(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297579
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システム
(51)【国際特許分類】
G01B 7/14 20060101AFI20180312BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20180312BHJP
G01D 5/14 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
G01B7/14
G01B7/00 103M
G01D5/14 H
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-537406(P2015-537406)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-536448(P2015-536448A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】IB2013059423
(87)【国際公開番号】WO2014060986
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】PR2012A000066
(32)【優先日】2012年10月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515106206
【氏名又は名称】カムリン・イタリー・エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】チーシ、ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ムッシ、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】サッチ、マテオ
(72)【発明者】
【氏名】サッシ、フレデリコ
(72)【発明者】
【氏名】アスカリ、ルカ
【審査官】
小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/055064(WO,A2)
【文献】
特開2002−328046(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02159546(EP,A2)
【文献】
国際公開第2012/025763(WO,A1)
【文献】
実開平5−50307(JP,U)
【文献】
実開昭63−199079(JP,U)
【文献】
特開平3−243801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00 − G01B 7/34
G01D 5/00 − G01D 5/252
G01D 5/39 − G01D 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの別個の構造部分(2a、2b)間の相対位置の測定システム(1)であって、
磁界(B)を生成するように適合され、前記
構造部分の一方(2a)に適用可能である、本体(3)と、前記
構造部分の他方(2b)に適用可能であり、三軸ホール効果センサである、少なくとも1つのセンサ(5)とを備え、
前記センサ(5)および前記本体(3)は、前記センサ(5)を横切る前記磁界(B)の力線の方向が変化するように前記磁界(B)の対称軸(h)に対して垂直方向に従って相対的に移動可能であり、前記センサ(5)は、前記磁界(B)の強さの3つのベクトル成分(Bx、By、Bz)を検出するために構成される、測定システム(1)において、
前記少なくとも1つのセンサ(5)によって検出される前記3つのベクトル成分(Bx、By、Bz)の処理ブロックをさらに備え、
前記処理ブロックは、以下の式のように定められる前記磁界(B)の少なくとも1つの径方向成分(Br)を計算するように構成され、
【数1】
および、以下の式から前記対称軸(h)からの距離(r)を計算するように構成され、
【数2】
式中で、f1およびf2は
、多項式であることを特徴とする、測定システム(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサ(5)は、固定され、前記本体(3)は、それに対して移動可能である、請求項1に記載の測定システム(1)。
【請求項3】
磁石(3)が、前記対称軸(h)に対して垂直方向に従って移動され、前記センサ(5)は、前記対称軸(h)に対して垂直であるが該磁石(3)の中心(C)を通っていない面(α2)上に配置される、請求項2に記載の測定システム(1)。
【請求項4】
前記磁界(B)は、円筒対称性を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項5】
