(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297529
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】インペラ、そのインペラの製造方法及びそのインペラを備える遠心ファン
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20180312BHJP
F04D 29/28 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
F04D29/62 C
F04D29/28 R
F04D29/28 C
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-207935(P2015-207935)
(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公開番号】特開2017-78393(P2017-78393A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2017年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】盧 波
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−154339(JP,A)
【文献】
特開平02−199300(JP,A)
【文献】
特開2007−120445(JP,A)
【文献】
特開平09−242692(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/002107(WO,A1)
【文献】
特開2010−180721(JP,A)
【文献】
実開昭56−139802(JP,U)
【文献】
特開2015−158165(JP,A)
【文献】
特開2009−257132(JP,A)
【文献】
特開2008−075626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28,29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1インペラと第2インペラを備えるインペラであって、
前記第1インペラは、第1面と、
前記第1面の反対側に位置する第2面と、
中央部に設けられた前記第1面及び前記第2面に開口する開口部と、を備え、
前記第2インペラは、
前記第2面と向かい合う第3面と、
前記第3面の反対側に位置する第4面と、
前記第3面に第1端が設けられた複数の羽根であって前記第1端の反対側に位置する第2端が前記第2面に接続された羽根と、を備え、
前記第1インペラは、
前記第2インペラと反対側に突出し、前記開口部に沿って設けられた突出部と、
前記突出部の外周側であって前記開口部側の前記第1面に形成された第1平面部と、を有し、
前記第2インペラは、前記第1平面部に対応する位置よりも外側に位置する前記第4面の外縁部に設けられ、前記第1インペラと反対側に突出する第2平面部を有するインペラ。
【請求項2】
前記第1平面部は、マイナスバランス調整を行う部分として用いることが可能であり、
かつ、
前記第2平面部は、マイナスバランス調整を行う部分として用いることが可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記第2インペラは、
中央部に設けられた開口部と、
前記第2インペラの前記開口部の周縁に形成され、前記第1インペラと反対側に伸びる周縁部と、
前記周縁部に設けられ、前記周縁部の周方向に配置されたロータヨークと一体化するための複数のピンと、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインペラ。
【請求項4】
複数の前記羽根の前記第1端と反対側に位置する前記第2端には、ガイド穴が設けられ、
前記ガイド穴に対応する前記第1インペラの前記第2面には、ガイドピンが設けられており、
前記第2端が前記第2面に接続された状態で前記ガイドピンは前記ガイド穴に挿入されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインペラ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインペラを備えた遠心ファン。
【請求項6】
第1インペラを準備する工程と、第2インペラを準備する工程と、前記第1インペラと前記第2インペラを一体化させる工程と、を含むインペラの製造方法であって、
前記第1インペラを準備する工程では、
第1面と、
前記第1面の反対側に位置する第2面と、
中央部に設けられた前記第1面及び前記第2面に開口する開口部と、
前記第2インペラと反対側に突出することになる前記開口部に沿って設けられた突出部と、
前記突出部の外周側であって前記開口部側の前記第1面に形成された第1平面部と、を備えた前記第1インペラが準備され、
前記第2インペラを準備する工程では、
前記第2面と向かい合うことになる第3面と、
前記第3面の反対側に位置する第4面と、
前記第3面に第1端が設けられた複数の羽根と、
前記第1平面部に対応する位置よりも外側に位置する前記第4面の外縁部に設けられ、前記第1インペラと反対側に突出することになる第2平面部と、を備えた前記第2インペラが準備され、
