(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のロック防止装置においては、ロック防止用のカバーを南京錠で更にロックすることが示されているものの、他の機器類との関連はなされておらず、ロック解除状態では容易に移動させることができる。
つまり、作業員が作業扉の内側へ入っている状態で、他の作業員が誤って作業扉を閉じてロックしてしまう可能性があった。
本発明の目的は、作業扉における閉じ込めを確実に防止できるロック防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロック防止装置は、ドアキーまたはスロットの何れか一方が形成された扉部材と、前記ドアキーまたは前記スロットの何れか他方が形成された枠部材とを有し、
前記扉部材が、開放位置にある状態から、前記ドアキーが前記スロットに挿入されない準閉鎖位置
を経て、前記扉部材が完全に閉じて前記ドアキーが前記スロットに挿入される全閉鎖位置
まで移動する作業扉のロック防止装置であって、前記扉部材または前記枠部材の何れか一方に形成されたキー通し孔と、前記扉部材または前記枠部材の何れか他方に形成されたケースと、
前記キー通し孔と前記ケースとが対向する位置に前記扉部材が前記枠部材に対して移動した際に、前記キー通し孔に対して前記ケースと
は反対側か
ら挿通して先端が前記ケース内に導入されるロック防止キーと、前記扉部材が前記準閉鎖位置よりも前記全閉鎖位置へ移動することを規制するとともに、前記ロック防止キーにより設定および解除が可能な閉鎖防止機構と、前記閉鎖防止機構が解除されている際に前記ロック防止キーを前記キー通し孔に挿通された状態に拘束するキー拘束機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような本発明において、通常は、扉部材が全閉鎖位置まで移動して作業扉が閉鎖される。この状態では、ドアキーがスロットに挿入されることで作業扉の閉鎖が確認でき、制御装置において許可できる状態となることで、設置場所の工作機械等の稼働が行われる。
この状態では、ロック防止キーがキー通し孔からケースにまで挿入され、ロック防止キーによって扉部材と枠部材との拘束が行われるため、作業扉を開くことができない。
ロック防止キーは、キー拘束機構によって拘束されるため、キー通し孔から抜け出すことがなく、作業扉を閉じた状態が確実に維持される。
【0008】
作業員が作業扉内に立ち入る際には、キー通し孔に挿入されているロック防止キーを操作して閉鎖防止機構を解除し、キー拘束機構を解除したうえで、ロック防止キーをキー通し孔から抜き出す。これにより、ロック防止キーによる扉部材と枠部材との拘束が解除され、作業扉を開くことができる。
作業員が作業扉を開くことで、ドアキーがスロットから抜き出され、これにより作業扉のロック状態(作業扉の閉鎖が確認でき、設置場所の工作機械等の稼働を許可できる状態)が解除され、その結果、作業扉内の機械類の動作が停止状態に維持される。
【0009】
作業扉を開いた状態では、閉鎖防止機構により、扉部材が準閉鎖位置よりも全閉鎖位置側へ移動することが防止される。このため、第三者が誤認により扉部材を閉じようとしたり、あるいは外力や振動等により扉部材が閉じかけたりしても、扉部材は準閉鎖位置までに規制され、ドアキーがスロット内に入ることができず、ロック状態となることが防止される(ロック防止状態)。
ロック防止状態では、作業扉のロックができず、作業扉の閉鎖ないし設置場所の工作機械等の稼働ができない。このようなロック防止状態は、作業者がロック防止キーを用いて閉鎖防止機構を解除するまで継続される。
従って、作業扉内に立ち入る際に、作業員がロック防止キーを抜き出して携帯していれば、第三者が誤認により扉部材を閉じようとしたり、あるいは外力や振動等により扉部材が閉じかけたりしても、作業扉がロック状態となることがなく、作業員が作業扉内に閉じ込められることが防止できる。
【0010】
作業扉を閉じる際には、作業員が、扉部材を準閉鎖位置まで閉じた後、ロック防止キーをキー通し孔に挿入し、閉鎖防止機構を解除する。これにより、扉部材は準閉鎖位置を超えて全閉鎖位置まで移動し、作業扉を完全に閉じることができる。扉部材が全閉鎖位置にあれば、ドアキーがスロット内に入ることができ、これにより作業扉は再びロック状態に切り替えられる。
前述のように、ロック状態においては、ロック防止キーは、キー拘束機構によって拘束されるため、キー通し孔から抜け出すことがない。そして、扉部材と枠部材との一方に拘束されたロック防止キーが、扉部材と枠部材との他方に形成されたキー通し孔に挿通された状態であることから、全閉鎖から扉部材が開かれても、キー通し孔の範囲内でロック防止キーが係止され、準閉鎖位置よりも大きく開くことが防止される。さらに、ロック防止キーが作業扉に拘束されていることで、視覚的にもロック状態であることが確認できる。
【0011】
このように、本発明においては、作業扉が閉じた状態で、作業員がロック防止キーをキー通し孔から挿入して操作することによってのみ、作業扉のロック状態とロック防止状態とを切り替えることができる。
そして、作業扉内に立ち入る際には、作業員がロック防止キーを携帯することで、たとえ作業扉が閉まっても、誤ってロック状態と認識されることはない。
従って、作業員がキー通し孔から抜き出したロック防止キーを携帯して作業扉内に立ち入っている状況では、例え作業扉が閉じられても、この作業扉をロック状態とすることができず、作業員の閉じ込め防止を実現することができる。
【0012】
なお、ケースとしては、一般的な金属製の筐体が利用でき、矩形の開口を有する有底箱状のものを利用することができる。
ケースには、その開口を塞ぐパネルを設けてもよく、このパネルにはシャッタを外部に露出させる開口と、ロック防止キーを挿入するための開口とを設けることが望ましい。
ロック防止キーとしては、後述するように、キー通し孔を挿通可能なシャフトを有し、このシャフトに前述した閉鎖防止機構あるいはキー拘束機構と連携する構造が形成されたものが利用できる。
【0013】
さらに、本発明
のロック防止装置では、前記閉鎖防止機構は、閉鎖防止位置から閉鎖可能位置に至る移動軸線に沿って移動可能で、前記閉鎖防止位置にあるとき前記準閉鎖位置にある前記ドアキーに係合して前記ドアキーの前記スロットへの挿入を防止可能
であり、かつ前記閉鎖可能位置にあるとき前記ドアキーと干渉しないシャッタと、前記シャッタを前記閉鎖防止位置側へ付勢する付勢部材と、前記シャッタが前記閉鎖可能位置側に移動することを規制するとともに前記ロック防止キーにより設定および解除が可能な閉鎖防止維持機構と、を有する
ことを特徴とする。
【0014】
ここで、シャッタがドアキーに係合する構造としては、シャッタがドアキーの移動経路上に進出し、スロットに向けての移動を阻止する構成が利用できる。この際、シャッタはドアキーに当接する構成、ドアキーの一部を係止する構成などが利用でき、スロットの開口部分を覆う構成であってもよい。
キー拘束機構としては、ケースに対してシャッタが閉鎖可能位置側に移動した状態で、ロック防止キーを拘束する構成とすることができる。このようなキー拘束機構としては、付勢部材の付勢力を利用して、ロック防止キーの一部を挟持して固定する構造などが利用できる。
【0015】
このような本発明では、通常は付勢部材により、シャッタが閉鎖防止位置側に維持される。この状態では、シャッタにより、ドアキーは準閉鎖位置で移動を規制され、スロットへの挿入を阻止されるとともに、扉部材も準閉鎖位置を超えて全閉鎖位置まで移動することが防止される。一方、ロック防止キーをキー通し孔に挿入し、閉鎖防止維持機構を解除したうえで、付勢部材を押し込むことで、シャッタを閉鎖許可位置へと移動させる。これにより、作業扉のドアキーは、シャッタと干渉することなく、スロット内に入ることができ、ロック状態とすることができる。
【0016】
本発明
