【実施例】
【0030】
以下、
図1〜
図4参照して本発明の具体的実施形態について説明する。1は、本発明の転写具である。本発明における転写具1は、筐体2内に、転写媒体が塗布された基材(=転写テープ)が巻装された送出軸部3、転写テープのうちの基材を巻き取る巻取軸部4、及び転写テープのうちの転写媒体を被転写体へ転写する転写部5を備えている。
【0031】
なお、以下の説明では、特に転写媒体、転写テープと記さない限り、送出側及び巻取側の経路上で搬送されるのは基材(送出側ではこの基材に転写媒体が塗布されている、巻取側では基材だけが搬送される)であることから、全般的に「基材」と記して説明することとする。
【0032】
また、
図1〜
図3は、巻取軸部4が転写具1の「上部」に、送出軸部3が転写具1の「下部」に、それぞれ現れるように示しており、
図4は、巻取軸部4が転写具1の「下部」に、送出軸部3が転写具1の「上部」に、それぞれ現れるように転写具1を
図1〜
図3の状態から上下反転させて示している。ただし、視る位置が変わっただけで構成は同じである。
【0033】
本発明における転写具1は、
図2に示すように送出軸部3(
図2では下部)及び巻取軸部4(
図2では上部)を後述する軸2Cで積層され、筐体2が
図1に示すように転写部5の転写テープの搬送面幅中央から送出軸部3及び巻取軸部4の後述する軸2Cを結んだ線を対称軸L(
図1二点鎖線)として使用者の手前(
図1では紙面下)と反手前側(
図1では紙面上)で略対称に形成されている。
【0034】
本発明における転写具1では、上記対称軸Lは、転写部5の転写面幅中央と送出軸部3の軸中心とを結んだパスラインを意味する。換言すれば、本発明の転写具1は、パスラインで対称とされた外径形状とされていることとなる。
【0035】
また、本発明における転写具1は、転写テープを送出軸部3及び巻取軸部4の軸と直交するように捻って搬送する経路を有すると共に該送出軸部3及び該巻取軸部4の軸と直交する筐体2における対向面を被転写体に対して寝かして使用するために、上記対称軸L上に軸2Cと平行な1本のガイドピン6を有し、このガイドピン6の外周にローラ7を設けている。ガイドピン6とローラ7ついては後に詳述する。
【0036】
筐体2は、
図2に示すように、送出軸部3及び巻取軸部4の軸と直交する対向面を有する本体2Aと蓋2Bとから構成されており、必要に応じて該本体2Aと蓋2Bとを分離することができるように構成されている。なお、図示では本体2Aと蓋2Bとを一体・分離するための構成を省略している。
【0037】
本体2A及び蓋2Bには、一体化した際に、転写部5を露出するための開口部2aが形成され、また、後述のガイドピン6を枢支するための枢支凹部2bが該本体2A及び蓋2Bの各々の対向面の内側に形成されている。
【0038】
本体2Aは、対向面の内面に、送出軸部3及び巻取軸部4の軸2Cが突設され、また、開口部2aには転写部5における送出経路と先端を保護するためのカバー2Dが設けられている。
【0039】
軸2Cにおける送出軸部3側の端部には、軸芯から外周に向けて常時外周に向けて付勢するばね体2Caが設けられており、送出軸部3の軸内周に対して一定のブレーキ力を与えている。このばね体2Caを設けることで、送出軸部3と巻取軸部4との回転の調和を保つことができる。
【0040】
一方、本例では、例えば蓋2Bの対向面の内面で、巻取軸部4の巻装面に臨む位置には、巻取方向に斜面、反巻取方向に垂直面、とされたラック2Baが形成されている。そして巻取軸部4の巻装面の内周部には、前記ラック2Baと対応する爪4aが形成されている。巻取軸部4の爪4aと蓋2Bのラック2Baとが係合することで、該巻取軸部4が逆回転することを防止している。
【0041】
本体2Aと蓋2Bのそれぞれの枢支凹部2b,2bには上述のとおりガイドピン6が枢支されている。ガイドピン6は、転写部5の転写テープの搬送面幅中央から送出軸部3及び巻取軸部4の後述する軸2Cを結んだ対称軸L上に位置している。このように、ガイドピン6を対称軸L(パスライン)上に設けることで、搬送経路が偏って、基材が蛇行することが防止される。
【0042】
ガイドピン6は、本例では、
図4(b)に示すように(
図4は
図1〜
