(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記第1表示において、前記第1X線管における前記第1X線の焦点を視点とし、かつ前記第1方向を視線方向として前記第1線量分布を表示し、前記第2X線管における前記第2X線の焦点を視点とし、かつ前記第2方向を視線方向として前記第2線量分布を表示する請求項1に記載のX線診断装置。
前記特定部は、前記第1線量分布と前記第2線量分布とに基づいて、前記第1線量分布と前記第2線量分布とに対して、前記被検体に対する積算照射線量が小さい順序を特定し、
前記表示部は、前記第2表示において、前記特定された順序に従って、前記第1線量分布と前記第2線量分布とを、所定の時間間隔をあけて表示する請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のX線診断装置。
前記表示部は、前記第2表示において、前記特定された順序に従って、前記第1線量分布と前記第2線量分布とを、所定の時間間隔をあけて、所定回数にわたって繰り返し表示する請求項9に記載のX線診断装置。
第1方向に沿って第1X線を被検体に照射する第1X線管を支持する第1支持機構の位置と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って第2X線を前記被検体に照射する第2X線管を支持する第2支持機構との位置を記憶し、
前記第1X線に関する第1線量分布と、前記第2X線に関する第2線量分布とを発生し、
前記第1支持機構および前記第2支持機構の位置状態を特定し、
前記位置状態に応じて、第1表示において前記第1線量分布及び前記第2線量分布が重畳されたモデルを、少なくとも第1視点及び第2視点で同時に表示し、
前記モデルを前記第1視点で表示する第1表示領域及び前記モデルを前記第2視点で表示する第2表示領域により表示する前記第1表示と、前記第1線量分布と前記第2線量分布とのうち少なくとも一つを一つの表示領域に表示する第2表示とを、相互に切り替えて表示する、
線量分布表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係るX線診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線診断装置の外観を示す外観図である。
図1に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1は、複数の支持機構(バイプレーン構造)を有する。
【0010】
図2は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成を示している。X線診断装置1は、高電圧発生部3と、第1X線管5と、第1X線検出器7と、第1支持機構9と、第1照射範囲限定器11と、第1線量計測器13と、第2X線管15と、第2X線検出器17と、第2支持機構19と、第2照射範囲限定器21と、第2線量計測器23と、天板24を有する寝台25と、駆動部27と、画像発生部29と、インターフェース部31と、記憶部33と、線量分布発生部35と、入力部37と、特定部39と、表示部41と、制御部43とを有する。
図2は、本実施形態に係るX線診断装置1の外観を示す外観図である。
【0011】
高電圧発生部3は、第1X線管5と第2X線管15とに供給する管電流と、第1X線管5と第2X線管15とに印加する管電圧とを発生する。高電圧発生部3は、後述する制御部43による制御のもとで、後述するX線撮影条件に従って、管電流を第1X線管5と第2X線管15とに供給し、管電圧を第1X線管5と第2X線管15とに印加する。高電圧発生部3は、第1X線管5への管電流の供給の有無および管電圧の印加の有無を、後述する特定部39に出力する。高電圧発生部3は、第2X線管15への管電流の供給の有無および管電圧の印加の有無を、後述する特定部39に出力する。
【0012】
第1X線管5は、高電圧発生部3から供給された管電流と、高電圧発生部3により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下、第1焦点と呼ぶ)においてX線(以下、第1X線と呼ぶ)を発生する。第1焦点から発生された第1X線は、第1X線管5の前面に設けられたX線放射窓を介して、被検体Pに照射される。
【0013】
第1X線検出器7は、第1X線管5から発生され、被検体Pを透過した第1X線を検出する。例えば、第1X線検出器7は、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detecter:以下、第1FPDと呼ぶ)を有する。第1FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する形式である。
【0014】
第1X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、第1X線検出器7として、イメージインテンシファイア(Imageintensifier)が用いられてもよい。
【0015】
第1支持機構9は、第1X線管5と第1X線検出器7とを移動可能に支持する。具体的には、第1支持機構9は、例えば、
図1におけるCアーム91とCアーム支持部93とを有する。Cアーム91は、第1X線管5と第1X線検出器7とを、互いに向き合うように搭載する。Cアーム支持部93は、Cアーム91のC形状に沿う方向(以下、C方向と呼ぶ)に、Cアーム91をスライド可能に支持する。
【0016】
また、Cアーム支持部93は、Cアーム91とCアーム支持部93とを接続する第1接続部95を略中心として、C方向に直交する方向(以下、C直交方向と呼ぶ)に回転可能にCアーム91を支持する。なお、Cアーム支持部93は、後述する天板24の短軸方向(
図1、
図2のX方向)と長軸方向(
図1、
図2のY方向)とに平行移動可能にCアーム91を支持することも可能である。また、Cアーム91は、第1焦点と第1X線検出器7との距離(線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、第1SIDと呼ぶ))を変更可能に、第1X線管5と第1X線検出器7とを支持する。