のロック防止装置は、ドアキーまたはスロットの何れか一方が形成された扉部材と、前記ドアキーまたは前記スロットの何れか他方が形成された枠部材とを有し、前記扉部材が、開放位置にある状態から、前記ドアキーが前記スロットに挿入されない準閉鎖位置を経て、前記扉部材が完全に閉じて前記ドアキーが前記スロットに挿入される全閉鎖位置まで移動する作業扉のロック防止装置であって、前記扉部材または前記枠部材の何れか一方に形成されたキー通し孔と、前記扉部材または前記枠部材の何れか他方に形成されたケースと、前記キー通し孔と前記ケースとが対向する位置に前記扉部材が前記枠部材に対して移動した際に、前記キー通し孔に対して前記ケースとは反対側から挿通して先端が前記ケース内に導入されるロック防止キーと、前記扉部材が前記準閉鎖位置よりも前記全閉鎖位置へ移動することを規制するとともに、前記ロック防止キーにより設定および解除が可能な閉鎖防止機構と、前記閉鎖防止機構が解除されている際に前記ロック防止キーを前記キー通し孔に挿通された状態に拘束するキー拘束機構と、を備え、前記閉鎖防止機構は、閉鎖防止位置から閉鎖可能位置に至る移動軸線に沿って移動可能で、前記閉鎖防止位置にあるとき前記準閉鎖位置にある前記扉部材と前記枠部材とを係合させて前記扉部材の前記全閉鎖位置への移動を防止可能
であり、かつ前記閉鎖可能位置にあるとき前記扉部材と前記枠部材との係合を解除可能なストッパと、前記ストッパを前記閉鎖防止位置側へ付勢する付勢部材と、前記ストッパが前記閉鎖可能位置側に移動することを規制するとともに前記ロック防止キーにより設定および解除が可能な閉鎖防止維持機構と、を有する
ことを特徴とする。
【0017】
ここで、ストッパが扉部材と枠部材とを係合させる構造としては、枠部材に設けられたストッパが扉部材に当接する構造、あるいは扉部材に設けられたストッパが枠部材に当接する構造が利用できる。
このような構造としては、ストッパが扉部材の移動経路上に進出し、扉部材の全閉鎖位置への移動を阻止する構成が利用できる。この際、ストッパが扉部材または扉部材の本体に直接当接してもよく、扉部材または枠部材に固定された当接プレートなどに当接してもよい。
キー拘束機構としては、ケースに対してストッパが閉鎖可能位置側に移動した状態で、ロック防止キーを拘束する構成とすることができる。このようなキー拘束機構としては、付勢部材の付勢力を利用して、ロック防止キーの一部を挟持して固定する構造などが利用できる。
【0018】
このような本発明では、通常は付勢部材により、ストッパが閉鎖防止位置側に維持される。この状態では、ストッパにより、扉部材は準閉鎖位置で移動を規制され、準閉鎖位置を超えて全閉鎖位置まで移動することが防止される。一方、ロック防止キーをキー通し孔に挿入し、閉鎖防止維持機構を解除したうえで、付勢部材を押し込むことでシャッタを閉鎖許可位置へと移動させる。これにより、作業扉のドアキーはシャッタと干渉することなくスロット内に入ることができ、ロック状態とすることができる。
【0019】
本発明において、前記閉鎖防止機構は、前記ケースに収容されたベースと、前記ケースに対して前記ベースを前記移動軸線に沿って案内するガイドと、を有し、前記付勢部材は、前記ケースに対して前記ベースを前記
閉鎖防止位置側へと付勢するものであり、前記閉鎖防止維持機構は、前記ケースに対して前記ベースが前記閉鎖可能位置側に移動することを規制するとともに前記ロック防止キーにより設定および解除が可能であり、前記キー拘束機構は、前記ケースに対して前記ベースが前記閉鎖可能位置側に移動した状態にあるとき前記ロック防止キーを拘束する構成が利用できる。
【0020】
このような本発明では、シャッタあるいはストッパをベースで支持することで、付勢部材、閉鎖防止維持機構およびキー拘束機構は、ベースに対して付勢あるいは移動規制等を行う構造とすることができる。つまり、ベースを用いて、シャッタあるいはストッパと、付勢部材、閉鎖防止維持機構およびキー拘束機構などとの機能的な関連をとることができる。そして、ガイドでベースを案内することでシャッタ他の移動を円滑に行うことができる。
【0021】
ベースとしては、ケースの内部に収容可能な板状の部材が利用でき、例えばケースの内側底面より僅かに小さな輪郭を有する板材などが利用できる。
ベースには、その板材の辺縁のうち対向する一対または四辺全てを折り曲げて板材から立ち上げ、これによりケースの内周面に沿って配置可能なスリーブを形成してもよい。
ガイドとしては、ケースの底面に固定されかつ移動軸線に沿って延びて開口近傍に達するピンが利用でき、このピンをベースの孔に挿通させることで移動軸線に沿って案内することができる。
このようなピンを用いたガイドでは、ベースに挿通孔と同軸で筒状のブッシュを設け、移動軸線に沿って所定長さでピンに接触させることで、移動軸線に対するベースの姿勢を所期の交差角度に維持することができる。
あるいは、ケースの内側面に移動軸線に沿って延びるリブあるいはレールを形成し、これにベースの辺縁に摺接させてガイドとしてもよい。
【0022】
さらに、ケースの内側面にベースの辺縁を摺接させてガイドとしてもよい。とくに、前述したスリーブを形成したベースを用いる場合、ケースの内側面との間でガイドを構成することが容易であり、スリーブとケースの内側面とが移動軸線に沿って所定長さで接触することで、移動軸線に対するベースの姿勢を所期の交差角度に維持することができる。
このような構成とする場合、ケースの内周面またはスリーブの表面に低摩擦性材料のシートあるいはテープを貼っておくことで、摺動を円滑に行うことができる。
さらに、ケースの内側面に限らず、ケース内側の四隅を移動軸線方向の溝条として利用し、これにベースの角部を係合させてガイドとしてもよい。この場合でもベースの角部にスリーブ状の立ち上がり部分を形成すれば、ベースの姿勢維持に好適である。
【0023】
付勢部材としては、前述したピンに同軸で巻かれた圧縮コイルばねが利用できる。
また、付勢部材としては、前述したピンあるいはガイドとは別に、ベースとケースの底面との間に設置される圧縮ばねを利用してもよい。
あるいは、ケースの内面とベースの表面との間、または前述したパネルとベースとの間に引っ張りばねを設置してもよい。
これらのばねとしては、金属製の条線や板材による機械的なばねに限らず、エラストマ材料を用いたブロックの反発力や線材の張力を利用してもよい。
【0024】
本発明において、前記ロック防止キーは、先端にキー部材を有し、前記閉鎖防止維持機構は、前記ベースに設置されて前記キー部材を挿入可能かつ前記移動軸線と交差する方向に進退可能なボルトを有するシリンダ錠と、前記ケースに固定され、進出状態の前記ボルトに対して前記閉鎖
可能位置側から当接する移動規制部材と、を備えた構成とすることができる。
【0025】
このような本発明では、シリンダ錠およびキー部材として、市販のドア用の錠および鍵を利用することができる。
そして、移動規制部材としては、先端でボルトに当接する移動規制ピン、あるいは前記ボルトが挿入可能な係合孔または係合穴を有する移動規制プレートが利用できる。
【0026】
本発明において、前記ロック防止キーは、前記移動軸線と交差する方向へ延びるレバーを有し、前記キー拘束機構は、前記ケースに固定されて前記レバーの前記
閉鎖防止位置側に当接可能なホルダと、前記ホルダと前記レバーとの間に形成されて、前記レバーが前記
閉鎖防止位置側へ移動して前記ホルダに当接した際には前記レバーを通過させかつ前記レバーが前記
閉鎖防止位置側へ移動して前記ホルダに当接した際には前記レバーの通過を規制する一方向クラッチと、を備えた構成とすることができる。
【0027】
このような本発明では、一方向クラッチとして、レバーの先端に形成されて遮断位置側にのみ回動可能なフラップ、またはホルダの先端に形成されて待避位置側にのみ回動可能なフラップが利用できるほか、ホルダを移動軸線と交差する方向へ進退可能なラッチボルト、あるいは同様に進退可能で遮断位置側が短くなるように先端が傾斜したプランジャとし、待避位置側へ移動するレバーを通過させかつ遮断位置側へ移動するレバーを係止するようにしてもよい。
【0028】
本発明において、前記ロック防止キーは、前記キー通し孔に挿通されるシャフトと、前記シャフトに接続されたハンドルとを有し、前記ハンドルは、前記キー通し孔を覆って閉鎖可能であることが望ましい。
【0029】
