搬送経路において、送出側と巻取側とで各々1本ずつ合計2本のガイドピンが対向面間に送出軸部と巻取軸部の軸と平行に立設する必要がある。
【0014】
このガイドピンの位置は横引タイプの転写具における基材の搬送に大きく関係しており、基材は上記のとおり搬送経路の送出側と巻取側でそれぞれのガイドピンで各々90°捻るが、その際、ガイドピンの位置、すなわち転写部の転写面幅方向を中心とする距離によっては、基材の幅方向の両端でテンションの差が生じる。
【0015】
基材は、幅方向両端において捻る軌道上、転写部の搬送面幅方向中心に対する外側(遠側)に、内側(近側)より高いテンションがかかり、転写部においては搬送面の幅方向両端で前記テンション差に起因してテンションの高い側へ向かう斜行搬送が生じる。
【0016】
基材の斜行搬送が生じると、被転写体上で意図する箇所に正確に転写媒体を転写できないことがあるうえ、転写部の搬送面の両端にガイド壁が設けられている場合は該ガイド壁に擦れて基材(送出経路においては転写媒体)の幅方向端部が損傷し、ガイド壁が設けられていない場合は転写部の搬送面から基材がはみ出て脱線する場合がある。
【0017】
この斜行搬送を回避するには、転写部と送出軸部の間にガイドピンを転写部の搬送面の(幅方向)中心線よりも外方、かつ、転写部と巻取軸部の間に設けたガイドピンを該中心線よりも内方、の条件を満たすように配設する構成が考えられる。
【0018】
ところが、ガイドピンを1本設ける場合、右利きの使用者を想定した側面形状の張り出しが使用者の手前側に位置する側面形状の転写具では設計上の余裕があるが、該張り出しが使用者の手前と反手前で均等にした筐体形状の横引タイプの転写具では、ガイドピン1本で送出側と巻取側の基材の搬送を案内することができず、どうしてもガイドピンが2本必要となってしまう。
【0019】
単純にガイドピンを2本設けるとしても、この場合、2本のうちのいずれか又は両方のガイドピンが基材の転写部の転写面幅中央と送出軸部の軸中心とを結んだ仮想線(以下、「パスライン」という)を外れると、基材幅において経路の遠い側が近い側よりテンションが高い状態が生じ、結局のところ、基材が蛇行しやすくなってしまう。この現象は小型の転写具に顕著であると共に、小型であれば当然に内部空間にガイドピンを2本設けることも困難な場合も生じる。
【0020】
上記の点を解消するためには、次の構成とすることが考えられる。例えば特許文献2〜5に示す転写具のように、送出軸部と巻取軸部を同軸で積層する転写具を採用し、パスライン上に1本のガイドピンを立設して該ガイドピンの軸方向の一方端と他方端で基材を案内するようにすれば、ガイドピンが内部空間を占める割合も減り、横引タイプに固有の基材のテンション差による斜行、右利き、左利きの使用感の相違が解消できる。
【0021】
しかしながら、特許文献2〜5を中心とした上記構成(以下、従来構成という)においても次の問題が生じる。まず、送出軸部における転写テープの巻装は、通常、転写媒体が外側(基材に対して外周側)とされている。この理由は、転写媒体が内側(基材に対して内周側)に位置すると、巻装状態から送り出されるときに転写媒体が送り出される基材から剥離しやすくなり、巻装状態の基材に転写媒体が残留するいわゆるブロッキングが生じやすいからである。
【0022】
上記理由により転写テープは、通常、基材の外側に転写媒体を塗布して巻装している。ところが、従来構成、すなわち、送出軸部と巻取軸部を同軸で積層し、1本のガイドピンをパスライン上に配置した構成では、送出側の搬送経路において基材の外側に塗布されている転写媒体が該ガイドピンと接触し、転写部に到達する前に、ガイドピンに転写媒体が取られて(付着して)しまい、この結果、転写テープの機能を果たさない、あるいはガイドピンが円滑に基材をガイドせず、使用上の問題が生じることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2005−187176号公報
【特許文献2】特開2000−355192号公報
【特許文献3】特表2000−506109号公報
【特許文献4】特表2000−514725号公報
【特許文献5】特開平8−267992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