【0017】
第1照射範囲限定器11は、第1X線管5におけるX線放射窓の前面に設けられる。すなわち、第1照射範囲限定器11は、第1X線管5と第1X線検出器7との間に設けられる。第1照射範囲限定器11は、X線可動絞りとも称される。具体的には、第1照射範囲限定器11は、第1焦点で発生されたX線を、操作者が所望する撮影部位以外に不要な被爆をさせないために、最大口径の照射範囲(以下、最大照射範囲と呼ぶ)を、被検体Pの体表面にX線を照射する照射面積に応じて限定する。例えば、第1照射範囲限定器11は、後述する入力部37により入力された照射範囲(以下、第1照射範囲と呼ぶ)の限定指示に従って、絞り羽根を移動させることにより、照射範囲を限定する。
【0018】
具体的には、第1照射範囲限定器11は、第1SIDに対して直行する2軸のうち一つの軸に沿って移動可能な複数の絞り羽根と、他方の軸に沿って移動可能な複数の絞り羽根とを有する。これら複数の絞り羽根各々は、第1焦点で発生された第1X線を遮蔽する鉛により構成される。
【0019】
なお、第1照射範囲限定器11は、被検体Pへの被曝線量の低減および画質の向上を目的として、第1X線の照射範囲に挿入される複数の線質調整フィルタを有していてもよい。複数の線質調整フィルタは、それぞれ異なる厚みを有する。線質調整フィルタは、例えば、ハレーション(halation)防止のために、被検体Pに対する被曝を低減させるため、第1X線のうち、被検体Pに吸収されやすい低エネルギーのX線成分(軟線成分)を低減する。また、線質調整フィルタは、第1X線のうち、後述する画像発生部29により発生された第1医用画像において、コントラストの低下の原因となる高エネルギーのX線成分を低減してもよい。
【0020】
第1線量計測器13は、第1照射範囲限定器11の前面に設けられる。すなわち、第1線量計測器13は、第1照射範囲限定器11と第1X線検出器7との間に設けられる。第1線量計測器13は、例えば、面積線量計である。第1線量計測器13は、所定の期間に亘る第1X線の線量の積算値(面積線量)を計測する。所定の期間とは、線量計測期間である。線量計測期間は、第1線量計測器13により計測された面積線量を、第1線量計測器13から読み出す読み出し周期に対応する。第1線量計測器13は、読み出し周期ごとに読み出した面積線量(以下、第1X線線量と呼ぶ)を、後述する記憶部33および線量分布発生部35に出力する。
【0021】
第2X線管15は、高電圧発生部3から供給された管電流と、高電圧発生部3により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下、第2焦点と呼ぶ)においてX線(以下、第2X線と呼ぶ)を発生する。第2焦点から発生された第2X線は、第2X線管15の前面に設けられたX線放射窓を介して、被検体Pに照射される。
【0022】
第2X線検出器17は、第2X線管15から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、第2X線検出器17は、第2FPDを有する。第2X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないA/D変換器に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、第2X線検出器17として、イメージインテンシファイアが用いられてもよい。
【0023】
第2支持機構19は、第2X線管15と第2X線検出器17とを移動可能に支持する。具体的には、第2支持機構19は、例えば、
図1におけるΩアーム191とΩアーム支持部193とを有する。Ωアーム191は、第2X線管15と第2X線検出器17とを、互いに向き合うように搭載する。Ωアーム支持部193は、Ωアーム191のΩ形状に沿う方向(以下、Ω方向と呼ぶ)に、Ωアーム191をスライド可能に支持する。
【0024】
また、Ωアーム支持部193は、天井に設けられたレール195に沿って移動可能に設置される。レール195は、例えば、天板24の長軸方向に平行に、天井に設けられる。Ωアーム支持部193は、Ωアーム191とΩアーム支持部193とを接続する第2接続部197を略中心として、Ω方向に直交する方向(以下、Ω直交方向と呼ぶ)に回転可能にΩアーム191を支持する。なお、Ωアーム支持部193は、後述する天板24の短軸方向(
図1、
図2のX方向)と長軸方向(
図1、
図2のY方向)とに平行移動可能にΩアーム191を支持することも可能である。また、Ωアーム191は、第2焦点と第2X線検出器17との距離(線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、第2SIDと呼ぶ))を変更可能に、第2X線管15と第2X線検出器17とを支持する。
【0025】
第2照射範囲限定器21は、第2X線管15におけるX線放射窓の前面に設けられる。すなわち、第2照射範囲限定器21は、第2X線管15と第2X線検出器17との間に設けられる。第2照射範囲限定器21は、X線可動絞りとも称される。具体的には、第2照射範囲限定器21は、第2焦点で発生された第2X線を、操作者が所望する撮影部位以外に不要な被爆をさせないために、最大照射範囲を、被検体Pの体表面にX線を照射する照射面積に応じて限定する。例えば、第2照射範囲限定器21は、後述する入力部37により入力された照射範囲(以下、第2照射範囲と呼ぶ)の限定指示に従って、絞り羽根を移動させることにより、照射範囲を限定する。
【0026】
具体的には、第2照射範囲限定器21は、第2SIDに対して直行する2軸のうち一つの軸に沿って移動可能な複数の絞り羽根と、他方の軸に沿って移動可能な複数の絞り羽根とを有する。これら複数の絞り羽根各々は、第2焦点で発生された第2X線を遮蔽する鉛により構成される。なお、第2照射範囲限定器21は、被検体Pへの被曝線量の低減および画質の向上を目的として、第2X線の照射範囲に挿入される複数の線質調整フィルタを有していてもよい。
【0027】
