特許第6297513号(P6297513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297513付加機能を有するタイマー制御充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297513
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】付加機能を有するタイマー制御充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20180312BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H02J7/04 C
   H02J7/10 H
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-29955(P2015-29955)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-152728(P2016-152728A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム時計工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082784
【弁理士】
【氏名又は名称】森 正澄
(72)【発明者】
【氏名】坂口 弘明
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−275272(JP,A)
【文献】 特開平04−178123(JP,A)
【文献】 特開平01−144328(JP,A)
【文献】 特開2000−083325(JP,A)
【文献】 特開平11−308779(JP,A)
【文献】 特開2014−217242(JP,A)
【文献】 特開2006−042460(JP,A)
【文献】 特開昭64−047234(JP,A)
【文献】 特開平11−055868(JP,A)
【文献】 特開2012−005330(JP,A)
【文献】 特開2005−027435(JP,A)
【文献】 特開平07−284233(JP,A)
【文献】 特開2010−081790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電流が制限された電源を利用する充電システムであって、付加機能を有する充電池を充電するためのタイマー制御充電システムにおいて、
充電池と、
充電開始からの経過時間をカウントするタイマー機能を備えるとともに、前記充電池の電圧及び電源電圧の監視、並びに、充電電流の制御と監視を行うマイコンと、
切り替え動作により切り替えられる複数のモードを有する付加機能と、
前記切り替え動作により前記付加機能の前記モードの変更を行う付加機能回路と、
前記電源からの電流を前記充電池へ出力制御する充電制御回路と、
前記電源と前記充電池から供給される電流を択一的に切り替えて前記マイコン又は前記充電制御回路へ振り分けて出力する電源切替回路と、
を備え、
前記付加機能の前記モード前記マイコンで確認して当該モードにおける最大充電時間と充電電流最大値を設定し、更に前記マイコンのタイマー機能を用いて前記充電池の充電開始からの経過時間をカウントし、
前記付加機能の前記モードが変更された場合は、当該変更されたモードにおける充電電流および充電開始から当該モードに変更されるまでの前記カウントされた経過時間に基づき、前記充電電流最大値を変更するとともに、前記最大充電時間を切り替えることを特徴とする充電池のタイマー制御充電システム。
【請求項2】
前記付加機能の前記モードには、少なくとも当該付加機能のオン・オフのモードを含み、また、強・弱などのモードを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の電池のタイマー制御充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンやライトなどの付加機能を有する充電池のタイマー制御充電システムであって、例えば、USBポートなどの出力電流が制限された電源を利用する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のニッケル水素などの充電池の充電システムでは、−▲△▼(デルタ)V検出方式の充電方式を採用しているものが多い(例えば、特許文献1:特開2012−23849号公報)。また、過充電対策として、最大充電時間を設定するタイマー方式と併用しているものも多く見られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−23849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
USBポートなどの出力電流に制限のある電源では、ファンやライトなどの付加機能を有する機器を使用する場合、付加機能の消費電流と充電電流の合計値が電源の出力電流の規格値を超えないように充電電流を下げる必要がある。
【0005】
このようなファンやライトなどの付加機能を有する機器(充電地)において、付加機能の消費電流の影響により小さい電流で充電を行う場合、例えば、ファンなどで多量の電流を使用するなど残りの小さい電流で充電しなければならない場合は、−▲△▼(デルタ)V検出の満充電検出で満充電を検出できないことがある。
【0006】
また、タイマー制御で充電管理を行っている場合において、動作モードにかかわらず1つの最大充電時間で管理されていると、付加機能の消費電流で充電電流が変化した場合にも充電終了時間が変わらないため、過充電や、満足に充電できずに充電を終了してしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、付加機能の動作状態に応じて充電電流の最大値を設定し、充電電流が最大値を超えたり、電源電圧が降下しないようにマイコン制御することができる充電システムを提案するものである。
