特許第6297473号(P6297473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297473
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/10 20060101AFI20180312BHJP
   F24F 13/065 20060101ALI20180312BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20180312BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F04D25/10 301E
   F24F13/065
   F04D25/08 302E
   F24F13/15 D
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-231917(P2014-231917)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-94905(P2016-94905A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雅一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 光美
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−033535(JP,U)
【文献】 特開昭58−088496(JP,A)
【文献】 実開昭50−152958(JP,U)
【文献】 特開2013−113200(JP,A)
【文献】 特開2008−255920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/10
F04D 25/08
F24F 13/065
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口及び送風手段を有する本体部と、
第1駆動手段により軸線の周りに前記本体部に対して回転可能に配置された回転部と
を備え、
前記回転部の側部には、前記送風手段により前記吸込口から吸引された空気を前記軸線と交差する方向に吹き出す吹出口が設けられており、
記吹出口から射出される前記空気の射出範囲が、前記軸線が延びる方向から見て基準位置から±180°の範囲を含み、
記回転部は、前記本体部に固定された固定部に対し、前記軸線周りに回転可能に配置され、
前記固定部は、少なくとも1つの当接受部を有し、
前記回転部は、前記当接受部に対応する少なくとも1つの当接部を有し、
前記回転部が旋回限度まで回転した際、前記当接受部と前記当接部が当接して前記回転部の回転を規制し、
記当接受部は、高さの異なる位置に第1当接受部と第2当接受部が設けられており、
前記当接部は、前記第1当接受部と同じ高さに配置された第1当接部と、前記第2当接受部と同じ高さに配置された第2当接部が設けられており、
前記回転部が旋回限度まで回転した際、前記第1当接受部と前記第1当接部が当接し、前記第2当接受部と前記第2当接部が当接して前記回転部の回転を規制し、
前記軸線が延びる方向から見て、前記第1当接受部と前記第2当接受部は所定間隔を
あけて設けられ、前記回転部が回転しても前記第1当接受部と前記第2当接部及び前記第2当接受部と前記第1当接部はそれぞれ接触しない、送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。送風装置とは、吸込口から空気を吸引し、何らかの処理
を加え又は加圧以外の処理を加えることなく、吹出口から空気を吹き出す装置をいう。例えば、送風装置には、除湿機、加湿器、空気調和機、サーキュレータ、冷風機、温風機、
及び扇風機等が該当する。
【背景技術】
【0002】
吹出口から風(空気)が吹き出す方向を変化させることができる除湿機や加湿器が従来から提案されている。例えば、この種の除湿機が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の除湿機は、本体の上中央部に位置する蓋体が本体に対してモータにより回転可能に配置されている。蓋体は上方に開口する開口部を有し、この開口部には吹出ノズルが設けられている。吹出ノズルは上下動可能な機構を有している。蓋体と吹出ノズルの可動により、この除湿機は、広範囲に除湿した風を供給できる。
【0004】