第2線量計測器23は、第2照射範囲限定器21の前面に設けられる。すなわち、第2線量計測器23は、第2照射範囲限定器21と第2X線検出器17との間に設けられる。第2線量計測器23は、例えば、面積線量計である。第2線量計測器23は、所定の期間に亘る第2X線の線量の積算値(面積線量)を計測する。第2線量計測器23は、読み出し周期ごとに読み出した面積線量(以下、第2X線線量と呼ぶ)を、後述する記憶部33および線量分布発生部35に出力する。
【0028】
寝台25は、被検体Pを載置する天板24を有する。なお、天板24には、被検体Pが載置される。
【0029】
駆動部27は、後述する制御部27の制御のもとで、第1支持機構9と、第2支持機構19と、寝台25とを駆動する。具体的には、駆動部27は、制御部43からの制御信号に応じた駆動信号をCアーム支持部93に供給して、Cアーム91をC方向にスライド、C直交方向に回転させる。駆動部27は、制御部43からの制御信号に応じた駆動信号をΩアーム支持部193に供給して、Ωアーム191をΩ方向にスライド、Ω直交方向に回転させる。
【0030】
X線撮影時においては、第1X線管5と第1X線検出器7との間、および第2X線管15と第2X線検出器17との間に、天板24に載置された被検体Pが配置される。駆動部27は、天板24に対する第1X線管5の位置(または、第1支持機構9の位置)と、天板24に対する第2X線管15の位置(または、第2支持機構19の位置)を、後述する特定部39などに出力する。
【0031】
駆動部27は、後述する制御部43の制御のもとで、天板24を駆動することにより、天板24を移動させる。具体的には、駆動部27は、制御部43からの制御信号に基づいて、天板24の短軸方向(
図1、
図2のX方向)または天板24の長軸方向(
図1、
図2のY方向)に、天板24をスライドさせる。また、駆動部27は、鉛直方向(
図1、
図2のZ方向)に関して、天板24を昇降する。加えて、駆動部27は、長軸方向と短軸方向とのうち少なくとも一つの方向を回転軸(
図1のX軸、Y軸)として、天板24を傾けるために天板24を回転してもよい。駆動部27は、天板24の位置を、後述する特定部39に出力する。
【0032】
駆動部27は、第1支持機構9の位置(以下、第1位置と呼ぶ)と、第2支持機構19の位置(以下、第2位置と呼ぶ)とを後述する特定部39に出力する。なお、第1位置は、第1支持機構9から特定部39へ出力されてもよい。また、第2位置は、第2支持機構19から特定部39へ出力されてもよい。
【0033】
駆動部27は、第1X線管5と天板24との相対的な位置関係(以下、第1相対位置と呼ぶ)を、後述する線量分布発生部35に出力する。駆動部27は、第2X線管15と天板24との相対的な位置関係(以下、第2相対位置と呼ぶ)を、後述する線量分布発生部35に出力する。
【0034】
第1相対位置とは、例えば、天板24に対するCアーム91の角度(傾き)、Cアーム91のスライドの角度(アーム角度と呼ぶ)などである。傾きと、アーム角度とは、例えば、被検体Pに対するアイソセンタ(Isocenter)を基準としたオイラー角である。なお、駆動部27は、第1支持機構9の位置、Cアーム91の角度などに従って任意に回転させるために、第1X線検出器7を駆動してもよい。
【0035】
第2相対位置とは、例えば、天板24に対するΩアーム191の角度(傾き)、Ωアーム191のスライドに関するアーム角度などである。傾きと、アーム角度とは、例えば、被検体Pに対するアイソセンタ(Isocenter)を基準としたオイラー角である。なお、駆動部27は、第2支持機構19の位置、Ωアーム191の角度などに従って任意に回転させるために、第2X線検出器17を駆動してもよい。
【0036】
図示していない前処理部は、第1X線検出器7および第2X線検出器17から出力されたディジタルデータに対して、前処理を実行する。前処理とは、第1X線検出器7および第2X線検出器17におけるチャンネル間の感度不均一の補正、および金属等のX線強吸収体による極端な信号の低下またはデータの脱落に関する補正等である。前処理されたディジタルデータは、後述する画像発生部29に出力される。
【0037】
画像発生部29は、前処理されたディジタルデータに基づいて、第1相対位置および第2相対位置にそれぞれ対応する2つのX線画像を発生する。画像発生部29は、発生したX線画像を、後述する記憶部33および表示部41に出力する。
【0038】
インターフェース部31は、例えば、ネットワーク、図示していない外部記憶装置に関するインターフェースである。本X線診断装置1によって得られたX線画像等のデータおよび解析結果などは、インターフェース部31およびネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0039】
記憶部33は、画像発生部29で発生された種々のX線画像、本X線診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、後述する入力部37から送られてくる操作者の指示、X線撮影に関する撮影条件および透視条件などの各種データ群、インターフェース部31とネットワークとを介して送られてくる種々のデータ、第1X線線量、第2X線線量などを記憶する。記憶部33は、第1相対位置、第2相対位置、第1照射範囲、第2照射範囲を記憶してもよい。
【0040】
記憶部33は、第1X線の発生に関するX線照射条件(以下、第1X線条件と呼ぶ)を記憶する。記憶部33は、第2X線の発生に関するX線照射条件(以下、第2X線条件と呼ぶ)を記憶する。第1X線条件は、第1X線の線質に関する条件(管電圧、管電流など)、照射時間、照射間隔、第1照射範囲限定器11における開口(第1照射範囲)、管電流(mA)と照射時間(s)との積(以下、管電流時間積(mAs)と呼ぶ)、入力部37を介して選択された線質調整フィルタの厚み(または、線質調整フィルタの種類)、撮像視野(Field of view:FOV)、照射レート(1秒あたりのX線照射回数)などである。
【0041】
