(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め準備した第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体によって弾性連結して、該第一の取付部材と該第二の取付部材を備えた該本体ゴム弾性体の一体加硫成形品を得る本体ゴム成形工程と、
該第二の取付部材の外周面と予め準備した嵌着筒部材の内周面との少なくとも一方に、該第二の取付部材および該嵌着筒部材の開口に向かって延びる圧抜きリップが突設されたシールゴム層を被着形成するシールゴム成形工程と、
該本体ゴム弾性体の一体加硫成形品における該第二の取付部材に該嵌着筒部材を外挿すると共に、該第二の取付部材に外挿された該嵌着筒部材に非圧縮性流体中で絞り加工を施して、内部に非圧縮性流体を封入された流体室を形成すると共に、該圧抜きリップを該第二の取付部材と該嵌着筒部材の何れか一方に突出方向で押し当てて該シールゴム層を該圧抜きリップの両側で凹陥させることにより該流体室を外部に連通させながら該嵌着筒部材を該第二の取付部材に外嵌する組立工程と、
該嵌着筒部材を更に縮径して該第二の取付部材と該嵌着筒部材との間で該シールゴム層を狭圧することにより、該第二の取付部材と該嵌着筒部材の重ね合わせ面間を流体密に封止して該流体室を密閉する封止工程と
を、有することを特徴とする流体封入式防振装置の製造方法。
前記組立工程において、直線的に延びる筒状とされた前記第二の取付部材に、一方の開口に向かって拡開するテーパ筒状とされた前記嵌着筒部材を一方の開口側から外挿する請求項1に記載の流体封入式防振装置の製造方法。
前記圧抜きリップが複数形成されており、それら複数の圧抜きリップが前記第二の取付部材および前記嵌着筒部材の周方向で互いに所定距離を隔てて配置されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、所定量の非圧縮性流体を流体室に安定して封入すると共に、第二の取付部材と嵌着筒部材を所定の相対位置で組み付けて、目的とする防振性能や耐久性などを安定して得ることができる、新規な構造の流体封入式防振装置とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0009】
本発明の第一の態様は、第一の取付部材と筒状の第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、該本体ゴム弾性体の外周面に固着された該第二の取付部材には嵌着筒部材が外挿されて絞り加工されることにより流体密に外嵌されて、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて非圧縮性流体を封入された流体室が形成されている流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材の外周面と前記嵌着筒部材の内周面との少なくとも一方にシールゴム層が固着されて、該シールゴム層がそれら第二の取付部材と嵌着筒部材の間で全周に亘って狭圧されていると共に、該シールゴム層には該第二の取付部材および該嵌着筒部材の開口に向かって延びる圧抜きリップが突出形成されて、該圧抜きリップが該第二の取付部材の外周面と該嵌着筒部材の内周面との何れかに突出方向で押し当てられていることを、特徴とする。
【0010】
このような第一の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、非圧縮性流体中で嵌着筒部材を絞り加工する際に、圧抜きリップが第二の取付部材の外周面と嵌着筒部材の内周面との何れかに押し当てられることで、圧抜きリップの両側でシールゴム層が凹陥される。これにより、絞り加工の初期段階において、流体室がシールゴム層の凹陥部分を通じて外部に連通されて、流体室内の非圧縮性流体がシールゴム層の凹陥部分を通じて外部に排出され得ることから、流体室の内圧上昇が防止される。その結果、第二の取付部材と嵌着筒部材の固定力が小さい絞り加工の初期段階において、流体室の内圧上昇に起因する第二の取付部材と嵌着筒部材の相対的な傾きや軸方向の位置ずれを、回避することができる。
【0011】
さらに、嵌着筒部材の絞り加工が進行して、嵌着筒部材の縮径量が大きくなることにより、第二の取付部材と嵌着筒部材が大きな固定力で位置決めされると共に、シールゴム層が第二の取付部材と嵌着筒部材の間で狭圧されて、第二の取付部材と嵌着筒部材の間がシールゴム層によって流体密に封止される。これにより、流体室が外部から流体密に密閉されて、適量の非圧縮性流体が流体室内に封入される。
【0012】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記圧抜きリップが複数形成されており、それら複数の圧抜きリップが前記第二の取付部材および前記嵌着筒部材の周方向で互いに所定距離を隔てて配置されているものである。