しかし、特許文献1の除湿機では、吹出ノズルよりも下方又は水平方向に風を直接供給できない。この除湿機は、回転する蓋体が中央に配置されており、その蓋体に吹出ノズルが設けられている。そのため、吹出ノズルは蓋体から上方へ向けて配置されており、下方又は水平方向へ吹出ノズルを可動させることができない。
【0005】
また、風が吹き出す方向を変化させることができる加湿器が、特許文献2に開示されている。
【0006】
特許文献2の加湿器は、本体ケース及び本体ケースの上部に配置された風向き変更部を有する。風向き変更部は、最外周部を構成しており、本体ケースに対して手動により回転可能である。また、風向き変更部は、その側面に加湿した空気を吹き出すためのスポット用吹出口を有する。
【0007】
しかし、特許文献2の加湿器は、風向変更部の回転が手動によるため、ユーザが風向を変更しない場合、狭い範囲で一定の風向きの風を供給する。従って、効率的に部屋全体を隅々まで加湿できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−188830号公報
【特許文献2】特開2014−20707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、周方向(軸線を中心とする回転方向)に広範囲に様々に風向きを変えて風を供給できるのに加え、下方又は水平に方向に対しても、風を供給することを可能とする送風装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、吸込口及び送風手段を有する本体部と、前記本体部の上方には、第1駆動手段により軸線の周りに前記本体部に対して回転可能に配置された回転部とを備え、前記回転部の側部には、前記送風手段により前記吸込口から吸引された空気を前記軸線と交差する方向に吹き出す吹出口が設けられている、送風装置を提供する。
【0011】
この送風装置によれば、第1駆動手段により回転する回転部の側部に吹出口を配置したことにより、周方向(軸線を中心とする回転方向)に広範囲に様々に風向きを変えて風を供給できるのに加え、下方又は水平方向に対しても、風を供給することが可能となる。従って、室内の隅々まで風を供給でき、さらに特定の位置への風の供給も可能である。
【0012】
前記送風装置は、前記吹出口から射出される前記空気の射出範囲が、前記軸線が延びる方向から見て基準位置から±180°の範囲を含むことが好ましい。
【0013】
この送風装置によれば、吹出口からの空気(風)の射出範囲が±180°の範囲を含むことで、周方向の全範囲に風を供給でき、室内の隅々まで風を供給できる。
【0014】
前記回転部は、前記本体部に固定された固定部に対し、前記軸線周りに回転可能に配置され、前記固定部は、少なくとも1つの当接受部を有し、前記回転部は、前記当接受部に対応する少なくとも1つの当接部を有し、前記回転部が旋回限度まで回転した際、前記当接受部と前記当接部が当接して前記回転部の回転を規制することが好ましい。
【0015】
この送風装置によれば、新たに部品を追加することなく簡易な構成で風の射出範囲が基準位置から±180°(又は旋回限度まで)の範囲を含むような回転部の回転機構を実現でき、確実に回転部の回転を実質的に±180°(又は旋回限度)の範囲内に規制できる。ここで、実質的に±180°の範囲とは、当接受部と当接部の厚み分の誤差を考慮した範囲を示す。即ち、実際の回転角度範囲は、当接受部と当接部の厚み分、±180度の範囲よりも小さな範囲である。この場合でも、風の射出範囲は拡散して射出可能であることから実際の回転角度に比べて大きくなるため、±180度を含むことができる。
【0016】
前記当接受部は、高さの異なる位置に第1当接受部と第2当接受部が設けられており、前記当接部は、前記第1当接受部と同じ高さに配置された第1当接部と、前記第2当接受部と同じ高さに配置された第2当接部が設けられており、前記回転部が旋回限度まで回転した際、前記第1当接受部と前記第1当接部が当接し、前記第2当接受部と前記第2当接部が当接して前記回転部の回転を規制することが好ましい。
【0017】
この送風装置によれば、当接受部と当接部をそれぞれ2つずつ設けることで、それぞれが1つずつの場合と比べて、回転部が回転した際に当接部が当接受部を乗り越えてしまうことをより確実に防止できる。
【0018】
前記吹出口には、第2駆動手段により駆動されるルーバーが配置されていることが好ましい。
【0019】
