(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297445
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20180312BHJP
C08L 33/08 20060101ALI20180312BHJP
C08L 33/10 20060101ALI20180312BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L33/08
C08L33/10
C08K7/14
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-161266(P2014-161266)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-37548(P2016-37548A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】396001175
【氏名又は名称】住化ポリカーボネート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】四之宮 忠司
【審査官】
岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/011804(WO,A1)
【文献】
特開2012−207164(JP,A)
【文献】
特開2014−118414(JP,A)
【文献】
特開2013−159703(JP,A)
【文献】
特開2010−116501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
33/00−33/26
C08K 7/00−7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)と表面硬度向上剤(B)とガラス繊維(C)とからなるポリカーボネート樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、ガラス繊維(C)が3〜20重量部の割合で配合され、表面硬度向上剤(B)が芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であり、前記ポリカーボネート樹脂組成物を設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて射出成形した、150x90x2.0mmの鉛筆硬度評価用試験片を用いて、JISK5600−5−4に従って測定した鉛筆硬度が2H以上であることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂成分が、ポリカーボネート樹脂(A)45〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜55重量%からなることを特徴とする、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面硬度のみならず透明性および剛性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、熱安定性等に優れた熱可塑性樹脂であることから、電気電子部品の筐体や自動車内装材用途に利用されている。
【0003】
ポリカーボネート樹脂は、透明性を有することから電気機器や電子機器の表示部のカバー、自動車や建材に用いる板ガラスの代替品への利用が期待されているが、剛性が不十分であり、また、表面硬度が低いことからポリカーボネート樹脂から得られる成形品は傷つきやすいといった欠点があった。
【0004】
これまで、ポリカーボネート樹脂組成物の剛性を向上させるためにポリカーボネート樹脂にガラス繊維を添加する方法が提案されている。しかし、添加されるガラス繊維材料の屈折率(例:Eガラスの波長589nmにおける屈折率:1.555)とポリカーボネート樹脂の屈折率(1.580〜1.590)とが大幅に異なるため、ポリカーボネート樹脂へガラス繊維を添加すると、両者の屈折率差により組成物の透明性を維持することが難しいという問題があった。
【0005】
このような問題に対しては、ガラス繊維の成分組成を改良することによりガラス繊維の屈折率を向上させポリカーボネート樹脂と同程度の屈折率とし、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂成形品の透明性を維持することが検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1は、特定の無機成分配合により、ガラス繊維の屈折率をポリカーボネート樹脂と同程度の屈折率にしたガラス繊維を配合した透明性を維持したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかしながら、表面硬度を改良する点については何ら記載されていない。
【0007】
また、ポリカーボネート樹脂製成形品の表面の傷付きやすさを改良するために、紫外線硬化型樹脂をポリカーボネート樹脂表面にコーティングする方法が提案されている。しかし、この方法ではポリカーボネート樹脂由来の柔軟性から、ディスプレイ用途などで要求される鉛筆硬度の要求を満たすことができないという問題があった。
【0008】
他方、表面硬度と透明性に優れた成形体を得るために、ポリカーボネート樹脂とアクリル系の表面硬度向上剤との樹脂組成物が提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。しかしながら、これらの文献に記載される樹脂組成物は、表面硬度は高いが色相低下をもたらすという問題があった。
【0009】
【特許文献1】特許第5013798号公報
【特許文献2】特開2009−280713号公報
【特許文献3】特開2010−116501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来備える透明性を維持しつつ、優れた剛性と高い表面硬度と両立できるポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の表面硬度向上剤およびガラス繊維を用いることにより、透明性を維持しつつ、表面硬度のみならず、剛性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、
ポリカーボネート樹脂(A)と表面硬度向上剤(B)とガラス繊維(C)とからなるポリカーボネート樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、ガラス繊維(C)
が3〜20重量部
の割合で配合され、表面硬度向上剤(B)が芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であ
り、ポリカーボネート樹脂組成物を設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて射出成形した、150x90x2.0mmの鉛筆硬度評価用試験片を用いて、JISK5600−5−4に従って測定した鉛筆硬度が2H以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が本来備える優れた透明性を維持しつつ表面硬度のみならず剛性をも飛躍的に向上させたものである。 本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、電気機器や電子機器の表示部のカバー、自動車や建材に用いる板ガラスの代替品への使用が可能であり、製品の軽量化が達成出来る。さらに、ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる製品への重量物の落下や当該製品自体が落下した際に割れが発生するといった不具合の発生も抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0016】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
【0017】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0018】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
【0019】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは14000〜30000、さらに好ましくは16000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0020】
ポリカーボネート樹脂(A)の配合量は、35〜58重量部である。58重量部を越えると表面硬度に劣り、35重量部未満では透明性に劣る事から好ましくない。好ましい配合量は、45〜58重量部、更に好ましくは50〜58重量部である。
【0021】
本発明にて使用される表面硬度向上剤(B)とは、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80重量%およびメチルメタクリレート単位20〜95重量%からなる共重合体であり、かつ当該共重合体の重量平均分子量が5000〜30000であることを特徴とする。尚、本明細書においては(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0022】
芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。
【0023】
