(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記体圧情報取得工程で得られる前記体圧分布情報と前記呼吸圧情報取得工程で得られる前記圧力変動分布情報とに応じて選定すべき前記心拍測定用素子を規定した複数種類の参照モデルを準備し、
検出された該体圧分布情報と該圧力変動分布情報とに基づいて適合する参照モデルを選択することにより、前記圧力検出素子群のなかから選定する該心拍測定用素子を決定する請求項1又は2に記載の心拍測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の如き課題を解決するために為されたものであって、その解決しようとするところは、身体へ特別な装置を取り付けたり身体へ拘束力を及ぼしたりすることなく、就寝者の心拍を良好な検出精度をもって測定することのできる新規な心拍測定方法および心拍測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するためになされた心拍測定方法に関する本発明の第一の態様は、就寝者の体圧作用面に配された圧力検出素子群を用いて就寝者の心拍を測定する心拍測定方法であって、(a)前記圧力検出素子群により就寝者の体圧分布情報を検出する体圧情報取得工程と、(b)前記圧力検出素子群により就寝者の呼吸周期相当の圧力変動分布情報を検出する呼吸圧情報取得工程と、(c)前記体圧情報取得工程で得られた前記体圧分布情報と前記呼吸圧情報取得工程で得られた前記圧力変動分布情報の少なくとも一方を用いて、前記圧力検出素子群のなかから心拍測定用素子を選定する素子選定工程と、(d)該素子選定工程で選定された前記心拍測定用素子によって就寝者の心拍周期相当の圧力変動を検出する心拍検出工程とを、含
み、前記心拍検出工程における前記心拍測定用素子による前記心拍周期相当の圧力変動の検出を、前記体圧情報取得工程における前記圧力検出素子群による前記体圧分布情報の検出に比して、短い周期で実行する心拍測定方法にある。
【0010】
本態様の心拍測定方法に従えば、体圧作用面に配された二次元の圧力検出素子群を用いて就寝者を非拘束状態で且つ特別な装置を身体に付ける必要なく、心拍を継続的に測定することが可能になる。
【0011】
特に本態様では、二次元の圧力検出素子群で得られた体圧分布情報と呼吸圧情報のどちらか或いは両方を利用することで、圧力検出素子群を構成する多数の圧力検出素子のなかから心拍測定に適したものを適切に選択することができる。このようにして選択された心拍測定用素子で心拍を検出することにより、圧力検出素子群を構成する全ての素子による心拍の検出データを採用する場合に比して、ノイズが抑えられた高いS/N比の検出信号に基づいて目的とする心拍をより高精度に測定することが可能になる。
【0012】
しかも、心拍測定用素子に選択された圧力検出素子は、圧力検出素子群を構成する多数の圧力検出素子に比して少数とされることから、選択された心拍測定用素子の検出信号から心拍を測定する演算等の信号処理も簡易とされ得る。特に、心拍測定用素子が少数とされることから、必要に応じて短周期でのサンプリングを行い、検出値の平均化等の処理によって検出精度の更なる向上を図ることも可能になる。
【0014】
さらに、本態様の心拍測定方法に従えば、呼吸に比して圧力変動量が小さく測定に誤差を伴い易い心拍の検出を短周期で実行することにより、心拍の測定精度をより向上させることができる。なお、心拍測定用素子による圧力検出は、好適には10Hzを超えた周期で行い、より好適には15Hz以上、更に好適には20Hz以上の周期で行うようにする。
【0015】
心拍測定方法に関する本発明の第
二の態様は、第
一の態様に係る心拍測定方法であって、前記素子選定工程で選定された前記心拍測定用素子によって就寝者の呼吸周期相当の圧力変動を検出する呼吸検出工程を含むものである。
【0016】
本態様の心拍測定方法に従えば、心拍測定用素子を利用することで、心拍だけでなく呼吸に伴う圧力変動も、少ない素子によって、且つ必要に応じて短い周期で検出することが可能になり、それによって、簡易な信号処理と高い精度で測定することが可能になる。なお、呼吸周期相当の圧力変動の測定に際しては、心拍測定用素子のみによって検出する他、例えば呼吸に伴う圧力変動の測定に一層適した他の圧力検出素子も追加して呼吸周期相当の圧力変動を検出しても良い。
【0017】
心拍測定方法に関する本発明の第
三の態様は、第一
又は第二の態様に係る心拍測定方法であって、前記体圧情報取得工程で得られる前記体圧分布情報と前記呼吸圧情報取得工程で得られる前記圧力変動分布情報とに応じて選定すべき前記心拍測定用素子を規定した複数種類の参照モデルを準備し、検出された該体圧分布情報と該圧力変動分布情報とに基づいて適合する参照モデルを選択することにより、前記圧力検出素子群のなかから選定する該心拍測定用素子を決定するものである。