このような本発明では、ハンドルを用いて操作を容易に行うことができるとともに、ロック防止キーのレバーを通すためにキー通し孔が拡張されている場合でも、キー通し孔をロック防止キーのハンドルで覆うことができ、キー通し孔にものが挟まる等の不都合を防止することができる。
【0030】
本発明
のロック防止装置は、ドアキーまたはスロットの何れか一方が形成された扉部材と、前記ドアキーまたは前記スロットの何れか他方が形成された枠部材とを有し、前記扉部材が、開放位置にある状態から、前記ドアキーが前記スロットに挿入されない準閉鎖位置を経て、前記扉部材が完全に閉じて前記ドアキーが前記スロットに挿入される全閉鎖位置まで移動する作業扉のロック防止装置であって、前記扉部材または前記枠部材の何れか一方に形成されたキー通し孔と、前記扉部材または前記枠部材の何れか他方に形成されたケースと、前記キー通し孔と前記ケースとが対向する位置に前記扉部材が前記枠部材に対して移動した際に、前記キー通し孔に対して前記ケースとは反対側から挿通して先端が前記ケース内に導入されるロック防止キーと、前記扉部材が前記準閉鎖位置よりも前記全閉鎖位置へ移動することを規制するとともに、前記ロック防止キーにより設定および解除が可能な閉鎖防止機構と、前記閉鎖防止機構が解除されている際に前記ロック防止キーを前記キー通し孔に挿通された状態に拘束するキー拘束機構と、を備え、前記ロック防止キーは、シャフトと、前記シャフトから交差する方向へ延びるレバーと、前記シャフトの先端に接続されたキー部材とを有し、前記閉鎖防止機構は、前記扉部材または前記枠部材の何れか一方に設置されて前記キー部材を挿入可能
であり、かつ進退可能なボルトを有するシリンダ錠であり、前記ボルトにより、閉鎖防止位置から閉鎖可能位置に至る移動軸線に沿って移動可能で、前記閉鎖防止位置にあるとき前記準閉鎖位置にある前記扉部材と前記枠部材とを係合させて前記扉部材の前記全閉鎖位置への移動を防止可能
であり、かつ前記閉鎖可能位置にあるとき前記扉部材と前記枠部材との係合を解除可能なストッパが構成され、前記キー拘束機構は、前記ロック防止キーが特定の回転角度にあるときに前記レバーを挿通可能な形状とされた前記キー通し孔で構成されている
ことを特徴とする。
【0031】
このような本発明では、閉鎖防止機構をシリンダ錠で構成することができ、市販のドア用の錠および鍵を利用して簡単に実施することができる。
そして、キー部材、キー通し孔およびキー拘束機構についても簡単な構造とすることができる。
【0032】
本発明において、
前記扉部材または前記枠部材に固定された延長プレートを有し、前記キー通し孔は、前記延長プレートに形成されていることが望ましい。
【0033】
このような本発明では、キー通し孔を延長プレートに形成すればよく、延長プレートは扉部材または枠部材に溶接、接着、締結等によって容易に固定できる。キー通し孔は、前述したレバーを有し、かつ扉部材がスライド式の場合に全閉鎖位置から準閉鎖位置までの距離に対応した長さが必要となり、単純な形状の開口として形成することが難しい。しかし、延長プレートに予めキー通し孔を形成しておけば、既存の扉部材あるいは枠部材にキー通し孔を設置することが容易に行え、既存の装置への後付けも容易である。
【発明の効果】
【0034】
このような本発明によれば、作業扉における閉じ込めを確実に防止できるロック防止装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
図1から
図6には、本発明の第1実施形態が示されている。
本実施形態は、大型の工作機械の作業扉1に関し、この作業扉1には既存の構成による安全スイッチ5が設置されているとともに、本発明に基づくロック防止装置6が設置されている。
【0037】
図1および
図2には、ロック防止装置6が設置された作業扉1の要部が示されている。
作業扉1は、枠部材2に対して開閉自在な扉部材3を有する。
枠部材2は、内側を作業員が通行可能な矩形枠状に形成されている。ただし、
図1および
図2では、枠部材2のうち、扉部材3が閉じる側の柱4だけが図示され、他の部分は図示省略されている。
扉部材3は、枠部材2の開口面に沿って移動可能な引き戸式とされ、扉部材3の先端が柱4に近接することで作業扉1が閉鎖され、扉部材3の先端が柱4から離隔することで開放される。
【0038】
作業扉1において、扉部材3は、
図1に2点鎖線で示す全閉鎖状態(全閉鎖位置Pcにある状態)から、準閉鎖状態(準閉鎖位置Ps)を経て、
図1に実線で示す開放状態(開放位置Poにある状態)まで移動可能である。開放位置Poは、扉部材3の先端が、扉部材3の先端と柱4との間を作業員が通行可能な距離となる位置である。ただし、作業扉1の開放状態というとき、扉部材3の先端が開放位置Poにある時に限らず、扉部材3の先端が準閉鎖位置Psを超えて開いていれば、これも開放状態であるとする。
作業扉1には、安全スイッチ5および本発明に基づくロック防止装置6が設置されている。
【0039】
安全スイッチ5は、枠部材2に設置されたスイッチ本体51と、扉部材3に設置されたドアキー52とを有する。スイッチ本体51にはスロット53が形成され、ドアキー52は扉部材3が全閉鎖位置Pcにあるとき、スロット53内に挿入するように設置されている。
スイッチ本体51には、図示しないセンサが設置され、スロット53内にドアキー52が挿入されたことを検出することができる。
【0040】
作業扉1において、扉部材3が全閉鎖位置Pcにあるとき、ドアキー52はスロット53内に十分に挿入され、この状態がセンサにより検出され、安全スイッチ5において「閉鎖状態」が検出される。
作業扉1において、扉部材3が開き、ドアキー52がスロット53内から抜き出されると、この状態がセンサにより検出され、安全スイッチ5において「非閉鎖状態」が検出される。このような非閉鎖状態は、扉部材3が全閉鎖位置Pcにあるとき以外、つまり準閉鎖位置Psないし開放位置Poの何れにおいても、同様に検出される。
【0041】
ロック防止装置6は、柱4の内側側面に設置され、安全スイッチ5と同じ高さに保持されたロック防止装置本体60を有する。扉部材3には、扉部材3が全閉鎖位置Pcにあるときにロック防止装置本体60と対向する部位に、キー通し孔69が形成されている。このキー通し孔69を通して、ロック防止キー68がケース61まで挿通され、これによりロック防止装置6のロック防止および解除の操作が可能である。
【0042】
図3および
図4には、ロック防止装置6のロック防止装置本体60が示されている。
ロック防止装置本体60は、底面611および矩形枠状の筒体612を有するケース61と、ケース61内に収容されたベース62と、ケース61の開口面610を覆うパネル63とを有する。
【0043】
ケース61には、底面611の四隅近傍にそれぞれガイドピン641が設置され、各々はベース62の四隅のガイド孔642に挿通されている。これらのガイドピン641およびガイド孔642によりガイド64が構成されている。
このガイド64により、ベース62はケース61の内部において、底面611側から開口面610側まで移動可能である。この際、ベース62の移動方向は、ガイド64により規定される移動軸線Amに沿ったものとなる。
ここで、ベース62は、ケース61の底面611側にあるときが閉鎖可能位置Seとされ、ケース61の開口面610側(パネル63側)にあるときが閉鎖防止位置Sdとされる。
【0044】
ガイドピン641には、それぞれ付勢部材としてのコイルばね643が同軸状に装着され、その一端はケース61の底面611に当接され、他端はベース62の背面に当接されている。ベース62がケース61内に収容された状態(ベース62の各ガイド孔642にガイドピン641が挿通され状態)では、コイルばね643はケース61の底面611とベース62の背面との間で圧縮される。このコイルばね643により、ベース62は、ケース61の開口面610側(パネル63側)に向けて、つまり閉鎖可能位置Se側から閉鎖防止位置Sd側へ向けて付勢されている。
【0045】
ベース62の表面(ケース61の底面とは反対側)には、シリンダ錠651が設置されている。
シリンダ錠651は、進退自在なボルト652を有する。このボルト652は、シリンダ錠651のキー孔653に、ロック防止キー68のキー部材650(詳細後述)を差し込み、回転操作することで、ベース62の移動軸線Amと交差方向へ進出または後退する。