この送風装置によれば、吹出口が第2駆動手段により可動するルーバーを有することで、吹出口から風を様々な向きに供給できる。特に、吹出口が回転部と共に回転することで広範囲に様々な風向きの風を供給できる。
【0020】
前記吹出口内の両側には、空気処理部材が配置されていることが好ましい。
【0021】
この送風装置によれば、空気の送風だけでなく吹き出す空気の処理も同時に可能である。空気の処理とは、除菌、消臭、及び芳香等を示す。また、吹出口内の両側に配置することで、吹出口の中央側から吹き出される流速の速い空気は、流速に影響を受けることなく吹出口を通過できる。従って、中央に空気処理部材を配置した場合と比べて空気の吹き出し量の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1駆動手段により回転する回転部の側部に吹出口を配置したことにより、周方向(軸線を中心とする回転方向)に広範囲に様々に風向きを変えて風を供給できるのに加え、下方又は水平方向に対しても、風を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る除湿機の斜視図。
図2図1の除湿機の分解斜視図。
図3A図2の本体を正面側から見た斜視図。
図3B図2の本体を背面側から見た斜視図。
図4】除湿機の概念的な断面図。
図5】除湿機のシステム図。
図6図2のヘッド部の分解斜視図。
図7図6のヘッド部の一部を下側から見た斜視図。
図8A】基準位置から−180°の風の射出範囲を示すヘッド部の概念図。
図8B】基準位置の風の射出範囲を示すヘッド部の概念図。
図8C】基準位置から+180°の風の射出範囲を示すヘッド部の概念図。
図9A】第1当接受部を示す収容ケース本体の斜視図。
図9B】第2当接受部を示す収容ケース本体の斜視図。
図10A】第1当接部を示すヘッド本体の斜視図。
図10B】第2当接部を示すヘッド本体の斜視図。
図11A】送風部が実質的に−180°回転したときの回転本体部と収容ケース本体の吹出口から見た正面図。
図11B】送風部が基準位置にあるときの回転本体部と収容ケース本体の吹出口から見た正面図。
図11C】送風部が実質的に+180°回転したときの回転本体部と収容ケース本体の吹出口から見た正面図。
図12A】回転本体部に空気処理部材を配置した斜視図。
図12B】回転本体部に空気処理部材を配置した正面図。
図13】第2実施形態に係る除湿機の概念的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
(第1実施形態)
図1から図3Bは本発明の第1実施形態に係る除湿機1を示す。図4は除湿機1の概念的な断面図である。図5は除湿機1のシステム図である。
【0026】
(全体構成)
図1及び図2を参照すると、除湿機1は、円柱形状の外観を有し、本体(本体部)100と、本体100の上部に配置されたヘッド部600と、本体100の下部に配置された貯水部700とを備える。除湿機1は、本体100の吸込口112から吸引した外部(例えば除湿対象の室内)の空気(処理空気)を、本体100内で除湿ロータ200による水分吸着により除湿する。除湿された処理空気は、ヘッド部600の吹出口642から外部へ吐出される。除湿ロータ200に吸着された水分は、本体100内の閉経路を循環する空気(再生空気)により回収され、貯水部700の貯水タンク720内に貯留される。
【0027】
ヘッド部600は、本体100の軸線Lを中心として回転可能な送風部640を備える。送風部640は、図1に示す位置を基準(基準位置)として、収容ケース680回りを略±180度の範囲で周方向Aに往復(首振り)回転できる。送風部640の吹出口642には可動式のルーバー660が配置されている。ルーバー660は、上下方向Bの設定範囲で揺動可能である。本実施形態では、ルーバー660を吹出口642に配置しているが、ルーバー660は必ずしも配置されていなくてもよい。
【0028】
図4及び図5に示すように、除湿機1は、破線で示す処理空気が流れる経路(処理空気経路)2と、実線で示す再生空気が流れる経路(再生空気経路)3とを備える。除湿ロータ200は、処理空気経路2及び再生空気経路3に跨がって配置されている。除湿機1は、除湿ロータ200の一面側(吸込口112側)に、再生空気及び除湿ロータ200を加熱するヒータ(加熱手段)250を備える。また、除湿機1は、除湿ロータ200の一面側に配置された主熱交換器(第1熱交換器)300と、除湿ロータ200の他面側に配置された副熱交換器(第2熱交換器)350とを備える。さらに、除湿機1は、処理空気を吸引及び吐出するための処理空気ファン(送風手段)400と、再生空気を循環させるための再生空気ファン450とを備える。
