特許第6297455号(P6297455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297455
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】積層型熱交換器のパイプ支持構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20180312BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20180312BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F28F9/00 331
   F28F9/26
   F28D9/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-181517(P2014-181517)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-56969(P2016-56969A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】和田 努
(72)【発明者】
【氏名】松坂 周平
(72)【発明者】
【氏名】高木 伴明
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−291866(JP,A)
【文献】 特開2002−228077(JP,A)
【文献】 特開2005−274067(JP,A)
【文献】 米国特許第05680897(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
F28D 9/02
F28F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のプレート(1)(2)が積層されて、各プレート間に第1の流体が流通する第1流路(3)と、第2の流体が流通する第2流路(4)とが交互に形成されてコア(5)を形成し、そのコア(5)の積層方向の端に端板(6)が配置され、その端板(6)の貫通孔(7)に、前記いずれかの流体の出入口パイプ(8)が挿通された積層型熱交換器のパイプ支持構造において、
平坦な座金本体(9)の周縁に一対の脚部(10)が一体に突出された座金(11)を有し、その座金本体(9)の平坦面が、前記貫通孔(7)の孔縁にろう付接続され、
前記出入口パイプ(8)は、少なくともその根元の軸線が垂直部(8a)と水平部(8b) とでL字状に曲折され、そのL字の水平部(8b)の外周が前記一対の脚部(10)の端部に設けられた抱持部(10a)で抱持され、その抱持部(10a)で出入口パイプ(8)と座金(11)とが一体にろう付されたことを特徴とする積層型熱交換器のパイプ支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の積層型熱交換器のパイプ支持構造において、
前記一対の脚部(10)が座金本体(9)から斜めに延在されて、前記出入口パイプ(8)の水平部(8b)の外周を前記抱持部(10a)で被嵌して、出入口パイプ(8)を筋交い状に支持することを特徴とする積層型熱交換器のパイプ支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層型熱交換器のパイプ支持構造において、
前記出入口パイプ(8)の付根に環状の膨出部(14)が形成され、その膨出部(14)が前記座金本体(9)の平面に当接して、それらの間が互いにろう付された積層型熱交換器のパイプ支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の皿状プレートを、定間隔に積層してコアを構成し、そのコアの端部に補強用としてそのパイプに加わる外力を確実に支持することができる積層型熱交換器のパイプ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器のタンクにパイプを接続し、そのパイプとタンクとの間に補強プレートを配置した提案が下記特許文献1に記載されている。
これは、ヘッダ本体の内部空間を軸方向に仕切る仕切板にヘッダ本体の側面から突出する腕部を設け、その腕部の先端に形成した切欠きに接続用パイプを係止するものである。
このパイプの支持構造は、タンクに仕切板を突設したものであるが、それを積層型熱交換器の端板に取付けることも可能である。一例として、図7の如く、端板6に支持板18を突設し、その上端に切欠きを設け、そこにパイプ8の水平部を支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−141887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパイプの支持構造は、別個の支持板と、それを固定するための手段とを必要とし、その加工および組み立てが面倒で且つ、部品点数が多くなる欠点があった。
そこで、本発明は加工の容易な必要最小限の部品で、積層型熱交換器の出入口パイプを強固に支持できるパイプ支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、多数のプレート(1)(2)が積層されて、それら各プレート間に
第1の流体が流通する第1流路(3)と、第2の流体が流通する第2流路(4)とが交互に形成されてコア(5)を形成し、そのコア(5)の積層方向の端に端板(6)が配置され、その端板(6)の貫通孔(7)に、前記いずれかの流体の出入口パイプ(8)が挿通された積層型熱交換器のパイプ支持構造において、
平坦な座金本体(9)の周縁に一対の脚部(10)が一体に突出された座金(11)を有し、その座金本体(9)の平坦面が、前記貫通孔(7)の孔縁にろう付接続され、
前記出入口パイプ(8)は、少なくともその根元の軸線が垂直部(8a)と水平部(8b) とでL字状に曲折され、そのL字の水平部(8b)の外周が前記一対の脚部(10)の端部に設けられた抱持部(10a)で抱持され、その抱持部(10a)で出入口パイプ(8)と座金(11)とが一体にろう付されたことを特徴とする積層型熱交換器のパイプ支持構造である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器のパイプ支持構造において、