なお、シリンダ錠651は、キー孔653が上下方向(後述するロック防止キー68のレバー663が上向き)のとき、ボルト652が進出し、キー孔653が水平方向(後述するロック防止キー68のレバー663が横向き)のとき、ボルト652が後退する構成のものである。
【0046】
ベース62には、進出状態のボルト652と重なる部位に、挿通孔654が形成されている。ケース61の底面611には、挿通孔654を挿通可能な係止ピン655が設置されている。
ベース62がケース61内に収容された状態では、係止ピン655は挿通孔654を挿通してベース62の表面側に露出する。ここで、係止ピン655の長さは、次のような状態が得られるように調整されている。
シリンダ錠651のボルト652が後退状態(
図4の実線の状態)であれば、ベース62が閉鎖防止位置Sd側にあっても閉鎖可能位置Se側にあっても、係止ピン655とボルト652とが干渉することはない。
【0047】
シリンダ錠651のボルト652が進出状態(
図4の一点鎖線の状態)であると、ベース62が閉鎖防止位置Sd側にあるときは、係止ピン655とボルト652とは干渉しない。しかし、ベース62が移動軸線Amに沿って閉鎖可能位置Se側へ移動する際には、係止ピン655がベース62の表面側に大きく突出し、ボルト652の裏面(挿通孔654に対向する側)に係止ピン655が当接し、その状態で閉鎖可能位置Se側へのベース62の移動を規制する。
これにより、ボルト652が進出状態にあるとき、ベース62は閉鎖可能位置Seへ到達することが禁止され、閉鎖防止位置Sd側に維持される。
従って、係止ピン655は本発明の移動規制部材として機能し、これらのシリンダ錠651ないし係止ピン655により、本発明の閉鎖防止維持機構65が構成されている。
【0048】
パネル63には、ロック防止キー68を通すためのキー挿通孔632が形成されている。
キー挿通孔632は、後述するロック防止キー68のレバー663が上向きでも横向きでも挿通できるように、略L字状をした長孔とされている。
なお、ベース62が閉鎖防止位置Sdにあるとき、シリンダ錠651のキー孔653の周辺部が、このキー挿通孔632から露出され、ロック防止キー68のキー部材650の差し込みを容易に行うことができる(
図1、
図3、
図5参照)。
また、キー挿通孔632の辺縁の一部には、ロック防止キー68の導入をガイドするために、円弧面状の導入ガイド633が設置されている。
【0049】
ケース61には、筒体612の内側面から中心向きに板状のホルダ661が固定されている。ベース62には、ホルダ661に対応した位置に切欠き662が形成されている。
ホルダ661は、ベース62がケース61内の閉鎖可能位置Seにあるとき、ホルダ661がベース62の表面側にあり、かつホルダ661の先端がシリンダ錠651に向かう状態となるように、その固定位置を調整されている。
【0050】
切欠き662は、ベース62の辺縁からシリンダ錠651に向けて切り込まれ、ベース62がケース61内の閉鎖可能位置Seから閉鎖防止位置Sdまで進出する際に、ホルダ661の通過を許容するような位置および形状に形成されている。
これらのホルダ661および切欠き662は、後述するロック防止キー68のレバー663他とともに、本発明のキー拘束機構66を構成するものである。
【0051】
ベース62には、ケース61の底面611とは反対側の表面に、シャッタ671が固定されている。
シャッタ671は、ベース62から移動軸線Amに沿って延びる板状の部材である。
図3および
図5に示すように、パネル63には、シャッタ671を通過させるためのスリット631が形成され、シャッタ671の先端はスリット631を通してパネル63の外側に露出されている。
ベース62が閉鎖可能位置Seにあるとき、シャッタ671の先端はパネル63の表面から僅かに突出する程度とされている。
ベース62が閉鎖防止位置Sdにあるとき、シャッタ671の先端はパネル63の表面から大きく突き出される。
【0052】
図1および
図2に示すように、ベース62が閉鎖防止位置Sdにあり、シャッタ671がパネル63から大きく突き出される状態では、シャッタ671はドアキー52がスロット53へと挿入される経路上に配置され、シャッタ671はドアキー52を遮ってスロット53への挿入を防止する。この状態では、扉部材3は、ドアキー52がシャッタ671で係止され、全閉鎖位置Pcへ向けてそれ以上閉じることができない(閉鎖防止状態)。
【0053】
一方、ベース62が閉鎖可能位置Seにあり、シャッタ671がパネル63から僅かに突出する程度の状態では、シャッタ671はドアキー52と干渉せず、扉部材3は全閉鎖位置Pcまで閉じることができる(閉鎖可能状態)。
このように、ロック防止装置6においては、ベース62を閉鎖防止位置Sdから閉鎖可能位置Seまでの区間で移動させることで、シャッタ671によるドアキー52の通過可否を切り替え、これにより扉部材3の閉鎖防止状態と閉鎖可能状態を切り替えることができる。
【0054】
これらのベース62、付勢部材であるコイルばね643、閉鎖防止維持機構65、キー拘束機構66およびシャッタ671により、本発明の閉鎖防止機構67が構成されている。
なお、ロック防止装置本体60は、このシャッタ671がドアキー52を係止する位置が準閉鎖位置Psとなるように、枠部材2に対するその設置位置を調節されている。
【0055】
図5および
図6には、ロック防止装置6のロック防止キー68が示されている。
前述した閉鎖防止維持機構65、キー拘束機構66および閉鎖防止機構67は、それぞれロック防止キー68により設定および解除が可能である。
ロック防止キー68は、棒状または管状のシャフト681と、シャフト681の基端側に固定されたハンドル682とを有する。また、シャフト681の先端にはキー部材650が固定され、シャフト681の先端側の周面にはレバー663が固定されている。
【0056】
シャフト681は、
図2に示すように、扉部材3のキー通し孔69に挿通した際に、ハンドル682が扉部材3の表側にある状態で、先端がケース61内まで到達する長さに形成されている。
ハンドル682は、
図2に示すように、扉部材3のキー通し孔69に挿通した際に、扉部材3の表面に近接し、扉部材3のキー通し孔69の開口面を全面的に覆って閉鎖可能である。
【0057】
ここで、扉部材3のキー通し孔69は、
図1に示すように、倒立したT字状に交差した2本の長孔691,692で形成されている。
長孔691は、扉部材3の表裏面を貫通しかつ水平に長く延びており、扉部材3が全閉鎖位置Pcにあっても準閉鎖位置Psにあっても挿通可能である。そのために、長孔691は、全閉鎖位置Pcと準閉鎖位置Psとの距離dPより十分大きな幅で形成されている。また、長孔691の幅(上下方向の間隔)は、ロック防止キー68のレバー663の幅より大きく形成されている。
長孔692は、長孔691の中間部から上方へ延びている。長孔692の輪郭は、ロック防止キー68のレバー663の形状に準じて形成されている。
【0058】
従って、ロック防止キー68は、レバー663が横向きの状態で、キー通し孔69に通すことができる。この場合、シャフト681およびレバー663は、シャフト681からレバー663が横向きに立ち上がる状態で、一括して長孔691を通過することができる。
また、ロック防止キー68は、レバー663が上向きの状態で、キー通し孔69に通すことができる。この場合、シャフト681およびレバー663は、シャフト681からレバー663が上向きに立ち上がる状態で、長孔691および長孔692を通過することができる。
【0059】
前述したように、シャフト681には、その先端にキー部材650が固定され、先端側の周面にはレバー663が固定されている。
キー部材650は、前述したシリンダ錠651に対応したキーであり、シリンダ錠651のキー孔653に差し込んで回転させることで、ボルト652の進出および後退を切り替えることができる。
このようなキー部材650は、扉部材3が全閉鎖位置Pcないし準閉鎖位置Psにある状態で、キー通し孔69にロック防止キー68を通すことで、シャフト681の先端がキー挿通孔632からケース61内へと導入され、これによりシリンダ錠651のキー孔653に差し込むことができる。
