【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は請求項1に記載の駆動アセンブリ及び請求項16に記載の薬物送達デバイスにより達成される。更なる目的は、従属項に記載の変形、代替手段又は好ましい実施態様により達成される。
【0010】
駆動アセンブリは、ハウジング又はボディ、及び親ねじ又はピストンロッドを含み、ピストンロッドは薬物送達のために遠位方向に可動である。更にその上、駆動アセンブリは、親ねじナット、又はアセンブリの軸の周囲のハウジングに対して回転可能であり、ピストンロッドを案内するために提供されるガイドナットを提供する。ロッキング手段が提供され、ロッキング手段は、ガイドナットの回転を阻止するために、ロッキング手段がガイドナットと係合する係合状態をとることが可能となる。更に、ロッキング手段は、ガイドナットの回転を可能とするために、ロッキング手段がガイドナットから係合を解除する係合解除状態をとることが可能となる。更にその上、駆動アセンブリは、カップリング手段を提供し、カップリング手段は、ロッキング手段の係合状態と係合の解除状態の間で変化するためにロッキング手段との相互作用のために、アセンブリの軸の周囲のハウジングに対して回転可能である。
【0011】
開示された駆動アセンブリは、ガイドナット及びロッキング手段を別にして、二つの状態の間でロッキング手段の切り替えを可能とするそのような方法で、ロッキング手段と相互作用してもよいカップリング手段を提供する。その結果、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの良好な係合又はそれからの係合の解除を提供し得る。カートリッジホルダの不安定な取付け位置に起因するロッキング手段のガイドナットとの間違った係合は、その結果、阻止され得る。これは使用者の良好なデバイスの取扱いを支援し得る。
【0012】
ガイドナットは単一の構成部材であってもよく、又は二つ又はそれ以上の部材より成り得る。それは、本質的にピストンロッドの動きを案内するために形成され、ピストンロッドを連結するために、例えば、ねじ山を提供する。ガイドナットは、摩擦を用いて、又はガイドナット上の構造化面を用いて、駆動アセンブリの別の構成部材と係合するために提供されてもよく、それは一つ又はそれ以上のノッチ、歯、溝、スパイク、又は類似の構造エレメントを含み得る。
【0013】
ロッキング手段は、駆動アセンブリのハウジングに対してガイドナットの回転を阻止する方法でガイドナットと係合するのに適している、いかなる構成部材であってもよい。ロッキング手段は、個々の実施態様の要求性能に基づき、設計できる。それ故、ロッキング手段は、フック、つめを備えたカンチレバー又は板バネ構造、又は上記で説明したガイドナットの構造エレメントとの係合用の端部を含むことができる。更に、ロッキング手段は、ガイドナットに対して、及び/又は、カップリング手段に対して弾力的であり、又は弾力的に取り付けられる。
【0014】
ロッキング手段は、二つの状態を取り得る。第一の状態は、ロッキング手段がガイドナ
ットの回転を阻止するためにガイドナットを係合する係合状態を表す。この状態は、好ましくは、薬物の送達中に取られる。第二の状態は、ロッキング手段がガイドナットの回転を可能とするためにガイドナットとの係合を解除する係合解除状態を表す。この状態は、このましくは、上記で説明した通り、リセット動作中に取られる。
【0015】
カップリング手段は、ロッキング手段とガイドナットとの係合をもたらすのに好適ないかなる構成部材であってもよい。カップリング手段は、二つ又はそれ以上の部材から組立てられる一部材のみの形成が可能である。更に、ロッキング手段の状態、つまりガイドナットに対するロッキング手段の相対的位置を変更するのに好適ないかなる機械的方法でもロッキング手段を係合し、又は、連結することを設計できる。特に、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの係合が可能となり、又は阻止されるような方法で回転できる。ロッキング手段のガイドナットとの係合が阻止される場合において、ロッキング手段は、ガイドナットから解放され、そして、特に、リセット動作のために提供されるガイドナットの回転運動は可能となる。カップリング手段は、それ故、係合状態と係合解除の状態の間でロッキング手段の状態を変化させるために、ロッキング手段と相互作用し得る。
【0016】
