特許第6297517号(P6297517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297517杭頭接合部材及びこれを用いた杭頭接合構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297517
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】杭頭接合部材及びこれを用いた杭頭接合構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20180312BHJP
   E02D 5/24 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   E02D27/12 Z
   E02D27/12 A
   E02D5/24
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-73296(P2015-73296)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191290(P2016-191290A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503425986
【氏名又は名称】ウイング工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】308023826
【氏名又は名称】株式会社テクノ九州
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】梅田 雅芳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳明
(72)【発明者】
【氏名】堀江 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 善輝
(72)【発明者】
【氏名】藤川 繁次
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−080135(JP,U)
【文献】 特開2009−002076(JP,A)
【文献】 実開昭58−054449(JP,U)
【文献】 特開2009−013652(JP,A)
【文献】 実開昭51−144910(JP,U)
【文献】 特開2002−212960(JP,A)
【文献】 特開2009−228313(JP,A)
【文献】 特開平10−252082(JP,A)
【文献】 米国特許第8572905(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/12
E02D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に装着される杭頭接合部材であって、
前記杭材の上端開口部からその一部を突出させた状態で当該杭材内へ挿入される本体部と、前記杭材の内部を横断方向に閉塞するため前記本体部に設けられた下部蓋体と、前記杭材の上端開口部に係合して前記本体部を所定位置に保持するため前記本体部に設けられたストッパ部と、を備え、前記本体部が複数の円形の貫通孔を有する矩形の平板体で形成され、前記ストッパ部が前記本体部の貫通孔を貫通して設けられるとともに前記ストッパ部の長さが前記杭材の外径より大であることを特徴とする杭頭接合部材。
【請求項2】
地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に装着される杭頭接合部材であって、
前記杭材の上端開口部からその一部を突出させた状態で当該杭材内へ挿入される本体部と、前記杭材の内部を横断方向に閉塞するため前記本体部に設けられた下部蓋体と、前記杭材の上端開口部にフランジ状に係合して前記本体部を所定位置に保持するため前記本体部に設けられた上部蓋体と、を備え、前記本体部が複数の円形の貫通孔を有する矩形の平板体で形成され、前記上部蓋体に前記杭材内部と外部とを連通可能な開口部を設け、前記本体部において前記上部蓋体と前記下部蓋体との間の部分にも前記貫通孔を有することを特徴とする杭頭接合部材。
【請求項3】
地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に装着される杭頭接合部材であって、
前記杭材の上端開口部から当該杭材内へ挿入される本体部と、前記杭材の内部を横断方向に閉塞するため前記本体部に設けられた下部蓋体と、前記杭材の上端開口部にフランジ状に係合して前記本体部を所定位置に保持するため前記本体部に設けられた上部蓋体と、を備え、前記本体部が複数の円形の貫通孔を有する矩形の平板体若しくは円筒体で形成され、前記上部蓋体に当該上部蓋体より上方へ起立した補強部を設け、前記上部蓋体若しくは前記補強部に前記杭材内部と外部とを連通可能な開口部を設けたことを特徴とする杭頭接合部材。
【請求項4】
前記補強部が、貫通孔を有する平板体若しくは筒状体、または複数の棒材で形成された請求項3記載の杭頭接合部材。
【請求項5】
地中に埋設された地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に、請求項1〜4のいずれかに記載の杭頭接合部材を装着して形成したことを特徴とする杭頭接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的大型のコンクリート構造物の基礎工事において、地中に埋設された杭材の頭部(杭頭)と、この杭頭の上方に構築される鉄筋コンクリート基礎部と、を接合する杭頭接合技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設され地面から突出した状態にある杭頭の上方に鉄筋コンクリート基礎部を構築する場合、従来、施工現場において、地面から突出した杭頭の外周に複数の定着鉄筋を溶接し、これらの周囲に型枠を形成した後、コンクリートを打設して、定着鉄筋と一体化させるという工法が採用されている。