【0029】
図1から図3Bに示すように、本体100は、除湿ロータ200、ヒータ250、主熱交換器300、副熱交換器350、処理空気ファン400、及び再生空気ファン450を含む部品を配置するベース101を備える。ベース101は、下端に位置する平面視円形状の基部102と、基部102から矩形状をなすように立設した立壁部103とを備える。ベース101の外周部は、半円筒状である樹脂製の外装パネル110A,110Bにより覆われている。外装パネル110A,110Bは、内面側に金属製の補強パネル111A,111Bを備える。一方の外装パネル110Aには、室内の空気を取り入れるための吸込口112が設けられている。吸込口112は、上下方向に延びる多数条のスリットからなる。なお、吸込口112の内面側には、図示しないフィルタが外装パネル110Aに沿って着脱可能に配置されている。
【0030】
(処理空気経路)
図4及び図5に示すように、処理空気経路2は、吸込口112から吹出口642までを接続している。処理空気経路2には、吸込口112から吹出口642に向けて処理空気が流れる方向に沿って順に、主熱交換器300、除湿ロータ200、副熱交換器350、及び処理空気ファン400が配置されている。
【0031】
図5に最も明瞭に示すように、処理空気経路2は、第1から第5の部分2a〜2eを備える。第1部分2aは、吸込口112から主熱交換器300までを接続している。図4に示すように、第1部分2aは、吸込口112と主熱交換器300との間に形成された空間からなる。第2部分2bは、主熱交換器300から除湿ロータ200までを接続している。図4に示すように、第2部分2bは、主熱交換器300と除湿ロータ200との間に形成された空間からなる。第3部分2cは、除湿ロータ200から副熱交換器350までを接続している。図4に示すように、第3部分2cは、除湿ロータ200と副熱交換器350との間に形成された空間からなる。第4部分2dは、副熱交換器350から処理空気ファン400までを接続している。図4に示すように、第4部分2dは、副熱交換器350と処理空気ファン400の吸込口との間に形成された空間からなる。第5部分2eは、処理空気ファン400の吐出口から吹出口642までを接続している。図4に示すように、第5部分2eは、処理空気ファン400のファンケース410の送出部411、及びヘッド部600の送風案内部641を備える。
【0032】
処理空気ファン400が駆動されると、吸込口112から処理空気が吸い込まれる。処理空気は、主熱交換器300で昇温された後、除湿ロータ200を通過する際に除湿される。ついで、副熱交換器350で更に昇温された後、処理空気ファン400のファンケース410内に流入する。その後、ファンケース410の送出部411から上向きに送出され、ヘッド部600の吹出口642から室内へ排出される。
【0033】
(再生空気経路)
図4及び図5に示すように、再生空気経路3には、ヒータ250を起点として再生空気が流れる方向に従って順に、除湿ロータ200、副熱交換器350、主熱交換器300、及び再生空気ファン450が配置されている。
【0034】
図5に最も明瞭に示すように、再生空気経路3は、第1から第5の部分3a〜3eを備える。第1部分3aは、再生空気ファン450の吐出口からヒータ250までを接続している。図3A,B及び図4に示すように、第1部分3aは、再生空気ファン450のファンケース460とヒータ250のヒータケース260の間のダクト部462を備える。第2部分3bは、ヒータ250から除湿ロータ200までを接続している。図4に示すように、第2部分3bは、ヒータケース260中のヒータ250と除湿ロータ200との間に形成された空間(隙間)からなる。第3部分3cは、除湿ロータ200から副熱交換器350までを接続している。図4に示すように、第3部分3cは、副熱交換器350の上部ヘッダ370の内部空間からなる。第4部分3dは、副熱交換器350から主熱交換器300までを接続している。図3A,B及び図4に示すように、第4部分3dは、副熱交換器350の下部ヘッダ380、ダクト部材500、及び主熱交換器300の上部ヘッダ320を備える。第5部分3eは、主熱交換器300から再生空気ファン450までを接続している。図3B及び図4に示すように、第5部分3eは、主熱交換器300の下部ヘッダ330と再生空気ファン450のファンケース460の間のダクト部461を備える。
【0035】