【0013】
第二の態様によれば、圧抜きリップが、第二の取付部材と嵌着筒部材の何れか一方に、周上の複数箇所で押し当てられることで、圧抜きリップの弾性力が、第二の取付部材と嵌着筒部材に周上で分散して及ぼされて、第二の取付部材と嵌着筒部材の相対的な傾きなどが回避される。
【0014】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記圧抜きリップが前記第二の取付部材に対する前記嵌着筒部材の外挿方向で直線的に延びているものである。
【0015】
第三の態様によれば、圧抜きリップが周方向に傾斜することなく直線的に延びていることから、圧抜きリップに沿って形成されるシールゴム層の凹陥部分が、同様に外挿方向で直線的に延びる形状とされて、凹陥部分を通じた流体の流動が効率的に生ぜしめられる。それ故、嵌着筒部材の縮径変形量が増大することによる流体室の内圧変動が、より効果的に低減されて、第二の取付部材と嵌着筒部材の位置ずれが防止される。
【0016】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか一つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記シールゴム層には前記第二の取付部材および前記嵌着筒部材の周方向に延びる環状のシールリップが突出形成されているものである。
【0017】
第四の態様によれば、環状のシールリップが、第二の取付部材および嵌着筒部材の何れか一方に押し当てられることによって、第二の取付部材と嵌着筒部材の間がより効果的に封止される。特に、シールリップの押当てによって、第二の取付部材と嵌着筒部材の間で流体密性が確保されることから、シールゴム層の凹陥部分が消失するまで嵌着筒部材を縮径する必要がなく、嵌着筒部材の縮径変形量を比較的に小さく設定することも可能となる。
【0018】
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか一つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記嵌着筒部材の開口が可撓性膜で流体密に閉塞されており、前記本体ゴム弾性体と該可撓性膜の間に前記流体室が形成されていると共に、該流体室には仕切部材が配設されて外周面を該嵌着筒部材で支持されており、該流体室が該仕切部材を挟んで二分されて、壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部を該可撓性膜で構成された平衡室とが、該仕切部材を挟んだ各一方の側に形成されていると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路が形成されているものである。
【0019】
第五の態様によれば、オリフィス通路を通じて流動する流体の流動作用によって、優れた防振性能を得ることができる。しかも、嵌着筒部材を絞り加工して縮径変形させることにより、嵌着筒部材を第二の取付部材に外嵌すると同時に、仕切部材の外周面を嵌着筒部材で支持させることができて、少ない製造工程数で簡単に製造することができる。
【0020】
本発明の第六の態様は、流体封入式防振装置の製造方法であって、予め準備した第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体によって弾性連結して、該第一の取付部材と該第二の取付部材を備えた該本体ゴム弾性体の一体加硫成形品を得る本体ゴム成形工程と、該第二の取付部材の外周面と予め準備した嵌着筒部材の内周面との少なくとも一方に、該第二の取付部材および該嵌着筒部材の開口に向かって延びる圧抜きリップが突設されたシールゴム層を被着形成するシールゴム成形工程と、該本体ゴム弾性体の一体加硫成形品における該第二の取付部材に該嵌着筒部材を外挿すると共に、該第二の取付部材に外挿された該嵌着筒部材に非圧縮性流体中で絞り加工を施して、内部に非圧縮性流体を封入された流体室を形成すると共に、該圧抜きリップを該第二の取付部材と該嵌着筒部材の何れか一方に突出方向で押し当てて該シールゴム層を該圧抜きリップの両側で凹陥させることにより該流体室を外部に連通させながら該嵌着筒部材を該第二の取付部材に外嵌する組立工程と、該嵌着筒部材を更に縮径して該第二の取付部材と該嵌着筒部材との間で該シールゴム層を狭圧することにより、該第二の取付部材と該嵌着筒部材の重ね合わせ面間を流体密に封止して該流体室を密閉する封止工程とを、有することを、特徴とする。
【0021】
このような第六の態様に記載された流体封入式防振装置の製造方法によれば、組立工程において、シールゴム層に突出形成された圧抜きリップを、第二の取付部材と嵌着筒部材の何れか一方に押し当てることにより、圧抜きリップの両側でシールゴム層を凹陥させて、シールゴム層の凹陥部分で流体室が外部に連通される。それ故、組立工程において、嵌着筒部材の縮径変形による流体室の内圧の上昇が緩和されて、第二の取付部材と嵌着筒部材の位置ずれを防ぐことができる。