【0018】
本態様の心拍測定方法に従えば、予め準備した参照モデルを用いて、就寝者の寝姿勢などを特定することで心拍測定用素子の選択を容易に且つ速やかに行うことが可能になる。また、参照モデルを、多数のサンプルに基づいて作成等することにより、心拍測定に際しての信頼性の向上を図ることも容易となる。
【0019】
心拍測定装置に関する本発明の第一の態様は、(α)就寝者の体圧作用面に配される圧力検出素子群を備えており、該圧力検出素子群により二次元の圧力パターンを検出し得る触覚センサと、(β)該触覚センサによって二次元の圧力パターンとして検出された就寝者の体圧分布情報と呼吸周期相当の圧力変動分布情報の少なくとも一方に基づいて、前記圧力検出素子群のなかから就寝者の心拍検出に適した位置にある心拍測定用素子を選定する素子選定装置と、(γ)該素子選定装置で選定された該心拍測定用素子によって就寝者の心拍周期相当の圧力変動を検出する心拍検出装置とを、含
み、前記心拍検出装置における前記心拍測定用素子による前記心拍周期相当の圧力変動の検出が、前記触覚センサによる前記二次元の圧力パターンの検出に比して、短い周期で実行される心拍測定装置を、特徴とする。
【0020】
本態様に従う構造とされた心拍測定装置は、前述の本発明方法の実施に好適に用いられるものであり、就寝者に身体的および精神的な負担を強いることなく、就寝時の心拍を簡易な信号処理をもって精度良く検出することが可能になる。
【0022】
さらに、本態様に従う構造とされた心拍測定装置では、変化の頻度が小さい二次元の圧力パターンの検出に伴う負荷を抑えつつ、心拍の検出を短周期で実行することにより、誤差の発生を回避しつつ、心拍の測定精度の更なる向上が図られ得る。
心拍測定装置に関する本発明の第二の態様は、(α)就寝者の体圧作用面に配される圧力検出素子群を備えており、該圧力検出素子群により二次元の圧力パターンを検出し得る触覚センサと、(β)該触覚センサによって二次元の圧力パターンとして検出された就寝者の体圧分布情報と呼吸周期相当の圧力変動分布情報の少なくとも一方に基づいて、前記圧力検出素子群のなかから就寝者の心拍検出に適した位置にある心拍測定用素子を選定する素子選定装置と、(γ)該素子選定装置で選定された該心拍測定用素子によって就寝者の心拍周期相当の圧力変動を検出する心拍検出装置と、前記素子選定装置で選定された前記心拍測定用素子によって検出される圧力変動のパワースペクトルから就寝者の心拍周期を求め、得られた該就寝者の心拍周期に相当する圧力変動が該心拍測定用素子で検出されるように、該心拍測定用素子の検出対象とされる圧力変動の周期を更新する検出対象更新装置とを、含む心拍測定装置を、特徴とする。
本態様に従う構造とされた心拍測定装置では、上記[0020]に記載の効果に加えて、次の効果が発揮され得る。
すなわち、本態様に従う構造とされた心拍測定装置では、心拍として検出する信号の周期が、適宜に更新され得る。それ故、体調の変化などで心拍が変化した場合でも、測定すべき心拍周期変化に対応して測定目標である心拍を捉え続けて、心拍測定を安定して行うことが可能になる。
【0023】
心拍測定装置に関する本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に係る心拍測定装置において、前記素子選定装置で選定された前記心拍測定用素子によって就寝者の呼吸周期相当の圧力変動を検出する呼吸検出装置を有するものである。
【0024】
本態様に従う構造とされた心拍測定装置では、心拍だけでなく呼吸に伴う圧力変動も、少ない素子によって、簡易な信号処理と高い精度で測定することが可能になる。
【0025】
心拍測定装置に関する本発明の第四の態様は、第一〜三の何れかの態様に係る心拍測定装置において、前記素子選定装置が、前記体圧分布情報と前記圧力変動分布情報を含む前記二次元の圧力パターンであって、それぞれ心拍検出に適した心拍測定用素子の位置を規定した参照モデルを複数種類記憶した記憶手段と、検出された該体圧分布情報と該圧力変動分布情報とに基づいて適合する参照モデルを選択することにより、前記圧力検出素子群のなかから選定する該心拍測定用素子を決定する演算手段とを、含んで構成されているものである。
【0026】
本態様に従う構造とされた心拍測定装置では、適合する参照モデルの選択処理によって、心拍測定用素子の選択を容易に且つ速やかに行うことが可能になる。
【0027】
心拍測定装置に関する本発明の第五の態様は、第一〜四の何れかの態様に係る心拍測定装置において、前記圧力検出素子群が、就寝者の体圧作用面に沿って広がるシート状の静電容量型センサによって構成されており、該静電容量型センサが、エラストマーで形成された誘電層と、該誘電層の一方の面に配置され並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第1電極膜と、該誘電層の他方の面に配置され該第1電極膜に交差する方向で並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第2電極膜を備えており、該第1電極膜および第2電極膜が交差した対向部分でそれぞれ圧力検出部が構成されているものである。