【0008】
更に、本発明は、充電開始直前の充電池電圧に応じて最大充電時間を設定することができる充電システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願第1請求項に記載した発明は、出力電流が制限された電源を利用する充電システムであって、付加機能を有する充電池を充電するためのタイマー制御充電システムにおいて、
充電池と、
充電開始からの経過時間をカウントするタイマー機能を備えるとともに、前記充電池の電圧及び電源電圧の監視、並びに、充電電流の制御と監視を行うマイコンと、
切り替え動作により切り替えられる複数のモードを有する付加機能と、
前記切り替え動作により前記付加機能の前記モードの変更を行う付加機能回路と、
前記電源からの電流を前記充電池へ出力制御する充電制御回路と、
前記電源と前記充電池から供給される電流を択一的に切り替えて前記マイコン又は前記充電制御回路へ振り分けて出力する電源切替回路と、
を備え、
前記付加機能の前記モード前記マイコンで確認して当該モードにおける最大充電時間と充電電流最大値を設定し、更に前記マイコンのタイマー機能を用いて前記充電池の充電開始からの経過時間をカウントし、
前記付加機能の前記モードが変更された場合は、当該変更されたモードにおける充電電流および充電開始から当該モードに変更されるまでの前記カウントされた経過時間に基づき、前記充電電流最大値を変更するとともに、前記最大充電時間を切り替える構成の充電池のタイマー制御充電システムである。
【0010】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、前記付加機能の前記モードには、少なくとも当該付加機能のオン・オフを含み、また、強・弱などのモードを備えた構成の電池のタイマー制御充電システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、付加機構の消費電流の影響で、−▲△▼(デルタ)V検出による満充電検出ができないような小さい充電電流で充電を行う場合でも、最大充電時間が設定されているので、タイマー制御で適切に過充電を防止することができる。
【0012】
また、付加機構の動作モード切り替えで充電電流が増減しても、それに応じた最大充電時間に切り替えることができるため、過充電や満足に充電できずに充電を終了してしまうことを防ぐことができる。
【0013】
上述の点を具体的な数値を用いて説明すると、例えば、USB電源ポートの出力電流(規格値:500mA)で、1Ah容量の充電池を満充電する場合は、500mAで2時間充電することとなる。ところが、付加機能(ファン:300mA)が設けられていて、充電開始後1時間してこのファンをオンにすると、500mA供給されていたものが、ファンで300mA取られて、充電に供する電流が200mAになってしまう。従来のようにこのまま当初の充電時間を続けると、残り1時間を200mAで充電することとなり、結果、充電池には700mAhしか充電できないことになる。
【0014】
また、当初からファンを作動させる場合において、1Ah容量の充電池を満充電する場合は、200mAで5時間充電することとなる。ところが、充電開始後1時間してこのファンをオフにすると、200mA供給されていたものが、ファンの停止で充電に供する電流が500mAとなり、従来のようにこのまま当初の充電時間を続けると、残り4時間を500mAで充電することとなり、結果、過充電されることになる。
【0015】
この点、本発明によれば、モード切り替えで充電電流が増減しても、それに応じた最大充電時間に切り替えることができるため、充電池の過充電を回避して当該充電池の保護がなされる。また、満足に充電できずに充電を終了してしまう事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係り、タイマー制御充電システムの構成図である。
図2】本発明の実施例に係り、充電動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の他の実施例に係り、充電動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本例の充電システムの構成を示す図で、この例では、パソコンなどの電源機器のUSBポートからの電源を利用している。
【0018】
USBポートの電源は、出力電流が制限されており、例えば、USB2.0では、5V、500mAの電力供給がなされる。尚、USB2.0のほか、USB3.0(5V、900mA)のものを使用することもできる。
【0019】
本例の充電システム構成1は、図1に示すように、電源機器100のUSBポートにUSBケーブルで接続される電源切替回路2、充電池3、タイマー機能を内蔵するマイコン4、付加機能(例えばファン)のモード変更を行う付加機能回路5、電源切替回路2から出力された電流を充電池3へ供給する充電制御回路6を備える。
【0020】
電源切替回路2は、前記USB電源と充電池3から供給される電流を択一的に切り替えてマイコン4又は充電制御回路6へ振り分けて出力する。
【0021】
充電池3は、ニッケル水素電池、リチウムイオン2次電池、ニッケルカドミウム電池などの適宜の電池を用いる。
【0022】
マイコン4は、充電開始からの経過時間をカウントするタイマー機能を備えて、充電池3の電圧及び電源電圧(USB電源)の監視、並びに、充電電流の制御と監視を行う。
【0023】
付加機能回路5においては、付加機能のモード(オン・オフ、強・弱など)の変更が、例えば切替スイッチによるオン・オフ操作又は強・弱などの複数モードの切替操作によって行われる。
【0024】
充電制御回路6は、前述したように、電源切替回路2から出力された電流を充電池3へ供給するものであり、その電流の出力はマイコン4により制御される。
【0025】
上記のように構成される本例の充電システムにおいては、前記付加機能モードを確認して最大充電時間と充電電流最大値を設定する。そして、前記付加機能モードが変更された場合は、当該変更されたモードに基づき、前記充電電流最大値を変更するとともに、前記最大充電時間を切り替えるように構成されている。