【0022】
また、封止工程において、シールゴム層が第二の取付部材と嵌着筒部材の間で狭圧されることにより、第二の取付部材と嵌着筒部材の間が流体密に封止されて、シールゴム層の凹陥部分による流体室と外部との連通が解除される。これにより、流体室内に適量の非圧縮性流体が封入保持されて、目的とする防振効果を得ることができる。
【0023】
本発明の第七の態様は、第六の態様に記載された流体封入式防振装置の製造方法において、前記組立工程において、直線的に延びる筒状とされた前記第二の取付部材に、一方の開口に向かって拡開するテーパ筒状とされた前記嵌着筒部材を一方の開口側から外挿するものである。
【0024】
第七の態様によれば、嵌着筒部材がテーパ筒状の筒状部を有することにより、テーパ形状とされた筒状部の内周面の案内作用によって、嵌着筒部材を直線的に延びる第二の取付部材に簡単に外挿することができて、非圧縮性流体中で行われる組立工程が容易になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シールゴム層に圧抜きリップが突出形成されており、嵌着筒部材に施される絞り加工の初期段階において、圧抜きリップが第二の取付部材と嵌着筒部材の何れか一方に押し当てられることにより、圧抜きリップの両側でシールゴム層が凹陥せしめられる。これにより、シールゴム層の凹陥部分を通じて流体室が外部に連通されることから、嵌着筒部材の縮径変形などに起因する流体室の内圧上昇が緩和されて、第二の取付部材と嵌着筒部材の相対的な傾きや位置ずれなどが防止される。更に、嵌着筒部材の絞り加工が完了して十分に縮径変形されることで、第二の取付部材と嵌着筒部材の間でシールゴム層が狭圧されて、それら第二の取付部材と嵌着筒部材の間が流体密に封止される。それ故、絞り加工の初期段階でシールゴム層に凹陥部分が形成されても、絞り加工の完了時には、流体室に封入された非圧縮性流体が第二の取付部材と嵌着筒部材の間を通じて外部に漏れ出すことはなく、適量の非圧縮性流体が流体室に封入保持されることで、目的とする防振性能を安定して得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の一実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が、本体ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有している。なお、以下の説明において、上下方向とは、車両装着状態で略鉛直上下方向となる
図1中の上下方向を言う。
【0029】
より詳細には、第一の取付部材12は、金属や合成樹脂等で形成された高剛性の部材であって、全体として略円柱形状を有すると共に、上端部には外周側に突出するフランジ部18が一体形成されている。更に、第一の取付部材12には、中心軸上を上下に延びて上面に開口するねじ孔20が形成されており、ねじ孔20に螺着される図示しない取付用ボルトによって、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに取り付けられるようになっている。
【0030】
第二の取付部材14は、第一の取付部材12と同様に高剛性の部材とされており、略一定の断面形状で直線的に延びる薄肉大径の略円筒形状とされている。そして、第二の取付部材14の上側の開口部に第一の取付部材12が略同一中心軸上で配されて、それら第一の取付部材12と第二の取付部材14が、本体ゴム弾性体16によって弾性連結されている。
【0031】
本体ゴム弾性体16は、厚肉大径の略円錐台形状を有しており、小径側端部に第一の取付部材12が加硫接着されていると共に、大径側端部の外周面に第二の取付部材14が加硫接着されている。なお、本体ゴム弾性体16は、第一の取付部材12と第二の取付部材14を備えた一体加硫成形品22として形成されている。
【0032】
また、本体ゴム弾性体16には、大径側の端面に開口する大径凹所24が形成されている。大径凹所24は、下方に向かって拡開する逆向きの略すり鉢形状とされており、底面が第一の取付部材12までは至らない深さで形成されている。
【0033】
また、第二の取付部材14には、可撓性膜26が取り付けられている。可撓性膜26は、
図2,3に示すように、薄肉大径のゴム膜で形成されており、上下方向に充分な弛みが与えられている。この可撓性膜26の外周端部には、嵌着筒部材28が加硫接着されている。なお、可撓性膜26は、嵌着筒部材28を備えた一体加硫成形品30として形成されている。
【0034】
