特許第6297297号(P6297297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297297
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20180312BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20180312BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 624D
   G09G3/20 624E
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 621B
   G09G3/20 680G
   G09G3/20 611D
   G09G3/20 611E
   G09G3/20 611A
   G02F1/133 550
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-226191(P2013-226191)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-87562(P2015-87562A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103747
【氏名又は名称】京セラディスプレイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】権藤 賢二
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−149174(JP,A)
【文献】 特開平11−282431(JP,A)
【文献】 特開2009−092930(JP,A)
【文献】 特開2001−042287(JP,A)
【文献】 特開2008−292837(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0291339(US,A1)
【文献】 特開平11−119193(JP,A)
【文献】 特開2000−347598(JP,A)
【文献】 米国特許第06489952(US,B1)
【文献】 特開平11−142815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の第1の方向に形成された複数本のゲート信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記ゲート信号線と交差させて形成された複数本の画像信号線と、前記ゲート信号線と前記画像信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、その薄膜トランジスタ素子に接続された画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する水平電界を形成するための基準電極を含む画素電極部と、前記基準電極に基準電圧を供給する基準電圧線と、を有しており、前記薄膜トランジスタ素子は、前記画像信号線に接続され、隣接する前記画素電極は、それぞれに接続された前記画像信号線及び前記薄膜トランジスタ素子から互いに逆相の画素電圧の画像信号が入力されており、前記基準電圧線は、第1の基準電圧の信号を供給する第1の基準電圧線と前記第1の基準電圧の信号と逆相の第2の基準電圧の信号を供給する第2の基準電圧線とから成るとともに、前記第1、第2の基準電圧線は、隣接する前記基準電極のそれぞれに互い違いに接続されており、かつ高電位側の前記画素電圧の前記画像信号が入力された前記画素電極に対応する前記基準電極に低電位側の前記基準電圧の信号が入力され、低電位側の前記画素電圧の前記画像信号が入力された前記画素電極に対応する前記基準電極に高電位側の前記基準電圧の信号が入力されおり、さらに前記画素電圧及び前記第1、第2の基準電圧は1フレーム毎に位相が反転されるとともに、前記第1、第2の基準電圧の位相の反転は前記ゲート信号線がオンされるタイミングよりも早いタイミングで行われる液晶表示装置。
【請求項2】
前記画像信号線は、隣接するものが前記第2の方向において互い違いに前記薄膜トランジスタ素子に接続されているとともに、隣接する前記画像信号線が互いに逆相の前記画素電圧の画像信号を供給し、前記第1、第2の基準電圧線は、前記第1の方向において交互に前記画像信号線に沿って配線されているとともに、隣接する前記第1の基準電圧線と前記第2の基準電圧線が前記第2の方向において互い違いに前記基準電極に接続されており、前記第1、第2の基準電圧線は互いに逆相の前記第1、第2の基準電圧の信号を供給する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記画像信号を前記画像信号線に供給する画像信号線駆動回路を備えており、前記画像信号線駆動回路は、1フレーム期間においてそれぞれの前記画像信号線に供給する前記画像信号の前記画素電圧の位相を保持する請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に関し、特にはインプレーンスイッチング(IN-Plane Switching:IPS)方式のアクティブマトリクス型の液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置(Liquid Crystal Display :LCD)は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)素子を含む画素電極部が多数形成されたTFTアレイ側基板と、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが形成されたカラーフィルタ側基板とを互いに対向させて、それらの基板を所定の間隔でもって貼り合わせ、それらの基板間に液晶を充填、封入させることによって作製される。