前記本体(3)は、永久磁石である、請求項1から4のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項6】
前記処理ブロックは、前記Brと前記磁界(B)の垂直方向成分(Bz)との間のなす角θ θ=arctan(Br/Bz)から、前記相対位置を計算するように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサ(5)を収容する箱様ケーシング(6)と、さらなる箱様ケーシング(9)をさらに備え、前記さらなる箱様ケーシング(9)は、前記構造部分の一方(2a)に固定されるように適合された第1の部分(10)と、前記少なくとも1つのセンサ(5)を収容する前記箱様ケーシング(6)には固定されておらず、前記箱様ケーシング(6)に対して摺動するように適合された第2の部分(11)とを有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項8】
前記第1の部分(10)および前記第2の部分(11)は、直線構成の展開を有し互いに連結される2本のアームからなり、前記第2の部分(11)は、前記センサ(5)を収容する前記箱様ケーシング(6)内にもたらされるキャビティ(13)に挿入されその内部において摺動するように構成される、請求項7に記載の測定システム(1)。
【請求項9】
前記さらなる箱様ケーシング(9)の前記第2の部分(11)は、実質的に、平行六面体の形状を有する第1のセクション(11a)と、波形のプログレッションを有する第2のセクション(11b)とを有する、請求項8に記載の測定システム(1)。
【請求項10】
前記第2のセクション(11b)は、前記第1のセクション(11a)の厚さに対してより薄い厚さを有する、請求項9に記載の測定システム(1)。
【請求項11】
前記第2のセクション(11b)または前記第1のセクション(11a)に置かれた変形センサ(12)をさらに備える、請求項10に記載の測定システム(1)。
【請求項12】
前記箱様ケーシング(6)は、前記センサ(5)を覆い、それを望ましくない磁界から遮蔽するように位置決めされる磁気偏向器(7)を備える、請求項7から11のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項13】
前記箱様ケーシング(6)は、測定の読み取りのためにグリッドが上に印刷された透明なプレート(8)を装備する、請求項7から12のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項14】
前記箱様ケーシング(6)は、前記箱様ケーシング(6)が受ける振動を読み取ることができる加速度計を含む、請求項7から13のいずれか1項に記載の測定システム(1)。
【請求項15】
前記加速度計は、三軸タイプのものである、請求項14に記載の測定システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムに関する。具体的には、そうしたシステムは、亀裂の形成後に分かれた建築物または石積みの2つの構造部分間の相対位置の測定に使用される。
【背景技術】
【0002】
文献WO2012/025763から、永久磁石によって生成される磁界の正確な強さを測定することに基づいた、2つの別個の構造部分間の相対的な移動の監視システムが知られている。そうしたシステムは、建築物の構造部分に適用された円筒形の形状の磁石、および磁石によって生成される磁界の強さを測定するために構造部分に固定された1つまたは複数のホール効果センサによって形成される。センサが流線によって垂直方向に横切られるように磁界内に位置決めされる場合、磁界の強さは、磁石からの距離の二乗に反比例する(磁石についての「クーロンの法則」)。したがって、距離は、磁界の逆数の平方根として簡単に計算され得る。したがって、各センサによって測定される磁界の正確な強さは、距離に変換される。したがって、三角測量により、センサに対する磁石の二次元の位置または三次元の位置を計算することができる。
【0003】
先ほど例示した解決策の主な欠点は、温度および永久磁石の老朽化により通常経時的に変わりやすい磁界の強さの正確な測定を実施する必要があることである。
他の欠点は、センサが、磁界の流線によって垂直方向に横切られるように位置決めされる場合にしか、磁石についてのクーロンの法則が適用できないという事実と関連している。
さらなる欠点は、複数のセンサを使用する必要があることにより、寸法が大きくなり費用が高くなることと関連している。
他の欠点は、本質的な精度の欠点を含む、三角測量を実施する必要があることに起因する。
現在知られている解決策に対する他の限界は、亀裂の非平面状の動きを監視する難しさと関連している。
既知の解決策により実施される測定では、機械的応力と連動して亀裂の変動が起こっているかどうかを示すことができない、というところにさらなる限界がある。
文献EP1243897は、測定領域を拡大する必要がある場合における2つのセンサの使用を開示している。この解決策の欠点は、全体的な大きさが増大することである。