前記一対の脚部(10)が座金本体(9)から斜めに延在されて、前記出入口パイプ(8)の水平部(8b)の外周を前記抱持部(10a)で被嵌して、出入口パイプ(8)を筋交い状に支持することを特徴とする積層型熱交換器のパイプ支持構造である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器のパイプ支持構造において、
前記出入口パイプ(8)の付根に環状の膨出部(14)が形成され、その膨出部(14)が前記座金本体(9)の平面に当接して、それらの間が互いにろう付された積層型熱交換器のパイプ支持構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層型熱交換器のパイプ支持構造は、端板6の貫通孔7の孔縁に座金本体9の平坦面がろう付接続され、座金11と一体の一対の脚部10の端部が、出入口パイプ8の水平部8bの外周を抱持して、その抱持部10aで出入口パイプ8と座金11とが一体にろう付されたものである。
従って、出入口パイプ8の水平部8bは、座金11と一体の一対の脚部10により支持され、出入口パイプ8に加わる加重を効果的に支持する。即ち、座金11はその平坦面で端板6にろう付固定され且つ、その一対の脚部10でも出入口パイプ8にろう付されているため、安定して出入口パイプ8を支持できる。
また、脚部10は座金11と一体であるため、組立て易く、部品点数が少なく、量産性に優れている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、一対の脚部10が座金本体9から斜めに延在されて、前記出入口パイプ8の水平部8bの外周を前記抱持部13で被嵌して、出入口パイプ8を筋交い状に支持するものである。
この構造により、より強固に出入口パイプを支持することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、出入口パイプ8の付根に環状の膨出部14が形成され、その膨出部14が前記座金本体9の平面に当接して、それらの間が互いにろう付されたものである。
そのため、出入口パイプ8の付根が座金11に保持された状態で、さらにその脚部10により出入口パイプ8が支持されるため、より強固に出入口パイプを支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の積層型熱交換器のパイプ支持構造の斜視図。
図2】同支持構造の要部斜視図。
図3図2のIII-III矢視断面図。
図4】同支持構造の側面図。
図5】同支持構造の組立て手順の一例を示す説明図。
図6】同支持構造の座金11の展開図。
図7】従来のパイプ支持構造を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき、説明する。
この積層型熱交換器は、図1図3に示す如く、周縁が拡開する多数の皿状のプレート1、プレート2が交互に、その周縁部で積層されてコア5を構成する。そのコア5の内部は、図3に示す如く、各プレートの1枚おきに第1流体が流通する第1流路3と、第2流体が流通する第2流路4とが交互に配置される。
この例では、プレート2に多数のディンプル17が突設され、そのプレート2は平坦に形成されている。第1流路3を形成するプレート2とプレート1の間にはインナーフィン16が配置され、第2流路4にはディンプル17が配置されている。コア5の積層方向の上端には、補強プレート19を介して端板6が配置され、この例では、端板6の貫通孔7と第2流路4の連通孔とが連通する。
【0013】
なお、この例では図3に示すごとく、出入口パイプ8が第2流路4側に連通しているが、それに代えて、出入口パイプ8を第1流路3側に連通させてもよい。
一例として、第1流路3には第1流体として冷却水が、第2流路4には第2流体としてエンジンオイル等が流通され、それら各流体間に熱交換が行われる。
【0014】
出入口パイプ8は、この例では、端板6を貫通する垂直部8aと、それから軸線がL字状に曲折された水平部8bとからなる。
座金11を介し、出入口パイプ8の垂直部8aの挿通部8cが貫通孔7に挿通される。なお、垂直部8aの下端部の外周には膨出部14が膨出されている。
座金11は、図2に示す如く、座金本体9の外周に一対の脚部10が一体的に形成されている。その脚部10が設けられる位置は、出入口パイプ8が挿通される貫通孔7の中心よりも外側の位置である(図2図3図6参照)。それとともに、脚部10は斜め方向に立設されて、出入口パイプ8の水平部8b側に延在され、筋交い状に配置される。
【0015】
図4図5は座金11の一対の脚部10を出入口パイプ8の水平部8bの外周に抱持させる作業工程の一例を示すものである。この例では、座金本体9に図6に示す如く、展開状態で斜めに配置された一対の脚部10を実線の状態から鎖線の状態に折り曲げ、その抱持部10aを出入口パイプ8の水平部8bの外周に抱持させる。その脚部10の抱持部10aは断面円弧状に形成されており、その内面が出入口パイプ8の水平部8bの上部外周の形状に整合して被嵌するように形成されている。
この構造により、出入口パイプ8の膨出部14が座金本体9の上面で固定されるとともに、出入口パイプ8の水平部8bが脚部10の抱持部10aで固定され、図3に示すように、L字状の出入口パイプ8を筋交い状に支持することができる。
【0016】
その組立ては、一例として出入口パイプ8に座金11を取付けた状態で、出入口パイプ8の挿通部8cを端板6の貫通孔7に挿通する。そして、図1図3の如く、組立てられた状態で全体が一体的にろう付固定される。このとき、互いに接続される少なくとも一方側にはろう材が被覆又は塗布され、全体を組み立てた状態で、高温の炉内で各部品間が一体的にろう付固定される。
その結果、出入口パイプ8はその根元部の膨出部14が座金11を介して端板6に固定されるとともに、一対の脚部10を介しその抱持部10aと出入口パイプ8の水平部8bとが一体的にろう付固定され、強固な支持構造を得ることができる。
【0017】
なお、ろう付工程前に、脚部10の抱持部10aを仮固定するため、その抱持部10aを出入口パイプ8の水平部8bに予めカシメ固定してもよい。カシメることにより、抱持部10aが出入口パイプ8の外周により密着して固定されるため、ろう付後はより強固な支持構造となる。
【符号の説明】
【0018】
1 プレート
2 プレート
3 第1流路
4 第2流路
5 コア
6 端板
7 貫通孔
8 出入口パイプ
8a 垂直部
8b 水平部
8c 挿通部
【0019】
9 座金本体
10 脚部
10a 抱持部
11 座金
14 膨出部
15 端板
16 インナーフィン
17 ディンプル
18 支柱板
19 補強プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7