【0028】
本態様に従う構造とされた心拍測定装置では、全体として柔軟なシート状の静電容量型センサによって、二次元の圧力検出素子群が構成され得る。それ故、かかる静電容量型センサを寝具のシーツ下などに敷設することで、就寝者に殆ど違和感を持たせることなく、二次元の圧力素子群を配することが可能になる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、二次元の圧力検出素子群で得られた体圧分布情報と呼吸圧情報のどちらか或いは両方を利用して圧力検出素子群から選択した心拍測定用素子を用いることにより、圧力検出素子群を構成する全ての素子で心拍を検出する場合に比して、心拍を高精度に且つ短周期で効率的に測定することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
先ず、
図1には、本発明の実施形態としての心拍測定装置を用いた心拍測定の実施状態の概略説明図が示されている。被検者8の就寝用のベッド10には、体圧作用面に触覚センサ12が敷設されている。この触覚センサ12を構成する多数の圧力検出素子群からの出力信号は、センサコントローラ14に入力されて処理されることにより、被検者8の静的な体圧分布と呼吸や心拍による動的な体圧変動を含む検出信号が得られるようになっている。そして、このセンサコントローラ14で得られた検出信号をコンピュータ16の記憶手段や演算手段等を利用して処理することで、心拍数の測定が行われると共に、必要に応じて体圧分布から寝姿勢の判定や呼吸数の測定なども行われる。なお、得られた測定結果は、適宜にコンピュータ16の記憶手段に記憶されたり画面表示されるほか、外部に出力して印刷や送信等することも可能となっている。
【0035】
より詳細には、触覚センサ12は、ベッド10において就寝状態にある被検者8の体圧作用面を、寝姿勢等の検知に十分な領域に亘って網羅して配置される二次元の圧力検出素子群を備えている。かかる圧力検出素子群の敷設領域は、少なくとも被検者8の上半身の体圧が作用する領域をカバーすることが望ましい。
【0036】
また、触覚センサ12を構成する二次元の圧力検出素子群は、静的な体圧だけでなく呼吸や心拍に相当する周期で変動する動的な体圧変動も検出し得る圧力検出素子によって構成される。具体的には、例えば空気圧センサや圧電素子、磁歪素子などの公知の圧力検出素子をベッド10の表面に所定間隔で設置することによって構成することも可能である。即ち、複数の空気セルを敷きつめたエアマットで体圧作用面を構成して各空気セルの空気圧を検出したり、複数の圧電素子をシーツ下に敷きつめて各圧電素子の検出信号を検出することも可能である。
【0037】
なかでも、柔軟で薄肉のシート状とされてベッド10のシーツ下等に敷設することができる静電容量型センサが、触覚センサ12として好適に採用される。かかる触覚センサ12は、例えば特開2011−237288号公報等に記載された構造であって、薄い柔軟な誘電層18を両側からゴムシート20a,20bで挟み込んだ積層構造となっている。
【0038】
ゴムシート20a,20bには、
図2中に黒着色部分として示された第1及び第2電極膜としての電極22a,22bが、互いに並行に延びる複数本の帯状をもって形成されている。これらの電極22a,22bは、例えばカーボンフィラーを充填して作られた導電性ゴムで構成されることにより、触覚センサ12の全体として柔軟性が確保されている。
【0039】
また、誘電層18を挟んだ両側のゴムシート20a,20bに設けられた複数本の帯状の電極22a,22bは、互いに直交する方向に延びている。そして、誘電層18を挟んだ両側で互いに直交するように配置されており、各交差部分が圧力検出部としてのコンデンサを構成している。それ故、全体でみると多数のコンデンサが二次元的に配置された触覚センサ12を構成している。
【0040】
より具体的には、
図3に透視状態の平面図が示されているように、直交に2軸のx−y平面において、ゴムシート20aに設けられてx軸と並行に延びる16本の電極22aと、ゴムシート20bに設けられてy軸と並行に延びる16本の電極22bとを設けることにより、各交差部分となる合計256の箇所にコンデンサが構成されることとなる。
【0041】
これらの交差部分では、誘電層18とゴムシート20a、20bの積層方向へ圧力が加わると誘電層18が変形して電極22a,22b間距離が短くなるので、該当部分の静電容量が変化する。それ故、電気的な制御装置からなるセンサコントローラ14を用いて、各交差部分における静電容量の変化を検知することで、各交差部分に及ぼされた圧力を検出することが可能になる。即ち、電極22a,22bにおける各交差部分が、静電容量型の圧力検出素子(セル)として機能し得るのである。