第2X線条件は、第2X線の線質に関する条件(管電圧、管電流など)、照射時間、照射間隔、第2照射範囲限定器21における開口(第2照射範囲)管電流時間積(mAs)、入力部37を介して選択された線質調整フィルタの厚み(または、線質調整フィルタの種類)、撮像視野(Field of view:FOV)、照射レートなどである。なお、第1X線条件および第2X線条件において、線質調整フィルタの厚み(種類)、照射時間などは、後述する入力部37を介して適宜予め設定されてもよい。
【0042】
記憶部33は、第1X線の照射(発生)ごとの幾何学的条件(以下、第1幾何学的条件と呼ぶ)を記憶する。第1幾何学的条件とは、第1の基準位置、天板24の位置、Cアーム91の位置、Cアーム91の角度、第1X線の照射方向(以下、第1方向と呼ぶ、)第1SID、第1FPD回転角度などである。第1の基準位置とは、例えば、本X線診断装置1におけるアイソセンタから第1焦点に向かって15cm離れた位置である。なお、記憶部33は、基準位置および第1照射範囲限定器11の開口に対する基準位置における照射面積(以下、第1照射面積と呼ぶ)の対応表を記憶してもよい。また、記憶部33は、第1X線の照射ごとの照射面積を記憶してもよい。
【0043】
記憶部33は、第2X線の照射(発生)ごとの幾何学的条件(以下、第2幾何学的条件と呼ぶ)を記憶する。第2幾何学的条件とは、第2の基準位置、天板24の位置、Ωアーム191の位置、Ωアーム191の角度、第2X線の照射方向(以下、第2方向と呼ぶ)、第2SID、第2FPD回転角度などである。第2の基準位置とは、例えば、本X線診断装置1におけるアイソセンタから第2焦点に向かって15cm離れた位置である。なお、記憶部33は、基準位置および第2照射範囲限定器21の開口に対する基準位置における照射面積(以下、第2照射面積と呼ぶ)の対応表を記憶してもよい。また、記憶部33は、第2X線の照射ごとの照射面積を記憶してもよい。
【0044】
記憶部33は、後述する線量分布発生部35で用いられる患者モデルを記憶する。なお、記憶部33は、所定の基準位置における線量分布を発生させる線量分布発生プログラムを記憶してもよい。また、記憶部33は、後述する線量分布発生部35により発生された線量分布を記憶する。
【0045】
線量分布発生部35は、第1X線線量と、第1幾何学的条件と、第1X線条件と、第1照射面積とに基づいて、第1の基準位置における線量分布(以下、第1線量分布と呼ぶ)を発生する。第1線量分布とは、被検体Pの体表面に照射された第1X線による入射皮膚線量の分布である。線量分布発生部35は、発生した第1線量分布を、第1幾何学的条件とともに、後述する表示部41に出力する。
【0046】
具体的には、線量分布発生部35は、第1幾何学的条件と、第1X線線量と、第1照射面積とに基づいて、第1の基準位置における空気カーマ(kerma)(以下、第1空気カーマと呼ぶ)を計算する。線量分布発生部35は、患者モデルを記憶部33から読み出す。線量分布発生部35は、計算された第1空気カーマと、第1照射面積と、第1幾何学的条件とに基づいて、患者モデル上における照射位置での線量(以下、第1入射皮膚線量と呼ぶ)を計算する。
【0047】
なお、線量分布発生部35は、第1空気カーマから第1入射皮膚線量を計算するとき、後方散乱線の影響を加味して第1入射皮膚線量を計算することも可能である。線量分布発生部35は、患者モデルにおける照射位置に、第1入射皮膚線量を写像させることにより、第1線量分布を発生する。
【0048】
線量分布発生部35は、第2X線線量と、第2幾何学的条件と、第2X線条件と、第2照射面積とに基づいて、第2の基準位置における線量分布(以下、第2線量分布と呼ぶ)を発生する。第2線量分布とは、被検体Pの体表面に照射された第2X線による入射皮膚線量の分布である。線量分布発生部35は、発生した第2線量分布を、第2幾何学的条件とともに、後述する表示部41に出力する。
【0049】
具体的には、線量分布発生部35は、第2幾何学的条件と、第2X線線量と、第2照射面積とに基づいて、第2基準位置における空気カーマ(kerma)(以下、第2空気カーマと呼ぶ)を計算する。線量分布発生部35は、患者モデルを記憶部33から読み出す。線量分布発生部35は、計算された第2空気カーマと、第2照射面積と、第2幾何学的条件とに基づいて、患者モデル上における照射位置での線量(以下、第2入射皮膚線量と呼ぶ)を計算する。
【0050】
なお、線量分布発生部35は、第2空気カーマから第2入射皮膚線量を計算するとき、後方散乱線の影響を加味して第2入射皮膚線量を計算することも可能である。線量分布発生部35は、患者モデルにおける照射位置に、第2入射皮膚線量を写像させることにより、第2線量分布を発生する。
【0051】
入力部37は、第1X線条件、第2X線条件などのX線照射条件、第1X線管および第2X線管各々による撮影位置、第1照射範囲、第2照射範囲、第1方向、第2方向などを入力する。具体的には、入力部37は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本X線診断装置1に取り込む。撮影位置は、例えば、アイソセンタに対する角度で規定される。例えば、第1斜位方向(RAO)、第2斜位方向(LAO)、尾頭方向(CRA)、頭尾方向(CAU)の起点を撮影位置とし、アイソセンタを
図2の直交3軸の原点とすると、起点における透視位置の角度は0°である。
【0052】
入力部37は、図示しないが、関心領域の設定などを行うためのトラックボール、マウス、キーボード等を有する。入力部37は、後述する第1表示と第2表示とを切り替えるスイッチボタンを有する。入力部37は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を後述する制御部43に出力する。なお、入力部37は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部37は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を制御部43に出力する。
【0053】
