特許第6297486号(P6297486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297486薬物送達デバイス用の駆動アセンブリ及び対応する薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297486
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用の駆動アセンブリ及び対応する薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20180312BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   A61M5/315 550E
   A61M5/315 500
   A61M5/24 500
【請求項の数】11
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-508810(P2014-508810)
(86)(22)【出願日】2012年5月4日
(65)【公表番号】特表2014-518698(P2014-518698A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2012058181
(87)【国際公開番号】WO2012152667
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】11165045.3
(32)【優先日】2011年5月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・スティーバー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】ウルリーク・ヤコビ
(72)【発明者】
【氏名】ヌゴック−ヤーネ・ラム
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・クラフト
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0275914(US,A1)
【文献】 特表2011−511659(JP,A)
【文献】 特表2008−526455(JP,A)
【文献】 特表2008−521494(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0050609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)用の駆動アセンブリであって、駆動アセンブリはカートリッジホルダ(2)と連結可能であり、そして:
−ハウジング(3);
−薬物送達のために遠位方向に可動であるピストンロッド(17);
−アセンブリの軸の周りでハウジング(3)に対して回転可能であり、ピストンロッド(17)を案内するように設けられたガイドナット(4)であって、ピストンロッド(17)とカップリングし、そしてガイドナット(4)に対するピストンロッド(17)のらせん運動を可能とするためのねじ山(8)を含む、ガイドナット(4);
−ガイドナット(4)の回転を阻止するためには、ガイドナット(4)と係合する係合状態を取り、ガイドナット(4)の回転を可能とするためには、ガイドナット(4)との係合を解除する係合解除状態を取ることを可能とされる、ロッキング手段(9);及び
−ロッキング手段(9)の係合状態と係合解除状態の間を変化させるため、ロッキング手段(9)との相互作用のためにアセンブリの軸の周りでハウジング(3)に対して回転可能であるカップリング手段(14);
を含んでなり、
ここで、ガイドナット(4)は、少なくとも部分的に、カップリング手段(14)及びロッキング手段(9)で取り囲まれ、ここで、ロッキング手段(9)は、ロッキング手段(9)がアセンブリの軸に向かって半径方向に動いたとき、ガイドナット(4)と相互作用し、
さらに、カップリング手段(14)は、一つ又はそれ以上の半径方向凹部(53)を提供するリング形状部材として設計され、ロッキング部材(9)は、カップリング手段(14)の外部の少なくとも一部上に、円周状に配置され、そしてガイドナット(4)を係合するために、カップリング手段(14)の凹部(53)を通過するように設けられる、
ことを特徴とする上記駆動アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動アセンブリであって、ここで、 カップリング手段(14)は、
第一の位置と第二の位置の間で回転可能であり、ここで、第一の位置において、カップリング手段(14)は、ロッキング手段(9)のガイドナット(4)との係合を阻止し、第
二の位置において、カップリング手段(14)は、ロッキング手段(9)のガイドナット(4)との係合を可能とする、上記駆動アセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動アセンブリであって、ここで、ロッキング手段(9)は、薬物送達中、ピストンロッド(17)を遠位方向に動かすためにガイドナット(4)と係合し、ロッキング手段(9)は、リセット動作を可能にし、それにより、ピストンロッド(17)を遠位方向とは反対の近位方向に動かすようにガイドナット(4)から係合解除され、ガイドナット(4)は、ハウジング(3)に対して回転が可能とされる、上記駆動アセンブリ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動アセンブリであって、ここで、カップリング手段(14)は、カートリッジホルダ(2)の一つ又はそれ以上の対応する第二の締め付け部材(63)との係合のための、一つ又はそれ以上の第一の締め付け部材(52)を提供し、カップリング手段(14)は、第一の締め付け部材(52)の作動により回転可能である、上記駆動アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の駆動アセンブリであって、ここで、一つ又はそれ以上の半径方向凹部(53)の近辺でカップリング手段(14)の内部の一部は、一つ又はそれ以上の半径方向凹部(53)に向かってカップリング手段(14)の内部の狭い直径から広い直径への移行を提供するランプ(55、64)として設計される、上記駆動アセンブリ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の駆動アセンブリであって、ここで、カップリング手段(14)は、ハウジング(3)に対するカップリング手段(14)の軸方向運動を阻止するための一つ又はそれ以上の保持手段(54)を含む、上記駆動アセンブリ。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の駆動アセンブリであって、ここで、ロッキング手段(9)は、キャリア(11)の両側に配置された二つの部材を含み、ここで、キャリア(11)は、ハウジング(3)に対して回転固定される、上記駆動アセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の駆動アセンブリであって、ここで、ガイドナット(4)は、歯(57)の間にノッチ(58)を有する歯付きホイールであり、ロッキング手段(9)が、ガイドナット(4)のノッチ(58)と係合するためのフック(61)を含む少なくとも、一つの弾力的な、又は弾力的に取り付けられたカンチレバーである、上記駆動アセンブリ。
【請求項9】
請求項に記載の駆動アセンブリであって、ここで、カンチレバーの自由端は、少なくとも二つのリバースループ(61a、61b)を有する正弦波形状を備え、ここで、第一のループ(61a)は、アセンブリの軸に向かって成形されて、フック(61)を形成し、第二のループ(61b)は、アセンブリの軸から離れる側に向って成形されて、カンチレバーの自由端で終結し、第二のループ(61b)は、ロッキング手段(9)の係合状態においてカップリング手段(14)の一部と少なくとも部分的に接触するように設計される、上記駆動アセンブリ。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ及びカートリッジホルダ(2)を含んでなる薬物送達デバイス(1)であって、カートリッジホルダ(2)は、アセンブリの遠位端上に解放可能に取り付けられ、カップリング手段(14)と係合し、カップリング手段(14)は、カートリッジホルダ(2)が駆動アセンブリに組立てられたとき、ロッキング手段(9)が係合状態にあるように、ロッキング手段(9)と相互作用する。上記薬物送達デバイス。
【請求項11】
注射ペンの形状を有する、請求項10に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイス用の駆動アセンブリに関連し、駆動アセンブリはカートリッジホルダと連結可能である。更に、本開示は、対応する駆動アセンブリ及びカートリッジホルダを備えた薬物送達デバイスに関連する。
【0002】
携帯可能な薬物送達デバイスは、薬剤又は薬物、特に、患者による自己投与に好適な薬液の投与のために使用される。薬物送達デバイスは、シリンジ、注射デバイス、注射器又はペン形注射デバイスを含んでもよい。特に、ペン形の薬物送達デバイスは有用である。何故ならば、それは容易に取り扱い可能であり、そしてどこでも利用可能であるからである。
【0003】
薬物送達デバイスに異なったタイプが存在する。薬物送達デバイスの一つのタイプは、薬剤を投薬した後、又は薬剤の使用期限が過ぎた後、廃棄され得る使い捨てデバイスを含む。薬物送達デバイスの別のタイプは、何回も再使用可能であり得る再充填可能な薬物送達デバイスを含む。この種の薬物送達デバイスは、駆動アセンブリ、及び駆動アセンブリに連結可能でありそして薬剤又は薬物を含有するカートリッジ、アンプル、又はバイアルを含有するカートリッジホルダを含み得る。しばしば、ニードルアセンブリは、薬剤の皮下注射のためにカートリッジホルダの遠位端に連結され得る。薬物又は薬剤の用量が、ピストンロッドを駆動する駆動アセンブリの駆動機構、又は遠位方向における親ねじを用いて送達され、ピストンロッドがデバイスから薬剤を放出するためにカートリッジ内でピストンと相互作用する。薬物送達デバイスは、投薬すべき薬剤の用量を設定することを可能とする用量設定機構を提供し得る。
