(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297568
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】トリム部品とレーダセンサとを有する装置、自動車、および装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20180312BHJP
G01S 13/93 20060101ALI20180312BHJP
B60R 19/48 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
G01S7/03 240
G01S7/03 246
G01S13/93 220
B60R19/48 B
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-530337(P2015-530337)
(86)(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公表番号】特表2015-534052(P2015-534052A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013066957
(87)【国際公開番号】WO2014037194
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】102012017669.4
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100153914
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 勝己
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、シャーフ
【審査官】
中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−231041(JP,A)
【文献】
特開2004−325160(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/141210(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102004033760(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S13/00−13/95
B60R19/00−21/13
H01Q 1/00− 1/52
H01Q15/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパを有するトリム部品(4)と、目標物(12a、12b)を検出するために、前記トリム部品(4)を通して電磁波を放射し且つ前記目標物(12a、12b)からの放射エコーを受信するように設計されるレーダセンサ(5、6)と、を有する、自動車(1)用装置(3)であって、前記レーダセンサ(5、6)は、方位角検出角度(φ)であって、前記方位角検出角度により前記レーダセンサ(5、6)の前記方位角方向の視野(9、10)が規定される前記方位角検出角度(φ)を有し、前記レーダセンサ(5、6)は前記トリム部品(4)の後側(31)から距離(32)を置いて配設され、その結果、前記レーダセンサ(5、6)の前記方位角の視野(9、10)が交差領域(33)において前記トリム部品(4)と交差し、
前記方位角検出角度(φ)の外側の干渉波を吸収するために、吸収材料(36)が前記方位角方向における前記交差領域(33)の外側で前記トリム部品(4)の前記後側(31)に塗布され、前記交差領域(33)が吸収材料(36)を含まず、
前記装置(3)は、前記干渉波を吸収するための吸収素子(38)をさらに有し、前記吸収素子(38)は、前記レーダセンサ(5、6)のレドーム(30)の縁部領域(39)および前記吸収材料(36)に当接することを特徴とする、自動車(1)用装置(3)。
【請求項2】
前記吸収材料(36)が、前記方位角方向における前記交差領域(33)の縁部に直接隣接することを特徴とする、請求項1に記載の装置(3)。
【請求項3】
前記方位角方向では、前記吸収材料(36)が、前記交差領域(33)の両側で前記トリム部品(4)の前記後側(31)に塗布されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(3)。
【請求項4】
前記レーダセンサ(5、6)は、仰角方向における所定の検出角度を更に有し、前記検出角度によって前記レーダセンサ(5、6)の前記仰角方向の視野が規定され、前記視野が前記仰角方向における前記交差領域(33)の境界を定め、前記吸収材料(36)が、前記仰角方向における前記交差領域(33)の外側で前記トリム部品(4)の前記後側(31)にも塗布されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(3)。