前述のように、シリンダ錠651におけるボルト652の進出・後退の切り替えにより、閉鎖防止維持機構65の設定および解除が操作できる。
【0060】
レバー663は、シャフト681からその長手方向と交差する方向に延びる板状の部材である。
レバー663は、前述したホルダ661とともに、本発明のキー拘束機構66を構成するものである。
レバー663は、扉部材3が全閉鎖位置Pcないし準閉鎖位置Psにある状態で、キー通し孔69にロック防止キー68を通すことで、ケース61内に導入される。
【0061】
レバー663が上向きの状態でロック防止キー68を挿入すると、レバー663は、キー通し孔69の上向きの長孔692を通過し、パネル63のキー挿通孔632の上向きに延びる部分を通過し、ケース61内に導入される。
レバー663が横向きの状態でロック防止キー68を挿入すると、レバー663は、キー通し孔69の水平な長孔691を通過し、パネル63のキー挿通孔632の横向きに延びる部分を通過し、ケース61内に導入される。
【0062】
ここで、レバー663が横向きの状態でロック防止キー68を挿入した際には、レバー663がホルダ661に接触することになる。
レバー663の先端には一方向クラッチ664が形成されている。一方向クラッチ664は、レバー663の先端を分割し、ヒンジ665で連結したものである。
ヒンジ665の回転軸は、ロック防止キー68のハンドル682側とされており、一方向クラッチ664となるレバー663の先端部分は、ロック防止キー68のハンドル682側へ回動可能(
図4および
図6の一点鎖線の状態)であるが、反対側への回動はレバー663の板材の厚み部分の当接によって規制される。
ヒンジ665には図示しない弾性部材が装着され、一方向クラッチ664となるレバー663の先端部分は、通常はレバー663の延長線上に一直線となる状態(
図4および
図6の実線の状態)に維持される。
【0063】
このような一方向クラッチ664が形成されていることで、レバー663は、閉鎖防止位置Sdから閉鎖可能位置Seに向けて移動する際には、一方向クラッチ664が作動してホルダ661を通過可能である。しかし、逆向き、つまり閉鎖可能位置Seから閉鎖防止位置Sdに向けて移動する際には、一方向クラッチ664が作動せず、ホルダ661を通過不可とされる。
ここで、ホルダ661を通過できなかったレバー663は、ホルダ661の底面611側に当接されるとともに、キー部材650およびシリンダ錠651を介して接続されているベース62のコイルばね643の付勢力によって、ホルダ661の底面611側に押し付けられて保持される。
【0064】
これらのホルダ661、ベース62の切欠き662、ロック防止キー68のレバー663、レバー663先端の先折れ式の一方向クラッチ664、付勢手段であるコイルばね643により、本発明のキー拘束機構66が構成されている。
【0065】
このような本実施形態における動作は、次のようなものである。
作業扉1は、工作機械の運転時には全閉鎖状態とされ、扉部材3は、
図2の全閉鎖位置Pcまで閉じられている。この際、安全スイッチ5ではスロット53にドアキー52が挿入されている必要がある。このために、ロック防止装置6においては、ドアキー52を妨げないように、シャッタ671が後退した状態にあり(閉鎖防止機構67が解除された状態)、ベース62も後退して閉鎖可能位置Seにある(閉鎖防止維持機構65が解除された状態)。
この状態は、ロック防止キー68のレバー663が、ホルダ661に通過規制されることによって維持される。そして、この状態では、コイルばね643の付勢力によりレバー663がホルダ661に押し付けられて保持され、ロック防止キー68は拘束されて抜き出せない(キー拘束機構66が設定された状態)。
【0066】
作業員が作業扉1から内部へ入る場合には、工作機械を停止したうえで、扉部材3を全閉鎖位置Pcから準閉鎖位置Psまで移動させる。この際、ロック防止キー68はキー通し孔69に挿通されたままであるが、長孔691内を相対移動することができる。
なお、工作機械を停止しないで作業扉1を開けると、ドアキー52がスロット53から離脱した時点で安全スイッチ5により作業扉1の開放を検知し、これにより工作機械は動作停止する。
次に、作業員はロック防止キー68を操作し、キー拘束機構66を解除し、シャッタ671を前進させ、閉鎖防止機構67の設定および閉鎖防止維持機構65の設定を行い、その上でロック防止キー68を取り出す。
【0067】
具体的には、ハンドル682を回し、ロック防止キー68をやや押し込みつつ回転させ、ホルダ661に圧接されているレバー663を、横向きの状態から上向きに回転させ、ホルダ661による規制を解除する(キー拘束機構66の解除)。
この状態で、ロック防止キー68の押し込みを緩めると、付勢部材であるコイルばね643によりベース62が押し出され、閉鎖可能位置Seから閉鎖防止位置Sdへと前進し、シャッタ671も前進する。このシャッタ671が進出することで、ドアキー52はスロット53への再挿入を防止され、扉部材3は再び全閉鎖位置Pcへ戻ることができない状態となる(閉鎖防止機構67が設定された状態)。
【0068】
なお、ベース62の前進の間、係止ピン655とボルト652とが干渉していると、ロック防止キー68をさらに回転させることができないが、ベース62の前進に伴って、係止ピン655とボルト652が干渉しない位置に達すると、その時点でロック防止キー68がさらに回転可能となり、この回転により、キー部材650を介してシリンダ錠651が操作され、ボルト652が進出する。
この状態で、作業員は、ロック防止キー68を抜き出し、これを携帯したまま作業扉1の内部へ立ち入る。
【0069】
ロック防止キー68を抜き出した状態では、第三者がシャッタ671を押し込む等により、ベース62を再び閉鎖可能位置Seへ後退させようとしても、ボルト652と係止ピン655が干渉し、ベース62の後退が防止される(閉鎖防止維持機構65が設定された状態)。
つまり、ロック防止装置6は、ロック防止キー68がない状態では、再び閉鎖防止機構67を解除することができず、作業扉1を閉じることができない。そして、ロック防止キー68は、作業扉1内に立ち入った作業員が携帯しており、意図しない作業扉1の閉鎖による作業員の閉じ込めを未然に防止することができる。
【0070】
作業員が作業扉1から出て、再び作業扉1を閉じる場合の操作は次のようになる。
作業員は、扉部材3を準閉鎖位置Psまで閉じる。この状態では、閉鎖防止機構67が設定された状態であり、前進したシャッタ671でドアキー52が係止され、扉部材3を全閉鎖位置Pcまで閉じることはできない。
作業員は、準閉鎖位置Psまで閉じた扉部材3のキー通し孔69に、携帯していたロック防止キー68を差し込み、先端のキー部材650をシリンダ錠651のキー孔653に差し込む。この状態ではロック防止キー68のレバー663は上向きである。
【0071】
次に、ロック防止キー68を回転させてボルト652を後退させ、係止ピン655と干渉しない状態とする(閉鎖防止維持機構65の解除)。この状態では、ロック防止キー68のレバー663は横向きとなる。
続いて、ロック防止キー68を押し込み、ベース62を閉鎖防止位置Sdから閉鎖可能位置Seへと後退させる。これによりシャッタ671も後退し、ドアキー52が通過可能となる(閉鎖防止機構67の解除)。
ロック防止キー68は、レバー663を横向きにして押し込まれることで、レバー663がホルダ661と当接する。この際、レバー663の先端は一方向クラッチ664により折れ曲がり、レバー663は閉鎖可能位置Se側へと通過可能である。
【0072】
レバー663がホルダ661を通過したら、作業員はロック防止キー68の押し込みを停止する。すると、ロック防止キー68で押し込まれていたベース62は、付勢部材であるコイルばね643により閉鎖防止位置Sd向きに押し戻される。この動きにより、レバー663がホルダ661に押し付けられて拘束される(キー拘束機構66の設定)。