【0026】
以下、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0027】
USB電源から充電電流が供給されて電流充電動作が開始されると、ステップ110で付加機能モードを確認し、ステップ120で、この付加機能を用いた場合と用いない場合のいずれかにおける付加機能モードの最大充電時間を設定し、ステップ130で、同様に充電電流最大値Ithを設定する。
【0028】
ステップ140で充電を開始し、ステップ150で充電時間の計時を開始する。ステップ160で付加機能モードが変更されたか否かを判定する。
【0029】
付加機能モードが変更されたとき(すなわち、付加機能モードがオンであったものがオフに変更されたとき、あるいは、付加機能モードがオフであったものがオンに変更されたとき)は、ステップ170で充電電流最大値Ithを変更し、ステップ180で最大充電時間の切り替えを行う。そして、ステップ190で充電経過時間を算出し、ステップ200で、充電経過時間が最大充電時間以上であるか否かを判定する。
【0030】
一方、ステップ160で、付加機能モードが変更されていないときは、ステップ200で、充電経過時間が最大充電時間以上であるか否かを判定する。
【0031】
ステップ200において、充電経過時間が最大充電時間以上であるときは、ステップ210で充電を終了する。
【0032】
他方、ステップ200において、充電経過時間が最大充電時間を超えないときは、再びステップ160で付加機能モードが変更されたか否かを判定する。
【0033】
そして、以下、ステップ170へ移行して、その余の上述したステップを繰り返すか、あるいは、ステップ210へ移行して充電を終了する。
【0034】
前述の具体的な数値を用いて説明した事例の前者の場合、すなわち、USB電源ポートの出力電流(規格値:500mA)で、1Ah容量の充電池を満充電する場合は、最大充電時間を2時間に設定する。そして、そのときの最大電流を、500mAにして、本例の場合、これ以上の充電電流が流れないように設定する。これにより過充電がなされないように規制する。
【0035】
充電開始後1時間してこのファンをオンにすると、500mA供給されていたものが、ファンで300mA取られて、充電に供する電流が200mAになってしまい、このまま当初の充電時間を続けると、残り1時間を200mAで充電することとなり、結果、充電池には700mAhしか充電できないことになる点は、次のように改良される。
【0036】
ファンが起動して充電に供する電流が200mAになると、充電電流最大値を500mAから200mAに変更し、これに伴い、最大充電時間を、前記充電電流(500mA)と充電経過時間(1時間)に基づいて算出し、爾後、2.5時間に設定する。結果、充電池には1Ah充電される。
【0037】
また、前記事例の後者の場合、すなわち、当初からファンを作動させる場合において、1Ah容量の充電池を満充電する場合は、200mAで最大充電時間を5時間に設定する。そして、充電開始後1時間してこのファンをオフにすると、200mA供給されていたものが、ファンの停止で充電に供する電流が500mAとなり、このまま当初の充電時間を続けると、残り4時間を500mAで充電することとなり、結果、過充電される点は、次のように改良される。
【0038】
ファンが停止して充電に供する電流が500mAになると、充電電流最大値を200mAから500mAに変更し、これに伴い、最大充電時間を、前記充電電流(200mA)と充電経過時間(1時間)に基づいて算出し、爾後、1時間36分に設定する。結果、充電池には1Ah充電される。
【0039】
次に、図3のフローチャートのものを説明する。
【0040】
この例の充電システムは、前例のものに、充電開始直前の充電池の電圧を測定し、この充電池電圧に応じて最大充電時間と充電電流最大値を設定するように構成したものである。また、付加機能が例えばファンのみならず、ライトが備えられている場合のように、付加機能が複数設けられていたり、1つの付加機能に複数モードが設けられているものにも適用することが可能なように構成したものである。
【0041】
USB電源から充電電流が供給されて電流充電動作が開始されると、ステップ101で、充電池の電圧を測定する。更に、ステップ102で、付加機能各モードの最大充電時間を算出し、ステップ110で付加機能モードを確認する。以下、前例同様に、ステップ120で、この付加機能を用いた場合と用いない場合のいずれかにおける付加機能モードの最大充電時間を設定し、ステップ130で、同様に充電電流最大値Ithを設定する。ステップ140で充電が開始されると、以降は図2の場合と同じであるので、説明を省略する。
【0042】
以上のように、本各例の充電システムによれば、充電池の過充電を回避して当該充電池の保護がなされる。また、モード切り替で充電電流が増減しても、それに応じた最大充電時間に切り替えることができるため、満足に充電できずに充電を終了してしまう事態を回避することができる。
【0043】
上述した実施例では、パソコンなどの電源機器のUSBポートからの電源を利用した場合を例に採って説明したが、これに限られずに、出力電流が制限された電源機器一般のものを用いることができる。
【0044】
更に、本発明は、実施例で用いた付加機能に限らず適宜の付加機能を用いることができ、また、その他の付加機能付き二次電池を用いる携帯電話やスマートフォンなどにも応用することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の充電システムは、USBポートなどの出力電流が制限された電源を利用する充電システム一般に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 充電システム構成
2 電源切替回路
3 充電池
4 マイコン
5 付加機能回路
6 充電制御回路
100 電源機器
図1
図2
図3