(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記扉本体は、矩形枠状の枠体と、前記枠体の一方面側を全体に覆うと共に、その端部は前記枠体の少なくとも他方面まで巻き込むように取り付けられる弾性シートとを含む、請求項1記載の防水扉構造体。
前記扉本体は、矩形枠状の枠体と、前記枠体の一方面側を全体に覆うと共に、その端部は前記枠体の少なくとも他方面まで巻き込むように取り付けられる弾性シートとを含む、請求項5記載の防水扉構造体。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲリラ豪雨等による水が構造物等の入口から浸水することを防ぐために、対策が採られている。
【0003】
この対策として、特許文献1で開示された防水パネル装置が提案されている。
【0004】
図21は、特許文献1で開示された従来の防水パネル装置の全体構成を示す斜視説明図である。
【0005】
図を参照して、防水パネル装置101は、溝形材103a〜103cからなる支持枠102と、支持枠102に装着されるパネル110とから構成される。支持枠102の下方の溝形材103aは、床面2に埋設されている。支持枠102の左右の溝形材103b及び103cの各々は、構造物107a及び107bの各々に埋設されている。
【0006】
パネル110は、略矩形形状のパネル本体111と、パネル本体111の上面に取り付けられた把手114a及び114bと、パネル本体111の表面にその左右両辺と底辺とに沿って設置されたハンドル112a〜112gと、パネル本体111の裏面にその左右両辺と底辺とに沿って設置されたパッキング113a〜113cとから構成される。
使用に際しては、パネル110の把手114a及び114bを把持し、パネル110を支持枠102の溝形材103a〜103cに装着させる。そして、パネル本体110のハンドル112a〜112gの各々を90度回転させることによって、パッキング113a〜113cの厚みを変形させることで、防水パネル装置101は水密状態を保持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の防水パネル装置101では、パネル110にハンドル112a〜112gが設置されているため、パネル110を運搬する際や、パネル110を支持枠102に装着する際、又は、取り外す際に、ハンドル112a〜112gを構造物107a及び107b等に接触させて破損させる虞がある。
【0009】
そこで、特許文献2で開示された防水扉装置が提案されている。
【0010】
図22は、この特許文献2で開示された他の防水扉装置の拡大斜視図である。
【0011】
図を参照して、防水扉装置131は、壁137a及び137bに設置されたコの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bと、コの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bと掛止させる扉140とから構成される。
【0012】
扉140の両側上下に、掛止用突起142が設置されている。コの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bの各々の下部に、切欠134が形成されている。又、コの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bの各々の内面には、楔135及び136が設けられている。
【0013】
使用に際しては、扉140の下方の掛止用突起142を、コの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bの各々の切欠134に挿入して下方に移動させ、楔135及び136により防水扉装置131を水密状態にするものである。
【0014】
しかし、この防水扉装置131を使用しない通常時において、コの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bは、壁137a及び137bに設置されたままの状態であった。そのため、コの字状の戸当たり兼用掛止枠132a及び132bは、壁137a及び137bから突出しているので、景観上好ましいものではなかった。
【0015】
又、特許文献3で開示された防水シート式浸水防止装置も提案されている。
【0016】
図23は、この特許文献3で開示された更に他の防水シート式浸水防止装置の正面図である。
【0017】
図を参照して、防水シート式浸水防止装置161は、防水シート収納用ピット175と、ピット175の両側に設けられた戸当たり162a及び162bと、ピット175に下縁を固定して、両側縁が戸当たり162a及び162bと各々接する防水シート170とから構成される。戸当たり162a及び162bには、防水シート押さえ172を蝶着すると共に、締付け金具163が設置されている。
【0018】
使用に際して、戸当たり162a及び162bの締付け金具163によって、防水シート押さえ172を防水シート170に圧接させることにより、防水シート170は弛みなく張設される。
【0019】
しかし、この防水シート式浸水防止装置161を使用しない通常時において、戸当たり162a及び162bの締付け金具163が露出しているため、物などが締付け金具163に接触することで、変形や破損する虞がある。
