特許第6297422号(P6297422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297422
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   E06B9/52 M
   E06B9/52 A
   E06B9/52 C
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-119195(P2014-119195)
(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公開番号】特開2015-232218(P2015-232218A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2016年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】金森 英晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 丈志
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−102503(JP,A)
【文献】 特開2013−023809(JP,A)
【文献】 特開2005−146616(JP,A)
【文献】 特開2014−148797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/52
E06B 3/32−3/34
E05C 1/04,21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と網戸とを備え、竪枠にロック部品が取付けてあり、網戸の戸先部に受け部品が取付けてあり、ロック部品は、操作部を操作することで受け部品と係脱するものであり、操作部は、障子を閉鎖した状態で障子の戸先部にのみ込まれていることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸付きのサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
引違い窓では、外障子よりも室外側に網戸が左右方向に移動可能に設けられる(例えば、非特許文献1参照。)。こうした網戸は、強風等により勝手に動いてしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山アルミ株式会社発行のカタログ「MTG−70series 図面集」(カタログNo.STB0077H S.09.03−025)、2009年3月、p.394
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、強風等により網戸が勝手に動くのを防止できるサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるサッシは、枠と網戸とを備え、竪枠にロック部品が取付けてあり、網戸の戸先部に受け部品が取付けてあり、ロック部品は、操作部を操作することで受け部品と係脱するものであり、操作部は、障子を閉鎖した状態で障子の戸先部にのみ込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によるサッシは、竪枠にロック部品が取付けてあり、網戸の戸先部に受け部品が取付けてあり、ロック部品を受け部品と係合させることで、強風等により網戸が勝手に動くのを防止できる。ロック部品の操作部を閉鎖した状態の障子の戸先部にのみ込ませることで、網戸が面付けタイプであっても竪枠にロック部品を取付けることができ、また、ロック部品が網戸開き側に強く引っ張られても、ロック部品が竪枠と障子の戸先部との間に保持されるため、ロック部品が竪枠から離れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のサッシにおける網戸ロック装置の周辺を拡大して示す横断面図である。
図2】同網戸ロック装置の分解斜視図である。
図3】同網戸ロック装置の斜視図である。
図4】同網戸ロック装置の室内側正面図であって、(a)は網戸をロックしたときの状態、(b)は網戸のロックを解除したときの状態を示す。
図5】本発明のサッシの第1実施形態を示す縦断面図である。
図6】第1実施形態のサッシの横断面図である。
図7】第2実施形態のサッシにおける網戸ロック装置の周辺を拡大して示す横断面図である。