前記一体化させる工程は、 前記第1インペラの前記第2面に前記第2インペラの複数の前記羽根の前記第1端と反対側となる第2端の少なくとも一部を接続して前記第1インペラと前記第2インペラを一体化させる工程であり、
前記一体化させる工程では、前記第1インペラの前記第1平面部を前記第2インペラ側に押圧するとともに、前記第2インペラの第2平面部を前記第1インペラ側に押圧して、前記第1インペラと前記第2インペラを合わせた状態とされることを特徴とするインペラの製造方法。
【請求項7】
前記第2インペラを準備する工程では、
中央部に設けられた開口部と、
前記第2インペラの前記開口部の周縁に形成され、前記第1インペラと反対側に伸びる周縁部と、
前記周縁部に設けられ、前記周縁部の周方向に配置されたロータヨークと一体化するための複数のピンと、を備えた前記第2インペラが準備されることを特徴とする請求項6に記載のインペラの製造方法。
【請求項8】
複数の前記羽根の前記第2端には、ガイド穴が設けられており、
前記ガイド穴に対応する前記第1インペラの前記第2面には、ガイドピンが設けられており、
前記一体化させる工程は、前記ガイド穴にガイドピンを挿入するようにして、前記第1インペラと前記第2インペラを配置することを含む請求項6又は請求項7に記載のインペラの製造方法。
【請求項9】
前記一体化する工程が、前記ガイドピンを前記ガイド穴に圧入することを含む請求項8に記載のインペラの製造方法。
【請求項10】
前記一体化させる工程が、前記第1インペラと前記第2インペラを超音波溶着することを含む請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のインペラの製造方法。
【請求項11】
前記第1インペラの前記第2面には、複数の前記羽根の前記第1端と反対側に位置する第2端を収容する溝部が設けられており、
前記溝部に複数の前記羽根を位置させるように前記第1インペラと前記第2インペラを配置した後に前記超音波溶着が行われる請求項10に記載のインペラの製造方法。
【請求項12】
前記溝部の少なくとも一部には、前記第2端と当接する凸条部が設けられており、
少なくとも前記凸条部が前記超音波溶着による前記第1インペラと前記第2インペラの間の溶着部となる請求項11に記載のインペラの製造方法。
【請求項13】
前記一体化させる工程が、前記第1インペラの前記第2面に前記第2インペラの複数の前記羽根の前記第2端を接着剤で接着することを含む請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のインペラの製造方法。
【請求項14】
前記第1インペラの前記第2面には、複数の前記羽根の前記第1端と反対側に位置する前記第2端を収容するとともに接着剤の漏れを抑制する溝部が設けられており、
前記溝部で複数の前記羽根が接着される請求項13に記載のインペラの製造方法。
【請求項15】
前記第1平面部又は前記第2平面部の少なくとも一方の平面部の一部を削除することでマイナスバランス調整を行う工程を含む請求項6から請求項14のいずれか1項に記載のインペラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインペラ、そのインペラの製造方法及びそのインペラを備える遠心ファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円板状の主板と環状のシュラウドとの間に円周方向に多数の羽根を配設したインペラをケーシング内に格納し、吸込み口から吸入した空気を前記インペラの回転に伴う遠心作用による流体力で前記インペラの径外方に向けて吹き出してなる遠心ファンであって、前記環状のシュラウドは中央に円筒部を形成し、該円筒部の端からシュラウド外周部までの上面形状が曲率半径の異なった3つ以上の円弧、または高次関数によって表される曲面によって形成され、前記主板と前記羽根と前記シュラウドとで囲まれた空気流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成し、該最小部から前記シュラウドの外周部までの前記空気流路の断面積が漸増していることを特徴とする遠心ファンが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012―207600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、遠心ファンのインペラは射出成形などによって、主板、羽根及びシュラウドが一体成形されるため、型を抜くことなどを考慮すると、例えば、羽根などをあまり複雑な構造とすることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複雑な構造であっても簡単に構成することができるインペラ、そのインペラの製造方法及びそのインペラを備える遠心ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明のインペラは、第1インペラと第2インペラを備えるインペラであって、前記第1インペラは、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、中央部に設けられた前記第1面及び前記第2面に開口する開口部と、を備え、前記第2インペラは、前記第2面と向かい合う第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面に第1端が設けられた複数の羽根であって前記第1端の反対側に位置する第2端が前記第2面に接続された羽根と、を備え、前記第1インペラの前記第1面は、前記開口部側の内周面に設けられた第1平面部を有し、前記第2インペラの前記第4面は、外縁部に設けられた第2平面部を有する。