表面硬度向上剤(B)中の芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が5重量%以上であれば、透明性が維持され、80重量%以下であれば、ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が高過ぎず、成形体表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しないので好ましい。また、芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が20〜70重量%の範囲であれば、さらに透明性を維持しつつ高い表面硬度を発現することから、更に好ましい。
【0024】
表面硬度向上剤(B)には、必要に応じて芳香族(メタ)アクリレート単位およびメチルメタクリレート単位以外の他の単量体単位を含有させてもよい。他の単量体単位を構成するその他の単量体としては、例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸系ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド系単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等の架橋剤を挙げることができる。これらのうち、好ましくはメタクリレート、アクリレート、シアン化ビニル単量体であり、表面硬度向上剤(B)の熱分解を抑制するという観点からより好ましくはアクリレートである。これらの単量体は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
その他の単量体単位を含有する場合、表面硬度向上剤(B)の構成単量体は、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜79.9重量%、メチルメタクリレート単位20〜94.9重量%およびその他の単量体単位0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0026】
表面硬度向上剤(B)を得るための単量体の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。好ましくは懸濁重合法や塊状重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。また、重合に必要な添加剤等は必要に応じて適宜添加することができ、例えば、重合開始剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤が挙げられる。
【0027】
表面硬度向上剤(B)の重量平均分子量は、5000〜30000である。重量平均分子量が5000〜30000の範囲において、ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が良好であり、表面硬度の向上効果に優れる。尚、好ましくは10000〜25000の範囲である。
【0028】
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定され、その詳細条件は以下のとおりである:
GPCのカラムとして、アジレント・テクノロジー社製PLGEL 5μm MIXED−Cを使用し、移動相としては、THFを用いた。
【0029】
表面硬度向上剤(B)の配合量は、42〜65重量部である。65重量部を越えると透明性に劣り、42重量部未満では表面硬度に劣る事から好ましくない。好ましい配合量は、42〜55重量部、更に好ましくは42〜50重量部である。
【0030】
本発明にて使用されるガラス繊維(C)は通常の熱可塑性樹脂に使用されているガラス繊維であれば、いずれも使用出来る。ガラス繊維に用いられるガラスは無アルカリガラス(Eガラス 波長589nmにおける屈折率:1.555前後)が好ましく、ガラス繊維の直径は13μmが一般的に使用され、更にガラス繊維の数平均繊維長は1〜8mmが好ましい。これらは従来公知の任意の方法に従い製造される。
【0031】
カラス繊維の直径は13μm前後が量産されており、一般的に使用される。
数平均繊維長が1mm以下では機械的強度の改良が十分でなく、8mmを越えるポリカーボネート樹脂を製造する際、ポリカーボネート樹脂中へのガラス繊維の分散性に劣ることからガラス繊維が樹脂から脱落する等して生産性が低下しやすい。ガラス繊維の直径は好ましくは13μmであり、数平均長さは好ましくは2〜6mmである。
【0032】
ガラス繊維(C)はポリカーボネート樹脂との密着性を向上させる目的でアミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤などにより表面処理を行う事が出来る。又、ガラス繊維を取り扱う際、取り扱い性を向上させる目的でウレタンやエポキシ等の集束材などにより集束させることが出来る。
【0033】
ガラス繊維(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)35〜58重量%および表面硬度向上剤(B)42〜65重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、3〜20重量部である。3重量部未満では剛性に劣り、20重量部を越えると透明性に劣ることから好ましくない。好ましい配合量は、5〜15重量部、更に好ましくは5〜10重量部である。
【0034】
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に各種の樹脂、酸化防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料、カーボンブラック、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ゴム、軟化材、展着剤(流動パラフィン、エポキシ化大豆油等)、難燃剤、有機金属塩等の添加剤、滴下防止用ポリテトラフルオロエチレン樹脂等を配合しても良い。
【0035】
各種の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS、AES、AAS、AS、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上で併用してもよい。
【0036】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に使用され、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。とりわけ、下記構造式に示される化合物が好適に用いられる。該酸化防止剤としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製Irganox1076などが挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、実施例中の「部」、「%」は断りのない限り重量基準に基づく。
【0038】
使用した原料の詳細は以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20、粘度平均分子量
19000、以下、「PC」と略記)
表面硬度向上剤(B):
芳香族(メタ)アクリレート単位及びメチルメタクリレート単位の共重合体
(三菱レイヨン株式会社製メタブレンH−880、重量平均分子量10000、
以下「B成分」と略記)
ガラス繊維(C):
Eガラス繊維
(オーウエンスコーニングジャパン社製CS03MA737、繊維径13μm、
繊維長3mm、以下「GF」と略記)
【0039】
(ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの作成)
前述の各種配合成分を表1〜表3に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度250℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0040】
(成形品の透明性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にて透明性評価用試験片(50x90x3、2、1mm(3厚み)の3段プレート)を作成した。得られた試験片を用いてJIS K7361に準じ、試験片厚み2mmの光線透過率を測定し、全光線透過率が80%以上、ヘイズが40%以下を良好とした。
【0041】
(成形品の曲げ弾性率の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm2にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 178に準じ曲げ弾性率(剛性)を測定し、曲げ弾性率が3000MPa以上を良好とした。
【0042】
(鉛筆硬度)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cm
2にて鉛筆硬度評価用試験片(150x90x2.0mm)を作成した。得られた試験片を用いて、JISK5600−5−4に従い鉛筆硬度測定機(東洋精機社製鉛筆引掻塗膜硬さ試験機)にて、試験片表面に擦り傷が観察されない鉛筆硬度を求めた。鉛筆硬度が、H以上を良好とした。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1〜2に示すように、本発明の構成要件を満足するものについては、要求性能を満たしていた。
一方、比較例1〜4に示すように、本発明の構成要件を満足しないものについては、それぞれ次のとおり欠点を有していた。
比較例1は、B成分(表面硬度向上剤)、GFの配合量が規定量よりも少ない場合で、鉛筆硬度、曲げ弾性率が不良となった。
比較例2は、GFの配合量が規定量よりも少ない場合で曲げ弾性率が不良となった。
比較例3は、B成分(表面硬度向上剤)の配合量が規定量より多く、GFが少ない場合で、曲げ弾性率が不良となった。
比較例4は、GFが多い場合で、全光線透過率及びヘイズが不良となった。