再生空気ファン450が駆動されると、再生空気ファン450から送出された再生空気は、ヒータ250で加熱される。ついで、再生空気は、除湿ロータ200を通過する際に、除湿ロータ200が吸着した水分を回収(吸着)した後、副熱交換器350で冷却される。ついで、ダクト部材500を通って主熱交換器300に流入し、再び冷却される。その後、再生空気は、再生空気ファン450に戻り、再びヒータ250へ送出される。
【0036】
(ヘッド部の詳細)
図6はヘッド部600の分解斜視図である。図4及び図6に示すように、ヘッド部600は、本体100の上端に固定されたヘッドベース610と、ヘッドベース610に回転可能に配置された送風部(回転部)640と、送風部640をヘッドベース610との間に挟み込む収容ケース(固定部)680とを備える。
【0037】
図6に示すように、ヘッドベース610は、いずれも平面視で概ね円環状の金属製のベース本体620と、樹脂製のベースカバー630とを備え、これらがネジ止めにより固定されている。ベース本体620は、実質的な中央に本体100の送出部411に連通する連通口621を備える。ベースカバー630は、連通口621に連通する連通口631を備える。ベースカバー630には、連通口631の内周部から上向きに突出するボス632が設けられている。
【0038】
図6に示すように、送風部640は、ヘッドベース610に載置された回転本体部650と、回転本体部650を覆う外装カバー670とを備え、これらがネジ止めにより固定されている。回転本体部650は、平面視円環状であり、ヘッドベース610に対して回転する駆動機構を備える。この駆動機構については後に詳細に説明する。
【0039】
図6に示すように、回転本体部650は、連通口621,631に連通する平面視円形状の流入部651と、流入部651から径方向外向きに延びる吹出部652とを備える。これら流入部651及び吹出部652により、平面視U字形状の送風案内部641が形成されている。また、吹出部652の外側端の吹出口642に、可動式のルーバー660が配置されている。ルーバー660は、回転本体部650上に配置したステッピングモータ(第2駆動手段)661により上下方向に揺動される。本実施形態では、ルーバー660は、ステッピングモータ(第2駆動手段)661により可動するが、駆動手段により駆動しないルーバー660であってもよい。外装カバー670は、連通口631の上部に位置する円形状の第1開口部671と、ルーバー660を含む吹出口642を露出させる第2開口部672とを備える。第2開口部672は、外装カバー670の側部に設けられており、吹出口642から側方へ除湿した空気を吹き出すことができる。
【0040】
収容ケース680は、ヘッドベース610に送風部640を配置し、送風部640の第1開口部671内に位置するボス632にネジ止めすることにより固定されている。収容ケース680は、送風部640のヘッドベース610に対する後述の軸線L周りの回転は許容するが送風部640の軸線L方向(図において上方)のヘッドベース610に対する変位を規制する。収容ケース680は、上端開口の収容ケース本体681と、収容ケース本体681を閉塞するカバーパネル682とを備える。収容ケース本体681の内部には、図示しない操作基板が配置されている。カバーパネル682には、操作基板のスイッチに対応する入力部が形成されている。
【0041】
図7は、回転本体部650とヘッドベース610を下側から見た斜視図である。図7に示すように、回転本体部650は、底面側の全周にわたってギア部653を備える。ギア部653には、ギア624が噛合されている。ギア624は、ギア625,626を介してヘッドベース610の下部に配置した電動モータ(第1駆動手段)623により駆動される。電動モータ623の回転出力がギア626,625,624を介して653に伝達され、それによって図1に示す本体100の軸線Lを中心として回転本体部650が回転される。
【0042】
図7に示すように、回転本体部650の下側には複数の第1のコロ691が配置されている。第1のコロ691は、軸線Lから径方向に等しい距離に等間隔で3個配置されている。本実施形態では3個の第1のコロ691を採用したが、4個以上であってもよい。第1のコロ691は、回転本体部650のコロ取付部654から部分的に下方へ突出して取り付けられている。従って、回転本体部650が回転されると、第1のコロ691は回転本体部650の下方に配置されたベースカバー630の上面633(図6参照)上を回転し、回転本体部650とベースカバー630との間の摩擦抵抗を低減する。
【0043】