【0004】
一般のデバイスにおいて、例えば特許文献1に記載の通り、ピストンロッドは、ガイドナット、またボディナット又は親ねじナットとも呼ばれているが、により駆動アセンブリで案内され、それは薬物の送達中、ピストンロッドを遠位方向に動かすためにピストンロッドに連結される。この目的のために、ガイドナットは、ピストンロッドを所定の、ほぼらせん状の運動に駆り立てる(urge)ために、駆動アセンブリのハウジングに対して回転固定される。
【0005】
再使用可能な薬物送達デバイスにおいて、薬物送達デバイスをリセットする必要のある状態が発生するかもしれない。これは、ピストンロッドが、カートリッジホルダ内に含有される新しいカートリッジが、薬物送達の新しいサイクルを始動するために、駆動アセンブリに組立てられ得るような駆動アセンブリ内に、遠位方向と反対の近位方向の動く必要があることを意味する。ピストンロッドのリセット動作の間、ガイドナットは、好ましくは、ピストンロッドの駆動アセンブリ内への迅速で容易な移動を可能とするために、ハウジングに対して回転可能であり得る。このように、ガイドナットは、二重の機能性を達成する必要があり、ここで、薬物送達の間、ガイドナットは、回転固定する必要があり、そしてリセット動作の間、ガイドナットは、ハウジングに対して回転可能である必要がある。これは、また、特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1によると、薬物送達デバイスは、薬物送達の間、ハウジングに対してガイドナットの回転運動を阻止し、及び、デバイスのリセット中、ハウジングに対してガイドナットの回転を可能するために、ガイドナットと解放可能に係合するためのロッキング手段を提供する。ロッキング手段は、カートリッジホルダが駆動アセンブリに組立てられるとき、直接、カートリッジホルダにより操作され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2009/0275914A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、薬物送達デバイス用の新しい駆動アセンブリ及び優れた安全操作を提供する新しい薬物送達デバイスを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は請求項1に記載の駆動アセンブリ及び請求項16に記載の薬物送達デバイスにより達成される。更なる目的は、従属項に記載の変形、代替手段又は好ましい実施態様により達成される。
【0010】
駆動アセンブリは、ハウジング又はボディ、及び親ねじ又はピストンロッドを含み、ピストンロッドは薬物送達のために遠位方向に可動である。更にその上、駆動アセンブリは、親ねじナット、又はアセンブリの軸の周囲のハウジングに対して回転可能であり、ピストンロッドを案内するために提供されるガイドナットを提供する。ロッキング手段が提供され、ロッキング手段は、ガイドナットの回転を阻止するために、ロッキング手段がガイドナットと係合する係合状態をとることが可能となる。更に、ロッキング手段は、ガイドナットの回転を可能とするために、ロッキング手段がガイドナットから係合を解除する係合解除状態をとることが可能となる。更にその上、駆動アセンブリは、カップリング手段を提供し、カップリング手段は、ロッキング手段の係合状態と係合の解除状態の間で変化するためにロッキング手段との相互作用のために、アセンブリの軸の周囲のハウジングに対して回転可能である。
【0011】
開示された駆動アセンブリは、ガイドナット及びロッキング手段を別にして、二つの状態の間でロッキング手段の切り替えを可能とするそのような方法で、ロッキング手段と相互作用してもよいカップリング手段を提供する。その結果、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの良好な係合又はそれからの係合の解除を提供し得る。カートリッジホルダの不安定な取付け位置に起因するロッキング手段のガイドナットとの間違った係合は、その結果、阻止され得る。これは使用者の良好なデバイスの取扱いを支援し得る。
【0012】
ガイドナットは単一の構成部材であってもよく、又は二つ又はそれ以上の部材より成り得る。それは、本質的にピストンロッドの動きを案内するために形成され、ピストンロッドを連結するために、例えば、ねじ山を提供する。ガイドナットは、摩擦を用いて、又はガイドナット上の構造化面を用いて、駆動アセンブリの別の構成部材と係合するために提供されてもよく、それは一つ又はそれ以上のノッチ、歯、溝、スパイク、又は類似の構造エレメントを含み得る。
【0013】
ロッキング手段は、駆動アセンブリのハウジングに対してガイドナットの回転を阻止する方法でガイドナットと係合するのに適している、いかなる構成部材であってもよい。ロッキング手段は、個々の実施態様の要求性能に基づき、設計できる。それ故、ロッキング手段は、フック、つめを備えたカンチレバー又は板バネ構造、又は上記で説明したガイドナットの構造エレメントとの係合用の端部を含むことができる。更に、ロッキング手段は、ガイドナットに対して、及び/又は、カップリング手段に対して弾力的であり、又は弾力的に取り付けられる。
【0014】
ロッキング手段は、二つの状態を取り得る。第一の状態は、ロッキング手段がガイドナ
ットの回転を阻止するためにガイドナットを係合する係合状態を表す。この状態は、好ましくは、薬物の送達中に取られる。第二の状態は、ロッキング手段がガイドナットの回転を可能とするためにガイドナットとの係合を解除する係合解除状態を表す。この状態は、このましくは、上記で説明した通り、リセット動作中に取られる。
【0015】
カップリング手段は、ロッキング手段とガイドナットとの係合をもたらすのに好適ないかなる構成部材であってもよい。カップリング手段は、二つ又はそれ以上の部材から組立てられる一部材のみの形成が可能である。更に、ロッキング手段の状態、つまりガイドナットに対するロッキング手段の相対的位置を変更するのに好適ないかなる機械的方法でもロッキング手段を係合し、又は、連結することを設計できる。特に、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの係合が可能となり、又は阻止されるような方法で回転できる。ロッキング手段のガイドナットとの係合が阻止される場合において、ロッキング手段は、ガイドナットから解放され、そして、特に、リセット動作のために提供されるガイドナットの回転運動は可能となる。カップリング手段は、それ故、係合状態と係合解除の状態の間でロッキング手段の状態を変化させるために、ロッキング手段と相互作用し得る。
【0016】
好ましい実施態様において、カップリング手段は、第一の位置と第二の位置の間で回転可能であり、ここで、第一の位置において、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの係合を阻止し、そしてここで、第二の位置において、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの係合を可能とする。その結果、カップリング手段の第一の位置は、ロッキング手段の係合状態を表し、それにより、カップリング手段の第二の位置は、ロッキング手段の係合の解除状態を表わす。好ましくは、カップリング手段は、第一と第二の位置の間の中間位置に静止することなく、第一の位置又は第二の位置に静止する。つまり、第一及び第二の位置は、カップリング手段の別個の状態を説明する。ここで、第一の位置において、ロッキング手段は、ガイドナットと明確に係合し、そしてここで、第二の位置において、ロッキング手段は、駆動アセンブリの間違った挙動が発生しないかもしれず、又は少なくとも低下し得るように、ガイドナットと、明確に、係合を解除する。
【0017】
上記で記載した通り、ロッキング手段は、好ましくは、薬物の送達中、ピストンロッドを遠位方向に動かすために、ガイドナットと係合する。つまり、ガイドナットは、ハウジングに対して回転固定し、そして、ピストンロッドを遠位方向における所定の運動に駆り立て得る。好ましくは、ロッキング手段は、リセット動作を可能にするために、ガイドナットから係合を解除し、それにより、ピストンロッドを遠位方向と反対の近位方向に動かし、ガイドナットは、ハウジングに対して回転を可能にする。ロッキング手段がガイドナットから係合を解除されるとき、ガイドナットは、駆動アセンブリの簡単で迅速なリセットを可能にするためにピストンロッドが、近位方向で軸方向に移動し得るように回転し得る。
【0018】
好ましくは、ロッキンブ手段は、ハウジングに対して回転固定する。いかなる状態又は位置に独立して、ロッキング手段はハウジングに対して回転固定して留まる。それ故、ハウジングに対するロッキング手段の回転により引き起こされるロッキング手段の位置の変化が起こらないかもしれない。また、ハウジングに対するガイドナットのいかなる回転運動も、従って、ガイドナットがロッキング手段に連結されるとき、特に、薬物送達の間で阻止され、ここで、ガイドナットは、ハウジングに対して回転固定して留まることが期待される。
【0019】
一つの実施態様によると、カップリング手段は、カートリッジホルダの一つ又はそれ以上の対応する第二の締め付け部材(fastening member)と係合するために、一つ又はそれ
以上の第一の締め付け部材を提供し、カップリング手段が、第一の締め付け部材の作動により回転可能である。カップリング手段の第一の締め付け部材は、それらが、カートリッジホルダが駆動アセンブリに組立てられるとき、少なくともカートリッジホルダの一部と相互作用し得るように設計される。つまり、第一の締め付け部材は、カートリッジホルダの第二の締め付け部材が第一の締め付け部材に繋がれ、そして、それと相互作用し得るように、駆動アセンブリのハウジングの開口部に向かって遠位方向に向かう。