特定部39は、第1位置に基づいて、第1支持機構9の位置状態を特定する。具体的には、特定部39は、第1位置に基づいて、第1支持機構9が待避位置に位置するか否かを特定する。待避位置とは、パーク(Park)位置とも称される。パーク位置とは、操作者および被検体に対して安全であって、X線撮影に無関係な位置に第1支持機構9および第2支持機構19を待避させるための位置である。特定部39は、第1支持機構9がパーク位置に配置されている場合、後述する表示部41に、表示切り替え情報を出力する。
【0054】
特定部39は、第2位置に基づいて、第2支持機構19の位置状態を特定する。具体的には、特定部39は、第2位置に基づいて、第2支持機構19がパーク位置に位置するか否かを特定する。特定部39は、第2支持機構19がパーク位置に配置されている場合、後述する表示部41に、表示切り替え情報を出力する。
【0055】
特定部39は、高電圧発生部3からの出力に基づいて、第1X線管5の動作状態を特定する。具体的には、特定部39は、高電圧発生部3からの出力に基づいて、第1X線管5が動作しているか否かを特定する。特定部39は、第1X線管5が動作していない場合、後述する表示部41に表示切り替え情報を出力する。
【0056】
特定部39は、高電圧発生部3からの出力に基づいて、第2X線管15の動作状態を特定する。具体的には、特定部39は、高電圧発生部3からの出力に基づいて、第2X線管15が動作しているか否かを特定する。特定部39は、第2X線管15が動作していない場合、後述する表示部41に表示切り替え情報を出力する。
【0057】
表示部41は、画像発生部29により発生されたX線画像を表示する。表示部41は、撮影位置、第1X線条件、第2X線条件などの入力に関するする入力画面を表示する。
【0058】
表示部41は、線量分布発生部35で発生された第1線量分布と第2線量分布とを、患者モデルとともに、それぞれ異なる表示領域で表示する(以下、第1表示と呼ぶ)。具体的には、表示部41は、患者モデルに、第1X線による第1照射野と、第1線量分布と、第2X線による第2照射野と、第2線量分布とを重畳した重畳画像を表示する。第1表示において、第1線量分布は、第1焦点を視点とし、第1方向を視線方向として表示される。第1表示において、第2線量分布は、第2焦点を視点とし、第2方向を視線方向として表示される。
【0059】
表示部41は、第1線量分布と第2線量分布とのうち少なくとも一方を、患者モデルとともに、一つの表示領域で表示する(以下、第2表示と呼ぶ)。具体的には、第2表示において、第1線量分布と第2線量分布とのうち少なくとも一方は、天板24の背面(被検体が載置される載置面に対向する面)から所定の距離だけ下方の所定の位置を視点とし、所定の位置から被検体の体表面に向かう所定の方向を視線方向として表示される。なお、第2表示における視点の位置と視線方向とは、入力部37を介して任意に設定可能である。
【0060】
表示部41は、表示切り替え情報に応じて、第1表示と第2表示とを相互に切り替えて表示する。具体的には、表示部41は、第1支持機構9および第2支持機構19によりX線撮影が実行されると、第1線量分布と第2線量分布とを第1表示で表示する。表示部41は、第1支持機構9および第2支持機構19の位置状態と第1X線管5および第2X線管15の動作状態とに応じて、第1表示を第2表示に切り替えて表示する。
【0061】
例えば、第1支持機構9がパーク位置に配置された場合、または第1X線管5が動作していない場合、表示部41は、患者モデルに第2線量分布を重畳した重畳画像を、第2表示として表示する。また、第2支持機構19がパーク位置に配置された場合、または第2X線管15が動作していない場合、表示部41は、患者モデルに第1線量分布を重畳した重畳画像を、第2表示として表示する。なお、表示切り替え情報が未出力である場合、表示部41は、第1表示を維持する。
【0062】
図3は、表示部41において相互に切り替えて表示される第1表示と第2表示との一例を示す図である。
図3に示すように、被検体pに対して異なる2方向からX線撮影が実行されると、表示部41は、第1線量分布と第2線量分布とを第1表示で表示する。次いで、第1支持機構9および第2支持機構19の位置状態と、第1X線管5および第2X線管15の動作状態とに応じて、表示部41は、第1表示を第2表示に切り替える。なお、第1表示と第2表示との切り替えは、入力部37におけるスイッチボタンの操作に応じて、適宜切り変え可能である。
【0063】
制御部43は、図示していないCPU(Central Processing Unit)とメモリを備える。制御部43は、入力部37から送られてくる操作者の指示、撮影位置、第1X線管5による撮影方向(第1方向)、第2X線管15による撮影方向(第2方向)、第1照射範囲、第2照射範囲、第1X線条件、第2X線条件などの情報を、図示していなメモリに一時的に記憶する。制御部43は、メモリに記憶された操作者の指示、撮影位置、第1方向、第2方向、第1照射範囲、第2照射範囲、第1X線条件、第2X線条件などに従って、X線撮影を実行するために、高電圧発生部3、第1X線検出器7、第2X線検出器17、第1照射範囲限定器11、第2照射範囲限定器21、駆動部27などを制御する。制御部43は、記憶部33に記憶された線量分布発生プログラムを読み出し、メモリに展開する。制御部43は、メモリに展開した線量分布発生プログラムに従って、線量分布発生部35、表示部41などを制御する。
【0064】
(線量分布切替機能)
線量分布切替機能とは、第1支持機構9および第2支持機構19の位置状態と、第1X線管5および第2X線管15の動作状態とに応じて、第1表示と第2表示とを相互に切り替える機能である。以下、線量分布切替機能に関する処理(以下、線量分布切替処理と呼ぶ)について説明する。
【0065】
図4は、線量分布切替処理の手順の一例を示すフローチャートである。