(2)上記(1)の構成において、複数の前記羽根の前記第1端と反対側に位置する前記第2端には、ガイド穴が設けられ、前記ガイド穴に対応する前記第1インペラの前記第2面には、ガイドピンが設けられており、前記第2端が前記第2面に接続された状態で前記ガイドピンは前記ガイド穴に挿入されている。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記第1平面部又は前記第2平面部がマイナスバランス調整に用いられている。
(4)本発明の遠心ファンは、上記(1)から(3)のいずれか1つの構成を有するインペラを備えている。
【0007】
(5)本発明のインペラの製造方法は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、中央部に設けられた前記第1面及び前記第2面に開口する開口部と、を備え、前記第1面の前記開口部側の内周面に設けられた第1平面部を有する第1インペラを準備する工程と、前記第2面と向かい合う第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面に第1端が設けられた複数の羽根と、を備え、前記第4面の外縁部に設けられた第2平面部を有する第2インペラを準備する工程と、前記第1インペラの前記第2面に前記第2インペラの複数の前記羽根の前記第1端と反対側となる第2端の少なくとも一部を接続して前記第1インペラと前記第2インペラを一体化させる工程と、を含む。
(6)上記(5)の構成において、前記一体化させる工程では、前記第1インペラの前記第1平面部を前記第2インペラ側に押圧するとともに、前記第2インペラの第2平面部を前記第1インペラ側に押圧して、前記第1インペラと前記第2インペラを合わせた状態にする。
(7)上記(5)又は(6)の構成において、複数の前記羽根の前記第2端には、ガイド穴が設けられており、前記ガイド穴に対応する前記第1インペラの前記第2面には、ガイドピンが設けられており、前記一体化させる工程は、前記ガイド穴にガイドピンを挿入するようにして、前記第1インペラと前記第2インペラを配置することを含む。
(8)上記(7)の構成において、前記一体化する工程が、前記ガイドピンを前記ガイド穴に圧入することを含む。
(9)上記(5)から(8)の構成において、前記一体化させる工程が、前記第1インペラと前記第2インペラを超音波溶着することを含む。
(10)上記(9)の構成において前記第1インペラの前記第2面には、複数の前記羽根の前記第1端と反対側に位置する第2端を収容する溝部が設けられており、前記溝部に複数の前記羽根を位置させるように前記第1インペラと前記第2インペラを配置した後に前記超音波溶着が行われる。
(11)上記(10)の構成において、前記溝部の少なくとも一部には、前記第2端と当接する凸条部が設けられており、少なくとも前記凸条部が前記超音波溶着による前記第1インペラと前記第2インペラの間の溶着部となる。
(12)上記(5)から(8)のいずれか1つの構成において、前記一体化させる工程が、前記第1インペラの前記第2面に前記第2インペラの複数の前記羽根の前記第2端を接着剤で接着することを含む。
(13)上記(12)の構成において、前記第1インペラの前記第2面には、複数の前記羽根の前記第1端と反対側に位置する前記第2端を収容するとともに接着剤の漏れを抑制する溝部が設けられており、前記溝部で複数の前記羽根が接着される。
(14)上記(5)から(13)のいずれか1つの構成において、前記第1平面部又は前記第2平面部の少なくとも一方の平面部の一部を削除することでマイナスバランス調整を行う工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複雑な構造であっても簡単に構成することができるインペラ、そのインペラの製造方法及びそのインペラを備える遠心ファンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態の遠心ファン1の断面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態のインペラの断面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態のインペラの分解断面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の第1インペラの第2面を見る斜視図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の第1インペラ側を主に見たインペラの斜視図である。
【
図6】本発明に係る実施形態の第2インペラ側を主に見たインペラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0011】
図1は、本発明に係る実施形態の遠心ファン1を示す断面図である。
図1に示すように、遠心ファン1は、インペラ10と、モータ部20と、インペラ10の上下に設けられるケース(上ケース41及び下ケース42)と、を備えている。
【0012】