好ましい実施態様において、カップリング手段は、第一の位置と第二の位置の間で回転可能であり、ここで、第一の位置において、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの係合を阻止し、そしてここで、第二の位置において、カップリング手段は、ロッキング手段のガイドナットとの係合を可能とする。その結果、カップリング手段の第一の位置は、ロッキング手段の係合状態を表し、それにより、カップリング手段の第二の位置は、ロッキング手段の係合の解除状態を表わす。好ましくは、カップリング手段は、第一と第二の位置の間の中間位置に静止することなく、第一の位置又は第二の位置に静止する。つまり、第一及び第二の位置は、カップリング手段の別個の状態を説明する。ここで、第一の位置において、ロッキング手段は、ガイドナットと明確に係合し、そしてここで、第二の位置において、ロッキング手段は、駆動アセンブリの間違った挙動が発生しないかもしれず、又は少なくとも低下し得るように、ガイドナットと、明確に、係合を解除する。
【0017】
上記で記載した通り、ロッキング手段は、好ましくは、薬物の送達中、ピストンロッドを遠位方向に動かすために、ガイドナットと係合する。つまり、ガイドナットは、ハウジングに対して回転固定し、そして、ピストンロッドを遠位方向における所定の運動に駆り立て得る。好ましくは、ロッキング手段は、リセット動作を可能にするために、ガイドナットから係合を解除し、それにより、ピストンロッドを遠位方向と反対の近位方向に動かし、ガイドナットは、ハウジングに対して回転を可能にする。ロッキング手段がガイドナットから係合を解除されるとき、ガイドナットは、駆動アセンブリの簡単で迅速なリセットを可能にするためにピストンロッドが、近位方向で軸方向に移動し得るように回転し得る。
【0018】
好ましくは、ロッキンブ手段は、ハウジングに対して回転固定する。いかなる状態又は位置に独立して、ロッキング手段はハウジングに対して回転固定して留まる。それ故、ハウジングに対するロッキング手段の回転により引き起こされるロッキング手段の位置の変化が起こらないかもしれない。また、ハウジングに対するガイドナットのいかなる回転運動も、従って、ガイドナットがロッキング手段に連結されるとき、特に、薬物送達の間で阻止され、ここで、ガイドナットは、ハウジングに対して回転固定して留まることが期待される。
【0019】
一つの実施態様によると、カップリング手段は、カートリッジホルダの一つ又はそれ以上の対応する第二の締め付け部材(fastening member)と係合するために、一つ又はそれ
以上の第一の締め付け部材を提供し、カップリング手段が、第一の締め付け部材の作動により回転可能である。カップリング手段の第一の締め付け部材は、それらが、カートリッジホルダが駆動アセンブリに組立てられるとき、少なくともカートリッジホルダの一部と相互作用し得るように設計される。つまり、第一の締め付け部材は、カートリッジホルダの第二の締め付け部材が第一の締め付け部材に繋がれ、そして、それと相互作用し得るように、駆動アセンブリのハウジングの開口部に向かって遠位方向に向かう。
【0020】
カートリッジホルダがアセンブリの遠位端上に取り付けられるとき、カップリング手段は、第一及び第二の締め付け部材の係合時におけるカートリッジホルダの回転取り付け運動により引き起こされた第一の締め付け部材を介して回転されることは、想定可能である。つまり、カップリング手段を介してロッキング手段の係合状態と係合の解除状態の間の切り替えが、カートリッジホルダの組立て中、回転取り付け運動により影響を受け得る。このように、ロッキング手段とガイドナットの間の係合は、カートリッジホルダを駆動アセンブリに取り付けることにより作動し得る。これに従って、カップリング手段が、カートリッジホルダとロッキング手段及びガイドナットの間の中間物として作用し得る。
【0021】
一つの実施態様によると、ガイドナットは、カップリング手段及びロッキング手段により、少なくとも部分的に囲まれる。特に、ロッキング手段は、係合状態と係合の解除状態の間での切り替え中、半径方向の運動を行うように設計される。カップリング手段の回転運動は、ロッキング手段の半径方向の運動に影響を与え得る。それ故、ロッキング手段は、ロッキング手段がカップリング手段の回転運動により引き起こされたアセンブリの軸に向かって半径方向に動くとき、ガイドナットと相互作用し得る。
【0022】
好ましくは、カップリング手段は、一つ又はそれ以上の半径方向の凹部を提供するリング形状部材として設計される。ロッキング部材は、カップリング手段の外部の少なくとも一部に円周状に配置され得る。この配置によると、ロッキング手段は、ガイドナットと係合するために、カップリング手段の半径方向の凹部を通過し得る。好ましくは、ロッキング手段は、アセンブリの軸に向かって半径方向に張力をかけられている、弾力的な部材又は弾力的に取り付けられた部材であり得る。これは、ロッキング手段の係合解除の間、カップリング手段は、ガイドナットとの係合の外へロッキング手段を保持する効果を有し、それにより、ロッキング手段の係合状態に切り替えるために、カップリング手段は、ロッキング手段がスプリング力により引き起こされたカップリング手段の凹部を通過するように駆り立てられ、そしてガイドナットと係合してもよいように、ロッキング手段を解放する。