被検体Pに対してX線撮影が実行される(ステップSa1)。第1X線線量と第2X線線量とが計測される(ステップSa2)。第1X線線量と、第1X線条件と、第1照射面積と、第1幾何学的条件とに基づいて、第1線量分布が発生される(ステップSa3)。第2X線線量と、第2X線条件と、第2照射面積と、第2幾何学的条件とに基づいて、第2線量分布が発生される(ステップSa4)。第1線量分布と第2線量分布とが、第1表示として、それぞれ異なる表示領域に患者モデルとともに表示される(ステップSa5)。第1支持機構9および第2支持機構19の位置状態と、第1X線管5および第2X線管15の動作状態とが特定される(ステップSa6)。
【0066】
第1支持機構9または第2支持機構19がパーク位置に配置されていれば(ステップSa7)、非パーク位置の支持機構に関する線量分布が、第2表示として、患者モデルとともに表示される(ステップSa8)。ステップSa8の後、ステップSa1乃至ステップSa7の処理が再度実行される。
【0067】
第1支持機構9または第2支持機構19がパーク位置に配置されていなければ(ステップSa7)、第1X線管5または第2X線管15が動作中か否かが特定される(ステップSa9)。第1X線管5または第2X線管15が動作中でなければ(ステップSa9)、ステップSa1乃至ステップSa8の処理が再度実行される。
【0068】
第1X線管5および第2X線管15が、被検体Pに対して同時にX線を照射していれば(ステップSa9)、ステップSa2乃至ステップSa7の処理が繰り返される。すなわち、第1X線管5および第2X線管15が同時にX線を照射していれば、第1線量分布と第2線量分布とが第1表示で表示部41に表示される。第1X線管5および第2X線管15が、被検体Pに対して同時にX線を照射していなければ(ステップSa9)、第1X線管5と第2X線管15とのうちいずれか一方のX線管がX線を照射しているか否かが判定される(ステップSa10)。
【0069】
第1X線管5と第2X線管15とのうち、いずれか一方のX線管がX線を照射していれば(ステップSa10)、照射中のX線管により発生されたX線に関する線量分布が、第2表示として、患者モデルとともに1画面で表示される(ステップSa11)。第1X線管5および第2X線管15がX線を照射していなければ(ステップSa10)、X線撮影の終了の有無が判定される(ステップSa12)。ステップSa10の処理またはステップSa11の処理の後、X線撮影が終了しなければ(ステップSa12)、ステップSa1乃至ステップSa11の処理が繰り返される。
【0070】
(第1の変形例)
実施形態との相違は、第2表示において、X線を発生しているX線管に関する線量分布、または単位時間当たりの照射線量が大きい線量分布を表示することにある。
【0071】
特定部39は、第2表示において、第1X線管5と第2X線管15とにおける動作状態を特定する。具体的には、特定部39は、第2表示が実行されているとき、第1X線管5によりX線が発生されているか否かを、第1X線管5の動作状態として特定する。特定部39は、第2表示が実行されているとき、第2X線管15によりX線が発生されているか否かを、第2X線管15の動作状態として特定する。すなわち、特定部39は、第1X線管5と第2X線管15とのうち動作しているX線管を特定する。次いで、特定部39は、第1X線管5と第2X線管15とのうち動作しているX線管に対応する線量分布を特定する。
【0072】
特定部39は、第1線量分布と第2線量分布とに基づいて単位時間あたりの照射線量が多い方の線量分布を特定する。具体的には、特定部39は、第1線量分布に基づいて、単位時間あたりの照射線量(以下、第1照射線量と呼ぶ)を決定する。特定部39は、第2線量分布に基づいて、単位時間あたりの照射線量(以下、第2照射線量と呼ぶ)を決定する。特定部39は、第1照射線量と第2照射線量とを比較する。特定部39は、第1照射線量と第2照射線量とのうち大きい方の照射線量に対応する線量分布を特定する。特定部39は、特定した線量分布の情報(以下、特定情報と呼ぶ)を、表示部41に出力する。
【0073】
なお、第1照射線量および第2照射線量は単位時間当たりの照射線量に限定されない。例えば、特定部39は、第1X線線量に基づいて、所定の時間間隔(例えば、第1線量計測器13における読み出し周期)ごとの照射線量を、第1照射線量として特定してもよい。また、特定部39は、第2X線線量に基づいて、所定の時間間隔(例えば、第2線量計測器23における読み出し周期)ごとの照射線量を、第2照射線量として特定してもよい。
【0074】
表示部41は、第2表示において、特定部39から特定情報が入力されると、特定された線量分布を、第2表示として表示する。なお、表示部41は、第1X線管5と第2X線管15との両者が動作している場合、第1照射線量と第2照射線量とのうち大きいほうの照射線量に対応する線量分布を、第2表示として表示する。
【0075】
図5は、特定情報に基づいて、第2表示に表示される線量分布の切り替えの一例を示す図である。
図5の左図は、特定情報が表示部41に入力される前の第2表示を示しているおり、
図4のステップSa8またはステップSa10の処理において表示される第2表示の一例(
図3の右図)に対応する。
図5の右図は、第2表示において特定情報が表示部41に入力された後において、切り替えられた線量分布の一例を示す図である。
【0076】
(線量分布切替機能)
本変形例に係る線量分布切替機能は、特定部39から特定情報が入力されると、特定された線量分布を、第2表示として表示する機能である。
【0077】
図6は、線量分布切替機能に係る線量分布切替処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図6のフローチャートは、例えば、
図4のフローチャートのステップSa10の後に続けて実行されてもよい。
【0078】
第1X線管5または第2X線管15が動作中である場合(ステップSb1)、動作中のX線管により発生されたX線に関する線量分布が、患者モデルとともに1画面で第2表示として表示される(ステップSb2)。第1X線管5または第2X線管15が動作中でない場合(ステップSb1)、第1線量分布と第2線量分布とに基づいて、被検体Pに対する照射線量が大きい方の線量分布が特定される(ステップSb3)。