【0020】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、破損の虞がないと共に、通常時の使用状態に影響を与えにくい防水扉構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる防水扉構造体であって、構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、水密性を有する扉本体と、取付部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を取付部材の前面に押圧させて水密状態に固定する第1の固定手段と、取付部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を床面に押圧させて水密状態に固定する第2の固定手段とを備え
、取付部材は中空形状を有すると共に、その前面は鍵穴状の開口が形成され、第1の固定手段及び第2の固定手段の各々は、開口に抜け止め状態に係合する係合部と、扉本体を押圧する押圧部とを含むものである。
【0022】
このように構成すると、通常時は取付部材のみ構造物に取り付けられる。
又、取付部材の前面には突起物を不要とする。
請求項
2記載の発明は、所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる防水扉構造体であって、構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、水密性を有する扉本体と、取付部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を取付部材の前面に押圧させて水密状態に固定する第1の固定手段と、取付部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を床面に押圧させて水密状態に固定する第2の固定手段とを備え
、扉本体は、矩形枠状の枠体と、枠体の一方面側を全体に覆うと共に、その端部は枠体の少なくとも他方面まで巻き込むように取り付けられる弾性シートとを含むものである。
このように構成すると、通常時は取付部材のみ構造物に取り付けられる。
又、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮する。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項
1記載の発明の構成において、扉本体は、矩形枠状の枠体と、枠体の一方面側を全体に覆うと共に、その端部は枠体の少なくとも他方面まで巻き込むように取り付けられる弾性シートとを含むものである。
【0026】
このように構成すると、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮する。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項
2又は請求項3記載の発明の構成において、第2の固定手段は、枠体の内上方のものを下方に押圧するものである。
【0028】
このように構成すると、床面に第2の固定手段との係合部材を不要とする。
【0029】
請求項5記載の発明は、所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる防水扉構造体であって、構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、床面に設置された係合部材と、水密性を有する扉本体と、取付部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を取付部材の前面に押圧させて水密状態に固定する第1の固定手段と、係合部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を床面に押圧させて水密状態に固定する第2の固定手段とを備え
、係合部材は中空形状を有すると共に、その上面は長円状の開口が形成され、第2の固定手段は、開口に抜け止め状態に係合する係合部と、扉本体を押圧する押圧部とを含むものである。
【0030】
このように構成すると、通常時は取付部材及び係合部材のみ構造物に取り付けられる。
又、係合部材の上面には突起物を不要とする。
請求項
6記載の発明は、所定間隔に設置された一対の構造物に取り付けられる防水扉構造体であって、構造物の各々に、床面から垂直方向に水密状態に取り付けられた一対の取付部材と、床面に設置された係合部材と、水密性を有する扉本体と、取付部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を取付部材の前面に押圧させて水密状態に固定する第1の固定手段と、係合部材に脱着自在に取り付けられ、扉本体を床面に押圧させて水密状態に固定する第2の固定手段とを備え
、扉本体は、矩形枠状の枠体と、枠体の一方面側を全体に覆うと共に、その端部は枠体の少なくとも他方面まで巻き込むように取り付けられる弾性シートとを含むものである。
このように構成すると、通常時は取付部材及び係合部材のみ構造物に取り付けられる。
又、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮する。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項