【0023】
ロッキング手段の外部の少なくとも一部で円周状にカップリング手段を配置することも、また、想定可能である。この場合、ロッキング手段は弾力的であり、又は弾力的に取り付けられ、そしてアセンブリの軸から離れて半径方向に張力をかけられる。上記で説明した実施態様に反して、係合状態の間、カップリング手段は、ロッキング手段をスプリング力に抗してガイドナットと係合に駆り立てる、それにより、係合解除状態に切り替えるために、カップリング手段は、ロッキング手段をガイドナットとの係合から外へ解放し、ロッキング手段は、スプリング力により引き起こされた駆動アセンブリの軸から離れて、半径方向に、カップリング手段の半径方向の凹部を通過し、それによりガイドナットから係合を解除する。
【0024】
一つの実施態様によると、一つ又はそれ以上の半径方向の凹部の近辺でのカップリング手段の内部の一部は、一つ又はそれ以上の半径方向の凹部に向かうカップリング手段の内部の狭い直径より広い直径への転移を提供するランプとして設計される。ランプは 少なくともロッキング手段の一部分を滑らかに受け、そしてロッキング手段をカップリング手段の壁に鋭い端部で引掻き、そしてカップリング手段に損傷を与えることを阻止する、一
種の角度のあるカットアウトを提供する。特に、ねじれモーメントは、薬物送達の間、又は針がブロックされているときに薬物を送達しようと試みる間、ガイドナットで案内されたピストンロッドとの相互作用中、ガイドナット上で発生し得る、それは増大した力の適用を意味する。これらのねじれモーメントは、ロッキング手段をアセンブリの軸から離れて半径方向の運動へ駆り立てる。この運動はロッキング手段のガイドナットからの係合の解除をもたらさないが、ロッキング手段とカップリング手段の間の重い接触力を引き起こし、その効果は、カップリング手段の半径方向の凹部の近辺で、カップリング手段の上記で説明したランプ形状に起因して、顕著に弱体化される。加えて又はあるいは、ランプは、ロッキング手段が半径方向の外側に駆り立てられるとき、ロッキング手段とカップリング手段の間の接触が、ロッキング手段の鋭い端部とは異なるエリアで確立するような形状であってもよい。それにより、ロッキング手段の鋭い端部との接触によるカップリング手段の損傷が阻止できる。
【0025】
一つの実施態様によると、カップリング手段は、ハウジング内でカップリング手段を保持するために、そしてハウジングに対してカップリング手段の軸方向運動を阻止するために、一つ又はそれ以上の保持手段を含む。つまり、カップリング手段は、ハウジングに対してもっぱら回転可能であり、それにより、係合状態(ガイドナットとの係合)と係合の解除状態(ガイドナットとの係合の解除)の間でのロッキング手段を切り替えるためにロッキング手段を作動させる。
【0026】
別の実施態様によると、ロッキング手段は、キャリア(carrier)の反対側上に配置された二つの部材を含み、ここで、キャリアはハウジングに対して回転固定される。部材はキャリアの反対側に配置される二つのアーム又はカンチレバーとして設計してもよい。ロッキング手段は、ロッキング手段の一端がキャリアに固定され、そしてロッキング手段の他端が自由であるように設計してもよい。それぞれの自由端において、ロッキング手段は、対応するノッチ、又はガイドナットの空間との係合のために、端部、つめ、又はフックを備え得る。好ましくは、上記で説明した通り、ロッキング手段は、キャリアに弾力的に取り付けられる。このように、ロッキング手段は、キャリアの中心に向かってその上のフックを備えた自由端上で枢動してもよい。このように、ロッキング手段は、ガイドナットとの係合のために半径方向の運動を行ってもよい。
【0027】
一つの実施態様によると、カンチレバーの自由端は、少なくとも二つのリバースループを備えた正弦波形を提供し、ここで第一のループは、アセンブリの軸に向かって形作られ、そして端部、つめ、又はフックを形成し、ここで、第二のループは、アセンブリの軸から離れて形作られ、そしてカンチレバの自由端で終結し、第二のループは、ロッキング手段の係合状態において、カップリング手段の一部と少なくとも部分的に接触するように設計されている。この実施態様は、また、上記で説明した通り、ねじれモーメントの間、カップリング手段上で、ロッキング手段の一端の引掻きに起因するカップリング手段のいかなる損傷リスクなしでのロッキング手段とカップリング手段の間の安全な係合及び接触を提供し得る。
【0028】
駆動アセンブリの更なる実施態様において、ガイドナットは、ピストンロッドのカップリングのためにねじ山を含み、そしてガイドナットに対してピストンロッドのらせん運動を可能にする。それにより、らせん運動は、ピストンロッドの同時の軸方向及び回転方向の運動を含む。つまり、ピストンロッドは、所定の、例えば、らせん運動に従って薬剤の送達中、ガイドナットを通して、ねじ締めされる。
【0029】