【0042】
かかるセンサコントローラ14は、例えば
図3に示されているように、各電極22a,22bに対してコネクタ28a,28bを介してそれぞれ接続された作動電圧給電用の電源回路30と、静電容量検知用の検出回路32を備えている。電源回路30は、電極22aの01x〜16xと電極22bの01y〜16yに対する給電を選択的に行うようになっており、演算処理装置(CPU)34による制御下で、コンデンサを構成する256箇所の各交差部分に対して、作動電圧として周期的な波形電圧を走査的に印加する。
【0043】
そして、かかる電圧作用下で検出される静電容量の検出信号が、順次に検出回路32で検出され、その検出値がRAM36に記憶される。なお、検出回路32による静電容量の検出は、例えば電流値から求められるインピーダンスを用いて静電容量値を求めることによって行われる。
【0044】
また、ROM38には、電極22a,22bの交差部分で構成されたコンデンサの特性データが記憶されており、この特定データに基づいて、演算処理装置(CPU)34により、配線抵抗の影響を排除して求められた静電容量の検出値から電極22a,22bの交差部分に及ぼされた外力である体圧が求められる。
【0045】
従って、コンデンサを構成する電極22a,22bの交差部分で構成された圧力検出素子における静電容量をスキャンすることにより、全体として2次元的な圧力パターンが検出可能とされている。また、各圧力検出素子による圧力の検出が、所定間隔で継続的に行われることにより、時間的な圧力変動も検出可能とされている。例えば、一つの交差部分(1セル)で静電容量を求めるのに0.2秒程度必要としても、10Hz以上の周期で各交差部分の圧力を検出することができる。それ故、例えば0.1〜0.35Hz程度とされる就寝者の呼吸に伴う圧力変動は、その変動幅が比較的大きいことと相俟って良好な精度をもって検出することが可能となる。
【0046】
なお、検出される圧力変動は、多くの振動が重畳して検出されることとなるが、就寝者の呼吸や心拍等の周期はある程度特定可能であることから、帯域フィルタなどを用いることで、目的とする圧力変動の情報を分離して取得することが可能である。また、対象とする圧力変動の周期を確認などする場合には、フーリエ変換(FFT)や自己回帰モデル(AR)などで周波数解析を行ってパワースペクトルにおける所定帯域内のピークを確認等することができる。
【0047】
このようにして触覚センサ12で得られた、被検者8の就寝時における検出値である圧力分布情報や圧力変動情報は、
図1に示されているように、センサコントローラ14からコンピュータ16に送られ、体圧分布やその変動、経時的な呼吸数・心拍数の変化などの必要とされる情報が、色分けのマップやグラフなどの適宜の表示態様に加工されて出力されるようになっている。
【0048】
ここにおいて、本実施形態の心拍測定装置では、上述の如き電極22a,22bの全ての交差部分に設けられた圧力検出素子(セル)を対象とするスキャンによって体圧分布を求めるのとは別に、選択された特定の圧力検出素子(セル)だけを用いて、心拍が測定されるようになっている。
【0049】
すなわち、上述の体圧分布は、その変化があるにしても、全ての圧力検出素子(セル)を対象としたスキャン周期に比して十分に小さな周期でしかなく、実質的に静的な圧力測定によって精度良く検出可能である。また、呼吸数の測定も、就寝時の呼吸が0.1〜0.35Hz程度であることと、比較的大きな圧力変化を伴うことから、本実施形態の如き10Hz程度の周期でも、実用的な要求精度を確保することも可能と考えられる。
【0050】
一方、心拍は、呼吸に比して体圧変動が小さく、しかも、0.9〜1.5Hz程度と呼吸に比して高周期であることから、安定した検出が難しい。特に、就寝者の体圧作用面において心拍に伴う体圧変化が及ぼされる領域が、呼吸に伴う体圧変化が及ぼされる領域に比して一層狭いことから、体圧作用面の広い領域に敷設された全ての圧力検出素子(セル)の検出値を用いて心拍を検知しようとすると、ノイズが多くなってS/N比が低下しやすい。
【0051】
そこで、本実施形態では、信号周期と比較して高速に多数回サンプリング(オーバーサンプリング)を行い、平均をとることでS/N比の向上を図っている。良く知られているように、ノイズがランダムであれば、N回の測定の平均をとることでノイズ成分の振幅は1/√Nになる。心拍信号の検出に際しても、ノイズの原因としては、離散化雑音、熱雑音、寄生容量の影響など複数の要因が考えられるが、オーバーサンプリングによる平均化が有効と考えられる。実際に、被検者を仰臥位での就寝状態として、臥床に敷設した触覚センサ12で検出された静電容量値について、10Hzでのサンプリング結果に対して、高速で36回繰り返しサンプリングを行って平均化した結果を比較したところ、フーリエ変換後のパワースペクトルにおいて、10Hzでのサンプリング結果では認識できなかった心拍相当の周波数成分のピークを明確に認めることができた。