5記載の発明の構成において、扉本体は、矩形枠状の枠体と、枠体の一方面側を全体に覆うと共に、その端部は枠体の少なくとも他方面まで巻き込むように取り付けられる弾性シートとを含むものである。
【0034】
このように構成すると、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮する。
【0035】
請求項8記載の発明は、請求項
6又は請求項7記載の発明の構成において、第2の固定手段は、枠体の内下方のものを床面に押圧するものである。
【0036】
このように構成すると、扉本体の床面との水密効果が高まる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、通常時は取付部材のみ構造物に取り付けられるため、第1の固定手段及び第2の固定手段の破損の虞がない。
又、取付部材の前面には突起物を不要とするため、通常時の使用状態に影響を与えにくい。
請求項
2記載の発明は、通常時は取付部材のみ構造物に取り付けられるため、第1の固定手段及び第2の固定手段の破損の虞がない。
又、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮するため、持ち運びが容易となり、効率的な構造となる。
【0039】
請求項3記載の発明は、請求項
1記載の発明の効果に加えて、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮するため、持ち運びが容易となり、効率的な構造となる。
【0040】
請求項4記載の発明は、請求項
2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、床面に第2の固定手段との係合部材を不要とするため、通常時の通行に障害とならない。
【0041】
請求項5記載の発明は、通常時は取付部材及び係合部材のみ構造物に取り付けられるため、第1の固定手段及び第2の固定手段の破損の虞がない。
又、係合部材の上面には突起物を不要とするため、通常時の使用状態に影響を与えにくい。
請求項
6記載の発明は、通常時は取付部材及び係合部材のみ構造物に取り付けられるため、第1の固定手段及び第2の固定手段の破損の虞がない。
又、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮するため、持ち運びが容易となり、効率的な構造となる。
【0043】
請求項7記載の発明は、請求項
5記載の発明の効果に加えて、全体が軽量となると共に、枠体に巻き込まれた弾性シートの部分が設置時に水密性能を発揮するため、持ち運びが容易となり、効率的な構造となる。
【0044】
請求項8記載の発明は、請求項
6又は請求項7記載の発明の効果に加えて、扉本体の床面との水密効果が高まるため、防水機能の信頼性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、この発明の第1の実施の形態による防水扉構造体の概略正面図であり、
図2は、
図1で示した防水扉構造体の扉本体の概略斜視図であり、
図3は、
図2で示したIII−IIIラインから見た端面図であり、
図4は、
図1で示した防水扉構造体の取付部材の概略正面図であって、構造物に取り付けられた状態を示す図であり、
図5は、
図4で示したV−Vラインから見た断面図であり、
図6は、
図4で示したVI−VIラインから見た断面図である。
【0047】
これらの図を参照して、防水扉構造体11は、所定間隔に設置された一対の構造物1a及び1bの各々に、床面2から垂直方向に接着剤等で水密状態に取り付けられた一対の取付部材21a及び21bと、取付部材21a及び21bと水密状態に固定される扉本体31と、取付部材21a及び21bの各々の中央付近位置と下方位置で脱着自在に取り付けられる第1の固定手段51a〜51dと、取付部材21a及び21bの各々の上方位置で脱着自在に取り付けられる第2の固定手段61a及び61bとから構成される。尚、取付部材21a及び21bの各々は、アンカーボルト等の金属金具を用いて、構造物1a及び1bの各々に取り付けた後に、その周囲をシール材で水密状態にするものであっても良い。
【0048】
図2及び
図3を参照して、防水扉構造体11の扉本体31は、ステンレスからなる矩形枠状の枠体32と、枠体32の正面側を全体に覆うようにして取り付けられた、水密性を有する1枚のゴム素材からなる弾性シート39とから構成される。枠体32は、上方枠33と、下方枠34と、左方枠35と、右方枠36とから外形が形成され、更に、上方枠33と下方枠34とをその中央で支柱37が支持している。弾性シート39は、枠体32の正面側を覆うと共に、
図3で示したように枠体32の背面まで巻き込むように取り付けられている。このように構成すると、扉本体31の全体が軽量で、持ち運びが容易となり、効率的な構造となる。
【0049】
図4を参照して、取付部材21a及び21bは、左右対称な構成となっている。ここでは、取付部材21bを中心に説明する。
【0050】
図4、
図5及び
図6を参照して、取付部材21bは、中空形状を有すると共に、その正面の中央付近位置には矩形状の矩形部28とその矩形部28の上方で連結した円形状の円形部27とからなる鍵穴状の開口23bが、下方位置には同様の鍵穴状の開口24bが、上方位置には90度方向に回転させた同様の鍵穴状の開口22bが、各々形成されている。このように構成した理由については、後述する。