【0003】
しかしながら、施工現場において溶接作業を行うのは非効率的であり、溶接不良が発生する可能性を否定できない。また、近年は、資格を有する溶接技能者の確保も困難となっている。そこで、施工現場における溶接作業を極力少なくした杭頭接合技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の「杭頭補強用鉄筋」は、地中に埋設されたコンクリートパイルと地盤に打設されたコンクリート基礎とを強固に接合することができる点において優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−13652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1期位歳の「杭頭補強用鉄筋」は配筋状態が複雑であるため、コンクリート基礎を構成する鉄筋の配筋が複雑となり、配筋作業性が悪い。また、この「杭頭補強用鉄筋」は配筋密度が高いので、鉄筋の使用量が多いという問題もある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、施工現場での溶接作業が不要で、施工が容易で、強固な杭頭接合構造を構築可能な杭頭接合技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の杭頭接合部材は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に装着される杭頭接合部材であって、
前記杭材の上端開口部からその一部を突出させた状態で当該杭材内へ挿入される本体部と、前記杭材の内部を横断方向に閉塞するため前記本体部に設けられた下部蓋体と、前記杭材の上端開口部に係合して前記本体部を所定位置に保持するため前記本体部に設けられたストッパ部と、を備え、前記本体部が複数の円形の貫通孔を有する矩形の平板体で形成され、前記ストッパ部が前記本体部の貫通孔を貫通して設けられるとともに前記ストッパ部の長さが前記杭材の外径より大であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の杭頭接合部材は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に装着される杭頭接合部材であって、
前記杭材の上端開口部からその一部を突出させた状態で当該杭材内へ挿入される本体部と、前記杭材の内部を横断方向に閉塞するため前記本体部に設けられた下部蓋体と、前記杭材の上端開口部にフランジ状に係合して前記本体部を所定位置に保持するため前記本体部に設けられた上部蓋体と、を備え、前記本体部が複数の円形の貫通孔を有する矩形の平板体で形成され、前記上部蓋体に前記杭材内部と外部とを連通可能な開口部を設け、前記本体部において前記上部蓋体と前記下部蓋体との間の部分にも前記貫通孔を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の杭頭接合部材は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に装着される杭頭接合部材であって、
前記杭材の上端開口部から当該杭材内へ挿入される本体部と、前記杭材の内部を横断方向に閉塞するため前記本体部に設けられた下部蓋体と、前記杭材の上端開口部にフランジ状に係合して前記本体部を所定位置に保持するため前記本体部に設けられた上部蓋体と、を備え、前記本体部が複数の円形の貫通孔を有する矩形の平板体若しくは円筒体で形成され、前記上部蓋体に当該上部蓋体より上方へ起立した補強部を設け、前記上部蓋体若しくは前記補強部に前記杭材内部と外部とを連通可能な開口部を設けたことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記補強部は、貫通孔を有する平板体若しくは筒状体、または複数の棒材で形成することができる。
【0011】
次に、本発明の杭頭接合構造は、地中に埋設された地面から突出した状態にある杭材の頭部である杭頭に、前述したいずれかの杭頭接合部材を装着して形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、施工現場での溶接作業が不要で、施工が容易で、強固な杭頭接合構造を構築可能な杭頭接合技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図2】本発明の第2実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図3】本発明の第3実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図4】本発明の第4実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図5】本発明の第5実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図6】本発明の第6実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図7】本発明の第7実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図8図7に示す杭頭接合部材を用いた杭頭接合構造を示す斜視図である。
図9】本発明の第8実施形態である杭頭接合部材を示す斜視図である。
図10図9に示す杭頭接合部材を用いた杭頭接合構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図10に基づいて、本発明の実施の形態である杭頭接合部材10,20,30,40,50,60,70,80及びこれを用いて構築した杭頭接合構造について説明する。