また、図6に示すように、回転本体部650には、流入部651の上部に複数の第2のコロ692が配置されている。第2のコロ692は、軸線Lから等距離に流入部651の周囲に等間隔で6個配置されている。第2のコロ692は、その軸を軸線Lと同方向に配置されており、カバーパネル682の側面688に当接する。従って、回転本体部650が回転されると、第2のコロ692は、カバーパネル682の側面688上を回転し、回転本体部650とカバーパネル682との間の摩擦抵抗を低減する。また、送風部640の水平方向(軸線Lと交差する方向)の可動範囲を第2のコロ692とカバーパネル682の側面688とが当接することにより規制している。
【0044】
図8A〜Cは、風の射出範囲を示すヘッド部600の概念図である。図8A〜Cに示すように、送風部640は、周方向Aにおいて風を吹き出す範囲を基準位置Pから±180度を含むように回転できる。風を吹き出す範囲は、基準位置Pから±180度の範囲内で調整可能であり、例えば基準位置Pから±45°の範囲にのみ風を吹き出すこともできる。このように狭い範囲で風を射出することで、効率的に特定範囲に風を供給できる。
【0045】
送風部640は、基準位置Pから周方向Aに実質的に±180°を越えて回転しないように収容ケース680の収容ケース本体681に設けられた規制機構によって規制されている。以下、この規制機構について説明する。
【0046】
図9A,Bは、収容ケース本体681の斜視図である。図6及び図9A,Bに示すように、収容ケース本体681は平面視円形状であり、基準位置Pにあるときの吹出口642に対向する側に下方向に延びる平面視半円状の側壁683を有する。側壁683の外面には、軸線Lの径方向外側へ突出した第1当接受部684(図9A参照)及び第2当接受部685(図9B参照)が設けられている。2つの当接受部684,685は、上下方向の異なる位置に配置されている。また、2つの当接受部684,685は、収容ケース本体681に対して軸線L周りに基準位置Pから実質的に±90°の位置にそれぞれ配置されている。
【0047】
図10A,Bは、回転本体部650の斜視図である。図10A,Bに示すように、送風部640の回転本体部650では、流入部651の内面に軸線Lの径方向内側へ突出した第1当接部686(図10A参照)及び第2当接部687(図10B参照)が設けられている。2つの当接部686,687は上下方向の異なる位置に配置されている。
【0048】
図11A〜Cは、回転本体部650と収容ケース本体681の吹出口から見た正面図である。図11Bは、送風部640が図8Bに示す基準位置にあるときの吹出口から見た正面図である。図11Bに示すように、第1当接受部684と第1当接部686は上下方向に同じ位置に配置されている。同様に、第2当接受部685と第2当接部687も上下方向に同じ位置に配置されている。基準位置においては、第1当接部686は、第2当接受部685の上方に配置され、第2当接部687は第1当接受部684の下方に配置されており、それぞれ接触していない。
【0049】
図11Aは、送風部640が図8Aに示す位置にあるときの吹出口から見た正面図である。図11Aに示すように、送風部640が基準位置から周方向Aに実質的に+180°回転されると第1当接受部684と第1当接部686が当接し、第2当接受部685と第2当接部687が当接する。これにより、送風部640の回転は実質的に+180°を越えないように規制されている。
【0050】
図11Cは、送風部640が図8Cに示す位置にあるときの吹出口から見た正面図である。図11Cに示すように、送風部640が基準位置から周方向Aに実質的に−180°回転されると第1当接受部684と第1当接部686が当接し、第2当接受部685と第2当接部687が当接する(図11C参照)。これにより、送風部640の回転は実質的に−180°を越えないように規制されている。
【0051】
当接受部684,685と当接部686,687がそれぞれ2つずつ設けられているのは、それぞれが1つの場合に比べて、当接部686,687が当接受部684,685を乗り越えることをより確実に防止できるためである。従って、当接受部684,685及び当接部686,687は、それぞれ1つずつ(第1当接受部684及び第1当接部686、又は、第2当接受部685及び第2当接部687)であってもよい。また本実施形態では、当接受部684,685と当接部686,687は、それぞれ突出形状で形成されているが、対応する形状であればこれに限定されない。例えば、当接部686,687が突出形状で、当接受部684,685がこれに対応する溝形状であってもよいし、当接受部684,685が突出形状で当接部686,687がこれに対応する溝形状であってもよい。