【請求項5】
前記吸収材料(36)が、前記交差領域(33)を囲む表面を形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(3)。
【請求項6】
前記交差領域(33)から開始する前記吸収材料(36)の前記方位角方向の広がりが、5cmよりも大きいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(3)。
【請求項7】
前記レーダセンサ(5、6)と前記トリム部品(4)の前記後側(31)との間の前記距離(32)がλ/2よりも大きく、λが前記電磁波の波長を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(3)。
【請求項8】
前記方位角検出角度(φ)が、140°〜170°の値の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置(3)。
【請求項9】
前記吸収素子(38)は、第1の端部(40)が前記レドーム(30)の外周の周りに係合しかつ第2の端部(41)が前記吸収材料(36)に当接する円周カラーとして具体化されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(3)。
【請求項10】
前記吸収素子(38)が、弾性材料で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(3)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置(3)を有する自動車(1)。
【請求項12】
バンパを有するトリム部品(4)を利用可能にすること、及び、目標物(12a、12b)を検出するために、前記トリム部品(4)を通して電磁波を放射しかつ目標物(12)からの放射エコーを受信するレーダセンサ(5、6)を利用可能にすることによる自動車(1)用装置(3)の製造方法であって、前記レーダセンサ(5、6)は、方位角検出角度(φ)であって、前記方位角検出角度(φ)により前記レーダセンサ(5、6)の前記方位角方向の視野(9、10)が規定される前記方位角検出角度(φ)を有し、前記レーダセンサ(5、6)は前記トリム部品(4)の後側(31)から距離(32)を置いて配設され、その結果、前記レーダセンサ(5、6)の前記方位角の視野(9、10)が交差領域(33)において前記トリム部品(4)と交差し、
前記方位角検出角度(φ)の外側の干渉波を吸収するために、吸収材料(36)が前記方位角方向における前記交差領域(33)の外側で前記トリム部品(4)の前記後側(31)に塗布され、前記交差領域(33)が吸収材料(36)を含まないように具体化され、
前記装置(3)は、前記干渉波を吸収するための吸収素子(38)を有し、前記吸収素子(38)は、前記レーダセンサ(5、6)のレドーム(30)の縁部領域(39)および前記吸収材料(36)に当接することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリム部品、特に、バンパと、目標物を検出するために、トリム部品を通して電磁波を放射しかつ目標物から反射された波(放射エコー)を受信するように設計されるレーダセンサとを備える自動車用装置に関する。レーダセンサは、方位角検出角度であって、これによりレーダセンサの方位角方向の視野が規定される方位角検出角度を有する。レーダセンサは、トリム部品の後側から一定の距離を置いて配設され、その結果、レーダセンサの方位角の視野が交差領域においてトリム部品と交差する。本発明はまた、このような装置を有する自動車に関し、かつこのような装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用レーダセンサは、既に従来技術である。ここでは、約24GHzの周波数で動作するレーダセンサに重点が置かれることが好ましい。しかしながら、本発明は、このような動作周波数に限定されるものではない。レーダセンサは、一般に、目標物を検出するため、且つ、運転者が自動車を運転するのを様々な方法で支援するために使用される。レーダセンサは、目標物と車両との間の距離を測定する。レーダセンサは、目標物に対する相対速度と目標角度(すなわち、目標物に対する仮想接続線と基準線(例えば、車両の長手方向軸)との間の角度)の両方を測定する。
【0003】
レーダセンサは通常、バンパの裏側、例えばバンパのそれぞれのコーナー領域に位置する。目標物を検出するために、レーダセンサが電磁波を放射し、次いで、電磁波が検出すべき目標物で反射されレーダエコーとして受信される。ここでは、バンパの材料を通して波の伝播が発生する。次いで、受信されたエコーが、上述の測定変数に関して評価される。