【0015】
図1に示す杭頭接合部材10は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着して杭頭接合構造を構築するための部材である。杭材1は、少なくとも杭頭1aの近傍に円筒形状部を有する長尺の部材である。
【0016】
杭頭接合部材10は、杭材1の上端開口部1bから当該杭材1内へ挿入される本体部11と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部11の下端部に設けられた下部蓋体12と、杭材1の上端開口部1b上にフランジ状に係合して本体部11を所定位置に保持するため本体部11の上端部に設けられた上部蓋体13と、を備えている。上部蓋体13の上面には、複数の円形の貫通孔Hを有する矩形の平板材で形成された複数の補強部14が、その長辺方向を垂直にした状態で、本体部11の軸心の周りに90度間隔で立設されている。なお、杭材1の内部を横断方向に閉塞する下部蓋体12とは、杭材1の内部に、杭材1の軸心と直交する方向に下部蓋体12を配置することをいう。
【0017】
本体部11は複数の貫通孔Hを有する円筒体で形成されている。下部蓋体12は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部11の下端部に本体部11と同軸をなすように取り付けられている。上部蓋体13は、円形の開口部13aを有する円環状の板材で形成され、本体部11の上端部に開口部13aを嵌合させた状態で固着されている。
【0018】
図1に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材10の下部蓋体12及び本体部11を挿入し、上部蓋体13で杭材1の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、杭頭接合構造を構築することができる。杭頭接合部材10を杭頭1aに装着したとき、杭材1の内部の下部蓋体12よりも上方の領域は、本体部11の貫通孔H及び本体部11の内部を介して、外部と連通している。
【0019】
図1に示す杭頭接合部材10は施工現場での溶接作業が不要であるため、施工が容易であり、強固な杭頭接合構造を構築することができる。
【0020】
次に、図2に示す杭頭接合部材20は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着して杭頭接合構造を構築するための部材である。杭頭接合部材20は、杭材1の上端開口部1bから当該杭材1内へ挿入される本体部21と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部21の下端部に設けられた下部蓋体22と、杭材1の上端開口部1b上にフランジ状に係合して本体部21を所定位置に保持するため本体部21の上端部に設けられた上部蓋体23と、を備えている。
【0021】
本体部21は複数の円形の貫通孔Hを有する円筒体で形成されている。上部蓋体23の上面には、本体部21と同じサイズの、複数の円形の貫通孔Hを有する円筒体で形成された補強部24が、本体部21と同軸をなすように連設されている。補強部24の上端は開口部24aとなっている。
【0022】
下部蓋体22は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部21の下端部に本体部21と同軸をなすように取り付けられている。上部蓋体23は、円形の開口部23aを有する円環状の板材で形成され、本体部21と補強部24との境界部に上部蓋体23が位置している。
【0023】
図2に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材20の下部蓋体22及び本体部21を挿入し、上部蓋体23で杭材11の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、杭頭接合構造を構築することができる。杭頭接合部材20を杭頭1aに装着したとき、杭材1の内部の、下部蓋体22よりも上方の領域は、補強部24の開口部24a及び補強部24の貫通孔Hを介して、外部と連通している。
【0024】
次に、図3に示す杭頭接合部材30は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着して杭頭接合構造を構築するための部材である。杭頭接合部材30は、杭材1の上端開口部1bから当該杭材1内へ挿入される本体部31と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部31の下端部に設けられた下部蓋体32と、杭材1の上端開口部1b上にフランジ状に係合して本体部31を所定位置に保持するため本体部31の上端部に設けられた上部蓋体33と、を備えている。
【0025】
上部蓋体33は、円形の開口部33aを有する円環状の板材で形成され、本体部31の上端部に開口部33aを嵌合させた状態で固着されている。上部蓋体13の上面には、複数の丸棒材34aを開口部33aの周りに等間隔に立設することにより補強部34が形成されている。
【0026】
本体部31は複数の貫通孔Hを有する円筒体で形成されている。下部蓋体32は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部31の下端部に本体部31と同軸をなすように取り付けられている。
【0027】
図3に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材30の下部蓋体32及び本体部31を挿入し、上部蓋体33で杭材11の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、杭頭接合構造を構築することができる。杭頭接合部材30を杭頭1aに装着したとき、杭材1の内部の、下部蓋体32よりも上方の領域は、本体部31の上端開口部31a及び本体部31の貫通孔Hを介して、外部と連通している。