また、一般的に、カラーフィルタ側基板は、TFT素子及び画素電極に対向する側の主面(第1の主面)の全面に、画素電極との間で液晶に印加する垂直電界を形成するための基準電極(共通電極)が形成されている。カラーフィルタ側基板の第1の主面と反対側の第2の主面には、それぞれの画素に対応する赤(R)、緑(G)、青(b)のカラーフィルタが形成されており、それぞれの画素を通過する光が相互に干渉することを防ぐブラックマトリクスがカラーフィルタの外周を囲むように形成されている。
【0003】
従来のIPS方式のアクティブマトリクス型の液晶表示装置の基本構成の一例を図12に示す。例えば、TFTアレイ側基板は、その上の第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本のゲート信号線Gl,G2,G3,・・・Gnと、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線G1〜Gnと交差させて形成された複数本の画像信号線Sl,S2,S3,・・・Smと、ゲート信号線G1〜Gnと画像信号線S1〜Smの交差部に形成された、TFT素子11、画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する水平電界を形成するための基準電極を含む画素電極部P11,P12,P13,・・・Pnmと、基準電極に基準電圧(Vcom)を供給する基準電圧線12と、を有する構成である。なお、図12において、14はゲート信号線駆動回路、15は画像信号(ソース信号)線駆動回路である。
【0004】
IPS方式の液晶表示装置は、垂直電界によってツイステッドネマチック(Twisted Nematic ;TN)液晶を駆動する液晶表示装置に比較して、コントラスト、グレー反転、色ずれ等の視野角特性を高めることができる。その結果、広視野角を得ることができるので、大型の液晶表示装置に用いられている。
【0005】
また、印加電圧が直流である場合に液晶分子が画素電極表面で正負の電荷の偏りを起こして短寿命になることの抑制、横方向のクロストークによる画質の劣化の抑制、フリッカーの抑制などの問題点を解消するために、一般に、1フレーム毎にデータ信号(画像信号)の極性を反転させるフレーム反転駆動が行われている。さらに、上記の各種問題点を解消する効果を高めるために、フレーム反転駆動に様々な駆動方法が組み合わされて用いられている。
【0006】
例えば、1水平走査線(1Hライン)毎に画像信号の極性を反転させることを1フレーム毎に行う、Hライン反転駆動方法が用いられている。このHライン反転駆動方法に、基準電圧(コモン電圧)Vcomを1水平走査期間(1H)毎に反転させることを組み合わせることによって、画像信号線駆動回路(ソースドライバ)の低電圧化を実現できる。しかし、大型の液晶表示装置の場合、液晶セルの対向電極である基準電極に横方向の一方向に電流が集中的に流れるために、横方向のクロストークが大きくなり、画質が劣化したり、フリッカーの抑制効果も小さくなる。
【0007】
また、画像信号の極性を列方向(Vライン)毎に反転させることを1フレーム毎に行う、Vライン反転駆動方法が用いられている。このVライン反転駆動方法は、一般に、コモン反転駆動方法との併用ができない。コモン反転駆動方法は、画素電極電位に基準電極の電位変化が重畳されることによって、液晶を駆動するのに必要な電圧を全体として小さくすることができる。即ち、画像信号の電圧振幅を小さく抑えることができるので、消費電力を低減化することができる。Vライン反転駆動方法にコモン反転駆動方法を適用するためには、基準電極をVラインに沿って櫛形状等に分割する必要がある。
【0008】
液晶表示装置の大型化、高精細化に伴い、高い表示画質を得ることができることから、画像信号の極性を画素(ドット)毎に反転させることを1フレーム毎に行う、ドット反転駆動方法が注目され使用されている。しかし、1ドット毎に画像信号の極性を反転させて駆動するために、画像信号の反転時に消費電力が比較的大きくなる。そこで、消費電力を低減するために、コモン反転駆動方法を組み合わせることが考えられるが、基準電極を1つの電極とした場合はコモン反転駆動方法を適用することはできない。基準電極を画素電極単位で分割すれば、コモン反転駆動方法を適用することができる。
【0009】