【0051】
次に、第1の固定手段について説明する。
【0052】
図7は、
図1で示したVII−VIIラインから見た断面図であり、
図8は、
図7で示したVIII−VIIIラインから見た断面図である。
【0053】
尚、
図1で示した第1の固定手段51a〜51dの各々は、同一の構成である。ここでは第1の固定手段51cを中心に説明する。
【0054】
これらの図を参照して、第1の固定手段51cは、ねじ山を回すことで押圧することができる押圧部55cと、押圧部55cのねじ山と螺合する第1の平板部58とその第1の平板部58の一方端部と垂直に接続された垂直部59とその垂直部59の他方端部で垂直に接続された第2の平板部60とからなる本体部57と、押圧部55cの押圧方向を向いて本体部57の第2の平板部60に接続された円柱形状の円柱部53とその円柱部53の先端に接続されて円柱部53の直径D
1よりも大きな直径D
2を有する円板状の円板部54とからなり、取付部材21bの開口23bと抜け止め状態に係合することができる係合部52cとから構成される。
【0055】
使用に際しては、まず、第1の固定手段51cの係合部52cの円板部54を、取付部材21bの開口23bの円形部27に差し込む。このとき、円板部54の直径D
2は、円形部27の直径D
3より小さいので、係合部52cの円板部54は取付部材21bの中空部分20bに差し込まれることになる。この状態で、第1の固定手段51cを下方へずらすと、円柱部53の直径D
1は矩形部28の底辺L
1より小さく設定されているので、係合部52cの円柱部53の下端と、開口23bの矩形部28の底辺とが当接する。ここで、開口23bの矩形部28の底辺L
1は、取付部材21bの中空部分20bに差し込まれている第1の固定手段51cの係合部52cの円板部54の直径D
2より小さい。よって、第1の固定手段51cの係合部52cは、取付部材21bの鍵穴状の開口23bに抜け止め状態となる。
【0056】
次に、第1の固定手段51cの押圧部55cを回転させることによって、扉本体31を取付部材21bの正面に押圧させて、水密状態に固定する。このとき、上述のように第1の固定手段51cは、取付部材21bに抜け止め状態となっているので、取付部材21bから抜けずに、押圧部55cによって押圧することができる。
【0057】
次に、第2の固定手段について説明する。
【0058】
図9は、
図1で示したIX−IXラインから見た断面図であり、
図10は、
図9で示したX−Xラインから見た断面図である。
【0059】
尚、
図1で示した第2の固定手段61a及び61bは、同一の構成である。ここでは、第2の固定手段61aを中心に説明する。又、第2の固定手段61aは、
図7で示した第1の固定手段51cと基本的な構成は同一であるので、ここではその相違点を中心に説明する。
【0060】
これらの図を参照して、第2の固定手段61aは、押圧部65aと、押圧部65aのねじ山と螺合する平板部68とその平板部68の一方端部と垂直に接続された垂直部69とからなる本体部67と、押圧部65aの押圧方向に垂直な方向を向いて本体部67の垂直部69に接続された円柱形状の円柱部63とその円柱部63の先端に接続された円板状の円板部64とからなり、取付部材21aの開口22aと抜け止め状態に係合することができる係合部62aとから構成される。
【0061】
使用に際しては、まず、第2の固定手段61aの係合部62aの円板部64を、取付部材21aの開口22aの円形部25に差し込み、第2の固定手段61aを右方へずらして、係合部62aの円柱部63の右端と、開口22aの矩形部26の右辺とを当接させる。これにより、第2の固定手段61aの係合部62aを、取付部材21aの鍵穴状の開口22aに抜け止め状態にする。次に、第2の固定手段61aを回すことによって、押圧部65aを介して扉本体31の枠体32の内上方にある上方枠33を、
図1で示した床面2に下方へ押圧させて、水密状態に固定する。よって、床面2には第2の固定手段61aと直接係合する係合部材を設置する必要はなく、扉本体31を設置しない通常時においては、通行の障害となるものはない。
【0062】
ここで、防水扉構造体11の取付工程について説明する。
【0063】
図11は、
図1で示した防水扉構造体の取付工程を示す概略分解斜視図であり、
図12は、
図1で示したXII−XIIラインから見た断面図である。
【0064】
これらの図を参照して、まず扉本体31の背面を、一対の構造物1a及び1bの各々に取り付けられた取付部材21a及び21bの正面に当接させる。次に、第2の固定手段61a及び61bの各々を、取付部材21a及び21bの各々に抜け止め状態に係合させてから、扉本体31を床面2に押圧させて水密状態に固定する。尚、このとき床面2には扉本体31と係合させるための部材を別途設置する必要がなく、床面2を平坦にすることができるため、雨水等が溜まらず、衛生的である。その後で、第1の固定手段51a〜51dの各々を、取付部材21a及び21bの各々に抜け止め状態に係合させてから、扉本体31を取付部材21a及び21bに押圧させて水密状態に固定する。このとき、扉本体31の弾性シート39が水密性能を発揮することになる。
【0065】