【0020】
カートリッジホルダがアセンブリの遠位端上に取り付けられるとき、カップリング手段は、第一及び第二の締め付け部材の係合時におけるカートリッジホルダの回転取り付け運動により引き起こされた第一の締め付け部材を介して回転されることは、想定可能である。つまり、カップリング手段を介してロッキング手段の係合状態と係合の解除状態の間の切り替えが、カートリッジホルダの組立て中、回転取り付け運動により影響を受け得る。このように、ロッキング手段とガイドナットの間の係合は、カートリッジホルダを駆動アセンブリに取り付けることにより作動し得る。これに従って、カップリング手段が、カートリッジホルダとロッキング手段及びガイドナットの間の中間物として作用し得る。
【0021】
一つの実施態様によると、ガイドナットは、カップリング手段及びロッキング手段により、少なくとも部分的に囲まれる。特に、ロッキング手段は、係合状態と係合の解除状態の間での切り替え中、半径方向の運動を行うように設計される。カップリング手段の回転運動は、ロッキング手段の半径方向の運動に影響を与え得る。それ故、ロッキング手段は、ロッキング手段がカップリング手段の回転運動により引き起こされたアセンブリの軸に向かって半径方向に動くとき、ガイドナットと相互作用し得る。
【0022】
好ましくは、カップリング手段は、一つ又はそれ以上の半径方向の凹部を提供するリング形状部材として設計される。ロッキング部材は、カップリング手段の外部の少なくとも一部に円周状に配置され得る。この配置によると、ロッキング手段は、ガイドナットと係合するために、カップリング手段の半径方向の凹部を通過し得る。好ましくは、ロッキング手段は、アセンブリの軸に向かって半径方向に張力をかけられている、弾力的な部材又は弾力的に取り付けられた部材であり得る。これは、ロッキング手段の係合解除の間、カップリング手段は、ガイドナットとの係合の外へロッキング手段を保持する効果を有し、それにより、ロッキング手段の係合状態に切り替えるために、カップリング手段は、ロッキング手段がスプリング力により引き起こされたカップリング手段の凹部を通過するように駆り立てられ、そしてガイドナットと係合してもよいように、ロッキング手段を解放する。
【0023】
ロッキング手段の外部の少なくとも一部で円周状にカップリング手段を配置することも、また、想定可能である。この場合、ロッキング手段は弾力的であり、又は弾力的に取り付けられ、そしてアセンブリの軸から離れて半径方向に張力をかけられる。上記で説明した実施態様に反して、係合状態の間、カップリング手段は、ロッキング手段をスプリング力に抗してガイドナットと係合に駆り立てる、それにより、係合解除状態に切り替えるために、カップリング手段は、ロッキング手段をガイドナットとの係合から外へ解放し、ロッキング手段は、スプリング力により引き起こされた駆動アセンブリの軸から離れて、半径方向に、カップリング手段の半径方向の凹部を通過し、それによりガイドナットから係合を解除する。
【0024】
一つの実施態様によると、一つ又はそれ以上の半径方向の凹部の近辺でのカップリング手段の内部の一部は、一つ又はそれ以上の半径方向の凹部に向かうカップリング手段の内部の狭い直径より広い直径への転移を提供するランプとして設計される。ランプは 少なくともロッキング手段の一部分を滑らかに受け、そしてロッキング手段をカップリング手段の壁に鋭い端部で引掻き、そしてカップリング手段に損傷を与えることを阻止する、一
種の角度のあるカットアウトを提供する。特に、ねじれモーメントは、薬物送達の間、又は針がブロックされているときに薬物を送達しようと試みる間、ガイドナットで案内されたピストンロッドとの相互作用中、ガイドナット上で発生し得る、それは増大した力の適用を意味する。これらのねじれモーメントは、ロッキング手段をアセンブリの軸から離れて半径方向の運動へ駆り立てる。この運動はロッキング手段のガイドナットからの係合の解除をもたらさないが、ロッキング手段とカップリング手段の間の重い接触力を引き起こし、その効果は、カップリング手段の半径方向の凹部の近辺で、カップリング手段の上記で説明したランプ形状に起因して、顕著に弱体化される。加えて又はあるいは、ランプは、ロッキング手段が半径方向の外側に駆り立てられるとき、ロッキング手段とカップリング手段の間の接触が、ロッキング手段の鋭い端部とは異なるエリアで確立するような形状であってもよい。それにより、ロッキング手段の鋭い端部との接触によるカップリング手段の損傷が阻止できる。
【0025】
一つの実施態様によると、カップリング手段は、ハウジング内でカップリング手段を保持するために、そしてハウジングに対してカップリング手段の軸方向運動を阻止するために、一つ又はそれ以上の保持手段を含む。つまり、カップリング手段は、ハウジングに対してもっぱら回転可能であり、それにより、係合状態(ガイドナットとの係合)と係合の解除状態(ガイドナットとの係合の解除)の間でのロッキング手段を切り替えるためにロッキング手段を作動させる。
【0026】
別の実施態様によると、ロッキング手段は、キャリア(carrier)の反対側上に配置された二つの部材を含み、ここで、キャリアはハウジングに対して回転固定される。部材はキャリアの反対側に配置される二つのアーム又はカンチレバーとして設計してもよい。ロッキング手段は、ロッキング手段の一端がキャリアに固定され、そしてロッキング手段の他端が自由であるように設計してもよい。それぞれの自由端において、ロッキング手段は、対応するノッチ、又はガイドナットの空間との係合のために、端部、つめ、又はフックを備え得る。好ましくは、上記で説明した通り、ロッキング手段は、キャリアに弾力的に取り付けられる。このように、ロッキング手段は、キャリアの中心に向かってその上のフックを備えた自由端上で枢動してもよい。このように、ロッキング手段は、ガイドナットとの係合のために半径方向の運動を行ってもよい。
【0027】
一つの実施態様によると、カンチレバーの自由端は、少なくとも二つのリバースループを備えた正弦波形を提供し、ここで第一のループは、アセンブリの軸に向かって形作られ、そして端部、つめ、又はフックを形成し、ここで、第二のループは、アセンブリの軸から離れて形作られ、そしてカンチレバの自由端で終結し、第二のループは、ロッキング手段の係合状態において、カップリング手段の一部と少なくとも部分的に接触するように設計されている。この実施態様は、また、上記で説明した通り、ねじれモーメントの間、カップリング手段上で、ロッキング手段の一端の引掻きに起因するカップリング手段のいかなる損傷リスクなしでのロッキング手段とカップリング手段の間の安全な係合及び接触を提供し得る。
【0028】
駆動アセンブリの更なる実施態様において、ガイドナットは、ピストンロッドのカップリングのためにねじ山を含み、そしてガイドナットに対してピストンロッドのらせん運動を可能にする。それにより、らせん運動は、ピストンロッドの同時の軸方向及び回転方向の運動を含む。つまり、ピストンロッドは、所定の、例えば、らせん運動に従って薬剤の送達中、ガイドナットを通して、ねじ締めされる。
【0029】
駆動アセンブリは、更に、ピストンロッドを駆動するために駆動スリーブを含んでもよく、ここで、駆動スリーブは、ハウジング内に配置され、そして、更なるねじ山を用いてピストンロッドと連結される。好ましくは、ガイドナットのねじ山及び更なるねじ山は、
反対方向の回転を有する。クラッチは、駆動スリーブを、解放可能な手法でハウジングに対して回転ロックすることを可能にする駆動アセンブリ内で提供され得る。これは、軸に沿ったハウジングに対する駆動スリーブのシフトに影響を与えるかもしれず、駆動スリーブのシフトは、駆動スリーブがハウジングに対して回転ロックされ、そしてロッキング手段がガイドナットと係合するとき、ハウジングに対するピストンロッドのらせん運動に転換する。このように、ピストンロッドは、薬物送達のために、らせん運動に駆り立てられ得る。
【0030】
開示は、上記で説明した駆動アセンブリ及びカートリッジホルダを含む薬物送達デバイスに関する。カートリッジホルダは、アセンブリの遠位端上に解放可能に取り付けられもよく、そしてカップリング手段と係合してもよく、カップリング手段は、ロッキング手段が係合状態にあるようにロッキング手段と相互作用する。カートリッジホルダは、投薬すべき薬剤又は薬物を含むカートリッジを含んでもよい。
【0031】
薬物送達デバイスは、一般的に、薬物の用量を投薬するために設計された、使い捨て、又は、再使用可能デバイスであってよい。デバイスは、手動で、又は電気的に駆動するように設計してもよく、そして用量の設定のための機構を含んでもよい。デバイスは、更に、例えば、血糖値などの生理学的特性を監視するように設計してもよい。更にその上、前記デバイスは針を含んでもよく、又は針無しであってもよい。
【0032】
本明細書で使用する用語「薬物」又は「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、又はその断片、ホルモン、又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0033】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0034】
ヒトインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル
−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0035】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0036】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0037】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0038】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0039】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又は硫酸化された、例えば、上記多糖類のポリ硫酸化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0040】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとして知られている球状の血漿蛋白質(〜150kDa)である。それらはアミノ酸残基に加えられた糖鎖を有するので、それらは糖蛋白質である。各抗体の基本的な機能ユニットは、免疫グロブリン(Ig)単量体(一つのIgユニットのみを含む)であり、分泌型抗体は、また、IgAとして二つのIgユニットを有する二量体型、硬骨魚IgMのような四つのIgユニットを有する四量体型又は哺乳類IgMのような五つのIgユニットを有する五量体型があり得る。
【0041】
Ig単量体は、四つのポリペプチド鎖:システイン残基の間のジスルフィド結合で結合した二つの同一の重鎖及び二つの同一の軽鎖から成る「Y」型分子である。各々の重鎖は、約440個のアミノ酸長であり、各々の軽鎖は、約220個のアミノ酸長である。各々の重鎖及び軽鎖は、それらの折り畳み構造を安定化させるために、分子内にジスルフィド結合を含む。各々の鎖は、Igドメインと呼ばれている構造ドメインより成り立っている。これらのドメインは、約70〜110個のアミノ酸を含み、そしてそのサイズ及び機能に基づき異なったカテゴリ(例えば、可変又はV、及び定常又はC)に分類される。それらは、二つのβシートが、保存されたシステインとその他の電荷アミノ酸の間の相互作用により一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0042】
α、δ、ε、γ及びμで指定される五つのタイプの哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプは、抗体のアイソタイプを定義し、これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM抗体中で見つかる。
【0043】
相異なる重鎖は、サイズ及び組成に異なり、α及びγは、約450個のアミノ酸を、そしてδは、約500個のアミノ酸を含み、一方、μ及びεは、約550個のアミノ酸を含む。各々の重鎖は、二つの領域、定常領域(CH)及び可変領域(VH)を有する。一つの種において、定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体においては本質的に同一である
が、しかし、異なったアイソタイプの抗体においては異なる。重鎖γ、α及びδは、三つのタンデム形のIgドメイン及び追加された可撓性のためにヒンジ領域より成る定常領域を有し、重鎖μ及びεは、4個の免疫グロブリン領域よりなる定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なったB細胞で生成された抗体において異なるが、単一のB細胞又はB細胞クローンにより生成された全ての抗体に対しては同一である。各々の重鎖の可変領域は、約110個のアミノ酸長であり、そして単一のIgドメインより成る。
【0044】
哺乳類において、λ及びκと指定される二タイプの免疫グロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は二つの連続したドメイン:一つの定常ドメイン(CL)及び一つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各々の抗体は、常に同一である二つの軽鎖を有し、軽鎖κ又はλの内、哺乳類の抗体当たり一タイプのみ存在する。
【0045】
全ての抗体の一般的構造は非常に類似しているが、所定の抗体のユニークな特性は、上記で定義した通り、変動領域(V)で決定される。より具体的には、可変のループ状で三つの軽鎖(VL)及び三つの重鎖(VH)は、抗原への結合、つまり、その抗原の特異性に原因がある。これらのループは、相補性決定領域(CDRs)として参照される。VH及びVLドメインからのCDRsは、抗原結合サイトに貢献するが、最終の抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、それぞれの単体のみではない。
【0046】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した通り、少なくとも一つの抗原結合フラグメントを含み、そしてフラグメントが誘導される完全な抗体と本質的に同一の機能及び特異性を示す。パパインによる限定された蛋白質消化は、Igプロトタイプを三つのフラグメントに切断する。それぞれ一つの完全なL鎖及び約半分のH鎖含む二つの同一アミノ末端フラグメントは、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、分子鎖間でジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第三のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、補体結合、及びFcr−結合サイトを含む。限定されたペプシンの消化は、両方のFabピース及びH−H分子鎖間ジスルフィド結合を有するヒンジ領域を含むF(ab′)2フラグメントを生成する。F(ab′)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab′)2のジスルフィド結合は、Fab′を得るために切断され得る。更に、重鎖と軽鎖の可変領域は、単一鎖可変フラグメント(scFv)を生成するために共に縮合できる。
【0047】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン又はアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編,Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社, Easton, Pa., U.S.A., 1985及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0048】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0049】
上記で説明された機能、並びに、他の機能は、図面の以下の記載から明白になるであろう。同一エレメントは、同一の参照番号と関連している。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】キャップを付けた、及びキャップを外した状態における薬物送達デバイスの実施態様を示す。
図2図1に記載の薬物送達デバイスの数個の部分の透視図を示す。
図3】薬物送達デバイスの駆動アセンブリのカップリング手段の透視図を示す。
図4】薬物送達デバイスの駆動アセンブリのガイドナットの透視図を示す。
図5A】駆動アセンブリのロッキング手段を提供する取り付けデバイスの第一の実施態様の透視図を示す。
図5B】駆動アセンブリのロッキング手段を提供する取り付けデバイスの第二の実施態様の透視図を示す。
図5C】駆動アセンブリのロッキング手段を提供する取り付けデバイスの第三の実施態様の透視図を示す。
図6A図3〜5Aに記載の組立てカップリング手段、ガイドナット、及び取り付けデバイスの透視図を示す。
図6B】係合の解除状態における第二の実施態様に記載の組立てカップリング手段、ガイドナット、及び取り付けデバイスの平面図を示す。
図6C】係合状態における図6Bの実施態様に記載の組立てカップリング手段、ガイドナット、及び取り付けデバイスの平面図を示す。
図6D】係合の解除状態における第三の実施態様に記載の組立てカップリング手段、ガイドナット、及び取り付けデバイスの平面図を示す。
図6E】係合状態における図Dの実施態様に記載の組立てカップリング手段、ガイドナット、及び取り付けデバイスの平面図を示す。
図7】駆動アセンブリに部分的に挿入されるカートリッジホルダを備えた薬物送達デバイスの部分透視図を示す。
図8】薬物送達デバイスの実施態様の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、薬物送達デバイス1の実施態様を示す。この実施態様に記載の薬物送達デバイス1は、駆動アセンブリのハウジング3を提供するペン形注射デバイスである。保護キャップ50は、駆動アセンブリのハウジング3の遠位端に取り付けられたカートリッジホルダ2上を摺動し得る。保護キャップ50は、環境の影響からカートリッジホルダ2を覆い、そして保護するために、カートリッジホルダ2の少なくとも一部をカバーし得る。薬物送達デバイス1は、いわゆる再使用可能デバイスであってもよく、ここで、カートリッジホルダ2は、ハウジング3に解放可能に固定されてもよく、そしてここで、ハウジング3内の駆動アセンブリは、何回も再使用してもよい。
【0052】
図2は、図1に記載の薬物送達デバイス1の数個の部分の透視図を示す。特に、薬物送達デバイス1は、上記で説明した通り、ハウジング3及びカートリッジホルダ2を提供する。更に、この実施態様に基づき、ハウジング3内で組立てられるとき、ガイドナット4を包含し得る中空又はリング形状の部材である取り付けデバイス10及びカップリング手段14が提供される。
【0053】
更に、二つの付勢スプリング51は、カートリッジホルダ2の遠位端で所定の位置においてカートリッジを保持するため、カートリッジホルダ2内に含まれるカートリッジ(詳細に示されていない)に対してスプリング力を提供するために提供される。特に、カップリング手段14、ガイドナット4及び取り付けデバイス10は、以下の通りに記述される。
【0054】
図3は、図2に記載のカップリング手段14の透視図を示す。カップリング手段14は、それが駆動アセンブリの軸に対して回転可能であるように、駆動アセンブリのハウジング3内で組立てられ得るリング形状部材である。それ故、カップリング手段14は、いわ