従来のIPS方式のアクティブマトリクス型の液晶表示装置であって、ドット反転駆動方法にコモン反転駆動方法を組み合わせたものが提案されている(下記の特許文献1を参照)。この従来例は、奇数番目の行の各画素に備えられた第2電極(共通電極)に第1共通電圧を印加する複数の第1共通電圧ラインと、偶数番目の行の各画素に第2電極(共通電極)に第2共通電圧を印加する複数の第1共通電圧ラインと、を備え、行単位の各画素に備えられたスイッチング素子(TFT素子)の第1端子(ゲート端子)は、第N番目(Nは整数)のゲートライン及び第N+1番目のゲートラインに交互に接続されており、第1共通電圧ラインには毎フレーム単位で遷移するパルス状の第1共通電圧が印加され、第2共通電圧ラインには、第1共通電圧が反転したパルス状の第2共通電圧が印加され、さらに、画素に印加される画像情報と共通電圧とは互いに逆のパルス状を有する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−18077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記構成の従来例においては、1つの行方向、例えば第N番目のゲートライン方向でみた場合、1画素おきにオンされる。同様に第N+1番目のゲートライン方向でみた場合にも、1画素おきにオンされる。例えば、第N番目のゲートライン方向の4つの画素を順にPgn(1),Pgn(2),Pgn(3),Pgn(4)とし、第N+1番目のゲートライン方向の4つの画素を順にPgn+1(1),Pgn+1(2),Pgn+1(3),Pgn+1(4)とした場合、第N番目のゲートラインにゲート信号を入力すると、Pgn(1),Pgn+1(2),Pgn(3),Pgn+1(4)がオン状態になり、データ信号の極性はPgn(1)が正(+)、Pgn+1(2)が負(−)、Pgn(3)が正(+)、Pgn+1(4)が負(−)となる。従って、1つのゲートラインでみた場合、半分の画素がオフ状態となっており、このような不完全な画素選択による駆動方法ではフリッカー等の画質劣化が生じるおそれがある。
【0012】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、広視野角が得られるとともにフリッカー等の画質劣化が抑えられて高画質の表示品質が得られ、また消費電力を低減化することができる液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の液晶表示装置は、基板上の第1の方向に形成された複数本のゲート信号線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記ゲート信号線と交差させて形成された複数本の画像信号線と、前記ゲート信号線と前記画像信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、その薄膜トランジスタ素子に接続された画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する水平電界を形成するための基準電極を含む画素電極部と、前記基準電極に基準電圧を供給する基準電圧線と、を有しており、前記薄膜トランジスタ素子は、前記画像信号線に接続され、隣接する前記画素電極は、それぞれに接続された前記画像信号線及び前記薄膜トランジスタ素子から互いに逆相の画素電圧の画像信号が入力されており、前記基準電圧線は、第1の基準電圧の信号を供給する第1の基準電圧線と前記第1の基準電圧の信号と逆相の第2の基準電圧の信号を供給する第2の基準電圧線とから成るとともに、前記第1、第2の基準電圧線は、隣接する前記基準電極のそれぞれに互い違いに接続されており、かつ高電位側の前記画素電圧の前記画像信号が入力された前記画素電極に対応する前記基準電極に低電位側の前記基準電圧の信号が入力され、低電位側の前記画素電圧の前記画像信号が入力された前記画素電極に対応する前記基準電極に高電位側の前記基準電圧の信号が入力されおり、さらに前記画素電圧及び前記第1、第2の基準電圧は1フレーム毎に位相が反転されるとともに、前記第1、第2の基準電圧の位相の反転は前記ゲート信号線がオンされるタイミングよりも早いタイミングで行われる構成である。
【0014】
また、本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記画像信号線は、隣接するものが前記第2の方向において互い違いに前記薄膜トランジスタ素子に接続されているとともに、隣接する前記画像信号線が互いに逆相の前記画素電圧の画像信号を供給し、前記第1、第2の基準電圧線は、前記第1の方向において交互に前記画像信号線に沿って配線されているとともに、隣接する前記第1の基準電圧線と前記第2の基準電圧線が前記第2の方向において互い違いに前記基準電極に接続されており、前記第1、第2の基準電圧線は互いに逆相の前記第1、第2の基準電圧の信号を供給する構成である。
【0015】