【0004】
150°でさえあり得る比較的広い方位角度範囲は通常、レーダセンサで水平方向に走査される。レーダセンサは、したがって、比較的大きな方位角検出角度を有し、その結果、これに対応してレーダセンサの方位角方向の視野または検出範囲は広い。方位角検出角度は、通例、前面センサ表面に対して垂直に延在するレーダ軸に関して対称であり、その結果、例えば、レーダ軸に対して−75°〜+75°の方位角検出角度が寸法決めされる。方位角検出範囲は、レーダセンサにより順々に照射される比較的小さな構成領域に分割することができる。この目的で、例えば、送信アンテナのメインローブを、例えば、位相配列の原理に従って、方位角方向に電子的に回動させることができる。この場合、受信アンテナは、方位角検出範囲全体をカバーする受信特性を方位角方向に有する。他の改良形態は、代替的に、広い送信ローブと併せて狭い受信角度範囲を実現することができる。
【0005】
上述の目標角度を測定できるように、少なくとも2つのアンテナで構成された装置が使用され、これらアンテナを各々、個々のアンテナ素子により、さもなければアンテナアレイにより形成することができる。目標物で反射された波は、2つの受信アンテナにより異なる時点で受信され、その結果、第1のアンテナの受信信号が第2のアンテナの受信信号に対する位相のずれを有する。目標角度は、第1の受信信号の位相と第2の受信信号の位相とのこの位相差の関数として求めることができる。この目的で、位相差に対する目標角度の依存度を規定する位相特性または位相曲線が使用される。このような例示的な位相曲線は、
図1に図示されている。この文脈では、目標角度αがx軸上にプロットされ、その一方で、位相差Phがy軸上にプロットされる。
図1に図示する位相特性は、ハウジングが規格に基づいて後部からの干渉放射に対して遮蔽される設置されていないレーダセンサの場合に得られる位相曲線を表している。
【0006】
そして、レーダセンサが自動車内に設置されている場合には、バンパもまた、電磁波、正確には、目標物で反射されてレーダセンサに入射する波と放射波の両方の伝播に追加的に影響を与える。更に、設置されているレーダセンサの場合には、送受信される電磁波が、金属体および誘電体で反射されるという問題がある。この文脈では、レーダセンサの裏側の領域、したがって、ボギー領域の構造が特に問題である。自動車の金属構造で反射する結果として、レーダセンサが干渉を受け、測定値が歪められる可能性がある。設置されているレーダセンサの場合には、
図1によるものとは全く異なる絵図が位相特性に関して得られる。設置されているセンサに関して得られるこの位相曲線が、
図2に例として図示されている。リップルが位相曲線上で形成され、これらリップルは、一方では−75°〜−35°の方位角度範囲にあり、他方では+35°〜+75°の角度範囲にある。
図2に図示されている位相曲線上の波は、特に、後部からの干渉放射に起因して、または車両部品で反射され、方位角検出角度の外側からレーダセンサの受信領域内を二次放射として通る干渉波に起因して発生する。この散乱干渉放射の大部分は、車両のバンパ領域からおよびトランク領域から入来し、したがって、そのスペースからレーダセンサの後部を通って受信アンテナ装置の高感度領域に戻るエコーの多重反射と称されるものから生じる。結果として、直接経路で目標物から受信アンテナ内を通る元のエコー(original echoes)で干渉が発生する。干渉波の別の部分は、受信アンテナ装置内での誘導効果により生じる。
【0007】
後部からの干渉放射は、ここでは、二次放射を吸収する目的で特別に開発された吸収スクリーンにより除去される。このような独立した吸収スクリーンを、センサハウジングとは別体でありかつレーダセンサのレドームの周りに配設されてレドームの外周を取り囲むかまたは外周の周りに係合する素子として具体化することができる。そして、レーダセンサから横方向外方に延びるそのような板状の吸収スクリーンは、レドームの前面側と面一に終端する。かかる吸収スクリーンは、干渉波を吸収し、したがって、レーダセンサの受信領域への干渉波の伝播を防止するが、このような独立した本質的に剛性の部品は、いくつかの欠点も有する。一方では、吸収スクリーンは通常、バンパの裏側に利用可能でない比較的多大な設置スペースを必要とする。他方では、このような部品は、レーダセンサに比べて高価である。バンパの鏡面対称性のため、吸収スクリーンを左側のレーダセンサと右側のレーダセンサに対して異なるように構成しなければならず、このことは、製造設備および物流の点で費用の増大を生じさせる。最後に重要なこととして、吸収スクリーンは、設置構成の全重量に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、冒頭で述べた一般的なタイプの装置におけるレーダセンサを機能させる方法に対する干渉波の影響を、多額の費用なしに従来技術に比べて低減することができる解決策を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明に従って、それぞれの独立請求項に記載の特徴を有する、装置によって、自動車によって、および方法によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項、説明および図面の主題である。