解決しようとする問題点は、横引タイプの転写具において、筐体の側面形状の張り出しが使用者の手前側と反手前側とで均等にすると共にガイドピンの偏りに起因した基材の蛇行を抑制しようとして、送出軸部と巻取軸部を同軸で積層し、かつガイドピンをパスライン上に1本設けた構成としてもなお、転写テープの転写媒体が該ガイドピンの周面に接触して基材搬送(走行)及び使用に障害が生じる点である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープの基材を巻き取る巻取軸部、転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備え、転写テープを前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸と直交するように捻って搬送する経路を有すると共に前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸と直交する対向面を被転写体に対して寝かして使用する転写具において、前記送出軸部及び前記巻取軸部を積層すると共に前記筐体を前記転写部の転写テープの搬送面幅中央から前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸を結んだ線を対称軸として使用者の手前と反手前側で略対称に形成し、かつ該対称軸の同一線上で転写部と前記送出軸部及び前記巻取軸部との間に1本のガイドピンを設けると共に該ガイドピンにおける一方端側と他方端側の各々の中央に、外径が拡大又は縮小した部位を形成して該ガイドピンの一方端側と他方端側で送出側と巻取側の基材の搬送を案内するよう構成し、さらに前記ガイドピンに柔軟性の高い離型性材料で形成されたローラを設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上記構成とすることで、基材の外側(外周)に塗布された転写媒体は送り出しの搬送経路において、ガイドピンに設けたローラが回転すること及び該ローラが離型性材料で形成されていることから、転写媒体が該ローラに付着しても基材から剥がれることがなく、よって転写テープの機能を確実に果たし、かつ走行上の支障となることがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の転写具の全体構造を示す巻取軸部が紙面手前となった方向から見た正面図である。
図2図2は本発明の転写具の構造を示す分割斜視図(巻取軸部が上部)である。
図3図3本発明の転写具の筐体を除く構造を示し、(a)は巻取軸部側から見た正面図、(b)は図1の状態に対する平面図、(c)は送出軸部側から見た底面図、である。
図4図4は本発明の転写具の構造を示し、(a)送出軸部を上部として視た斜視図、(b)はガイドピンとローラの拡大図、である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、横引タイプの転写具において、送出軸部と巻取軸部を積層し、かつガイドピンをパスライン上に1本設けた構成とした場合において転写媒体が該ガイドピンの周面に接触して基材搬送(走行)及び使用に障害が生じるという問題点を、離型性材料で形成された回転自在なローラをガイドピンに設けることで解消した。
【0029】
また、本発明は、ガイドピンにおける一方端側と他方端側の各々の中央に、外径が拡大又は縮小した部位を形成し、このガイドピンに柔軟性の高い離型性材料で形成されたローラを設けていで、ローラが基材のテンションに径方向で追従し、かつガイドピンが一方端側と他方端側のそれぞれの中央部位で基材幅中央をガイドする。よって、このようにすれば、ガイドピンの一方端部と他方端部を搬送される基材同士の接触が防止され、走行が安定する。
【実施例】
【0030】
以下、図1図4参照して本発明の具体的実施形態について説明する。1は、本発明の転写具である。本発明における転写具1は、筐体2内に、転写媒体が塗布された基材(=転写テープ)が巻装された送出軸部3、転写テープのうちの基材を巻き取る巻取軸部4、及び転写テープのうちの転写媒体を被転写体へ転写する転写部5を備えている。