【0079】
具体的には、第1線量分布に基づいて、第1照射線量が発生される。第2線量分布に基づいて、第2照射線量が発生される。第1照射線量と第2照射線量とが比較される。第1照射線量と第2照射線量とのうち大きい方の線量に関する線量分布が特定される。特定された線量分布が、患者モデルとともに第2表示として表示される(ステップSb3)。被検体Pに対するX線撮影が終了するまで、ステップSb1乃至ステップSb3の処理が繰り返される(ステップSb4)。
【0080】
(第2の変形例)
実施形態および第1の変形例との相違は、第2表示において、被検体に対する照射線量が小さい順に、第1線量分布と第2線量分布とを、所定の時間間隔をあけて繰り返し表示することにある。
【0081】
記憶部33は、所定の時間間隔を記憶する。所定の時間間隔とは、例えば、第1線量分布と第2線量分布とを切り替えて表示するときにおける表示間隔に相当する。具体的には、所定の時間間隔は、例えば、数秒乃至数十秒である。また、記憶部33は、第1線量分布と第2線量分布とを切り替えて繰り返し表示するときにおける繰り返し表示回数(以下、所定回数と呼ぶ)を記憶してもよい。
【0082】
特定部39は、第1線量分布と第2線量分布とに基づいて、第1、第2線量分布に対して、被検体に対する積算照射線量が小さい順序を特定する。ここで、積算照射線量は、例えば、被検体に対するX線の照射期間における積算照射線量である。具体的には、特定部39は、第1X線管5における第1X線の照射期間と、第1線量分布とに基づいて、積算照射線量(以下、第1積算照射線量と呼ぶ)を特定する。特定部39は、第2X線管15における第2X線の照射期間と、第2線量分布とに基づいて、積算照射線量(以下、第2積算照射線量と呼ぶ)を特定する。
【0083】
特定部39は、第1積算照射線量と第2積算照射線量とに基づいて、第1、第2線量分布に対して、被検体に対する積算照射線量が小さい順序を特定する。特定部39は、特定した順序を表示部41に出力する。
【0084】
表示部41は、第2表示において特定部39から特定された順序が入力されると、特定された順序に従って、所定の時間間隔で、第1線量分布と第2線量分布とを繰り返し第2表示として表示する。
【0085】
図7は、特定した順序に基づいて、第2表示に表示される線量分布の切り替えの一例を示す図である。
図7の左図は、特定した順序が表示部41に入力される前の第2表示を示しているおり、
図4のステップSa8またはステップSa10の処理において表示される第2表示の一例(
図3の右図)に対応する。
図7の左図は、被検体Pを天板24の下方(所定の視点)から所定の視線方向に沿ってみた線量分布を示している。
図7の右図は、第2表示において特定した順序が表示部41に入力された後において、切り替えられた線量分布(第1線量分布と第2線量分布とのうち積算照射線量が小さい方の線量分布)の一例を示す図である。
図7の右下図は、
図7の右図の表示の後、所定の時間間隔の経過後において、切り替えられた線量分布(第1線量分布と第2線量分布とのうち積算照射線量が大きい方の線量分布)の一例を示す図である。
【0086】
(線量分布切替機能)
本変形例に係る線量分布切替機能は、特定部39から特定された順序が入力されると、積算照射線量の小さい順に線量分布を第2表示として表示する機能である。
【0087】
図8は、線量分布切替機能に係る線量分布切替処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図8のフローチャートは、例えば、
図4のフローチャートのステップSa10の後に続けて実行されてもよい。
【0088】
第1線量分布に基づいて、第1積算照射線量が特定される(ステップSc1)。第2線量分布に基づいて、第2積算照射線量が特定される(ステップSc2)。第1積算照射線量と第2積算照射線量とに基づいて、第1線量分布と第2線量分布とに対して、積算照射線量の小さい順序が特定される(ステップSc3)。特定された順序に従って、第1線量分布と第2線量分布とが、所定の時間間隔をあけて、第2表示として表示される(ステップSc4)。なお、ステップSc4の後、第1線量分布と第2線量分布とは、所定回数にわたって、切り替えて表示されてもよい。X線撮影が終了しなければ(ステップSc5)、被検体Pに対して再度X線撮影が実行される(ステップSc6)。次いで、ステップSc1乃至ステップSc5の処理が実行される。
【0089】
(第3の変形例)
実施形態と及び第1、第2の変形例との相違は、表示部41における表示領域を3つの表示領域に分割し、3つの表示領域各々に第1線量分布と第2線量分布とのうち少なくとも一つを表示することにある。
【0090】
記憶部33は、表示部41の表示領域を3つの表示領域に分割した3分割表示モードを記憶する。記憶部33は、3分割表示モードにおいて、分割された3つの表示領域の表示レイアウトを記憶する。表示レイアウトとは、例えば、表示領域を上下に2分割し、下半分の表示領域をさらに左右に分割したレイアウトである。以下、説明を簡単にするするために、下半分の表示領域のうち左側の表示領域を第1表示領域と呼ぶ。また、下半分の表示領域のうち右側の表示領域を第2表示領域と呼ぶ。また、上半分の表示領域を第3表示領域と呼ぶ。なお、表示レイアウト(3分割された表示領域)は、上記説明に拘泥されない。すなわち、表示領域の分割の仕方(表示レイアウト)は、例えば、入力部37を介して任意に設定可能である。また、表示レイアウトは、予め任意に設定されていてもよい。
【0091】
画像発生部29は、第1焦点を視点としかつ第1方向を視線方向として、第1線量分布および第1照射野を患者モデルに重畳した重畳画像(以下、第1重畳画像と呼ぶ)を発生する。なお、第1重畳画像には、天板24に対する第1支持機構9の位置も重畳されてもよい。
【0092】
画像発生部29は、第2焦点を視点としかつ第2方向を視線方向として、第2線量分布および第2照射野を患者モデルに重畳した重畳画像(以下、第2重畳画像と呼ぶ)を発生する。なお、第2重畳画像には、天板24に対する第2支持機構19の位置も重畳されてもよい。