【0010】
本発明による自動車用装置は、トリム部品、特に、バンパと、目標物を検出するために、トリム部品を通して電磁波を放射しかつ目標物から放射エコーを受信するように設計されるレーダセンサとを備える。レーダセンサは、方位角検出角度であって、これによりレーダセンサの方位角方向の視野が規定される方位角検出角度を有し、レーダセンサが、トリム部品の後側から一定の距離を置いて配設され、その結果、レーダセンサの方位角の視野が交差領域においてトリム部品と交差する。方位角検出角度の外側の干渉波を吸収するために、吸収材料が方位角方向における交差領域の外側でトリム部品の後側に塗布され、交差領域は吸収材料を含まない。
【0011】
本発明は、したがって、トリム部品の後側に、具体的にはレーダセンサの方位角の視野の外側に、吸収材料を設ける方式を採用している。したがって、従来技術ではセンサハウジングの周りに使用される、独立した本質的に剛性の吸収スクリーンを省略することにより、トリム部品の裏側の設置スペースが占有されることなく、さもなければ、装置の全重量を追加的に増大させることなく、後部からの干渉放射を確実にかつ効果的に吸収することができる。例えば24GHzの領域の干渉波を完全に吸収する吸収材料または吸収層をトリム部品の後側に設けることにより、上述の吸収スクリーンをトリム部品の後側の対応する層に置き換えることができる。本発明は様々な利点を有する。既に述べたように、センサハウジング上の別体の吸収スクリーンを省略することが可能である。これにより、トリム部品の裏側のレーダセンサまたはホルダおよびプラグに必要とされる設置スペースが全体的に少なくなる状況がもたらされる。吸収スクリーンの追加的な重量が不要となる。最後に重要なこととして、別体の吸収スクリーンを省略することにより、コストを節約することもできる。それにもかかわらず、トリム部品の後側における対応する吸収層により、領域からレーダセンサの後部に入射する干渉波または二次放射を効果的に吸収することができ、その結果、全体としてレーダセンサの確実な動作が保証される。
【0012】
「吸収材料」は、レーダセンサの動作周波数領域内の電磁波を完全にまたはほぼ完全に吸収する材料であると理解される。吸収材料はまた、「レーダ吸収材料」(RAM)という用語で知られている。このような材料は、従来技術で既に知られている。使用する吸収材料は、例えば、波吸収性プラスチック(wave−absorbing plastic)とすることができる。例えば、上述の吸収スクリーンを製造するために既に使用されているような黒色プラスチック粒状物を使用することが可能である。そして、このプラスチック粒状物を、細かく砕き、粉末に加工または変換することができる。このような粉末を、二液型エポキシ樹脂と混合し、その後、バンパの後側に対応する厚さで塗布することができる。この塗布は、トリム部品の後側に吸収材料が塗工または噴霧されているように見える。このような「表面コーティング処理」を、例えばテンプレート(template)で実行することができる。
【0013】
文献US6496138B1に記載の主題とは対照的に(この文献では、吸収材料が放射波の伝播、したがって、レーダセンサの指向性に影響を及ぼす)、本発明による装置では、方位角検出角度の外側の干渉波を吸収するため、したがって、二次放射を吸収するために、吸収材料がレーダセンサの方位角の視野とトリム部品との交差領域の外側で前記トリム部品の後側に塗布されることが提案される。放射されたレーダ波の伝播は、したがって、吸収材料に影響されない。
【0014】
一実施形態では、吸収材料が、方位角方向における交差領域の縁部、したがって、交差領域に直接隣接する。吸収材料は、したがって、レーダセンサの視野とトリム部品との交差領域に直接隣接して方位角方向に配設される。これにより、後部からの干渉放射を、これらの干渉波がレーダセンサの視野に入ることなしに、非常に効果的に吸収することが可能となる。
【0015】
吸収材料は、方位角方向における交差領域の両側にトリム部品の後側に塗布されることが好ましい。したがって、レーダセンサの両側における干渉波を吸収することができる。
【0016】
