特許第6297464号(P6297464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297464
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】シュラウドの取付構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20180312BHJP
   F28F 21/06 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F28F9/00 C
   F28F21/06
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-208203(P2014-208203)
(22)【出願日】2014年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-80188(P2016-80188A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】谷口 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】信川 英一
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−004731(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第102012202584(DE,A1)
【文献】 米国特許第6100852(US,A)
【文献】 国際公開第2003/069251(WO,A1)
【文献】 特許第4505955(JP,B2)
【文献】 実開平03−114604(JP,U)
【文献】 特開2008−157279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
F28F 21/06
B60K 11/04
F16B 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器のコア(1)に対向して導風用のシュラウド(2)が配置され、
コア(1)の樹脂タンク(13)の外周に樹脂製の係止部材(3)が突設され、シュラウド(2)側に樹脂製の係合部材(4)が突設されたシュラウドの取付構造において、
前記樹脂タンク(13)の係止部材(3)は、その樹脂タンク(13)の外周に互いに対向して配置された一対の脚部(5a)と、その脚部(5a)の先端間に設けた方形の枠部(5)とを有し、
前記枠部(5)は、その先端面に係合部材(4)を挿通する開口部(6)が形成され、その先端面から厚み方向の端に段部(5b)が形成され、その枠部(5)の後端面側は横断面が台形(7)に形成され、
前記シュラウド(2)側の係合部材(4)は、前記枠部(5)の開口部(6)の内周に整合する方形の台部(8) と、その台部(8)上に互いに対向して突設された一対の係合片(9)と、その各係合片(9)の先端部にそれぞれ外側へ向けて突設された係合爪(10)と、を具備し、
前記係合部材(4)の台部(8)が、前記係止部材(3)の枠部(5)内に嵌入したとき、前記一対の係合片(9)の各係合爪(10)が前記枠部(5)の後端面の縁に係止されるように構成されたシュラウドの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシュラウドの取付構造において、
前記係合爪(10)は、その長手方向に平行な横断面が楔状に形成されたシュラウドの取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシュラウドの取付構造において、
前記係合片(9)の対向面側で、その各係合片(9)の長手方向に平行に補強リブ(11)が設けられ、前記補強リブ(11)はその対向面で互いに重ならない位置に配置されたシュラウドの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に対向して配置される導風用のシュラウドに関し、より詳しくは、そのシュラウドの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシュラウドの取付構造は、そのシュラウドに一対のスリットを開口し、コア側にそれに整合する一対の爪部とその両側に一対の突条とを配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4505955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載されたシュラウドの取付構造は、そのコア側の成形が複雑となるとともに、位置決めに用いる一対の突条とシュラウドの係合部との強度が十分でないおそれがある。
そこで、本発明はこれらの問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、熱交換器のコア(1)に対向して導風用のシュラウド(2)が配置され、
コア(1)の樹脂タンク(13)の外周に樹脂製の係止部材(3)が突設され、シュラウド(2)側に樹脂製の係合部材(4)が突設されたシュラウドの取付構造において、
前記樹脂タンク(13)の係止部材(3)は、その樹脂タンク(13)の外周に互いに対向して配置された一対の脚部(5a)と、その脚部(5a)の先端間に設けた方形の枠部(5)とを有し、
前記枠部(5)は、その先端面に係合部材(4)を挿通する開口部(6)が形成され、その先端面から厚み方向の端に段部(5b)が形成され、その枠部(5)の後端面側は横断面が台形(7)に形成され、
前記シュラウド(2)側の係合部材(4)は、前記枠部(5)の開口部(6)の内周に整合する方形の台部(8) と、その台部(8)上に互いに対向して突設された一対の係合片(9)と、その各係合片(9)の先端部にそれぞれ外側へ向けて突設された係合爪(10)と、を具備し、