すなわち、レバー663がホルダ661に拘束されることで、ベース62の閉鎖防止位置Sd向きの移動が規制され、シャッタ671が後退した閉鎖防止機構67の解除状態が維持される。
また、レバー663がホルダ661に拘束されることで、ロック防止キー68が不要に抜き出てしまうことが防止される。
これらの操作ができたら、作業員は、扉部材3を準閉鎖位置Psから全閉鎖位置Pcまで閉じる。これにより、作業扉1の閉鎖が完了する。
【0073】
このように、本実施形態においては、作業扉1が閉じた状態で、作業員がロック防止キー68をキー通し孔69から挿入して操作することによってのみ、作業扉1のロック状態(扉部材3が全閉鎖位置Pcまで閉じた状態)とロック防止状態(扉部材3が準閉鎖位置Psより閉じることができない状態)とを切り替えることができる。
そして、作業扉内に立ち入る際には、作業員がロック防止キー68を携帯することで、たとえ作業扉1が閉まっても、誤ってロック状態と認識されることはない。
従って、作業員がキー通し孔69から抜き出したロック防止キー68を携帯して作業扉内に立ち入っている状況では、例え作業扉1が閉じられても、この作業扉1をロック状態とすることができず、作業員の閉じ込め防止を実現することができる。
【0074】
〔第2実施形態〕
図7には、本発明の第2実施形態が示されている。
前述した第1実施形態では、キー拘束機構66において、ロック防止キー68のレバー663の先端を折れ曲がるようにして一方向クラッチ664としていた。
本実施形態では、
図7に示すように、ホルダ661の先端を折れ曲がるようにして一方向クラッチ664としている。なお、本実施形態の他の構成は、前述した第1実施形態と同じであり、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
【0075】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、ロック防止キー68のレバー663は単純な板状とすることができ、作業員が携帯するロック防止キー68を第1実施形態よりも簡素なものとすることができる。
このように、一方向クラッチ664を設ける部位は、ロック防止キー68側およびロック防止装置本体60のどちら側であってもよい。
【0076】
〔第3実施形態〕
図8には、本発明の第3実施形態が示されている。
前述した第1実施形態では、キー拘束機構66において、ロック防止キー68のレバー663の先端を折れ曲がるようにして一方向クラッチ664としていた。
本実施形態では、
図8に示すように、ホルダ661にコイルばねで付勢されたプランジャを設けて一方向クラッチ666を形成している。この一方向クラッチ666においては、プランジャの先端を傾斜面とし、ロック防止キー68のレバー663の先端が閉鎖可能位置Se向きに接触した際にプランジャが後退して通過が可能であり、閉鎖防止位置Sd向きに接触した際には通過を規制するようになっている。なお、本実施形態の他の構成は、前述した第1実施形態と同じであり、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
【0077】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、ロック防止キー68のレバー663は単純な板状とすることができ、作業員が携帯するロック防止キー68を第1実施形態よりも簡素なものとすることができる。
このように、一方向クラッチ664の構造は、一方向の通過という機能が得られれば、任意の構成を採用することができる。
【0078】
〔第4実施形態〕
図9には、本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と基本構成が同じであるが、ガイド64の構成および閉鎖防止維持機構65の構成が異なる。このため、以下には相違する構成について説明し、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
【0079】
前述した第1実施形態では、ベース62を移動軸線Amに沿って移動させるガイド64として、ケース61の底面611に固定されたガイドピン641と、ベース62の四隅に形成されたガイド孔642を用いていた。
本実施形態では、
図9に示すように、ベース62は、その対向する一対の辺縁にスリーブ644を有する。
スリーブ644は、ベース62の端縁を折り曲げて形成され、ケース61の筒体612の内面に摺動可能に接触する。これらのスリーブ644と筒体612の内面により、ベース62をガイドするガイド64が形成されている。
このようなスリーブ式のガイド64によれば、移動時にベース62が移動軸線Amに対して傾いても、スリーブ644によって向きを回復することができる。
【0080】
前述したスリーブ式のガイド64において、ベース62とケース61との摺動を円滑にするために、スリーブ644に低摩擦性材料からなるパッド645を設置してもよい。
パッド645としては、低摩擦性とされているフッ素樹脂などの既存の材料を適宜用いればよい。
また、ベース62とケース61との摺動を円滑にするための構成としては、ケース61の筒体612の内面に、移動軸線Amに沿って延びるレール646を設置してもよい。
レール646としては、金属材料の線条を固定するほか、筒体612の材料を連続して突起させてもよく、あるいは前述した低摩擦性材料をテープ状にして固定してもよい。
このように、ガイド64としては、ケース61に対してベース62を移動軸線Amに沿って移動させる機能を得られるものであれば、任意の構成を採用することができる。
【0081】
前述した第1実施形態では、閉鎖防止維持機構65の移動規制部材として係止ピン655を用い、その先端をボルト652の裏面(挿通孔654に対向する側)に当接させることで、閉鎖可能位置Se側へのベース62の移動を規制していた。
本実施形態では、
図9に示すように、ケース61の底面611には、スリット状の挿通孔654を挿通可能な係止プレート656が設置されている。係止プレート656には、係止孔657が形成され、この係止孔657にはシリンダ錠651のボルト652が挿通可能である。
【0082】
このような本実施形態の閉鎖防止維持機構65においては、係止プレート656の係止孔657に、ボルト652を挿通させることで、ケース61に対するベース62の移動軸線Am方向の移動を規制することができ、前述した第1実施形態と同様な効果が得られる。
さらに、係止孔657は、ボルト652の移動軸線Amに沿った両方向の移動、つまりベース62の底面611側への移動および開口面610側への移動を、ともに規制することができ、ベース62の閉鎖可能位置Seへの移動をより確実に防止できる。
このように、閉鎖防止維持機構65としては、ケース61に対してベース62の移動軸線Amの移動を規制する機能が得られるものであれば、任意の構成を採用することができる。
【0083】
〔第5実施形態〕
図10には、本発明の第5実施形態が示されている。
前述した第1実施形態では、矩形箱状のケース61および矩形板状のベース62およびパネル63を用いていた。
本実施形態では、
図10に示すように、円筒状のケース61Aおよび円盤状のベース62Aおよびパネル63Aを用いている。
【0084】
ベース62Aは、その周縁に前述した第4実施形態のようなスリーブ644Aが形成され、ケース61Aの内面との間にガイド64が形成されている。ベース62Aは、付勢部材であるコイルばね643Aにより前側に付勢されている。ベース62Aには切欠き662Aが形成され、ケース61A内のホルダ661Aの通過が可能である。これらの切欠き662Aおよびホルダ661Aにより、ケース61Aとベース62Aとの回り止めが形成されている。また、ガイドピン655は、ケース61Aの中心からずらして配置され、この構成によってもケース61Aとベース62Aとの回り止めが形成されている。これらの回り止めは、何れか一方だけでもよい。なお、本実施形態の他の構成は、前述した第1実施形態と同様であり、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
このように、ロック防止装置本体60を構成するケースやベース等の構成については、筐体および機構として所期の機能が得られるものであれば、任意の形状あるいは構成を採用することができる。