図8】同網戸ロック装置の斜視図である。
図9】本発明のサッシの第2実施形態を示す縦断面図である。
図10】第2実施形態のサッシの横断面図である。
図11】第3実施形態のサッシにおける網戸ロック装置の周辺を拡大して示す横断面図である。
図12】同網戸ロック装置の斜視図である。
図13】本発明のサッシの第3実施形態を示す縦断面図である。
図14】第3実施形態のサッシの横断面図である。
図15】網戸ロック装置の設置状態の他の例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜6は、本発明に係るサッシの第1実施形態(面付け網戸タイプ)を示している。このサッシは、ビル用の引違いサッシであって、図5,6に示すように、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1内に引違い状に開閉自在に納めた外障子9a及び内障子9bと、外障子9aよりも室外側に左右方向に移動自在に納めた網戸2とを備えている。網戸2は、枠1の室外側面と略同面に設けられるいわゆる面付け網戸となっている。
【0011】
枠1は、図5,6に示すように、上枠10と下枠11と左右の竪枠3a,3bとを枠組みして構成してある。枠1の見込み寸法Aは、70mmとなっている。
外障子9aと内障子9bは、上框12と下框13と戸先框14と召合せ框15とを框組みし、その内側にガラス16を納めて構成してある。外障子9aと内障子9bは、図5に示すように、上枠10に設けられたレール17及び案内溝18、下枠11に設けられたレール19a,19bに案内され、上下枠10,11の長手方向に沿って摺動自在となっており、図6に示すように、閉鎖時に外障子9aは室内側から見て左側に、内障子9bは室内側から見て右側に位置し、クレセント(図示省略)により施錠される。戸先框14は、戸先側が開口する溝20を有し、その溝20内に戸当りブロック21が取付けてあり、障子9a,9bを閉鎖すると、戸当りブロック21の傾斜面が竪枠3a,3bの内周側面に突設したフィン22に当接することで、外障子9a,9bの戸先部48が室内側に引き寄せられる。
網戸2は、上框23と下框24と左右の竪框25a,25bを框組みし、その内側に網26を張って構成してある。網戸2は、図5に示すように、上枠10の室外側端部に形成した垂下片27と、下枠11の室外側端部に形成した網戸レール28とに案内され、上下枠10,11の長手方向に沿って摺動可能となっており、内障子9bを開けるときは、室内側から見て右側の竪枠3bに突き当てられ、外障子9aを開けるときは、室内側から見て左側の竪枠3aに突き当てて配置される。網戸2の竪框25a,25bは、戸先側が開口する溝29を有し、網戸2をどちらかの竪枠3a,3bに突き当てるようにして閉じると、竪枠3a,3bの室外側端部に内周側に向けて突設したフィン30が網戸2の戸先部31の溝29内にのみ込まれ、網戸2のばたつきが抑えられる。
【0012】
本サッシは、網戸2が強風等で勝手に動かないようにするため、図1〜4に示すように、室内側から見て左側の竪枠3a及び網戸2の竪框25aとの間に網戸ロック装置32を備えている。網戸ロック装置32は、竪枠3aに取付けられるロック部品4と、網戸2の竪框25aに取付けられる受け部品5とを有している。
ロック部品4は、図2,3に示すように、竪枠3aに固定して取付けられる取付け部33と、取付け部33に保持されて上下方向に摺動可能に設けられる操作部6及び係合部7とを有している。取付け部33は、図1,3に示すように、竪枠3aの室外側端部と外障子9aの戸先部の溝20内に突設したフィン22,30間に、竪枠3aの内周側面に沿って配置され、室外側からのネジ34で竪枠3aに固定してある。
操作部6は、取付け部33に設けた上下方向の長孔35より内周側に突出して設けられ、外障子9aを閉鎖した状態で操作部6は、外障子9aの戸先部48の溝20内にのみ込まれている(図1参照)。操作部6は、外障子9aの戸先部48や戸当りブロック21と干渉しないように、クリアランスを設けてある。外障子9aを少し開け、操作部6に指を掛けて上下に動かすと、操作部6と係合部7が一体となって上下にスライドする。