【0031】
なお、以下の説明では、特に転写媒体、転写テープと記さない限り、送出側及び巻取側の経路上で搬送されるのは基材(送出側ではこの基材に転写媒体が塗布されている、巻取側では基材だけが搬送される)であることから、全般的に「基材」と記して説明することとする。
【0032】
また、図1図3は、巻取軸部4が転写具1の「上部」に、送出軸部3が転写具1の「下部」に、それぞれ現れるように示しており、図4は、巻取軸部4が転写具1の「下部」に、送出軸部3が転写具1の「上部」に、それぞれ現れるように転写具1を図1図3の状態から上下反転させて示している。ただし、視る位置が変わっただけで構成は同じである。
【0033】
本発明における転写具1は、図2に示すように送出軸部3(図2では下部)及び巻取軸部4(図2では上部)を後述する軸2Cで積層され、筐体2が図1に示すように転写部5の転写テープの搬送面幅中央から送出軸部3及び巻取軸部4の後述する軸2Cを結んだ線を対称軸L(図1二点鎖線)として使用者の手前(図1では紙面下)と反手前側(図1では紙面上)で略対称に形成されている。
【0034】
本発明における転写具1では、上記対称軸Lは、転写部5の転写面幅中央と送出軸部3の軸中心とを結んだパスラインを意味する。換言すれば、本発明の転写具1は、パスラインで対称とされた外径形状とされていることとなる。
【0035】
また、本発明における転写具1は、転写テープを送出軸部3及び巻取軸部4の軸と直交するように捻って搬送する経路を有すると共に該送出軸部3及び該巻取軸部4の軸と直交する筐体2における対向面を被転写体に対して寝かして使用するために、上記対称軸L上に軸2Cと平行な1本のガイドピン6を有し、このガイドピン6の外周にローラ7を設けている。ガイドピン6とローラ7ついては後に詳述する。
【0036】
筐体2は、図2に示すように、送出軸部3及び巻取軸部4の軸と直交する対向面を有する本体2Aと蓋2Bとから構成されており、必要に応じて該本体2Aと蓋2Bとを分離することができるように構成されている。なお、図示では本体2Aと蓋2Bとを一体・分離するための構成を省略している。
【0037】
本体2A及び蓋2Bには、一体化した際に、転写部5を露出するための開口部2aが形成され、また、後述のガイドピン6を枢支するための枢支凹部2bが該本体2A及び蓋2Bの各々の対向面の内側に形成されている。
【0038】
本体2Aは、対向面の内面に、送出軸部3及び巻取軸部4の軸2Cが突設され、また、開口部2aには転写部5における送出経路と先端を保護するためのカバー2Dが設けられている。
【0039】
軸2Cにおける送出軸部3側の端部には、軸芯から外周に向けて常時外周に向けて付勢するばね体2Caが設けられており、送出軸部3の軸内周に対して一定のブレーキ力を与えている。このばね体2Caを設けることで、送出軸部3と巻取軸部4との回転の調和を保つことができる。
【0040】
一方、本例では、例えば蓋2Bの対向面の内面で、巻取軸部4の巻装面に臨む位置には、巻取方向に斜面、反巻取方向に垂直面、とされたラック2Baが形成されている。そして巻取軸部4の巻装面の内周部には、前記ラック2Baと対応する爪4aが形成されている。巻取軸部4の爪4aと蓋2Bのラック2Baとが係合することで、該巻取軸部4が逆回転することを防止している。
【0041】
本体2Aと蓋2Bのそれぞれの枢支凹部2b,2bには上述のとおりガイドピン6が枢支されている。ガイドピン6は、転写部5の転写テープの搬送面幅中央から送出軸部3及び巻取軸部4の後述する軸2Cを結んだ対称軸L上に位置している。このように、ガイドピン6を対称軸L(パスライン)上に設けることで、搬送経路が偏って、基材が蛇行することが防止される。
【0042】
ガイドピン6は、本例では、図4(b)に示すように(図4図1図3と送出軸部3と巻取軸部4の対応が上下逆となっている)、例えばガイドピン6の軸方向の一方端部(送出経路)と他方端部(巻取経路)の各々の中央に、外径が拡大した案内部6Aを形成している。案内部6Aを形成することで、送出経路と巻取経路の各々の経路においてガイドピン6を介して搬送される基材同士の端部が接触することを防止している。
【0043】