ゆる、回転リングとして作用し得る。更に、カップリング手段14は、ハウジング内にカップリング手段14を保持し、そしてハウジング3内のカップリング手段14の軸方向の運動を阻止するために、カップリング手段14のリング形状ボディの反対側に配置される保持手段54を提供する。
【0055】
図3の実施態様に記載のカップリング手段14は、その本体の反対側の半径方向に凹部53を提供する。その結果、カップリング手段14は、軸方向のみならず、半径方向において中空部材である。取り付けデバイス10のロッキング手段61(図5A及び5Bに詳細に示す通り)が、下記で説明する通り、ガイドナット4と係合するために、カップリング手段14の中心に向かって半径方向の凹部53を通過し得る効果を、凹部53は有する。
【0056】
更に、カップリング手段は、カップリング手段14の外部の反対側に配置された二つのランプ55を提供するランプ形状の外面を提供する。ランプ55は、カップリング手段14の外部の広い直径から狭い直径への移行を提供する角度の付いたランプである。ランプ55は、実質的に、対応する半径方向の凹部53の位置において配置される。ランプ55は、取り付け手段10のロッキング手段61を、広い部分から狭い部分にカップリング手段14の外面に沿って摺動すること、及びカップリング手段14の狭い直径に到達したとき、カップリング手段14の中心に向かって半径方向の運動を行うことを可能とするように設計される。取り付けデバイス10のカップリング手段14とロッキング手段61の間の相互作用は、図6Aに関して詳細に説明するであろう。
【0057】
更に、カップリング手段14は、第一又は第二のいずれかの位置においてカップリング手段14を保持し、固定するために、取り付けデバイス10の対応部材と相互作用し得る突出部56を提供し、ここで、カップリング手段14は、第一と第二の位置の間で回転し得る。突出部56は、両位置のどちらかでは静止するが、第一と第二の位置の間の中間位置のみでは静止しないカップリング手段14を支援し得る。突出部56は楔形であり、ここで、カップリング手段14は、第一の位置で静止してもよく、取り付けデバイスの対応エレメントは、楔形突出部56の一端に配置され、そしてここで、カップリング手段14は、第二の位置に静止してもよく、取り付けデバイス10の対応エレメントは、楔形の突出部56の他端に配置される。これは、ハウジングに対してカップリング手段14の二つ別個の位置を画成することに役立つ。また、図5A、5Bに関する一般的説明を参照されたい。
【0058】
更にその上、カップリング手段14は、カップリング手段14のリング形状の最上部で、反対側に配置された第一の締め付け部材52を提供する。第一の締め付け部材52は、カートリッジホルダ2の対応する第二の締め付け部材63との相互作用及び係合のために提供される(また、図7を参照のこと)。カップリング手段14は、第一の締め付け部材52を介して動作し、例えば、回転する。この実施態様によると、カップリング手段14は、図7に関して説明する通り、駆動アセンブリに組立てられるとき、カートリッジホルダ2の取り付け運動の間、回転してもよい。
【0059】
図4は、中心穴5を提供するガイドナット4の透視図を示す。中心穴5内で、ねじ山8は、図8で詳細に説明する通り、ピストンロッドを所定のらせん運動に促すために、駆動アセンブリのピストンロッドを連結するように設計する。更に、この実施態様によると、ガイドナット4は、ガイドナット4の外部円周上で歯57及びノッチ58を提供する歯付きホイールとして設計される。歯57及びノッチ58は、ガイドナット4の別個の実施態様に適用し得る。それ故、歯57は、スパイクのように設計してもよく、それにより、ノッチ58は、歯57とスパイクの間での空間として設計され得る。ガイドナット4は、駆動アセンブリのハウジング3内で回転して配置されてもよい。駆動アセンブリの一つの状
態において、好ましくは、薬物の送達中、ガイドナット4は、図6A、6C及び6Eに関して説明する通り、取り付けデバイス10のロッキング手段9で回転固定され得る。駆動アセンブリの別の状態において、好ましくは、リセット動作の間、ガイドナットは、図6A、6C及び6Eに関して説明する通り、駆動アセンブリのハウジング3に対して回転可能であり得る。図3に記載の(及び図6B〜6Eに関して説明した他の実施態様に基づく)カップリング手段14は、ガイドナット4に対して取り付けデバイス10のロッキング手段9の係合状態と係合の解除状態の間での切り替えを可能とするため作動手段として作用し得る。
【0060】
図5A〜5Cは、ロッキング手段9が形成されるリング形状のキャリア11を提供する取り付けデバイス10の異なった実施態様を示す。詳細にはロッキング手段9は、キャリア11の反対側に配置される二つのアーム又はカンチレバーを含む。一端でロッキング手段9は、キャリア11に固定され、そして他端では、ロッキング手段9は自由である。それぞれの自由端において、ロッキング手段9は、対応するノッチ58と係合するための端部又はフック61、又は図4に記載のガイドナット4の空間を提供する。ロッキング手段9は、キャリア11上に弾力的に取り付けられる。それ故、ロッキング手段9は、キャリア11の中心に向かってその上のフック61と一緒に自由端上で枢動してもよい。その結果、ロッキング手段9は、半径方向の運動を行ってもよい。
【0061】
更にその上、取り付けデバイス10は、別のカンチレバー構造として形成される、キャリア11上の固定端及びリング形状のキャリア11に対して接線方向を実質的に指示する自由端を備えた保持手段62を提供する。保持手段62は、第一の位置又は第二の位置のいずれかにおけるカップリング手段14を保持するため、図3、6B及び6Cに記載のカップリング手段14の楔形突出部56との相互作用のための突出部60を提供し、突出部60は、図3に関して説明した通り、カップリング手段への影響の元で、カップリング手段14の楔形突出部56に沿って摺動する。その結果、取り付けデバイスは、弾力的ロッキング手段9、並びに、弾力的保持手段62を提供する、いわゆる複数のスプリンングエレメントとして作用し得る。
【0062】
図5Aで示す取り付けデバイス10の第一の実施態様によると、ロッキング手段9は、カンチレバーを形成したロッキング手段9上で形作られ、そしてキャリア11の中心に向かう突出部59を提供する。突出部59は、カップリング手段14の外部上のランプ55に沿って摺動するように設計される(図3参照)。更なる詳細は、図6Aを参照されたい。
【0063】
図5Bで示す通り、取り付けデバイス10の第二の実施態様は、カンチレバーを形成したロッキング手段9の自由端がロッキング手段9を作動させるために、カップリング手段14の一部と係合するための突出部59を形成する端部が提供されるように曲げられる、図5Aに示す第一の実施態様とは異なる。更に、カンチレバーを形成したロッキング手段9のそれぞれの自由端は、少なくとも二つのリバースループ(reverse loop)61a及び61bを備えた正弦波形を提供し、ここで、第一のループ61aは、アセンブリの軸に向かって形作られ、そして、ガイドナット4のそれぞれの歯57と係合するため、フック、端部、又はつめ61を形成し(図4参照)、そしてここで、第二のループ61bは、アセンブリの軸から離れて形作られ、そしてカンチレバーの自由端で終結する。第二のループ61bは、ロッキング手段9の係合状態において、つまり、ロッキング手段9がカップリング手段14で作動し、そしてガイドナット4と係合するとき、カップリング手段14の一部と少なくとも部分的に接触するように設計される。特に、係合状態において、第二のループ61bは、カップリング手段14の対応部分に対して接線方向に配置され得る。それにより、カップリング手段14と円滑な接触を提供する。この実施態様は、ロッキング手段9とカップリング手段14の間の隙間係合及び接触を、ねじれモーメント中のカップ
リング手段14上のロッキング手段9の自由端の鋭い端部の引掻きに起因するカップリング手段14のいかなる損傷リスクもなく提供し得る。
【0064】
取り付けデバイス10の第一及び第二の実施態様において、弾力ロッキング手段9は、スプリング力が、ガイドナット4の歯57と係合するためにアセンブリの軸に向かってロッキング手段9を駆り立て得るようにキャリア11の軸に向かって半径方向に張力がかかっている(図4参照)。つまり、カップリング手段14は、張力がかかっているロッキング手段9のスプリング力に反対の、軸から離れて、及びガイドナット4との係合から外へ、半径方向においてロッキング手段9を駆り立てるために、ロッキング手段9と係合し得る。反対に、ロッキング手段9が係合状態にもたらされるとき、カップリング手段14は、ロッキング手段9がロッキング手段9のスプリング力に起因してアセンブリの軸に向かって半径方向に駆り立てられるように、ロッキング手段9を解放し得る。
【0065】
図5Cで示す取り付けデバイス10の第三の実施態様は、そのカンチレバーを備えたロッキング手段9が、カップリング手段14及びロッキング手段9の相互作用が図5A及び5Bの実施態様の原理に従って反対方法で働くように、配置される図5A及び5Bで示す第一及び第二の実施態様とは異なる。つまり、図5Cの実施態様によると、弾力的なロッキング手段9は、スプリング力が、ガイドナット4の歯57から係合を解除するために、アセンブリの軸からロッキング手段9を駆り立て得るようにキャリア11の軸から離れて半径方向に張力がかかっている(図4参照)。つまり、カップリング手段14は、張力がかかったロッキング手段9のスプリング力と反対に、軸に向かって半径方向に、そしてガイドナット4との係合に、ロッキング手段9を駆り立てるために、ロッキング手段9と係合し得る。反対に、ロッキング手段9が係合解除状態にもたらされるとき、カップリング手段14は、ロッキング手段9がロッキング手段9のスプリング力に起因してアセンブリの軸から離れて半径方向に駆り立てられるようにロッキング手段9を解放し得る。この点に関する更なる説明のためには、図6B及び6C及び以下のそれぞれの記載を参照されたい。
【0066】