【0052】
送風部640が基準位置Pから周方向Aに実質的に±180度回転し、送風部640の側部に上下方向Bに揺動可能なルーバー660が配置された吹出口642が設けられていることで、周方向A及び上下方向Bに様々に風を吹き出すことができる。従って、広範囲に様々に風向きを変えて風を供給でき、室内の隅々まで風を供給可能であるとともに、特定の位置への風の供給も可能である。
【0053】
図12A,Bは回転本体部650の斜視図及び正面図である。図12A,Bに示すように、吹出口642付近には空気処理部材690を配置してもよい。これにより処理空気の除湿だけでなく吹き出す空気の処理も同時に可能となる。空気の処理とは、除菌、消臭、及び芳香等を示す。空気処理部材690は、セラミック材を含有する多孔質状であり、空気の流れを完全に遮断するわけではないが、空気の流路上に存在する場合に流れの抵抗となる。空気処理部材690は、吹出口642の中央部を開口させるように両側に2つ配置されている。このように配置することで、吹出口642の中央側から吹き出される流速の速い処理空気は流速に影響を受けることなく吹出口642を通過できる。従って、中央に空気処理部材690を配置した場合と比べて処理空気の吹き出し量の低下を防止できる。
【0054】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る除湿機1の概念的な断面図を示している。本実施形態の除湿機1は、ヘッド部600の一部分以外の構成は図4の第1実施形態と同様である。従って、図4に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図13に示すように、本実施形態の除湿機1は、第1実施形態と異なり、ヘッドベース610及び収容ケース680を備えていない。このため、本発明の回転部を構成する送風部640は、本実施形態では本体100の上に配置され、本体100に対して回転可能である。また、ヘッドベース610は、例えば本体100の上面に一体に成形されていてもよい。
【0056】
このようにすることで、本実施形態では第1実施形態と比べ、部品数を減らし簡易な構成を実現できる。
【0057】
なお、除湿機1は、例えば室内を乾燥させることを目的とした室内空気を除湿対象とする他、衣類の乾燥を目的とした衣類の水分を除湿対象とするものや、これらの両方の目的を達成するものが含まれる。
【0058】
また、除湿機を例に本発明を説明したが、本発明は、加湿器、空気調和機、サーキュレータ、冷風機、温風機、及び扇風機のような除湿機以外の送風装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1…除湿機(送風装置)
2…処理空気経路
2a〜2e…処理空気経路の部分
3…再生空気経路
3a〜3e…再生空気経路の部分
100…本体(本体部)
101…ベース
102…基部
103…立壁部
110A,110B…外装パネル
111A,111B…補強パネル
112…吸込口
200…除湿ロータ
250…ヒータ
260…ヒータケース
300…主熱交換器
320…上部ヘッダ
330…下部ヘッダ
350…副熱交換器
370…上部ヘッダ
380…下部ヘッダ
400…処理空気ファン(送風手段)
410…ファンケース
411…送出部
450…再生空気ファン
460…ファンケース
461…第1ダクト部
462…第2ダクト部
500…ダクト部材
600…ヘッド部
610…ヘッドベース
620…ベース本体
621,631…連通口
623…モータ(第1駆動手段)
624,625,626…ギア
630…ベースカバー
632…ボス
633…ベースカバー上面
640…送風部(回転部)
641…送風案内部
642…吹出口
650…回転本体部
651…流入部
652…吹出部
653…ギア部
654…コロ取付部
660…ルーバー
661…モータ(第2駆動手段)
670…外装カバー
671…第1開口部
672…第2開口部
680…収容ケース(固定部)
681…収容ケース本体
682…カバーパネル
683…側壁
684…第1当接受部
685…第2当接受部
686…第1当接部
687…第2当接部
688…カバーパネル側面
690…空気処理部材
691…第1のコロ
692…第2のコロ
700…貯水部
720…貯水タンク
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13