係合部7は、図1に示すように、竪枠3aの室外側端部のフィン30を回り込むように外周側が開口した溝型に形成され、網戸2を閉じると係合部7は網戸2の戸先部31の溝29内にのみ込まれる。係合部7の室外側の先端部7aは室内側に向けて若干曲げてある。また、係合部7の内周側の2箇所のコーナー部7b,7bは、R状に曲げてある。係合部7には、後述する受け部品5の鉤片36が挿入・係止される孔37が形成してある。また、係合部7の室内側壁7cの上下方向中間部と、操作部6と係合部7との間の繋ぎ部38の上下方向中間部とには、図1,2に示すように、プレス加工により室外側と外周側にそれぞれ部分的に盛り上がった部分39a,39bが設けてあり、この部分39a,39bで竪枠3aと当接するようにしている。これにより上下スライド時の摩擦抵抗が軽減されると共に、竪枠3aと擦れて竪枠3aに傷が付いたとしても、その傷が見えない。
受け部品5は、網戸2の戸先部31の溝29の底面にネジ40で取付けられる板状の取付部41と、下向きに鉤状に曲がった鉤片36とを有している。鉤片36は、図1に示すように、網戸2の戸先部31の溝29内における室内外方向の中央部に配置され、同溝29内にほぼ納まっている。取付部41に設けられるネジ40の挿通孔42は、図2,3に示すように、上下方向の長孔になっており、受け部品5の取付位置を上下に調整できるようにしてある。
【0013】
図3に示すように、操作部6及び係合部7を下位置として網戸2を閉めると、ロック部品4の係合部7が網戸2の戸先部31の溝29内にのみ込まれると同時に、係合部7の孔37に受け部品5の鉤片36が挿入される。このとき、図1に示すように、係合部7が外周側が開口した溝型に形成され、その内周側のコーナー部7b,7bがR状に形成されていることで、コーナー部7bやそれに続く係合部7の室内側壁7c及び室外側壁7dがガイド部8となり、網戸2閉鎖時に網戸2の戸先部31がガイドされるため、網戸2の閉まり不良を解消できると共に、係合部7と受け部品5をスムーズに係合させられる。
そして、図4(a)に示すように、操作部6及び係合部7を上位置にスライドさせると、受け部品5の鉤片36が係合部7の孔37から下に飛び出し、鉤片36が係合部7の孔37から抜けなくなるから、網戸2が強風等で勝手に動かないようにロックされる。
【0014】
以上に述べたように本サッシは、竪枠3aに取付けたロック部品4と網戸2の戸先部31に取付けた受け部品5とを係合させることで、網戸2が強風等により勝手に動くのを防ぐことができ、網戸2の脱落も防ぐことができる。ロック部品4の操作部6を閉鎖した状態の外障子9aの戸先部48にのみ込ませることで、網戸2が面付けタイプであっても竪枠3aにロック部品4を取付けることができ、また、ロック部品4が網戸開き側に強く引っ張られても、ロック部品4が竪枠3aと外障子9aの戸先部48との間に保持されるため(図1参照)、ロック部品4が竪枠3aから離れることを防止できる。
ロック部品4は、取付け部33を竪枠3aに室外側からのネジ34で固定するようにしており、竪枠3aにはネジ34を通す孔を開けるだけで簡単に取付けることができ、既存の竪枠3aにロック部品4を後付けすることも容易である。また受け部品5は、取付部41を網戸2の戸先部31に外周側からのネジ40で固定するようにしており、網戸2の戸先部31にネジ40を通す孔を開けるだけで簡単に取付けることができ、既存の網戸2に受け部品5を後付けすることも容易である。
ロック部品4の係合部7は、網戸2を閉鎖したときに網戸2の戸先部31の溝29にのみ込まれるように設けてあり、網戸2閉鎖時に網戸2の戸先部をガイドするガイド部8を有することで、網戸2の閉まり不良を解消できると共に、係合部7と受け部品5をスムーズに係合させられる。また、ロック部品4の係合部7を、平面視で略円弧状に曲がった形状とし、外周の突起をなくしたので、網戸2がない状態でも出入り時に服等が引っ掛かるのを防止できる。また、受け部品5の鉤片36も網戸2戸先部の溝29内に設けているため、服等が引っ掛かるのを防止できる。
ロック部品4及び受け部品5は、外障子9aの戸先部48と網戸2の戸先部31とでほとんど隠れるため、意匠性が損なわれない。
【0015】
図7〜10は、本発明のサッシの第2実施形態(持ち出し網戸タイプ)を示している。本実施形態のサッシは、図9,10に示すように、外障子9aの戸先框14及び召合せ框15が枠1よりも室外側にはみ出しており、網戸2は枠1の室外側に持ち出したいわゆる持ち出し網戸となっている。枠1は、第1実施形態のものと兼用である。
【0016】
本サッシも、図7,8に示すように、竪枠3aにロック部品4を取付け、網戸2の戸先部31に受け部品5を取付けてあり、ロック部品4と受け部品5とを係合させることで、網戸2が強風等で動かないようにロックできる。