【0052】
ところで、触覚センサ12を構成する全ての静電容量型の圧力検出素子(セル)について、高速でのオーバーサンプリングを行うことも考えられるが、検出速度は物理的に限界があり、現実には困難な場合が多い。例えば、1セルにおける1回の測定に際して略200μsが必要とすると、
図3に示される如き256個のセル数の触覚センサ12の全てのセルで36回の繰り返しサンプリングを行う場合には、下式に示すとおり2秒弱の測定周期が必要となり、物理的にも心拍数の測定が不可能になってしまう。
200(μs)×36×256=略1.84(s)
【0053】
それ故、256個のセル数をもつ本実施形態の触覚センサ12では、1セルの1回の圧力(静電容量)検出が184μsで完了するものとして、256個のセルのなかから心拍検出に適した4個のセルを選出し、これら4個のセルを心拍測定用素子とした。そして、かかる4個の心拍測定用素子だけについて、36回の高速サンプリングを行い、それらの平均値を検出値とすることとした。
【0054】
これにより、下式から明らかなように、略100msの測定周期としても、256個の全ての圧力検出素子(セル)による圧力検出を略10Hzで実行すると共に、4個の心拍測定用素子では36回の高速サンプリングによる高精度な圧力検出を略20Hzで実行することが可能になる。
100(ms)≒184(μs)×256+184(μs)×36×4×2
【0055】
ここにおいて、256個の圧力検出素子(セル)のなかから、如何にして、心拍測定に適した少数(本実施形態では4個)の心拍測定用素子を選出するかが重要となる。蓋し、就寝時の体圧が作用面のなかでも、圧力変動が小さい心拍を精度良く検出できる部位は限られているからである。
【0056】
なお、256個の圧力検出素子の全てについて、心拍測定に適しているか否かを都度検討することも考えられるが、かかる判定には、圧力検出素子毎の高速サンプリングと平均化さらにパワースペクトル解析が必要となることから長時間を要し、現実的でない。
【0057】
そこで、かかる心拍測定用素子の選出に関しては、触覚センサ12で得られる体圧分布情報や呼吸に相当する周期の圧力変動分布情報を利用して、心拍測定用素子を選定することとした。体圧分布情報と圧力変動分布情報との少なくとも一方に基づいて、より好適にはそれら体圧分布情報と圧力変動分布情報を併せて利用して、就寝者の臥床位置と寝姿勢を特定することで、統計データから心拍に伴う圧力変動が検出されやすい部位に配された圧力検出素子を心拍測定用素子として選出することとなる。
【0058】
具体的には、多数の人の就寝状態を触覚センサ12で検出することにより取得したサンプルデータを標準化等の処理で汎化して参照データとしたものを記憶手段に蓄積しておく。かかる参照データは、例えば触覚センサ12の体圧分布と圧力変動分布の各検出結果に基づいて被検者の寝姿勢をクラス分けし、寝姿勢毎に心拍測定に適した圧力検出素子を特定する情報を含む。そして、被検者の就寝時における触覚センサ12の検出データを、かかる参照データと比較し、該当する参照データに基づいて、被検者の寝姿勢から心拍測定に適した圧力検出素子を選出するようにされる。
【0059】
なお、寝姿勢のクラス分けは、心拍測定に適した圧力検出素子の位置を考慮して、例えば仰臥位、伏臥位、右側臥位、左側臥位の4種類とすることが望ましい。また、検出データの参照データとの比較は、画像処理技術としての公知のパターン認識手法を採用することができる。更に、参照データの取得に際しては、人毎に異なる体格や体重、向きなどに対応するために、取得したサンプルデータに対して、拡大/縮小や回転の画像処理を行って整合させると共に、圧力範囲も揃えることが望ましい。このような参照データの取得を手作業の画像処理で行うことも可能であるが、画像処理技術を利用して圧力検出領域のパターン認識による切り出しや回転,拡大/縮小処理による標準化や、HOG、SIFT、SURF等の画像特徴を用いた画像認識技術による正規化などを利用することができる。例えばHOG特徴量を利用して局所領域の輝度の勾配方向をヒストグラム化し、得られたヒストグラムを特徴ベクトルにして長さを正規化することによって圧力範囲を揃えることが可能である。
【0060】
また、このようにして得られた参照データを用いて、検出データを識別するには、SupportVectorMachineやAdaBoostなどのアルゴリズムを用いて、複数のサンプルデータの学習により判別精度を向上させた機械判別器を採用することが望ましい。
【0061】