嵌着筒部材28は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、軸方向中間部分に環状の段差部32が形成されて、段差部32の上方が大径の嵌着部34とされていると共に、段差部32の下方が小径の支持部36とされている。嵌着部34は、上側の開口に向かって拡径するテーパ筒状とされており、段差部32の外周端から上方に延び出している。支持部36は、略一定の断面で直線的に延びる略円筒形状とされており、段差部32の内周端から下方に延び出している。更に、支持部36の下端には、内周側に突出する内フランジ状の固着部38が全周に連続して形成されており、固着部38に可撓性膜26の外周端部が加硫接着されることで、嵌着筒部材28の下側の開口部が、可撓性膜26によって流体密に閉塞されている。
【0035】
さらに、嵌着筒部材28の支持部36には、封止ゴム層40が固着されている。封止ゴム層40は、可撓性膜26と一体形成されており、支持部36の内周面を略全面に亘って覆うように設けられている。なお、封止ゴム層40の上端には、上方に突出する環状の封止突部42が一体形成されており、段差部32の上面内周端に固着されている。
【0036】
また、嵌着筒部材28の嵌着部34には、シールゴム層44が固着されている。シールゴム層44は、薄肉大径の略円筒形状を呈するゴム弾性体で形成されており、嵌着部34の内周面を軸方向中間から下端まで覆うように設けられている。また、シールゴム層44は、外周面が全体に亘って嵌着部34の内周面に対応するテーパ面とされている一方、上部の内周面が外周面に対応するテーパ面とされていると共に、下部の内周面が略一定の直径で上下に延びる円筒面とされている。これにより、シールゴム層44の下部は、下方に向かって次第に薄肉となっている。なお、シールゴム層44の上端面は、内周に向かって下傾するテーパ形状の案内面46とされている。
【0037】
さらに、シールゴム層44には、環状のシールリップ48が突出形成されている。シールリップ48は、シールゴム層44の内周面から径方向内方に向かって突出する突条であって、略一定の半円形断面で周方向の全周に亘って連続して延びている。
【0038】
ここにおいて、シールゴム層44には、圧抜きリップ50が突出形成されている。圧抜きリップ50は、
図2,3に示す可撓性膜26の一体加硫成形品30の単体状態において、シールゴム層44の内周面から径方向内方に突出しており、嵌着筒部材28の開口方向に延びている。本実施形態の圧抜きリップ50は、周方向に傾斜することなく、後述する嵌着筒部材28の第二の取付部材14への外挿方向(軸方向)で直線的に延びている。また、シールゴム層44には、4つの圧抜きリップ50がシールゴム層44の周方向で互いに所定の距離を隔てて形成されており、本実施形態では、それら圧抜きリップ50がシールゴム層44の周方向で略均等に分散して配置されている。
【0039】
さらに、圧抜きリップ50は、突出先端が全長に亘って略一定の径方向位置で上下に延びており、上方に行くに従って次第にシールゴム層44からの突出高さが大きくなっている。更にまた、圧抜きリップ50の突出先端を通る仮想円の直径(r)が、シールリップ48の突出先端の直径(R)よりも小さくされており、圧抜きリップ50がシールリップ48よりも内周側に突出している。なお、圧抜きリップ50は、シールゴム層44を介してシールリップ48と一体形成されていると共に、シールリップ48に対して下方に所定の距離を隔てて配されている。
【0040】
本実施形態の圧抜きリップ50は、突出先端に向かって次第に周方向(幅方向)で狭幅となっていると共に、突出高さ(h)に対する幅寸法(w)の比(h/w)が、0.5≦h/w≦1.5の範囲に設定されることが望ましい。なお、圧抜きリップ50の突出高さの最小値(h
min )は、好適には0.5mm以上とされ、より好適には1.0mm以上とされる。これにより、後述する圧抜き溝64が、十分に大きな断面積で一層安定して形成される。
【0041】
そして、第二の取付部材14が嵌着筒部材28の嵌着部34に差し入れられて、第二の取付部材14に外挿された嵌着部34が、八方絞りなどの絞り加工によって縮径されることにより、第二の取付部材14に外嵌されている。本実施形態では、嵌着部34の縮径変形量が、上方に行くに従って次第に大きくされており、第二の取付部材14に外嵌された状態では、嵌着部34が軸方向に略一定の断面形状で延びる略円筒形状とされている(
図1参照)。なお、例えば、嵌着筒部材28の嵌着部34に外嵌固定される図示しないアウタブラケットが、同じく図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、第二の取付部材14が車両ボデーに取り付けられるようになっている。
【0042】
また、嵌着部34の内周面に固着されたシールゴム層44が、第二の取付部材14と嵌着部34の間で全周に亘って狭圧されており、第二の取付部材14と嵌着部34の重ね合わせ面間が流体密に封止されている。更に、シールゴム層44に一体形成されたシールリップ48と圧抜きリップ50は、何れも第二の取付部材14の外周面に突出方向で押し当てられて、突出方向で圧縮されている。