【0085】
〔第6実施形態〕
図11には、本発明の第6実施形態が示されている。
前述した第1実施形態では、作業扉1の安全スイッチ5の設置にあたって、スイッチ本体51を枠部材2の柱4に固定し、ドアキー52を扉部材3に固定していた。
本実施形態では、
図11に示すように、スイッチ本体51を扉部材3に固定し、ドアキー52を枠部材2の柱4に固定している。なお、本実施形態の他の構成は、前述した第1実施形態と同じであり、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
【0086】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
このように、安全スイッチ5の設置状態は、前述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、ロック防止装置6が、閉鎖防止機構67のシャッタ671により、ドアキー52がスイッチ本体51のスロット53に挿入されることを防止できれば、任意の配置とすることができる。
なお、スイッチ本体51を扉部材3に固定する場合、スイッチ本体51の配線が扉部材3とともに動くように、適宜配慮することが望ましい。
【0087】
〔第7実施形態〕
図12には、本発明の第7実施形態が示されている。
前述した第1実施形態では、ロック防止装置6において、閉鎖防止機構67のシャッタ671が、ドアキー52のスロット53への挿入経路上に進出することで、扉部材3が準閉鎖位置Psから全閉鎖位置Pcまで閉じることを防止していた。
本実施形態では、
図12に示すように、ロック防止装置6の閉鎖防止機構67としてストッパ672を備え、このストッパ672で扉部材3の端縁を係止し、扉部材3が準閉鎖位置Psから全閉鎖位置Pcまで閉じることを防止する。
【0088】
本実施形態のストッパ672は、前述した第1実施形態のシャッタ671(
図2および
図3参照)と同様にベース62に支持され、パネル63から突出する長さを切り替え可能である。ただし、扉部材3に達するべくシャッタ671よりも長く形成されている。
なお、本実施形態の他の構成は、前述した第1実施形態と同じであり、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
【0089】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態は、前述した第1実施形態のように、ドアキー52のスロット53への挿入をシャッタ671で遮ることで、安全スイッチ5の作動を直接的に遮断するものとは異なる。ただし、本実施形態では、扉部材3の全閉鎖位置Pcへの移動を阻止することで、結果としてドアキー52のスロット53への挿入を遮ることができ、これにより同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、ストッパ672等のロック防止装置6がドアキー52等の安全スイッチ5と関係しないため、ロック防止装置6と安全スイッチ5とを異なる高さあるいは異なる部位に配置することもでき、作業扉1の周辺の機器設置自由度を確保できる。
【0090】
〔第8実施形態〕
図13には、本発明の第8実施形態が示されている。
前述した第7実施形態では、ロック防止装置6の閉鎖防止機構67としてストッパ672を用い、このストッパ672で扉部材3の端縁を係止し、扉部材3が準閉鎖位置Psから全閉鎖位置Pcまで閉じることを防止した。ただし、ロック防止キー68が挿入されるキー通し孔69は、第1実施形態と同様に扉部材3に形成されていた。
本実施形態では、
図13に示すように、扉部材3に延長プレート699を設置し、この延長プレート699にキー通し孔69を形成している。また、同じ延長プレート699に係止突起698を設け、この係止突起698にストッパ672を当接させ、これにより扉部材3の閉鎖防止を行うようにしている。
【0091】
図13において、ロック防止装置本体60は、扉部材3が到達しない部位の柱4に固定されている。延長プレート699は、一端を扉部材3に固定されるとともに、他端がロック防止装置本体60を覆うように配置されている。
延長プレート699には、ロック防止装置本体60のロック防止キー68を挿入する部位に対応した位置に、第1実施形態と同様なキー通し孔69が形成されている。
また、延長プレート699の裏面(ロック防止装置本体60に対向する側の面)には、係止突起698が形成されている。係止突起698は、扉部材3が準閉鎖位置Psにあるとき、ロック防止装置本体60のストッパ672に対応した位置とされ、ストッパ672に係止されることで扉部材3が全閉鎖位置Pcまで閉まることが防止される。
なお、本実施形態の他の構成は、前述した第1実施形態と同じであり、共通の構成については同じ符号を用い、重複する説明は省略する。
【0092】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第7実施形態と同様に、ロック防止装置6と安全スイッチ5との間の設置自由度が得られるとともに、延長プレート699を用いることで、扉部材3にキー通し孔69を形成する必要がなく、本発明のロック防止装置6を既存の工作機械に追加する場合でも、実施を容易にすることができる。
【0093】
〔第9実施形態〕
図14には、本発明の第9実施形態が示されている。
前述した第1実施形態ないし第8実施形態では、それぞれ引き戸式の扉部材3と枠部材2とで作業扉1を構成していた。
本実施形態では、回動式の扉部材3と枠部材2とで作業扉1を構成している。
図14において、扉部材3は回動式とされ、実線で示す全閉鎖位置Pcに対し、2点鎖線で示す準閉鎖位置Psへと開くことができる。
このような回動式の扉部材3に対応するべく、安全スイッチ5およびロック防止装置6の配置も変更されている。
【0094】
安全スイッチ5は、柱4に設置されたスイッチ本体51のスロット53が扉部材3に対向配置され、扉部材3の対応する位置に設置されたドアキー52が挿入可能である。ドアキー52は、扉部材3が全閉鎖位置Pcにあるときスロット53内に挿入され、扉部材3が準閉鎖位置Psにあるときスロット53から脱出する。
ロック防止装置6は、第8実施形態と同様に、閉鎖防止機構67としてストッパ672を用いるものであり、ストッパ672は、その先端が扉部材3の裏面(ロック防止装置本体60側)に当接するように配置されている。
ストッパ672は、後退した状態では、全閉鎖位置Pcにある扉部材3に対しても接触しない。ただし、前進した状態では、扉部材3に接触し、扉部材3を準閉鎖位置Psより閉じることを防止する。
【0095】
なお、ロック防止キー68は、扉部材3が準閉鎖位置Psにあるときはロック防止装置本体60に到達するために十分な長さが必要であるが、全閉鎖位置Pcまで閉じた際には扉部材3の変位分だけ短くてよい。このために、ロック防止キー68は、テレスコピック式等の伸縮構造としてもよく、折れ曲がり式等としてもよい。
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第7実施形態と同様に、ロック防止装置6と安全スイッチ5との間の設置自由度が得られる。
このように、本発明のロック防止装置6は、引き戸式の作業扉1に限らず、回動式の作業扉1にも適用することができる。
【0096】
〔第10実施形態〕
図15には、本発明の第10実施形態が示されている。
前述した第9実施形態では、回動式の作業扉1において、ストッパ672を用いたロック防止装置6を設置した。この際、ストッパ672は扉部材3に直接接触させた。
本実施形態では、第8実施形態のように、扉部材3に延長プレート699を設置し、この延長プレート699にキー通し孔69を形成するとともに、この延長プレート699にストッパ672を当接させるようにしている。
【0097】
このような本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第7実施形態と同様に、ストッパ672を用いることで、ロック防止装置6と安全スイッチ5との間の設置自由度が得られる。また、第8実施形態と同様に、扉部材3にキー通し孔69を形成する必要がなく、本発明のロック防止装置6を既存の工作機械に追加する場合でも、実施を容易にすることができる。