なお、案内部6Aは、送出経路と巻取経路の各々の経路においてガイドピン6を通過する基材同士の該ガイドピン6の一方端部と他方端部の各々の中央に位置させることを目的としているので、外径が拡大している構成に限定されず、外径が縮小していてもよい。
【0044】
ガイドピン6の外周には、本例では、柔軟性の高い離型性材料、例えばシリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)で形成されたローラ7を設けている。ローラ7における柔軟性の高いとは、搬送経路における基材のテンションにより容易に(弾性)変形してガイドピン6の外径形状に追従することを意味する。
【0045】
ローラ7が回転自在な離型性を有した材料を採用する理由は次のとおりである。送出軸部3において、転写テープは、基材の巻装外周側に転写媒体が塗布され、送出経路においては転写媒体が必ずローラ7に接触する。このとき、ローラ7が回転しないと共に離型性を有していないと、転写媒体がローラ7に接触した際に、該ローラ7へ剥離して取られる(ローラ7に付着する)可能性がある。したがって、ローラ7は、基材の離型性よりも高い離型性を有した上記材料を採用するのである。
【0046】
上記構成の転写具1は、筐体2、本例では本体2Aが被転写体に臨むように寝かせて使用する。送出軸部3から送り出された基材は、ガイドピン6及びローラ7を介して転写部5へ送られる。
【0047】
ガイドピン6においてローラ7は、上述のとおり、送出経路における基材上の転写媒体と接触するが、ローラ7が離型材料でなること及び該ローラ7が回転することにより、ローラ7と転写媒体との接触による該転写媒体が剥がれたり、走行上の問題が無く、ガイドピン6の本例では案内部6Aにより該ガイドピン6の送出側の位置で基材が案内されて転写部5へ向かう。
【0048】
転写部5へ向かう途中で、基材は90°反転され、該転写部5において被転写体と略水平状、つまり送出軸部3及び巻取軸部4の軸2Cと直交状となる。転写部5を経由した後、(転写媒体が被転写体に転写した)基材が再度90°反転され、巻取経路に入り、ガイドピン6に到達する。
【0049】
巻取経路では、上記同様に、ガイドピン6における本例では案内部6Aにより該ガイドピン6Aの巻取側の位置で基材が案内されて巻取軸部4へ向かう。このとき、ガイドピン6ではローラ7が送り出しと同方向に、該送り出しと連動して回転しているので、この巻取においてローラ7の回転が不調を生じることがない。その後、基材は巻取軸部4で巻き取られる。
【0050】
このように、本発明の転写具1は、横引タイプであるので、手が被転写体を転写部位の邪魔にならず、視認性に優れて使いやすいという利点と、比較的幅の広い側面を把持することから持ちやすく使いやすいという利点を損なうことなく得ることができる。
【0051】
また、本発明の転写具1は、送出軸部3と巻取軸部4が軸2Cで積層され、筐体2の側面形状の張り出しを使用者の手前と反手前とで均一的にしているので、右利き、左利きの使用感の差が顕著にならないという効果も得られる。
【0052】
さらに、上記送出軸部3と巻取軸部4とを軸2Cで共通として積層する構成と共に、基材の搬送経路において、ガイドピン6をパスライン(対称軸L)上で1本設ける構成としているので、転写具1を小型化が可能であり、かつ使用時の基材の蛇行が生じにくい。
【0053】
また、本発明の転写具1は、ガイドピン6に離型性を有すると共に回転自在なローラ7を設けることで、転写媒体が外側(基材に対して外周側)に塗布された転写テープの送出経路において、転写媒体とローラ7との接触で、転写媒体が取られて(付着して)しまうことに起因した使用上の問題が生じることがなく、上記の利点を全て得ることができる。
【0054】
なお、上記実施例では、送出軸部3と巻取軸部4とは軸2Cにて同軸で積層する例を示したが、パスライン(対象軸L)上で転写部5の位置から遠い近いの距離差を設け、かつ各々の軸を、本体2A及び蓋2Bのそれぞれの対向面内面に設けて積層する、つまり同軸ではない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 転写具
2 筐体
2C 軸
3 送出軸部
4 巻取軸部
5 転写部
6 ガイドピン
6A 案内部
7 ローラ
図1
図2
図3
図4