【0043】
これにより、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品22と、可撓性膜26の一体加硫成形品30とが相互に組み付けられて、本体ゴム弾性体16と可撓性膜26の間には、非圧縮性流体を封入された流体室52が形成されている。なお、流体室52に封入される非圧縮性流体は特に限定されるものではないが、例えば、水やエチレングリコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合液などが採用される。更に、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得るために、好適には、0.1Pa・s以下の低粘性流体が採用される。
【0044】
また、流体室52には、仕切部材54が配設されている。仕切部材54は、金属や合成樹脂で形成された硬質の部材であって、略円板形状を有しており、外周端部には外周面に開口しながら周方向に二周弱の長さで延びる周溝56が形成されている。そして、仕切部材54は、外周面が嵌着筒部材28の支持部36に封止ゴム層40を介して押し当てられて支持されていると共に、上端部の外周部分が嵌着筒部材28の段差部32と本体ゴム弾性体16の外周端部下面との間で挟持されており、嵌着筒部材28を介して第二の取付部材14に取り付けられている。
【0045】
また、仕切部材54は流体室52内で略軸直角方向に広がって配設されており、流体室52が仕切部材54を挟んで上下に二分されている。これにより、流体室52における仕切部材54の上方には、壁部の一部を本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力時に内圧変動が惹起される受圧室58が形成されている。一方、仕切部材54の下方には、壁部の一部を可撓性膜26で構成されて容積変化を許容された平衡室60が形成されている。なお、受圧室58および平衡室60には、流体室52に封入された非圧縮性流体が、それぞれ封入されている。
【0046】
また、仕切部材54の外周面が嵌着筒部材28の
支持部36に重ね合わされることにより、周溝56の外周開口部が
支持部36によって覆蓋されていると共に、周溝56の両端部が受圧室58と平衡室60の各一方に連通されていることにより、受圧室58と平衡室60を相互に連通するオリフィス通路62が、周溝56を用いて形成されている。なお、本実施形態のオリフィス通路62は、通路断面積(A)と通路長(L)の比(A/L)を適宜に設定することにより、チューニング周波数(オリフィス通路62を流動する流体の共振周波数)が、エンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波数に調節されている。
【0047】
このような構造とされたエンジンマウント10は、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付部材14が図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、車両に装着される。そして、第一の取付部材12と第二の取付部材14の間に、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力されると、受圧室58と平衡室60の相対的な圧力変動に基づいて、オリフィス通路62を通じた流体流動が惹起されて、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される。
【0048】
ところで、エンジンマウント10では、受圧室58および平衡室60に封入される非圧縮性流体の量が適切に設定されて、目的とする防振効果が安定して得られるようになっている。以下に、本実施形態に係るエンジンマウント10の製造方法の一例を説明する。
【0049】
先ず、予め準備した第一の取付部材12と第二の取付部材14を、本体ゴム弾性体16の成形用金型(図示せず)にセットして、本体ゴム弾性体16を加硫成形することにより、第一の取付部材12と第二の取付部材14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品22を得る。これにより、本体ゴム成形工程を完了する。なお、第一の取付部材12と第二の取付部材14を得るための手段は特に限定されないが、例えば、第一の取付部材12が鋳造などによって形成されると共に、第二の取付部材14が押出成形などによって形成される。
【0050】