後ほど詳細に説明するが、インペラ10は、第1インペラ11と第2インペラ15と、を備え、第1インペラ11と第2インペラ15とが一体化されている。
【0013】
モータ部20は、ステータ21とステータ21の外周に配置されるロータ22と、を備えている。
ロータ22は、中央に配置され、ステータ21に対して回転可能に設けられたシャフト221と、シャフト221とともに回転可能にシャフト221に接続されたロータヨーク222と、ロータヨーク222の内周面に設けられたロータマグネット223と、を備えている。
【0014】
そして、ロータヨーク222がインペラ10の第2インペラ15に後述するようにカシメ止めされており、ロータ22がシャフト221を中心に回転するとインペラ10もロータ22とともに回転するようになっている。
【0015】
図2はインペラ10だけを示したインペラ10の中央を通る断面図であり、
図3は
図2と同様の断面図であるが、第1インペラ11と第2インペラ15を離間させた状態としたインペラ10の分解断面図である。
【0016】
図3に示すように、第1インペラ11は、第1面11aと、第1面11aの反対側に位置する第2面11bと、中央部に設けられた第1面11a及び第2面11bに開口する開口部11cと、を備えた略円盤状に形成された部材である。
そして、第1インペラ11の第1面11aは、開口部11c側の内周面に設けられた第1平面部12を有している。
【0017】
一方、第2インペラ15は、第1インペラ11の第2面11bと向かい合う第3面15aと、第3面15aの反対側に位置する第4面15bと、第3面15aに第1端16aが設けられた複数の羽根16であって第1端16aの反対側に位置する第2端16bが、第1インペラ11の第2面11bに接続される羽根16と、を備えている。
【0018】
また、第2インペラ15の第4面15bは、外縁部に設けられた第2平面部17を有しており、第1インペラ11と同様に中央部には開口部18が設けられている。
この開口部18の周縁には、下側(第1インペラ11と反対側)に伸びる周縁部18aが形成されており、この周縁部18aには周方向に略均等間隔に配置されたカシメ用のピン18bが例えば11本配置されている。
【0019】
一方、
図1に示すロータヨーク222のフランジ部222aには、カシメ用のピン18bに対応する図示しない穴が設けられており、この穴にカシメ用のピン18bが挿入された後、カシメられることで、上述したようにロータヨーク222とインペラ10とが一体化される。
【0020】
ここで、
図3を見るとわかるように、複数の羽根16は、開口部18側から外側に向かって直線状ではなく、途中で折れ曲る形状(くの字状)になっているため、
図2に示すような第1インペラ11と第2インペラ15とが一体となるように一体形成するようにすると、この羽根16の間の空間を形成するための金型部分を形成後に取外すことが難しく、一体成形することが困難な形状をしている。
【0021】
しかしながら、本実施形態のように、第1インペラ11と第2インペラ15を別々に成形するようにすると、複雑な羽根形状を有していても、第2インペラ15を上下で挟むような金型を用いることで簡単に形成することができる。
【0022】
一方、このように第1インペラ11と第2インペラ15とを別々に成形すると、それらを一体化する必要があり、以下、簡単に良好な一体化が行えるようにするための構成について説明する。
【0023】
図4は、第1インペラ11の第2面11bを見るようにした斜視図である。
図4に示すように、第2面11bには、複数の羽根16の第2端16b(
図3参照)を収容する溝部13が設けられている。
【0024】
また、溝部13の中央には、ガイドピン13aが設けられており、一方、
図3に示すように、複数の羽根16の第2端16bには、ガイドピン13aに対応するガイド穴16cが設けられている。
【0025】
したがって、このガイド穴16cにガイドピン13aを挿入するように第1インペラ11を第2インペラ15に合わせるようにするだけで位置合わせができるようになっている。
【0026】
なお、このガイドピン13aを圧入嵌合できるサイズにしておけば、ガイド穴16cにガイドピン13aを圧入するようにするだけで、第1インペラ11と第2インペラ15とを一体化することが可能である。
つまり、第1インペラ11と第2インペラ15の一体化は、第2端16bの少なくとも一部が第1インペラ11の第2面11bに圧入で接続されたものであってもよい。
【0027】
また、このような圧入嵌合としても、羽根16の第2端16bが溝部13内に位置するため、羽根16の第2端16bと第1インペラ11の第2面11bとの間に空気が逃げるような隙間ができることが抑制される。
但し、溝部13がなくても空気が逃げるような隙間ができないような羽根16の第2端16bと第1インペラ11の第2面11bとの接触ができていれば問題がないため、溝部13は必須の構成ではない。
【0028】
一方、よりしっかりと第1インペラ11と第2インペラ15とを一体化するために圧入嵌合に加え、羽根16の第2端16bと第1インペラ11の第2面11bの間を接着剤で接着するようにしてもよく、また超音波溶着するようにしてもよい。
【0029】
例えば、接着剤で接着する場合には、溝部13内に接着剤を塗布し、前述のように、第1インペラ11と第2インペラ15とを合わせるようにすればよい。
ここで、溝部13を羽根16の第2端16bの外形より少し大きめにしておけば、接着剤が溝部13から外側に漏れることが抑制できるので好適である。