【0028】
次に、図4に示す杭頭接合部材40は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着して杭頭接合構造を構築するための部材である。杭頭接合部材40は、杭材1の上端開口部1bから当該杭材1内へ挿入される本体部41と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部41の下端部に設けられた下部蓋体42と、杭材1の上端開口部1b上にフランジ状に係合して本体部41を所定位置に保持するため本体部41の上端部に設けられた上部蓋体43と、を備えている。本体部41は複数の貫通孔Hを有する矩形の平板材で形成されている。本体部41の短辺方向のサイズは杭材1の内径より小である。
【0029】
上部蓋体43は、円形の開口部43aを有する円環状の板材で形成され、本体部41の上縁部41aを開口部43a内に嵌合させた状態で固着されている。上部蓋体43の上面には、複数の円形の貫通孔Hを有する矩形の平板材で形成された複数の補強部44が、その長辺方向を垂直にした状態で、上部蓋体43の開口部43aの周りに90度間隔で立設されている。下部蓋体42は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部41の下縁部41bが下部蓋体42の直径に位置するような状態で固着されている。
【0030】
図4に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材40の下部蓋体42及び本体部11を挿入し、上部蓋体43で杭材11の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、杭頭接合構造を構築することができる。杭頭接合部材40を杭頭1aに装着したとき、杭材1の内部の下部蓋体42よりも上方の領域は、上部蓋体43の開口部43aを介して外部と連通している。
【0031】
次に、図5に示す杭頭接合部材50は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着して杭頭接合構造を構築するための部材である。杭頭接合部材50は、杭材1の上端開口部1bから当該杭材1内へ挿入される本体部51と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部51の下端部に設けられた下部蓋体52と、杭材1の上端開口部1b上にフランジ状に係合して本体部51を所定位置に保持するため本体部51の上縁部に設けられた上部蓋体53と、を備えている。本体部51は複数の円形の貫通孔Hを有する矩形の平板材で形成されている。
【0032】
上部蓋体53は、中央に円形の開口部53aを有する円環状の板材で形成されている。上部蓋体53の上面には、複数の円形の貫通孔Hを有する円筒体で形成された補強部54が、開口部53aと同軸をなすように取り付けられている。本体部51の上縁部51aの長さと、補強部54の外径と、上部蓋体53の開口部53aの内径と、は略同等である。上部蓋体53は、本体部51と補強部54との境界部に位置している。下部蓋体52は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部51の下縁部51bが下部蓋体52の直径に位置するような状態で固着されている。
【0033】
図5に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材50の下部蓋体52及び本体部51を挿入し、上部蓋体53で杭材11の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、杭頭接合構造を構築することができる。杭頭接合部材50を杭頭1aに装着したとき、杭材1の内部の、下部蓋体52よりも上方の領域は、上部蓋体53の開口部53a、補強部54の上方の開口部54a及び補強部54の貫通孔Hを介して外部と連通している。
【0034】
次に、図6に示す杭頭接合部材60は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着して杭頭接合構造を構築するための部材である。杭頭接合部材60は、杭材1の上端開口部1bから当該杭材1内へ挿入される本体部61と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部61の下端部に設けられた下部蓋体62と、杭材1の上端開口部1b上にフランジ状に係合して本体部61を所定位置に保持するため本体部61の上端部に設けられた上部蓋体63と、を備えている。本体部61は複数の円形の貫通孔Hを有する矩形の平板材で形成されている。
【0035】
上部蓋体63は、中央に円形の開口部63aを有する円環状の板材で形成され、本体部61の上縁部61aを開口部63a内に嵌合させた状態で固着されている。上部蓋体63の上面には、複数の丸棒材64aを開口部63aの周りに等間隔に立設することにより補強部64が形成されている。
【0036】
下部蓋体62は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部61の下縁部61bが下部蓋体62の直径に位置するように取り付けられている。本体部61の短辺方向のサイズは、杭材1の内径より小である。
【0037】
図6に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材60の下部蓋体62及び本体部61を挿入し、上部蓋体63で杭材1の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、杭頭接合構造を構築することができる。杭頭接合部材60を杭頭1aに装着したとき、杭材1の内部の、下部蓋体62よりも上方の領域は、上部蓋体63の開口部63aを介して、外部と連通している。