また、予め準備した嵌着筒部材28を、可撓性膜26の成形用金型(図示せず)にセットして、可撓性膜26を加硫成形することにより、嵌着筒部材28を備えた可撓性膜26の一体加硫成形品30を得る。これにより、可撓性膜成形工程を完了する。なお、嵌着筒部材28を得るための手段は特に限定されないが、例えば、円筒形状の金属材をプレス成形によって所定の形状に加工することで、得ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、可撓性膜成形工程において、嵌着筒部材28の内周面に、封止突部42を備える封止ゴム層40と、シールリップ48および圧抜きリップ50を備えるシールゴム層44とを、可撓性膜26と同時に加硫成形する。即ち、封止ゴム層40が可撓性膜26と同じ工程で一体的に成形される一方、シールゴム層44は、可撓性膜26および封止ゴム層40とは別体で、それら可撓性膜26および封止ゴム層40と同じ工程で成形される。本実施形態では、可撓性膜26および封止ゴム層40とシールゴム層44は、同じ金型によって同一のゴム材料で成形されている。これにより、本実施形態では、シールゴム成形工程と、可撓性膜成形工程とを、一つの工程として完了する。
【0052】
次に、
図4に示すように、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品22と、可撓性膜26の一体加硫成形品30と、予め準備した仕切部材54とを、非圧縮性流体を満たした水槽中で相互に組み合わせる。即ち、
図4(a)に示すように、一体加硫成形品22,30と仕切部材54を非圧縮性流体中に入れて、
図4(b)に示すように、仕切部材54を可撓性膜26の一体加硫成形品30における嵌着筒部材28の支持部36に差し入れると共に、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品22を嵌着筒部材28の嵌着部34に上方から差し入れて、嵌着部34を第二の取付部材14に外挿する。なお、第二の取付部材14における差入方向の先端が、嵌着筒部材28における段差部32の上面に当接されることにより、第二の取付部材14が嵌着筒部材28に対して所定の軸方向位置まで差し入れられる。本実施形態では、嵌着筒部材28の嵌着部34が、上開口に向かって拡開するテーパ筒状とされて、嵌着部34の上開口が第二の取付部材14の外形よりも十分に大径とされていることから、第二の取付部材14を嵌着部34の上開口へ容易に差し入れることができる。
【0053】
そして、第二の取付部材14に外挿された嵌着部34に八方絞りなどの絞り加工を施して、嵌着部34を第二の取付部材14の外周面に押し当てて固定することにより、
図4(c)に示すように、エンジンマウント10を形成する。なお、
図4(b)に示すように、嵌着筒部材28の絞り加工による第二の取付部材14と嵌着筒部材28との組付け作業時には、可撓性膜26の変形量を制限するジグ63が、可撓性膜26の下面に重ね合わされる。
【0054】
ここにおいて、第二の取付部材14に対して嵌着部34が外嵌されることにより、第二の取付部材14と嵌着部34の重ね合わせ面間はシールゴム層44によって封止されるが、嵌着部34の縮径変形量が小さい絞り加工の初期段階では、第二の取付部材14と嵌着部34の重ね合わせ面間を通じて、流体室52を外部に連通させることができる。
【0055】
すなわち、
図5(a)に示すように、嵌着部34が第二の取付部材14に外挿された状態で、絞り加工によって嵌着部34を縮径して、シールゴム層44に突設された圧抜きリップ50を、第二の取付部材14の外周面に押し当てると、
図5(b)に示すように、各圧抜きリップ50の幅方向(シールゴム層44の周方向)両側でシールゴム層44が凹陥する。これにより、シールゴム層44の内周面に開口する圧抜き溝64が、圧抜きリップ50に沿って延びるように形成される。その結果、本体ゴム弾性体16と可撓性膜26の対向面間(流体室52)が、圧抜き溝64を通じて、嵌着部34の上開口部で外部に連通された状態で、第二の取付部材14と嵌着筒部材28とが互いに仮固定されて、組立工程が完了する。このように、第二の取付部材14に嵌着筒部材28を仮固定状態に外嵌する組立工程において、流体室52の密閉を防ぐことで、嵌着部34の縮径変形量が小さい絞り加工の初期段階において、流体室52の内圧の上昇が防止される。
【0056】
なお、圧抜きリップ50が形成されたシールゴム層44の軸方向中間部分から下端までの領域において、シールゴム層44の厚さ寸法の最小値は、好適には1.0mm以上とされ、より好適には2.0mm以上とされて、これにより、圧抜き溝64が十分に大きな断面積をもって一層安定して形成される。
【0057】
さらに、絞り加工による嵌着部34の縮径変形を進行させて、シールゴム層44およびシールリップ48が第二の取付部材14と嵌着部34の間で十分に狭圧されるまで嵌着部34を縮径することにより、第二の取付部材14と嵌着部34の間を流体密に封止する。これにより、流体室52を流体密に画成して、流体室52に所定量の非圧縮性流体を封入する封止工程が完了する。
【0058】
以上により、本実施形態では、絞り加工の初期段階における組立工程と、絞り加工完了時の封止工程とを、一つの絞り工程として完了して、エンジンマウント10の製造工程を完了する。