【発明の概要】
【0004】
この文脈において、本発明を実証する技術的な作業は、上述した従来技術の欠点を不要にする、例えば建築物の、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムを提供することである。
具体的に、本発明の目的は、従来技術の解決策に対してより小型で、単純かつ安価な、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムを提供することである。
本発明の他の目的は、既知の技術の解決策に対してより正確であり、より広い測定領域での利用が可能である、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムを提供することである。
本発明の他の目的は、壊れずに非平面状の変形に耐えることができる、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムを利用可能にすることである。
本発明のさらなる目的は、機械的応力と連動して亀裂の変化が起こっているかどうかを示すことを可能にする、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムを提供することである。
特定の技術的目的および設定された目標は、実質的に、添付の特許請求の範囲の1つまたは複数の請求項において定められる技術的な特徴を備えた、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムによって達成される。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるような、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムの好ましいが非排他的な実施形態の非限定的な説明からより完全に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明による、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムの斜視図。
【
図4】
図1のシステムで使用される永久磁石によって生成される力線の断面図。
【
図5】
図1のシステムで使用されるいくつかの物理的サイズの傾向に関するグラフ。
【
図6】
図1のシステムで使用されるいくつかの物理的サイズの傾向に関するグラフ。
【
図7】
図1のシステムで使用されるいくつかの物理的サイズの傾向に関するグラフ。
【
図9】
図1の測定システムの第2の実施形態の斜視図。
【
図10】
図9の測定システムのさらなる箱様ケーシングの上面図。
【
図11】
図9の測定システムのさらなる箱様ケーシングの部分断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面を参照すると、番号1は、2つの別個の構造部分2aと構造部分2bとの相対位置の測定システムを示す。例えば、測定システム1は、亀裂の形成後に分かれた建築物の構造部分2a、2bに使用される。
測定システム1は、磁界Bを生成するように適合された本体3を備える。そのような本体3は、構造部分の一方2aに適用可能である。具体的に、生成される磁界Bは、円筒対称性を有する。本明細書に記載され図示される実施形態では、本体3は、円筒形の形状の永久磁石である。例えば、本体3は、高さ2mm、直径10mmの円筒形の形状のネオジム永久磁石である。あるいは、本体3は、電磁石である。
他方の構造部分2b上には、センサ5が適用可能である。好ましくは、センサ5は、三軸ホール効果センサである。
本来、センサ5および本体3(この実施形態では、永久磁石3)は、センサ5を横切る磁界Bの力線の方向を変えるように、磁界Bの対称軸hに対して垂直な方向に従って動かされ得る。円筒形の永久磁石3の場合、磁界Bの対称軸hは、永久磁石3の対称軸と一致する。
【0007】
図4は、高さ2mm、直径10mmの円筒形のネオジム永久磁石3によって生成される磁界Bの強さおよび流れ方向を示している。磁石3の平坦面に平行すなわち対称軸hに対して垂直であり磁石3の中心Cを通っている第1の面α1を考えると、磁界Bの流れの方向は、どこにおいても完全に垂直方向であることに注目することができる。
その一方で、異なる高さに位置するすなわち磁石3の中心Cを通っていないが依然として対称軸hに対して垂直である第2の面α2を考えると、磁界Bの流れ方向は、それがある場所に従って変わることを観察することができる。具体的に、流れ方向は、磁石3の中心Cの真下においてのみ垂直方向である。磁石3の中心Cから遠ざかると、流れの方向は、完全に水平方向になるまで回転を受ける。水平のポイントを越えると、方向は回転し続けて逆になり、再び(しかし、漸近的に無限の距離だけおいて)垂直になる。
【0008】