方位角方向の視野に加えて、レーダセンサはまた、仰角方向における放射の広がりを有することが好ましい。これは、例えば、水平方向に対して−15°〜+15°とすることができる。仰角は、レーダセンサの仰角方向の視野を画定し、この視野は、仰角方向における交差領域の境界を定める。この実施形態では、仰角方向における散乱放射を抑制するために、仰角方向における交差領域の外側でトリム部品の後側に吸収材料を塗布することができる。レーダセンサの視野は、したがって、方位角方向のみならず、仰角方向においても干渉波から保護される。またここでは、特に、仰角方向において、吸収材料が交差領域の両側(下側と上側の両方)にトリム部品の後側に塗布される。
【0017】
全体として、吸収材料は、交差領域に囲まれる表面を形成することができる。このことは、レーダセンサの周り、したがって、その周囲のトリム部品の後側に吸収材料が設けられ、その一方で、吸収材料を含まずかつサイズがレーダセンサの視野全体とトリム部品との交差領域のサイズに対応する「放射窓」がレーダセンサの正面に形成されることを意味する。したがって、一方では、トリム部品を通しての放射波の良好な送信が保証され、他方では、後部からの干渉波がレーダセンサの周りで確実に吸収されるので、レーダセンサの視野を干渉波から保護することができる。
【0018】
結果的に、トリム部品の幾何学形状にかつレーダセンサとトリム部品の後側との間の距離に応じて、レーダ波がトリム部品を通して放射および受信される交差領域の輪郭が形成される。この輪郭で形成される面は吸収材料を含まないか、または吸収材料は、この輪郭の外側に位置し、好ましくは直接隣接している。この交差領域全体の輪郭は、例えば、CADプログラムを使用して異なる車両構成に対して個々に算出することができる。
【0019】
交差領域から開始する吸収材料の方位角方向の広がりすなわち幅は、好ましくは2cmよりも大きく、特に3cmよりも大きく、更に好ましくは5cmよりも大きい。この広がりは、センサハウジングの左側と右側とで同一とすることができる。このような吸収材料の方位角方向の幅により、干渉波が十分に吸収される。
【0020】
交差領域から開始して、吸収材料の仰角方向の広がりは、方位角方向の広がりよりも小さいものとすることができる。仰角方向の広がりは、例えば、1cmまたは2cmまたは3cmまたは4cmとすることができる。
【0021】
既に述べたように、センサハウジングは、トリム部品の後側から一定の距離を置いてレドームと共に配設される。レドームとトリム部品の後側との間のこの距離がλ/2よりも大きい場合に有利であることが判明していて、λは電磁波の波長を表す。かかる距離が少なくともλ/2(すなわち、例えば、少なくとも0.5cm〜0.8cm)であることにより、トリム部品の誘電材料が平行な電磁波の発生を妨げないことが保証されるということが分かっている。このことは、送信アンテナのすぐ近くでは、電界ベクトルがゼロに等しく、1〜2波長の近傍界では、電磁波のフィールドエネルギーが主に磁界(Hフィールド)に含まれることに起因する。フィールドエネルギーは、5〜10波長の遠方界でのみ電界(Eフィールド)およびHフィールドに均等に分配される。上で特定した最小距離を下回る場合に、トリム部品の誘電材料が、Eフィールドの、したがって、平行波の発生を妨げる。
【0022】
トリム部品の後側から一定の距離を置いてレーダセンサを配設することで、一方のレドームと他方のトリム部品との間に空隙が形成される。この空隙は、特に、電磁波の伝播を妨げる可能性のある素子および吸収材料を全く含まない。
【0023】
レーダセンサの方位角検出角度は140°〜170°の値の範囲にあることが好ましく、150°であることが好ましい。しかしながら、本発明は、このような広い方位角検出角度を有するこのようなレーダセンサに限定されるものではない。
【0024】
センサハウジングがトリム部品の後側から一定の距離を置いて配設される場合でかつ吸収材料がレーダセンサの視野とトリム部品との交差領域の外側に位置する場合には、レーダセンサのレドームも吸収材料から一定の距離にあり、したがって、一方の吸収材料と他方のレドームの縁部領域との間に空隙も形成される。装置はまた、この距離をブリッジするため、またレーダセンサの視野への散乱干渉波の透過を最小限に抑えるために、干渉波を吸収するための吸収素子を有することができ、この吸収素子は、一方では、レドームの縁部領域および/またはレーダハウジングの側壁に、他方では、吸収材料に当接する。
【0025】