図6Aは、図3図5Aに記載のカップリング手段14、取り付けデバイス10及びガイドナット4を示す。ガイドナット4は、カップリング手段14及び取り付け手段10で囲まれる。カップリング手段14は、カップリング手段14内にガイドナット4を保持し、そしてカップリング手段のリング形状のボディからのガイドナット4の上向きの運動を阻止するために、リング形状のボディの内側の内周上に棚を提供する。更に、ガイドナット4は、更に、ガイドナット4の下方に向いた運動を阻止するために、取り付けデバイス10のキャリアの一部より、又はハウジング3の一部より、例えばハウジング3内のウェブ形状部により保持されてもよい。つまり、ガイドナット4は、カップリング手段14と取り付けデバイス10のキャリア11又はハウジング3の一部の間に確実に組み込まれる。
【0067】
更にその上、取り付けデバイス10のロッキング手段9は、カップリング手段14の外部の少なくとも一部に円周状に配置される。それにより、カンチレバーを形成したロッキング手段9の突出部59(図5A参照)は、カップリング手段14の外面に向かう。これは、ロッキング手段9がカップリング手段14の外面上のランプ55に沿って突出部59を介して摺動し得る効果を有するかもしれない。
【0068】
図6Aは、ロッキング手段9の係合状態を表すカップリング手段14の位置を示す。ロッキング手段9は、図3の状況で説明する通り、その自由端と共にカップリング手段14の半径方向の凹部53を通過する。これは、突出部59がカップリング手段14の直径の狭い部分に存在するという事実に基づき可能となる。
【0069】
描かれた位置において、ロッキング手段9は、フック61を介して、ガイドナット4と係合する。特に、フック61は、それぞれのノッチ58における歯57の間で静止する。更に、この位置において、フック61は、カップリング手段14の半径方向の凹部の対応する端部の後部で係合する。これは、ねじれモーメントに起因して、歯57との係合から、及びガイドナット4から離れたフック61の半径方向の運動が、ロッキング手段9とガイドナット4の間の確実な係合を可能とするために阻止される効果である。特に、ねじれモーメントは、薬物送達中又は薬物を送達しようと試みる間、しかし曲げられた針を有する間、ガイドナット4及びガイドナット4で案内されるピストンロッドの相互作用の間に起こり得る、それは増大した力の適用を意味する。
【0070】
図6Aで描かれた位置において、取り付けデバイス10に対するガイドナット4の回転運動は阻止される。換言すれば、ガイドナットは、取り付けデバイス10に対して、回転を固定される。取り付けデバイス10が回転を固定する方法で駆動アセンブリのハウジング3内で配置され得るので、ガイドナット4は、また、駆動アセンブリのハウジング3に対して回転固定され得る。好ましくは、薬物送達中に取られ得るこの位置において、ガイドナット4は、ピストンロッドを所定の運動、つまり、らせん運動に動かすことを促し、それにより、ガイドナット4の内側ねじ山8を通してねじ締めされる(図4参照)。
【0071】
ある場合には、図6Aに記載のカップリング手段14は、反時計方向に回転し、 ロッキング手段9の突出部59は、カップリング手段14の直径の狭い部分から広い部分へカップリング手段14の角度の付いたランプ55に沿って摺動するであろう。それ故、ロッキング手段9、即ち、フック61は、ガイドナット4のノッチ58との係合から外へ駆り立てられて、ロッキング手段9は、アセンブリの中心から離れて半径方向に枢動する。その結果。カップリング手段14を回転することにより、ロッキング手段9は、ガイドナット4との係合から解放され得る。これは、ガイドナット4を取り付けデバイス10に対して回転することを可能にする。アセンブリがデバイスのハウジング3内で配置されるとき、ガイドナット4は、ガイドナット4に連結されたピストンロッドのリセット動作が始動し得るように、駆動アセンブリのハウジング3に対して回転することを可能にする。つまり、ピストンロッドは、近位方向にシフトしてもよく、ガイドナット4は、ハウジング3に対して回転を可能にする。
【0072】
図6B及び6Cはそれぞれ係合解除状態及び係合状態と同様に第二の実施態様に記載の組み立てカップリング手段14、ガイドナット4及び取り付けデバイス10の平面図を示す。特に、取り付けデバイス10は、図5Cで示すその実施態様に基づき設計される。図6Aに記載のアセンブリと対比して、図6B及び6Cのアセンブリにおいて、カップリング手段14は、取り付けデバイス10のロッキング手段9の外部の少なくとも一部に円周状に配置される。ロッキング手段9は、この実施態様によると、弾力的であってもよく、そしてアセンブリの軸から離れて半径方向に伸長されてもよい(図6Aの実施態様に対比して、ここでロッキング手段9は、アセンブリの軸に向かって半径方向に張力をかけられる)。
【0073】
図6Bは、アセンブリの係合解除状態を図示する。ロックング手段9、即ち、フック61は、カップリング手段14の凹部53に少なくとも部分的に位置し、従って、ガイドナット4のノッチ58及び歯57とのそれぞれの係合から外れる。この状態は、ガイドナット4を取り付けデバイス10に対して回転することを可能にする。アセンブリがデバイスのハウジング3内に配列するとき、ガイドナット4は、ガイドナット4に連結されたピストンロッドのリセット動作が始動できるように、駆動アセンブリのハウジングに対して回転するのを可能にする。つまり、ピストンロッドは、近位方向にシフトしてもよく、ガイドナット4は、ハウジング3に対して回転するのを可能にする。
【0074】
更に、図6Bで図示する通り、カップリング手段14の突出部56は、別個の状態として、係合解除状態を画成する取り付けデバイス10の保持手段62の突出部60の一端上に配置される(また、上記の図5A〜5Cの状況における一般的説明を参照されたい)。
【0075】
図6Cはアセンブリの係合状態を図示する。図6Bに記載のカップリング手段14の位置から始動して、係合状態は、カップリング手段14を時計方向に回転することにより取られ得て、カップリング手段14の角度の付いたランプ55は、ロッキング手段9のカンチレバーに沿って摺動する。それ故、ロッキング手段9、即ち、フック61は、ガイドナット4のノッチ58及び歯57とそれぞれ係合するよう駆り立てられ、ロッキング手段9は、アセンブリの中心に向かって半径方向に枢動する。
【0076】
描かれた位置において、ロッキング手段9は、フック61を介してガイドナット4と係合する。特に、フック61は、それぞれのノッチ58における歯57の間で静止する。更に、この位置において、フック61、特に、ロッキング手段9のカンチレバーの自由端は、カップリング手段14の側壁により包囲され得る。これは歯57との係合からの、及びねじれモーメントに起因してガイドナット4から離れるフック61の半径方向の運動は、ロッキング手段9とガイドナット4の間の確実な係合を可能にするために阻止されるという効果を有する。特に、ねじれモーメントは、薬物送達中又は薬物を送達しようと試みる間、しかし曲げられた針を有する間、ガイドナット4及びガイドナット4で案内されるピストンロッドの相互作用の間に起こり得る、それは増大した力の適用を意味する。
【0077】
図6Cで図示する位置において、図6Aに対して既に説明したものと同じ効果が発生する。即ち、取り付けデバイス10に対するガイドナット4の回転運動が阻止される。薬物送達中、好ましくは、捕捉され得るこの位置において、ガイドナット4は、ピストンロッドに所定の運動、即ち、らせん運動を促し、それにより、ガイドナット4の内側ねじ山を通してねじ締めされる(図4参照)。
【0078】
更に、図6Cで図示する通り、カップリング手段14の突出部56は、ここで、係合状態を別個の状態として画成する取り付けデバイス10の保持手段62の突出部60の他の側面上に配置される(また、上記の図5A〜5Cの状況における一般的な説明を参照されたい)。
【0079】
図6D及び6Eは、それぞれ、係合解除状態及び係合状態と同様に第三の実施態様に記載の組み立てられたカップリング手段14、ガイドナット4及び取り付けデバイス10の平面図を示す。図6D及び6Eに記載のアセンブリの原理は、基本的には、図6Aの状況で説明するものと同様である。つまり、取り付けデバイス10のロッキング手段9は、カップリング手段14の外部の少なくとも一部に円周状に配置され、そしてガイドナット4と係合し、又は係合を解除するために、カップリング手段14の半径方向の凹部53を通過し得る。この実施態様によると、半径方向の凹部53の近辺でカップリング手段14の内側の一部が以下に説明する通り、半径方向の凹部53に向かってカップリング手段14の内部の狭い直径から広い直径への転移を提供するランプ64として設計される。
【0080】
図6Dは係合の解除状態を示し、ロッキング手段9のフック61は、ガイドナット4のノッチ58及び歯57との係合から外れている。図6Eは係合状態を示し、ロッキング手段9のフック61は、ガイドナット4のノッチ58及び歯57と係合する。
【0081】
ランプ64は、ロッキング手段9の少なくとも一部を円滑に受ける一種の角度のあるカットアウトを提供し(図6E参照)、そしてロッキング手段9が、カップリング手段14の壁上のフック61の自由端の鋭い端部で引掻くこと、及び、カップリング手段14を損傷することを阻止する。特に、ねじれモーメントは、薬物送達中又は薬物を送達しようと
試みる
間、しかし曲げられた針を有する間、ガイドナット4及びガイドナット4で案内されるピストンロッドの相互作用の間に起こり得る、それは増大した力の適用を意味する。これらのねじれモーメントは、ロッキング手段9及びフック61をアセンブリの軸から離れて半径方向の運動へ借り出し得る。この運動は、ガイドナット4からロッキング手段9の係合の解除に導かないが、ロッキング手段9とカップリング手段14の内壁の間での重い接触力を引き起こす。カップリング手段14の半径方向の凹部53近辺でカップリング手段14の上記で説明した角のあるランプ64に起因して、カンチレバー9の曲げられた端部のみが、そしてフック61の鋭い端部ではなく、カップリング手段14の内側の側壁に接触するようになり、重い接触力の効果が著しく作用し、そしてカップリング手段14の損傷が阻止される。
【0082】