【0038】
次に、図7に示す杭頭接合部材70は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着され、図8に示すような杭頭接合構造700を形成するための部材である。杭頭接合部材70は、杭材1の上端開口部1bからその一部(上縁部71a側)を突出させた状態で当該杭材1内へ挿入される本体部71と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部71の下縁部71bに固着された下部蓋体72と、杭材1の上端開口部1bにフランジ状に係合して本体部71を所定位置に保持するため本体部71に係止部材74を介して取り付けられた上部蓋体73と、を備えている。
【0039】
本体部71は複数の円形の貫通孔Hを有する矩形の平板体で形成されている。上部蓋体73は、中央に開口部73aを有する円環状の平板材で形成されている。開口部73aの内径は杭材1の外径より小さく、本体部71の短辺方向のサイズは、開口部73aの内径より小である。係止部材74は、本体部71の長辺方向の中央付近に位置する貫通孔Hを貫通し、その両端部が上部蓋体73の上面に固着されている。
【0040】
下部蓋体72は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部71の下縁部71bが下部蓋体72の直径に位置するように取り付けられている。本体部71の短辺方向のサイズは、杭材1の内径よりも小である。
【0041】
図7に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材70の下部蓋体72及び本体部71を挿入し、上部蓋体73で杭材1の上端開口部1bを塞ぐように装着することにより、図8に示すような杭頭接合構造700を構築することができる。
【0042】
杭頭接合部材70を杭頭1aに装着したとき、本体部71の下縁部71b側の約半分の部分が杭材1の内部に位置し、本体部71の上縁部71a側の約半分の部分が杭材1の上端開口部1bから突出した状態となる。また、図8に示す状態にあるとき、杭材1の内部の、下部蓋体72よりも上方の領域は、上部蓋体73の開口部73aを介して、外部と連通している。
【0043】
次に、図9に示す杭頭接合部材80は、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに装着され、図10に示すような杭頭接合構造800を形成するための部材である。杭頭接合部材80は、杭材1の上端開口部1bからその一部(上縁部81a側)を突出させた状態で当該杭材1内へ挿入される本体部81と、杭材1の内部を横断方向に閉塞するため本体部81の下縁部81bに固着された下部蓋体82と、杭材1の上端開口部1bに係合して本体部81を所定位置に保持するため本体部81に設けられたストッパ部83と、を備えている。
【0044】
本体部81は複数の円形の貫通孔Hを有する矩形の平板体で形成されている。ストッパ部83は、本体部81の長辺方向の中央付近に位置する貫通孔Hを貫通する棒材で形成されている。ストッパ部83の長さは、杭材1の外径より大である。
【0045】
下部蓋体82は杭材1の内径より若干小さい外径を有する円形の板材で形成され、本体部81の下縁部81bが下部蓋体82の直径に位置するように取り付けられている。本体部81の短辺方向のサイズは、杭材1の内径よりも小である。
【0046】
図9に示すように、地中に埋設され地面から突出した状態にある杭材1の頭部である杭頭1aに杭頭接合部材80の下部蓋体82及び本体部81を挿入し、ストッパ部83の両端部を杭材1の上端開口部1bに載置するようにして、装着することにより、図10に示すような杭頭接合構造800を構築することができる。
【0047】
杭頭接合部材80を杭頭1aに装着したとき、本体部81の下縁部81b側の約半分の部分が杭材1の内部に位置し、本体部81の上縁部81a側の約半分の部分が、杭材1の上端開口部1bから突出した状態となる。杭材1の内部の、下部蓋体82よりも上方の領域は、杭材1の上端開口部1bを介して、外部と連通している。
【0048】
なお、図1図10に基づいて説明した杭頭接合部材10,20,30,40,50,60,70,80及び杭頭接合構造700,800などは、本発明を例示するものであり、本発明に係る杭頭接合部材10,20,30,40,50,60,70,80及びこれを用いた杭頭接合構造は前述した杭頭接合部材及び杭頭接合構造700,800などに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る杭頭接合部材及びこれを用いた杭頭接合構造は、オフィスビル、大型商業施設あるいは公共建造物などの鉄筋コンクリート構造物の基礎工事などにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 杭材
1a 杭頭
1b 上端開口部
10,20,30,40,50,60,70,80 杭頭接合部材
11,21,31,41,51,61,71,81 本体部
12,22,32,42,52,62,72,82 下部蓋体
13,23,33,43,53,63,73 上部蓋体
13a,24a,23a,33a,43a,53a,63a,73a 開口部
14,24,34,44,54 補強部
34a,64a 丸棒材
41a,51a,61a,71a,81a 上縁部
41b,51b,61b,71b,81b 下縁部
74 係止部材
83 ストッパ部
700,800 杭頭接合構造
H 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10