第2の面α2における磁界Bの流れの強さは、第2の面α2と対称軸hとの合流点Pに関して放射対称性を持っている。
第2の面α2上のあらゆる点において、磁界Bは、面α2上にある径方向成分Brと、対称軸hに対して平行な垂直方向成分Bzとに分解され得る。
【0009】
径方向成分Brは、以下の関係に従って、2つの平面成分Bx、Byのピタゴラスの合成(composition)によって得られる。
【数1】
【0010】
図5は、対称軸h上にある点Pからの距離rに従った、磁界Bの流れの各点についての径方向成分Brおよび垂直方向成分Bzの強さの傾向を示している。
図5は、垂直方向成分Bzは対称軸hからある距離rを越えると符号が変わり、その一方で、平面成分Brは常に磁石3の方を指していることを立証している。既知のように、径方向成分Brと垂直方向成分Bzの間の関係は、磁界Bの方向と垂直方向成分Bzの方向とながす角度Θの正接に等しい。したがって、以下の式が有効である。
【数2】
【0011】
したがって、以下の方程式によって、磁界Bの方向と垂直方向成分Bzの方向とがなす角度Θを測定することが可能である。
【数3】
【0012】
対称軸hからの距離rに従った、磁界Bの方向と垂直方向成分Bzの方向とがなす角度Θの傾向が
図6に示されている。角度Θの傾向が直線tにより非常に良く推定され得ることは、磁石3の対称軸hからの距離rと前記角度Θとの間にほぼ直線の関係が存在することを示唆しており、すなわち、以下のように表すことができる。
【数4】
【0013】
本来、センサ5は、磁界Bの強さの3つのベクトル成分Bx、By、Bzを測定するように構成される。
【0014】
座標(x、y)を決定するには、以下の式を適用すれば十分である。
【数5】
【数6】
【0015】
測定システム1は、センサ5によって測定される3つのベクトル成分Bx、By、Bzの処理ブロックを備える。この処理ブロックは、関係(1)に従って少なくとも径方向成分Brを計算し、関係(4)に従って、対称軸hからの距離rを計算するように構成される。処理ブロックは、既知のタイプのマイクロコントローラである。
【0016】
本明細書に記載され図示される実施形態では、センサ5は、固定され、すなわち第2の面α2と一体にされ、その一方で、磁石3は、センサ5が方向を変える磁界Bの力線に衝突されるように、その対称軸hに対して垂直方向に従って動く。
一代替実施形態(図示せず)では、磁石3が固定され、その一方でセンサが自由に動く。
しかし、関係(4)の使用は、いくつかの制限を含む。
中でも、垂直方向成分Bzは、ゼロに達し符号が変わるまで、対称軸hから遠ざかるにつれて減少する。これは、関係(4)の適用領域を制限する、径方向成分Brと垂直方向成分Bzの間の関係に漸近線をもたらす。
【0017】
さらに、
図6に示されるように、関係(4)は、漸近線に近いほど増大する近似誤差を導く。
【0018】
実際的な面では、この関係の使用範囲は、磁石3の直径および磁石3からの測定点の垂直方向距離など、システムのいくつかの物理的特性と同じ大きさの範囲である。具体的に、本明細書に記載され図示される状態の場合、許容可能な測定範囲は、約8mmである。
【0019】
上述した問題を解決するために、異なる数値的アプローチが編み出された。
これは、その係数が実験データのフィッティング(fitting)から導かれ得る(または場合によっては有限要素シミュレーションにより得られる)多項式の関係により、径方向成分Brの測定値および垂直方向成分Bzの測定値をもとにして距離rを推定することを想定する。
具体的に、径方向成分Brと垂直方向成分Bzの間の関係の漸近線を避けて、処理可能な数値を扱うには、(
図7の破線によって示される)第1のセクションについてのみの前記成分の間の関係を使用し、次いで、逆の関係、すなわち
図7の破線ではない線によって示される垂直方向成分Bzと径方向成分Brの間の関係に移ることによって、フィッティングを2つの別々のセクションに分けることが可能である。例えば、以下の式が使用され得る。
【数7】
【0020】
例えば、f1は、三次多項式であり、f2は、五次多項式である。あるいは、f1およびf2は、他の次数の多項式である。
この場合、処理ブロックは、対称軸hからの距離rの計算に、関係(7)を使用する。
好ましくは、センサ5は、
図1、
図2に見られるように、箱様ケーシング6内に収容される。適宜、箱様ケーシング6は、センサ5を覆うように位置決めされ、望ましくない(例えば、環境の)磁界からそれを遮蔽する磁気偏向器7を備える。具体的に、透磁率が高く飽和保磁力が低い材料(例えば、フェロシリコン(Fe Si)またはパーマロイ)で作られた磁気偏向器7を使用することによって、外部磁界の流れが止められる。さらに、磁気偏向器7は、測定領域の拡大をもたらす。
箱様ケーシング6は、測定値の読み取りのためにグリッドが上に印刷されている透明プレート8を装備する。
【0021】
ここまでは、二軸測定システム1が述べられており、したがって単一のセンサ5を用いることで磁石3の座標(x、y)を得ることができる。さらなるセンサの使用を想定することで、三軸測定システム1に移ることができる。