因みに、心拍測定に適した位置を検討するために、圧力検出した全ての圧力検出素子(セル)について高速サンプリングによる計測を実施した。周波数の分解能を確保するために1024点でフーリエ変換すると、1セルあたり51s以上の計測時間を必要とした。4姿勢の全てで計測したもののなかから、伏臥位と仰臥位の各計測結果を、
図4と
図5に示す。体圧分布画像から、伏臥位と仰臥位における体圧分布の差が認められる。
【0062】
また、各セルのパワースペクトルにおいて、呼吸周期相当の圧力変動は多くのセルで確認できるものの、心拍周期相当の圧力変動は特定のセルでしかピークを確認できないことが認められる。しかも、心拍周期相当の圧力変動が認められるセルの位置は、伏臥位と仰臥位で相違していることも確認できる。
【0063】
更にまた、呼吸周期相当の圧力変動も、それを明瞭に確認できるセルと、不明瞭となっているセルの位置が、伏臥位と仰臥位において互いに異なっていることがわかる。それ故、呼吸周期相当の圧力変動に基づいて寝姿勢を判別することも可能であるし、例えば圧力分布画像のみからでは寝姿勢の判別が難しい場合には、呼吸周期相当の圧力変動の位置情報を併せて参照することにより、寝姿勢の判別の精度を向上させることも可能となる。
【0064】
かかる呼吸周期相当の圧力変動の位置情報としては、例えば呼吸強度パターンや呼吸位相パターンを画像情報として採用し、画像処理技術としての公知のパターン認識手法を利用することができる。呼吸強度パターンは、呼吸周期に相当する圧力変動幅の大きさを画像表示したものであり、呼吸位相パターンは呼吸に際しての体圧分布が変化することを各位置のセル間での時間差で検出したデータを画像表示したものである。その具体例を、左下側臥位と右下側臥位について、
図6および
図7に示す。これら
図6、
図7より、静的な体圧分布としては似ている左下側臥位と右下側臥位において、呼吸強度パターンと呼吸位相パターンが何れも相違していることが認められる。それ故、呼吸強度パターンと呼吸位相パターンの少なくとも一方に基づいて寝姿勢を判別することも可能であるし、かかる呼吸強度パターンや呼吸位相パターンを静的な圧力分布画像と併せて用いることで寝姿勢の判別精度を向上できることがわかる。
【0065】
因みに、
図6,7に示された呼吸強度パターンは、512回(51s)の測定結果にフーリエ変換処理して周波数成分を求め、呼吸相当の周波数内で第一ピークと第二ピークの大きさが1.3以上なら呼吸が検出できたと判断し、そのときのピークの大きさを呼吸強度として画像表示したものである。この呼吸強度パターンを、静的な体圧分布情報(圧力パターン)に加えて用いることで、それ以外は同じパラメータで作成した識別器(機械式判別器)において、検出データに対する寝姿勢判定の誤答率が数%あったものを0%にまで向上させることができた。
【0066】
このように、触覚センサ12で得られる体圧分布情報と呼吸に相当する周期の圧力変動分布情報とに基づいて寝姿勢を高精度に判定し得ることで、心拍測定に適した圧力検出素子を一層効率的に選出することが可能になる。
【0067】
そして、選出された少数の心拍測定用素子において、高速サンプリングと平均化の処理を行うことで、目的とする心拍を高精度に且つ安定して測定することが可能になるのである。しかも、全ての圧力検出素子(セル)による圧力検出を実質的に並行して行うことで、被検者が寝返りをうったりして寝姿勢が変化することにも速やかに対応し、追従して心拍測定用素子を再選択することで、高精度な心拍測定を継続的に実行することが可能となる。
【0068】
また、高速サンプリングと平均化の処理で高精度な圧力変動の検出が実行される心拍測定用素子を利用して呼吸相当の周波数変動を検出することで、呼吸数も高精度に且つ安定して測定することが可能となる。このことは、前述の
図4,5に示されているように、心拍検出に適したセルでは、一般に呼吸検出も良好に行われ得ることからも理解できる。なお、心拍測定用素子を複数選択するに際して、そのうちの幾つかを、心拍検出への適正に代えて呼吸検出への適正を選択基準として採用することも可能であり、それによって、呼吸検出の信頼性や精度の更なる向上が図られ得る。
【0069】
更にまた、心拍測定用素子による検出データを演算処理して得られるパワースペクトルを用いて、心拍や呼吸の周波数を監視することも可能であることから、例えば心拍として検出される心拍相当周期の圧力変動の周波数や呼吸として検出される呼吸相当周期の圧力変動の周波数を、定期的に更新することで、被検者の心拍や呼吸の変化にも追従して、心拍や呼吸の測定を一層安定して継続させることも可能になる。
【0070】
上述の如き構成とされた本実施形態の心拍測定装置における具体的な処理手順の一例について、
図8〜11を参照しつつ、以下に説明する。
【0071】
すなわち、かかる処理手順では、