ロック部品4は、取付け部33と操作部6が第1実施形態のものと同様に設けられ、係合部7は竪枠3aの室外側端部のフィン30を回り込むように設けた屈曲部43から室外側にのびる延長部44を介して、竪枠3aから室外側に持ち出して設けてある。係合部7の形状自体は、第1実施形態と同様に、外周に突起のない溝型に形成してある。受け部品5は、第1実施形態と同一のものを用いている。
本実施形態のサッシも第1実施形態と同様に、網戸2が強風等で勝手に動くのを防止できる、網戸2の閉まり不良を解消できる、ロック部品4の係合部7等に服等が引っ掛かるのを防止できる、ロック部品4及び受け部品5の取付けが容易で、既存のサッシに後付け可能である、といった効果を奏する。
【0017】
図11〜14は、本発明のサッシの第3実施形態(持ち出し大網戸タイプ)を示している。本実施形態のサッシは、図13,14に示すように、外障子9a及び内障子9bが複層ガラス45を納めた断熱性の高いものとなっており、外障子9aの戸先框14及び召合せ框15が枠1よりも室外側にはみ出しており、網戸2は枠1の室外側に持ち出したいわゆる持ち出し網戸となっている。網戸2の枠1からの持ち出し寸法Bは、第2実施形態のものより大きくなっている。枠1は、第1・第2実施形態のものと兼用であり、竪枠3a,3bには室外側端部のフィン30に網戸補助材46を取付けてある。
【0018】
本サッシも、図11,12に示すように、竪枠3aにロック部品4を取付け、網戸2の戸先部31に受け部品5を取付けてあり、ロック部品4と受け部品5とを係合させることで、網戸2が強風等で動かないようにロックできる。
ロック部品4は、取付け部33と操作部6が網戸補助材46の内周側に配置され、取付け部33が内周側からのネジ34で網戸補助材46に固定してある。係合部7は、網戸補助材46を回り込むようにして室外側にのびる延長部44を介して、竪枠3aから室外側に持ち出して設けてある。係合部7の形状自体は、第1・第2実施形態と同様に、外周に突起のない溝型に形成してある。受け部品5は、第1・第2実施形態と同一のものを用いている。
本実施形態のサッシも第1・第2実施形態と同様に、網戸2が強風等で勝手に動くのを防止できる、網戸2の閉まり不良を解消できる、ロック部品4の係合部7等に服等が引っ掛かるのを防止できる、ロック部品4及び受け部品5の取付けが容易で、既存のサッシに後付け可能である、といった効果を奏する。
【0019】
以上に述べたように、本発明のサッシは、網戸2が面付けの場合(第1実施形態)、網戸2が持ち出し網戸の場合(第2実施形態)、網戸2をさらに室外側に持ち出して取付ける場合(第3実施形態)の何れにも対応しており、求められるサッシの性能に応じて様々なサッシに柔軟に対応できる。また、何れの場合でもロック部品4と受け部品5の取付けが容易であり、既存のサッシに後付けすることもできる。第1実施形態と第2実施形態でロック部品4の取付け部33を共通化し、第1〜3実施形態で受け部品5を共通化しているので、コストを抑えることができる。
【0020】
図15は、網戸ロック装置32の設置状態の他の例を示している。竪枠3aに取付けられるロック部品4と、網戸2の戸先部31に取付けられる受け部品5は、第1実施形態と同じものである。この例では、外障子9aの戸先部48にタイト材47を設け、タイト材47がロック部品4の操作部6よりも室外側で竪枠3aの内周面に当接している。この構成によれば、ロック部品4の操作部6が雨水等に晒されるのを防止できる。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。ロック部品4と受け部品5は、お互いが係脱自在に設けてあればよく、その具体的な形状は適宜変更することができる。ロック部品4は、ガイド部8を有しないものであってもよい。実施形態のものは、ロック部品4と受け部品5を外障子9aの戸先側にあたる室内側から見て左側の竪枠3a及び竪框25aに設けているが、内障子9bの戸先側にあたる室内側から見て右側の竪枠3b及び竪框25bに設けることもできる。枠1、障子9a,9b及び網戸2の構造は、任意である。本発明のサッシは、障子2枚建てのサッシに限らず、障子3枚建てや4枚建てのサッシに適用することもできる。また、可動障子とFIX障子とを備える片引きサッシ等とすることもできる。
【符号の説明】
【0022】
1 枠
2 網戸
3a,3b 竪枠
4 ロック部品
5 受け部品
6 操作部
7 係合部
8 ガイド部
31 網戸の戸先部
48 障子の戸先部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図13
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図15