【0093】
画像発生部29は、所定の位置を視点としかつ所定の方向を視線方向として、第1線量分布と第2線量分布と第1照射野と第2照射野とを患者モデルに重畳した重畳画像(以下、第3重畳画像と呼ぶ)を発生する。
【0094】
表示部41は、第1乃至第3重畳画像を、第1乃至第3表示領域にそれぞれ表示する。具体的には、表示部41は、第1表示領域に第1重畳画像を表示する。表示部41は、第2表示領域に第2重畳画像を表示する。表示部41は、第3表示領域に第3重畳画像を表示する。
【0095】
図9は、第1乃至第3重畳画像を第1乃至第3表示領域にそれぞれ表示した一例を示す図である。
図9に示すように、第1表示領域には、天板24に対する第1支持機構9の位置と第1重畳画像とが表示される。また、
図9に示すように、第2表示領域には、天板24に対する第2支持機構19の位置と第2重畳画像とが表示される。
図9に示すように、第3表示領域には、第3重畳画像が表示される。
【0096】
(線量分布表示機能)
線量分布表示機能とは、視点と視線方向とがそれぞれ異なる3つの重畳画像を、3つの表示領域にそれぞれ表示する機能である。以下、線量分布表示機能に関する処理(以下、線量分布表示処理と呼ぶ)について説明する。
【0097】
図10は、線量分布表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図10におけるフローチャートは、例えば、
図4のフローチャートのステップSa4の後などに実行されてもよい。
【0098】
第1X線の焦点を視点としかつ第1方向を視線方向として、第1線量分布および第1照射野を患者モデルの重畳した第1重畳画像が発生される(ステップSd1)。第2X線の焦点を視点としかつ第2方向を視線方向として、第2線量分布および第2照射野を患者モデルの重畳した第2重畳画像が発生される(ステップSd2)。所定の位置を視点としかつ所定の方向を視線方向として、第1線量分布、第2線量分布、第1照射野、第2照射野を患者モデルの重畳した第3重畳画像が発生される(ステップSd3)。第1乃至第3重畳画像が、第1乃至第3表示領域にそれぞれ表示される(ステップSd4)。
【0099】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態に係るX線診断装置1によれば、第1X線の照射方向(第1方向)及び第2X線の照射方向(第2方向)にそれぞれ対応する第1照射野および第2照射野各々における線量分布を、異なる表示領域に表示することができる。すなわち、本実施形態におけるX線診断装置1は、第1照射野に対応する第1線量分布と、第2照射野に対応する第2線量分布とを、表示領域を区切った第1表示として表示することができる。加えて、本実施形態に係るX線診断装置1よれば、Cアーム91およびΩアーム191の位置状態(退避位置への配置の有無)または、第1X線管5および第2X線管15との動作状態(X線発生の有無)に応じて、第1線量分布と第2線量分布音のうち少なくとも一方の線量分布を、第1表示から切り替えて表示することができる。
【0100】
また、本実施形態の第1の変形例によれば、線量分布を1画面に表示しているとき、すなわち第2表示において、X線を被検体Pに照射している側、または単位時間当たりの照射線量が多い方を、選択的に切り替えて表示することができる。
【0101】
また、本実施形態の第2の変形例によれば、線量分布を1画面に表示しているとき、すなわち第2表示において、X線を照射後に照射線量が小さい方の線量分布を所定の時間間隔で表示後、照射線量が大きい方の線量分布に切り替えて表示することができる。加えて、第2の変形例のX線診断装置1によれば、所定回数にわたって、照射線量が小さい方の線量分布と、照射線量が大きい方の線量分布とを所定の時間間隔で切り替えて表示されてもよい。
【0102】
また、本実施形態の第3の変形例によれば、一つの表示領域(1画面)を3つの表示領域に分割し、3つの表示領域に第1乃至第3重畳画像をそれぞれ表示することができる。これにより操作者は、画面を切り替える必要なしに、第1照射野に関する第1線量分布と、第2照射野に関する第2線量分布と、被検体Pを下方から見た線量分布とを、確認することができる。
【0103】
以上のことから、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、操作者は、2つの照射野両方の線量分布を同時に確認することができる。加えて、第1支持機構9および第2支持機構19の位置状態、第1X線管5と第2X線管15の動作状態、積算照射線量に応じて、表示される線量分布を切り替えることができる。また、1画面上において、第1方向からみた第1線量分布を第1照射野とともに第1表示領域に表示し、第2方向からみた第2線量分布を第2照射野とともに第2表示領域に表示し、所定の方向から見た第1、第2線量分布を第1、第2照射野ととも第3領域に表示することができる。これらのことから、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、操作者は、手間をかけることなく、バイプレーンにおける各プレーンに応じた照射範囲、照射野、線量分布を把握することができる。
【0104】
なお、本実施形態に係るX線診断装置1は、Cアーム91とΩアーム191とによるバイプレーン構造に限定されない。本実施形態に係るX線診断装置1は、例えば、第1X線管5、第1X線検出器7、第2X線管15、第2X線検出器17をそれぞれ支持する複数のアーム(例えばロボットアームなど)により、任意の方向に移動可能に支持されてもよい。このとき、例えば、第1支持機構9は、第1X線管5を支持する第1アームと、第1X線検出器7を支持する第2アームとを有する。また、第2支持機構19は、第2X線管15を支持する第3アームと、第2X線検出器17を支持する第4アームとを有する。
【0105】
また、本実施形態および本変形例に係る機能は、線量分布切替処理、および線量分布表示処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。