図8に示されているように、臥床状態にある被検者の上半身の体圧が及ぼされる領域に敷設された触覚センサ12において、256個の全ての圧力検出素子(セル)による圧力検出と、選出された4個の心拍測定用素子(高精度セル)による圧力検出とを、100msの周期で実行するものである。また、かかる1周期中、圧力検出素子による圧力検出は、上半分の128個の素子と下半分の128個の素子で異なるステップにおいて各一回ずつ行うことで10Hzの周期で実行する一方、心拍測定用素子による心拍相当の圧力変動検出は、2回のステップで繰り返し計2回行うことで20Hzの周期で実行するようにした。なお、1セルあたりの検出に要する時間は、184μsで示してある。
【0072】
具体的には、全体の処理手順が
図9に示されている。ステップS1で測定が開始されると、ステップS2〜S5で心拍および呼吸の測定が繰り返し実行されると共に、それと並行して、ステップT1〜T3で寝姿勢の判定とそれに基づく心拍測定用素子の選定と更新が5秒周期で繰り返し実行されると共に、ステップU1〜U3で心拍と呼吸に相当する圧力変動周期の検出と更新が0.5秒周期で繰り返し実行される。
【0073】
心拍および呼吸の測定処理は、先ず、ステップS2(
図8のD
A に相当)において、触覚センサ12の上半分に位置する128個のセルについて圧力が順次に検出される。かかるステップS2の具体的な処理手順が、
図10(a)に示されている。即ち、ステップS2−1で開始後、ステップS2−2で計測位置を開始位置に設定し、ステップS2−3で前の計測から184μs経過していることで前の計測が終わっていることを確認の後、ステップS2−4で該当する計測位置のセルで圧力計測を実行する。続くステップS2−5で計測するセルの位置を一つ進める。ステップS2−6で、128個の全てのセルでの圧力検出を繰り返した後、ステップS2−7に至って終了する。
【0074】
ステップS2に続くステップS3(
図8のPに相当)では、選出された4個の心拍測定用素子(高精度セル)について圧力が順次に検出される。かかるステップS3の具体的処理手順が、
図11に示されている。即ち、ステップS3−1で開始後、ステップS3−2〜S3−9のループA処理が実行されることで、4個の高精度セルp1〜p4による圧力検出が開始される。かかるループA処理では、ステップS3−3で、検出する高精度セルの位置pi(i=1〜4)を特定した後、ステップS3−4〜S3−7のループB処理を、当該セルpiにおいて36回繰り返して実行することで、圧力の高精度検出を行う。このループB処理は、ステップS3−5で前の計測から184μs経過していることで前の計測が終わっていることを確認の後、ステップS3−6で該当する計測位置の高精度セルpiで圧力計測を実行して記憶した後、ステップS3−7でステップS3−4に帰還することで、各セル毎に36回の圧力計測を行う。そして、ループB処理の後、続くステップS3−8で、記憶した36回の計測値を平均演算することで、該当する高精度セルpiの検出値を得る。このループB処理を含むループA処理を4回繰り返すことで、全ての高精度セルについて高精度な検出値を取得した後、ステップS3−10に至って終了する。
【0075】
ステップS3に続くステップS4(
図8のD
B に相当)では、触覚センサ12の下半分に位置する128個のセルについて圧力が順次に検出される。かかるステップS4の具体的な処理手順は、
図10(b)に示すとおりであり、触覚センサ12の上半分に位置する128個のセルについて圧力検出を行う、
図10(a)に示された前述の処理と実質的に同じである。
【0076】
ステップS4に続くステップS5(
図8のPに相当)では、選出された4個の心拍測定用素子(高精度セル)について、再び、圧力が順次に検出される。かかるステップS5の具体的処理手順は、
図11に示すとおり、前述のステップS3と同じである。即ち、1回のループ中で4個の高精度セルによる圧力検出を2回繰り返して実行することで、256個のセルの圧力検出に対して2倍の頻度(周波数)で、高精度セルの圧力検出が実行されることとなる。具体的には、
図8に示されているように、1回の圧力測定ループを100msとし、128個のセルの圧力検出を10Hzで実行するとすると、4個の高精度セルによる圧力検出は20Hzで実行されることとなる。
【0077】
一方、寝姿勢の判定処理は、心拍および呼吸の測定処理手順S2〜S5で取得された256個のセルの検出値を利用して、寝姿勢の判定と、それに基づく高精度セル(p1〜p4)の選出を行う。選出された高精度セルは、5秒の一回の周期で更新され、心拍および呼吸の測定処理手順S2〜S5に反映されることとなる。
【0078】