【0059】
また、本実施形態では、嵌着筒部材28の全体に絞り加工を施して縮径することで、嵌着筒部材28の支持部36を、仕切部材54の外周面に封止ゴム層40を介して押し当てて、周溝56の外周開口部を流体密に閉塞する。これにより、受圧室58と平衡室60を仕切部材54の両側に画成すると共に、それら受圧室58と平衡室60を相互に連通するオリフィス通路62を形成する。
【0060】
なお、嵌着筒部材28に施される絞り加工は、周上で複数に分割された分割型による八方絞りなどに限定されるものではなく、筒状の一体型に嵌着部34を圧入して絞り加工を施したり、嵌着部34の外周面にローラを押し当てて絞り加工を施すなど、各種公知の手段が採用され得る。また、本実施形態では、嵌着部34を下方から上方に向かって絞り加工することが望ましい。蓋し、絞り加工の初期段階では、圧抜きリップ50よりも上方に設けられたシールリップ48を第二の取付部材14の外周面から離隔させて、流体室52と外部との圧抜き溝64を通じた連通状態を、安定して維持できるからである。
【0061】
このようにして形成される本実施形態に従う構造のエンジンマウント10によれば、嵌着筒部材28の内周面に固着されたシールゴム層44に、圧抜きリップ50が突出形成されている。そして、嵌着筒部材28を絞り加工によって第二の取付部材14に外嵌固定する際に、絞り加工の初期段階において、圧抜きリップ50が第二の取付部材14の外周面に押し当てられて、圧抜きリップ50の両側でシールゴム層44が凹陥される。これにより、圧抜きリップ50の両側には、シールゴム層44の内周面に開口する圧抜き溝64が、圧抜きリップ50に沿って延びるように形成されて、本体ゴム弾性体16と可撓性膜26の対向面間(流体室52)が、圧抜き溝64を通じて外部(非圧縮性流体を満たした水槽中)に連通される。それ故、嵌着筒部材28の縮径による流体室52内の液圧上昇が緩和されて、第二の取付部材14と嵌着筒部材28の相対的な傾きや軸方向での位置ずれなどが防止される。
【0062】
特に、シールゴム層44に予め凹溝を形成するのではなく、圧抜きリップ50を突出形成して、圧抜きリップ50を第二の取付部材14の外周面に押し当てることで、シールゴム層44に圧抜き溝64が発現されるようになっている。それ故、嵌着筒部材28の縮径変形量が一定量以下とされる絞り加工の初期段階では、嵌着筒部材28の縮径変形量が大きくなるに従って、圧抜き溝64が潰れることなく寧ろ拡大することから、流体室52の液圧上昇が効果的に緩和される。
【0063】
さらに、本実施形態では、4つの圧抜きリップ50が形成されており、それら4つの圧抜きリップ50の各両側にそれぞれ圧抜き溝64が形成されるようになっている。それ故、流体室52の内圧上昇が8つの圧抜き溝64によって一層効果的に緩和されて、第二の取付部材14と嵌着筒部材28が適切な相対位置で組み付けられることから、目的とする性能を安定して得ることができる。しかも、本実施形態では、4つの圧抜きリップ50が周上で等間隔に分散して配置されていることから、それら4つの圧抜きリップ50と第二の取付部材14の外周面との当接に対する反力が、周上でバランス良く且つ相殺する方向に及ぼされて、当接反力による第二の取付部材14と嵌着筒部材28の相対傾動が防止される。
【0064】
更にまた、圧抜きリップ50は、突出高さ(h)に対する幅寸法(w)の比(h/w)が、0.5≦h/w≦1.5とされている。これによれば、圧抜きリップ50が第二の取付部材14の外周面に当接されることによって、圧抜き溝64が十分な断面積で形成されて、流体室52の内圧上昇が有効に緩和される。
【0065】
さらに、圧抜きリップ50がシールゴム層44の下端まで達する長さで形成されていることから、嵌着筒部材28の嵌着部34を下方から絞り加工する際に、シールゴム層44の下端から圧抜き溝64が形成されて、流体室52と外部がより安定して連通状態に保持される。
【0066】
また、嵌着筒部材28の絞り加工が進行して縮径変形量が十分に大きくされると、シールゴム層44が第二の取付部材14と嵌着筒部材28の間で径方向に狭圧されて、それら第二の取付部材14と嵌着筒部材28の間が流体密に封止される。これにより、絞り加工の初期段階でシールゴム層44に圧抜き溝64が形成されても、絞り加工の完了時には、流体室52に封入された非圧縮性流体が、第二の取付部材14と嵌着筒部材28の重ね合わせ面間を通じて外部に漏出するのを防いで、目的とする防振性能を安定して得ることができる。
【0067】
さらに、本実施形態では、シールゴム層44にシールリップ48が突出形成されており、シールリップ48が第二の取付部材14の外周面に全周に亘って連続して当接することで、第二の取付部材14と嵌着筒部材28の嵌着部34との重ね合わせ面間が、より確実に封止される。しかも、シールリップ48の突出先端が、圧抜きリップ50の突出先端を通る仮想円よりも外周側に控えて位置していることから、シールリップ48が圧抜きリップ50に先んじて第二の取付部材14の外周面に当接することはなく、流体室52に封入される流体量の調節が、圧抜き溝64を通じた流体流動によって有効に実現される。