図7は駆動アセンブリ1、即ち、カートリッジホルダ2及びハウジング3の一部の透視図を示し、ここでカートリッジホルダ2は、ハウジング3の遠位端においてハウジング3の開口部へ部分的に挿入される。図7は、更にその上、ハウジング3内に配置された図6Aに記載の、カップリング手段14及び取り付けデバイス10の組立てを示す。図7によると、カップリング手段は定位置にあり、ここで、ロッキング手段9は、図6Aの状況で説明する通り、ガイドナット4から係合を解除される。
【0083】
図7については、カートリッジホルダ2は、更に、上記で説明したカップリング手段14の第一の締結手段52及びカートリッジホルダ2の第二の締結手段63は、互いに相互作用し、そして係合するように、ハウジング3内へ動き得る。これは、駆動アセンブリのハウジング3内でカートリッジホルダ2を取り付けている間、カートリッジホルダ2の回転運動により引き起こされるカップリング手段14の回転運動に影響を与えるかもしれない。その結果、カートリッジホルダ2は、カートリッジホルダ2とロッキング手段9の間の仲介物として作用するカップリング手段14を介して、図6Aで描かれる通り、係合解除状態から係合状態へロッキング手段9を切り替えるためにカップリング手段14を作動し得る。カートリッジホルダ2をハウジング3に取り付けることにより、取り付けデバイス10のロッキング手段9とガイドナット4との係合が可能となり得る。カップリング手段14のカートリッジホルダ2との係合に基づき、カップリング手段14は、第一の位置から第二の位置へ切り替えられ得る。ここで、第一及び第二の位置は別個の安定な位置を表す。それ故、上記で説明する機構に従って、ハウジング3内でガイドナット4を回転固定する機構は、薬物送達用の薬物送達デバイスを準備するために確実で容易な方法で確立し得る。カートリッジホルダ2は、カートリッジホルダ2をハウジング3に取り付けるために、ハウジング3の内側に配置されたそれぞれの締結手段に対応して、ねじ山、バヨネットカップリングなどの締結手段を提供し得る。
【0084】
薬物送達デバイスは、更に、図8に対してより詳細に記載される。
【0085】
図8は薬物送達デバイス1の実施態様の断面図を示す。薬物送達デバイス1は、遠位端20及び近位端30を備えたボディ又はハウジング3、遠位端20における取り外し可能なカートリッジホルダ2を含む。ハウジング3は薬物送達デバイスの外部ハウジングを形成する。カートリッジホルダ2は、ハウジング3の一次部分のねじ山13に嵌合するねじ山12により取り付けられる。バヨネットジョイントなどのカートリッジホルダ2を締結する他の手段は除外されていない。カートリッジホルダ2は、薬物を含むカートリッジ6のために提供される。ピストン又は栓7は、薬物を放出するために使用されるカートリッジ6に配置される。遠位端20はノズル21を備えてもよく、それはニードルアセンブリの適用のためにねじ山を含む。
【0086】
薬物送達デバイス1は、ピストンロッド17を含む投与機構を含む。ピストンロッド1
7は遠位端を有し、それはハウジング3の遠位端20に最も近く、そして摩擦により引き起こされるかもしれない損傷を低下させるために、栓7とピストンロッド17の間に配置される栓7又はベアリング18を係合する。ピストンロッド17は、駆動デバイス、ノズル21を通してカートリッジ6から薬物を放出するために、遠位方向のカートリッジ6内で栓7を押すピストンロッド17を用いて遠位方向に、即ち、遠位端20に向かって可動である。ピストンロッド17の第一のねじ山15は、遠位端に向かって形成し、そしてピストンロッド17の第二のねじ山16は、ピストンロッド17の近位端近辺で形成される。第一のねじ山15及び第二のねじ山16は、この実施態様において、回転の反対方向である。これらのねじ山15、16の一つ又は両方がそれ自身他の機械的デバイスから、それ自身、公知のいわゆる多条ねじを形成するらせん心合わせ(helical alignment)における二つ又はそれ以上の単一ねじ山を含み得る。
【0087】
駆動ドライブは、ピストンロッド17がその中を動く管を形成する駆動スリーブ17を含む。駆動スリーブ19は、一般的に、円筒状であり、そして近位端で半径方向に伸びるフランジ23を運ぶベアリング22を備えているピストンロッド17の第二のねじ山16は、駆動スリーブ19に対してピストンロッド17のらせん相対運動を案内するために、駆動スリーブ19の内壁上の対応するねじ山に連結される。
【0088】
一般的に、円筒形状のクラッチ24は、駆動スリーブ19の周囲に配列し、そしてクラッチ24は、ユニット止め具又は端止め具28により、少なくとも部分的に囲まれる。クラッチ24は、駆動スリーブ19の近位端に隣接して位置する。鋸歯29は、クラッチ24の遠位端で方位配列し、そして更なる鋸歯31は、クラッチ24の近位端で方位配列する。クラッチ24は、駆動スリーブ19に対してクラッチ24の回転を阻止するスプラインにより、駆動スリーブ19にキーをかけられる。クラッチ24は、ナンバースリーブ又は用量ダイヤルスリーブ27の内面上の複数のスプラインを係合する複数の可撓性のアームを備えている。
【0089】
クラッチプレート25及び付勢部材26は、クラッチ24の遠位端と駆動スリーブ19の遠位端において半径方向に伸びるフランジの間に位置する。付勢手段26は、例えば、らせんスプリングであってもよい。クラッチプレート25は、ハウジング3に回転ロックされる。クラッチプレート25の近位面は、用量設定の動作中、クラッチ24の遠位端で、鋸歯29と相互作用する鋸歯を備えている。
【0090】
端止め具28は、駆動スリーブ19と用量ダイヤルスリーブ27の間に配列する。端止め具28は、ハウジング3に回転ロックされ、そしてハウジング3に対して軸方向に動くのは自由である。この実施態様において、端止め具28の外面は、らせん溝、又は用量ダイヤルスリーブ27のねじ付き挿入部33と係合するねじ山を備えている。挿入部33は、末端キャップ34を用いて用量ダイヤルスリーブ27内で保持され、それは用量ダイヤルスリーブ27に対して回転方向に、及び軸方向に両方ロックされる。端止め具28のスプラインは、クラッチプレート25に係合するために提供され得る。それ故、クラッチプレート25をハウジング3に対して回転ロックされる。
【0091】
用量ダイヤルスリーブ27は、ハウジング3に対して用量ダイヤルスリーブ27のらせん運動を案内する外らせんねじ41を備えている。用量ダイヤルグリップ46は、用量ダイヤルスリーブ27の近位端30に配列し、そして中央開口部を備える。ボタン49は薬物送達デバイス1の近位端30で提供される。ボタン49は用量ダイヤルグリップ46の中央の開口部を通して伸び、そして駆動スリーブ19のベアリング22に進入する。
【0092】
ピストンロッド17の第一のねじ山15は、ガイドナット4の穴5の内壁上のねじ山8により案内される。ガイドナット4は、ウェブ32及びカップリング手段14の一部を用
いてハウジング3に対する軸方向の運動を阻止する(詳細には図示されていない。図6Aの状況を参照されたい)。即ち、カップリング手段14の一部は、遠位方向でガイドナット14の軸方向の運動を阻止し、それにより、ウェブ32は、近位方向におけるガイドナット4の軸方向の運動を阻止する。ウェブ32は、ピストンロッド17の軸に対して横方向に、ハウジング3の内部容積内へ伸びるハウジング3の一体部分により形成されるインターフェース又は突出エレメントにより提供できる。ウェブ32は、代わりに、例えば、取り付けデバイス10のキャリア11の部分により、ハウジング3に締結される別個の構成部材により形成することができる(例えば、図5A参照)。ウェブ32の形体は、ハウジング3に対する近位方向における軸方向の移動に対してガイドナット4を固定するためのその機能でのみ制限される。この目的のために、ウェブ32は、図8から分かる通り、ガイドナット4の近位側面上に位置する部分を含む。
【0093】
ロッキング手段9は、ハウジング3の内壁上に、又はハウジング3に対して、例えば、取り付けデバイス10のキャリア11に対して静止する挿入部に取り付けることができる。カップリング手段14は、図6Aの状況で説明した原理に基づき、それがロッキング手段9を操作できるように配置される。特に、カートリッジホルダ2は、カートリッジホルダ2がねじ山12,13を用いてハウジング3をねじ締めするとき、カップリング手段14がカートリッジホルダ2の回転を介して回転し得るように、カップリング手段14と相互作用し得る。カートリッジホルダ2が取付けられるとき、ガイドナット4は、係合されたロッキング手段9により、ハウジング3に回転ロックされる。カートリッジホルダ2が除去されるとき、ガイドナット4は解放され、そしてハウジング3に対して回転が自由となる。
【0094】
ガイドナット4がハウジング3に対して回転ロックするとき、ピストンロッド17の動きが、ピストンロッド17の第一のねじ山15を係合するガイドナット4のねじ山8により案内される。それ故、ピストンロッド17の動きが、ハウジング3に対するらせん運動に制限される。ガイドナット4がハウジング3に対して回転ロックされないとき、ピストンロッド17の動きは、ガイドナット4により、最早、制限されない。ガイドナット4は、尚、カップリング手段14及びウェブ32のために、軸方向に動くことができないので、ピストンロッド17のハウジング3に対して軸方向のシフトは、ガイドナット4に対する対応するらせん運動を必要とする。らせん運動は容易に発生する。何故ならば、ガイドナット4のロッキング手段9からの係合の解除が、ガイドナット4をピストンロッド17の動きを許容する方法でハウジング3に対する低摩擦で以って、自由に回転することを可能とするからである。
【0095】
薬物送達デバイスの記載した実施態様の操作は、以下に説明されるであろう。
【0096】