駆動アセンブリは、更に、ピストンロッドを駆動するために駆動スリーブを含んでもよく、ここで、駆動スリーブは、ハウジング内に配置され、そして、更なるねじ山を用いてピストンロッドと連結される。好ましくは、ガイドナットのねじ山及び更なるねじ山は、
反対方向の回転を有する。クラッチは、駆動スリーブを、解放可能な手法でハウジングに対して回転ロックすることを可能にする駆動アセンブリ内で提供され得る。これは、軸に沿ったハウジングに対する駆動スリーブのシフトに影響を与えるかもしれず、駆動スリーブのシフトは、駆動スリーブがハウジングに対して回転ロックされ、そしてロッキング手段がガイドナットと係合するとき、ハウジングに対するピストンロッドのらせん運動に転換する。このように、ピストンロッドは、薬物送達のために、らせん運動に駆り立てられ得る。
【0030】
開示は、上記で説明した駆動アセンブリ及びカートリッジホルダを含む薬物送達デバイスに関する。カートリッジホルダは、アセンブリの遠位端上に解放可能に取り付けられもよく、そしてカップリング手段と係合してもよく、カップリング手段は、ロッキング手段が係合状態にあるようにロッキング手段と相互作用する。カートリッジホルダは、投薬すべき薬剤又は薬物を含むカートリッジを含んでもよい。
【0031】
薬物送達デバイスは、一般的に、薬物の用量を投薬するために設計された、使い捨て、又は、再使用可能デバイスであってよい。デバイスは、手動で、又は電気的に駆動するように設計してもよく、そして用量の設定のための機構を含んでもよい。デバイスは、更に、例えば、血糖値などの生理学的特性を監視するように設計してもよい。更にその上、前記デバイスは針を含んでもよく、又は針無しであってもよい。
【0032】
本明細書で使用する用語「薬物」又は「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、又はその断片、ホルモン、又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0033】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0034】
ヒトインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル
−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0035】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2配列のペプチドを意味する。
【0036】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH
2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0037】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0038】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0039】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又は硫酸化された、例えば、上記多糖類のポリ硫酸化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0040】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとして知られている球状の血漿蛋白質(〜150kDa)である。それらはアミノ酸残基に加えられた糖鎖を有するので、それらは糖蛋白質である。各抗体の基本的な機能ユニットは、免疫グロブリン(Ig)単量体(一つのIgユニットのみを含む)であり、分泌型抗体は、また、IgAとして二つのIgユニットを有する二量体型、硬骨魚IgMのような四つのIgユニットを有する四量体型又は哺乳類IgMのような五つのIgユニットを有する五量体型があり得る。
【0041】
Ig単量体は、四つのポリペプチド鎖:システイン残基の間のジスルフィド結合で結合した二つの同一の重鎖及び二つの同一の軽鎖から成る「Y」型分子である。各々の重鎖は、約440個のアミノ酸長であり、各々の軽鎖は、約220個のアミノ酸長である。各々の重鎖及び軽鎖は、それらの折り畳み構造を安定化させるために、分子内にジスルフィド結合を含む。各々の鎖は、Igドメインと呼ばれている構造ドメインより成り立っている。これらのドメインは、約70〜110個のアミノ酸を含み、そしてそのサイズ及び機能に基づき異なったカテゴリ(例えば、可変又はV、及び定常又はC)に分類される。それらは、二つのβシートが、保存されたシステインとその他の電荷アミノ酸の間の相互作用により一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0042】