また、本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記画像信号を前記画像信号線に供給する画像信号線駆動回路を備えており、前記画像信号線駆動回路は、1フレーム期間においてそれぞれの前記画像信号線に供給する前記画像信号の前記画素電圧の位相を保持する構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液晶表示装置は、基板上の第1の方向に形成された複数本のゲート信号線と、第1の方向と交差する第2の方向にゲート信号線と交差させて形成された複数本の画像信号線と、ゲート信号線と画像信号線の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子、その薄膜トランジスタ素子に接続された画素電極及びその画素電極との間で液晶に印加する水平電界を形成するための基準電極を含む画素電極部と、基準電極に基準電圧を供給する基準電圧線と、を有しており、各薄膜トランジスタ素子は、画像信号線に接続され、隣接する画素電極は、それぞれに接続された画像信号線及び薄膜トランジスタ素子から互いに逆相の画素電圧の画像信号が入力されており、基準電圧線は、第1の基準電圧の信号を供給する第1の基準電圧線と第1の基準電圧の信号と逆相の第2の基準電圧の信号を供給する第2の基準電圧線とから成るとともに、第1、第2の基準電圧線は、隣接する基準電極のそれぞれに互い違いに接続されており、かつ高電位側の画素電圧の画像信号入力された画素電極に対応する基準電極に低電位側の基準電圧の信号入力され、低電位側の画素電圧の画像信号入力された画素電極に対応する基準電極に高電位側の基準電圧の信号入力されおり、さらに画素電圧及び第1、第2の基準電圧は1フレーム毎に位相が反転されるとともに、第1、第2の基準電圧の位相の反転はゲート信号線がオンされるタイミングよりも早いタイミングで行われる構成であることから、IPS方式の液晶表示装置において、全ての画素が隣接するもの同士で画素電圧が逆相となっている完全なドット反転駆動方法と、コモン反転駆動方法とを組み合わせて用いることが可能となる。その結果、広視野角が得られるとともにフリッカー等の画質劣化が抑えられて高画質の表示晶質が得られ、また消費電力を低減化することができる。
【0017】
また、本発明の液晶表示装置は、好ましくは、画像信号線は、隣接するものが第2の方向において互い違いに薄膜トランジスタ素子に接続されているとともに、隣接する画像信号線が互いに逆相の画素電圧の画像信号を供給し、第1、第2の基準電圧線は、第1の方向において交互に画像信号線に沿って配線されているとともに、隣接する第1の基準電圧線と第2の基準電圧線が第2の方向において互い違いに基準電極に接続されており、第1、第2の基準電圧線は互いに逆相の第1、第2の基準電圧の信号を供給する構成であることから、IPS方式の液晶表示装置において、全ての画素が隣接するもの同士で画素電圧が逆相となっている完全なドット反転駆動方法と、コモン反転駆動方法とを組み合わせて用いることが可能な配線構造が得られる。
【0018】
また、本発明の液晶表示装置は、好ましくは、画像信号を画像信号線に供給する画像信号線駆動回路を備えており、画像信号線駆動回路は、1フレーム期間においてそれぞれの画像信号線に供給する画像信号の画素電圧の位相を保持することから、画像信号線駆動回路によってそれぞれの画像信号線に同じ位相の画像信号を1フレーム期間常時入力しても、ゲート信号線を順次走査していくと、隣接する画素電圧が互いに逆相になる。従って、画像信号線駆動回路は、1フレーム期間において、1本の画像信号線には1つの位相(極性)の画像信号を常時入力すればよいので、画像信号の位相反転のための画像信号線駆動回路の負担が軽減されて、その消費電力が低減化される。即ち、W=CV2f(Cは画像信号線(ソースライン)の容量、Vは画素電極に印加される電圧、fは画素電極に印加される交流電圧の周波数)で表される消費電力が、fが低くなるために、低減化される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の液晶表示装置について実施の形態の1例を示すブロック回路図である。
図2図2の(a)は、各画素電極における画素電圧の位相の状態を示す状態図、(b)は、高電位側の画素電圧を上に凸の信号で表し、低電位側の画素電圧を下に凸の信号で表した画素電圧の位相の状態図、(c)は、高電位側の基準電圧をハイ(Hc)で表し、低電位側の基準電圧をロー(Lc)で表した基準電圧の位相の状態図である。
図3図3は、図2の状態図における画素電極部の群のうちPll(+)とP21(−)に印加される画素電圧Sl,S2及び第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2の位相の状態を示すタイミングチャートである。
図4図4の(a)は、各画素電極における画素電圧の位相の状態を示す状態図、(b)は、高電位側の画素電圧を上に凸の信号で表し、低電位側の画素電圧を下に凸の信号で表した画素電圧の位相の状態図、(c)は、高電位側の基準電圧をハイ(Hc)で表し、低電位側の基準電圧をロー(Lc)で表した基準電圧の位相の状態図である。
図5図5は、図4の状態図における画素電極部の群のうちPll(−)とP21(+)に印加される画素電圧Sl,S2及び第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2の位相の状態を示すタイミングチャートである。
図6図6の(a)は、全白表示の場合に図3における画素電極部Pllに、高電位側の画素電圧Slと低電位側の基準電圧Vcomlとの電位差が合成して印加された場合の消費電力(最小値)の低減化を説明するグラフ、(b)は、白黒交互表示の場合に図3における画素電極部Pllに、高電位側の画素電圧Slと低電位側の基準電圧Vcomlとの電位差が合成して印加された場合の消費電力(最大値)の低減化を説明するグラフである。