【0068】
更にまた、シールリップ48は、シールゴム層44において圧抜き溝64が形成される部分よりも上方に配されており、シールリップ48が第二の取付部材14の外周面に押し当てられることにより、圧抜き溝64が残っていても、流体室52と外部がシールリップ48によって相互に遮断される。従って、シールゴム層44を圧抜き溝64が消失するまで挟圧する必要がなく、比較的に小さな嵌着筒部材28の縮径変形量で、流体室52の密閉性を確保することができる。
【0069】
加えて、シールリップ48が圧抜きリップ50に対して上方に離隔して配されていることから、嵌着筒部材28の縮径量が小さい絞り加工の初期段階では、シールリップ48が圧抜き溝64を通じた流体流動を阻害し難く、組立工程における流体室52の内圧上昇を有効に防ぐことができる。
【0070】
また、嵌着筒部材28の嵌着部34が上方に向かって拡径するテーパ筒状とされていると共に、嵌着部34に固着されたシールゴム層44の内周面の上部が、上方に向かって拡径するテーパ面とされている。これにより、上下に略一定の断面形状で延びる略円筒形状の第二の取付部材14が、嵌着部34およびシールゴム層44の内周面で径方向中央に案内されて、嵌着部34およびシールゴム層44に容易に挿入される。
【0071】
しかも、シールゴム層44の上面が、内周側に向かって下傾するテーパ形状の案内面46とされていることから、第二の取付部材14が案内面46に当接することで内周側に案内されて、嵌着部34およびシールゴム層44の内周に容易に挿入される。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、圧抜きリップの形成数や、第二の取付部材および嵌着筒部材の周方向における圧抜きリップの配置などは、あくまでも例示であって、特に限定されない。
【0073】
また、前記実施形態では、シールゴム層44の内周面が略一定の断面形状で全周に亘って延びており、圧抜きリップ50の両側において特に凹凸などは設けられていないが、例えば、シールゴム層44における圧抜きリップ50の幅方向両側に、内周側に開口しながら圧抜きリップ50に沿って延びる凹溝を予め形成しておくこともできる。これによれば、シールゴム層44の凹陥変形量が小さい圧抜きリップ50の第二の取付部材14への当接初期においても、圧抜きリップ50に沿って形成される圧抜き溝64の断面積が大きく確保されて、流体室52の内圧上昇が有利に防止される。
【0074】
圧抜きリップ50の具体的な形状は、前記実施形態の説明によって限定的に解釈されるものではなく、例えば、圧抜きリップは、全体乃至は部分的に周方向で傾斜しながら延びていても良い。
【0075】
また、シールゴム層は、第二の取付部材14の外周面に固着されていても良く、この場合には、シールゴム層が本体ゴム弾性体16と一体形成され得る。更に、シールゴム層は、第二の取付部材14の外周面と嵌着筒部材28の内周面との両方に設けられていても良い。
【0076】
また、シールゴム層44は、可撓性膜26と一体形成され得る。即ち、例えば、シールゴム層44と封止ゴム層40が段差部32上で相互に繋がって形成されることによって、シールゴム層44が可撓性膜26と一体形成される。
【0077】
また、シールゴム層44を固着された嵌着筒部材28の嵌着部34は、第二の取付部材14の差入れ側開口に向かって拡開するテーパ形状とされていることが望ましいが、略一定の断面形状で直線的に延びる筒状であっても良い。
【0078】
また、シールゴム層44によって十分なシール性が確保される場合などには、シールリップ48は必須ではなく、省略され得る。また、嵌着筒部材28の内周面にシールゴム層44および圧抜きリップ50が設けられた構造において、第二の取付部材14の外周面に環状のシールリップを突出形成することもできる。
【0079】
前記実施形態では、入力振動に対する受動的な防振効果が発揮されるようにした受動型の防振装置に、本発明を適用した例が示されているが、例えば、流体室52の壁部の一部を構成する加振部材を、電磁式や空気圧式のアクチュエータによって加振駆動させることにより、入力振動を能動的に相殺して低減する能動型の防振装置にも、本発明は適用され得る。なお、可撓性膜や仕切部材およびオリフィス通路は、何れも必須ではなく、嵌着筒部材は、可撓性膜に固着されるものには限定されない。
【0080】
本発明の適用範囲は、エンジンマウントに限定されず、サブフレームマウントやボデーマウント、デフマウントなどにも好適に適用され得る。また、本発明は、自動車用の流体封入式防振装置にのみ適用されるものではなく、自動二輪車や鉄道用車両、産業用車両などに用いられる流体封入式防振装置にも適用され得る。