吸収素子は、円周スリーブの形態とすることができる。つまり、第1の端部がレドームの外周の周りに係合するかまたは外周を囲み、第2の端部が吸収材料に当接し、したがって、好ましくはレーダセンサの視野とトリム部品との交差領域の外周を取り囲む、(特に、ひだ襟(ruff)などの形態の)好ましくは漏斗状の円周カラーとして具体化されることが好ましい。吸収素子のこのような構成により、一方では、レーダセンサの視野全体が、極めて平坦状にまたはトリム部品に対して準平行に透過するとともに、レーダセンサの裏側の領域で生じ、トリム部品で反射され、そこから散乱してレドームの前面に送られる、二次放射に対して保護される。他方では、このような吸収素子は、追加的に、自動車の領域内でのセンサハウジングの振動(例えば、50〜200Hzの周波数範囲にある)を減衰させることができるという利点も有する。吸収素子は、したがって、全体として2つの異なる機能、具体的には、一方の電磁的な二次放射を吸収する機能と、他方のセンサハウジングに作用する振動を減衰させる機能とを担う。
【0026】
吸収素子は、例えば、レドームの縁部領域においてレーダセンサのハウジングに接着または溶接することができる。トリム部品または吸収材料の側での接着または溶接も可能である。
吸収素子は、弾性材料(具体的には特に、発泡材料)で形成されることが好ましい。この材料の外面には、吸収材料(RAM)(すなわち、トリム部品の後側に塗布される同じ吸収材料)をコーティングすることができる。弾性材料から成る吸収素子の構成により、レーダセンサが吸収素子に対して軽い圧力を加えるようにして、レーダセンサをトリム部品の裏側に配設することが可能となる。センサハウジングの振動は、したがって、弾性材料の減衰効果により大幅に低減される。
【0027】
吸収素子は、したがって、センサハウジングのレドームの周囲に配設される弾性で、特に薄肉でもある、円周シールを構成することが好ましく、一方ではトリム部品の後側と、他方ではレドームの縁部領域とシールを形成するように相互作用する。
【0028】
例えば(指定FMCWレーダまたは「周波数変調連続波レーダ」でも知られる)変調周波数の連続電磁波を放射するように設計される連続波レーダをレーダセンサとして使用することができる。このようなレーダセンサに関しては、目標物との距離および自動車に対する目標物の相対速度および目標角度を求めることが可能である。レーダセンサの受信機は、ダウンミキサ、増幅器およびアナログ/デジタル変換器を各々備えることができる少なくとも2つの受信経路を有することができる。しかしながら、本発明は、このようなレーダセンサに限定されるものではない。
【0029】
レーダセンサでは、送信信号を発生する局部発振器を使用して給電される別体の送信アンテナ(単一の送信アンテナまたは送信アンテナ群のいずれか)を使用することも可能である。方位角方向に指向性の比較的狭いメインローブで方位角方向の比較的広い検出角度全体をカバーできるようにするために、送信アンテナを、電子的に位相制御することができる。
【0030】
自動車におけるレーダセンサの種々の応用が適宜可能である。例えば、レーダセンサを、レーン変更支援のため、死角を監視するため、また、事故の早期認識のために使用することができる。しかしながら、本発明による装置はまた、自動間隔警告システム、間隔調整システム、レーン退出警告システムおよび/または駐車支援の機能を有することができる。レーダセンサはまた、死角検出システム(死角警告)および/またはレーン変更支援(レーン変更アシスト)および/または駐車スペースからの後方退出のための支援(横断交通警報)および/またはドア開閉装置支援(door opener assistant)(ドア開放アシスト)および/または後方衝突検出システム(後方プリクラッシュ)の構成要素であり得る。
【0031】
本発明はまた、本発明による装置を有する自動車に関する。
【0032】
本発明による方法は、トリム部品、特に、バンパを利用可能にすること、ならびに目標物を検出するために、トリム部品を通して電磁波を放射しかつ目標物で反射された波を放射エコーとして受信するレーダセンサを利用可能にすることによる自動車用装置の製造のために使用され、レーダセンサが、方位角検出角度であって、これによりレーダセンサの方位角方向の視野が規定される方位角検出角度を有し、レーダセンサがトリム部品の後側から一定の距離を置いて配設され、その結果、レーダセンサの方位角の視野が交差領域においてトリム部品と交差する。方位角検出角度の外側の干渉波を吸収するために、吸収材料が方位角方向における交差領域の外側でトリム部品の後側に塗布され、交差領域は吸収材料を含まないように具体化される。
【0033】
本発明による装置に関して提示される好ましい実施形態およびその利点は、本発明による自動車にも、本発明による方法にも相応に当てはまる。
【0034】
本発明の更なる特徴は、特許請求の範囲、図および図の説明に見出すことができる。説明において上で特定した全ての特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図の説明でおよび/または単に図中で特定した特徴および特徴の組み合わせを、それぞれの特定の組み合わせでだけでなく、他の組み合わせで、さもなければ単独で使用することができる。
【0035】