図7図7の(a)は、全白表示の場合に図3における画素電極部P21に、低電位側の画素電圧S2と高電位側の基準電圧Vcom2との電位差が合成して印加された場合の消費電力(最小値)の低減化を説明するためのグラフ、(b)は、白黒交互表示の場合に図3における画素電極部P2lに、低電位側の画素電圧S2と高電位側の基準電圧Vcom2との電位差が合成して印加された場合の消費電力(最大値)の低減化を説明するグラフである。
図8図8(a),(b)は、コモン反転駆動方法を適用していないドット反転駆動方法による従来の液晶表示装置の消費電力を示すグラフであり、(a)は、全白表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧が、基準電圧Vcomを中心として極性反転(位相反転)している場合の消費電力(最大値)を説明するグラフ、(b)は、全黒表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧が、基準電圧Vcomを中心として極性反転(位相反転)している場合の消費電力(最小値)を説明するグラフである。
図9図9(a),(b)は、1Hライン毎のコモン反転駆動方法を適用したドット反転駆動方法による従来の液晶表示装置の消費電力を示すグラフであり、(a)は、全白表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧と基準電圧Vcomとが互いに逆相であり、かつ1Hライン毎にそれらが位相反転している場合の消費電力(最大値)を説明するグラフ、(b)は、全黒表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧と基準電圧Vcomとが互いに逆相であり、かつ1Hライン毎にそれらが位相反転している場合の消費電力(最小値)を説明するグラフである。
図10図10は、第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2を1フレーム毎に反転させることを示すタイミングチャートである。
図11図11は、IPS方式の液晶表示装置における画素電極及び基準電極の基本構成を示すブロック回路図である。
図12図12は、従来の液晶表示装置の基本構成を示すブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の液晶表示装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の液晶表示装置の構成部材のうち、本発明の構成を説明するために必要な主要な部材を示している。従って、本発明に係る液晶表示装置は、各図に示されていない、配線導体、回路基板、制御IC、制御LSI等の任意の構成部材を備え得る。
【0021】
本発明の液晶表示装置について実施の形態の一例を図1に示す。図1は、本発明の液晶表示装置の基本構成のブロック回路図である。図1に示すように、本発明の液晶表示装置は、基板上の第1の方向 (例えば、行方向)に形成された複数本のゲート信号線Gl,G2,G3,G4,・・・Gn(nは2以上の整数)と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線と交差させて形成された複数本の画像信号線Sl,S2,S4,S5,・・・Sm,Sm+1(mは2以上の整数)と、ゲート信号線Gl〜Gnと画像信号線Sl〜Sm+1の交差部に形成された、薄膜トランジスタ素子1、その薄膜トランジスタ素子1に接続された画素電極(図示せず)及びその画素電極との間で水平電界を形成する基準電極(図示せず)を含む画素電極部Pll〜Pnmと、基準電極に基準電圧を供給する基準電圧線2,3と、を有している。そして、各薄膜トランジスタ素子(TFT素子)1は、画像信号線に接続され、隣接する画素電極は、それぞれに接続された画像信号線及び薄膜トランジスタ素子から互いに逆相の画素電圧の画像信号が入力されており、基準電圧線2,3は、第1の基準電圧Vcomlの信号を供給する第1の基準電圧線2と第1の基準電圧Vcomlの信号と逆相の第2の基準電圧Vcom2の信号を供給する第2の基準電圧線3とから成るとともに、第1、第2の基準電圧線2,3は、隣接する基準電極のそれぞれに互い違いに接続されており、かつ高電位側の画素電圧の画像信号入力された画素電極に対応する基準電極に低電位側の基準電圧の信号入力され、低電位側の画素電圧の画像信号入力された画素電極に対応する基準電極に高電位側の基準電圧の信号入力されおり、さらに画素電圧及び第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2は1フレーム毎に位相が反転されるとともに、第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2の位相の反転はゲート信号線G1〜Gnがオンされるタイミングよりも早いタイミングで行われる構成である。
【0022】