前記係合部材(4)の台部(8)が、前記係止部材(3)の枠部(5)内に嵌入したとき、前記一対の係合片(9)の各係合爪(10)が前記枠部(5)の後端面の縁に係止されるように構成されたシュラウドの取付構造である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシュラウドの取付構造において、
前記係合爪(10)は、その長手方向に平行な横断面が楔状に形成されたシュラウドの取付構造である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のシュラウドの取付構造において、
前記係合片(9)の対向面側で、その各係合片(9)の長手方向に平行に補強リブ(11)が設けられ、前記補強リブ(11)はその対向面で互いに重ならない位置に配置されたシュラウドの取付構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシュラウドの取付構造は、係止部材3が、一対の脚部5aと、その脚部5aの先端間に設けた方形の枠部5とを有し、
係合部材4が、枠部5の内周に整合する方形の台部8と、その台部8上に互いに対向して突設された一対の係合爪10を有する係合片9と、を具備する。そして、台部8が、係止部材3の枠部5に嵌入したとき、一対の係合片9の各係合爪10が前記枠部5の後端面の縁に係止されるものである。
そのため、台部8が枠部5内に嵌入することより、シュラウドの重量を確実に支持し、一対の係合爪10により、容易にその抜け止めを行うことができる。しかも、シュラウド側の構造が簡単で樹脂成形の金型の製作が容易となり、量産性が高く、安価に提供できる。
また、枠部5の後端面側は横断面が台形7に形成されているため、そこに親指と人指し指を挿入することにより、容易に一対の係合爪10の係合を分離できると共に、シュラウドを容易に外し易い。
【0009】
請求項2に記載の発明は、係合爪10が楔状に形成されているので、その挿脱がさらに容易である。
請求項3に記載の発明は、各係合片9対向面側で、その長手方向に平行に補強リブ11が設けられ、各補強リブ11は互いに重ならない位置に配置されたので、係合片9の剛性が補強されて、その破損を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のシュラウドの取付構造の取付け説明図。
図2】同取付構造の取付状態を示した横断面略図。
図3】同要部断面図。
図4】係合部材4の他の実施例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき、説明する。
本発明のシュラウドの取付構造は、図2に示す如く、シュラウド2の少なくとも上部の幅方向両端部に係合部材4を突設し、その係合部材4の位置に整合するように樹脂タンク13の端部に係止部材3を設ける。
シュラウド2は、その内部に図示しないファンが収納される樹脂製のものであり、樹脂タンク13も同様のものであって、その一端が開口し、その開口部にチューブプレート14を介して、フィンと偏平チューブとからなるコア1のチューブ端が挿通されるものである。
【0012】
樹脂タンク13に突設された係止部材3は、図1に示す如く、互いに対向して配置された一対の脚部5aと、その脚部5aの先端間に橋架された枠部5とを有し、その先端面には、係合部材4が挿通される開口部6が形成されている。また、枠部5内には、その厚み方向の樹脂タンク13側に段部5bが設けられている。
【0013】
次に、シュラウド2に突設される係合部材4は、枠部5の内周に整合する方形の台部8と、その台部8上に互いに対向して突設された一対の係合片9とを有する。その係合片9の先端部には、それぞれ外側に向けて係合爪10が突設されている。その係合爪10は、長手方向に平行な横断面が楔状に形成されている。
【0014】
そして、シュラウド2の係合部材4を樹脂タンク13の係止部材3に嵌着すると、図3に示す如く、その台部8の外周が開口部6の内周に抱持される。そして、一対の係合片9が係止部材3内の段部5bを通過した後、その係合爪10が係止部材3の枠部5の後端面の縁に係止される。即ち、一対の係合片9は、係止部材3の段部5bで一旦、弾性的に縮小し、それを通過した後に拡開して、その係合爪10が係止部材3の枠部5の後端面の縁に係止される。
【0015】
シュラウド2を樹脂タンク13から取外すには、図3の一対の係合片9を実線の状態から鎖線の状態に、親指と人指し指ではさみこみ、その間隔を縮小した状態でシュラウド2を右側に引き抜けばよい。この時、枠部5の後端部は台形7に形成されているため、係合部材4の一対の係合片9を指で縮小することが容易となる。
係止部材3の係止端部から脚部5aと樹脂タンク13の付根部までの間隔は、係合部材4の係合片9の先端から係合爪10の長さよりも僅かに長く形成され(図3参照)ている。
また、係止部材3の台形7の位置では全周が側壁に囲まれているが、台形7から後端の位置では脚部5aを除いた部分が開放されており、そこに指を挿入して係合片9を容易に挿脱できるように形成されている。
【0016】
次に、図4は係合部材4の他の実施例であり、これが図1のそれと異なる点は、各係合片9の対向面に補強リブ11が配置された点のみである。即ち、一方の係合片9に上下一対の補強リブ11が配置され、その一対の補強リブ11の高さ方向の中間位置で、他方の係合片9に一本の補強リブ11が配置されている。
【0017】
このように、各補強リブ11の対向する高さ位置を変えることにより、一対の係合片9間を縮小したとき、互いに干渉することなく弾性変形することができる。それとともに、各係合片9の剛性を補強リブ11により高めることができる。
この例では、左側の係合片9には一本の補強リブ11を設けたが、それに替えて、複数本それを設け、且つその位置が対向する係合片9の補強リブ11と重ならない位置に設けることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 コア
2 シュラウド
3 係止部材
4 係合部材
5 枠部
5a 脚部
5b 段部
【0019】
6 開口部
7 台形
8 台部
9 係合片
10 係合爪
11 補強リブ
12 パッキン
13 樹脂タンク
14 チューブプレート
図1
図2
図3
図4