ここで、好ましい例示的な実施形態を参照しかつ添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。以下に記載する例示的な実施形態は本発明の好ましい実施形態を構成するものであり、したがって、本発明が例示的な実施形態に限定されるものではないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】非設置状態におけるレーダセンサの位相特性を示す図である。
【
図2】設置状態におけるレーダセンサの位相特性を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による装置を有する自動車の概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による装置を通る断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中では、同一の要素または機能的に同一の要素には同じ参照符号が付されている。
【0038】
図3に図示されている自動車1は、例えば、乗用車である。自動車1は、運転者が自動車1を運転するのを支援する運転者支援システム2を備える。
【0039】
運転者支援システム2は、自動車1の後部バンパ4と、2つのレーダセンサ、具体的には第1のレーダセンサ5及び第2レーダセンサ6と、で構成された装置3を含む。バンパ4は、自動車1のトリム部品である。
【0040】
第1のレーダセンサ5は自動車1の左後コーナー領域に配設され、その一方で、第2のレーダセンサ6は右後コーナー領域に配設される。両レーダセンサ5、6は、バンパ4の裏側に位置し、したがって、自動車1の外側から視認できない。レーダセンサ5、6は、換言すれば、バンパ4の裏側に隠されたまたは隠蔽された状態で配置される。
【0041】
レーダセンサ5、6は、例えば、周波数変調連続波レーダセンサ(周波数変調連続波レーダ)である。
【0042】
レーダセンサ5、6は各々、
図3において、2つの線(左側レーダセンサ5に対する)7a、7bおよび(右側レーダセンサ6に対する)8a、8bにより境界が定められる方位角検出角度Φを有する。方位角検出角度Φは、例えば、150°である。方位角検出角度Φは、いずれの場合にも、方位角方向に、したがって、水平方向にそれぞれのレーダセンサ5、6の視野9または10を規定する。視野9、10は、互いに重複することができ、その結果、重複領域11が形成される。
【0043】
それぞれの視野9、10において、レーダセンサ5、6は、(車外の)目標物12a(左側)および12b(右側)を検出することができる。特に、レーダセンサ5、6は、それぞれのレーダセンサ5、6から目標物12a、12bまでの距離を求め、また、いずれの場合にも、目標角度および自動車1に対する目標物12a、12bの相対速度を求めることができ、これらはレーダセンサ5、6の測定変数である。目標角度は、例えば、
図1に図示するように、位相曲線によって求められる。
【0044】
また
図3に関して、レーダセンサ5、及び同様にまたレーダセンサ6は、方位角の視野9の様々な構成領域A、B、C、D、E、F、Gを連続して照射することができる。これらの構成領域A〜Gは角度範囲を構成し、構成領域A〜Gを連続して検出するために、レーダセンサ5の送信アンテナの送信ローブを、例えば、具体的には位相配列の原理に従って、方位角方向に電子的に回動させることができる。この場合、2つの特定の受信アンテナは、方位角の視野φ全体をカバーする広域受信特性を方位角方向に有する。他の改良形態は、代替的に、広い送信ローブと併せて狭い受信角度範囲を実現することができる。
【0045】
図3には、明確にするために、第1のレーダセンサ5の視野9の構成領域A〜Gのみが図示されている。しかしながら、ここでは、第2のレーダセンサ6の水平視野10もまた、対応するように複数の構成領域に分割される。更なる説明が第1のレーダセンサ5に関するものであるとしても、機能させる方法および配置構成は、第2のレーダセンサ6にも対応する。
【0046】
構成領域A〜Gの数は、
図3に単に例として図示されているに過ぎず、実施形態に応じて異なる数とすることができる。例示的な実施形態では、合計7つの構成領域A〜Gが設けられ、それら構成領域A〜Gがレーダセンサ5により順々に照射される。
【0047】
ここで、
図4は、レーダセンサ5とバンパ4による装置3を水平面に沿って通る概略断面図を示している。方位角検出角度Φは、線7a、7bにより境界が定められる。レーダセンサ5は、レーダセンサ5の全ての部品が収容されるハウジング29を有する。前面において、したがって、バンパ4に面する前面側において、ハウジング29は、レーダセンサ5の送受信アンテナ用の保護素子を構成するレドーム30で覆われる。電磁波は、レドーム30を通じて放射および受信される。ここでは、レドーム30は、バンパ4の後側31に面し、この後側31は自動車の車室に面する。レドーム30は、後側31から一定の距離32を置いて位置し、32は、レーダセンサ5とバンパ4との間の最小距離を表している。