送達すべき用量を設定するために、使用者はダイヤルグリップ46を回転し、それにより、用量ダイヤルスリーブ27を回転する。クラッチ24は、クラッチ24の近位端で鋸歯31を用いて、ダイヤルスリーブ27を係合する。クラッチ24及び駆動スリーブ19のこの係合及びスプライン係合は、クラッチ24を作り、そして駆動スリーブ19は、用量ダイヤルスリーブ27で回転する。クラッチプレート25は、クラッチ24の鋸歯29及びクラッチプレート25の鋸歯の接触を維持するために、付勢手段26によりクラッチ24に向かって押す。鋸歯のプロファイルは、クラッチ24及びクラッチプレート25の相対運動を可能にし、それはハウジング3に対して回転ロックし、そしてこの相対的な運動が設定操作の聴覚的及び触覚的フィードバックを提供する。それにより、用量のユニット又は特定のサブユニットの設定は、鋸歯がそれに応じてその位置を決めたかどうかを表示することができる。
【0097】
設定用量が大きければ大きいほど、用量ダイヤルスリーブ27がハウジング3から遠く
に動く。ハウジング3に対する用量ダイヤルスリーブ27の相対的運動は、らせん的である。何故ならばカップリングは、ねじ山を用いて影響を受けるからである。用量ダイヤルスリーブ27の外側らせんねじ山41のピッチ、ピストンロッド17の第二のねじ山16のピッチ、及び用量ダイヤルスリーブ27とピストンロッド17の間のカップリングは、ハウジング3に対して用量ダイヤルスリーブ27のらせん運動を可能にするように適合され、一方、ピストンロッド17をハウジング3に対して静止したままにしておく。ピストンロッド17は設定操作中、その位置に留まる。何故ならば、ピストンロッド17の動きは係合したガイドナット4により制限されるからである。
【0098】
用量ダイヤルスリーブ27連結されるがハウジング3に対して回転を阻止される、端キャップ28は、用量ダイヤルスリーブ27がハウジング3から回転するとき近位方向に動く。用量がカートリッジ6の残留投薬含量に等しく設定されるとき、端止め具28は、ピストンロッド17の停止手段36に隣接し、それは端止め具28及び、同時に、用量ダイヤルスリーブ27を、更に、近位方向に動かすことを阻止し、そして設定操作は停止される。
【0099】
設定用量が大きすぎる場合、設定操作は、反対方向に用量ダイヤルグリップ46を回転することにより修正される。クラッチ24の逆回転は、クラッチ24の鋸歯を、クラッチプレート25の鋸歯に重ねることになる。
【0100】
望ましい用量が設定されたとき、それはボタン49を遠位方向に押すことにより投薬できる。これはクラッチ24を用量ダイヤルスリーブ27に対して遠位方向に変位させ、それにより、クラッチ24及び、同時に、駆動スリーブ19を用量ダイヤルスリーブ27からカップリングを解除する。クラッチ24は、駆動スリーブ19に対して回転ロックされたままになる。用量ダイヤルスリーブ27は、ここで、駆動スリーブの回転又はらせん運動を引き起こさずに、自由に遠位方向にらせん状に戻る。クラッチ24の変位は、また、クラッチプレート25を、クラッチプレート25が駆動スリーブ19上のショルダに隣接するまで、付勢手段26に対して遠位方向に動かす。クラッチ24及びクラッチプレート25は、それにより、クラッチ24のクラッチプレート25に対する回転が阻止されるように係合する。その結果、クラッチ24及び駆動スリーブ19のハウジング3に対する回転が、また、阻止される。何故ならば、クラッチプレート25は、端止め具28を用いてハウジング3に対して回転ロックされるからである。クラッチプレート25、クラッチ24及び駆動スリーブ19は、共に遠位方向に動くが、しかし、ハウジング3に対して回転しない。
【0101】
駆動スリーブ19の運動は、駆動スリーブ19の内側ねじ山に係合する第二のねじ山16を用いて、ハウジング3に対してピストンロッド17のらせん運動を引き起こす。ピストンロッド17の運動が、また、ガイドナット4の内側ねじ山山8に係合する第一のねじ山15により案内され、及びガイドナット4が、いま、ロッキング手段9に係合し、その結果、ハウジング3に回転ロックされるので、ピストンロッド17のらせん運動がピストンロッド17を遠位方向に前進させる。第一のねじ山15及び第二のねじ山16のピッチ比は、投薬操作中、駆動スリーブ19が移動する距離とピストンロッド17がハウジング3に対して移動する距離の間での望ましい比率に従って選択できる。遠位方向における用量ダイヤルスリーブ27の運動が、端止め具28をハウジング2内のその初期位置に戻させる。
【0102】
カートリッジ6が空のとき、それは新しいものに置換されてもよい。この目的のために、カートリッジホルダ2は、ハウジング3から取り除かれ、空のカートリッジ6は、カートリッジホルダ2から取られて、そして新しいカートリッジが挿入される。カートリッジホルダ2がハウジング3に取り付けられる前に、ピストンロッド17は、始動位置にリセ
ットされ、それは、カートリッジホルダ2が取付けられるとき、栓7で占められる位置を見ることに適しており、そしてピストンロッド17を近位方向に戻すことを意味する。
【0103】
ピストンロッド17は、近位方向でリセットされる。ピストンロッド17の運動は、ガイドナット4及び駆動スリーブ19とそれぞれ係合する第一のねじ山15及び第二のねじ山16により制限される。ガイドナット4及び駆動スリーブ19の両方がハウジング3に対して静止するとき、ハウジング3に対するピストンロッド17の運動は可能ではない、何故ならば、第一のねじ山15及び第二のねじ山16が同一のピッチ及び回転方向を有しないからである。近位方向における軸方向の運動によるピストンロッド17のリセットは、ガイドナット4がハウジング3に対して回転が自由であるとき可能であり、それ故、位置に関係なく、ピストンロッド17に対してガイドナット4のらせん運動、及びハウジング3に対するピストンロッド17の運動も可能になる。
【0104】
従って、リセット動作は、ガイドナット4の解放により可能となる。カップリング手段14がカートリッジホルダ2により作動されるとき、ロッキング手段9は、カートリッジホルダ2がハウジング3に取り付けられない限り、カップリング手段14の相互作用に起因してガイドナット4からの係合を解除される。ピストンロッド17が近位方向にシフトするとき、ガイドナット4は、ピストンロッド17に対するガイドナット4の必要ならせん運動に従って回転する。ピストンロッド17がリセットされるとき、カートリッジホルダ2は、ハウジング3に取り付けられる。カップリング手段14は、カートリッジホルダ2の回転取り付け運動を介して回転し(図7参照)、そして、ガイドナット4がハウジング3に回転ロックされるように、ロッキング手段9がガイドナット4を係合することを可能にする。薬物送達デバイスは、その後、上記で記載した通り、更なる作動のために準備されている。
【0105】
ピストンロッド17のリセットは手動で行うことが可能であり、一方カートリッジホルダ2は完全に取り外されたまま留まっている。リセットは、近位端30に向かってピストンロッド17を押すことにより、又は重力がピストンロッド17をリセット位置まで動かすために、下方を指示する近位端30でデバイスを保持することにより達成できる。代わりに、ピストンロッド17は、カートリッジホルダ2が取り付けられ、そして近位端30に近づくとき、栓7でリセット位置に押される。
【0106】
カートリッジホルダ2がねじ山12を備えている場合、それは取り付け過程中、ハウジング3に対するカートリッジホルダ2の回転毎に、徐々に、そして確実に近位端30に接近する。ねじ山により発生するハウジング3に対するカートリッジホルダ2のらせん運動は、薬物送達デバイス1を使用する前に栓7をシフトさせるかもしれない栓7上に荷重を蓄積しない利点がある。カートリッジホルダ2がバヨネットカップリングを備えている場合、そしてカートリッジホルダ2の円滑な取り付けを制御するためのねじ山が存在しない場合、ピストンロッド17のリセットが、遠位端20に向かって栓7の早まったシフトを阻止する手段を用いて支持できる。
【0107】
薬物送達デバイスの実施態様は、駆動アセンブリを完全に明確にするために、図8と関連させて詳細に記載された。この実施態様の詳細は、全体として、本発明の特別の機能を表すものでなく、及び特許請求範囲の通り、本発明の範囲を制限するものでもない。駆動アセンブリ及び薬物送達デバイスの様々な改良、変更及び置換は、本発明の範囲内にある。
【0108】
薬物送達デバイスは、それらの内、カートリッジの容易な代替、及び、特に、ピストンロッドの容易なリセットを可能にする多くの利点を有する。リセット動作は、それ故、設定及び投与の操作に関する駆動機構の詳細により影響を受ける必要はない。ピストンロッ
ドは、従って、様々な機能を備え、及び様々な異なった実施態様を実現することができ、それらすべては、記載した通り、リセット動作を可能にする。本発明に記載の駆動アセンブリは、駆動機構及びピストンロッドの他の操作と独立して、リセット動作を提供する。
【0109】
参照番号:
1:薬物送達デバイス;
2:カートリッジホルダ;
3:ハウジング;
4:ガイドナット;
5:ガイドナットの穴:
6:カートリッジ:
7:栓;
8:ねじ山;
9:ロッキング手段;
10:取付けデバイス;
11:キャリア;
12:ねじ山;
13:ねじ山;
14:カップリング手段;
15:ピストンロッドの第一のねじ山;
16:ピストンロッドの第二のねじ山;
17:ピストンロッド;
18:ベアリング;
19:駆動スリーブ;
20:遠位端;
21:ノズル;
22:ベアリング;
23:フランジ;
24:クラッチ;
25:クラッチプレート;
26:付勢手段;
27:用量ダイヤルスリーブ;
28:端止め具;
29:クラッチの遠位端での鋸歯;
30:近位端;
31:クラッチの近位端での鋸歯;
32:ウェブ;
33:用量ダイヤルスリーブのねじ付きインサート
34:端キャップ;
36:ピストンロッドの停止手段;
41:用量ダイヤルスリーブの外側らせんねじ山;
46:用量ダイヤルグリップ;
49:ボタン;
50:保護キャップ;
51:付勢スプリング;
52:第一の締め付け部材;
53:半径方向凹部;
54:保持手段;
55:ランプ;
56:カップリング手段上の突出部;
57:歯;
58;ノッチ;
59:ロッキング手段上の突出部;
60:取付けデバイスの保持手段上の突出部;
61:フック;
61a、61b:正弦波ループ;
62:保持手段;
63:第二の締め付け部材;
64:ランプ;
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8