防水扉構造体11の取り外しでは、上述の取付工程を逆に行うことで、取付部材21a及び21bのみが構造物1a及び1bに取り付けられた通常時の状態に戻せる。通常時には、取付部材21a及び21bには、第1の固定手段51a〜51d及び第2の固定手段61a及び61bは取り付けられていないので、破損の虞がない。又、取付部材21a及び21bの正面には開口のみ形成されて突起物がないので、通常時の使用状態においては影響を与えることがないと共に、美観上も好ましい。
【0066】
図13は、この発明の第2の実施の形態による防水扉構造体の概略正面図であって、
図1に対応した図であり、
図14は、
図13で示したXIV−XIVラインから見た断面図である。
【0067】
尚、この第2の実施の形態による防水扉構造体12は、
図1で示した防水扉構造体11と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
【0068】
これらの図を参照して、防水扉構造体12は、取付部材21a及び21bと、扉本体31と、第1の固定手段51a〜51dと、底面2に設置された係合部材71と、係合部材71に脱着自在に取り付けられ、扉本体31を床面2に押圧させて水密状態に固定する第2の固定手段81a及び81bとから構成される。
【0069】
図14を参照して、係合部材71は、中空形状を有すると共に、その上面は長円状の開口72a及び72bが形成されている。このように構成した理由については、後述する。
【0070】
次に、第2の固定手段81について説明する。
【0071】
図15は、
図13で示した第2の固定手段の概略右側面図であり、
図16は、
図15で示したXVI−XVIラインから見た断面図である。
【0072】
これらの図を参照して、第2の固定手段81は、ねじ山を回すことで押圧することができる押圧部85と、押圧部85のねじ山と螺合する平板形状を有する本体部87と、本体部87の一方端部で固定接続されたパイプ83と、パイプ83の中央下方位置で連結する長円状フランジの係合部82とから構成される。尚、係合部82の平面視の大きさは、
図14で示した係合部材71の開口72a及び72bを挿通できるように設定されている。
【0073】
ここで、この第2の固定手段81の使用について説明する。
【0074】
図17は、
図13で示したXVII−XVIIラインから見た断面図であり、
図18は、
図17で示したXVIII−XVIIIラインから見た断面図である。
【0075】
尚、
図13で示した第2の固定手段81a及び81bは、同一の構成である。
【0076】
使用に際して、
図18を参照して、まず第2の固定手段81aの係合部82aを、係合部材71の開口72aの長円形状に合わせるようにして差し込み、二点鎖線の矢印で示した方向に、パイプ83aを軸として90度に回転させる。ここで、係合部82aの短手方向の長さW
1は、開口72aの短手方向の長さW
2より小さく設定されているが、係合部82aの長手方向の長さL
2は、開口72aの短手方向の長さW
2より大きく設定されている。これにより、第2の固定手段81aの係合部82aは、開口72aに抜け止め状態に係合する(
図17の状態)。次に、
図17を参照して、第2の固定手段81aを回転させて、第2の固定手段81aの押圧部85aを下げる。これによって、扉本体31の枠体32の内下方にある下方枠34を、床面2に下方へ押圧させて、水密状態に固定する。これにより、
図1で示した第2の固定手段61a及び61bと比べて、第2の固定手段81a及び81bは、床面2に近い位置から下方へ押圧することができ、押圧によるエネルギーは分散しにくいので、扉本体31の床面2との水密効果がより高まることになり、防水機能の信頼性が向上する。
【0077】
図19は、この発明の第3の実施の形態による防水扉構造体の第2の固定手段の使用状態を示す概略断面図であって、
図17に対応した図であり、
図20は、
図19で示したXX−XXラインから見た断面図であって、
図18に対応した図である。
【0078】
尚、この第3の実施の形態による防水扉構造体13は、
図13で示した第2の実施の形態による防水扉構造体12と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
【0079】
これらの図を参照して、防水扉構造体13の係合部材98は、中空形状を有すると共に、その上面は平面視正方形の開口99が形成されている。このように構成した理由については、後述する。
【0080】
防水扉構造体13の第2の固定手段91は、ねじ山を回すことで押圧することができる押圧部95と、押圧部95のねじ山と螺合する平板形状を有する本体部97と、本体部97の一方端部で固定接続され、平面視正方形の四角柱形状を有する角柱部93とその角柱部93の下方位置に水平方向に形成された切欠94とからなる係合部92とから構成される。尚、係合部92の平面視の大きさは、係合部材98の開口99を挿通できるように設定されている。
【0081】
ここで、この第2の固定手段91の使用について説明する。
【0082】
使用に際して、
図20を参照して、まず第2の固定手段91の係合部92を、係合部材98の開口99の正方形形状に合わせるようにして差し込む。ここで、係合部92の平面視正方形の一辺の長さL
3は、開口99の一辺の長さL
4より小さく設定されているので、係合部92は係合部材98の開口99を挿通できる。次に、差し込んだ状態で、第2の固定手段91を左方に移動させて、係合部92の切欠94を