α、δ、ε、γ及びμで指定される五つのタイプの哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプは、抗体のアイソタイプを定義し、これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM抗体中で見つかる。
【0043】
相異なる重鎖は、サイズ及び組成に異なり、α及びγは、約450個のアミノ酸を、そしてδは、約500個のアミノ酸を含み、一方、μ及びεは、約550個のアミノ酸を含む。各々の重鎖は、二つの領域、定常領域(C
H)及び可変領域(V
H)を有する。一つの種において、定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体においては本質的に同一である
が、しかし、異なったアイソタイプの抗体においては異なる。重鎖γ、α及びδは、三つのタンデム形のIgドメイン及び追加された可撓性のためにヒンジ領域より成る定常領域を有し、重鎖μ及びεは、4個の免疫グロブリン領域よりなる定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なったB細胞で生成された抗体において異なるが、単一のB細胞又はB細胞クローンにより生成された全ての抗体に対しては同一である。各々の重鎖の可変領域は、約110個のアミノ酸長であり、そして単一のIgドメインより成る。
【0044】
哺乳類において、λ及びκと指定される二タイプの免疫グロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は二つの連続したドメイン:一つの定常ドメイン(CL)及び一つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各々の抗体は、常に同一である二つの軽鎖を有し、軽鎖κ又はλの内、哺乳類の抗体当たり一タイプのみ存在する。
【0045】
全ての抗体の一般的構造は非常に類似しているが、所定の抗体のユニークな特性は、上記で定義した通り、変動領域(V)で決定される。より具体的には、可変のループ状で三つの軽鎖(VL)及び三つの重鎖(VH)は、抗原への結合、つまり、その抗原の特異性に原因がある。これらのループは、相補性決定領域(CDRs)として参照される。VH及びVLドメインからのCDRsは、抗原結合サイトに貢献するが、最終の抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、それぞれの単体のみではない。
【0046】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した通り、少なくとも一つの抗原結合フラグメントを含み、そしてフラグメントが誘導される完全な抗体と本質的に同一の機能及び特異性を示す。パパインによる限定された蛋白質消化は、Igプロトタイプを三つのフラグメントに切断する。それぞれ一つの完全なL鎖及び約半分のH鎖含む二つの同一アミノ末端フラグメントは、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、分子鎖間でジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第三のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、補体結合、及びFcr−結合サイトを含む。限定されたペプシンの消化は、両方のFabピース及びH−H分子鎖間ジスルフィド結合を有するヒンジ領域を含むF(ab′)
2フラグメントを生成する。F(ab′)
2は、抗原結合に対して二価である。F(ab′)
2のジスルフィド結合は、Fab′を得るために切断され得る。更に、重鎖と軽鎖の可変領域は、単一鎖可変フラグメント(scFv)を生成するために共に縮合できる。
【0047】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na
+、又は、K
+、又は、Ca
2+から選択されるカチオン又はアンモニウムイオンN
+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編,Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社, Easton, Pa., U.S.A., 1985及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0048】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0049】
上記で説明された機能、並びに、他の機能は、図面の以下の記載から明白になるであろう。同一エレメントは、同一の参照番号と関連している。