具体的には、ステップT1において、前回の処理から更新周期に設定された5秒が経過したか否かを判定し、5秒が経過していたらステップT2に進み、寝姿勢の判別を行う。この寝姿勢の判別は、心拍および呼吸の測定処理手順のうちステップS2およびS4で取得されて記憶された256個のセルの検出値を用いて行う。即ち、かかるセルの検出値から圧力分布パターンや呼吸に相当する圧力変動分布パターンを作成し、前述の如き機械式判別器を用いて参照データの各パターンと比較することで、4姿勢の何れかの寝姿勢を特定することによって行うことができる。そして、ステップT2で特定した寝姿勢に基づいて、続くステップT3において、当該寝姿勢において心拍測定に適した高精度セル位置を特定する。高精度セルの位置は、寝姿勢の参照データにおいて寝姿勢ごとに予め設定しておくことができるから、寝姿勢が特定されることによって高精度セル位置も参照データから求めることができる。
【0079】
さらに、測定すべき心拍と呼吸に相当する圧力変動周期の測定と検出の処理は、心拍および呼吸の測定処理手順S2〜S5で取得された4個の高精度セルの検出値を利用して行う。求められた心拍と呼吸の周期は、0.5秒に一回の周期で更新され、心拍および呼吸の測定処理手順S2〜S5に反映されることとなる。
【0080】
具体的には、ステップU1において、前回の処理から更新周期に設定された0.5秒が経過したか否かを判定し、0.5秒が経過していたらステップU2に進み、高精度セルp1〜p4による検出値の周波数特性を求める。この処理は、例えば
図8に示されているように、オーバーサンプリングで36回の平均値として取得された4個の高精度セルp1〜p4の検出値の時系列的な特性データを高速フーリエ演算などで変換してパワースペクトル密度を求めることによって行われる。その後、ステップU3において、得られたスペクトルにおいて、心拍および呼吸に相当する各周波数域におけるピーク値から、測定すべき心拍および呼吸の周波数を決定する。
【0081】
従って、このようなステップT1〜T3、U1〜U3の各処理手順を反映して、ステップS2〜5の処理手順を実行することにより、被検者の寝姿勢が変化したり、心拍数や呼吸数が変動した場合でも、それに追従してステップS2〜5での心拍および呼吸の継続的な測定を実行することが可能になる。
【0082】
そこにおいて、体圧分布だけでなく呼吸周期相当の体圧変動情報も併せて考慮して心拍測定用の素子(高精度セル)が選出されることから、寝姿勢や心拍・呼吸の変化への追従に必要な検出および演算処理と並行して、高精度な心拍検出を高い信頼性をもって行うことが可能になる。
【0083】
そして、少数の高精度セルを効率的に選択して心拍測定を行うことができることから、触覚センサ12としては、検出速度が比較的遅くても高精度な心拍検出が実現可能となるのであり、それ故、例示の如き軟質シート状の静電容量型センサを採用することで、被検者に及ぼされる身体的および精神的な負担を可及的に軽減することができるのである。
【0084】
なお、前述の説明からも理解されるように、本実施形態において圧力検出素子群のなかから心拍測定用素子を選定する素子選定装置は、ステップS2−1〜7およびステップS4−1〜7で得られた圧力及び圧力変動の分布測定結果を利用して、ステップT1〜T3を実行することにより、体圧分布や呼吸相当の圧力変動(位相を含む)分布の情報を画像処理技術等により参照データと対比して適合する寝姿勢から高精度セル位置を決定する演算処理を実行するコンピュータ16によって構成されている。そこにおいて、寝姿勢の判定などに用いられる参照データは、コンピュータ16の演算装置がアクセス可能な内部又は外部の記憶手段に蓄積され得る。また、本実施形態における心拍検出装置や呼吸検出装置は、選出された高精度セルによってステップS3−1〜10およびステップS5−1〜10を実行して検出値を得るコンピュータ16の演算処理装置によって構成されており、更に、得られた検出値をバンドパスフィルタ等で処理することで特定周波数域の圧力変動の周期または周波数として心拍数や呼吸数を得ることも可能である。更にまた、本実施形態における検出対象更新装置は、ステップU1〜U3を実行するコンピュータ16の演算処理装置によって構成されている。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施され得るものであり、またそのような各種態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも本発明の範囲内に含まれることとなる。例えば、圧力分布の代わりに赤外線カメラ等による画像分布を用いて、人の位置と姿勢を判別して、心拍測定用素子を選定してもよい。そして、そのような赤外線カメラ等による画像解析情報を体圧分布情報と併せて用いて寝姿勢を判別することも可能であり、それによって、寝姿勢の判別ひいては心拍測定用素子の選定の精度や信頼性の更なる向上が図られ得る。また、前記実施形態では、心拍測定用素子の選定の際に、体圧分布情報と呼吸周期相当の圧力変動分布情報の両方を用いて選定していたが、少なくとも一方の情報により心拍測定用素子を選定することも可能である。