図19で示した係合部材98の左方位置の上面部100と係合させる。これにより、第2の固定手段91は、開口99に抜け止め状態に係合することになる。
【0083】
尚、上記の各実施の形態では、扉本体の枠体は、特定の素材から形成されていたが、例えばアルミニウム等の他の素材から形成されていても良い。
【0084】
又、上記の各実施の形態では、扉本体は支柱を含むものであったが、支柱はなくても良い。
【0085】
更に、上記の各実施の形態では、弾性シートは、特定の素材から形成されていたが、水密性を有する弾性体であれば、他の材質から形成されていても良い。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、取付部材には、特定の開口が形成されていたが、第1の固定手段及び第2の固定手段が脱着自在に取り付けられるものであれば開口でなくても切欠のようなものでも良い。又は、開口はなくても良い。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、第1の固定手段及び第2の固定手段には、特定の係合部があったが、取付部材に脱着自在に取り付けられるものであれば、他の係合部であっても良い。又は、係合部はなくても良い。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、第1の固定手段及び第2の固定手段には、特定の押圧部があったが、扉本体を取付部材の前面(正面)に押圧させるものであれば、他の押圧部であっても良い。又は、押圧部はなくても良い。
【0089】
更に、上記の各実施の形態では、扉本体は、枠体から形成されたものであったが、それ以外のものから形成されていても良い。
【0090】
更に、上記の各実施の形態では、扉本体は、弾性シートを含むものであったが、扉本体自体が水密性を有するものであれば他のものであっても良い。又は、弾性シートの代わりにパッキンを取り付けるものであっても良い。
【0091】
更に、上記の各実施の形態では、取付部材は、接着剤等で構造物に取り付けられていたが、例えばアンカーボルト等の金属金具等を用いて構造物に取り付けられていても良い。又は、取付部材は構造物に埋め込まれていても良い。
【0092】
更に、上記の各実施の形態では、取付部材は、中空形状を有していたが、例えば断面視コの字状の取付部材を構造物に取り付けることで形成された中空形状も、本願においては中空形状の概念に含まれるものとする。
【0093】
更に、上記の第2及び第3の実施の形態の各々では、係合部材は、中空形状を有していたが、例えば断面視コの字状の係合部材を床面に埋め込むことで形成された中空形状も、本願においては中空形状の概念に含まれるものとする。
【0094】
更に、上記の各実施の形態では、第1の固定手段、又は、第2の固定手段は、取付部材、又は、係合部材に特定の個数で取り付けられるものであったが、例えば止水高さ等の設計条件に応じて、他の個数で取り付けられるものであっても良い。
【0095】
更に、上記の各実施の形態では、第1の固定手段、又は、第2の固定手段は、取付部材、又は、係合部材の特定の位置に取り付けられるものであったが、例えば止水高さ等の設計条件に応じて、他の位置に取り付けられるものであっても良い。
【0096】
更に、上記の各実施の形態では、扉本体の支柱は、特定位置に1本が形成されたものであったが、例えば止水幅や止水高さ等の設計条件に応じて、他の位置に、又、複数本で形成されるものであっても良い。
【0097】
更に、上記の各実施の形態では、第1の固定手段及び第2の固定手段は、ねじ山を回すことで押圧するものであったが、例えばワンタッチ式の押圧機構やレバー機構等の他の押圧機構によって押圧するものであっても良い。
【0098】
更に、上記の第2の実施の形態では、第2の固定手段は、扉本体の枠体の下方枠を下方に押圧するものであったが、例えば、第2の固定手段のパイプを扉本体の高さよりも長くすることで、扉本体の枠体の上方枠を下方へ押圧するものにしても良い。このとき、第2の固定手段は、第1の実施の形態における第2の固定手段と同様の効果を奏することになる。
【0099】
更に、上記の第3の実施の形態では、第2の固定手段は、扉本体の枠体の下方枠を下方に押圧するものであったが、例えば、第2の固定手段の係合部を扉本体の高さよりも長くすることで、扉本体の枠体の上方枠を下方へ押圧するものにしても良い。このとき、第2の固定手段は、第1の実施の形態における第2の固定手段と同様の効果を奏することになる。
【0100】
更に、上記の第2の実施の形態では、第2の固定手段の長円状の係合部と、係合部材の長円状の開口とが係合するものであったが、例えば第2の固定手段が、円柱形状の円柱部とその円柱部の下端に接続された円板状の係合部とを含んで形成され、係合部材の開口は、鍵穴状に形成されることで、第1の固定手段のようにして係合部が係合部材に抜け止め状態で係合するようなものであっても良い。又、第2の固定手段と係合部材とは、抜け止め状態に係合するようなものであれば、これ以外の他の係合方法であっても良い。
【0101】
更に、上記の第3の実施の形態では、第2の固定手段の係合部及び係合部材の開口は、切欠を有する特定形状のものであったが、係合部と開口とが抜け止め状態で係合するものであれば、他の形状であっても良い。