磁石3は、構造部分の一方2aに固定されるように適合された第1の部分10と、固定されておらずセンサ5を含む箱様ケーシング6に対して摺動するように適合された第2の部分11とを有する、さらなる箱様ケーシング9内に収容される。例えば、さらなる箱様ケーシング9は、プラスチック材料で作られる。
好ましくは、第1の部分10および第2の部分11は、直線構成の展開(development)を有し互いに連結される2本のアームからなる。図面から見られるように、2本のアーム10、11は、実質的に、「T」字形を画成する。具体的に、第2の部分11は、箱様ケーシング6内にもたらされるキャビティ13に挿入されその内部で摺動するように構成される。
【0022】
図1、2および
図3に示される第1の実施形態では、第2の部分11は、実質的に、平行六面体の形状である。
図9〜12に示される第2の実施形態では、第2の部分11は、実質的に平行六面体の形状を有する第1のセクション11aと、波形のプログレッション(progression)を有する第2のセクション11bとを有する。換言すると、第2のセクション11bは、磁石3を含む箱様ケーシング9のz軸に沿った振動を可能にする蛇行部分(coil)からなる(
図8の基準球参照)。
第2のセクション11bは、第1の部分10に直接連結され、その一方で、第1のセクション11aは、箱様ケーシング6内にもたらされるキャビティ13に摺動可能に挿入される。
有利には、第2のセクション11bの厚さは、
図11、12に見られるように、第1のセクション11aの厚さに対してより薄い。換言すると、第2の部分11の厚さは、第1の部分10との連結部に近づくにつれてより薄くなる。
有利には、測定システム1は、さらなる箱様ケーシング9に一体に結合された変形センサ12を備える。例えば、変形センサ12は、さらなる箱様ケーシング9に挿入される、またはその外側に固定される。変形センサ12は、第2のセクション11b(蛇行部分)または第1のセクション11aにあることが好ましい。例えば、変形センサは、既知のタイプの歪みゲージである。
【0023】
ワイヤレス実施形態では、2つのケーシング6、9は、データの処理および交換を可能にするように、対応する電子管理モジュールを備える。具体的に、箱様ケーシング9は、電力供給を受ける目的、およびセンサ5を含む箱様ケーシング6内に位置決めされた対応する電子管理モジュールとのデータ交換の目的のため、アンテナ16を備えた高周波送受信機15に連結される。箱様ケーシング6は、そうしたケーシング6が受ける振動を読み取ることができる加速度計(図示せず)を含むことが好ましい。具体的に、加速度計は、例えば、MEMS技術による三軸タイプのものである。
ワイヤを通して、またはワイヤレス、例えば無線通信による変形センサ12が供給され得る。
【0024】
図10、11は、さらなる箱様ケーシング9内の変形センサ12、送受信機15およびアンテナ16についての可能な空間的構成を示している。
本発明による、2つの別個の構造部分間の相対位置の測定システムの特徴は、利点と同様に、与えられた説明から明らかである。
具体的に、センサ−磁石の対の構成および予め選ばれた相補的な動きによって、センサは、方向を変える磁気流れによって横切られ得るようになる。このように、構造部分間の相対位置の計算は、磁界の流れの径方向成分と垂直方向成分との関係により簡単に得られ得る。
さらに、三軸センサは、2つ以上の単軸センサを使用する従来技術によって想定されるものとは異なり、一義的に、所望の測定値を得るのに十分である。寸法および費用の点における利点に加えて、単一のセンサの使用により、複数のセンサにより実施される測定における変動(例えば、ゲインおよび温度の変動など)の補償が回避され得るようになる。
【0025】
さらに、実験データのフィッティングにより、距離の推定を向上させることができ、また従来技術の解決策に対して測定範囲を拡大することが可能になる。
さらに、第2の実施形態は、蛇行部分が、磁石を含む箱様ケーシングをz軸に沿って振動させることができるので、特に有利である。このように、提案の測定システムは、構造が強固であることにより測定値が(x、y)に沿って得られることを保証し、また、蛇行部分の振動により壊れることなく非平面状の(すなわち、zに沿った)変形に耐えることができる。
【0026】
さらに、変形センサが蛇行部分に置かれる実施形態によって、大まかであるが、z軸に沿った変形も監視可能になる。精度の制約は、蛇行部分が、壊れる前の最大の変形値を吸収するという事実に基づいている。実際、蛇行部分の振動によって、z軸に沿った変形の測定が検出され得るようになる。また、蛇行部分の振動は、実質的に、センサが依然として動作していること(すなわち、蛇行部分が壊れていないこと)を示している。
さらに、センサを含む箱様ケーシング内に加速度計があるので、もし亀裂があったらその変動に関連付けられる、対応する構造部分が受ける振動が検出され得るようになる。