【0030】
また、例えば、超音波溶着を行う場合には、
図4に示すように、溝部13内の一部に線状に出っ張る凸条部14を設けておくことが好ましい。
このように凸条部14を設けておくと、第1インペラ11と第2インペラ15とを合わせた状態で超音波溶着を行うと、凸条部14の部分が効率よく溶融され、溝部13内に広がって、しっかりとした溶着部を容易に形成することができる。
なお、超音波溶着以外の固定の場合、つまり、圧入嵌合や接着固定の場合には、この凸条部14は不要であり、凸条部14があるとかえって正確な固定が行い難くなる。
【0031】
そして、超音波溶着の場合も、溝部13を羽根16の第2端16bの外形より少し大きめにしておけば、溶融した材料がはみ出てバリになることが抑制されるため好適である。
【0032】
なお、上記では、圧入嵌合に加えて、接着固定や超音波溶着を行う場合について述べたが、接着固定や超音波溶着を行う場合には、ガイドピン13a及びガイド穴16cがなくとも固定が可能であるため、接着固定や超音波溶着を行う場合には、ガイドピン13a及びガイド穴16cは必須の構成というわけではなく、当然、ガイドピン13aをガイド穴16cに圧入する圧入嵌合を行う必要もない。
しかしながら、接着固定や超音波溶着を行う場合であっても、第1インペラ11と第2インペラ15との位置合わせのし易さなどを考えると、圧入嵌合できる形状とする必要はないが、ガイドピン13a及びガイド穴16cが設けられていることが好ましい。
【0033】
ところで、圧入嵌合、接着固定、及び、超音波溶着のいずれの方法で第1インペラ11と第2インペラ15の固定を行う場合であっても、第1インペラ11と第2インペラ15を合わせるようにして押圧保持する作業が発生する。
【0034】
そこで、
図3を参照して説明したように、第1インペラ11には、開口部11c側の内周面に設けられた第1平面部12を形成し、第2インペラ15には、外縁部に設けられた第2平面部17を形成するようにしている。
【0035】
このような第1平面部12及び第2平面部17を設けるようにすると、第1インペラ11と第2インペラ15とを一体化させる工程で、第1インペラ11の第1平面部12を第2インペラ15側に押圧するとともに、第2インペラ15の第2平面部17を第1インペラ11側に押圧して、第1インペラ11と第2インペラ15をしっかりと合わせた状態に押圧保持することが可能である。
【0036】
例えば、このように押圧し易い平面部があることで圧入嵌合に必要な押圧力を得やすく、また、接着固定や超音波溶着の場合にも一体化するまでの間、第1インペラ11と第2インペラ15とが位置ズレしないようにしっかり合わせた状態に保持することができる。
【0037】
一方、
図1に示す遠心ファン1は、インペラ10が回転することで上側から、つまり、
図3に示した第1インペラ11の開口部11cから空気を取込み、羽根16によってインペラ10の側方に空気が送り出されるが、重量バランスが悪いとインペラ10が振動して騒音の原因になるため、インペラ10の重量バランスが重要である。
【0038】
そこで、
図5、
図6に示すようにすることで、インペラ10の重量バランスを調整するのが好適である。
【0039】
図5は、インペラ10の第1インペラ11側を主に示す斜視図であり、ロータ22をインペラ10に取付けた状態を示している。
図5に示すように、第1インペラ11の第1平面部12に複数の円形の研削部12aを形成することで周方向に均一な重量バランスを実現するように調節することが可能である。
つまり、この第1平面部12は、一部を研削することで部分的に重量を減らすマイナスバランス調整を行う部分に用いることも可能である。
なお、上記では、研削部12aは円形に材料を削除している場合を示しているが、円形に材料を削除することに限定されるものではなく、また、研削部12aは複数に限らず1つでもよい。
【0040】
同様に、
図6は、インペラ10の第2インペラ15側を主に示す斜視図であり、ロータ22をインペラ10に取付けた状態を示している。
上述したように、第2インペラ15も第2平面部17を有しているので、
図6に示すように、第2インペラ15の第2平面部17に複数の円形の研削部17aを形成することで周方向に均一な重量バランスを実現するように調節することが可能である。
つまり、この第2平面部17も一部を研削することで部分的に重量を減らすマイナスバランス調整を行う部分に用いることも可能である。
【0041】
なお、上記では、研削部17aは円形に材料を削除している場合を示しているが、円形に材料を削除することに限定されるものではなく、また、研削部17aは複数に限らず1つでもよい。
また、マイナスバランス調整に際しては、第1平面部12だけを研削するようにしてもよく、第2平面部17だけを研削するようにしてもよく、第1平面部12及び第2平面部17の両方を研削するようにしてもよい。
【0042】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0043】
1…遠心ファン、10…インペラ、11…第1インペラ、11a…第1面、11b…第2面、11c…開口部、12…第1平面部、12a…研削部、13…溝部、13a…ガイドピン、14…凸条部、15…第2インペラ、15a…第3面、15b…第4面、16…羽根、16a…第1端、16b…第2端、16c…ガイド穴、17…第2平面部、17a…研削部、20…モータ部