図3と送出軸部3と巻取軸部4の対応が上下逆となっている)、例えばガイドピン6の軸方向の一方端部(送出経路)と他方端部(巻取経路)の各々の中央に、外径が拡大した案内部6Aを形成している。案内部6Aを形成することで、送出経路と巻取経路の各々の経路においてガイドピン6を介して搬送される基材同士の端部が接触することを防止している。
【0043】
なお、案内部6Aは、送出経路と巻取経路の各々の経路においてガイドピン6を通過する基材同士の該ガイドピン6の一方端部と他方端部の各々の中央に位置させることを目的としているので、外径が拡大している構成に限定されず、外径が縮小していてもよい。
【0044】
ガイドピン6の外周には、本例では、柔軟性の高い離型性材料、例えばシリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)で形成されたローラ7を設けている。ローラ7における柔軟性の高いとは、搬送経路における基材のテンションにより容易に(弾性)変形してガイドピン6の外径形状に追従することを意味する。
【0045】
ローラ7が回転自在な離型性を有した材料を採用する理由は次のとおりである。送出軸部3において、転写テープは、基材の巻装外周側に転写媒体が塗布され、送出経路においては転写媒体が必ずローラ7に接触する。このとき、ローラ7が回転しないと共に離型性を有していないと、転写媒体がローラ7に接触した際に、該ローラ7へ剥離して取られる(ローラ7に付着する)可能性がある。したがって、ローラ7は、基材の離型性よりも高い離型性を有した上記材料を採用するのである。
【0046】
上記構成の転写具1は、筐体2、本例では本体2Aが被転写体に臨むように寝かせて使用する。送出軸部3から送り出された基材は、ガイドピン6及びローラ7を介して転写部5へ送られる。
【0047】
ガイドピン6においてローラ7は、上述のとおり、送出経路における基材上の転写媒体と接触するが、ローラ7が離型材料でなること及び該ローラ7が回転することにより、ローラ7と転写媒体との接触による該転写媒体が剥がれたり、走行上の問題が無く、ガイドピン6の本例では案内部6Aにより該ガイドピン6の送出側の位置で基材が案内されて転写部5へ向かう。
【0048】
転写部5へ向かう途中で、基材は90°反転され、該転写部5において被転写体と略水平状、つまり送出軸部3及び巻取軸部4の軸2Cと直交状となる。転写部5を経由した後、(転写媒体が被転写体に転写した)基材が再度90°反転され、巻取経路に入り、ガイドピン6に到達する。
【0049】
巻取経路では、上記同様に、ガイドピン6における本例では案内部6Aにより該ガイドピン6Aの巻取側の位置で基材が案内されて巻取軸部4へ向かう。このとき、ガイドピン6ではローラ7が送り出しと同方向に、該送り出しと連動して回転しているので、この巻取においてローラ7の回転が不調を生じることがない。その後、基材は巻取軸部4で巻き取られる。
【0050】
このように、本発明の転写具1は、横引タイプであるので、手が被転写体を転写部位の邪魔にならず、視認性に優れて使いやすいという利点と、比較的幅の広い側面を把持することから持ちやすく使いやすいという利点を損なうことなく得ることができる。
【0051】
また、本発明の転写具1は、送出軸部3と巻取軸部4が軸2Cで積層され、筐体2の側面形状の張り出しを使用者の手前と反手前とで均一的にしているので、右利き、左利きの使用感の差が顕著にならないという効果も得られる。
【0052】
さらに、上記送出軸部3と巻取軸部4とを軸2Cで共通として積層する構成と共に、基材の搬送経路において、ガイドピン6をパスライン(対称軸L)上で1本設ける構成としているので、転写具1を小型化が可能であり、かつ使用時の基材の蛇行が生じにくい。
【0053】
また、本発明の転写具1は、ガイドピン6に離型性を有すると共に回転自在なローラ7を設けることで、転写媒体が外側(基材に対して外周側)に塗布された転写テープの送出経路において、転写媒体とローラ7との接触で、転写媒体が取られて(付着して)しまうことに起因した使用上の問題が生じることがなく、上記の利点を全て得ることができる。
【0054】
なお、上記実施例では、送出軸部3と巻取軸部4とは軸2Cにて同軸で積層する例を示したが、パスライン(対象軸L)上で転写部5の位置から遠い近いの距離差を設け、かつ各々の軸を、本体2A及び蓋2Bのそれぞれの対向面内面に設けて積層する、つまり同軸ではない構成であってもよい。