より具体的には、画像信号線Sl〜Sm+1は、隣接するものが第2の方向において互い違いに薄膜トランジスタ素子1に接続されているとともに、隣接する画像信号線Sl〜Sm+1が互いに逆相の画素電圧の画像信号を供給し、第1、第2の基準電圧線2,3は、第1の方向において交互に画像信号線Sl〜Sm+1に沿って配線されているとともに、隣接する第1の基準電圧線2と第2の基準電圧線3が第2の方向において互い違いに基準電極に接続されており、第1、第2の基準電圧線2,3が互いに逆相の第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2の信号を供給する。尚、図1において、4はゲート信号線駆動回路(ゲートドライバ)、5は画像信号線駆動回路(ソースドライバ)である。
【0023】
図2(a)〜(c)は、本発明の液晶表示装置に適用される駆動方法が、ドット反転駆動方法とコモン反転駆動方法とを組み合わせたものであることを説明するものであり、各画素電極における画素電圧及び第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)の位相の状態を示す状態図である。図2の(a)は、高電位側の画素電圧をHp、低電位側の画素電圧をHcで表した場合に、3行×4列の画素電極部の群(Pll〜P34)における画素電圧の位相の状態を示す状態図である。即ち、隣接する画素電極(ドット)同士は、画素電圧の位相が互いに逆位相となっている。
【0024】
図2の(b)は、(a)と同様の状態図であり、各画素電極における画素電圧の位相の状態を示す状態図である。高電位側の画素電圧を上に凸の信号で表し、低電位側の画素電圧を下に凸の信号で表したものである。図2の(c)は、高電位側の基準電圧をハイ(Hc)で表し、低電位側の基準電圧をロー(Lc)で表したものである。図2(a)〜(c)より、高電位側の画素電圧(Hp)が印加された画素電極に対応する基準電極に低電位側の基準電圧(Lc)が印加され、低電位側の画素電圧(Lp)が印加された画素電極に対応する基準電極に高電位側の基準電圧(Hc)が印加されている。
【0025】
図3は、図2の状態図における画素電極部の群(Pll〜P34)のうちPllとP21に印加される画素電圧(Sl,S2)及び第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)の位相の状態を示すタイミングチャートである。画素電極部Pllには、高電位側の画素電圧Slと低電位側の基準電圧Vcomlとの電位差が合成して印加されるので、低電位側の基準電圧Vcomlを用いて相対的な大きな電位差が得られる。従って、消費電力の低減化に有効である。同様に、画素電極部P21には、低電位側の画素電圧S2と高電位側の基準電圧Vcom2との電位差が合成して印加されるので、高電位側の基準電圧Vcom2を用いて相対的な大きな電位差が得られる。この場合にも消費電力の低減化に有効である。
【0026】
図4(a)〜(c)は、本発明の液晶表示装置に適用される駆動方法が、ドット反転駆動方法とコモン反転駆動方法とを組み合わせたものであることを説明するものであり、各画素電極における画素電圧及び第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)の位相の状態を示す状態図である。図4の(a)は、高電位側の画素電圧をハイ (Hp)とし、低電位側の画素電圧をロー(Lp)とした場合に、3行×4列の画素電極部(P11〜P34)における画素電圧の位相の状態を示している。即ち、隣接する画素電極(ドット)同士は、画素電圧の位相が互いに逆位相となっている。
【0027】
図4の(b)は、(a)と同様の状態図であり、高電位側の画素電圧を上に凸の信号線で表し、低電位側の画素電圧を下に凸の信号線で表したものである。図4の(c)は、高電位側の基準電圧をハイ(Hc)で表し、低電位側の基準電圧をロー(Lc)で表したものである。図2(a)〜(c)より、高電位側の画素電圧(Hp)が印加された画素電極に対応する基準電極に低電位側の基準電圧(Lc)が印加され、低電位側の画素電圧(Lp)が印加された画素電極に対応する基準電極に高電位側の基準電圧(Hc)が印加されている。
【0028】
図5は、図4の状態図における画素電極部の群(P11〜P34)のうちPllとP21に印加される画素電圧(Sl,S2)及び第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)の位相の状態を示すタイミングチャートである。画素電極部Pllには、低電位側の画素電圧Slと高電位側の基準電圧Vcomlとの電位差が合成して印加されるので、高電位側の基準電圧Vcomlを用いて相対的な大きな電位差が得られる。従って、消費電力の低減化に有効である。同様に、画素電極部P21には、高電位側の画素電圧S2と低電位側の基準電圧Vcom2との電位差が合成して印加されるので、低電位側の基準電圧Vcom2を用いて相対的な大きな電位差が得られる。この場合にも消費電力の低減化に有効である。
【0029】