【0098】
〔第11実施形態〕
図16には、本発明の第11実施形態が示されている。
前述した第1実施形態ないし第10実施形態では、それぞれロック防止装置本体60の内部に、移動軸線Amに沿って移動するベース62を設け、このベース62に支持されたシャッタ671またはストッパ672をロック防止装置本体60の外部に突出させ、これらのシャッタ671またはストッパ672でドアキー52の移動を遮断したり、扉部材3の閉じる方向への移動を規制したりしていた。
本実施形態では、各実施形態のようなシャッタ671またはストッパ672が進退するロック防止装置本体60に替えて、ボルトが進退するシリンダ錠を用いる。
【0099】
図16において、作業扉1は、枠部材2および引き戸式の扉部材3を有する。枠部材2の柱4には、安全スイッチ5のスイッチ本体51が設置され、そのスロット53には扉部材3のドアキー52が挿入可能である。
枠部材2の柱4には、ロック防止装置6の要部となるシリンダ錠70が固定されている。
シリンダ錠70は、扉部材3に向けて進退可能なボルト71を有する。ボルト71は、シリンダ錠70に専用のキー部材650を差し込み、これを回動させることで進出または後退させることができる。なお、シリンダ錠70は、その機構部分を収容するケース(符号省略)を有する。
【0100】
キー部材650は、ロック防止キー68の先端に装着されている。
ロック防止キー68は、前述した第1実施形態と同様に形成されている(
図6参照)。ただし、レバー663は、シャフト681のハンドル682に近い位置に固定されている。
扉部材3には、延長プレート699の一端が固定され、この延長プレート699の他端は、シリンダ錠70を覆うように配置されている。延長プレート699のシリンダ錠70を覆う位置にはキー通し孔69が形成されている。
【0101】
キー通し孔69は、ロック防止キー68を挿通させるものである。キー通し孔69の輪郭形状は、ロック防止キー68のレバー663に対応した形状とされ、ロック防止キー68が特定の回転状態のときだけレバー663がキー通し孔69を通過可能である。これらのレバー663およびキー通し孔69により、キー拘束機構66が構成されている。
【0102】
扉部材3には、延長プレート699に沿って当接プレート697が接続されている。当接プレート697は、L字状の部材であり、扉部材3から離れた側の端部は延長プレート699から交差方向に起立するように配置され、前述したシリンダ錠70のボルト71に当接可能である。
この際、ボルト71が進出状態(
図16の実線表示)であれば、当接プレート697がボルト71に当接することで、扉部材3は準閉鎖位置Psよりも閉じることが規制される。一方、ボルト71が後退状態(
図16の鎖線表示)であれば、当接プレート697はボルト71に当接することがなく、扉部材3は準閉鎖位置Psから全閉鎖位置Pcまで閉じることができる。
これらのシリンダ錠70および当接プレート697により、閉鎖防止機構67が構成されている。
【0103】
このような本実施形態においては、通常はシリンダ錠70のボルト71を後退した位置に保持しておくことで、扉部材3は全閉鎖位置Pcまで閉鎖できる。そして、この状態では、ロック防止キー68がキー通し孔69に挿通されていることで、扉部材3は準閉鎖位置Psを超えて開くことができない。
ここで、ロック防止キー68を操作し、シリンダ錠70からボルト71を進出させるとともに、レバー663をキー通し孔69に重なる位置へと移動させる。これにより、レバー663はキー通し孔69を通過可能となり、ロック防止キー68を引き抜くことで扉部材3は準閉鎖位置Psを超えて開くことができる。
【0104】
この状態では、シリンダ錠70からボルト71が進出しているため、扉部材3は準閉鎖位置Psよりも閉じることができず、これにより閉鎖防止ないし作業員の閉じ込め防止がなされる。
一方、作業扉1を再び閉じる際には、扉部材3を準閉鎖位置Psまで閉じ、ロック防止キー68をキー通し孔69に挿入し、先端のキー部材650をシリンダ錠70に差し込む。そして、レバー663までがキー通し孔69を通過したら、ロック防止キー68を回転させ、シリンダ錠70を操作してボルト71を後退させる。
これにより、ボルト71と当接プレート697との当接が解除され、扉部材3は全閉鎖位置Pcまで閉じることができる。
【0105】
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第1実施形態のロック防止装置本体60に替えてシリンダ錠70を用いるため、構成を大幅に簡素化することができる。
【0106】
〔第12実施形態〕
図17には、本発明の第12実施形態が示されている。
前述した第11実施形態では、引き戸式の作業扉1に、シリンダ錠70を用いた簡素なロック防止装置6を適用した。
本実施形態では、回動式の作業扉1に、同様なシリンダ錠70を用いた簡素なロック防止装置6を適用する。
【0107】
図17において、シリンダ錠70を含む閉鎖防止機構67、ロック防止キー68、キー通し孔69およびキー拘束機構66、延長プレート699および当接プレート697は、第11実施形態と同様のものである。
ただし、扉部材3が枠部材2に対して回動式となっており、このために安全スイッチ5の設置位置および向きが異なるとともに、当接プレート697はその先端がボルト71の側面に当接するように配置されている。
【0108】
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第11実施形態と同様に、第1実施形態のロック防止装置本体60に替えてシリンダ錠70を用いるため、構成を大幅に簡素化することができる。
【0109】
〔第13実施形態〕
図18には、本発明の第13実施形態が示されている。
前述した、第9実施形態(
図14)、第10実施形態(
図15)、第12実施形態(
図17)では、回動式の作業扉1において、扉部材3にロック防止キー68を通すためのキー通し孔69を形成し、ハンドル682がその回転角度によって挿通不能となることで、不要に扉部材3が開くことを防止していた。
図18に示すように、本実施形態は、基本的に
図14に示す第11実施形態と同様な構成を有する。さらに、本実施形態では、キー通し孔69を、ハンドル682がその回転角度に拘わらず挿通可能に形成しておくとともに、キー通し孔69に、逆止弁の機能を果たす回動式の補助扉693を設置している。補助扉693は、左右一対で配置され、各々扉部材3に回動自在に支持されている。補助扉693は図示しない弦巻ばね等により付勢され、通常はキー通し孔69を閉じる位置(扉部材3の表面に沿った位置)に維持される。
【0110】
このような本実施形態では、扉部材3を開いた状態で、ロック防止装置本体60にロック防止キー68を差し込み、扉部材3を閉じることができる。この際、扉部材3が閉じる際には、ハンドル682がキー通し孔69を通過し、補助扉693を押し開けて扉部材3の表側に出ることができる。ハンドル682が完全に扉部材3の表側に出ると、補助扉693は再び閉じ、ハンドル682の裏側でキー通し孔69を閉じることになる。
この状態で扉部材3を開こうとすると、補助扉693がハンドル682を係止し、扉部材3を開くことができない。ここで、ロック防止装置本体60からハンドル682を引き抜くと、補助扉693が開き、ハンドル682を通過させるので、再び扉部材3を開くことができる。
このような逆止弁の機能をはたす補助扉693を用いることで、不用意な扉部材3の開放を防止することができる。
【0111】
〔変形例〕
なお、本発明は、前述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は、本発明に含まれるものである。
例えば、ケース61、ベース62、パネル63等の材質は、金属製板材のほか合成樹脂材料であってもよく、各構成の形状および寸法は、実施にあたって適宜選択することができる。これらは、各実施形態における他の構成についても同様である。