【0048】
レーダセンサ5において局所座標系x,yが規定される。レーダ軸xは、レドーム30の前面に対して垂直に延在し、その一方で、y軸は、レドーム30に対して平行に、したがって、レーダ軸xに対して垂直に延在する。レーダセンサ5の上下方向は、
図4には図示されていない。
【0049】
軸yと車両の長手方向軸との間の角度は、レーダセンサ5の方位角方向の設置角度を表している。この設置角度は、例えば、30°〜45°の値の範囲とすることができる。この設置角度は、一実施形態では、37°とすることができる。
【0050】
既に述べたように、レーダセンサ5の方位角検出角度Φは、例えば、150°である。それに対して、仰角方向における検出角度は、例えば、合計で30°とすることができる。
【0051】
レーダセンサ5の方位角の視野9または方位角検出角度Φは、バンパ4の後側31に長円状の表面領域を構成する交差領域33において、バンパ4、したがって後側31と交差する。方位角方向では、交差領域33は、一方では線7bと後側31との交差点34によりかつ他方では線7aとバンパ4の後側33との交差点35により境界が定められる。仰角方向では、この交差領域33は、レーダセンサ5の仰角により境界が定められる。
【0052】
交差領域33は、したがって、それを通して電磁波が放射および受信され、且つ、レーダセンサ5の視野全体で照射される、バンパ4の表面領域である。吸収材料36は、領域37から、レーダセンサ5の裏側の後部に入射する干渉波を吸収するために、交差領域33の外側で、バンパ4の後側31の交差領域33の周りに塗布される。吸収材料36は、交差領域33に囲まれる表面を形成し、レーダセンサ5の両側の各々で方位角方向と仰角方向の両方向に交差領域33から外方に延びる。方位角方向において、吸収材料36の広がりすなわち幅は、両側の各々で数センチメートルである。
【0053】
バンパ4と視野9との交差領域33のみは、特定の吸収材料36を含まず、その結果、電磁波がバンパ4の材料を通して妨げられずに伝播することができる。
【0054】
吸収材料36は、RAM材料(レーダ吸収材料)である。この文脈では、プラスチック粒状物をRAM材料として使用することができ、そして、そのプラスチック粒状物がすりつぶされ、粉末に加工される。この粉末を二液型エポキシ樹脂と撹拌し、バンパ4の後側31に、例えば、λ/2の厚さで塗布することができる。
【0055】
粒状物を噴霧工程に使用できるように、特定の粒状物を液体に溶解させることもできる。
吸収材料36は、バンパ4の後側31に均一かつ均質に塗布される。そして、吸収材料36は、方位角検出角度Φの外側に、レーダセンサ5の仰角の外側に、したがって、レーダセンサ5の視野全体の外側にある。この文脈では、吸収材料36が交差領域33に直接隣接しており、その結果、吸収材料36と線7a、7bとの間の距離がゼロに等しい。
【0056】
吸収材料36は、後部からの干渉放射または二次放射から、レーダセンサ5の視野9を確実に保護する。追加的に、非常に平坦状に透過するとともに、領域37から後部にかけて生じ、バンパ4で反射され、且つ、そこから散乱してレドームの前面に送られる二次放射に対して受信アンテナを保護することもできるように、RAM放射スリーブの形態の吸収素子38が使用され、吸収素子38は可撓性プラスチック材料で構築される。吸収素子38は、放射吸収材料でコーティングされる。吸収素子38は、円周スリーブまたは漏斗状の円周カラーの形態で具体化され、この吸収素子38は、交差領域33の縁部領域において、交差領域33の外側で、一方ではレドーム30の縁部領域39に、他方では吸収材料36に当接する。吸収素子38の第1の端部40は、レドーム30の外周に係合するかまたは外周を取り囲み、且つ、ハウジング29の側壁に接続され、例えば接着または溶接される)。このような接着接続または溶接接続は、吸収材料36の側面にも利用可能である。吸収素子38は、したがって、その第2の端部41で吸収材料36に当接する。吸収素子38は、したがって、レーダセンサ5の視野が後部からの干渉放射に対して完全に遮蔽される、言わば、円周シールを構成する。
【0057】
吸収素子38はまた、レーダセンサ5の振動を減衰させる機能を有する。この減衰を補助するために、レーダセンサ5が吸収素子38に対して僅かな圧力をかけるようにして、レーダセンサ5を、例えば自動車1のシャーシに、装着することができ、吸収素子38は、したがって、一方のレーダセンサ5と他方の吸収材料36との間にばね力下でクランプされる。したがって、吸収素子38は、防振的かつ動作上信頼できる様式でバンパ4の後側31で終端する。