図6(a),(b)は、本発明の液晶表示装置の画像信号線(ソースライン)の消費電力の低減化を具体的に説明するグラフである。(a)は、例えば、全白表示の場合に図3における画素電極部Pllに、高電位側の画素電圧Slと低電位側の基準電圧Vcomlとの電位差が合成して印加された場合の消費電力(最小値)の低減化を説明するためのグラフである。(b)は、白黒交互表示の場合に図3における画素電極部Pllに、高電位側の画素電圧Slと低電位側の基準電圧Vcomlとの電位差が合成して印加された場合の消費電力(最大値)の低減化を説明するためのグラフである。
【0030】
図7(a),(b)は、本発明の液晶表示装置の画像信号線(ソースライン)の消費電力の低減化を具体的に説明するグラフである。(a)は、例えば、全白表示の場合に図3における画素電極部P21に、低電位側の画素電圧S2と高電位側の基準電圧Vcom2との電位差が合成して印加された場合の消費電力(最小値)の低減化を説明するためのグラフである。(b)は、白黒交互表示の場合に図3における画素電極部P2lに、低電位側の画素電圧S2と高電位側の基準電圧Vcom2との電位差が合成して印加された場合の消費電力(最大値)の低減化を説明するためのグラフである。
【0031】
図8(a),(b)は、コモン反転駆動方法を適用していないドット反転駆動方法による従来の液晶表示装置の画像信号線(ソースライン)の消費電力を示すグラフである。図8の(a)は、全白表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧が、基準電圧Vcomを中心として極性反転(位相反転)している場合の消費電力(最大値)を説明するためのグラフである。(b)は、全黒表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧が、基準電圧Vcomを中心として極性反転(位相反転)している場合の消費電力(最小値)を説明するためのグラフである。図6図8に示すように、本発明の液晶表示装置の消費電力(W=CV2f、Cは画像信号線(ソースライン)の容量、Vは画素電極に印加される電圧、fは画素電極に印加される交流電圧の周波数)は、最大で25.2μW、従来の液晶表示装置の消費電力は最大で0.16mWであり、本発明の液晶表示装置の消費電力は従来の液晶表示装置の消費電力の約6分の1となり、大幅に低減化されている。
【0032】
図9(a),(b)は、上記の先行技術文献1に開示された、1Hライン毎のコモン反転駆動方法を適用したドット反転駆動方法による従来の液晶表示装置の画像信号線(ソースライン)の消費電力を示すグラフである。(a)は、全白表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧と基準電圧Vcomとが互いに逆相であり、かつ1Hライン毎にそれらが位相反転している場合の消費電力(最大値)を説明するグラフである。(b)は、全黒表示の場合に画素電極部に印加される画素電圧と基準電圧Vcomとが互いに逆相であり、かつ1Hライン毎にそれらが位相反転している場合の消費電力(最小値)を説明するグラフである。図9に示すように、1Hライン毎のコモン反転駆動方法を適用したドット反転駆動方法を用いた従来の液晶表示装置においては、その消費電力は最大で39.4μWである。従って、本発明の液晶表示装置の消費電力は最大で25.2μWであり、図9に示した従来の液晶表示装置の消費電力の約4割減となり、低減化されている。
【0033】
図10は、第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)を1フレーム毎に反転させることを示すタイミングチャートである。ゲート信号線Gl〜Gnはカスケード方式で順次オンされる。第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)は、ゲート信号線Glがオンされるタイミングよりもt1(0<t1<1μs)だけわずかに早いタイミングで、それらの位相が反転する。これは、第1、第2の基準電圧2(Vcoml),3(Vcom2)の容量の時定数による波形のなまりに起因する反転動作の遅れを考慮したものである。
【0034】
本発明の液晶表示装置は、IPS方式の液晶表示装置であって、ドット反転駆動方法とコモン反転駆動方法とを組み合わせた駆動方法が適用されるものである。即ち、各薄膜トランジスタ素子1は、画像信号線S1〜Sm+1に接続され、隣接する画素電極は、それぞれに接続された画像信号線S1〜Sm+1及び薄膜トランジスタ素子1から互いに逆相の画素電圧の画像信号が入力されており、基準電圧線2,3は、第1の基準電圧Vcomlの信号を供給する第1の基準電圧線2と第1の基準電圧Vcomlの信号と逆相の第2の基準電圧Vcom2の信号を供給する第2の基準電圧線3とから成るとともに、第1、第2の基準電圧線2,3は、隣接する基準電極のそれぞれに互いに違いに接続されており、かつ高電位側の画素電圧の画像信号入力された画素電極に対応する基準電極に低電位側の基準電圧の信号入力され、低電位側の画素電圧の画像信号が印加された画素電極に対応する基準電極に高電位側の基準電圧の信号入力されおり、さらに画素電圧及び第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2は1フレーム毎に位相が反転されるとともに、第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2の位相の反転はゲート信号線G1〜Gnがオンされるタイミングよりも早いタイミングで行われる構成である。本発明の液晶表示装置は、このようなドット反転駆動方法とコモン反転駆動方法とを組み合わせた駆動方法が実現できればよく、図1の配線の構成に限られない。
【0035】
また、隣接する画素電極の画素電圧が互いに逆相となるように駆動することは、画像信号線駆動回路(ソースドライバ)5によって行うことができる。例えば、図1に示すように、ある水平走査期間(1H期間)において、オン状態のゲート信号線G1について、画像信号線駆動回路5によって画像信号線S1,S2,S3,S4にHp(+),Lp(−),Hp(+),Lp(−)の画像信号を入力すると、画素電極部P11,P12,P13,P14にHp(+),Lp(−),Hp(+),Lp(−)の画像信号が入力される。次の1H期間において、オン状態のゲート信号線G2について、画像信号線駆動回路5によって上記と同じく画像信号線S1,S2,S3,S4にHp(+),Lp(−),Hp(+),Lp(−)の画像信号を入力すると、画素電極部P21,P22,P23,P24にLp(−),Hp(+),Lp(−),Hp(+)の画像信号が入力される。これにより、画像信号線駆動回路5によって画像信号線S1,S2,S3,S4・・・にHp(+),Lp(−),Hp(+),Lp(−)・・・の画像信号を1フレーム期間において常時入力しても、ゲート信号線G1〜Gnを順次走査していくと、隣接する画素電圧が互いに逆相になる。従って、画像信号線駆動回路5は、1フレーム期間において、1本の画像信号線には1つの位相(極性)の画像信号を常時入力すればよいので、画像信号の位相反転のための画像信号線駆動回路5の負担が軽減されて、その消費電力が低減化される。即ち、W=CV2f(Cは画像信号線(ソースライン)の容量、Vは画素電極に印加される電圧、fは画素電極に印加される交流電圧の周波数)で表される消費電力が、fが低くなるために、低減化される。
【0036】
第1、第2の基準電圧Vcoml,Vcom2について、1フレーム毎に位相を反転させる動作は、液晶表示パネルの周辺に設けられた制御IC,制御LSI等によって行うことができる。
【0037】
図11は、IPS方式の液晶表示装置における画素電極及び基準電極の基本構成を示すブロック回路図である。画素電極1a及び基準電極1bは、同じ基板の同じ主面上に櫛歯状をなすように形成されており、それらの間で液晶に印加する水平電界を形成する。
【0038】
本発明の液晶表示装置は、それを構成するTFT素子を、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン等から成る半導体膜を有するものとすることができる。特には、TFT素子が、低温多結晶シリコンから成る半導体膜を有するものとすることが好ましい。低温多結晶シリコンは、450℃以下で多結晶化させたシリコンであり、高価な石英基板ではなくガラス基板が使用できる。また、低温多結晶シリコンはキャリア移動度が100〜200cm2/Vs以上であり、アモルファスシリコンの0.5cm2/Vsよりも高い。その結果、電流駆動能力が向上し、TFT素子を小さくして高精細化することができる。
【0039】
また、低温多結晶シリコンを用いてnチャンネルTFT素子及びpチャンネルTFT素子を形成できるので、CMOS回路を基礎とした駆動回路、SRAM回路、D/A変換器、画像表示部等をガラス基板上に一体的に集積化することができる。従って、音声処理回路、マイクロプロセサを搭載した液晶表示装置を、低温多結晶シリコンを用いて作製することができる。ガラス基板上に液晶表示装置と周辺の駆動回路を一体的に形成できるので、電気的な信頼性が向上する。即ち、液晶表示パネルと駆動回路との電気的接続数を大幅に減らすことができ、振動に強く、軽量化がなされるので、携帯情報端末にとって好適なものとなる。また、電流駆動能力が高いので、高精細な画素、開口率の高い画素を有する液晶表示装置を作製することができる。
【0040】
低温多結晶シリコンの製造方法を以下に示す。まず、ガラス基板上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、アモルファスシリコン膜を形成する。次に、アモルファスシリコン膜を多結晶化するために、450℃以下のガラス基板の温度でエキシマレーザ光を照射する。エキシマレーザ光のエネルギーでアモルファスシリコン膜は瞬間的に溶融し凝固する。その結果、平均粒径0.3μm程度の多結晶シリコンの膜に変化する。
【0041】
本発明の液晶表示装置における画素電極は、透光性を有する場合、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の液晶表示装置は各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、スマートウォッチ等のデジタル表示式腕時計などがある。
【符号の説明】
【0043】
1 TFT素子
1a 画素電極
1b 基準電極
2 第1の基準電圧線
3 第2の基準電圧線
4 ゲート信号線駆動回路
5 画像信号線駆動回路
11 TFT素子
12 基準電圧線
14 ゲート信号線駆動回路
15 画像信号線駆動回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12